やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社


 平成28年2月に実施された歯科技工士国家試験は,歯科技工士教育にとって念願の全国統一試験であった.それまでの歯科技工士国家試験は,国家資格でありながら,歯科技工士学校養成所の所在する都道府県ごとに実施されていた.そのため,都道府県によって試験の日時は異なり,試験問題については,出題基準はあるものの,出題形式,出題数,出題内容が試験を実施する都道府県によって異なっていた.この国家試験が,全国統一試験になったことは,私ども歯科技工士教育に携わるものにとって念願であっただけに感慨深いものであり,関係各位のご尽力に対して改めて敬意と感謝を申しあげる.また,国家試験が全国統一されたことで試験の実施時期,内容などが極めて公平,公正な試験となり,歯科技工士教育の「スタンダード化」ができたことは,今後の歯科技工士教育の向上のためにも大きな意味がある.平成29年2月には,2回目の全国統一試験として平成28年度歯科技工士国家試験が全国5会場で実施された.
 本問題集の構成は,国家試験実施要項と出題基準,平成27年度と平成28年度の国家試験問題(学説試験問題と実地試験問題),オリジナル問題さらに解答・解説編が別冊となっている.
 オリジナル問題は歯科理工学,歯の解剖学,顎口腔機能学,有床義歯技工学,歯冠修復技工学,矯正歯科技工学,小児歯科技工学,関係法規の全8教科で,十分にブラッシュアップを行った約2,000問の問題を収載している.
 歯科技工士学校養成所の学生にとって本問題集の使い方はいろいろ考えられるが,国家試験を受験するにあたり,まず出題基準を十分に確認していただき,基本的な知識は,授業と歯科技工士教本でしっかりと学び,自らの実力を試すため,さらに知識の整理として本問題集を活用されることが望ましいと考える.
 一方,教員の方々は,本問題集のオリジナル問題を単純に利用するだけでなく,より質の高い問題を作成するための基礎として有効に本問題集を活用していただき,学生の教育に役立てていただきたい.
 受験される皆さん方の健闘を祈念し,自信をもって次年度の国家試験に臨んでいただきたい.
 平成29年9月
 全国歯科技工士教育協議会会長 尾ア順男
国家試験実施要項と出題基準
  1.実施要項
  2.出題基準
国家試験問題
 平成27年度
  1.学説
  2.実地
 平成28年度
  1.学説
  2.実地
オリジナル問題
 歯科理工学
  1.歯科材料の性質
  2.印象材
  3.石膏
  4.ワックス
  5.レジン成形
  6.セラミック成形
  7.金属成形
  8.切削・研削・研磨
 歯の解剖学
  1.歯の概説
  2.永久歯の形態
  3.歯の発生
  4.歯と歯周組織
  5.歯の異常
  6.歯列と咬合
  7.頭蓋の骨
  8.口腔周囲の筋
  9.口腔
 顎口腔機能学
  1.顎口腔系の概説
  2.顎口腔系の形態
  3.下顎運動
  4.下顎位
  5.歯の接触様式
  6.咬合器
 有床義歯技工学
  1.有床義歯技工に関する生体の基礎知識
  2.全部床義歯の特性
  3.全部床義歯の印象採得に伴う技工操作
  4.全部床義歯の咬合採得に伴う技工操作
  5.全部床義歯の人工歯排列と歯肉形成
  6.全部床義歯の蝋義歯埋没とレジン重合
  7.全部床義歯の咬合器再装着および削合,研磨
  8.部分床義歯の特性
  9.部分床義歯の構成要素
  10.部分床義歯の印象採得に伴う技工操作
  11.部分床義歯の咬合採得に伴う技工操作
  12.クラスプ
  13.アタッチメント
  14.テレスコープ義歯
  15.バー
  16.部分床義歯の人工歯排列と歯肉形成
  17.部分床義歯の蝋義歯の埋没とレジン重合
  18.修理
  19.リベースとリライン
  20.オーバーデンチャー
  21.金属床義歯
 歯冠修復技工学
  1.歯冠修復技工学概要
  2.クラウンの概要と種類
  3.ブリッジの概要と種類
  4.クラウン・ブリッジの具備条件
  5.クラウン・ブリッジの技工操作
  6.ブリッジ
  7.インプラント(人工歯根)
 矯正歯科技工学
  1.矯正歯科治療の概説
  2.矯正歯科技工用器械・材料
  3.矯正歯科技工の基本的実技
  4.矯正用模型の製作
  5.矯正装置の必要条件と分類
  6.矯正装置の種類と製作
  7.保定装置
 小児歯科技工学
  1.歯・顎・顔面の成長発育
  2.小児の歯冠修復
  3.保隙装置
  4.スペースリゲーナー
  5.口腔習癖除去装置
  6.咬合誘導装置に用いる維持装置
 関係法規
  1.衛生行政
  2.歯科技工士法
  3.歯科医療関係法規