序文
今日のように社会が激的に変化している時代には医療もそれに無関係ではいられない.少子高齢化による社会の経済基盤の変化に伴い,高齢者にかかわる医療保険は改定をくり返している.その根底には,高齢者に対する医療と介護の施策として,施設から在宅へという大きな流れがあった.その一環として近年の診療報酬改定では,かかりつけ歯科医機能がみなおされ,病診連携が推進されつつある.
また介護保険制度の発足と同時に,歯科も居宅療養管理指導にかかわることになった.このことは,すなわち歯科医療の内容に対する変化が求められたわけであり,具体的には,口腔ケアという言葉に代表されるように健康の維持管理が重視されるようになってきた.加えて摂食・嚥下障害への対応も歯科領域にかかわるものとしてクローズアップされ,介護予防における歯科の役割が模索されている.それは,口腔機能が健康づくりのもととなる栄養摂取の器官として注目されているからで,上述した摂食・嚥下障害に対するリハビリテーション領域にも,チーム医療のメンバーとしてすでに歯科が一定の役割を占めるにいたっている.
このような変革の時代に,高齢者歯科学のガイドブックを上梓することは大変むずかしいことであるが,幸いにして本書の発行にあたっては,各分野の専門家の力を結集することができた.執筆者には最新のデータ,研究成果を掲載すべく,無理を承知のうえで完成直前まで原稿の修正をお願いした.したがって,本書は,現時点で最も新しい内容を盛り込んでいると自負している.
高齢者歯科学は,大学の教科として必要なだけではない.現在,地域歯科医療に携わっている先生方は,高齢者歯科学をまとまったかたちで学んだことはない方が大半であろう.しかも,要介護状態の高齢者が歯科大学・歯学部の付属病院を受診することはまれであり,地域におけるかかりつけ歯科医として活躍されている先生のほうが要介護高齢者に遭遇することが多く,切実に正確な情報を求めていると思われる.その意味で,本書は臨床現場の歯科医師を含む多くの職種の方々に活用していただけるよう配慮した.
現在もダイナミックに動いている高齢者歯科医療であるだけに,口腔ケアという言葉に代表されるように,用語の統一も困難である場合が多く,これで十分ではないことは承知している.是非読者のご批判をお願いしたい.
最後に,本書の完成に労を惜しまれなかった医歯薬出版編集部の関係諸氏に深く感謝の意を表したい.
2003年1月
編者一同
今日のように社会が激的に変化している時代には医療もそれに無関係ではいられない.少子高齢化による社会の経済基盤の変化に伴い,高齢者にかかわる医療保険は改定をくり返している.その根底には,高齢者に対する医療と介護の施策として,施設から在宅へという大きな流れがあった.その一環として近年の診療報酬改定では,かかりつけ歯科医機能がみなおされ,病診連携が推進されつつある.
また介護保険制度の発足と同時に,歯科も居宅療養管理指導にかかわることになった.このことは,すなわち歯科医療の内容に対する変化が求められたわけであり,具体的には,口腔ケアという言葉に代表されるように健康の維持管理が重視されるようになってきた.加えて摂食・嚥下障害への対応も歯科領域にかかわるものとしてクローズアップされ,介護予防における歯科の役割が模索されている.それは,口腔機能が健康づくりのもととなる栄養摂取の器官として注目されているからで,上述した摂食・嚥下障害に対するリハビリテーション領域にも,チーム医療のメンバーとしてすでに歯科が一定の役割を占めるにいたっている.
このような変革の時代に,高齢者歯科学のガイドブックを上梓することは大変むずかしいことであるが,幸いにして本書の発行にあたっては,各分野の専門家の力を結集することができた.執筆者には最新のデータ,研究成果を掲載すべく,無理を承知のうえで完成直前まで原稿の修正をお願いした.したがって,本書は,現時点で最も新しい内容を盛り込んでいると自負している.
高齢者歯科学は,大学の教科として必要なだけではない.現在,地域歯科医療に携わっている先生方は,高齢者歯科学をまとまったかたちで学んだことはない方が大半であろう.しかも,要介護状態の高齢者が歯科大学・歯学部の付属病院を受診することはまれであり,地域におけるかかりつけ歯科医として活躍されている先生のほうが要介護高齢者に遭遇することが多く,切実に正確な情報を求めていると思われる.その意味で,本書は臨床現場の歯科医師を含む多くの職種の方々に活用していただけるよう配慮した.
現在もダイナミックに動いている高齢者歯科医療であるだけに,口腔ケアという言葉に代表されるように,用語の統一も困難である場合が多く,これで十分ではないことは承知している.是非読者のご批判をお願いしたい.
最後に,本書の完成に労を惜しまれなかった医歯薬出版編集部の関係諸氏に深く感謝の意を表したい.
2003年1月
編者一同
Color Photos……v〜xii
I編 高齢者理解の基本
1章 高齢者歯科の役割(植松 宏)
I 高齢社会と高齢者像
1.21世紀は高齢者の世紀である
2.高齢者と健康
3.「高齢期歯科」の役割
2章 高齢者と社会(稲葉 繁)
I 高齢者を取り巻く社会と健康
1.高齢社会
2.高齢者の健康意識
3章 高齢者の身体的特徴
I 加齢とは……(野村修一)
1.老化の特性
2.暦年齢と生物学的年齢
3.老化のメカニズム学説
II 加齢に伴う身体的変化……(大渡凡人,植松 宏)
1.循環器・神経・呼吸器系の加齢変化
2.高齢者に多い疾患とその特徴
3.高齢歯科患者の術前評価
III 高齢者と薬剤……(松本宜明)
1.適正な薬物治療のために
2.薬物動態の基本
3.薬効薬理の基本
4.高齢者における薬物投与計画
5.高齢者への薬物投与に注意すべきこと
4章 高齢者の精神的・心理的特徴(鈴木 章 )
I 加齢による精神・心理の変化
1.高齢者に特有な心理の要因
2.高齢者の心理状態の特徴
3.高齢者への対処
II 加齢による知的機能の変化
1.痴呆の定義
2.痴呆の疫学
3.痴呆を示す疾患
4.痴呆の症状
5.痴呆患者への接し方
6.痴呆高齢患者の歯科治療
7.治療よりも健康管理を
5章 高齢者の口腔と健康(森戸光彦)
I 高齢者のオーラルヘルスケアの意義
1.オーラルヘルスケアと口腔ケア
2.オーラルヘルスケアの役割
3.口腔機能の再確認
4.口腔機能の維持と崩壊
5.口腔内微生物叢
6.摂食・嚥下障害とオーラルヘルスケア
7.オーラルヘルスケアの実践
8.オーラルヘルスケアの障壁
II かかりつけ歯科医の機能
1.介護領域における「かかりつけ歯科医」の機能
2.全身管理における「かかりつけ歯科医」の機能
3.患者の生活を知る立場における「かかりつけ歯科医」の機能
6章 介護保険と高齢者歯科(瀧口 徹)
I 介護保険
1.介護保険制度の概要
2.介護保険の実施状況
3.当面の課題と対応
II 高齢者の歯科保健医療
1.介護保険,医療保険,老人保健事業の棲み分け
2.口腔保健および口腔ケアに対する歯科医師の役割と今後の課題
II編 高齢者歯科の特徴と対処の基本
1章 高齢者歯科における全身管理
I 高齢者歯科における各種検査……(玉澤佳純,渡辺 誠)
1.初診時の診査
2.バイタルサインの検査
3.その他全身疾患関連の臨床検査
4.口腔疾患関連の検査
II 高齢者の歯科治療にあたって注意すべき全身疾患……(中里滋樹)
1.高血圧症
2.虚血性心疾患
3.心臓弁膜症(弁膜症)
4.脳血管障害
5.不整脈
6.心不全
7.糖尿病
III 歯科治療中の全身管理の実際……(塚本末廣)
1.歯科治療中のモニタリング―バイタルサインの確認
2.歯科治療時の全身管理
3.歯科治療中の誤飲・誤嚥
2章 高齢者に多い顎口腔領域の疾患(寶田 博)
I 高齢者と顎口腔領域の疾患
II 高齢者に頻度の高い口腔外科疾患
1.感染症(歯性,非歯性感染症)
2.外傷
3.嚢胞性疾患
4.腫瘍性疾患
5.顎関節疾患
6.口腔粘膜疾患
7.唾液腺疾患
8.神経・心因性疾患
9.心因性疾患(口腔心身症)
3章 高齢者における口腔の変化と問題点(小正 裕,権田悦通)
I 口腔の感覚能と運動能
II 歯
1.エナメル質
2.象牙質
3.セメント質
4.歯髄
5.咬耗
6.根面齲蝕とくさび状欠損
III 歯槽骨
IV 口腔粘膜
V 歯周組織
VI 顎関節
VII 唾液分泌
1.唾液腺の加齢現象と唾液分泌量の低下
2.唾液分泌の減少がみられる疾患
VIII 咀嚼機能
IX オーラルジスキネジア
1.オーラルジスキネジアの定義
2.オーラルジスキネジアの発症機序
3.オーラルジスキネジアの診査
4章 高齢者の感染予防対策(中久木一乘)
I 歯科における感染予防
1.感染する可能性のあるおもな微生物
2.感染症患者の数(割合)
3.感染予防の考え方
4.感染予防の原則と実際
II 高齢者歯科診療と感染予防
1.高齢者と感染予防
2.診療の場と感染予防
3.一般歯科診療所における留意点
4.その他の高齢者歯科診療の事例
III編 高齢者歯科治療の実際
1章 高齢者の歯科保存治療
I 高齢者に対する歯冠修復の考え方と実際……(森戸光彦)
1.高齢者の齲蝕
2.症例
II 高齢者に対する歯内治療の考え方と実際……(興地隆史,須田英明)
1.高齢者の全身状態と歯内治療
2.高齢者の歯の特徴と歯内治療
3.診断・治療方針の決定に際しての問題点
4.高齢者の歯内治療の実際―歯髄腔の狭窄・石灰化への対応法
5.高齢者の歯内治療の予後
2章 高齢者の歯周治療(米山武義)
I 高齢者の歯周治療と口腔ケア
II 歯周治療を始める前に
1.高齢者の歯周治療に臨む際に考慮すべき事項
III 高齢者における歯周疾患
1.高齢者における歯周疾患の現状
2.高齢者における歯周疾患の進行
IV 高齢者における歯周治療
1.歯周治療の基本
2.高齢者における歯周治療の実際
3.高齢者における歯周治療の効果
4.高齢者における歯周治療のメインテナンス
V 高齢者における歯周治療と全身疾患を考える
1.全身疾患と歯周疾患
2.高齢者にとっての歯周疾患の改善
3章 高齢者の欠損補綴治療
I 全部床義歯……(平井敏博,池田和博)
1.高齢無歯顎患者における義歯装着の意義
2.使用中の義歯を利用した無歯顎補綴治療の進め方
3.患者指導
4.高齢無歯顎患者におけるQOLと全部床義歯
II 部分床義歯……(佐々木啓一,川田哲男,渡辺 誠)
1.高齢者に対する部分床義歯の理念
2.高齢者の口腔内の特徴とその対応
3.身体の加齢および全身疾患との関連
4.高齢部分無歯顎者における部分床義歯の予後
III 歯周補綴とインプラント……(西堀雅一)
1.歯周補綴の定義
2.臼歯部咬合崩壊と咬合性外傷
3.歯周補綴の実際
4.高齢者と歯周疾患
5.高齢者とインプラント
6.高齢者における歯周補綴
IV ブリッジ……(野村修一)
1.高齢者のブリッジの考え方と実際
4章 高齢者の口腔外科治療(高橋浩二)
I 高齢者に対して施行する頻度の高い外科処置
1.補綴前処置
2.デンタルインプラント
II 高齢者に多くみられる疾患に対する口腔外科治療
1.口腔乾燥症に対する処置
2.舌痛症に対する処置
3.習慣性顎関節脱臼に対する処置
4.粘膜疾患に対する処置
5.オーラルジスキネジアに対する処置
6.感染症に対する処置
7.口腔癌の外科処置における留意事項
5章 高齢者の言語障害と歯科的対応
I 高齢者の言語障害と言語治療……(鈴木規子)
1.正常な語音の産生
2.言語障害の種類
3.高齢者の言語障害の特徴
4.高齢者に対する歯科領域における言語治療
II 有床義歯と構音……(佐藤裕二,北川 昇)
1.全部床義歯と構音障害
2.構音障害の原因
3.粉末法パラトグラフィーを応用した対処法
IV編 高齢者の摂食・嚥下リハビリテーション
1章 摂食・嚥下障害とは(菊谷 武)
I 摂食・嚥下のメカニズム
1.摂食・嚥下とは
II 高齢者における摂食・嚥下障害
1.摂食・嚥下機能の加齢変化
2.摂食・嚥下障害をきたす疾患の分類
3.加齢に伴う疾患と摂食・嚥下障害
2章 摂食・嚥下リハビリテーション
I 摂食・嚥下障害に関連する所見と検査・評価法……(植田耕一郎)
1.摂食・嚥下障害に関連する身体所見
2.摂食・嚥下障害の検査法と評価
II 摂食・嚥下障害の訓練(治療)法
1.リハビリテーション医学の理念
2.摂食・嚥下リハビリテーションにおける機能・形態面のアプローチ
3.摂食・嚥下障害のリスク管理
III 口腔癌術後の摂食・嚥下障害への対応……(高橋浩二)
1.口腔癌術後の摂食・嚥下障害
2.高齢者への対応
IV 摂食・嚥下障害における歯科医師の役割……(植田耕一郎)
1.摂食・嚥下障害患者に対する歯科診療方針
2.準備期・口腔期障害に対して
3.チームアプローチ
3章 高齢摂食・嚥下障害者の食事と食形態(金谷節子)
I 摂食訓練と嚥下食
1.嚥下食の基本
2.嚥下食の食事基準
3.嚥下食の調理法
4.嚥下食の動的モデル
5.嚥下検査食の作り方
6.酸素ラジカル吸収能と嚥下食
II 在宅への地域栄養支援・食事サービス
4章 高齢者のQOLと食事指導(山田晴子,稲葉 繁)
I 高齢者の栄養摂取と摂食意欲の実態
1.高齢者の食事および栄養摂取状況
2.HY式食事意欲・意識調査からみえるもの
II 高齢者の食事指導
1.初めて全部床義歯を装着する高齢者への食事指導
2.在宅高齢者の食事の工夫
3.高齢者に起こりやすい脱水の予防
4.むせやすいときの調理の工夫と言葉かけ
5.食べやすい介護食と食器・食具
6.外食を楽しむ
V編 高齢者におけるオーラルヘルスケア
1章 高齢者の口腔内衛生環境(濱田泰三,二川浩樹)
I デンチャープラークの病原性とオーラルヘルスケア
1.デンチャープラークの微生物
2.デンチャープラークの病原性
3.オーラルヘルスケアの方法
4.オーラルヘルスケア時の留意点
2章 誤嚥性肺炎の予防(奥田克爾,足立三枝子)
I 誤嚥性肺炎とは
1.誤嚥性肺炎の発症機序
2.誤嚥性肺炎のハイリスクグループ
3.誤嚥性肺炎の病原微生物
II 口腔に棲みつく肺炎の原因微生物
1.細菌類
2.ウイルス類
III 誤嚥性肺炎の予防
1.要介護高齢者への口腔清掃の効果からみた誤嚥性肺炎の予防
3章 口臭の予防(八重垣 健)
I 口臭とは
II 口臭の原因物質
III 揮発性イオウ化合物の産生と歯周疾患による口臭
IV 口臭症の診断
1.官能検査
2.口臭の判定
V 口臭の治療
1.舌清掃法
2.歯磨剤・洗口剤の効果
3.義歯口臭への対応
4.その他の口臭治療法
VI 高齢者の口臭治療に求められること
4章 要介護高齢者の口腔清掃の重要性と実際
I 口腔清掃の意義……(下山和弘)
II 口腔清掃の目標設定
III 口腔清掃の実施手順
IV 口腔清掃の方法
1.口腔清掃法
2.口腔清掃法の選択
V 義歯清掃法
1.義歯着脱法
2.義歯清掃の実際
3.義歯の保管方法
VI 口腔清掃時の安全性・安楽性の確保と口腔過敏症の対処
VII 脳卒中患者の口腔清掃
1.脳卒中患者における障害と口腔清掃時の留意点
VIII 口腔清掃に用いる器材……(玉澤佳純,渡辺 誠)
1.歯の清掃器具
2.舌の清掃器具
3.粘膜の清掃器具
4.義歯の清掃器具
5.その他の清掃器具
6.その他の関連器具
VI編 在宅,病院,施設における高齢者の歯科治療
1章 在宅要介護高齢者の歯科治療(江面 晃,畑 好昭)
I 在宅要介護高齢者とは
1.在宅要介護高齢者の概要
2.在宅要介護高齢者の身体的特徴
3.基礎疾患と訪問歯科診療時の留意点
4.高齢者の口腔内環境
II 在宅要介護高齢者の訪問歯科診療の実際
1.訪問歯科診療の処置方針の決定にあたって
2.訪問歯科診療の目的
3.訪問歯科診療の実際
4.訪問歯科診療の限界
2章 病院・施設における高齢者の歯科治療
I 老人病院での歯科治療……(阪口英夫)
1.老人病院とは
2.痴呆疾患専門病棟
3.老人病院での歯科治療
4.老人医療を担当する歯科医師に必要な知識
II 介護老人福祉施設における歯科治療……(渡辺 誠,佐々木啓一,菊池雅彦)
1.介護老人福祉施設の入所者にみられる基礎疾患
2.介護老人福祉施設の入所者にみられる歯科疾患
3.介護老人福祉施設の入所者に対する歯科治療内容
4.介護老人福祉施設で歯科治療を行ううえでの留意点
III 高次医療機関における高齢者の歯科治療……(井上農夫男,小林國彦)
1.高齢者歯科治療における病診連携
2.今後の展開
文献
索引
I編 高齢者理解の基本
1章 高齢者歯科の役割(植松 宏)
I 高齢社会と高齢者像
1.21世紀は高齢者の世紀である
2.高齢者と健康
3.「高齢期歯科」の役割
2章 高齢者と社会(稲葉 繁)
I 高齢者を取り巻く社会と健康
1.高齢社会
2.高齢者の健康意識
3章 高齢者の身体的特徴
I 加齢とは……(野村修一)
1.老化の特性
2.暦年齢と生物学的年齢
3.老化のメカニズム学説
II 加齢に伴う身体的変化……(大渡凡人,植松 宏)
1.循環器・神経・呼吸器系の加齢変化
2.高齢者に多い疾患とその特徴
3.高齢歯科患者の術前評価
III 高齢者と薬剤……(松本宜明)
1.適正な薬物治療のために
2.薬物動態の基本
3.薬効薬理の基本
4.高齢者における薬物投与計画
5.高齢者への薬物投与に注意すべきこと
4章 高齢者の精神的・心理的特徴(鈴木 章 )
I 加齢による精神・心理の変化
1.高齢者に特有な心理の要因
2.高齢者の心理状態の特徴
3.高齢者への対処
II 加齢による知的機能の変化
1.痴呆の定義
2.痴呆の疫学
3.痴呆を示す疾患
4.痴呆の症状
5.痴呆患者への接し方
6.痴呆高齢患者の歯科治療
7.治療よりも健康管理を
5章 高齢者の口腔と健康(森戸光彦)
I 高齢者のオーラルヘルスケアの意義
1.オーラルヘルスケアと口腔ケア
2.オーラルヘルスケアの役割
3.口腔機能の再確認
4.口腔機能の維持と崩壊
5.口腔内微生物叢
6.摂食・嚥下障害とオーラルヘルスケア
7.オーラルヘルスケアの実践
8.オーラルヘルスケアの障壁
II かかりつけ歯科医の機能
1.介護領域における「かかりつけ歯科医」の機能
2.全身管理における「かかりつけ歯科医」の機能
3.患者の生活を知る立場における「かかりつけ歯科医」の機能
6章 介護保険と高齢者歯科(瀧口 徹)
I 介護保険
1.介護保険制度の概要
2.介護保険の実施状況
3.当面の課題と対応
II 高齢者の歯科保健医療
1.介護保険,医療保険,老人保健事業の棲み分け
2.口腔保健および口腔ケアに対する歯科医師の役割と今後の課題
II編 高齢者歯科の特徴と対処の基本
1章 高齢者歯科における全身管理
I 高齢者歯科における各種検査……(玉澤佳純,渡辺 誠)
1.初診時の診査
2.バイタルサインの検査
3.その他全身疾患関連の臨床検査
4.口腔疾患関連の検査
II 高齢者の歯科治療にあたって注意すべき全身疾患……(中里滋樹)
1.高血圧症
2.虚血性心疾患
3.心臓弁膜症(弁膜症)
4.脳血管障害
5.不整脈
6.心不全
7.糖尿病
III 歯科治療中の全身管理の実際……(塚本末廣)
1.歯科治療中のモニタリング―バイタルサインの確認
2.歯科治療時の全身管理
3.歯科治療中の誤飲・誤嚥
2章 高齢者に多い顎口腔領域の疾患(寶田 博)
I 高齢者と顎口腔領域の疾患
II 高齢者に頻度の高い口腔外科疾患
1.感染症(歯性,非歯性感染症)
2.外傷
3.嚢胞性疾患
4.腫瘍性疾患
5.顎関節疾患
6.口腔粘膜疾患
7.唾液腺疾患
8.神経・心因性疾患
9.心因性疾患(口腔心身症)
3章 高齢者における口腔の変化と問題点(小正 裕,権田悦通)
I 口腔の感覚能と運動能
II 歯
1.エナメル質
2.象牙質
3.セメント質
4.歯髄
5.咬耗
6.根面齲蝕とくさび状欠損
III 歯槽骨
IV 口腔粘膜
V 歯周組織
VI 顎関節
VII 唾液分泌
1.唾液腺の加齢現象と唾液分泌量の低下
2.唾液分泌の減少がみられる疾患
VIII 咀嚼機能
IX オーラルジスキネジア
1.オーラルジスキネジアの定義
2.オーラルジスキネジアの発症機序
3.オーラルジスキネジアの診査
4章 高齢者の感染予防対策(中久木一乘)
I 歯科における感染予防
1.感染する可能性のあるおもな微生物
2.感染症患者の数(割合)
3.感染予防の考え方
4.感染予防の原則と実際
II 高齢者歯科診療と感染予防
1.高齢者と感染予防
2.診療の場と感染予防
3.一般歯科診療所における留意点
4.その他の高齢者歯科診療の事例
III編 高齢者歯科治療の実際
1章 高齢者の歯科保存治療
I 高齢者に対する歯冠修復の考え方と実際……(森戸光彦)
1.高齢者の齲蝕
2.症例
II 高齢者に対する歯内治療の考え方と実際……(興地隆史,須田英明)
1.高齢者の全身状態と歯内治療
2.高齢者の歯の特徴と歯内治療
3.診断・治療方針の決定に際しての問題点
4.高齢者の歯内治療の実際―歯髄腔の狭窄・石灰化への対応法
5.高齢者の歯内治療の予後
2章 高齢者の歯周治療(米山武義)
I 高齢者の歯周治療と口腔ケア
II 歯周治療を始める前に
1.高齢者の歯周治療に臨む際に考慮すべき事項
III 高齢者における歯周疾患
1.高齢者における歯周疾患の現状
2.高齢者における歯周疾患の進行
IV 高齢者における歯周治療
1.歯周治療の基本
2.高齢者における歯周治療の実際
3.高齢者における歯周治療の効果
4.高齢者における歯周治療のメインテナンス
V 高齢者における歯周治療と全身疾患を考える
1.全身疾患と歯周疾患
2.高齢者にとっての歯周疾患の改善
3章 高齢者の欠損補綴治療
I 全部床義歯……(平井敏博,池田和博)
1.高齢無歯顎患者における義歯装着の意義
2.使用中の義歯を利用した無歯顎補綴治療の進め方
3.患者指導
4.高齢無歯顎患者におけるQOLと全部床義歯
II 部分床義歯……(佐々木啓一,川田哲男,渡辺 誠)
1.高齢者に対する部分床義歯の理念
2.高齢者の口腔内の特徴とその対応
3.身体の加齢および全身疾患との関連
4.高齢部分無歯顎者における部分床義歯の予後
III 歯周補綴とインプラント……(西堀雅一)
1.歯周補綴の定義
2.臼歯部咬合崩壊と咬合性外傷
3.歯周補綴の実際
4.高齢者と歯周疾患
5.高齢者とインプラント
6.高齢者における歯周補綴
IV ブリッジ……(野村修一)
1.高齢者のブリッジの考え方と実際
4章 高齢者の口腔外科治療(高橋浩二)
I 高齢者に対して施行する頻度の高い外科処置
1.補綴前処置
2.デンタルインプラント
II 高齢者に多くみられる疾患に対する口腔外科治療
1.口腔乾燥症に対する処置
2.舌痛症に対する処置
3.習慣性顎関節脱臼に対する処置
4.粘膜疾患に対する処置
5.オーラルジスキネジアに対する処置
6.感染症に対する処置
7.口腔癌の外科処置における留意事項
5章 高齢者の言語障害と歯科的対応
I 高齢者の言語障害と言語治療……(鈴木規子)
1.正常な語音の産生
2.言語障害の種類
3.高齢者の言語障害の特徴
4.高齢者に対する歯科領域における言語治療
II 有床義歯と構音……(佐藤裕二,北川 昇)
1.全部床義歯と構音障害
2.構音障害の原因
3.粉末法パラトグラフィーを応用した対処法
IV編 高齢者の摂食・嚥下リハビリテーション
1章 摂食・嚥下障害とは(菊谷 武)
I 摂食・嚥下のメカニズム
1.摂食・嚥下とは
II 高齢者における摂食・嚥下障害
1.摂食・嚥下機能の加齢変化
2.摂食・嚥下障害をきたす疾患の分類
3.加齢に伴う疾患と摂食・嚥下障害
2章 摂食・嚥下リハビリテーション
I 摂食・嚥下障害に関連する所見と検査・評価法……(植田耕一郎)
1.摂食・嚥下障害に関連する身体所見
2.摂食・嚥下障害の検査法と評価
II 摂食・嚥下障害の訓練(治療)法
1.リハビリテーション医学の理念
2.摂食・嚥下リハビリテーションにおける機能・形態面のアプローチ
3.摂食・嚥下障害のリスク管理
III 口腔癌術後の摂食・嚥下障害への対応……(高橋浩二)
1.口腔癌術後の摂食・嚥下障害
2.高齢者への対応
IV 摂食・嚥下障害における歯科医師の役割……(植田耕一郎)
1.摂食・嚥下障害患者に対する歯科診療方針
2.準備期・口腔期障害に対して
3.チームアプローチ
3章 高齢摂食・嚥下障害者の食事と食形態(金谷節子)
I 摂食訓練と嚥下食
1.嚥下食の基本
2.嚥下食の食事基準
3.嚥下食の調理法
4.嚥下食の動的モデル
5.嚥下検査食の作り方
6.酸素ラジカル吸収能と嚥下食
II 在宅への地域栄養支援・食事サービス
4章 高齢者のQOLと食事指導(山田晴子,稲葉 繁)
I 高齢者の栄養摂取と摂食意欲の実態
1.高齢者の食事および栄養摂取状況
2.HY式食事意欲・意識調査からみえるもの
II 高齢者の食事指導
1.初めて全部床義歯を装着する高齢者への食事指導
2.在宅高齢者の食事の工夫
3.高齢者に起こりやすい脱水の予防
4.むせやすいときの調理の工夫と言葉かけ
5.食べやすい介護食と食器・食具
6.外食を楽しむ
V編 高齢者におけるオーラルヘルスケア
1章 高齢者の口腔内衛生環境(濱田泰三,二川浩樹)
I デンチャープラークの病原性とオーラルヘルスケア
1.デンチャープラークの微生物
2.デンチャープラークの病原性
3.オーラルヘルスケアの方法
4.オーラルヘルスケア時の留意点
2章 誤嚥性肺炎の予防(奥田克爾,足立三枝子)
I 誤嚥性肺炎とは
1.誤嚥性肺炎の発症機序
2.誤嚥性肺炎のハイリスクグループ
3.誤嚥性肺炎の病原微生物
II 口腔に棲みつく肺炎の原因微生物
1.細菌類
2.ウイルス類
III 誤嚥性肺炎の予防
1.要介護高齢者への口腔清掃の効果からみた誤嚥性肺炎の予防
3章 口臭の予防(八重垣 健)
I 口臭とは
II 口臭の原因物質
III 揮発性イオウ化合物の産生と歯周疾患による口臭
IV 口臭症の診断
1.官能検査
2.口臭の判定
V 口臭の治療
1.舌清掃法
2.歯磨剤・洗口剤の効果
3.義歯口臭への対応
4.その他の口臭治療法
VI 高齢者の口臭治療に求められること
4章 要介護高齢者の口腔清掃の重要性と実際
I 口腔清掃の意義……(下山和弘)
II 口腔清掃の目標設定
III 口腔清掃の実施手順
IV 口腔清掃の方法
1.口腔清掃法
2.口腔清掃法の選択
V 義歯清掃法
1.義歯着脱法
2.義歯清掃の実際
3.義歯の保管方法
VI 口腔清掃時の安全性・安楽性の確保と口腔過敏症の対処
VII 脳卒中患者の口腔清掃
1.脳卒中患者における障害と口腔清掃時の留意点
VIII 口腔清掃に用いる器材……(玉澤佳純,渡辺 誠)
1.歯の清掃器具
2.舌の清掃器具
3.粘膜の清掃器具
4.義歯の清掃器具
5.その他の清掃器具
6.その他の関連器具
VI編 在宅,病院,施設における高齢者の歯科治療
1章 在宅要介護高齢者の歯科治療(江面 晃,畑 好昭)
I 在宅要介護高齢者とは
1.在宅要介護高齢者の概要
2.在宅要介護高齢者の身体的特徴
3.基礎疾患と訪問歯科診療時の留意点
4.高齢者の口腔内環境
II 在宅要介護高齢者の訪問歯科診療の実際
1.訪問歯科診療の処置方針の決定にあたって
2.訪問歯科診療の目的
3.訪問歯科診療の実際
4.訪問歯科診療の限界
2章 病院・施設における高齢者の歯科治療
I 老人病院での歯科治療……(阪口英夫)
1.老人病院とは
2.痴呆疾患専門病棟
3.老人病院での歯科治療
4.老人医療を担当する歯科医師に必要な知識
II 介護老人福祉施設における歯科治療……(渡辺 誠,佐々木啓一,菊池雅彦)
1.介護老人福祉施設の入所者にみられる基礎疾患
2.介護老人福祉施設の入所者にみられる歯科疾患
3.介護老人福祉施設の入所者に対する歯科治療内容
4.介護老人福祉施設で歯科治療を行ううえでの留意点
III 高次医療機関における高齢者の歯科治療……(井上農夫男,小林國彦)
1.高齢者歯科治療における病診連携
2.今後の展開
文献
索引