序文
睡眠時無呼吸症候群という病気をはじめて提唱・定義したのは,米国・スタンフォード大学のChristian Guilleminaultで,1976年のことであった.以来35年,睡眠呼吸障害の及ぼす影響の大きさは社会的にもさまざまな形で注目を浴び,その治療と研究も大きな進歩を遂げた.
治療法に関しては,1981年にシドニー大学のColin Sullivanが経鼻持続陽圧呼吸(n-CPAP)を開発,同年に米国・ミシガン州の藤田史朗が口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)を開発し,さらに1982年には,CartwrightとSamelsonが口腔内装置(OA)を報告した.
一方で近年,睡眠呼吸障害は脳出血・脳梗塞などの脳血管障害,心筋梗塞・左心房肥大・不整脈などの心疾患,高血圧・肺高血圧症などの循環器疾患,さらには糖尿病など,さまざまな疾患と密接に関係しているというエビデンスが明らかになってきた.2008年,米国心臓協会と米国心臓病学会は,「睡眠時無呼吸症と心臓血管疾患」と題してExpert Consensus Documentを発表し,睡眠時無呼吸症が心臓血管疾患に大きな影響を及ぼしていることに警鐘を鳴らした.この病気はいまや,一部の関係者だけでなく多くの人々の関心事なのである.
本書は,この病気に関して知識を深めるとともに,一般臨床家の診断と治療の手引きとなるよう企画された.執筆には,睡眠学の専門家のほかに,耳鼻咽喉科,呼吸器科,精神科,麻酔科,歯科などなどさまざまな領域の専門家に参画をいただいた.これは,睡眠呼吸障害は多くの専門分野にかかわる病気であり,総合力がなければ診断・治療ができないからである.実際,日本睡眠学会も,耳鼻咽喉科,呼吸器科,循環器科,小児科,精神科,歯科,臨床検査などの臨床各科はもとより,医用生体工学,人類遺伝学,時間生物学,呼吸生理学,心理学,母性保護などなど,さまざまな領域の専門家により構成されている.この病気と向かい合うには,幅広い分野の多くの知識が必要とされているのである.
このハンドブックが,睡眠呼吸障害に関心を抱く多くの臨床家の認識の深化に役立ち,わが国の睡眠障害の臨床の発展に少しでも貢献できれば,編者として望外の喜びである.
本書が企画されたのは,10年近くも前であった.大半の原稿が仕上がっていたにもかかわらず,担当編集者の夭折などのアクシデントにより進行が長らく頓挫してしまった.社の責任として出版すべきとの判断で上梓が決定されたが,この間の睡眠呼吸障害に関する研究と臨床の進展に合わせて,多くの原稿を書き直していただいた.全面改稿となった原稿も少なからずあり,執筆者の方々には大変なご迷惑をおかけしたことを,この場を借りてお詫びしたい.
ただ,そのお蔭もあって当代一流の執筆陣に恵まれ,充実した内容となったこと,さらにこの10年の間に解明され始めた「睡眠時無呼吸症候群における胸腔内陰圧の影響」のレビューを,気鋭の研究者Prof.Shinに寄稿いただけたことは,このうえない僥倖であった.
2010年12月
菊池 哲
宮崎総一郎
睡眠時無呼吸症候群という病気をはじめて提唱・定義したのは,米国・スタンフォード大学のChristian Guilleminaultで,1976年のことであった.以来35年,睡眠呼吸障害の及ぼす影響の大きさは社会的にもさまざまな形で注目を浴び,その治療と研究も大きな進歩を遂げた.
治療法に関しては,1981年にシドニー大学のColin Sullivanが経鼻持続陽圧呼吸(n-CPAP)を開発,同年に米国・ミシガン州の藤田史朗が口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)を開発し,さらに1982年には,CartwrightとSamelsonが口腔内装置(OA)を報告した.
一方で近年,睡眠呼吸障害は脳出血・脳梗塞などの脳血管障害,心筋梗塞・左心房肥大・不整脈などの心疾患,高血圧・肺高血圧症などの循環器疾患,さらには糖尿病など,さまざまな疾患と密接に関係しているというエビデンスが明らかになってきた.2008年,米国心臓協会と米国心臓病学会は,「睡眠時無呼吸症と心臓血管疾患」と題してExpert Consensus Documentを発表し,睡眠時無呼吸症が心臓血管疾患に大きな影響を及ぼしていることに警鐘を鳴らした.この病気はいまや,一部の関係者だけでなく多くの人々の関心事なのである.
本書は,この病気に関して知識を深めるとともに,一般臨床家の診断と治療の手引きとなるよう企画された.執筆には,睡眠学の専門家のほかに,耳鼻咽喉科,呼吸器科,精神科,麻酔科,歯科などなどさまざまな領域の専門家に参画をいただいた.これは,睡眠呼吸障害は多くの専門分野にかかわる病気であり,総合力がなければ診断・治療ができないからである.実際,日本睡眠学会も,耳鼻咽喉科,呼吸器科,循環器科,小児科,精神科,歯科,臨床検査などの臨床各科はもとより,医用生体工学,人類遺伝学,時間生物学,呼吸生理学,心理学,母性保護などなど,さまざまな領域の専門家により構成されている.この病気と向かい合うには,幅広い分野の多くの知識が必要とされているのである.
このハンドブックが,睡眠呼吸障害に関心を抱く多くの臨床家の認識の深化に役立ち,わが国の睡眠障害の臨床の発展に少しでも貢献できれば,編者として望外の喜びである.
本書が企画されたのは,10年近くも前であった.大半の原稿が仕上がっていたにもかかわらず,担当編集者の夭折などのアクシデントにより進行が長らく頓挫してしまった.社の責任として出版すべきとの判断で上梓が決定されたが,この間の睡眠呼吸障害に関する研究と臨床の進展に合わせて,多くの原稿を書き直していただいた.全面改稿となった原稿も少なからずあり,執筆者の方々には大変なご迷惑をおかけしたことを,この場を借りてお詫びしたい.
ただ,そのお蔭もあって当代一流の執筆陣に恵まれ,充実した内容となったこと,さらにこの10年の間に解明され始めた「睡眠時無呼吸症候群における胸腔内陰圧の影響」のレビューを,気鋭の研究者Prof.Shinに寄稿いただけたことは,このうえない僥倖であった.
2010年12月
菊池 哲
宮崎総一郎
第1章 睡眠呼吸障害の病態生理
1 睡眠と呼吸(宮崎総一郎)
1.睡眠学とは
1)睡眠科学 2)睡眠医歯薬学 3)睡眠社会学
2.睡眠・覚醒のメカニズム
3.睡眠不足の影響
1)症例
4.睡眠障害の分類
5.睡眠呼吸障害の関連疾患
2 睡眠呼吸障害の病態(稲垣喜三)
1.閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者の疫学的特徴
2.閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者における気道の変化
3.閉塞性睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる内科的合併症
1)高血圧症 2)高血圧症以外の心血管系合併症 3)肥満(メタボリックシンドローム)
3 睡眠の科学(井上雄一)
1.健康成人の睡眠
1)睡眠の構造 2)睡眠・覚醒の制御機構 3)生体リズムと睡眠 4)環境と睡眠
2.小児の睡眠
3.高齢者の睡眠
4 睡眠と生理機能(佐藤 誠)
1.身体生理機能調節における睡眠の役割
2.睡眠と呼吸機能
3.入眠初期の不安定呼吸と無呼吸閾値
4.覚醒反応
5.睡眠と循環機能
6.睡眠と内分泌機能
7.睡眠とその他の生理機能
5 睡眠呼吸障害の病態発生(磯野史朗)
1.上気道の機能的解剖
1)鼻 2)咽頭 3)喉頭
2.閉塞性睡眠時無呼吸発生の病態生理
1)神経学的異常説 2)解剖学的異常説 3)解剖学的異常の原因(1):咽頭周囲の解剖学的アンバランス 4)解剖学的異常の原因(2):肥満患者の肺容量減少
3.上気道開通性に影響を与えるさまざまな機械的因子
6 閉塞性睡眠時無呼吸症候群における胸腔内陰圧の増大の影響(Chol Shin(菊池 哲 訳))
1.閉塞性睡眠時無呼吸と心血管系の病気との関係
2.胸腔内陰圧の増大に対する自律神経と血液循環系の反応
3.肺高血圧に対する胸腔内陰圧の増大の影響
4.胸腔内陰圧の増大の心室機能への影響
1)臨床的研究 2)実験的研究
5.胸腔内陰圧の増大の心房性ナトリウム利尿ペプチド分泌への影響
第2章 睡眠呼吸障害の診断
1 分類と診断基準(山城義広)
1.睡眠呼吸障害の分類
1)閉塞性睡眠時無呼吸症候群 2)中枢性睡眠時無呼吸症候群 3)チェーンストークス呼吸 4)睡眠関連低換気/低酸素血症候群
2.呼吸異常の定義
1)閉塞性呼吸イベント(低呼吸と呼吸努力関連覚醒反応) 2)中枢性呼吸イベント
3.日中の眠気の検査法
1)主観的評価法 2)客観的評価法
2 診断法
1.終夜睡眠ポリグラフ(PSG)(山城義広)
1)睡眠の判定 2)測定方法についての注意点 3)解析法
2.簡易診断法(山城義広)
1)パルスオキシメータのみによる酸素飽和度の連続記録 2)簡易診断装置
3.補助的診断法
1)鼻咽腔内視鏡(新谷朋子) 2)側面頭部X線規格写真計測・分析法(菊池 哲) 3)セファログラムを用いた顎顔面形態学的診断(江崎和久)
3 小児の診断基準と診断法(神山 潤)
1.睡眠中の呼吸
1)小児の呼吸は成人に比べ,より睡眠中に障害されやすい 2)小児期の発育と呼吸 3)小児の生理的睡眠時無呼吸 4)小児の睡眠中の血液ガス所見
2.小児期の病的閉塞性睡眠時無呼吸の特徴
1)肥満 2)アデノイド(咽頭扁桃肥大)・口蓋扁桃肥大 3)換気応答 4)覚醒反応 5)レム睡眠 6)合併症 7)評価方法・基準 8)経過
3.東京医科歯科大学小児科での経験
1)2000年前後に用いた暫定的な許容限界 2)検査のまとめ
第3章 睡眠呼吸障害の治療法
1 治療にあたり考慮すべきこと(宮崎総一郎)
1.原因
2.鑑別診断
3.治療
4.予後
2 保存療法
1.持続陽圧呼吸療法(CPAP)(柳原万里子・佐藤 誠)
1)持続陽圧呼吸療法(CPAP)の適応 2)持続陽圧呼吸療法(CPAP)の原理 3)持続陽圧呼吸療法(CPAP)圧の設定法 4)持続陽圧呼吸療法(CPAP)装置の選択 5)コンプライアンス
2.口腔内装置の適応と治療効果(江崎和久)
1)口腔内装置の歴史 2)口腔内装置の治療効果 3)下顎前方移動量の目安
3.Tongue retaining deviceの臨床(菊池 哲)
1)治療法の歴史 2)症例 3)口腔内装置 4)製作法
4.口腔内装置の診断と治療法-新潟大学歯学部附属病院式装置の実際-(小林 博)
1)診断 2)基本原理 3)製作法 4)予後
3 外科療法
1.Sleep surgery(sleep apnea surgery)とは(千葉伸太郎)
2.鼻手術(千葉伸太郎)
3.口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)(千葉伸太郎)
4.新しい低侵襲手術(千葉伸太郎)
5.Sleep surgeryにおける周術期管理の重要性(千葉伸太郎)
6.顎顔面手術(外木守雄)
1)睡眠呼吸障害の治療法としての顎顔面手術の意義 2)顎顔面手術の実際 3)顎顔面手術が睡眠呼吸障害に応用された経緯と日本での現状 4)顎顔面手術が上気道に及ぼす影響 5)顎顔面手術前後の睡眠呼吸障害の変化 6)睡眠呼吸障害に対する治療法としての選択,配慮すること 7)顎顔面手術のガイドラインの策定に向けて 8)周術期管理について
4 小児の治療法と治療戦略(新谷朋子・宮崎総一郎)
1.小児の閉塞性睡眠時無呼吸の治療戦略
1)原因・病態生理 2)診断
2.治療
1)保存的治療 2)手術的治療 3)手術治療成績
5 閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者の麻酔管理(稲垣喜三)
1.術前管理
2.術中管理
1)気道管理 2)麻酔導入と維持に用いる薬物と麻酔法 3)呼吸管理と輸液 4)麻酔覚醒と抜管
3.術後管理
1)術後鎮痛 2)酸素投与 3)患者体位 4)モニタリング
4.小児閉塞性睡眠時無呼吸患者の周術期管理
1)術前管理 2)術中管理 3)術後管理
第4章 合併症と周辺疾患
1 睡眠時無呼吸症候群の周辺にある疾患(中俣正美)
1.睡眠時無呼吸症候群と因果関係のある疾患
1)いわゆる生活習慣病 2)内分泌疾患 3)循環器疾患 4)呼吸器疾患 5)消化器疾患 6)腎・泌尿器疾患 7)その他の疾患
2.睡眠時無呼吸症候群とは直接の関係はないが治療上問題になる疾患
1)前立腺肥大症 2)慢性咳嗽症候群
3.持続陽圧呼吸(CPAP)や二相性気道陽圧(BiPAP)治療による合併症
1)気胸など物理的な損傷 2)呼吸・循環器への影響 3)マスクなどによる接触性皮膚炎 4)加湿器による副作用
2 呼吸器疾患・呼吸不全/腎疾患・腎不全/リウマチ性疾患・膠原病/神経筋疾患(大嶋康義・大平徹郎)
1.呼吸器疾患・呼吸不全
1)肺結核後遺症,側彎症などに起因する胸郭変形 2)慢性閉塞性肺疾患 3)肺癌
2.腎疾患・腎不全
1)腎不全と睡眠呼吸障害
3.リウマチ性疾患・膠原病
1)関節リウマチと閉塞性睡眠時無呼吸
4.神経筋疾患
1)てんかん 2)脳血管障害 3)アルツハイマー病 4)筋萎縮性側索硬化症 5)多系統萎縮症 6)パーキンソン病 7)進行性核上性麻痺 8)重症筋無力症 9)多発性硬化症 10)筋ジストロフィ 11)筋強直性ジストロフィ 12)ミトコンドリア病(脳筋症) 13)先天性ミオパチー 14)その他の神経筋疾患など 15)周期性四肢運動障害とむずむず脚症候群 16)ナルコレプシー
5.中枢神経系の腫瘍
3 精神神経疾患(恩田 晃)
1.統合失調症
2.うつ病・うつ状態
3.アルコール依存症
4.パニック障害
5.認知症
6.てんかん
7.頭痛
8.睡眠時無呼吸症候群の治療と漢方薬
第5章 睡眠医療の歴史と現状/用語解説
1 睡眠医療の歴史と現状(塩見利明・篠邉龍二郎)
1.各都道府県に本格的なスリープセンターの設置を
2.日本の睡眠医療
1)睡眠学と睡眠医歯薬学 2)睡眠呼吸障害に関するガイドライン 3)学会認定医師・歯科医師
2 用語解説(鈴木雅明)
索引
1 睡眠と呼吸(宮崎総一郎)
1.睡眠学とは
1)睡眠科学 2)睡眠医歯薬学 3)睡眠社会学
2.睡眠・覚醒のメカニズム
3.睡眠不足の影響
1)症例
4.睡眠障害の分類
5.睡眠呼吸障害の関連疾患
2 睡眠呼吸障害の病態(稲垣喜三)
1.閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者の疫学的特徴
2.閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者における気道の変化
3.閉塞性睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる内科的合併症
1)高血圧症 2)高血圧症以外の心血管系合併症 3)肥満(メタボリックシンドローム)
3 睡眠の科学(井上雄一)
1.健康成人の睡眠
1)睡眠の構造 2)睡眠・覚醒の制御機構 3)生体リズムと睡眠 4)環境と睡眠
2.小児の睡眠
3.高齢者の睡眠
4 睡眠と生理機能(佐藤 誠)
1.身体生理機能調節における睡眠の役割
2.睡眠と呼吸機能
3.入眠初期の不安定呼吸と無呼吸閾値
4.覚醒反応
5.睡眠と循環機能
6.睡眠と内分泌機能
7.睡眠とその他の生理機能
5 睡眠呼吸障害の病態発生(磯野史朗)
1.上気道の機能的解剖
1)鼻 2)咽頭 3)喉頭
2.閉塞性睡眠時無呼吸発生の病態生理
1)神経学的異常説 2)解剖学的異常説 3)解剖学的異常の原因(1):咽頭周囲の解剖学的アンバランス 4)解剖学的異常の原因(2):肥満患者の肺容量減少
3.上気道開通性に影響を与えるさまざまな機械的因子
6 閉塞性睡眠時無呼吸症候群における胸腔内陰圧の増大の影響(Chol Shin(菊池 哲 訳))
1.閉塞性睡眠時無呼吸と心血管系の病気との関係
2.胸腔内陰圧の増大に対する自律神経と血液循環系の反応
3.肺高血圧に対する胸腔内陰圧の増大の影響
4.胸腔内陰圧の増大の心室機能への影響
1)臨床的研究 2)実験的研究
5.胸腔内陰圧の増大の心房性ナトリウム利尿ペプチド分泌への影響
第2章 睡眠呼吸障害の診断
1 分類と診断基準(山城義広)
1.睡眠呼吸障害の分類
1)閉塞性睡眠時無呼吸症候群 2)中枢性睡眠時無呼吸症候群 3)チェーンストークス呼吸 4)睡眠関連低換気/低酸素血症候群
2.呼吸異常の定義
1)閉塞性呼吸イベント(低呼吸と呼吸努力関連覚醒反応) 2)中枢性呼吸イベント
3.日中の眠気の検査法
1)主観的評価法 2)客観的評価法
2 診断法
1.終夜睡眠ポリグラフ(PSG)(山城義広)
1)睡眠の判定 2)測定方法についての注意点 3)解析法
2.簡易診断法(山城義広)
1)パルスオキシメータのみによる酸素飽和度の連続記録 2)簡易診断装置
3.補助的診断法
1)鼻咽腔内視鏡(新谷朋子) 2)側面頭部X線規格写真計測・分析法(菊池 哲) 3)セファログラムを用いた顎顔面形態学的診断(江崎和久)
3 小児の診断基準と診断法(神山 潤)
1.睡眠中の呼吸
1)小児の呼吸は成人に比べ,より睡眠中に障害されやすい 2)小児期の発育と呼吸 3)小児の生理的睡眠時無呼吸 4)小児の睡眠中の血液ガス所見
2.小児期の病的閉塞性睡眠時無呼吸の特徴
1)肥満 2)アデノイド(咽頭扁桃肥大)・口蓋扁桃肥大 3)換気応答 4)覚醒反応 5)レム睡眠 6)合併症 7)評価方法・基準 8)経過
3.東京医科歯科大学小児科での経験
1)2000年前後に用いた暫定的な許容限界 2)検査のまとめ
第3章 睡眠呼吸障害の治療法
1 治療にあたり考慮すべきこと(宮崎総一郎)
1.原因
2.鑑別診断
3.治療
4.予後
2 保存療法
1.持続陽圧呼吸療法(CPAP)(柳原万里子・佐藤 誠)
1)持続陽圧呼吸療法(CPAP)の適応 2)持続陽圧呼吸療法(CPAP)の原理 3)持続陽圧呼吸療法(CPAP)圧の設定法 4)持続陽圧呼吸療法(CPAP)装置の選択 5)コンプライアンス
2.口腔内装置の適応と治療効果(江崎和久)
1)口腔内装置の歴史 2)口腔内装置の治療効果 3)下顎前方移動量の目安
3.Tongue retaining deviceの臨床(菊池 哲)
1)治療法の歴史 2)症例 3)口腔内装置 4)製作法
4.口腔内装置の診断と治療法-新潟大学歯学部附属病院式装置の実際-(小林 博)
1)診断 2)基本原理 3)製作法 4)予後
3 外科療法
1.Sleep surgery(sleep apnea surgery)とは(千葉伸太郎)
2.鼻手術(千葉伸太郎)
3.口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)(千葉伸太郎)
4.新しい低侵襲手術(千葉伸太郎)
5.Sleep surgeryにおける周術期管理の重要性(千葉伸太郎)
6.顎顔面手術(外木守雄)
1)睡眠呼吸障害の治療法としての顎顔面手術の意義 2)顎顔面手術の実際 3)顎顔面手術が睡眠呼吸障害に応用された経緯と日本での現状 4)顎顔面手術が上気道に及ぼす影響 5)顎顔面手術前後の睡眠呼吸障害の変化 6)睡眠呼吸障害に対する治療法としての選択,配慮すること 7)顎顔面手術のガイドラインの策定に向けて 8)周術期管理について
4 小児の治療法と治療戦略(新谷朋子・宮崎総一郎)
1.小児の閉塞性睡眠時無呼吸の治療戦略
1)原因・病態生理 2)診断
2.治療
1)保存的治療 2)手術的治療 3)手術治療成績
5 閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者の麻酔管理(稲垣喜三)
1.術前管理
2.術中管理
1)気道管理 2)麻酔導入と維持に用いる薬物と麻酔法 3)呼吸管理と輸液 4)麻酔覚醒と抜管
3.術後管理
1)術後鎮痛 2)酸素投与 3)患者体位 4)モニタリング
4.小児閉塞性睡眠時無呼吸患者の周術期管理
1)術前管理 2)術中管理 3)術後管理
第4章 合併症と周辺疾患
1 睡眠時無呼吸症候群の周辺にある疾患(中俣正美)
1.睡眠時無呼吸症候群と因果関係のある疾患
1)いわゆる生活習慣病 2)内分泌疾患 3)循環器疾患 4)呼吸器疾患 5)消化器疾患 6)腎・泌尿器疾患 7)その他の疾患
2.睡眠時無呼吸症候群とは直接の関係はないが治療上問題になる疾患
1)前立腺肥大症 2)慢性咳嗽症候群
3.持続陽圧呼吸(CPAP)や二相性気道陽圧(BiPAP)治療による合併症
1)気胸など物理的な損傷 2)呼吸・循環器への影響 3)マスクなどによる接触性皮膚炎 4)加湿器による副作用
2 呼吸器疾患・呼吸不全/腎疾患・腎不全/リウマチ性疾患・膠原病/神経筋疾患(大嶋康義・大平徹郎)
1.呼吸器疾患・呼吸不全
1)肺結核後遺症,側彎症などに起因する胸郭変形 2)慢性閉塞性肺疾患 3)肺癌
2.腎疾患・腎不全
1)腎不全と睡眠呼吸障害
3.リウマチ性疾患・膠原病
1)関節リウマチと閉塞性睡眠時無呼吸
4.神経筋疾患
1)てんかん 2)脳血管障害 3)アルツハイマー病 4)筋萎縮性側索硬化症 5)多系統萎縮症 6)パーキンソン病 7)進行性核上性麻痺 8)重症筋無力症 9)多発性硬化症 10)筋ジストロフィ 11)筋強直性ジストロフィ 12)ミトコンドリア病(脳筋症) 13)先天性ミオパチー 14)その他の神経筋疾患など 15)周期性四肢運動障害とむずむず脚症候群 16)ナルコレプシー
5.中枢神経系の腫瘍
3 精神神経疾患(恩田 晃)
1.統合失調症
2.うつ病・うつ状態
3.アルコール依存症
4.パニック障害
5.認知症
6.てんかん
7.頭痛
8.睡眠時無呼吸症候群の治療と漢方薬
第5章 睡眠医療の歴史と現状/用語解説
1 睡眠医療の歴史と現状(塩見利明・篠邉龍二郎)
1.各都道府県に本格的なスリープセンターの設置を
2.日本の睡眠医療
1)睡眠学と睡眠医歯薬学 2)睡眠呼吸障害に関するガイドライン 3)学会認定医師・歯科医師
2 用語解説(鈴木雅明)
索引