やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

発刊の序
 1978年に関西地区歯科技工士学校連絡協議会の編集で発刊されて以来,『歯科技工学実習帳 矯正歯科技工学・小児歯科技工学』は幾度となく内容の追加や変更を繰り返しながら,関西地区以外においても多くの養成機関・学生に活用されてきた.その一方で,この間,歯科技工士教育においてさまざまな見直しがなされ,教育・指導の基準とされてきた教本(全国歯科技工士教育協議会編)は2006年に抜本的な改訂が行われ,「新歯科技工士教本」として刷新された.また,「歯科技工士国家試験出題基準」も見直され,2012年から新出題基準による国家試験が実施される予定である.そこで,「実習帳」についても現在の教育内容に沿ったものとするために再編集を行った.
 本書の編集にあたっては,各養成機関の実習内容の情報を収集するためにアンケートを行い,検討し,編集作業を開始した.アンケートの結果をみると,実習時間が限られているなかで,この分野に必要とされる線屈曲や鑞付け,常温重合レジンの築盛などの基本操作が必要とされる装置の製作を中心に行われていることがわかった.ただし,ほぼ全般的にこれまでの実習帳に記載されている内容の範囲であったため大きな変更はせず,実施の割合が高いものについて一部写真のリニューアルやイラストの修正を行った.なかには,実習を行っている養成機関は少ないが,「小児歯科技工」の乳歯冠のように,既製冠を特殊な技法を用いてより良好な適合・形態にする方法など今後も知識として伝えておきたい内容もあり,これらも一部残して発刊するに至った.また,記載内容は新教本にできる限り合わせ,わかりやすいものになるよう心がけた.ただ,養成機関によって使用材料や製作方法が多少異なることも予想されるため,注意点や用語説明の有無にかかわらず各ページに「check point」を設け,余白とともに学生自身がメモできるようなレイアウトとした.
 養成機関の減少に伴う諸事情により限られた人数の委員による編集作業となり,また,製作期間も限られていたこともあり,不十分な点もあろうかと思うが,大いに活用していただき,今後内容の充実をはかるためにもご意見・ご要望を賜り,次の改訂に備えたいと考える.
 平成23年3月
 関西北陸地区歯科技工士学校連絡協議会
 科目担当編集委員 浦野弘司(主担) 石田真里,大石直之,小城由佳,河崎一成,鈴木 寛,吉岡裕記
矯正歯科技工
 I 線屈曲と自在鑞付け
  a 線屈曲-(1)
   1 「A」の屈曲
   2 「B」の屈曲
   3 「C」の屈曲
   4 「D」の屈曲
  b 線屈曲-(2)
   1 Box loop
   2 Vertical loop
   3 T loop
   4 Active Ω loop
   5 L loop
  c 自在鑞付け
   1 鑞付け部の印記
   2 炎の調節
   3 鑞付け
   4 研磨
   5 完成
 II 唇・舌側弧線装置
  a 舌側弧線装置
   1 模型の製作
   2 維持バンドの調整
   3 作業用模型の製作
   4 維持チューブの鑞付け
   5 主線の設計
   6 維持装置の脚部の屈曲
   7 主線の屈曲
   8 主線と脚部の鑞付け
   9 補助弾線の鑞付け,屈曲
   10 研磨
   11 完成
  b 唇側弧線装置
   1 模型の製作
   2 維持バンドの調整
   3 作業用模型の製作
   4 頬面管の鑞付け
   5 唇側弧線の屈曲
   6 研磨
   7 完成
  c 顎間固定装置
   1 模型の製作
   2 維持バンドの調整
   3 作業用模型の製作
   4 舌側弧線装置の製作
   5 唇側弧線の製作
   6 フックの鑞付け
   7 ストッパーの鑞付け
   8 研磨
   9 完成
 III 床矯正装置
  a ホーレーの保定装置
   1 作業用模型の製作
   2 外形線の記入
   3 維持装置(接歯唇側線)の屈曲
   4 維持装置(アダムスのクラスプ)の屈曲
   5 レジン床の製作
   6 研磨
   7 完成
  b 咬合挙上板,咬合斜面板
   1 作業用模型の製作
   2 外形線の記入
   3 接歯唇側線の屈曲
   4 維持装置の屈曲
   5 レジン床の製作
   6 研磨
   7 完成
  c 拡大装置
   1 作業用模型の製作
   2 外形線の記入
   3 維持装置の屈曲
   4 拡大ネジの適合
   5 レジン床の製作
   6 研磨
   7 床の分割
   8 完成
 IV 機能的顎矯正装置(アクチバトール,F.K.O.)
   1 作業用模型の製作
   2 構成咬合採得
   3 咬合器装着
   4 外形線の記入
   5 誘導線の屈曲
   6 ワックス仮床の形成(上顎,下顎)
   7 誘導線の取り付け
   8 ワックスパターンの形成
   9 埋没,重合
   10 研磨
   11 完成
 V リップバンパー
   1 模型の製作
   2 維持バンドの調整
   3 作業用模型の製作
   4 頬面管の鑞付け
   5 唇側弧線の屈曲
   6 ストッパーの製作
   7 バンパー(受圧板)の製作
   8 研磨
   9 完成
 VI 顎態模型
   1 印象採得
   2 石膏の注入
   3 計測
   4 基底部の石膏追加
   5 模型の調整
   6 歯肉頬移行部,各小帯部の調整
   7 模型の乾燥
   8 ソーピング
   9 完成
小児歯科技工
 I 乳歯冠
   1 作業用模型の製作
   2 咬合器装着
   3 歯型の製作
   4 ゴムリング内での印象
   5 メロットの注入
   6 メロットダイの完成
   7 陰型の製作
   8 メロットの割り出し
   9 乳歯用既製金属冠の選択
   10 咬合面の打ち出し
   11 歯頸部の調整
   12 乳歯冠全体の打ち出し
   13 歯頸部の適合・研磨
   14 完成
 II 保隙装置
  a クラウンループ保隙装置
   1 模型の製作
   2 乳歯冠の製作
   3 作業用模型の製作
   4 設計
   5 リリーフ
   6 ループの屈曲
   7 鑞付け
   8 研磨・完成
  b ディスタルシュー保隙装置
   1 作業用模型の製作
   2 乳歯冠の製作
   3 シューの設計
   4 ディスタルシューの製作
   5 ディスタルシューの適合
   6 固定・埋没
   7 鑞付け
   8 研磨・完成
  c 可撤保隙装置(小児義歯)
   1 作業用模型の製作
   2 咬合器装着
   3 床外形線の設計
   4 維持装置の製作
   5 人工歯排列
   6 歯肉形成
   7 床の製作
   8 研磨
   9 完成
  d 舌側弧線型保隙装置(リンガルアーチ)
   1 作業用模型の製作
   2 維持バンドの製作
   3 主線の設計
   4 主線の屈曲
   5 固定・埋没
   6 鑞付け
   7 研磨・完成
 III スペースリゲイナー
   1 作業用模型の製作
   2 外形線の設計
   3 維持装置の屈曲
   4 拡大ネジの固定
   5 床の重合
   6 床の分割
   7 研磨
   8 完成