序にかえて
“この入れ歯はどのくらい咬めるか，どのくらいもつか“は，当然ながら患者の大きな関心事である．残念ながら，われわれはこれに対する“的確”な答えをもっていない．そこで，日常の臨床は義歯による治療効果ならびにその予後が，きわめて曖昧ななかで進めざるを得ないことも多い．
義歯の装着効果は，患者の主観に大きく左右されるが，各種の計測装置を用いて繁雑な操作と時間をかければ，把握する手段はある．しかし，予後については，不確定要素が多数あり，かつ数値で表現できる部分が少なく，評価の背景となる資料は乏しい．したがって，術者個人の“臨床経験”のなかで予後を見通すことになる．
予後判定の客観化を目的として，従来から経過の追跡調査が多数行われてきた．このような調査結果は，“診断“そして“予後”にフィードバックされ，補綴臨床に大きく貢献してきた．しかし，“新たなる考え，方法“については，予後がほとんど“未知数”のまま導入せざるを得ない．
20数年来，リジットサポートによるパーシャルデンチャーの臨床をすすめてきたが，これを提唱してきたものの一人として，ここに長期経過症例を供覧し，一応の責めを果たしたい．また，経過の“紆余曲折”が予後判定の一助となれば幸いである．
顎顔面機能統合評価学講座松元誠教授，ならびに歯科補綴学第1講座藍稔教授には，ご校閲ご指導いただき厚くお礼申し上げます．東京医科歯科大学中沢勇名誉教授，ならびに鶴見大学尾花甚一名誉教授には，入局以来長年にわたりご教示いただき深く感謝いたしております．
さらに，日頃からの多大な努力とご協力に対して，附属病院歯科技工部土平和秀副部長はじめ職員各位ならびに附属歯科技工士学校各位に深謝いたします．
おわりに，このような機会を与えていただいた医歯薬出版株式会社ならびにお骨折りいただいた編集部の方がたにお礼申し上げます．
1996年1月31日 結婚25年目にあたって 後藤忠正
“この入れ歯はどのくらい咬めるか，どのくらいもつか“は，当然ながら患者の大きな関心事である．残念ながら，われわれはこれに対する“的確”な答えをもっていない．そこで，日常の臨床は義歯による治療効果ならびにその予後が，きわめて曖昧ななかで進めざるを得ないことも多い．
義歯の装着効果は，患者の主観に大きく左右されるが，各種の計測装置を用いて繁雑な操作と時間をかければ，把握する手段はある．しかし，予後については，不確定要素が多数あり，かつ数値で表現できる部分が少なく，評価の背景となる資料は乏しい．したがって，術者個人の“臨床経験”のなかで予後を見通すことになる．
予後判定の客観化を目的として，従来から経過の追跡調査が多数行われてきた．このような調査結果は，“診断“そして“予後”にフィードバックされ，補綴臨床に大きく貢献してきた．しかし，“新たなる考え，方法“については，予後がほとんど“未知数”のまま導入せざるを得ない．
20数年来，リジットサポートによるパーシャルデンチャーの臨床をすすめてきたが，これを提唱してきたものの一人として，ここに長期経過症例を供覧し，一応の責めを果たしたい．また，経過の“紆余曲折”が予後判定の一助となれば幸いである．
顎顔面機能統合評価学講座松元誠教授，ならびに歯科補綴学第1講座藍稔教授には，ご校閲ご指導いただき厚くお礼申し上げます．東京医科歯科大学中沢勇名誉教授，ならびに鶴見大学尾花甚一名誉教授には，入局以来長年にわたりご教示いただき深く感謝いたしております．
さらに，日頃からの多大な努力とご協力に対して，附属病院歯科技工部土平和秀副部長はじめ職員各位ならびに附属歯科技工士学校各位に深謝いたします．
おわりに，このような機会を与えていただいた医歯薬出版株式会社ならびにお骨折りいただいた編集部の方がたにお礼申し上げます．
1996年1月31日 結婚25年目にあたって 後藤忠正
序にかえて
第1章 経過の調査から 1
1．クラスプデンチャーの経過…1
1）義歯の使用状態について…1
2）義歯の破損…3
3）咬合状態…5
4）鉤歯の動揺…6
5）鉤歯のう蝕…7
6）粘膜への影響…9
2．アタッチメントデンチャーの経過…10
1）Rantanenらの経過調査から…10
2）真鍋の経過調査から…13
3）オーバーデンチャーの経過…16
3．コーヌステレスコープの経過…18
1）人工歯の咬合接触…18
2）義歯の動揺…18
3）リライニング…18
4）義歯の維持力…19
5）義歯の破損…19
6）維持歯の状態…19
7）義歯の使用中止…19
第2章 装着後の諸問題とその対応 21
1．疼痛…21
1）残存歯に関して…21
2）顎堤に関して…22
3）義歯に関して…24
2．機能的ならびに審美的不満…25
1）義歯に関して…25
2）残存歯に関して…25
3）咬合位に関して…26
3．義歯の不備…27
第3章 パーシャルデンチャーの長期経過 29
症例1 大幅に挙上した咬合高径をいかにして保持するか…29
症例2 粘膜要素の少ないテレスコープでバイトを保つ…48
症例3 “戦略的”な残存歯へのこだわり…56
症例4 下顎前突と低位咬合の補綴的な改善…64
症例5 挙上した“非生理的”な咬合の維持はむずかしい…74
症例6 機能の程度により経過は大きく左右される…81
症例7 予防歯周病的な設計の効果…88
症例8 オーバーレイタイプの予後はかならずしも悲観的ではない…96
症例9 リジットサポートにおける二次固定効果の功罪…103
症例10 過大な機能力による再三の義歯の破損…111
症例11 4歯残存コーヌスから15年間でフルデンチャーへ…117
症例12 テレスコープとソフトライナーにより厳しい条件を克服…124
症例13 ミリングバーを応用したリムーバブルブリッジ…131
症例14 アタッチメントとテレスコープによる全顎のリムーバブルブリッジ…137
症例15 下顎片側大臼歯(67)欠損，その1…143
症例16 下顎片側大臼歯(67)欠損，その2…149
症例17 下顎片側大臼歯(67)欠損，その3…154
症例18 残存歯および義歯の機能的な“安定位”の変化…159
症例19 スタッドアンカーによる開咬の改善…167
症例20 バーアタッチメントの長期経過…173
症例21 非緩圧性歯冠外アタッチメントによるリジットサポート…178
症例22 20年以上を経過するオーバーデンチャー…184
症例23 アタッチメントからコーヌスそして無歯顎へ“波乱”の経過…192
文献 200
索引 201
第1章 経過の調査から 1
1．クラスプデンチャーの経過…1
1）義歯の使用状態について…1
2）義歯の破損…3
3）咬合状態…5
4）鉤歯の動揺…6
5）鉤歯のう蝕…7
6）粘膜への影響…9
2．アタッチメントデンチャーの経過…10
1）Rantanenらの経過調査から…10
2）真鍋の経過調査から…13
3）オーバーデンチャーの経過…16
3．コーヌステレスコープの経過…18
1）人工歯の咬合接触…18
2）義歯の動揺…18
3）リライニング…18
4）義歯の維持力…19
5）義歯の破損…19
6）維持歯の状態…19
7）義歯の使用中止…19
第2章 装着後の諸問題とその対応 21
1．疼痛…21
1）残存歯に関して…21
2）顎堤に関して…22
3）義歯に関して…24
2．機能的ならびに審美的不満…25
1）義歯に関して…25
2）残存歯に関して…25
3）咬合位に関して…26
3．義歯の不備…27
第3章 パーシャルデンチャーの長期経過 29
症例1 大幅に挙上した咬合高径をいかにして保持するか…29
症例2 粘膜要素の少ないテレスコープでバイトを保つ…48
症例3 “戦略的”な残存歯へのこだわり…56
症例4 下顎前突と低位咬合の補綴的な改善…64
症例5 挙上した“非生理的”な咬合の維持はむずかしい…74
症例6 機能の程度により経過は大きく左右される…81
症例7 予防歯周病的な設計の効果…88
症例8 オーバーレイタイプの予後はかならずしも悲観的ではない…96
症例9 リジットサポートにおける二次固定効果の功罪…103
症例10 過大な機能力による再三の義歯の破損…111
症例11 4歯残存コーヌスから15年間でフルデンチャーへ…117
症例12 テレスコープとソフトライナーにより厳しい条件を克服…124
症例13 ミリングバーを応用したリムーバブルブリッジ…131
症例14 アタッチメントとテレスコープによる全顎のリムーバブルブリッジ…137
症例15 下顎片側大臼歯(67)欠損，その1…143
症例16 下顎片側大臼歯(67)欠損，その2…149
症例17 下顎片側大臼歯(67)欠損，その3…154
症例18 残存歯および義歯の機能的な“安定位”の変化…159
症例19 スタッドアンカーによる開咬の改善…167
症例20 バーアタッチメントの長期経過…173
症例21 非緩圧性歯冠外アタッチメントによるリジットサポート…178
症例22 20年以上を経過するオーバーデンチャー…184
症例23 アタッチメントからコーヌスそして無歯顎へ“波乱”の経過…192
文献 200
索引 201