推薦文
日本は21世紀を高齢社会で迎えました.人々は,健康で文化的な“よりよい”生活を過ごすためには,歯や口腔の健康増進が大切であると認識し始めています.すなわち,物や経済のみでなく,生活・ゆとり・思いやり,健康寿命やQOLを大事にするようになってきたということです.
国は2000年に,2010年までに到達すべき健康の目標を提唱した「健康日本21」(第3次国民健康づくり運動)を発表しました.そのなかで,歯や口腔の健康は,生活習慣の改善にある9領域の6番めとして位置づけられています.歯の項目では,8020の目標を含めて13項目があげられていますが,われわれ歯科医療関係者は,科学的な根拠をもったうえで,具体的にどのような方法を展開すればこれらの目標に到達できるかを人々に示すことが肝要だと思います.そのためにも,フッ化物応用は重要な手段であり,方法といえます.
日本口腔衛生学会も,2002年9月の第51回日本口腔衛生学会・総会において,フッ化物の局所応用および水道水フッ化物添加を支援する「今後のわが国における望ましいフッ化物応用への学術的支援」という声明を採択したところです.このようなときに,日本口腔衛生学会のフッ化物応用委員会から,『フッ化物ではじめるむし歯予防』が出版されることは大変に意義のあることと思います.
歯科において,フッ化物がセルフケア(self care),プロフェッショナルケア(professional care),およびパブリックヘルスケア(public health care)の3つの場面で,いろいろ応用されてきたのは周知のとおりです.そして近年の研究により,フッ化物の主要なう蝕抑制メカニズムについても,低濃度のフッ化物による脱灰抑制と再石灰化促進という機構がわかってきました.また,費用対効果や費用効用的な評価研究にも進展がみられ,さらにはフッ化物の摂取量測定研究などから適正摂取量(AI:Adequate Intake)に関する情報も充実してきています.
日本口腔衛生学会では,すでにいくつかのフッ化物応用の本を世に送り出してきました.しかし,上記しましたように,近年の学問・研究の進歩を取り入れた,歯科臨床や地域保健(公衆衛生)の現場で活躍している歯科医師,歯科衛生士などにとって,より実践的な本が必要とされるに至りました.このような意味からも本書は,多忙な歯科医療関係者に役立つようにまとめられています.
本書が8020運動を推進し,人々の歯・口腔の健康づくりに寄与できることを念願し,本書の活用を推薦いたします.
2002年11月
日本口腔衛生学会理事長・愛知学院大学歯学部教授
中垣晴男
はじめに
WHOは,日本の歯科保健・医療を以下のように評しています.
1. 砂糖消費量は先進国のなかでもっとも少ない.
2. 歯科医師数は充足し,優れた歯科医療サービスが提供されている.
3. 保健所で,歯科保健指導やう蝕予防サービスが行われている.
4. しかし,ほかの先進諸国と比較したとき,日本の歯科医療にはもっとも重要なものが欠けている.それはフッ化物の利用である.
これは実は,1985年に発表されたものです.しかしながら21世紀を迎えた今日においても,残念ながらこれらの傾向に大きな変化はみられず,同じ状況が続いています.
わが国の12歳児の平均DMFTは1999年の歯科疾患実態調査で2.4本でした.これはWHOのデータバンクにおいてDMFTが1.2〜 2.6の「低い国」に位置していますが,先進国の多くが0〜 1.1の「非常に低い国」となっている現状からすると,これでよしとする状況にはありません.また,健康日本21では12歳児の平均DMFTを1以下にするとなっています.8020達成のためにも歯の喪失原因の第1位で,約40%を占めるう蝕対策は不可欠です.
上記の1〜 3に,積極的なフッ化物応用を加えることによって,わが国のう蝕予防の状況を世界のトップレベルに引き上げることも十分可能です.
カイスの3つの輪やニューブラウンの説明図(カイスの輪に時間要因を加味)で表されるように,う蝕は多くの要因によって発生する疾病です.したがって,その予防も多くの要因それぞれに対応するものでなければなりません(図1).
米国の予防サービス専門調査班は,各種のう蝕予防の方法についてEBM(Evidence-Based Medicine)の観点と現実的な応用の場面を考慮して,表1のように整理し,推奨を行っています.
この内容は,診療室,家庭,園・学校,地域などでう蝕予防を行う場合に,どの方法を,あるいはどのような組み合わせを選択したらよいかを判断する際の基準となります.フッ化物応用は,いずれもう蝕予防効果に関する証拠のレベルが高く,強く推奨される予防法に位置づけられています.ほかの予防法との組み合わせによって,さらなるう蝕の減少をもたらすことでしょう.
日本歯科医学会は1999年に「フッ化物応用についての総合的な見解」を,日本口腔衛生学会は2002年に「今後のわが国における望ましいフッ化物応用への学術支援」を示し,有効性,安全性の面からフッ化物応用推進を明確にしています.また,マスコミでもフッ化物の効果や有用性がアピールされるようになりました.このような状況を受け,子どもをもつ保護者や一般住民のなかにも,フッ化物に対する関心が高まってきているようです.歯科医師や歯科衛生士には,いままで以上にう蝕予防,フッ化物応用の専門家としての役割が期待されています.
自院での予防管理システムのなかで,あるいは行政・教育委員会との共同事業や歯科医師会の地域活動など多くの場面でフッ化物応用が可能です.う蝕予防はもとより,8020の実現やQOLの向上にむけて,フッ化物応用の拡大が望まれます.
(小林清吾)
図1 う蝕の発生要因(カイスの3つの輪)とそれに対応した各種予防法
表1 う蝕予防法の評価と利用勧告(米国予防サービス専門調査班.1989*)
予防法 証拠の質 利用勧告の強さ
フッ化物応用
全身応用:水道水フッ化物添加,フッ化物錠剤 I A
局所応用:フッ化物洗口,フッ化物歯面塗布,フッ化物配合歯磨剤利用 I A
シーラント処置 I A
食事のコントロール
甘食摂取を控える II-2 A
就寝中の哺乳瓶使用をやめる III B
個人による歯口清掃
フッ化物が配合されていない歯磨剤利用による歯磨き,フロスの応用 III C
定期的な歯科検診 III C
証拠の質基準
I:1つ以上の正しくデザインされた無作為コントロール研究から得られた証拠
II-2:複数の調査機関による,よくデザインされたコホート研究または症例コントロール研究分析から得られた証拠
III:臨床的経験,記述的研究,熟達した委員会の報告にもとづいた社会的地位のある権威者の意見
利用勧告の強さ基準
A:その項目を行うべきだという勧告を支持する確かな証拠がある.
B:その項目を行うべきだという勧告を支持する証拠がある.
C:その項目を行うべきだと考えられる証拠が乏しい.しかしほかの団体からは勧告される可能性もある.
*:1996年の第2版では,う蝕予防と歯周疾患予防を区別せずに評価されているので,今回は1989年の初版のう蝕予防法の評価を採用した.
日本は21世紀を高齢社会で迎えました.人々は,健康で文化的な“よりよい”生活を過ごすためには,歯や口腔の健康増進が大切であると認識し始めています.すなわち,物や経済のみでなく,生活・ゆとり・思いやり,健康寿命やQOLを大事にするようになってきたということです.
国は2000年に,2010年までに到達すべき健康の目標を提唱した「健康日本21」(第3次国民健康づくり運動)を発表しました.そのなかで,歯や口腔の健康は,生活習慣の改善にある9領域の6番めとして位置づけられています.歯の項目では,8020の目標を含めて13項目があげられていますが,われわれ歯科医療関係者は,科学的な根拠をもったうえで,具体的にどのような方法を展開すればこれらの目標に到達できるかを人々に示すことが肝要だと思います.そのためにも,フッ化物応用は重要な手段であり,方法といえます.
日本口腔衛生学会も,2002年9月の第51回日本口腔衛生学会・総会において,フッ化物の局所応用および水道水フッ化物添加を支援する「今後のわが国における望ましいフッ化物応用への学術的支援」という声明を採択したところです.このようなときに,日本口腔衛生学会のフッ化物応用委員会から,『フッ化物ではじめるむし歯予防』が出版されることは大変に意義のあることと思います.
歯科において,フッ化物がセルフケア(self care),プロフェッショナルケア(professional care),およびパブリックヘルスケア(public health care)の3つの場面で,いろいろ応用されてきたのは周知のとおりです.そして近年の研究により,フッ化物の主要なう蝕抑制メカニズムについても,低濃度のフッ化物による脱灰抑制と再石灰化促進という機構がわかってきました.また,費用対効果や費用効用的な評価研究にも進展がみられ,さらにはフッ化物の摂取量測定研究などから適正摂取量(AI:Adequate Intake)に関する情報も充実してきています.
日本口腔衛生学会では,すでにいくつかのフッ化物応用の本を世に送り出してきました.しかし,上記しましたように,近年の学問・研究の進歩を取り入れた,歯科臨床や地域保健(公衆衛生)の現場で活躍している歯科医師,歯科衛生士などにとって,より実践的な本が必要とされるに至りました.このような意味からも本書は,多忙な歯科医療関係者に役立つようにまとめられています.
本書が8020運動を推進し,人々の歯・口腔の健康づくりに寄与できることを念願し,本書の活用を推薦いたします.
2002年11月
日本口腔衛生学会理事長・愛知学院大学歯学部教授
中垣晴男
はじめに
WHOは,日本の歯科保健・医療を以下のように評しています.
1. 砂糖消費量は先進国のなかでもっとも少ない.
2. 歯科医師数は充足し,優れた歯科医療サービスが提供されている.
3. 保健所で,歯科保健指導やう蝕予防サービスが行われている.
4. しかし,ほかの先進諸国と比較したとき,日本の歯科医療にはもっとも重要なものが欠けている.それはフッ化物の利用である.
これは実は,1985年に発表されたものです.しかしながら21世紀を迎えた今日においても,残念ながらこれらの傾向に大きな変化はみられず,同じ状況が続いています.
わが国の12歳児の平均DMFTは1999年の歯科疾患実態調査で2.4本でした.これはWHOのデータバンクにおいてDMFTが1.2〜 2.6の「低い国」に位置していますが,先進国の多くが0〜 1.1の「非常に低い国」となっている現状からすると,これでよしとする状況にはありません.また,健康日本21では12歳児の平均DMFTを1以下にするとなっています.8020達成のためにも歯の喪失原因の第1位で,約40%を占めるう蝕対策は不可欠です.
上記の1〜 3に,積極的なフッ化物応用を加えることによって,わが国のう蝕予防の状況を世界のトップレベルに引き上げることも十分可能です.
カイスの3つの輪やニューブラウンの説明図(カイスの輪に時間要因を加味)で表されるように,う蝕は多くの要因によって発生する疾病です.したがって,その予防も多くの要因それぞれに対応するものでなければなりません(図1).
米国の予防サービス専門調査班は,各種のう蝕予防の方法についてEBM(Evidence-Based Medicine)の観点と現実的な応用の場面を考慮して,表1のように整理し,推奨を行っています.
この内容は,診療室,家庭,園・学校,地域などでう蝕予防を行う場合に,どの方法を,あるいはどのような組み合わせを選択したらよいかを判断する際の基準となります.フッ化物応用は,いずれもう蝕予防効果に関する証拠のレベルが高く,強く推奨される予防法に位置づけられています.ほかの予防法との組み合わせによって,さらなるう蝕の減少をもたらすことでしょう.
日本歯科医学会は1999年に「フッ化物応用についての総合的な見解」を,日本口腔衛生学会は2002年に「今後のわが国における望ましいフッ化物応用への学術支援」を示し,有効性,安全性の面からフッ化物応用推進を明確にしています.また,マスコミでもフッ化物の効果や有用性がアピールされるようになりました.このような状況を受け,子どもをもつ保護者や一般住民のなかにも,フッ化物に対する関心が高まってきているようです.歯科医師や歯科衛生士には,いままで以上にう蝕予防,フッ化物応用の専門家としての役割が期待されています.
自院での予防管理システムのなかで,あるいは行政・教育委員会との共同事業や歯科医師会の地域活動など多くの場面でフッ化物応用が可能です.う蝕予防はもとより,8020の実現やQOLの向上にむけて,フッ化物応用の拡大が望まれます.
(小林清吾)
図1 う蝕の発生要因(カイスの3つの輪)とそれに対応した各種予防法
表1 う蝕予防法の評価と利用勧告(米国予防サービス専門調査班.1989*)
予防法 証拠の質 利用勧告の強さ
フッ化物応用
全身応用:水道水フッ化物添加,フッ化物錠剤 I A
局所応用:フッ化物洗口,フッ化物歯面塗布,フッ化物配合歯磨剤利用 I A
シーラント処置 I A
食事のコントロール
甘食摂取を控える II-2 A
就寝中の哺乳瓶使用をやめる III B
個人による歯口清掃
フッ化物が配合されていない歯磨剤利用による歯磨き,フロスの応用 III C
定期的な歯科検診 III C
証拠の質基準
I:1つ以上の正しくデザインされた無作為コントロール研究から得られた証拠
II-2:複数の調査機関による,よくデザインされたコホート研究または症例コントロール研究分析から得られた証拠
III:臨床的経験,記述的研究,熟達した委員会の報告にもとづいた社会的地位のある権威者の意見
利用勧告の強さ基準
A:その項目を行うべきだという勧告を支持する確かな証拠がある.
B:その項目を行うべきだという勧告を支持する証拠がある.
C:その項目を行うべきだと考えられる証拠が乏しい.しかしほかの団体からは勧告される可能性もある.
*:1996年の第2版では,う蝕予防と歯周疾患予防を区別せずに評価されているので,今回は1989年の初版のう蝕予防法の評価を採用した.
推薦文
はじめに
この本の使い方
I.各種のフッ化物局所応用
1 フッ化物歯面塗布
1.フッ化物歯面塗布の種類と使用製剤
1)歯ブラシ法
2)綿球法
2.フッ化物歯面塗布の実際
1)対象年齢
2)実施頻度
3)フッ化物歯面塗布の手順
4)フッ化物歯面塗布後の注意事項
3.フッ化物歯面塗布のう蝕予防効果
1)乳歯う蝕を半分以下に予防
2)永久歯にも効果的
4.フッ化物歯面塗布の使用製剤量と安全性
1)ゲル,溶液の使用量の注意
2)歯のフッ素症について
2 フッ化物洗口
1.フッ化物洗口に使われるフッ化物の種類
1) 製品化されている洗口剤
2)フッ化ナトリウム粉末
2.フッ化物洗口の実際
1) 対象年齢
2)効果的な実施頻度
3)実施手順(家庭編)
4)実施手順(保育園・幼稚園,小・中学校編)
3.フッ化物洗口のう蝕予防効果
1) 永久歯う蝕を半分以下に予防
2)成人,高齢者のう蝕予防にも効果を発揮
3)う蝕予防効果の持続
4)平滑面,前歯において特に高いう蝕予防効果
5)費用の面でも効率のよい方法
3 フッ化物配合歯磨剤の利用
1.フッ化物配合歯磨剤
1)日本の歯磨剤の約8割がフッ化物配合
2.フッ化物配合歯磨剤を効果的に利用するために
1)対象年齢
2)使用回数
3)歯磨剤の量
4)うがいの回数
5)歯磨き後の注意点
3.フッ化物配合歯磨剤のう蝕予防効果
1)乳歯う蝕について
2)根面う蝕について
4 低年齢児への家庭内フッ化物応用
1.低年齢児への家庭内フッ化物応用とは
1) 対象年齢
2) 種類と使用製剤
3)応用回数と使用量
2.低濃度(100ppmF)のフッ化物溶液による歯磨き
1)溶液の作製
2)歯磨きの実際
3)う蝕予防効果
4)溶液の渡し方と家庭での保管
3.泡状のフッ化物配合歯磨剤の塗布
4.フッ化物スプレーの噴霧
5 各種フッ化物局所応用の選択――複合応用について
1.年齢,う蝕罹患性とフッ化物局所応用
1)吐き出しができない低年齢児
2)吐き出しができる3歳ごろ
3)一定時間のうがいができる4,5歳
4)小・中学生
5)青年,成人
6)高齢者
資料1:臨床で用いられる徐放性フッ化物製剤
資料2:保険診療におけるフッ化物局所応用
II.各場面におけるフッ化物局所応用
1 診療室の実際
1.診療室におけるフッ化物応用の要件
2.診療室におけるフッ化物応用の位置づけ
1)予防対象者のすべてがフッ化物の適応者
2)長期に継続して応用することが必須条件
3)長期に継続して来院してもらうために
4)予防や健康づくりの主役は来院者自身
5)プロフェッショナルケアとセルフケアにより予防効果アップ
3.フッ化物応用による予防システムの概要
1) 乳幼児期(0〜3歳)のフッ化物応用
2)4〜12歳の幼児・学童期のフッ化物応用
3) 13〜19歳の少年期から青年前期のフッ化物応用
4)青年期以降のフッ化物応用
4.フッ化物洗口を継続させるために
1)歯科医院側の努力――洗口液の補充を忘れない
2)来院者側の努力――歯科医院のバックアップが大切
5.まとめ
2 地域の実際
1.う蝕の治療から予防へ――フッ化物応用を選択するまで
1) 無歯科医村に診療所開設
2) あふれるう蝕の予防は必然
3)有効な予防手段「フッ化物洗口」の選択
2.地域におけるフッ化物洗口実施への合意形成
1)実施目前に起こった反対運動
2)アンケートにみる保護者側の意向
3)まずは「地域に出る」ことから
4)フッ化物歯面塗布からのスタート
5)「知ってもらう」「みてもらう」このと大切さ
3.保留後の再チャレンジ
1)フッ化物洗口実施に向かって再スタート
2)具体的準備――保護者あての資料配付
4.フッ化物洗口の実施スタート
1)無理のないかたちで導入
2)参加は納得のうえで
5.継続の鍵となるもの
1)園,小・中学校職員の努力
2)行政の支援
3)自由参加
6.笹神村におけるう蝕有病状況の変化
1) 乳歯う蝕の低下にみる治療費の削減状況
2) 小児永久歯のう蝕有病状況の変化
7.まとめ:フッ化物の応用でう蝕のない口腔内を
1)う蝕のない天然歯の美しさを求めて
2)生涯にわたる歯の健康づくりへ
III.フッ化物応用―すすめるポイント,答えるポイント
1 フッ化物応用―Q&A-
2 フッ化物とは
1.フッ素とフッ化物
2.自然環境物質としてのフッ化物
1)自然界に存在するフッ化物
2)あらゆる食品に含まれているフッ化物
3)フッ化物は必須の有益元素
3.フッ化物の代謝と生理
1)身体に取り入れられたフッ化物とその排泄
2)身体の中のフッ化物
4.適正フッ化物摂取量
1)水道水の適正フッ化物濃度
2)フッ化物の適正な摂取量とその許容量
3 フッ化物応用とその働き
1.全身・局所応用とフッ化物の存在様式
1)全身応用
2)局所応用
3)歯質内外のフッ化物の存在様式
2.フッ化物のう蝕予防メカニズム
1) う蝕の発生(脱灰と再石灰化)
2)初期う蝕について
3)フッ化物の脱灰抑制作用
4)フッ化物の再石灰化促進作用
5)高濃度フッ化物の作用
4 う蝕予防とフッ化物応用の歴史
1.人の暮らしのなかから生まれたう蝕予防のためのフッ化物応用
1)“ヒトにとって不利益な“奇妙な歯の発見とその原因調査(I期)
2)“ヒトにとって有益な”フッ化物濃度の推定(II期)
3)フッ化物応用の研究(III期)
4)各種フッ化物応用の普及へ(IV期)
2.日本のフッ化物応用の歴史と現状
1)斑状歯の調査
2)日本の水道水フッ化物添加
3)日本におけるフッ化物局所応用の現状
3.フッ化物応用の反対論
資料3:数字でみるフッ化物
フッ化物の過量摂取に対する救急処置
用語解説
文献
参考資料,参考図書,関連サイト
索引
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執筆者一覧
はじめに
この本の使い方
I.各種のフッ化物局所応用
1 フッ化物歯面塗布
1.フッ化物歯面塗布の種類と使用製剤
1)歯ブラシ法
2)綿球法
2.フッ化物歯面塗布の実際
1)対象年齢
2)実施頻度
3)フッ化物歯面塗布の手順
4)フッ化物歯面塗布後の注意事項
3.フッ化物歯面塗布のう蝕予防効果
1)乳歯う蝕を半分以下に予防
2)永久歯にも効果的
4.フッ化物歯面塗布の使用製剤量と安全性
1)ゲル,溶液の使用量の注意
2)歯のフッ素症について
2 フッ化物洗口
1.フッ化物洗口に使われるフッ化物の種類
1) 製品化されている洗口剤
2)フッ化ナトリウム粉末
2.フッ化物洗口の実際
1) 対象年齢
2)効果的な実施頻度
3)実施手順(家庭編)
4)実施手順(保育園・幼稚園,小・中学校編)
3.フッ化物洗口のう蝕予防効果
1) 永久歯う蝕を半分以下に予防
2)成人,高齢者のう蝕予防にも効果を発揮
3)う蝕予防効果の持続
4)平滑面,前歯において特に高いう蝕予防効果
5)費用の面でも効率のよい方法
3 フッ化物配合歯磨剤の利用
1.フッ化物配合歯磨剤
1)日本の歯磨剤の約8割がフッ化物配合
2.フッ化物配合歯磨剤を効果的に利用するために
1)対象年齢
2)使用回数
3)歯磨剤の量
4)うがいの回数
5)歯磨き後の注意点
3.フッ化物配合歯磨剤のう蝕予防効果
1)乳歯う蝕について
2)根面う蝕について
4 低年齢児への家庭内フッ化物応用
1.低年齢児への家庭内フッ化物応用とは
1) 対象年齢
2) 種類と使用製剤
3)応用回数と使用量
2.低濃度(100ppmF)のフッ化物溶液による歯磨き
1)溶液の作製
2)歯磨きの実際
3)う蝕予防効果
4)溶液の渡し方と家庭での保管
3.泡状のフッ化物配合歯磨剤の塗布
4.フッ化物スプレーの噴霧
5 各種フッ化物局所応用の選択――複合応用について
1.年齢,う蝕罹患性とフッ化物局所応用
1)吐き出しができない低年齢児
2)吐き出しができる3歳ごろ
3)一定時間のうがいができる4,5歳
4)小・中学生
5)青年,成人
6)高齢者
資料1:臨床で用いられる徐放性フッ化物製剤
資料2:保険診療におけるフッ化物局所応用
II.各場面におけるフッ化物局所応用
1 診療室の実際
1.診療室におけるフッ化物応用の要件
2.診療室におけるフッ化物応用の位置づけ
1)予防対象者のすべてがフッ化物の適応者
2)長期に継続して応用することが必須条件
3)長期に継続して来院してもらうために
4)予防や健康づくりの主役は来院者自身
5)プロフェッショナルケアとセルフケアにより予防効果アップ
3.フッ化物応用による予防システムの概要
1) 乳幼児期(0〜3歳)のフッ化物応用
2)4〜12歳の幼児・学童期のフッ化物応用
3) 13〜19歳の少年期から青年前期のフッ化物応用
4)青年期以降のフッ化物応用
4.フッ化物洗口を継続させるために
1)歯科医院側の努力――洗口液の補充を忘れない
2)来院者側の努力――歯科医院のバックアップが大切
5.まとめ
2 地域の実際
1.う蝕の治療から予防へ――フッ化物応用を選択するまで
1) 無歯科医村に診療所開設
2) あふれるう蝕の予防は必然
3)有効な予防手段「フッ化物洗口」の選択
2.地域におけるフッ化物洗口実施への合意形成
1)実施目前に起こった反対運動
2)アンケートにみる保護者側の意向
3)まずは「地域に出る」ことから
4)フッ化物歯面塗布からのスタート
5)「知ってもらう」「みてもらう」このと大切さ
3.保留後の再チャレンジ
1)フッ化物洗口実施に向かって再スタート
2)具体的準備――保護者あての資料配付
4.フッ化物洗口の実施スタート
1)無理のないかたちで導入
2)参加は納得のうえで
5.継続の鍵となるもの
1)園,小・中学校職員の努力
2)行政の支援
3)自由参加
6.笹神村におけるう蝕有病状況の変化
1) 乳歯う蝕の低下にみる治療費の削減状況
2) 小児永久歯のう蝕有病状況の変化
7.まとめ:フッ化物の応用でう蝕のない口腔内を
1)う蝕のない天然歯の美しさを求めて
2)生涯にわたる歯の健康づくりへ
III.フッ化物応用―すすめるポイント,答えるポイント
1 フッ化物応用―Q&A-
2 フッ化物とは
1.フッ素とフッ化物
2.自然環境物質としてのフッ化物
1)自然界に存在するフッ化物
2)あらゆる食品に含まれているフッ化物
3)フッ化物は必須の有益元素
3.フッ化物の代謝と生理
1)身体に取り入れられたフッ化物とその排泄
2)身体の中のフッ化物
4.適正フッ化物摂取量
1)水道水の適正フッ化物濃度
2)フッ化物の適正な摂取量とその許容量
3 フッ化物応用とその働き
1.全身・局所応用とフッ化物の存在様式
1)全身応用
2)局所応用
3)歯質内外のフッ化物の存在様式
2.フッ化物のう蝕予防メカニズム
1) う蝕の発生(脱灰と再石灰化)
2)初期う蝕について
3)フッ化物の脱灰抑制作用
4)フッ化物の再石灰化促進作用
5)高濃度フッ化物の作用
4 う蝕予防とフッ化物応用の歴史
1.人の暮らしのなかから生まれたう蝕予防のためのフッ化物応用
1)“ヒトにとって不利益な“奇妙な歯の発見とその原因調査(I期)
2)“ヒトにとって有益な”フッ化物濃度の推定(II期)
3)フッ化物応用の研究(III期)
4)各種フッ化物応用の普及へ(IV期)
2.日本のフッ化物応用の歴史と現状
1)斑状歯の調査
2)日本の水道水フッ化物添加
3)日本におけるフッ化物局所応用の現状
3.フッ化物応用の反対論
資料3:数字でみるフッ化物
フッ化物の過量摂取に対する救急処置
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