やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第3版の序
 <口腔微生物学・免疫学>の第3版を刊行できる運びになった.
 第3版では,免疫学の章を大幅に充実させ,また,医真菌学の項を一新した.この他,全章にわたって本文を精査し,内容の最新化を図り,微生物名の改変への対応,わかりやすい図表への改訂あるいは追加・差し替えなどを行い,コストの許す限りのカラー化を試みた.また,判型をA4(変形)に拡大し,より読みやすく,かつ物理的なコンパクトさを維持するように努めた.前版に比してかなり充実したものに仕上がったと確信している.
 第3版では編者として新たに川端重忠,西原達次,菅井基行,中川一路の4教授に加わっていただき,企画から実務に至る要所要所で支えていただいた.
 また,著者の先生方には多忙な中を快くお引け受けいただき,かつ編者からのさまざまなリクエストにお応えいただいたことは,ありがたく,厚くお礼を申し上げます.あわせて,編集実務の労をとられた医歯薬出版株式会社編集部に深謝します.
 メキシコに端を発した“新型インフルエンザ”を例に挙げるまでもなく,古くからなじみの病原微生物も時とともに巧みに変身し,それに応じて感染症の様相も絶えざる変化を続けている.逆に,これまではほとんど顧みられることのなかった微生物でも,医療の高度化や環境の変化で新たに病原微生物と認知されるものが必ず出現してくることであろう.微生物学・感染症学の教科書の改訂が必要な所以である.
 次回の改訂からは,若い編者が中心になって本書をいっそう進化させてくれることを祈念し,役目を終えたいと思う.
 2010年2月
 編者を代表して,
 浜田茂幸
 バンコク郊外・RCC-ERIにて

第2版の序
 <口腔細菌学・免疫学>の初版が刊行されてから早くも5年が経過した.この間多くの方々から頂いたご指摘などを参考にしつつ,初版を全面的に見直し,ここに改訂第2版の刊行に至った.
 本書の基本方針は,初版の序文に具体的に示した通りで,いささかの変更点もない.微生物学と免疫学の基本を押さえつつ,進歩が激しいこの分野の成果をできる限り平易な表現で取り入れるように努めた.また,菌種名(学名)の変更などにも目を配った.さらに,初版でやや手薄と感じた領域や章については,それらを質・量ともに補強しつつ,全体としてのページ数の増加がないように気を配った.
 本書が歯科医学を学ぶ学生諸君の教科書として,また口腔細菌学に興味をもつ大学院生や非専門家の参考書として大いに役立つことを祈念し,期待する.
 本書が今後もさらなる進化をとげるために,読者諸氏のご支援とご鞭撻をお願いしたい.
 2005年6月
 浜田茂幸
 東京・九段にて

初版の序
 口腔内には多数かつ広範多彩な微生物が生息している.歯科医学が対象とする病気の多くは,その発生場所や原因はともかくとして,いずれも微生物フローラに彩られた口腔という環境で生じる.
 口腔の疾患のうち,今も昔も齲蝕と歯周病が罹患者の多さの点で1,2を占める点では変わりがない.
 齲蝕を口腔内の微生物と関連づけて科学的なメスを加えたのはW.D.Millerである.1890年頃のことであった.早くに開花した口腔細菌学ではあるが,20世紀に入って,結果として長い雌伏の期間を余儀なくされた.しかし,1960〜70年代に入ると齲蝕の病因に関する研究は実りの時期を迎え,その後も着実な進歩をとげ,今日に至っている.
 一方,歯周病の病因については,1970〜1980年代になって,嫌気性細菌学の技術の進歩とともに,独自の境地を開き,短年月の間にわれわれの共有する知識は飛躍的に増加し,深化した.
 換言すれば,歯科医学を学ぶ学生諸君が習得すべき「知」の量は,細菌学領域に限ってみても最近30年間に圧倒的に増大し,これを臨床の場で生かすべく,消化吸収することが求められている.そのためには断片的な知識を羅列するだけではなく,これらを相互に有機的に関連づけて考える必要がある.本書はこのような目的に役立つことを目指して執筆・編集したものである.
 執筆に際してはできる限り最新の知見をも視野に入れ,必要な事項は簡潔ながらも過不足なく取り入れたつもりである.その点では,大学院生諸氏にとっても,口腔感染症の病因とその予防についての復習や,研究面での参考書として利用できるはずである.また,臨床系の研究者や医師が最新の研究の動向や知見を概観するための効率的な情報源ともなるように想定して編纂されている.
 最初の2章では,「微生物学」および「免疫学」の全般にわたるアウトラインが記されており,これら2つの領域にわたる学問の幅と基礎的知見を学ぶ.次いで,医学的に重要とされる病原微生物の性状と,惹起される疾患の概略を知る.そのうえで,これらの感染症疾患の予防と治療についての今日の状況を理解する.
 このような広い意味の病原微生物学を習得したうえで,歯科医学に最も密接に関連する「口腔微生物学および免疫学」のエッセンスを学ぶ.まず口腔フローラとデンタルプラークについて最新の知見を理解する.次いで,齲蝕と歯周病の病像・病因・対策を多くの図表の助けを借りて学ぶ.
 最後に,齲蝕や歯周病以外の口腔内の代表的な感染性疾患を知る.この部分は口腔外科学,歯科保存学,歯科補綴学など,臨床各科で学ぶことがらの基本となる事項が説明されている.
 以上の各章は,多くの専門家がそれぞれ自分の得意とする分野を中心に執筆し,編者である私が全体的な統一を図りつつ,教科書としての形に整えたものである.事前に相当に考えつくしたつもりの目次も,編集を終えてみると,なお工夫の余地は少なくない.これについては近い将来の改訂に待ちたい.
 最後に分担執筆に快く応じていただいた先生方と,製作の労をとられた医歯薬出版株式会社編集部に深謝いたします.
 2000年3月
 浜田茂幸
 大阪・千里にて
第1章 微生物学の基礎
 I 微生物学の発展(浜田茂幸)
  1.疫病の認識
  2.微生物の観察から自然発生説の否定へ
  3.微生物と病気
  4.純培養の重要性
  5.病原菌の発見ラッシュ
  6.ウイルスの発見
  7.化学療法薬の発見
 II 微生物の世界(浜田茂幸)
  1.微生物の位置づけ
  2.微生物の性状
   1)原核生物 2)ウイルス 3)微小原生生物
  3.プリオン:タンパク質性感染因子
 III 微生物の生育と構造
  A 細菌(藤村節夫)
   1.細菌の分類
    1)分類 2)命名
   2.細菌の形態
    1)細菌細胞の形状と大きさ 2)染色 3)細胞の構造 4)芽胞
   3.細菌の培養
    1)栄養 2)酸素 3)温度 4)pH(水素イオン濃度) 5)塩濃度
   4.細菌の増殖
   5.細菌の生理と代謝
    1)細菌の代謝 2)エネルギーの産生 3)細菌による栄養素の摂取
  B ウイルス(五十嵐 武)
   1.ウイルスの性状
   2.ウイルスの分類
   3.ウイルスの形態と構造
    1)核酸 2)タンパク質 3)脂質・炭水化物
   4.ウイルスの増殖
    1)吸着 2)侵入と脱殻 3)素材の合成 4)ウイルス粒子の組み立てと放出
   5.ウイルス感染と細胞
    1)溶解感染 2)持続感染 3)発癌感染
   6.ウイルス干渉
   7.ウイルスの培養
    1)動物接種法 2)鶏卵培養法 3)細胞培養法
 IV 微生物の遺伝―細菌遺伝子とその変異―(菅井基行)
  1.染色体の構造
  2.染色体の複製
  3.細菌の遺伝子
  4.転写
  5.転写の制御
  6.翻訳
 V 微生物遺伝子の変化(中川一路)
  1.プラスミドとトランスポゾン
   1)プラスミド 2)トランスポゾンと挿入配列 3)形質転換と接合伝達
  2.バクテリオファージ
   1)ファージの溶菌サイクル 2)ファージの溶原サイクル
  3.遺伝子の変化と再構築
   1)突然変異 2)組換え
 VI 微生物遺伝子の応用(中山浩次)
  1.遺伝子工学の原理
   1)制限酵素と遺伝子クローニング 2)ベクタープラスミドの開発 3)遺伝子クローニング 4)塩基配列の決定 5)PCR法
  2.遺伝子解析の応用
   1)全ゲノム解析 2)遺伝子診断 3)遺伝子治療
 VII 微生物感染の成立(中川一路)
  1.感染と発病
   1)感染の様式 2)生物学的にみた感染
  2.宿主の抵抗
   1)物理的障壁:皮膚と粘膜 2)食作用 3)免疫系による防御作用 4)感染と炎症 5)感染防御の遺伝的背景
  3.病原微生物のビルレンス因子
   1)付着 2)侵襲性 3)毒素の産生 4)寄生体の宿主破壊活動因子 5)組織内での寄生虫
第2章 免疫学の基礎
 I 免疫学の発展(浜田茂幸)
  1.免疫学の誕生:ワクチンの開発から
  2.血清学から免疫化学へ
  3.アレルギー
  4.抗体とその産生のメカニズム
  5.免疫にかかわる細胞
 II 生体防御と免疫(柴田健一郎)
  1.免疫機構
   1)免疫機構の概要 2)免疫担当臓器 3)免疫担当細胞
  2.自然免疫
   1)微生物の認識 2)皮膚,粘膜による防御機構 3)体液性の防御機構
  3.獲得免疫
 III 主要組織適合遺伝子複合体と抗原提示(中川一路)
  1.MHCの分布と構造
  2.抗原
  3.抗原の処理と提示
  4.リンパ球の活性化
 IV 体液性免疫(菅井基行)
  1.抗体
   1)抗体の基本構造 2)抗体の種類 3)抗体の生物活性 4)免疫グロブリン遺伝子再構成による多様性の獲得 5)免疫応答の時間的推移
  2.補体
   1)補体系 2)補体の活性化と作用
  3.抗原抗体反応とその応用
   1)中和反応 2)沈降反応 3)凝集反応 4)補体結合テスト 5)標識抗体法 6)モノクローナル抗体
 V 細胞性免疫(大森喜弘)
  1.細胞性免疫の特徴
  2.細胞内寄生性細菌に対する感染防御
   1)Th1細胞によるマクロファージの活性化 2)CTLによる傷害 3)肉芽腫の形成
  3.ウイルス感染細胞の排除
  4.移植と拒絶反応
   1)拒絶反応のしくみ 2)移植片対宿主反応
  5.腫瘍免疫
   1)腫瘍抗原 2)腫瘍細胞に対する傷害作用
  6.遅延型過敏症
 VI サイトカイン(大森喜弘)
  1.サイトカインの特徴
  2.サイトカインの種類
   1)インターロイキン 2)インターフェロン 3)TNFファミリー 4)ケモカイン 5)TGF-βファミリー 6)増殖因子
  3.サイトカインの機能
   1)炎症性反応や自然免疫に関与するサイトカイン
   2)獲得免疫の制御に関与するサイトカイン
   3)血液系細胞の増殖,分化に関係するサイトカイン
  4.サイトカインレセプター
   1)I型サイトカインレセプター
   2)II型サイトカインレセプター
   3)TNFレセプターファミリー
   4)IL-1レセプターファミリー
   5)ケモカインレセプターファミリー
   6)TGFレセプターファミリー
   7)増殖因子レセプターファミリー
 VII 過敏症(西原達次)
  1.I型過敏症反応
  2.II型過敏症反応
  3.III型過敏症反応
  4.IV型過敏症反応
 VIII 免疫不全・自己免疫疾患(寺尾 豊・川端重忠)
  1.免疫不全
   1)補体系構成要素の欠損に起因する先天性免疫不全
   2)食細胞の機能不全による先天性免疫不全
   3)B細胞の機能障害による免疫不全
   4)T細胞の機能障害による免疫不全
  2.自己免疫疾患
   1)免疫寛容 2)自己免疫疾患
 IX 粘膜免疫(高橋一郎)
  1.粘膜免疫のユニーク性
  2.腸管関連リンパ組織
  3.粘膜を介して取り込まれた抗原の処理
  4.粘膜におけるリンパ球の遊走機構
  5.sIgAの産生制御
  6.粘膜系T細胞
第3章 主要な病原微生物と感染症
 I グラム陽性球菌と感染症(川端重忠)
  1.レンサ球菌
   1)A群レンサ球菌 2)B群レンサ球菌 3)肺炎レンサ球菌 4)腸球菌
  2.ブドウ球菌
   1)S.aureus 2)S.epidermidisとS.saprophyticus
 II グラム陽性桿菌と感染症(川端重忠)
  1.ジフテリア菌
  2.リステリア菌
  3.バシラス属
   1)炭疽菌 2)セレウス菌
  4.クロストリジウム属
   1)破傷風菌 2)ボツリヌス菌 3)Clostridium difficile 4)ガス壊疽菌
  5.抗酸菌
   1)結核菌 2)癩菌 3)非結核(菌)性抗酸菌
 III グラム陰性球菌と感染症(中川一路)
  1.ナイセリア属
   1)髄膜炎菌 2)淋菌
  2.モラクセラ属
 IV グラム陰性桿菌と感染症(中川一路)
  1.腸内細菌科
   1)大腸菌 2)赤痢菌 3)サルモネラ 4)クレブシエラとセラチア属 5)プロテウス属 6)エルシニア属
  2.ビブリオ科
   1)コレラ菌 2)腸炎ビブリオ
  3.らせん状桿菌
   1)カンピロバクター属 2)ヘリコバクター属
  4.緑膿菌と類縁菌
   1)緑膿菌 2)類鼻疽菌 3)Burkholderia cepacia
  5.百日咳菌と類縁菌
  6.レジオネラ属
  7.ブルセラ属
  8.パスツレラ科
   1)Haemophilus influenzae 2)Haemophilus ducreyi 3)その他のHaemophilus種 4)Pasteurella multocida
  9.その他の病原性グラム陰性桿菌
   1)野兎病菌 2)鼠咬症スピリルム
 V スピロヘータと感染症(柴田健一郎)
  1.梅毒トレポネーマ
  2.ライム病ボレリア
  3.回帰熱ボレリア
  4.黄疸出血性レプトスピラ
 VI マイコプラズマと感染症(柴田健一郎)
  1.性状
   1)形態 2)培養 3)薬剤感受性 4)グルコース,アルギニンおよび尿素の利用 5)ペプチダーゼ活性 6)遺伝的性状 7)抗体による発育阻止
  2.ヒトマイコプラズマの感染
   1)M.pneumoniae 2)U.urealyticum/Mycoplasma hominis/Mycoplasma genitalium 3)口腔マイコプラズマ
  3.動物におけるマイコプラズマ感染症
 VII クラミジアと感染症(柴田健一郎)
  1.構造と生活環
  2.病原性
   1)Chlamydia trachomatis 2)Chlamydophila psittaci 3)Chlamydophila pneumoniae
  3.治療
 VIII リケッチアと感染症(柴田健一郎)
  1.分類
  2.性状と感染サイクル
  3.病原性
   1)発疹チフス群リケッチア 2)紅斑熱群リケッチア 3)恙虫病群リケッチア 4)Q熱コクシエラ 5)腺熱エールリヒア
 IX 病原真菌と感染症(安部 茂)
  1.真菌の構造と性状
   1)真菌の発育形態 2)真菌の発育と生殖形式
  2.病原真菌の分類と真菌症
   1)真菌の分類 2)真菌症の分類
  3.真菌症各論
   1)深在性カンジダ症 2)アスペルギルス症 3)クリプトコッカス症 4)接合菌症(ムーコル症) 5)トリコスポロン症,その他の真菌に起因する深在性真菌症 6)ニューモシスチス肺炎 7)深部皮膚真菌症 8)表在性真菌症 9)真菌症の診断と治療
 X ウイルス
  A DNAウイルスと感染症(向井徹)
   1.ヘルペスウイルス
    1)単純ヘルペスウイルス1型と2型 2)水痘-帯状疱疹ウイルス 3)ヒトサイトメガロウイルス 4)ヒトヘルペスウイルス6型,7型 5)Epstein-Barrウイルス 6)ヒトヘルペスウイルス8型/Kaposi肉腫関連ヘルペスウイルス
   2.パピローマウイルス
  B RNAウイルスと感染症
   1.ピコルナウイルス
    1)エンテロウイルス
   2.パラミキソウイルス
    1)ムンプスウイルス 2)麻疹ウイルス
   3.風疹ウイルス
   4.インフルエンザウイルス
   5.下痢症ウイルス
    1)ロタウイルス 2)ノロウイルス
   6.肝炎ウイルス
    1)B型肝炎ウイルス 2)C型肝炎ウイルス
  C ウイルス性新興・再興感染症
  D レトロウイルスと感染症(川端重忠)
   1.分類
   2.構造と生活環
   3.ヒトのレトロウイルス
    1)ヒトT細胞白血病ウイルス 2)ヒト免疫不全ウイルス 3)エイズ
第4章 感染症の予防と治療
 I 感染の標準予防策(菅井基行)
  A 標準予防策:感染予防の概念
  B 滅菌と消毒
   1.物理的な方法
    1)熱による滅菌・消毒 2)照射滅菌 3)低音プラズマ滅菌 4)濾過滅菌 5)真空パック
   2.化学的な方法
    1)ガス滅菌 2)オゾン 3)電解水
   3.薬剤による消毒法
    1)消毒薬 2)消毒効果に影響を与える因子 3)消毒薬各論
 II 感染症と化学療法(菅井基行)
  1.化学療法と化学療法薬
   1)選択毒性 2)静菌作用と殺菌作用 3)抗菌力の評価法 4)寒天平板希釈法および液体希釈法 5)感受性ディスク法 6)E-テスト 7)抗菌スペクトル 8)感受性分布と累積百分率曲線
  2.化学療法薬の種類と作用機序
   1)細胞壁合成阻害薬 2)細胞膜傷害薬 3)タンパク質合成阻害薬 4)核酸合成阻害薬 5)補酵素合成阻害薬 6)抗結核薬
  3.薬剤耐性
   1)薬剤耐性化機序 2)薬剤耐性獲得の機序
  4.化学療法薬の臨床
   1)化学療法薬の選択 2)化学療法薬の殺菌曲線 3)薬剤投与後効果 4)化学療法薬の薬物動態 5)化学療法薬の使用法 6)副作用
 III ワクチンによる感染症の予防(川端重忠)
  1.ワクチンの開発の歴史
  2.ワクチンの種類
  3.ワクチンの投与経路とアジュバント
  4.現行ワクチンの性状
   1)ジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチン,いわゆるDPTワクチン 2)ポリオワクチン 3)麻疹ワクチン 4)風疹ワクチン 5)日本脳炎ワクチン 6)BCGワクチン 7)インフルエンザワクチン 8)おたふくかぜワクチン 9)水痘ワクチン 10)B型肝炎ワクチン 11)肺炎レンサ球菌ワクチン 12)Hibワクチン
  5.ワクチンの将来像
第5章 口腔微生物学および免疫学
 I 口腔微生物学の発展(浜田茂幸)
  1.齲蝕の病因論と細菌学
  2.歯周病の病因と細菌学の寄与
 II 人体の正常フローラ(吉村文信)
  1.人体の各部位の主なフローラ
   1)皮膚 2)鼻と鼻咽喉・上気道 3)胃 4)腸管 5)膣 6)泌尿器
 III 口腔フローラ(吉村文信)
  1.口腔の微生物生態系
  2.口腔フローラの成立と成熟
   1)口腔フローラの成立 2)口腔フローラの修飾と成熟
 IV 口腔免疫学(西原達次)
  1.口腔の免疫
  2.口腔関連リンパ系組織
  3.唾液による口腔免疫
   1)唾液の感染防御作用 2)唾液中の抗体
  4.細菌が産生するIgAプロテアーゼ
 V 口腔内の主な微生物
  A グラム陽性細菌(小松澤均)
   1.口腔レンサ球菌
    1)ミュータンス菌群 2)ミティス菌群 3)サリバリウス菌群 4)アンギノーサス菌群
   2.AbiotrophiaとGranulicatella
   3.腸球菌
   4.PeptococcusとPeptostreptococcus
   5.Lactobacillus
   6.Corynebacterium matruchotii
   7.Propionibacterium acnes
   8.Eubacterium
   9.放線菌
    1)A.israelii 2)A.viscosus 3)A.naeslundii 4)A.odontolyticus
   10.Arachnia propionica
   11.Bifidobacterium
   12.Rothia dentocarinosa
  B グラム陰性細菌(古西清司)
   1.Neisseria
   2.Moraxella
   3.Veillonella
   4.黒色色素産生嫌気性桿菌
    1)Porphyromonas gingivalis 2)P.intermedia
   5.非黒色色素産生Prevotella属
    1)P.oralis 2)P.heparinolytica
   6.Tannerella forsythia(forsythensis)
   7.Aggregatibacter actinomycetemcomitans
   8.Fusobacterium nucleatum
   9.Leptotrichia buccalis
   10.Capnocytophaga
   11.Eikenella corrodens
   12.運動性菌群
  C 口腔トレポネーマ
  D その他の微生物
   1.原虫
 VI デンタルプラーク(天野敦雄)
  1.プラークの定義
  2.ペリクルの形成
   1)ペリクルの構造と組成 2)ペリクルの役割
  3.プラークの成立と成熟
   1)ペリクルへの細菌付着 2)プラークの成熟
  4.プラークの構造と機能
   1)プラークマトリックス 2)成熟プラークの機能 3)歯肉縁上プラーク 4)歯肉縁下プラーク
  5.プラークの石灰化と歯石形成
   1)歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石 2)歯石の組成
  6.バイオフィルムとしてのプラーク
   1)バイオフィルムの特徴 2)プラークの防御作用 3)プラーク中での細菌のシグナル
 VII 齲蝕
  A 齲蝕の病像(木村重信)
   1.齲蝕の臨床像
   2.エナメル質齲蝕
   3.歯根齲蝕
  B 齲蝕の細菌学(浜田茂幸)
   1.ミュータンスレンサ球菌の分類と性状
    1)S.mutans 2)S.sobrinus 3)S.criceti 4)S.ratti 5)S.ferusとS.macacae 6)S.downei
   2.ミュータンスレンサ球菌の分離と同定
   3.ミュータンスレンサ球菌の抗原性物質
    1)型特異多糖抗原 2)リポタイコ酸 3)タンパク質抗原 4)酵素タンパク質
   4.ミュータンスレンサ球菌と齲蝕
    1)実験齲蝕 2)ヒトにおける齲蝕とミュータンス菌 3)ミュータンスレンサ球菌の生態
   5.ミュータンスレンサ球菌のビルレンス因子
    1)菌体表層成分とペリクルの相互作用 2)グルカンの産生と付着 3)酸の産生
  C 齲蝕の免疫学(藤原 卓)
   1.ヒトの齲蝕と抗体価との相関関係
   2.免疫による齲蝕予防
    1)免疫原 2)免疫の実際と齲蝕予防
  D 病因論に基づいた齲蝕の予防
   1.プラークコントロール
    1)機械的プラークコントロール
    2)化学的プラークコントロール
    3)生物学的プラークコントロール
   2.シュガーコントロール
    1)スクロースの構造異性体 2)オリゴ糖 3)糖アルコール 4)人工甘味料類
   3.免疫学的齲蝕コントロール
   4.歯質の強化
 VIII 歯周病
  A 歯周病の病像(木村重信)
   1.歯肉炎から歯周炎へ
    1)歯肉炎と歯周炎 2)歯周病の進行過程
   2.歯周病の臨床像
    1)歯肉炎 2)歯周炎
  B 歯周病の細菌学(中山浩次・西原達次)
   1.プラークの病因的意義
    1)歴史的背景 2)歯肉縁上プラーク 3)歯肉縁下プラーク 4)バイオフィルム
   2.歯周病原性細菌の性状と分類
    1)歯周病原性細菌として判定する基準
    2)歯肉炎にかかわる細菌
    3)歯周炎にかかわる細菌
    4)スピロヘータと歯周病
   3.主な歯周病原性細菌のビルレンス因子
    1)多様なビルレンス因子
    2)P.gingivalisのビルレンス因子
    3)A.actinomycetemcomitansのビルレンス因子
    4)T.denticolaのビルレンス因子
    5)T.forsythiaのビルレンス因子
    6)その他の歯周病細菌のビルレンス因子
  C 歯周病の免疫学(西原達次)
   1.歯周組織の生体防御機構
   2.炎症反応における歯周組織破壊
   3.炎症性骨吸収のメカニズム
    1)歯槽骨吸収における炎症性サイトカインの関与
    2)歯周病原性細菌のLPSと骨吸収
  D 病因論に基づいた歯周病の予防と治療
   1.歯周病の検査と診断法
    1)歯周病原性細菌の細菌叢の検索
    2)生体の炎症反応と免疫学的反応の検索
   2.病因論に基づいた歯周病治療法
   3.抗生物質による歯周病治療
    1)ドラッグデリバリーシステム
   4.将来の展望
 IX その他の口腔関連微生物感染症(木村重信)
  1.歯内疾患の細菌学
   1)歯髄炎の細菌学  2)感染根管と根尖性歯周炎
  2.唾液腺の感染症
   1)ウイルス性唾液腺感染症 2)細菌性唾液腺感染症
  3.顎骨骨髄炎の細菌学
   1)急性顎骨骨髄炎 2)慢性顎骨骨髄炎
  4.インプラントに付随する感染
  5.カンジダ症
  6.顎顔面領域の放線菌症
  7.菌血症と心内膜炎
  8.誤嚥性肺炎
 X 歯科診療における感染防止(西原達次)
  1.歯科診療における感染経路
  2.医療従事者の予防接種
  3.医療従事者の曝露防止
  4.手洗い
  5.医療器具の滅菌・消毒

 略語一覧および和文・欧文索引