序
2005年に『よくわかる顎口腔機能 咀嚼・嚥下・発音を診査・診断する』が発刊されてから10年を超える年月が流れました.この間,顎口腔領域の機能に関する研究は,社会の流れとともに高齢者の口腔機能,さらには全身とのかかわりといった観点からその守備範囲が拡大されてきました.2年前,本書を増刷すべきか改訂すべきかを選択するにあたり,日本顎口腔機能学会の役員・編集委員の方々に意見を伺ったところ,すべての方から新たな内容を含めるべきだとの回答を寄せられました.この10年間に学会が進めてきた成果を反映させ,かつ多くの研究者・臨床現場へのフィードバックという形で社会貢献する必要があるだろうとの結論に達し,このたび『新 よくわかる顎口腔機能 咬合・摂食嚥下・発音を理解する』というタイトルとして発刊するに至りました.
日本ME学会の専門別研究会として「下顎運動機能とEMG研究会」が発足してから35年,その後,「顎口腔機能研究会」に名称を変更し,さらに「日本顎口腔機能学会」となってからは24年が経過しました.この間に多くの顎口腔機能に関する研究報告がなされました.
歯科医療に目を向けますと,平成28年度の診療報酬改定では「有床義歯咀嚼機能検査」や「舌圧検査」が保険収載されました.その根拠として本学会などから発表された顎口腔機能に関する研究成果が貴重なエビデンスとなり,高い評価を受けております.そして,顎口腔機能は単なる機能の問題としてのみならず,生活の質にかかわる問題として社会が注目していることを実感します.このように,顎口腔機能分野の研究成果が臨床現場に役立つデータとしてフィードバックされることは,本学会の目的におおいに叶うところです.「喝水不忘掘井人」(水を飲むときは,井戸を掘った人を忘れてはならぬ).こうしたエビデンスの構築の陰には,先人達がコツコツと積み重ねた顎口腔の機能評価に関する機器の開発・改良,解析方法の改善,日夜を分かたないデータ採取と分析といった地道な努力があってのことです.
本書は,従来から行われてきた基本的な研究方法から昨今の歯科臨床までを俯瞰し,顎口腔機能に関する内容を事典的に使用できるようなスタイルといたしました.このことは前版の様式を踏襲いたしました.また,これも前版を受け継ぎ,本文で説明しきれない部分は,一部を用語解説の項で補い,視覚素材として重要と思われる項目は巻頭のカラーアトラスとして掲載しました.
研究に携わる方・臨床に携わる方の一助になることが執筆者一同の願いです.本書をひもとき,さらなる成果を将来の臨床・研究に活かそうという方が一人でも多く出現することを併せて願う次第です.
最後になりますが,この場をお借りしまして,医歯薬出版株式会社ならびに編集担当の方々に深謝いたします.
2017年1月
日本顎口腔機能学会「新 よくわかる顎口腔機能」編集小委員会委員長 藤澤政紀
2005年に『よくわかる顎口腔機能 咀嚼・嚥下・発音を診査・診断する』が発刊されてから10年を超える年月が流れました.この間,顎口腔領域の機能に関する研究は,社会の流れとともに高齢者の口腔機能,さらには全身とのかかわりといった観点からその守備範囲が拡大されてきました.2年前,本書を増刷すべきか改訂すべきかを選択するにあたり,日本顎口腔機能学会の役員・編集委員の方々に意見を伺ったところ,すべての方から新たな内容を含めるべきだとの回答を寄せられました.この10年間に学会が進めてきた成果を反映させ,かつ多くの研究者・臨床現場へのフィードバックという形で社会貢献する必要があるだろうとの結論に達し,このたび『新 よくわかる顎口腔機能 咬合・摂食嚥下・発音を理解する』というタイトルとして発刊するに至りました.
日本ME学会の専門別研究会として「下顎運動機能とEMG研究会」が発足してから35年,その後,「顎口腔機能研究会」に名称を変更し,さらに「日本顎口腔機能学会」となってからは24年が経過しました.この間に多くの顎口腔機能に関する研究報告がなされました.
歯科医療に目を向けますと,平成28年度の診療報酬改定では「有床義歯咀嚼機能検査」や「舌圧検査」が保険収載されました.その根拠として本学会などから発表された顎口腔機能に関する研究成果が貴重なエビデンスとなり,高い評価を受けております.そして,顎口腔機能は単なる機能の問題としてのみならず,生活の質にかかわる問題として社会が注目していることを実感します.このように,顎口腔機能分野の研究成果が臨床現場に役立つデータとしてフィードバックされることは,本学会の目的におおいに叶うところです.「喝水不忘掘井人」(水を飲むときは,井戸を掘った人を忘れてはならぬ).こうしたエビデンスの構築の陰には,先人達がコツコツと積み重ねた顎口腔の機能評価に関する機器の開発・改良,解析方法の改善,日夜を分かたないデータ採取と分析といった地道な努力があってのことです.
本書は,従来から行われてきた基本的な研究方法から昨今の歯科臨床までを俯瞰し,顎口腔機能に関する内容を事典的に使用できるようなスタイルといたしました.このことは前版の様式を踏襲いたしました.また,これも前版を受け継ぎ,本文で説明しきれない部分は,一部を用語解説の項で補い,視覚素材として重要と思われる項目は巻頭のカラーアトラスとして掲載しました.
研究に携わる方・臨床に携わる方の一助になることが執筆者一同の願いです.本書をひもとき,さらなる成果を将来の臨床・研究に活かそうという方が一人でも多く出現することを併せて願う次第です.
最後になりますが,この場をお借りしまして,医歯薬出版株式会社ならびに編集担当の方々に深謝いたします.
2017年1月
日本顎口腔機能学会「新 よくわかる顎口腔機能」編集小委員会委員長 藤澤政紀
カラーでわかる 顎口腔機能にかかわる解剖学
序文
目次
基本的事項
筋活動
筋電図法の基礎
(1)概説 (2)筋の構造 (3)筋収縮のメカニズム (4)運動単位
表面筋電図法
(1)表面筋電図の利点 (2)導出電極 (3)導出方法
(4)信号処理 (5)表面筋電位の解析
筋電図記録法針電極・fine wire電極法
(1)誘導法 (2)構造と用途 (3)記録例と解析
咀嚼筋筋電図の遠隔測定
(1)遠隔測定用筋電計の構造 (2)データロガー型とテレメータ型筋電計
(3)まとめ,展望
非対称性指数
(1)本式の筋電図学的評価法 (2)筋電図学的特徴 (3)臨床的意義
筋活動/張力比
(1)方法 (2)結果 (3)結論
筋疲労
(1)筋疲労のメカニズムと筋線維 (2)咀嚼筋の疲労の評価
顎運動
顎運動とは
(1)顎運動の定義 (2)切歯点の運動野と基本的な顎運動
歯列と顎関節の動き
顎運動の測り方
(1)6自由度顎運動測定時の記録項目
(2)自由度顎運動測定器による測定時の注意点
顎運動の標準データ
顎運動モデル
(1)顎運動と顎運動モデル (2)蝶番軸(ヒンジアキシス) (3)全運動軸
(4)運動論的顆頭点 (5)顎間軸 (6)咬合参照面
顎運動をどう評価するか
(1)顎運動の評価方法 (2)下顎位の評価 (3)側方運動と咬合器の選択
関節頭運動と咀嚼筋活動―外側翼突筋を主にして
(1)下顎骨関節頭と関節円板の相対運動 (2)外側翼突筋と関節円板の解剖
(3)外側翼突筋の筋活動
(4)下顎骨関節頭の回転運動/移動運動と外側翼突筋の筋活動
(5)外側翼突筋上頭の伸張反射応答
(6)下顎骨基本運動時の外側翼突筋の役割と咬筋・側頭筋との協調関係
咀嚼運動時の顎運動
(1)切歯点における咀嚼運動 (2)顎関節における咀嚼運動
(3)側方滑走運動や咬合様式との関係
咬合力
咬合力の発生メカニズム
(1)咬合力の原動力 (2)咬合力発生の力学的モデル
(3)咬合力の生理学的調節機構 (4)天然歯列における咬合力の発生状況
(5)咬合力の特殊性
咬合力測定法
(1)咬合力とは (2)咬合力測定法の分類
咬合力の標準データ
(1)若年成人健常有歯顎者の最大咬合力 (2)小児の最大咬合力
(3)高齢者の最大咬合力 (4)臨床検査としての咬合力測定
咬合力とクレンチング
(1)クレンチングの強さの規定 (2)最大クレンチング時の咬合力
(3)歯種別にみた咬合力 (4)クレンチングの強さと咬合力
顎関節にかかる負荷
(1)顎関節は耐荷重関節 (2)顎関節荷重の推定 (3)顎関節荷重の動態
咬合
咬合の機能診断
(1)咬合の機能診断の意義 (2)咬合の機能診断法
歯の動揺度の機能診断
(1)歯の動揺度の機能診断の意義 (2)歯の動揺度の機能診断法
クレンチングと咬合接触
(1)クレンチングと咬合接触 (2)咬合採得時のクレンチング強度
(3)模型上での咬合接触とクレンチング強度
咀嚼の主機能部位
(1)主機能部位とは (2)主機能部位の求め方
(3)歯列上での主機能部位の位置 (4)咬合関係と主機能部位
(5)主機能部位の進化学的考察 (6)主機能部位は適切に管理すべき重要事項
下顎位と重心
(1)重心,重心動揺測定,直立姿勢の評価 (2)下顎位が直立姿勢に及ぼす影響
(3)下顎側方偏位が直立姿勢に及ぼす影響
(4)直立姿勢の変化が咬合接触圧に及ぼす影響
応用的事項
顎機能障害
顎機能障害とは
(1)顎機能障害とは (2)顎機能障害に関する検査の必要性
顎口腔機能検査
顎口腔機能検査法その1(EMG等)
・咀嚼筋や胸鎖乳突筋の自発放電量
(1)検出法 (2)振幅密度関数分析の原理
(3)分析結果 (4)結論
・非対称性指数(asymmetry index)の臨床応用
(1)咀嚼筋AI (2)咬合接触点AI
(3)非対称性指数(AI)を臨床応用する際に考慮すべき点
・睡眠時ブラキシズムの評価法
(1)睡眠時ブラキシズム (2)臨床評価の論理 (3)客観的評価(検査)
・覚醒時ブラキシズムの評価法
(1)覚醒時ブラキシズム(awake bruxism:AB)とは
(2)ABの特徴 (3)ABの評価法
・ブラキシズムへの対応
(1)睡眠時ブラキシズム(sleep bruxism:SB)への対応
(2)覚醒時ブラキシズム(awake bruxism:AB)への対応
・睡眠時ブラキシズムと胃食道逆流
(1)微小覚醒との関連について
(2)食道内pHの低下による咬筋筋活動と嚥下について
(3)年齢との関連について
・睡眠時無呼吸症の検査
(1)診断基準 (2)スクリーニング (3)確定診断
・顎関節の画像診断
(1)側斜位経頭蓋投影法 (2)CT (3)MRI
・顎機能とQST
(1)QSTとは (2)臨床的意義 (3)顎機能障害へのQSTの応用
顎口腔機能検査法その2(下顎運動等)
・咀嚼運動
(1)咀嚼運動の検査方法 (2)臨床的意義
・下顎限界運動
・顎運動のパラメータ
(1)顎運動評価パラメータ (2)機能評価
・顎関節雑音検査
(1)定性的,主観的な検査法 (2)定量的,客観的な検査法
・咬合力検査
(1)歪みゲージを用いた咬合力計 (2)デンタルプレスケール
(3)T-scan
・咀嚼筋のエネルギー代謝解析
(1)MRSを用いた筋のエネルギー代謝解析 (2)顎機能障害者の31P-MRS
(3)血流,筋線維組成とPCr量
治療への応用
治療・管理のフローチャート
(1)顎機能障害の治療・管理 (2)顎関節症の治療・管理の目標
(3)顎関節症診療の実際
スプリント療法
(1)スプリント療法の目的 (2)スプリントの種類と適応
(3)スタビライゼーションスプリント
理学療法
(1)温罨法 (2)超音波療法 (3)低周波通電療法
(4)TENS (5)低出力エネルギーレーザー治療 (6)まとめ
リエゾン治療
(1)口腔顔面痛と歯科心身症 (2)心身医学とリエゾン診療
(3)健康創成型の医療
薬物療法
(1)鎮痛薬 (2)鎮痛補助薬 (3)顎関節症,舌痛症の治療薬
バイオフィードバック
(1)バイオフィードバックとは
(2)ブラキシズムに対するバイオフィードバック訓練
(3)バイオフィードバック訓練による覚醒時ブラキシズムの抑制
(4)バイオフィードバック訓練による睡眠時ブラキシズムの抑制
睡眠時無呼吸症への対応
咀嚼
咀嚼の意義と効用
(1)咀嚼の意義―進化論的考察 (2)咀嚼の効用
咀嚼機能の成長・発育
(1)咀嚼の発達 (2)咀嚼様式と咀嚼筋活動の変化
咀嚼と脳―咀嚼の中枢制御機構
(1)顎口腔の優れた感覚機能
(2)歯根膜機械受容器と閉口筋筋紡錘の感覚情報による咀嚼力調節
(3)咀嚼の中枢性パターン発生器(咀嚼のCPG) (4)上位脳の役割
味覚
(1)味覚 (2)味覚受容器 (3)味覚伝導路
(4)味覚障害 (5)味覚機能検査
咀嚼運動と唾液との関係
(1)唾液分泌量の測定方法 (2)咀嚼機能と唾液分泌量 (3)口渇の診断
舌圧検査
(1)口腔内に挿入した風船の空気圧の変化を計測する方法
(2)高感度の圧力センサーを口腔内へ設置する方法
咀嚼・嚥下と舌運動
(1)嚥下造影検査(videofluorography:VF) (2)舌圧咀嚼・嚥下検査
(3)超音波検査 (4)動的MRI検査
咀嚼と口唇機能
(1)口唇の解剖 (2)口唇機能評価法 (3)咀嚼と口唇機能
咀嚼能力を診断する
(1)咀嚼能力評価方法の種類 (2)咀嚼能力評価方法の変遷
(3)食塊粒度計測による咀嚼能力の評価
主観的咀嚼機能検査法
(1)山本の咬度表(山本式総義歯咀嚼能率判定表)
(2)佐藤らの咀嚼機能評価表(咀嚼機能スコア)
(3)平井らの咀嚼機能評価表(咀嚼スコア)
客観的咀嚼機能検査法
(1)色変わりチューインガムによる咀嚼能力検査法
(2)パラフィンワックスによる咀嚼能力検査法
(3)検査用グミゼリーを用いた咀嚼能力検査
グミゼリーを用いた咀嚼機能検査法
(1)被験食品の開発 (2)グルコースの溶出量の測定による咀嚼能力の評価
(3)歯科用グルコース測定機器による測定手順
食塊粒度解析による咀嚼能力検査(食塊粒度解析法)
咀嚼と頭部運動
(1)タッピング運動に協調した頭部運動 (2)咀嚼運動時における頭部運動
(3)顎関節症状や外傷性頸部症候群と頭部運動 (4)今後の展望
咀嚼と循環応答
(1)運動に伴う循環応答 (2)咀嚼と脳循環
(3)咀嚼と体循環および自律神経活動
嚥下
嚥下器官―嚥下運動関連の解剖学
(1)口腔の構造 (2)咽頭の構造 (3)舌の構造
(4)舌骨上筋・舌骨下筋 (5)軟口蓋の筋 (6)咽頭挙上筋
(7)咽頭収縮筋 (8)喉頭の構造 (9)内喉頭筋
嚥下運動
(1)嚥下とは (2)反射性嚥下と随意性嚥下 (3)プロセスモデル
嚥下運動の制御機構
(1)嚥下のパターン発生器(CPG) (2)嚥下のCPGへの入力
嚥下障害
(1)超高齢社会
嚥下障害の検査
(1)簡易嚥下検査(スクリーニング検査)
(2)嚥下内視鏡検査(videoendoscopic evaluation of swallowing:VE)
(3)嚥下造影検査(videofluoroscopic swallowing study:VF)
嚥下障害への対応
(1)嚥下障害の捉え方 (2)嚥下訓練と外科的治療
(3)チームアプローチ
発音
発音時の下顎運動
(1)単音発音時の下顎運動範囲 (2)発語時下顎運動の恒常性
(3)正常咬合者の発語時下顎運動
異常咬合者の発音時下顎運動
(1)臨床的意義 (2)代表的な咬合異常と発語時下顎運動
咬合高径の変化と発音時の下顎運動
(1)背景 (2)臨床的意義
下顎位の変化と発音時の下顎運動
(1)臨床的意義 (2)側方的下顎位と発語時下顎運動
(3)前後的下顎位と発語時下顎運動 (4)適用上の注意点
スポーツ歯学的観点からみた発音の診断
(1)スポーツ歯学とは (2)スポーツとマウスガード
(3)マウスガードの現状 (4)マウスガードと発音
(5)臨床的意義
無歯顎者での発音から顎機能を診断する―無歯顎者の発音の検査法
(1)定義 (2)解説 (3)自覚的発音障害の検査法
(4)他覚的発音障害の検査法
無歯顎者での発音から顎機能を診断する―無歯顎者の補綴処置と発音障害
(1)定義 (2)解説 (3)補綴装置と発音障害
(4)咬合高径と発音障害 (5)前歯部人工歯の排列位置
(6)臼歯部人工歯の排列位置 (7)義歯床の形態
(8)支台装置・連結子の形態
無歯顎者のパラトグラム
(1)無歯顎者のパラトグラムの特徴・意義 (2)臨床的意義
咬合高径の変化とパラトグラム
歯の動き
歯の変位測定
(1)歯の変位とは (2)歯の変位測定法
(3)歯の変位と歯および歯周組織の解剖との関係
顎口腔系での粘弾性測定
(1)粘弾性(viscoelasticity)とは
(2)歯周組織の粘弾性測定の必要性と臨床的意義
(3)歯周組織粘弾性の測定方法の種類と特徴 (4)顎関節部の粘弾性測定
機能時の歯の動揺
(1)咬合と歯の動き (2)隣接接触関係と歯の動き
(3)歯槽骨の歪みと歯の動き (4)まとめ
咬合
咬合力と歯の運動
(1)概説 (2)咬合力負荷時の歯の運動
歯根膜感覚
(1)概説 (2)組織学 (3)生理学 (4)心理物理学
咬合接触状態の定量的評価法
(1)概説 (2)add画像 (3)T-scanシステム
(4)デンタルプレスケール (5)シリコーンゴム咬合検査法
(6)コンピュータシミュレーションによる方法
機能時の咬合接触
(1)機能的咬合面形態の追求 (2)歯列単位でみた咬合接触
(3)咬合小面(歯の咬合接触)
咬頭嵌合位付近の咬合接触状態
(1)概説 (2)研究の概要 (3)作業側の咬合接触状態
(4)平衡側の咬合接触状態
(5)咬頭嵌合位付近の咬合接触状態からみた咬合様式
臼歯ガイダンス
(1)側方滑走時における臼歯接触 (2)臼歯ガイダンスに起因する顎機能障害
(3)臼歯部接触時の筋活動
アンテリアガイダンス
(1)アンテリアガイダンスの要件 (2)下顎運動を誘導する方向
(3)下顎運動を誘導する部位
咬合状態の定量化
(1)シリコーンチェックバイトを用いた咬合状態の定量化
(2)感圧フィルムを用いた咬合状態の定量化
顎運動と咬合面形態
(1)解説 (2)平衡咬合と下顎運動 (3)調節性咬合器とFGPテクニック
(4)6自由度咬合器とバーチャル咬合器
咬合面形態と咀嚼
(1)圧搾空間の発見 (2)食物の流れ (3)主機能部位 (4)義歯
小児の咬合
小児の咬合検査
(1)小児おける咬合の検査項目
小児の咀嚼運動の特徴
(1)歯列咬合の変化による咀嚼運動経路の変化について
(2)乳歯列期小児の咀嚼運動における通常サイクルと逆サイクルの割合
(3)乳歯列期小児の咀嚼運動の円滑性に関する特徴 (4)まとめ
小児期における呼吸機能と下顎位
歯科におけるモーションキャプチャシステムの応用と刷掃動作の解析
(1)計測システムと計測点の設定 (2)刷掃動作の解析
(3)顎口腔機能解析への応用
咬合に関する治療方針
顎機能障害
(1)適切な咬合診断に基づいた咬合治療
(2)治療方針 (3)咬合治療の進め方
歯列・咬合欠損
(1)歯列・咬合欠損による障害の概要 (2)咬合支持の喪失
(3)歯列・咬合支持の回復と咀嚼・嚥下機能
(4)有床義歯を用いた歯列・咬合の回復とその維持
矯正
(1)不正咬合と顎口腔機能異常 (2)形態的分析
(3)機能的分析 (4)診断および治療計画の立案
(5)症例:鋏状咬合を伴う骨格性II級前歯部開咬
乳歯列鋏状咬合の早期治療における顎運動の観察
(1)初診時所見 (2)歯列咬合治療の開始時所見と臨床的対応
(3)治療後の機能的対応
用語解説
筋活動 顎運動 咬合 顎機能障害
咀嚼 構音 嚥下
序文
目次
基本的事項
筋活動
筋電図法の基礎
(1)概説 (2)筋の構造 (3)筋収縮のメカニズム (4)運動単位
表面筋電図法
(1)表面筋電図の利点 (2)導出電極 (3)導出方法
(4)信号処理 (5)表面筋電位の解析
筋電図記録法針電極・fine wire電極法
(1)誘導法 (2)構造と用途 (3)記録例と解析
咀嚼筋筋電図の遠隔測定
(1)遠隔測定用筋電計の構造 (2)データロガー型とテレメータ型筋電計
(3)まとめ,展望
非対称性指数
(1)本式の筋電図学的評価法 (2)筋電図学的特徴 (3)臨床的意義
筋活動/張力比
(1)方法 (2)結果 (3)結論
筋疲労
(1)筋疲労のメカニズムと筋線維 (2)咀嚼筋の疲労の評価
顎運動
顎運動とは
(1)顎運動の定義 (2)切歯点の運動野と基本的な顎運動
歯列と顎関節の動き
顎運動の測り方
(1)6自由度顎運動測定時の記録項目
(2)自由度顎運動測定器による測定時の注意点
顎運動の標準データ
顎運動モデル
(1)顎運動と顎運動モデル (2)蝶番軸(ヒンジアキシス) (3)全運動軸
(4)運動論的顆頭点 (5)顎間軸 (6)咬合参照面
顎運動をどう評価するか
(1)顎運動の評価方法 (2)下顎位の評価 (3)側方運動と咬合器の選択
関節頭運動と咀嚼筋活動―外側翼突筋を主にして
(1)下顎骨関節頭と関節円板の相対運動 (2)外側翼突筋と関節円板の解剖
(3)外側翼突筋の筋活動
(4)下顎骨関節頭の回転運動/移動運動と外側翼突筋の筋活動
(5)外側翼突筋上頭の伸張反射応答
(6)下顎骨基本運動時の外側翼突筋の役割と咬筋・側頭筋との協調関係
咀嚼運動時の顎運動
(1)切歯点における咀嚼運動 (2)顎関節における咀嚼運動
(3)側方滑走運動や咬合様式との関係
咬合力
咬合力の発生メカニズム
(1)咬合力の原動力 (2)咬合力発生の力学的モデル
(3)咬合力の生理学的調節機構 (4)天然歯列における咬合力の発生状況
(5)咬合力の特殊性
咬合力測定法
(1)咬合力とは (2)咬合力測定法の分類
咬合力の標準データ
(1)若年成人健常有歯顎者の最大咬合力 (2)小児の最大咬合力
(3)高齢者の最大咬合力 (4)臨床検査としての咬合力測定
咬合力とクレンチング
(1)クレンチングの強さの規定 (2)最大クレンチング時の咬合力
(3)歯種別にみた咬合力 (4)クレンチングの強さと咬合力
顎関節にかかる負荷
(1)顎関節は耐荷重関節 (2)顎関節荷重の推定 (3)顎関節荷重の動態
咬合
咬合の機能診断
(1)咬合の機能診断の意義 (2)咬合の機能診断法
歯の動揺度の機能診断
(1)歯の動揺度の機能診断の意義 (2)歯の動揺度の機能診断法
クレンチングと咬合接触
(1)クレンチングと咬合接触 (2)咬合採得時のクレンチング強度
(3)模型上での咬合接触とクレンチング強度
咀嚼の主機能部位
(1)主機能部位とは (2)主機能部位の求め方
(3)歯列上での主機能部位の位置 (4)咬合関係と主機能部位
(5)主機能部位の進化学的考察 (6)主機能部位は適切に管理すべき重要事項
下顎位と重心
(1)重心,重心動揺測定,直立姿勢の評価 (2)下顎位が直立姿勢に及ぼす影響
(3)下顎側方偏位が直立姿勢に及ぼす影響
(4)直立姿勢の変化が咬合接触圧に及ぼす影響
応用的事項
顎機能障害
顎機能障害とは
(1)顎機能障害とは (2)顎機能障害に関する検査の必要性
顎口腔機能検査
顎口腔機能検査法その1(EMG等)
・咀嚼筋や胸鎖乳突筋の自発放電量
(1)検出法 (2)振幅密度関数分析の原理
(3)分析結果 (4)結論
・非対称性指数(asymmetry index)の臨床応用
(1)咀嚼筋AI (2)咬合接触点AI
(3)非対称性指数(AI)を臨床応用する際に考慮すべき点
・睡眠時ブラキシズムの評価法
(1)睡眠時ブラキシズム (2)臨床評価の論理 (3)客観的評価(検査)
・覚醒時ブラキシズムの評価法
(1)覚醒時ブラキシズム(awake bruxism:AB)とは
(2)ABの特徴 (3)ABの評価法
・ブラキシズムへの対応
(1)睡眠時ブラキシズム(sleep bruxism:SB)への対応
(2)覚醒時ブラキシズム(awake bruxism:AB)への対応
・睡眠時ブラキシズムと胃食道逆流
(1)微小覚醒との関連について
(2)食道内pHの低下による咬筋筋活動と嚥下について
(3)年齢との関連について
・睡眠時無呼吸症の検査
(1)診断基準 (2)スクリーニング (3)確定診断
・顎関節の画像診断
(1)側斜位経頭蓋投影法 (2)CT (3)MRI
・顎機能とQST
(1)QSTとは (2)臨床的意義 (3)顎機能障害へのQSTの応用
顎口腔機能検査法その2(下顎運動等)
・咀嚼運動
(1)咀嚼運動の検査方法 (2)臨床的意義
・下顎限界運動
・顎運動のパラメータ
(1)顎運動評価パラメータ (2)機能評価
・顎関節雑音検査
(1)定性的,主観的な検査法 (2)定量的,客観的な検査法
・咬合力検査
(1)歪みゲージを用いた咬合力計 (2)デンタルプレスケール
(3)T-scan
・咀嚼筋のエネルギー代謝解析
(1)MRSを用いた筋のエネルギー代謝解析 (2)顎機能障害者の31P-MRS
(3)血流,筋線維組成とPCr量
治療への応用
治療・管理のフローチャート
(1)顎機能障害の治療・管理 (2)顎関節症の治療・管理の目標
(3)顎関節症診療の実際
スプリント療法
(1)スプリント療法の目的 (2)スプリントの種類と適応
(3)スタビライゼーションスプリント
理学療法
(1)温罨法 (2)超音波療法 (3)低周波通電療法
(4)TENS (5)低出力エネルギーレーザー治療 (6)まとめ
リエゾン治療
(1)口腔顔面痛と歯科心身症 (2)心身医学とリエゾン診療
(3)健康創成型の医療
薬物療法
(1)鎮痛薬 (2)鎮痛補助薬 (3)顎関節症,舌痛症の治療薬
バイオフィードバック
(1)バイオフィードバックとは
(2)ブラキシズムに対するバイオフィードバック訓練
(3)バイオフィードバック訓練による覚醒時ブラキシズムの抑制
(4)バイオフィードバック訓練による睡眠時ブラキシズムの抑制
睡眠時無呼吸症への対応
咀嚼
咀嚼の意義と効用
(1)咀嚼の意義―進化論的考察 (2)咀嚼の効用
咀嚼機能の成長・発育
(1)咀嚼の発達 (2)咀嚼様式と咀嚼筋活動の変化
咀嚼と脳―咀嚼の中枢制御機構
(1)顎口腔の優れた感覚機能
(2)歯根膜機械受容器と閉口筋筋紡錘の感覚情報による咀嚼力調節
(3)咀嚼の中枢性パターン発生器(咀嚼のCPG) (4)上位脳の役割
味覚
(1)味覚 (2)味覚受容器 (3)味覚伝導路
(4)味覚障害 (5)味覚機能検査
咀嚼運動と唾液との関係
(1)唾液分泌量の測定方法 (2)咀嚼機能と唾液分泌量 (3)口渇の診断
舌圧検査
(1)口腔内に挿入した風船の空気圧の変化を計測する方法
(2)高感度の圧力センサーを口腔内へ設置する方法
咀嚼・嚥下と舌運動
(1)嚥下造影検査(videofluorography:VF) (2)舌圧咀嚼・嚥下検査
(3)超音波検査 (4)動的MRI検査
咀嚼と口唇機能
(1)口唇の解剖 (2)口唇機能評価法 (3)咀嚼と口唇機能
咀嚼能力を診断する
(1)咀嚼能力評価方法の種類 (2)咀嚼能力評価方法の変遷
(3)食塊粒度計測による咀嚼能力の評価
主観的咀嚼機能検査法
(1)山本の咬度表(山本式総義歯咀嚼能率判定表)
(2)佐藤らの咀嚼機能評価表(咀嚼機能スコア)
(3)平井らの咀嚼機能評価表(咀嚼スコア)
客観的咀嚼機能検査法
(1)色変わりチューインガムによる咀嚼能力検査法
(2)パラフィンワックスによる咀嚼能力検査法
(3)検査用グミゼリーを用いた咀嚼能力検査
グミゼリーを用いた咀嚼機能検査法
(1)被験食品の開発 (2)グルコースの溶出量の測定による咀嚼能力の評価
(3)歯科用グルコース測定機器による測定手順
食塊粒度解析による咀嚼能力検査(食塊粒度解析法)
咀嚼と頭部運動
(1)タッピング運動に協調した頭部運動 (2)咀嚼運動時における頭部運動
(3)顎関節症状や外傷性頸部症候群と頭部運動 (4)今後の展望
咀嚼と循環応答
(1)運動に伴う循環応答 (2)咀嚼と脳循環
(3)咀嚼と体循環および自律神経活動
嚥下
嚥下器官―嚥下運動関連の解剖学
(1)口腔の構造 (2)咽頭の構造 (3)舌の構造
(4)舌骨上筋・舌骨下筋 (5)軟口蓋の筋 (6)咽頭挙上筋
(7)咽頭収縮筋 (8)喉頭の構造 (9)内喉頭筋
嚥下運動
(1)嚥下とは (2)反射性嚥下と随意性嚥下 (3)プロセスモデル
嚥下運動の制御機構
(1)嚥下のパターン発生器(CPG) (2)嚥下のCPGへの入力
嚥下障害
(1)超高齢社会
嚥下障害の検査
(1)簡易嚥下検査(スクリーニング検査)
(2)嚥下内視鏡検査(videoendoscopic evaluation of swallowing:VE)
(3)嚥下造影検査(videofluoroscopic swallowing study:VF)
嚥下障害への対応
(1)嚥下障害の捉え方 (2)嚥下訓練と外科的治療
(3)チームアプローチ
発音
発音時の下顎運動
(1)単音発音時の下顎運動範囲 (2)発語時下顎運動の恒常性
(3)正常咬合者の発語時下顎運動
異常咬合者の発音時下顎運動
(1)臨床的意義 (2)代表的な咬合異常と発語時下顎運動
咬合高径の変化と発音時の下顎運動
(1)背景 (2)臨床的意義
下顎位の変化と発音時の下顎運動
(1)臨床的意義 (2)側方的下顎位と発語時下顎運動
(3)前後的下顎位と発語時下顎運動 (4)適用上の注意点
スポーツ歯学的観点からみた発音の診断
(1)スポーツ歯学とは (2)スポーツとマウスガード
(3)マウスガードの現状 (4)マウスガードと発音
(5)臨床的意義
無歯顎者での発音から顎機能を診断する―無歯顎者の発音の検査法
(1)定義 (2)解説 (3)自覚的発音障害の検査法
(4)他覚的発音障害の検査法
無歯顎者での発音から顎機能を診断する―無歯顎者の補綴処置と発音障害
(1)定義 (2)解説 (3)補綴装置と発音障害
(4)咬合高径と発音障害 (5)前歯部人工歯の排列位置
(6)臼歯部人工歯の排列位置 (7)義歯床の形態
(8)支台装置・連結子の形態
無歯顎者のパラトグラム
(1)無歯顎者のパラトグラムの特徴・意義 (2)臨床的意義
咬合高径の変化とパラトグラム
歯の動き
歯の変位測定
(1)歯の変位とは (2)歯の変位測定法
(3)歯の変位と歯および歯周組織の解剖との関係
顎口腔系での粘弾性測定
(1)粘弾性(viscoelasticity)とは
(2)歯周組織の粘弾性測定の必要性と臨床的意義
(3)歯周組織粘弾性の測定方法の種類と特徴 (4)顎関節部の粘弾性測定
機能時の歯の動揺
(1)咬合と歯の動き (2)隣接接触関係と歯の動き
(3)歯槽骨の歪みと歯の動き (4)まとめ
咬合
咬合力と歯の運動
(1)概説 (2)咬合力負荷時の歯の運動
歯根膜感覚
(1)概説 (2)組織学 (3)生理学 (4)心理物理学
咬合接触状態の定量的評価法
(1)概説 (2)add画像 (3)T-scanシステム
(4)デンタルプレスケール (5)シリコーンゴム咬合検査法
(6)コンピュータシミュレーションによる方法
機能時の咬合接触
(1)機能的咬合面形態の追求 (2)歯列単位でみた咬合接触
(3)咬合小面(歯の咬合接触)
咬頭嵌合位付近の咬合接触状態
(1)概説 (2)研究の概要 (3)作業側の咬合接触状態
(4)平衡側の咬合接触状態
(5)咬頭嵌合位付近の咬合接触状態からみた咬合様式
臼歯ガイダンス
(1)側方滑走時における臼歯接触 (2)臼歯ガイダンスに起因する顎機能障害
(3)臼歯部接触時の筋活動
アンテリアガイダンス
(1)アンテリアガイダンスの要件 (2)下顎運動を誘導する方向
(3)下顎運動を誘導する部位
咬合状態の定量化
(1)シリコーンチェックバイトを用いた咬合状態の定量化
(2)感圧フィルムを用いた咬合状態の定量化
顎運動と咬合面形態
(1)解説 (2)平衡咬合と下顎運動 (3)調節性咬合器とFGPテクニック
(4)6自由度咬合器とバーチャル咬合器
咬合面形態と咀嚼
(1)圧搾空間の発見 (2)食物の流れ (3)主機能部位 (4)義歯
小児の咬合
小児の咬合検査
(1)小児おける咬合の検査項目
小児の咀嚼運動の特徴
(1)歯列咬合の変化による咀嚼運動経路の変化について
(2)乳歯列期小児の咀嚼運動における通常サイクルと逆サイクルの割合
(3)乳歯列期小児の咀嚼運動の円滑性に関する特徴 (4)まとめ
小児期における呼吸機能と下顎位
歯科におけるモーションキャプチャシステムの応用と刷掃動作の解析
(1)計測システムと計測点の設定 (2)刷掃動作の解析
(3)顎口腔機能解析への応用
咬合に関する治療方針
顎機能障害
(1)適切な咬合診断に基づいた咬合治療
(2)治療方針 (3)咬合治療の進め方
歯列・咬合欠損
(1)歯列・咬合欠損による障害の概要 (2)咬合支持の喪失
(3)歯列・咬合支持の回復と咀嚼・嚥下機能
(4)有床義歯を用いた歯列・咬合の回復とその維持
矯正
(1)不正咬合と顎口腔機能異常 (2)形態的分析
(3)機能的分析 (4)診断および治療計画の立案
(5)症例:鋏状咬合を伴う骨格性II級前歯部開咬
乳歯列鋏状咬合の早期治療における顎運動の観察
(1)初診時所見 (2)歯列咬合治療の開始時所見と臨床的対応
(3)治療後の機能的対応
用語解説
筋活動 顎運動 咬合 顎機能障害
咀嚼 構音 嚥下