やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

発刊にあたって
 白い歯をもつことに対する憧憬は,多くの人が抱いているものであり,この想いに応えるべく,歯科医療従事者はホワイトニング処置を行ってきた.本邦にホワイトニングが紹介されて以来,オフィスホワイトニング,ホームホワイトニングあるいは両者を併用するデュアルホワイトニングによって,確実に多くの国民の願いに対応してきたと考えている.
 ホワイトニング製品に目を移してみると,現在では多くの製品が市販されている.オフィスホワイトニングに関しては,それぞれの製品で組成が異なるとともに,使用法においても細部が異なっている.ホームホワイトニングでは,これまでのカスタムトレーを使用する製品とは異なり,ユニバーサルトレーの製品が市販されたことは,ホワイトニングに対する意識にもインパクトを与えるものであった.このように,ホワイトニング製品の選択肢が増えたことで,臨床においてもより細やかな対応が可能になったと考えられる.その一方で,どの製品を選択すべきなのか,どのような組み合わせが効果的なのかといった疑問が,臨床の現場で少なからず生じていることも確かであろう.
 そこで本書においては,生活歯のホワイトニングについて現在まで蓄積されてきた知見の整理を目的として項目立てを行った.とくに,これまで常識であったと思われる事項についても,学術論文を精査し,最新の知見を提供することを心掛けた.また,明らかとなっている事項については,改めてかみ砕いて解説するとともに,図を豊富に用いることで,よりよく理解できるような構成としている.もちろん,執筆に関してもホワイトニングを牽引するトップランナーが担当しており,ホワイトニングの現在ならびに未来を語るのに十分な布陣となっている.
 最後に,ホワイトニングに関する最新情報をまとめる機会を与えていただいた医歯薬出版に感謝申し上げたい.ぜひとも,多くの読者に本書を手に取っていただき,ホワイトニングの臨床に役立てていただくことを期待し,ここに擱筆する.
 2022年7月 宮崎真至
CHAPTER 1 何を選べばいい? ホワイトニングの種類と選択
 (大槻昌幸)
 ホワイトニングの歴史と社会のニーズ
 ホワイトニングのメカニズム
 ホワイトニングの分類と選択の基準
 ホワイトニング効果の評価法
CHAPTER 2 これで完璧! 患者とのコンサルテーション
 (北原信也)
 はじめに
 コンサルテーションの前準備(予約時の確認)
 コンサルテーションの目的
 コンサルテーションの実際
 おわりに
CHAPTER 3 これならわかる! ホームホワイトニングの臨床
 (新妻由衣子・真鍋厚史)
 はじめに
 ホームホワイトニング材の種類と特徴
 カスタムトレータイプの臨床手順
 プレフィルドのユニバーサルトレータイプの臨床手順
 ブラケット装着中のホームホワイトニング
 まとめ
CHAPTER 4 これで失敗しない ! オフィスホワイトニングの臨床
 (宮崎真至)
 はじめに〜白い歯に対する患者の希望
 オフィスホワイトニング材の特徴と臨床使用法
 オフィスホワイトニングのエビデンス
 オパールエッセンスBOOSTの使用法とその臨床的評価
 デュアルホワイトニング
 失活歯への応用
 まとめ
CHAPTER 5 なるほど納得! 知覚過敏症の発症と予防法
 (宮崎真至)
 そもそも歯の痛みとは
 象牙質・歯髄複合体を理解する
 知覚過敏の発症
 知覚過敏の主要診査項目
 知覚過敏抑制
 セルフケアによる知覚過敏への対応
 まとめ
 COLUMN 象牙質知覚過敏のメカニズム

 Q&A これで解決! ホワイトニングの疑問にすべて答える(宮崎真至)
  臨床編 Clinical Point
   01 「白い歯」をどう理解する?
   02 患者の年齢によって効果は異なる?
   03 着色および変色の種類によって効果は異なる?
   04 オフィスホワイトニングにおける光照射の有用性は?
   05 ホワイトニング材の濃度と効果の関係は?
   06 バンディングやホワイトスポットが出現した場合の対応は?
   07 ホワイトニング後の飲食物の制限は?
   08 ホワイトニングによる知覚過敏への対応法は?
   09 知覚過敏に対する鎮痛薬の服用の効果は?
   10 フッ化物の応用によるホワイトニングへの影響は?
   11 ホワイトニング効果はどのぐらい持続する?
   12 色の後戻りへの対処法は?
   13 失活歯のホワイトニングはどのように行う?
  基礎編 Basic Science
   01 どうして白くなる?
   02 ホワイトニング材は安全?
   03 ホワイトニングによるエナメル質への影響は?
   04 ホワイトニングによる軟組織への影響は?
   05 ホワイトニングによる修復物・補綴装置への影響は?
   06 ホワイトニングと酸性飲食物との関連は?