やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第1版 序

 わが国の歯学教育の普遍的な基準として,昭和22年に歯科教授要綱が制定された.これは昭和42年に歯学教授要綱として改訂され,ついで昭和48年には補訂が施された.その後,近年の歯科医学の急速な進歩発展に対応して,昭和59年には再度改訂が行われ,今後の歯学教育の実践のための明確な基準が定められた.
 この教授要綱は,歯学教育における生理学の位置づけについて,“人体は細胞から構成され,組織,器官,個体のレベルで構造的に統合されており,これに対応して生理学では,細胞から個体の行動に至る各レベルの構造の,正常な働きおよびそのメカニズムを対象とする.したがって,生理学の学習は,解剖学で学ぶ人体の構造に関する知識を前提としている.また,生理学では,生体の働きを,運動,力,電気,光,熱などの物理的現象を手掛かりにして取り扱い,生体のそれらの物理的現象の基盤にある分子レベルの過程は,生化学で取り扱われるので,原則として対象としない“と述べている.また,おなじく口腔生理学については,“口腔生理学では,正常な咀嚼機能の形成及び維持を目標とする歯学の基礎として,顎・口腔・顔面領域の構造を,咀嚼器官系としてみる立場から,その運動・感覚・自律機能について学習する.運動機能としては,咀嚼運動を中心として,顎,舌,顔面の運動の神経・筋メカニズムを対象とし,感覚機能としては顎・口腔・顔面領域の体性感覚とともに味覚・嗅覚も取り扱う.また,自律神経としては,唾液分泌のメカニズムを中心として学習する”と,記している.
 このように,生理学・口腔生理学教育実践のための基準が明文化されているにもかかわらず,この最新の教授要綱に沿った生理学・口腔生理学の教科書はまだ出版されていない.
 この教授要綱にあるように,生理学は一般に生体機能のありのままの現象を対象にして,そのメカニズムならびにそれを支配する法則を探求する学問であり,首尾一貫した論理的推論の積み重ねによって現象からそのメカニズムあるいは法則に到達する.それゆえ,生理学はすぐれて論理性の高い学問分野であり,諸概念の整合性をそなえた論理的積み重ねによって体系づけられている.このため生理学は,学生諸君にとって往々にしてとっつきにくい科目のひとつに数えられるが,基礎的概念を把握すればこれほど学習しやすい科目はない.この事情はいろいろなスポーツのルールを学ぶのと同じで,たとえば,フットボールであれサッカーであれ,ルールを知らなければゲームを見ていても,動きの意味が分からないのでさっぱり面白くないが,いったんルールを理解してしまえば,見ていて心から楽しむことができるのと同じである.逆に,基礎的概念の理解のないところ,生理学の修得はありえない.そこで,生理学の学習に当たっては,そこで用いられる言葉としての概念を明確に理解することがもっとも重要なことになる.生理学ならびに口腔生理学の教科書で名著といわれる書物は,いずれも基礎的概念を明確に把握できるように努力して成功したものである.しかし,生理学の最近の飛躍的発展を反映して,多くの教科書はややもすれば高度の内容の詳細な羅列的記述に傾き,教科書としてよりもむしろ参考書としての性格が強くなっている.学生諸君は,重要な基礎的概念とそれから派生した概念との関係が理解できず,膨大な情報洪水に埋もれて,生理学の理解よりも個々の記載の単なる記憶に追われ,生理学に対する興味を失うという結果を招きかねない.また,大部の教科書は,教室での講義の素材としての教科書としては必ずしも使いよいものではない憾みがあった.
 このような観点から,歯学教授要綱に沿ったスタンダードで,基礎的概念の理解に重点をおく,使いやすい教科書を作ることは,歯学における生理学・口腔生理学の教育の実をあげるために意義あることと考え,本書の出版を企画した.編集にあたっては次のような特色をもたせることを志した.
 (1)構成は,歯学教授要綱に則ったものとする.
 (2)内容は,生理学・口腔生理学で習得しなければならないもっとも基本的な事項に限る.
 (3)教室での講義の素材としての使用に便利なように,図を多用する.
 (4)理解を容易にするため,図は原則としてシェーマとして,色刷りにする.
 幸いにも,ご執筆いただいた方がたは,編者らの意図を十分におくみ取りいただき,ご担当いただいた項目を簡にして要を得た内容にまとめてくださった.また,医歯薬出版株式会社の編集部は,読みやすい教科書とするために体裁の面で多大の努力を傾けられた.これらの方がたに心から謝モを表する.
 本書がわが国の歯学の生理学・口腔生理学の教育におけるスタンダードな教科書として利用され,学生諸君の役に立つことを念願している.
 1987年7月25日 坂田三弥 中村嘉男

第2版 序

 本書初版が出版されてから6年が経過した.その間,本書は数多くの歯科大学・歯学部で教科書に採用され,版を重ねて今日に至っている.これも,ひとえにご執筆いただいた方がたのご尽力によって,本書が読みやすく,簡潔にまとめられた教科書として評価されたためであろう.
 科学の進歩は一時たりとも留まることを知らない.本書発行以降の生理学の進歩も目を見張るものがある.そして,生体の機能およびその機構の理解にも革命的変化が現れている.とくに細胞レベルの研究領域における膨大な知識の集積により,器官・器官系・個体レベルの機構の理解は飛躍的に深まってきている.生理学の教科書に求められる基本的要件は,これらの機構に関する基本的概念を最新の知見に基づいて明快に叙述することであろう.このような観点から編者らは,本書初版の出版以降の進歩を取り入れた改訂を企画した.
 改訂にあたって編者らの意図したのは次の2点である.第1点は,初版の編集方針を堅持することである.すなわち,(1)歯学教授要綱に則って構成し,(2)取り上げる内容は生理学・口腔生理学で学ぶべきもっとも基本的事項に限り,(3)講義の素材として使用に便利なように図を多用し,(4)基礎的概念の理解に重点をおいた簡潔な教科書とするとの方針である.第2点は,基本的事項の明快な理解に必要な最近の進歩を広く取り入れた点である.
 この方針に従って改訂を進めるために編者らは,本書全般にわたって改訂すべき事項に関してすべての執筆者に意見を求めた.幸いにも執筆者各位から絶大なご協力が得られ,担当の項目だけでなく,他の項目についても,教科書としてご使用になった経験を含めて,数多くのご意見を頂戴した.そこで執筆者各位に,寄せられたこれらのご意見を参考にして改訂作業を進めていただくようにお願いしたところ,これらのご意見を十分に取り入れた改訂版ができあがった.
 第2版では,生理学の基本的概念の理解を深めるためにぜひ必要と考えた細胞の構造と機能に関する事項を,最近の進歩を含めて拡充し,新たに独立の章とした.他の事項については,項目は初版と同一であるが,全般にわたって最近の進歩に基づいて大幅な改訂がなされている.それにもかかわらず,第2版のページ数の増加は,最小限に抑えることができた.これは執筆者各位が最近の進歩を取り入れるに当たって,記述内容を厳しく取捨選択された賜である.執筆者各位のご協力により簡潔な教科書をめざす本書の特色は堅持することができた.本書第2版が初版と同様に,多くの歯科大学・歯学部の学生諸君の生理学・口腔生理学の学習のために役立つことを心より祈念している.
 第2版を準備中の今年3月,徳島大学教授高田 充先生が急逝された.先生は生前すでにご担当の章の改訂を終了なさっていらっしゃったので,ご遺稿を2版に生かすことができた.先生の教育への情熱に改めて深い敬意を覚えるとともに,心からご冥福をお祈りするものである.
 6年制一貫教育制度の導入に伴って,歯科大学・歯学部では現在新しいカリキュラム編成の最中である.また,これと関連して,歯科大学学長会議による歯学教授要綱の改訂も進行中である.これらの作業も近い将来に終了し,新しい体制で,新しい内容の歯科医学教育が全国一斉にスタートすることになろう.その場合にも本書がわが国の歯科医学教育における生理学・口腔生理学のスタンダードな教科書として,学生諸君の役に立つものであることを念願している.そのために,読者諸賢のご意見,ご批判に十分耳を傾けて改訂を加え,本書をますます良い教科書にしていく所存である.
 おわりに,本書を読みやすい教科書とするために,内容および体裁の面からそれぞれ多大のご尽力を賜った執筆者各位ならびに医歯薬出版株式会社編集部に深甚の謝意を表する.
 1993年12月15日 坂田三弥 中村嘉男

第3版 序

 “基礎歯科生理学”が版を重ねて第3版になった.第2版が出版されてからわずか4年であるが,今回版が改められたのにはいくつかの理由がある.まず,平成6年に歯科医学教授要綱の改訂があったので,この改訂されたガイドラインにしたがって版を改める必要が生じたこと.さらに,初版が出版されてから10年,その間の生物科学の進歩は著しく,現代の新しい知見を盛り込む必要のあること.とくに細胞間情伝達,膜の受容機構,細胞内情報伝達機構を含めた分子生物学の急激な知識の増加,遺伝子レベルの知見の増加が著しい.これらの知識の増加は生理学にも大きい影響を与えており,生命現象の生理的機構を分析して説明しようとすれば,最終的に分子レベルまで到達し,解剖学,生理学,薬理学,生化学との学際的な領域になるため,解説しなければならない知見の量も著しく多くなってきている.さらに,脳科学研究の進歩もこれに劣らず著しい.したがって,本書では章によって,これらの分子レベルでの知見や脳科学の知見がとりあげられている.
 しかし一方では,大学改革の一貫としていずれの歯科大学・歯学部でも教育の改革が行われ,基礎系教育にも変化が及んでおり,従来と同じ議義時間あるいはより短い時間でこれらの知見を伝えなければならなくなっており,そのためさらに簡潔で要領よく知識を伝える必要性が大きくなっている.
 一般生理学の教科書や参考書は最近随分多く出版されており,内容も詳しくなっている.しかし,これらの知識を要領よく歯学部の学生に伝えられるよい教科書が少ないのが現状である.特に,口腔生理学についてはそうである.
 本書は,一般生理学,口腔生理学の知見をガイドラインにしたがって簡潔に要領よくまとめたものであり,歯学部学生をはじめ口腔科学に関心のある人には最適の生理学および口腔生理学のテキストであるといえよう.
 初版が出版されてから今日までの間に退任された執筆者もいるため,編者を含めて大幅に執筆者が変更された.しかし,いずれの執筆者も編集方針を充分くみ取っていただいて,各項目を読みやすく理解しやすいように努力をしていただいた.これらの方々に心から謝意を表するとともに,本書の作成に尽力いただいた医歯薬出版株式会社に感謝申し上げる.
 1997年12月15日 中村嘉男 森本俊文
I編 生理学
1章 生理学総論 ―― 3
 I.生命現象と生体恒常性……3
  I・1 生理学とは……3
  I・2 生理学の対象……4
  I・3 歯科基礎医学としての生理学……5
  I・4 内部環境の恒常性……5
  I・5 生命科学における生理学の位置……6
 II.細胞の一般的機能……6
  II・1 細胞の構造と機能……7
  II・2 細胞集団社会の構造と機能……14
 III.エネルギー代謝……15
  III・1 エネルギー代謝の概論……15
  III・2 三大栄養素の異化経路とその相互関係……16
  III・3 エネルギーの保存……17
  III・4 エネルギーの利用系……19
2章 興奮性組織(神経・筋)―― 23
 I.興奮性細胞とは……23
  I・1 興奮性細胞……24
  I・2 刺激と興奮……28
 II.細胞膜のイオンチャネル機構……34
  II・1 細胞情報の受容と伝達……34
 III.興奮の伝導……36
  III・1 神経系とニューロン……37
  III・2 神経の興奮の伝導速度……39
 IV.シナプス伝達……40
  IV・1 シナプスとは……40
  IV・2 神経筋接合部における興奮伝達……43
  IV・3 シナプスの可塑性と働き……44
  IV・4 神経系と内分泌系……44
 V.筋の収縮(骨格筋・心筋・平滑筋)……45
  V・1 骨格筋……45
  V・2 心筋と平滑筋の特徴……51
3章 体液 ―― 54
 I.間質液……55
  I・1 組成……55
  I・2 組織液……55
  I・3 リンパ液……55
  I・4 機能……56
 II.血液……56
  II・1 性状と組成……56
  II・2 血漿……56
  II・3 赤血球……57
  II・4 白血球……58
  II・5 血小板……59
  II・6 止血と血液凝固……59
 III.その他の体液……62
  III・1 脳脊髄液……62
4章 体液の循環 ―― 65
 I.心臓……65
  I・1 構造……65
  I・2 心周期……65
  I・3 心筋の電気的性質……66
  I・4 心臓の電気的性質……68
  I・5 心筋の力学的性質……70
  I・6 心臓の力学的性質……71
 II.血液循環……71
  II・1 血行力学……71
  II・2 動脈……75
  II・3 微小循環……76
  II・4 静脈……77
 III.循環調節……77
  III・1 循環情報のモニター……77
  III・2 制御対象……78
  III・3 神経性調節……80
  III・4 特殊循環……81
5章 呼吸 ―― 83
 I.呼吸運動……83
  I・1 呼吸器の構成……84
  I・2 換気……85
  I・3 換気力学……87
 II.ガス交換……89
  II・1 ガス分圧……89
  II・2 肺と組織におけるガス交換……90
  II・3 肺胞におけるガスの拡散……91
  II・4 血液中のガスの運搬……91
 III.呼吸の調節……94
  III・1 呼吸中枢……94
  III・2 呼吸の化学性調節……95
  III・3 呼吸の神経性調節……97
6章 体温 ―― 98
 I.体熱の産生……98
  I・1 エネルギー代謝……98
  I・2 ふるえ熱産生(ST)……99
  I・3 非ふるえ熱産生(NST)……100
 II.体熱の放射……101
  II・1 発汗……101
  II・2 蒸発性放散……103
 III.体温の調節……104
  III・1 温熱の受容……104
  III・2 体温調節のメカニズム……105
  III・3 体温の病態生理……106
 IV.温度適応……107
  IV・1 生物の致死体温……107
  IV・2 温度順化と耐熱・耐寒能……107
  IV・3 哺乳動物の耐熱・耐寒能の拡大……108
7章 排泄 ―― 110
 I.尿の生成……110
  I・1 腎臓の機能……110
  I・2 尿の組成……111
  I・3 腎臓の構造……111
  I・4 尿の生成……113
 II.排尿……117
  II・1 膀胱の神経支配……117
  II・2 排尿反射……117
 III.体液の恒常性……118
  III・1 体液の浸透圧……118
  III・2 体液量……119
  III・3 体液のpH……119
8章 内分泌・生殖 ―― 121
 I.内分泌学総論……121
  I・1 ホルモンは情報伝達物質である……121
  I・2 内分泌腺……121
  I・3 ホルモンの分類……123
  I・4 ホルモン分泌調節の様式……123
 II.視床下部下垂体系……125
  II・1 視床下狽ニ下垂体前葉……126
  II・2 下垂体後葉……127
 III.甲状腺……128
 IV.カルシウム調節ホルモン……131
  IV・1 カルシトニン……131
  IV・2 副甲状腺ホルモン(PTH)……131
  IV・3 活性型ビタミンD……131
 V.膵島……131
  V・1 インスリン……131
  V・2 グルカゴン……133
 VI.副腎……134
  VI・1 副腎髄質……134
  VI・2 副腎皮質……135
 VII.性腺……137
  VII・1 生殖行動……140
  VII・2 妊娠……141
  VII・3 分娩……141
  VII・4 乳汁分泌……141
9章 感覚機能 ―― 142
 I.受容器と感覚……143
  I・1 受容器……143
  I・2 体性感覚……147
 II.視覚……151
  II・1 可視光線……151
  II・2 眼球……151
  II・3 遠近調節……152
  II・4 眼の屈折力と調節力……153
  II・5 屈折異常……153
  II・6 視力……154
  II・7 網膜……155
  II・8 明所視,暗所視と明暗順応……156
  II・9 色覚……157
  II・10 視覚中枢……157
 III.聴覚……159
  III・1 音……160
  III・2 外耳……161
  III・3 中耳……161
  III・4 内耳……162
  III・5 有毛細胞の変換過程……163
  III・6 聴覚経路と聴中枢……165
 IV.平衡感覚……165
  IV・1 半規管……166
  IV・2 平衡斑……166
  IV・3 中枢経路とその機能……166
 V.内臓感覚……167
  V・1 臓器感覚……167
  V・2 内臓痛覚……169
 VI.感覚情報の中枢処理……170
  VI・1 脊髄……170
  VI・2 脳幹(下部脳幹)……172
  VI・3 視床……174
  VI・4 大脳皮質……174
10章 運動機能 ―― 176
 I.脊髄反射……177
  I・1 脊髄……177
  I・2 前根反射電位……177
  I・3 脊髄反射の種類と回路網(反射弓)……178
  I・4 伸張受容器……180
  I・5 アルファ-ガンマ連関……182
  I・6 脊髄ショック……185
 II.姿勢反射……185
  II・1 静的姿勢反射……185
  II・2 抗重力筋と筋トーヌス……185
  II・3 膝蓋腱反対の経過……186
  II・4 持続性伸張反射……187
  II・5 除脳固縮―持続性伸張反射の抗進した状態……188
  II・6 網様体脊髄路と前庭脊髄路からの絶え間ない入力による持続性伸張反射のドライブ……188
  II・7 おもな姿勢反射……190
 III.髄意運動……191
  III・1 皮質運動関連領域……191
  III・2 大脳基底核……195
  III・3 小脳……197
11章 自律機能 ―― 201
 I.自律神経系……201
  I・1 自律神経系の構造……201
  I・2 自律神経系遠心路の性質……204
 II.自律神経の中枢性調節……213
  II・1 脊髄……213
  II・2 下部脳幹……213
  II・3 視床下部……214
  II・4 大脳辺縁系・小脳・大脳皮質……217
  II・5 自律神経反射……217
12章 脳と行動 ―― 219
 I.大脳皮質の機能局在……220
  I・1 大脳皮質の構造と機能地図……220
  I・2 行動における連合野領域の機能……222
 II.情動……226
  II・1 古い脳と新しい脳……226
  II・2 怒り……227
  II・3 快感……228
 III.覚醒と睡眠……228
  III・1 脳波……228
  III・2 覚醒……230
  III・3 睡眠……230
 IV.学習……233
  IV・1 短期の記憶……233
  IV・2 長期の記憶……234
  IV・3 慣れ……235
  IV・4 注意……235
  IV・5 条件づけ……236
 V.言語……236
  V・1 大脳皮質における言語機能の局在……236
  V・2 失語症の病態からみた脳内言語情報処理……238
  V・3 霊長類脳に言語中枢の進化を探る……240

II編 口腔生理学
13章 口腔生理学総論 ―― 245
 I.口腔生理学とその起源……246
 II.口腔生理学の意義……247
 III.口の機能の特徴……248
 IV.歯と全身機能との関係……251
  IV・1 歯から全身機能に及ぼされる影響……251
  IV・2 全身機能から歯に及ぼされる影響……252
 V.口腔生理学と臨床歯科医学……252
14章 顎・口腔・顔面の体性感覚 ―― 255
 I.歯髄と歯痛……257
  I・1 歯髄の感覚……257
  I・2 象牙質の感覚……258
  I・3 歯痛……259
 II.歯根膜……261
  II・1 歯根膜の感覚……261
  II・2 歯根膜感覚の機能的役割……263
 III.舌・口腔粘膜・口唇……263
  III・1 舌の感覚……264
  III・2 口腔粘膜感覚……266
  III・3 口唇の感覚……270
 IV.顎筋……271
  IV・1 咀嚼筋の感覚……271
  IV・2 その他の下顎深部感覚……272
 V.顎関節……273
  V・1 顎関節の感覚……273
  V・2 顎関節の痛覚……274
 VI.顔面皮膚……275
  VI・1 顔面表面感覚……275
  VI・2 皮膚受容器と顔面筋活動との関連……276
15章 味覚 ―― 278
 I.味覚の特徴……278
  I・1 生理学的意義……278
  I・2 味質……278
  I・3 値……279
  I・4 対比,混合……280
  I・5 反応時間,順応……281
  I・6 味盲……281
 II.受容機構……281
  II・1 味覚受容器……281
  II・2 味覚刺激情報の変換……282
  II・3 味覚神経の応答……285
 III.味覚情報の伝達……285
  III・1 味覚神経……285
  III・2 味覚中枢路……286
  III・3 大脳皮質味覚野……286
 IV.味覚情報の処理……287
  IV・1 味覚識別機構……287
  IV・2 ラベルドライン説……288
  IV・3 アクロスファイバーパターン説……289
 V.味覚と食行動……289
  V・1 快,不快の判断……289
  V・2 味の学習と記憶……290
 VI.味覚障害……290
  VI・1 味覚の異常……290
  VI・2 歯科臨床と味覚……290
16章 嗅覚 ―― 292
 I.嗅覚の特徴……292
 II.受容機構……293
  II・1 鼻粘膜……293
  II・2 嗅細胞のニオイ受容……295
  II・3 嗅粘膜の電気生理学……296
 III.中枢機構……298
  III・1 嗅球……298
  III・2 梨状皮質……302
  III・3 視床背内側核のニオイ応答……302
  III・4 大脳皮質嗅覚野……302
  III・5 嗅覚中枢のニオイ情報処理……304
  III・6 ヒトの嗅覚野……304
17章 顎運動 ―― 306
 I.顎反射……307
  I・1 下顎張反射……307
  I・2 歯根膜咬筋反射……308
  I・3 口腔粘膜刺激による閉口反射……309
  I・4 開口反対……309
 II.顎位(下顎位)……310
  II・1 下顎安静位……310
  II・2 咬頭嵌合位……311
  II・3 顎位と咬合……312
  II・4 顎関節の構造と下顎の限界運動……312
  II・5 下顎の限界運動……314
  II・6 下顎の位置感覚(下顎位感覚)……315
 III.顎運動の神経・筋機構……317
  III・1 咀嚼筋と顎運動……317
  III・2 咀嚼筋の性質……319
  III・3 咀嚼筋の神経支配と顎運動の神経機構……319
18章 舌運動 ―― 323
 I.舌反射……323
  I・1 舌の役割……323
  I・2 舌筋の神経支配……324
  I・3 顎舌反射……324
  I・4 舌粘膜・舌筋反射……324
 II.舌運動の神経筋機構……326
  II・1 咀嚼時の舌運動……326
  II・2 舌運動と顎運動の協調……326
19章 口唇・頬・顔面運動 ―― 328
 I.口唇・顔面(頬)運動とその役割……328
  I・1 口唇……328
  I・2 頬……329
  I・3 口蓋……330
20章 咀嚼 ―― 332
 I.意義……332
 II.咬合……333
  II・1 咬合圧……333
  II・2 咀嚼圧……335
 III.咀嚼運動の神経筋機構……335
  III・1 咀嚼パターン……335
  III・2 咀嚼リズム……336
  III・3 末梢感覚の役割……337
  III・4 大脳皮質……339
  III・5 大脳辺縁系……341
  III・6 大脳基底核……341
 IV.咀嚼能力の評価……342
  IV・1 咀嚼値……342
  IV・2 咀嚼能率……342
  IV・3 咀嚼能力に及ぼす影響……344
21章 吸啜 ―― 345
 I.吸啜の概念……345
 II.吸啜運動の特徴……346
 III.吸啜から咀嚼への移行……348
 IV.病態……349
22章 嚥下 ―― 350
 I.嚥下の概念……350
 II.嚥下運動の特徴……352
  II・1 嚥下の準備……352
  II・2 嚥下の誘発……352
  II・3 気道の防御……353
  II・4 嚥下時の咽頭内圧変化……353
 III.嚥下の神経機構……354
  III・1 嚥下の開始……354
  III・2 中枢性制御機構……355
 IV.病態……356
23章 嘔吐 ―― 357
 I.嘔吐の概念……357
 II.嘔吐の機序……358
 III.嘔吐の神経機構……358
  III・1 嘔吐の誘発……358
  III・2 中枢性制御機構……359
  III・3 化学受容器……359
24章 唾液・唾液腺 ―― 361
 I.唾液腺の構造……361
  I・1 耳下腺……363
  I・2 顎下腺……363
  I・3 舌下腺……363
  I・4 小唾液腺……363
 II.唾液分泌機構……363
  II・1 唾液分泌量……363
  II・2 唾液分泌反射……365
  II・3 唾液の生成……368
  II・4 唾液腺の電気現象……372
  II・5 唾液腺の代謝……373
 III.唾液の性状……374
  III・1 物理的性状……374
  III・2 化学的性状……374
 IV.唾液の機能……376
 V.唾液と口腔疾患……378
  V・1 唾液と齲蝕……378
  V・2 唾液と歯周疾患……378
  V・3 唾液と全身疾患……378
 VI.唾液腺機能と加齢……378
25章 消化と吸収 ―― 380
 I.口腔・咽頭の機能……381
  I・1 歯と舌……381
  I・2 咀嚼と嚥下……381
 II.消化管の運動……382
  II・1 胃の消化運動……382
  II・2 胃の運動調節……383
  II・3 小腸の消化運動……383
  II・4 大腸の消化運動……385
 III.消化管における分泌……386
  III・1 口腔における分泌……386
  III・2 胃液の分泌……387
  III・3 膵液の分泌……388
  III・4 胆汁の生成と分泌……389
  III・5 腸管における分泌……390
 IV.消化管における消化と吸収……390
  IV・1 口腔内における消化と吸収……390
  IV・2 胃内における消化と吸収……391
  IV・3 小腸内における消化と吸収……391
26章 発声と構音 ―― 394
 I.発声の機構……394
  I・1 呼吸器……394
  I・2 喉頭と発声……395
  I・3 声の調節……397
  I・4 付属管腔……397
  I・5 鼻咽腔閉鎖機能……397
 II.構音……398
  II・1 音声の表記……398
  II・2 母音……398
  II・3 子音……399
 III.音声から言語へ……401

索引……402