やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

最新歯科衛生士教本の監修にあたって―歯科衛生学の確立へ向けて―
 生命科学や科学技術を基盤とした医学・歯学の進歩により,歯科衛生士養成を目的とした教育内容の情報量は著しく増加し,医療分野の専門化と技術の高度化が進んでいます.この間,歯科衛生士の養成教育にも質的・量的な充実が要求され,たび重なる法制上の整備や改正が行われてきました.2005(平成17)年4月には,今日の少子高齢化の進展,医療の高度化・多様化など教育を取り巻く環境の変化に伴い,さらなる歯科衛生士の資質向上をはかることを目的として,歯科衛生士学校養成所指定規則の改正が行われ,2010(平成22)年にすべての養成機関で修業年限が3年制以上となり,2013(平成25)年3月の卒業生はすべて3年以上の教育を受けた者となりました.
 21世紀を担っていく歯科衛生士には,さまざまな課題が課せられています.今日では,健康志向の高まりや口腔機能の重要性が叫ばれるなか,生活習慣病としてのう蝕や歯周病はもちろん,全身疾患,摂食嚥下障害を有する患者や介護を要する高齢者の増加に対して,これまで以上に「口腔機能低下症」の診断や予防など食べる機能を重視し,口腔と全身の関係を考慮し他職種と連携しながら対応していくことが求められています.また,新しい歯科材料の開発やこれまで用いられてきたフッ化物製剤の濃度上限の変更があり,インプラントなどの高度先進医療が広く普及するに伴って患者のニーズも多様化しつつあり,それらの技術に関わるメインテナンスなどの新たな知識の習得も必須です.歯科衛生士には,こうした社会的ニーズに則したよりよい支援ができる視点と能力がますます必要になってきており,そのためには業務の基盤となる知識と技術の習得が基本となります.
 平成25年に設立50周年を迎えた全国歯科衛生士教育協議会では,このような社会的要請に対応すべく,活動の一環として,1972(昭和47)年,本協議会最初の編集となる「歯科衛生士教本」,1982(昭和57)年修業年限が2年制化された時期の「改訂歯科衛生士教本」,1991(平成3)年歯科衛生士試験の統一化に対応した「新歯科衛生士教本」を編集しました.そして今回,厚生労働省の「歯科衛生士の資質向上に関する検討会」で提示された内容および上記指定規則改正を踏まえ,本協議会監修の全面改訂版「最新歯科衛生士教本」を発刊するに至りました.
 本シリーズは,歯科衛生士の養成教育に永年携わってこられ,また歯科医療における歯科衛生士の役割などに対して造詣の深い,全国の歯科大学,歯学部,医学部,歯科衛生士養成機関,その他の関係機関の第一線で活躍されている先生方に執筆していただき,同時に内容・記述についての吟味を経て,歯科衛生士を目指す学生に理解しやすいような配慮がなされています.
 本協議会としては,歯科衛生士養成教育の充実発展に寄与することを目的として,2010(平成22)年3月に「ベーシック・モデル・カリキュラム」を作成し,3年制教育への対応をはかりました.その後,2012(平成24)年3月には,著しく膨大化した歯科衛生士の養成教育を「歯科衛生学」としてとらえ,その内容を精選し,歯科衛生士としての基本的な資質と能力を養成するために,卒業までに学生が身に付けておくべき必須の実践能力の到達目標を提示した「歯科衛生学教育コア・カリキュラム」を作成したところです.今後の歯科衛生士教育の伸展と歯科衛生学の確立に向け,本シリーズの教育内容を十分活用され,ひいては国民の健康およびわが国の歯科保健・福祉・医療の向上におおいに寄与することを期待しています.
 最後に本シリーズの監修にあたり,多くのご助言とご支援,ご協力を賜りました先生方,ならびに全国の歯科衛生士養成機関の関係者に心より厚く御礼申し上げます.
 2020年3月
 一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会理事長
 眞木吉信


発刊の辞
 今日,歯科衛生士は,高齢社会に伴う医療問題の変化と歯科衛生士の働く領域の拡大などの流れのなか,大きな転換期に立たされています.基礎となる教育に求められる内容も変化してきており,社会のニーズに対応できる教育を行う必要性から2005(平成17)年4月に歯科衛生士学校養成所指定規則が改正され,歯科衛生士の修業年限は2年以上から3年以上に引き上げられ,2010年4月からは全校が3年以上となりました.
 また,「日本歯科衛生学会」が2006年11月に設立され,歯科衛生士にも学術研究や医療・保健の現場における活躍の成果を発表する場と機会が,飛躍的に拡大しました.さらに,今後ますます変化していく歯科衛生士を取り巻く環境に十分対応しうる歯科衛生士自身のスキルアップが求められています.
 「最新歯科衛生士教本」は上記を鑑み,前シリーズである「新歯科衛生士教本」の内容を見直し,現在の歯科衛生士に必要な最新の内容を盛り込むため,2003年に編集委員会が組織されて検討を進めてまいりましたが,発足以来,社会の変化を背景に,多くの読者からの要望が編集委員会に寄せられるようになりました.そこで,この編集委員会の発展継承をはかり,各分野で歯科衛生士教育に関わる委員を迎えて2008年から編集委員の構成を新たにし,改めて編集方針や既刊の教本も含めた内容の再点検を行うことで,発行体制を強化しました.
 本シリーズでは「考える歯科衛生士」を育てる一助となるよう,読みやすく理解しやすい教本とすることを心がけました.また,到達目標を明示し,用語解説や歯科衛生士にとって重要な内容を別項として記載するなど,新しい体裁を採用しています.
 なお,重要と思われる事項については,他分野の教本と重複して記載してありますが,科目間での整合性をはかるよう努めています.
 この「最新歯科衛生士教本」が教育で有効に活用され,歯科衛生士を目指す学生の知識修得,および日頃の臨床・臨地実習のお役に立つことを願ってやみません.
 2020年3月
 最新歯科衛生士教本編集委員会
 松井恭平* 合場千佳子 遠藤圭子 栗原英見 高阪利美
 白鳥たかみ 高見佳代子 田村清美 畠中能子 藤原愛子
 前田健康 眞木吉信 松田裕子 山田小枝子
 (*編集委員長,五十音順)


第2版 執筆の序
 日本で歯科衛生士の教科書としてはじめて出版されたのは,1957(昭和32)年『歯科実技叢書 口腔衛生実技(通称赤本)』でした.その後,『口腔衛生実技』を土台として,実技訓練を体系化した「指導の手引」として,『歯科衛生士教本 歯科予防処置(通称青本)』が1975〜1982年の約8年にわたり歯科衛生士教育に使用されました.この教本は1983年に『歯科衛生士教本 予防的歯石除去法』として書名を変え,キュレット型スケーラーの操作方法を加え,13年間歯科衛生士の教科書として使用されました.さらに,1995年には『新歯科衛生士教本 歯科予防処置』として刷新され17年間もの長きにわたり歯科衛生士教育を支えました.また,1993年から歯科衛生士国家試験が全国統一化され歯科衛生士養成校も増加し6,700余名もの新卒者が誕生する時代へと変わりました.
 一方,社会では超高齢社会を迎え,従来型の治療中心の医療ではなく予防中心の医療へと変革を求められ,cureからcareへと転換し自分自身で自らの健康を守るセルフケアの時代に入り,歯科衛生士教本も2011年に「歯科衛生過程」を取り入れ,「歯科予防処置」「歯科保健指導」は切り離すことはできないため合冊され,現在9年目を迎えた『最新歯科衛生士教本 歯科予防処置論・歯科保健指導論』は2017年から改訂を進めるべく会議を重ね,2020年に第2版を出版することとなりました.
 改訂された主な内容は,「歯科衛生士国家試験出題基準」の改定に伴い不足事項を補い,歯科衛生士教育養成校からの強い要望のあったキュレット型スケーラーの種類と操作法を含め,全身疾患の基礎知識,コミュニケーションスキル,非感染性疾患,大規模災害における対応など新規項目を起こしました.また,食生活指導のための基礎知識,健康教育,虐待,フレイルとの関連性の項目を見直し,充実を図りました.さらに,文章だけでは理解の難しい器具の操作を動画にしました.
 日本に歯科衛生士が誕生し72年が経過し,歯科衛生士教本も人口構造や社会制度,医療保険制度の仕組みの変革と共に改変する必要があります.世の中の価値観の変化は,医療においても同様で,病気を治すことに重点を置いた治療から病気にならないように予防治療にシフトしているこの時代だからこそ,歯科衛生士の活躍する場が大きく広がっています.こうした社会の要請に応えるために,歯科医療の基礎知識,歯科衛生の専門的技術,医療連携に関わる他職種の専門的分野の知識などを習得し,科学的な思考を養う歯科衛生士教育でなければなりません.口の中で起こっている物事の本質をつかむ力と現象と物事の相互関係を知り,正しく分析し,その結果を判断するためには,観察データから推論し仮説を立て,検証していくという科学的思考が要求されます.歯科衛生業務を展開するために,この科学的な根拠を裏づける力が歯科衛生士に必要とされます.そのために歯科衛生士教本は必携です.本書が多くの学生の皆さんや臨床で活躍する歯科衛生士の諸姉にも活用されれば幸甚です.
 2020年3月
 執筆者代表 高阪利美


第1版 執筆の序
 歯科衛生士の修業年限は,5年間の移行期間を経て,2010(平成22)年から全国一斉に3年以上となりました.高齢社会の到来,歯科保健医療をとりまく環境の変化も加わり,多様な患者のニーズに応じた歯科保健医療を提供できるよう,修業年限の延長を機に,歯科衛生士教育の充実をはかっていく必要があります.
 歯科衛生士の主要な業務とされる「歯科予防処置」,「歯科保健指導」,「歯科診療の補助」は,歯科衛生士法に定められる業務範囲の解釈がまだ十分に整備されていないのが現状です.しかし,歯科保健医療に関する社会的ニーズを満たすためには,よりいっそう歯科衛生士の専門性が必要とされると考えられ,これらの教育内容は,さらに充実したものとしていくべきと考えます.
 最新歯科衛生士教本『歯科予防処置論・歯科保健指導論』では,一方的な知識,技術の教授に終わることなく,人びとのニーズに科学的な根拠をもって応えられるように,「歯科衛生過程」の考え方に基づいた内容を盛り込んであります.この「歯科衛生過程」は従来の歯科衛生士教育にはなかった分野ですが,健康な生活を支援する歯科衛生士に必要なスキルであるために,最新教本に取り入れるよう努力をしました.具体的には,歯科衛生アセスメント,歯科衛生診断,歯科衛生計画立案,歯科衛生介入,歯科衛生評価の5つの要素から構成されています.これらを実践するためには,問題解決能力とクリティカルシンキングを身につけることが必要になります.
 また,本科目は従来の新歯科衛生士教本では『歯科予防処置』『歯科保健指導』の2冊に分かれておりました.それぞれ,技術的な内容が中心となっており,歯科予防処置では16年間,歯科保健指導では17年間の長きにわたり使用されてきました.本教本では,歯科衛生業務の中心となる「歯科予防処置」「歯科保健指導」を歯科衛生過程に則して整理しましたが,5つの構成要素においても両者は切り離すことができないため,今回は一冊にまとめました.
 本書では,編集委員をはじめとする30名を超える歯科衛生士らが執筆を担当し,日頃の教育や臨床で必要とされる内容や資料を盛り込みました.また,日進月歩の歯科保健医療,歯科衛生士教育に鑑み,何度も編集作業をやりなおしましたが,そのたびに資料収集や加筆修正していただいた労力と時間は,はかりしれないものがあります.このように多くの執筆者のご協力なくして,この教本の完成はありえませんでした.編集・執筆に関わっていただいたすべての方がたに深く感謝申し上げます.
 本書が,今後の歯科衛生士教育の充実のために役立つことを願うとともに,将来の歯科衛生士の活躍の礎となることを願っています.
 2011年4月
 執筆者代表 高阪利美
I編 総論
 1章 歯科予防処置論・歯科保健指導論の概要
  (1)―歯科予防処置・歯科保健指導の必要性
  (2)―歯科予防処置・歯科保健指導の定義
  (3)―歯科衛生士法における歯科予防処置・歯科保健指導の位置づけ
   1.歯科衛生業務
   2.歯科予防処置
    1)歯周病予防処置
    2)う蝕予防処置
   3.歯科保健指導
    1)健康教育
    2)行動科学
    3)行動変容
    4)歯科保健指導
  (4)―健康の概念
   1.健康の考え方
    1)健康の定義
    2)プライマリヘルスケア
    3)ヘルスプロモーション
    4)口腔健康管理
    Coffee Break Oral Health Care??「口腔ケア」って何?
   2.日本の健康増進施策
    1)健康日本21(第二次)
  (5)―予防の概念
   1.第一次予防
    1)健康増進
    2)特異的防御
   2.第二次予防
    1)早期発見・即時処置
    2)機能喪失阻止
   3.第三次予防
    1)リハビリテーション
II編 歯科予防処置・歯科保健指導の基礎知識
 1章 口腔の基礎知識
  (1)―口腔・口腔周囲の構造
   1.歯
   2.歯肉
   3.舌
   4.小帯
   5.口蓋
   6.顎関節
   7.咽頭,喉頭
   8.唾液腺
  (2)―歯周組織
   1.歯肉
    1)歯間乳頭
    2)遊離歯肉(辺縁歯肉)
    3)付着歯肉
   2.歯根膜(歯周靱帯)
   3.歯槽骨
   4.セメント質
  (3)―歯冠と歯根の形態
   1.永久歯
    1)切歯
    2)犬歯
    3)小臼歯・大臼歯
   2.乳歯
  (4)―口腔の機能
   1.口腔機能
    1)摂食嚥下機能
    2)発声,構音機能
    3)運動機能(咬合,下顎運動,舌運動,咀嚼)
    4)感覚機能(味覚)
    5)唾液分泌機能
    6)呼吸機能(運動)
   2.摂食嚥下の仕組み
    1)先行期
    2)準備期
    3)口腔期
    4)咽頭期
    5)食道期
 2章 う蝕と歯周病の基礎知識
  (1)―口腔内の付着物・沈着物
   1.ペリクル(獲得被膜)
   2.マテリアアルバ(白質)
   3.食物残渣
   4.プラーク(歯垢)
    Coffee Break バイオフィルムとは?
    1)成分
    2)分類
   5.歯石
    1)成分
    2)分類
   6.色素沈着(ステイン)
    1)分類
   7.舌苔
  (2)―う蝕
   1.う蝕とは
   2.う蝕の分類
    1)重症度による分類
    2)進行度による分類
    3)う蝕が生じた歯面の部位による分類
    4)う蝕に罹患した組織(病理組織学的)による分類
    5)原発性もしくは再発性による分類
   3.う蝕の原因
    Coffee Break 表層下脱灰とは?
    1)口腔細菌
    2)発酵性糖質
    3)宿主と歯
  (5)―歯周病
   1.歯周病とは
   2.歯周病の分類
    1)日本歯周病学会による歯周病分類システム(2006)
    Coffee Break 象牙質知覚過敏症とは?
    2)保険診療による分類
   3.歯肉炎と歯周炎の臨床的特徴
    1)歯肉炎
    2)歯周炎
    3)咬合性外傷
   4.歯肉炎・歯周炎の進行プロセス
   5.歯周病の原因
    1)口腔細菌
    2)宿主
    3)環境
   6.歯周病が影響を与える疾患
 3章 食生活指導のための基礎知識
  (1)―国民の健康と栄養の現状
   1.わが国における国民の健康課題
    1)国民健康・栄養の現況
    2)肥満とやせの状況
    3)高齢者の低栄養
   2.エネルギー・栄養素・食品摂取の変遷
    1)エネルギー摂取量と栄養素摂取量の変化
    2)食塩の摂取量
    3)カルシウムの摂取量
    4)野菜・食物繊維の摂取量
    5)料理・食事パターンと個人の食行動の多様性
   3.近年の食生活の特徴
    1)若年層に目立つ朝食欠食
    2)減らない“コ”食
    3)増えた外食,増え続ける中食
  (2)―栄養素の役割
   1.栄養と栄養素
   2.栄養素の機能
    1)熱量(エネルギー)素
    2)構成素
    3)調整(調節)素
  (3)―栄養素の働き
   1.糖質(炭水化物)
    1)糖質の種類
    2)単糖類
    3)少糖類
    4)多糖類
   2.脂質
    1)単純脂質と中性脂肪
    2)複合脂質,誘導脂質
   3.タンパク質
    1)タンパク質の化学構造
    2)タンパク質の分類
    3)タンパク質の変性
    4)タンパク質の栄養価
   4.ビタミン
    1)脂溶性ビタミン
    2)水溶性ビタミン
   5.ミネラル
    1)カルシウムとリン
    2)ナトリウムとカリウム
    3)鉄
    4)マグネシウム
    5)銅
    6)マンガン
    7)亜鉛
    8)ヨウ素
   6.水
   7.食物繊維
    Coffee Break 「栄養」としてのフッ化物応用の健全な考え方
  (4)―栄養素の消化・吸収
   1.消化作用の仕組みと種類
    1)消化器
    2)消化作用の仕組み
    3)消化作用の種類
   2.栄養素の消化と吸収
    1)栄養素の消化
    2)栄養素の吸収
  (5)―食事摂取基準
  (6)―食品とう蝕誘発性
   1.う蝕は食生活習慣病
   2.ショ糖とう蝕の関連性
    1)ショ糖はう蝕の原因物質
    2)ショ糖の摂取量とう蝕との関係
    3)ショ糖の摂取頻度とう蝕との関係
   3.食品のう蝕誘発性
    1)潜在脱灰能
    2)う蝕誘発能指数(CPI)
   4.代用甘味料
    1)糖アルコール
    2)オリゴ糖(少糖類)
    3)アミノ酸系
    4)配糖体系
    5)化学合成系
   5.う蝕予防のための食品の摂取方法
    Coffee Break う蝕予防とシュガーレスガム
  (7)―歯周病と食生活
  (8)―酸蝕症と食生活
  (9)―咀嚼と食品
   1.咀嚼
    1)咀嚼の定義
    2)咀嚼の目的
    3)咀嚼の仕組み
    4)咀嚼機能の発達
    5)咀嚼の効用
   2.食生活と咀嚼
  (10)―特別用途食品と保健機能食品
   1.特別用途食品
   2.保健機能食品
 4章 保健行動支援のための基礎知識
  (1)―行動変容に関連する理論
   1.健康信念モデル
   2.学習理論(オペラント条件づけ)
   3.社会的認知理論(自己効力感)
   4.行動変容ステージモデル
    1)行動変容ステージ
    2)行動変容プロセス
    3)意思決定バランス
    4)行動変容のための自己効力感
  (2)―行動変容を促す理論の実践
   1.ストレスとストレス・コーピング
   2.認知行動療法
    1)認知行動療法とは
    2)動機づけ面接
III編 歯科予防処置・歯科保健指導各論
 1章 歯科衛生過程の進め方
  (1)―歯科衛生過程の概要
   1.歯科衛生過程とは
   2.歯科衛生過程の6つの構成要素
    Coffee Break 歯科衛生過程
   3.歯科衛生過程を進めるうえで重要な考え方
    1)クリティカルシンキング
    Clinical Point 歯科衛生過程は問題解決法を応用した思考過程の筋道
    2)臨床推論
   4.歯科衛生士の視点による問題解決
    Coffee Break クリティカルシンキング
    1)ニード理論について
    2)DarbyとWalshの歯科衛生ヒューマンニーズ概念モデル
    3)国際生活機能分類(ICF)
    4)口腔関連QOL尺度を用いた歯科衛生モデル
    5)PRECEDE-PROCEED(MIDORI)モデル
    6)動機づけ面接
    7)クライアント・セルフケア・コミットメントモデル
  (2)―歯科衛生過程の各構成要素
   1.歯科衛生アセスメント
    1)情報収集
    2)情報の種類
    3)アセスメント時のツール
    4)情報の解釈・分析
    Coffee Break 日本と米国の歯科衛生業務
   2.歯科衛生診断
    1)歯科衛生診断
    2)情報の統合
    3)歯科衛生診断のタイプ
    4)歯科衛生診断句(問題の状態・状況)の構造
    5)原因句の特徴
    6)歯科衛生診断文の表し方
    7)歯科衛生診断文作成のプロセス
    Coffee Break在型から問題焦点型へ
    Coffee Break 診断句と原因句
    8)歯科衛生診断文を書くときのポイント
    9)優先順位
   3.歯科衛生計画
    1)期待される結果(ゴール目標)が目指すもの
    2)目標の種類と目標設定のプロセス
    3)計画の立案
   4.歯科衛生介入(実施)
    1)歯科衛生介入(実施)とは
    2)「SOAP」形式による実施記録
    Coffee Break 目標は具体的に設定する
    3)「SOAP」記載時のルール
   5.歯科衛生評価
    1)歯科衛生評価
    Coffee Break 診療報酬体系に基づいて行う
   6.記録(書面化)
    Coffee Break 問題志向型診療録(POMR)
 2章 歯科衛生アセスメントとしての情報収集と情報処理
  (1)―患者(対象者)からの情報収集
   1.主観的情報の把握
    1)情報収集の目的
    2)情報収集の項目
    3)情報収集のポイント
   2.医療面接(メディカルインタビュー)
    1)問診と医療面接の違い
    2)医療面接の目的
  (2)―全身の健康状態の把握
   1.器質的,機能的問題の把握
   2.服薬状況の把握
  (3)―認知機能の把握
   1.認知機能の評価方法
    1)質問式スケール
    2)観察式スケール
  (4)―生活環境と生活背景の把握
   1.社会構造の変化への対応
   2.虐待への対応
  (5)―生活習慣の把握
   1.食習慣・喫煙・飲酒・睡眠・運動・ストレス
   2.保健行動
   3.受療行動
  (6)―口腔の器質的問題の把握
   1.口腔内の観察
   2.検査項目
    1)歯
    2)歯肉
    3)舌
    4)口腔粘膜
    5)唾液
    6)歯面の付着物・沈着物
    7)歯周ポケット
    8)歯の動揺度
    9)口臭
  (7)―口腔の機能的問題の把握
   1.観察による評価
    1)歯,咬合
    2)口腔衛生
    3)舌
    4)口唇・頬
    5)軟口蓋
    6)唾液
    7)義歯
    8)その他
   2.口腔機能の評価
    1)咀嚼機能の評価
    2)嚥下機能の検査
    3)口腔乾燥の検査
    4)舌圧の検査
    5)口腔の運動機能の検査
  (8)―分析のためのデータ
   1.指標
    1)口腔衛生状態の指数
    2)歯周疾患の指数
    3)う蝕の指標
   2.写真・画像
    1)口腔内写真
    2)エックス線写真
   3.歯周病に関連する検査
    1)唾液などを検体とする検査
   4.う蝕に関する検査(カリエスリスク・テスト)
    1)う蝕活動性とは
    2)う蝕活動性試験の意義,条件,目的
    3)う蝕発病因子の評価方法の種類と特徴
    4)う蝕活動性試験の実際
    5)う蝕活動性試験の評価結果に基づく予防と治療
 3章 歯科衛生介入としての歯科予防処置
  (1)―スケーリング・ルートプレーニング
   1.手用スケーラー
    1)構成
    2)基本設定
    3)スケーラーの種類と操作方法
    Coffee Break グレーシー型キュレット
    4)部位別操作法
    5)イリゲーション
    6)シャープニング
    Coffee Break 平行四辺形の砥石
   2.パワー(機械的)スケーラー
    1)音(周波数)の領域
    2)超音波スケーラー
    3)エア(音波)スケーラー
    4)パワースケーラー使用時の注意事項
    5)超音波スケーラーの操作方法
    6)術者保持のバキューム操作
    7)臨床における注意事項
    8)使用後の滅菌・消毒・メインテナンス
  (2)―歯面研磨・歯面清掃
   1.歯面研磨(ポリッシング)
    1)目的
    2)種類
    3)歯面研磨剤
    4)使用器材と操作方法
    5)臨床における注意事項
    6)注意を要する症例
   2.PTC,PMTC
    1)プロフェッショナルトゥースクリーニング
    2)プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング
    Coffee Break PTCとPMTC
   3.歯面清掃器
    1)エアポリッシャー
    2)サブソニックブラシシステム
  (3)―フッ化物の応用
   1.フッ化物局所応用によるう蝕予防法
   2.フッ化物歯面塗布
    1)フッ化物歯面塗布とは
    2)フッ化物の効果的な塗布時期と対象歯
    3)フッ化物歯面塗布の薬剤
    4)フッ化物溶液の保管と使用量の確認
    5)フッ化物歯面塗布の術式
    6)保健指導の際の注意点
    7)その他のフッ化物製剤
    8)世界的な視野からみたフッ化物歯面塗布の効果
   3.フッ化物洗口
    1)フッ化物洗口の特徴
    2)フッ化物洗口法の種類(毎日法,週1回法)
    3)フッ化物洗口の対象者と実施方法(フッ化物洗口ガイドライン)
    4)フッ化物洗口実施に関する注意事項
    5)フッ化物洗口によるう蝕予防効果と医療経済効果
    Coffee Break フッ化物洗口の6歳未満児への考え方
   4.フッ化物配合歯磨剤
    1)フッ化物配合歯磨剤の特徴
    2)フッ化物配合歯磨剤の見分け方
    3)フッ化物配合歯磨剤の新しい応用方法と考え方
    4)1,500ppmのフッ化物配合歯磨剤の承認
    5)フッ化物配合歯磨剤の効果的な使い方
    6)フッ化物応用の注意点
    7)フッ化物配合歯磨剤の効果
   5.フッ化物の毒性と急性中毒への対応
    1)急性中毒
    2)慢性中毒
    3)悪心・嘔吐発現フッ化物溶液量の算出法
   6.ライフステージ別のフッ化物局所応用
  (4)―小窩裂溝填塞法(フィッシャーシーラント)
   1.適応歯
   2.小窩裂溝填塞材
   3.術式
    1)器具・薬剤の準備
    2)レジン系小窩裂溝填塞材の術式
    3)セメント系小窩裂溝填塞材の術式(光重合型)
   4.器具・薬剤の取り扱いと管理方法
   5.小窩裂溝填塞後の指導
   6.臨床における注意事項
 4章 歯科衛生介入としての歯科保健指導
  (1)―口腔衛生管理に関わる指導
   1.ブラッシング
    1)歯ブラシ
    2)歯磨剤
    3)ブラッシングの方法
    Coffee Break RDA法
   2.その他の清掃方法
    1)デンタルフロス
    2)歯間ブラシ
    3)タフトブラシ
    4)粘膜ブラシ(口腔粘膜用ブラシ)
    5)スポンジブラシ
    6)舌ブラシ
    7)義歯用ブラシ
    8)口腔ケア用具
   3.洗口液・洗口剤
    1)種類
    2)基本的な使用法
    3)その他の使用法
   4.保湿剤
    1)種類
    2)基本的な使用法
    3)その他の使用法
  (2)―口腔機能管理に関わる指導
   1.口腔機能の発達に関連する指導
    1)「食べる」機能発達不全を改善するための指導・管理
    2)「話す」機能発達不全を改善するための指導・管理
    3)呼吸機能発達不全を改善するための指導・管理
   2.口腔機能の低下に関連する指導
    1)口腔衛生状態の不良を改善するための指導
    2)口腔乾燥を改善するための指導
    3)咬合力・咀嚼機能の低下を改善するための指導
    4)口唇の筋力低下や運動機能低下を改善する指導
    5)患者らへの説明と動機づけ
  (3)―生活習慣の指導
   1.非感染性疾患(NCDs)
    1)心臓血管病(循環器系疾患)
    2)がん
    3)慢性肺疾患(呼吸器系疾患)
    4)糖尿病
    5)高血圧症
    6)脂質異常症
   2.喫煙者に対する指導
    1)日本人の喫煙状況
    2)喫煙状況のアセスメント
    3)禁煙ステージのアセスメントと禁煙支援(サポート)のポイント
    4)禁煙治療
    5)健診・保健指導での禁煙支援の取り組み
  (4)―ストレスマネジメント
   1.ストレッサー
   2.認知的評価・対処能力
   3.ストレス反応に対する対処
    1)問題焦点コーピング
    2)情動焦点コーピング
IV編 対象別の歯科衛生介入
 1章 ライフステージに対応した歯科衛生介入
  (1)―妊産婦期
   1.妊産婦期の一般的特徴
   2.妊産婦の口腔の特徴
   3.妊産婦の歯科衛生介入
    1)プロフェッショナルケアの目標
    Coffee Break 歯周病の胎児への影響
    Coffee Break 低体重児出産
    2)セルフケアの目標
   4.妊産婦の栄養
    1)妊娠期の特徴と栄養
    2)授乳期の特徴と栄養
   5.妊娠期と授乳期の食事摂取基準
   6.妊娠期と授乳期の食生活指導
    1)妊娠期
    2)授乳期
  (2)―乳児期
   1.乳児期の一般的特徴(新生児期も含む)
   2.乳児期の口腔の特徴
   3.乳児期の歯科衛生介入
    1)プロフェッショナルケアの目標
    2)セルフケアの目標
    Coffee Break 卒乳
   4.乳児期の栄養
   5.離乳期の栄養摂取
    Coffee Break 乳糖不耐症と食物アレルギー
    1)離乳の意義
    2)離乳食の進め方の目安
   6.乳児期の食事摂取基準
   7.乳児期の食生活指導
    Coffee Break 哺乳反射
    1)離乳の開始
    Coffee Break イオン飲料とう蝕
    2)離乳の中期
    3)離乳の後期
    Coffee Break 授乳・離乳の支援ガイド
    4)離乳の完了期
  (3)―幼児期
   1.幼児期の一般的特徴
   2.幼児の口腔の特徴
   3.幼児期の歯科衛生介入
    1)プロフェッショナルケアの目標
    Coffee Break 子どもの歯ブラシによるのど突き事故
    2)セルフケアの目標
   4.幼児期の食生活の特徴と栄養
    1)幼児期前半
    Coffee Break 食育推進基本計画
    2)幼児期後半
   5.間食
   6.幼児期の食事摂取基準
   7.幼児期の食生活指導
  (4)―学齢期
   1.学齢期の一般的特徴
   2.学齢期の口腔の特徴
   3.学齢期の歯科衛生介入
    1)プロフェッショナルケアの目標
    2)セルフケアの目標
    3)コミュニティケアの目標
   4.学齢期の食生活の特徴と栄養
    1)摂食行動と摂食機能の発達
    2)健康と栄養の問題点
   5.学齢期における食育の重要性
   6.学齢期の食事摂取基準
   7.学齢期の食生活指導
    Coffee Break 食育とは
  (5)―青年期
   1.青年期の一般的特徴
   2.青年期の口腔の特徴
   3.青年期の歯科衛生介入
    1)望ましい歯科保健行動
    2)プロフェッショナルケアの目標
    3)セルフケアの目標
   4.青年期の食生活の特徴と栄養
    1)摂食行動と摂食機能の発達
    2)健康と栄養の問題点
   5.青年期の食事摂取基準
   6.青年期の食生活指導
  (6)―成人期
   1.成人期の一般的特徴
   2.成人期の口腔の特徴
   3.成人期の歯科衛生介入
    1)プロフェッショナルケアの目標
    Coffee Break ブレスローの7つの健康習慣
    2)セルフケアの目標
   4.成人期の食生活の特徴と栄養
    1)摂食行動
    2)栄養摂取の問題点
   5.成人期の食事摂取基準
   6.成人期の食生活と指導
   7.生活習慣予防と栄養指導
    1)肥満
    2)糖尿病
    3)脂質異常症
    4)高血圧
  (7)―老年期
   1.老年期の一般的特徴
   2.老年期の口腔の特徴
   3.老年期の歯科衛生介入
    1)プロフェッショナルケアの目標
    2)セルフケアの目標
    3)口腔機能低下症に対する指導
   4.老年期の食生活の特徴と栄養
   5.高齢者の低栄養の要因
   6.老年期の食事摂取基準
   7.老年期の食生活指導
    1)身体面
    2)薬剤性
    3)摂食嚥下障害
    4)認知症
   8.摂食嚥下障害と栄養
 2章 配慮を要する者への歯科衛生介入
  (1)―要介護高齢者
   1.要介護高齢者の一般的特徴
   2.要介護高齢者の口腔の特徴
    1)口腔の症状
    2)発生頻度の高い口腔疾患
   3.要介護高齢者の歯科保健指導
    1)歯科衛生介入の目標
    2)介護者によるケアの目標
   4.要介護高齢者の食生活の特徴と栄養
   5.要介護高齢者の食生活指導
    1)摂食能力,咀嚼機能の評価
    2)要介護高齢者の健康を守る食事
    3)食前後の口腔健康管理
    4)歯科医療の早期受診のすすめ
  (2)―障害児者
   1.障害児者の一般的特徴
   2.障害児者の口腔の特徴
    1)口腔の問題
    2)歯科的問題
   3.障害児者の歯科衛生介入
    1)プロフェッショナルケアの目標
    2)介護者によるケアの目標
   4.障害児者の食生活の特徴と栄養
  (3)―大規模災害被災者
   1.災害と避難施設
   2.災害時の歯科保健医療
   3.歯科保健医療のためのアセスメントと支援活動
    1)避難所における迅速アセスメント
    2)避難所アセスメント内容
    3)アセスメントに基づいた支援内容
    4)災害時に発生する歯科的問題
    5)避難者への保健指導(個別・小集団での対応)
   4.災害時の多職種連携について
V編 地域歯科保健活動における健康教育
 1章 地域歯科保健活動における健康教育
  (1)―健康教育の概要
   1.健康教育の目標
   2.事業として行われる健康教育
  (2)―健康教育の進め方
    Coffee Break PDCAサイクルを日常の歯科衛生業務に活用しよう!
  (3)―健康教育の方法
   1.受動的・能動的な方法
   2.媒体(教材)の活用
  (4)―健康教育の評価
   1.地域歯科保健の評価
    1)プロセス評価(過程)
    2)アウトプット評価(事業実施量)
    3)アウトカム評価(結果)
 2章 地域歯科保健活動のフィールド
  (1)―保育所(園)・幼稚園
   1.保育所(園)と幼稚園の教育課程
   2.健康教育
   3.学習指導案
    1)学習指導案作成
    2)健康教育のポイント
  (2)―学校(小学校・中学校・高等学校)
   1.学校の教育課程
   2.歯科保健指導
   3.学習指導案
    1)学習指導案作成
    Coffee Break 学習指導要領とは
    2)健康教育のポイント
    3)評価
  (3)―事業所
    Coffee Break 歯と口の健康週間
   1.特定健康診査・特定保健指導
   2.事業所
  (4)―保健所・市町村保健センター
   1.市町村における健康づくり
   2.地域支援事業における介護予防事業
    1)口腔機能向上事業
    2)実施場所
  (5)―地域・病院・施設
   1.病院
   2.施設

 付1 全身疾患の基礎知識
 付2 日本人の食事摂取基準(2020年版)
 付3 各種スケール