『歯科衛生学シリーズ』の誕生
全国歯科衛生士教育協議会が監修を行ってきた歯科衛生士養成のための教科書のタイトルを,従来の『最新歯科衛生士教本』から『歯科衛生学シリーズ』に変更させていただくことになりました.2022年度は新たに改訂された教科書2点を,2023年度からはすべての教科書のタイトルを『歯科衛生学シリーズ』とさせていただきます.
全衛協が監修及び編集を行ってきた教科書としては,『歯科衛生士教本』,『新歯科衛生士教本』,『最新歯科衛生士教本』があり,その時代にあわせて改訂・発刊をしてきました.しかし,これまでの『歯科衛生士教本』には「歯科衛生士」という職種名がついていたため,医療他職種からは職業としての「業務マニュアル」を彷彿させると,たびたび指摘されてきました.さらに,一部の歯科医師からは歯科衛生士の教育に学問は必要ないという誤解を生む素地にもなっていたようです.『歯科衛生学シリーズ』というタイトルには,このような指摘・誤解に応えるとともに学問としての【歯科衛生学】を示す目的もあるのです.
『歯科衛生学シリーズ』誕生の背景には,全国歯科衛生士教育協議会の2021年5月の総会で承認された「歯科衛生学の体系化」という歯科衛生士の教育および業務に関する大きな改革案の公開があります.この報告では,「口腔の健康を通して全身の健康の維持・増進をはかり,生活の質の向上に資するためのもの」を「歯科衛生」と定義し,この「歯科衛生」を理論と実践の両面から探求する学問が【歯科衛生学】であるとしました.【歯科衛生学】は基礎歯科衛生学・臨床歯科衛生学・社会歯科衛生学の3つの分野から構成されるとしています.また,令和4年には歯科衛生士国家試験出題基準も改定されたことから,各分野の新しい『歯科衛生学シリーズ』の教科書の編集を順次進めております.
教育年限が3年以上に引き上げられて,短期大学や4年制大学も2桁の数に増加し,「日本歯科衛生教育学会」など【歯科衛生学】の教育に関連する学会も設立され,【歯科衛生学】の体系化も提案された今,自分自身の知識や経験が整理され,視野の広がりは臨床上の疑問を解くための指針ともなり,自分が実践してきた歯科保健・医療・福祉の正当性を検証することも可能となります.日常の身近な問題を見つけ,科学的思考によって自ら問題を解決する能力を養い,歯科衛生業務を展開していくことが令和の時代に求められています.
2023年1月
一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会理事長
眞木吉信
最新歯科衛生士教本の監修にあたって─歯科衛生学の確立へ向けて─
生命科学や科学技術を基盤とした医学・歯学の進歩により,歯科衛生士養成を目的とした教育内容の情報量は著しく増加し,医療分野の専門化と技術の高度化が進んでいます.この間,歯科衛生士の養成教育にも質的・量的な充実が要求され,たび重なる法制上の整備や改正が行われてきました.2005(平成17)年4月には,今日の少子高齢化の進展,医療の高度化・多様化など教育を取り巻く環境の変化に伴い,さらなる歯科衛生士の資質向上をはかることを目的として,歯科衛生士学校養成所指定規則の改正が行われ,2010(平成22)年にすべての養成機関で修業年限が3年制以上となり,2013(平成25)年3月の卒業生はすべて3年以上の教育を受けた者となりました.
21世紀を担っていく歯科衛生士には,さまざまな課題が課せられています.今日では,健康志向の高まりや口腔機能の重要性が叫ばれるなか,生活習慣病としてのう蝕や歯周病はもちろん,全身疾患,摂食・嚥下障害を有する患者や介護を要する高齢者の増加に対して,これまで以上に予防や食べる機能を重視し,口腔と全身の関係を考慮し他職種と連携しながら対応していくことが求められています.また,新しい歯科材料の開発やインプラントなどの高度先進医療が広く普及するに伴って患者のニーズも多様化しつつあり,それらの技術に関わるメインテナンスなどの新たな知識の習得も必須です.歯科衛生士には,こうした社会的ニーズに則したよりよい支援ができる視点と能力がますます必要になってきており,そのためには業務の基盤となる知識と技術の習得が基本となります.
平成25年に設立50周年を迎えた全国歯科衛生士教育協議会では,このような社会的要請に対応すべく,活動の一環として,1972(昭和47)年,本協議会最初の編集となる「歯科衛生士教本」,1982(昭和57)年修業年限が2年制化された時期の「改訂歯科衛生士教本」,1991(平成3)年歯科衛生士試験の統一化に対応した「新歯科衛生士教本」を編集しました.そして今回,厚生労働省の「歯科衛生士の資質向上に関する検討会」で提示された内容および上記指定規則改正を踏まえ,本協議会監修の全面改訂版「最新歯科衛生士教本」を発刊するに至りました.
本シリーズは,歯科衛生士の養成教育に永年携わってこられ,また歯科医療における歯科衛生士の役割などに対して造詣の深い,全国の歯科大学,歯学部,医学部,歯科衛生士養成機関,その他の関係機関の第一線で活躍されている先生方に執筆していただき,同時に内容・記述についての吟味を経て,歯科衛生士を目指す学生に理解しやすいような配慮がなされています.
本協議会としては,歯科衛生士養成教育の充実発展に寄与することを目的として,2010(平成22)年3月に「ベーシック・モデル・カリキュラム」を作成し,3年制教育への対応をはかりました.その後,2012(平成24)年3月には,著しく膨大化した歯科衛生士の養成教育を「歯科衛生学」としてとらえ,その内容を精選し,歯科衛生士としての基本的な資質と能力を養成するために,卒業までに学生が身に付けておくべき必須の実践能力の到達目標を提示した「歯科衛生学教育コア・カリキュラム」を作成したところです.今後の歯科衛生士教育の伸展と歯科衛生学の確立に向け,本シリーズの教育内容を十分活用され,ひいては国民の健康およびわが国の歯科医療・保健の向上におおいに寄与することを期待しています.
最後に本シリーズの監修にあたり,多くのご助言とご支援,ご協力を賜りました先生方,ならびに全国の歯科衛生士養成機関の関係者に心より厚く御礼申し上げます.
2018年2月
一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会会長
眞木吉信
発刊の辞
今日,歯科衛生士は,高齢社会に伴う医療問題の変化と歯科衛生士の働く領域の拡大などの流れのなか,大きな転換期に立たされています.基礎となる教育に求められる内容も変化してきており,社会のニーズに対応できる教育を行う必要性から2005(平成17)年4月に歯科衛生士学校養成所指定規則が改正され,歯科衛生士の修業年限は2年以上から3年以上に引き上げられ,2010年4月からは全校が3年以上となりました.
また,「日本歯科衛生学会」が2006年11月に設立され,歯科衛生士にも学術研究や医療・保健の現場における活躍の成果を発表する場と機会が,飛躍的に拡大しました.さらに,今後ますます変化していく歯科衛生士を取り巻く環境に十分対応しうる歯科衛生士自身のスキルアップが求められています.
「最新歯科衛生士教本」は上記を鑑み,前シリーズである「新歯科衛生士教本」の内容を見直し,現在の歯科衛生士に必要な最新の内容を盛り込むため,2003年に編集委員会が組織されて検討を進めてまいりましたが,発足以来,社会の変化を背景に,多くの読者からの要望が編集委員会に寄せられるようになりました.そこで,この編集委員会の発展継承をはかり,各分野で歯科衛生士教育に関わる委員を迎えて2008年から編集委員の構成を新たにし,改めて編集方針や既刊の教本も含めた内容の再点検を行うことで,発行体制を強化しました.
本シリーズでは「考える歯科衛生士」を育てる一助となるよう,読みやすく理解しやすい教本とすることを心がけました.また,到達目標を明示し,用語解説や歯科衛生士にとって重要な内容を別項として記載するなど,新しい体裁を採用しています.
なお,重要と思われる事項については,他分野の教本と重複して記載してありますが,科目間での整合性をはかるよう努めています.
この「最新歯科衛生士教本」が教育で有効に活用され,歯科衛生士を目指す学生の知識修得,および日頃の臨床・臨地実習のお役に立つことを願ってやみません.
2018年2月
最新歯科衛生士教本編集委員会
松井恭平* 合場千佳子 遠藤圭子 栗原英見 高阪利美
白鳥たかみ 末瀬一彦 田村清美 戸原 玄 畠中能子
福島正義 藤原愛子 前田健康 眞木吉信 升井一朗
松田裕子 水上美樹 森崎市治郎 山田小枝子 山根 瞳
(*編集委員長,五十音順)
第2版 執筆の序
歯科衛生士教育において,薬理学の分野では,薬物の性質,薬理作用,作用機序および副作用を理解することが求められています.歯科衛生士は歯科臨床の場において多くの薬物に関わります.薬物から最大の効果を引き出し,使用するための知識を身につける必要があります.薬物は誤った使用法により,患者に対してだけでなく,使用する医療関係者に有害な作用を引き起こす危険性もあります.自分の身を守るためにも,正しい薬物の取り扱いを学ぶ必要があります.これらの知識は,服薬指導を行ううえでの基礎としても大切です.
近年は,高齢化に伴い高血圧,心筋梗塞,脳梗塞などの循環器疾患や,糖尿病などの基礎疾患をもち,多くの薬物を投与されている患者が歯科を受診する機会が増えています.歯科以外の治療で使われている薬が歯科治療に与える影響,その薬と歯科治療に使用する薬の相互作用に関する知識も必要であり,薬物全般に関して学ぶ必要があります.
薬理学を学ぶ意義は,身近なところにもあります.テレビや新聞では,毎日のようにさまざまな病気と治療薬について報道されています.現代社会では,薬物に関する知識は,生活の質を高めるのに役立ちます.歯科衛生士になるために学んだ薬理学の知識は,日常生活においても役に立つことでしょう.
薬理学は基礎と臨床の接点と言われます.薬理学を理解するためには基礎歯科医学に関する知識が必要です.また,薬理学の知識は臨床歯科医学を理解するベースになります.薬理学と関連する領域を有効に学べるように,この教本の各項目の間に,さらに,ほかの最新歯科衛生士教本シリーズの関連項目との間に,数多くのLinkをはり,容易に関連性がわかるようにしました.
本教本では,薬物名を日本薬局方に従って一般名で記載し,章の中で繰り返し出てくる場合はよく使用されている省略名を使用しました.また,歯科臨床でもよく使用される薬物には,代表的な商品名と登録商標には(R)のマークを記載しました.この教本が,将来にわたって手元に置かれて役立つ書となりましたら望外の喜びです.
この教本は,『最新歯科衛生士教本 薬理学』(第1版)および『新歯科衛生士教本 薬理学 第2版』の果たしてきた,歯科衛生士の薬理学教育における役割の延長にあります.参考にさせていただいた両教科書に敬意を表し,感謝申し上げます.
2018年2月
編集委員 鈴木邦明
第1版 執筆の序
薬理学は,薬物を生体に与えた場合に生体が現す反応を研究する科学です.また,疾病の治療,予防,診断における合理的な薬物療法の基盤となる研究を行い,知識を与えるのが薬理学・歯科薬理学です.薬理学の背景には解剖学,生理学,生化学,微生物学,病理学などがあり,これらの科目を包括した総合的な専門基礎科目であると同時に,臨床に直結する知識を得るという観点から,歯科臨床科目とも密接な関連があります.
これまで,人類はその知恵によって開発した薬物により,多くの恩恵を受けてきました.たとえば,人々を苦しめてきた細菌感染症の多くが抗菌薬などの登場によって克服されてきました.また薬物は,疾病の原因を取り除いたり,症状を和らげたりする目的で使用され,私達の生活に欠かせないものとなっています.一方で,薬物は決して好ましい作用ばかりをもたらすとは限らず,副作用や有害作用を引き起こさない薬物はありません.また,薬害エイズや薬害肝炎などの薬害による健康被害が社会問題となっています.すなわち,薬物の有用な作用だけでなく,副作用も認識したうえで,薬物を選択し投与していかなければなりません.そのためにも,薬の作用や身体における薬の働きを知る,薬理学の知識が非常に重要なものとなっています.そして,科学の進歩によって新しい薬物が次々と開発されていることから,最新の知識や治療法を学ぶだけでなく,新たな薬物に遭遇しても応用できるような基盤となる知識が必要となります.
近年では,歯科医院に来院する患者は健康な人であるとは限らず,むしろ高齢者など複数の疾患を有しているために多くの薬物を服用している患者のほうが多くなっています.そのため,歯科治療に使用される薬物だけではなく,全身疾患およびその治療薬を知り,それらの薬物と歯科で投薬されようとする薬物の相互作用などにも注意を払う必要があります.また,歯科衛生士自身は患者に投薬を行うことはありませんが,実際の臨床現場では,患者が服用している薬物を調べる機会は非常に多いと考えられます.このような観点から,本書では全身に作用する薬物などについても重点を置くように努めました.
本書が,歯科衛生士を含む医療関係者への教育だけではなく,実際の歯科医療における薬物療法を理解するうえで役立つことになれば望外の喜びです.
2008年2月
執筆者代表 王 宝禮
全国歯科衛生士教育協議会が監修を行ってきた歯科衛生士養成のための教科書のタイトルを,従来の『最新歯科衛生士教本』から『歯科衛生学シリーズ』に変更させていただくことになりました.2022年度は新たに改訂された教科書2点を,2023年度からはすべての教科書のタイトルを『歯科衛生学シリーズ』とさせていただきます.
全衛協が監修及び編集を行ってきた教科書としては,『歯科衛生士教本』,『新歯科衛生士教本』,『最新歯科衛生士教本』があり,その時代にあわせて改訂・発刊をしてきました.しかし,これまでの『歯科衛生士教本』には「歯科衛生士」という職種名がついていたため,医療他職種からは職業としての「業務マニュアル」を彷彿させると,たびたび指摘されてきました.さらに,一部の歯科医師からは歯科衛生士の教育に学問は必要ないという誤解を生む素地にもなっていたようです.『歯科衛生学シリーズ』というタイトルには,このような指摘・誤解に応えるとともに学問としての【歯科衛生学】を示す目的もあるのです.
『歯科衛生学シリーズ』誕生の背景には,全国歯科衛生士教育協議会の2021年5月の総会で承認された「歯科衛生学の体系化」という歯科衛生士の教育および業務に関する大きな改革案の公開があります.この報告では,「口腔の健康を通して全身の健康の維持・増進をはかり,生活の質の向上に資するためのもの」を「歯科衛生」と定義し,この「歯科衛生」を理論と実践の両面から探求する学問が【歯科衛生学】であるとしました.【歯科衛生学】は基礎歯科衛生学・臨床歯科衛生学・社会歯科衛生学の3つの分野から構成されるとしています.また,令和4年には歯科衛生士国家試験出題基準も改定されたことから,各分野の新しい『歯科衛生学シリーズ』の教科書の編集を順次進めております.
教育年限が3年以上に引き上げられて,短期大学や4年制大学も2桁の数に増加し,「日本歯科衛生教育学会」など【歯科衛生学】の教育に関連する学会も設立され,【歯科衛生学】の体系化も提案された今,自分自身の知識や経験が整理され,視野の広がりは臨床上の疑問を解くための指針ともなり,自分が実践してきた歯科保健・医療・福祉の正当性を検証することも可能となります.日常の身近な問題を見つけ,科学的思考によって自ら問題を解決する能力を養い,歯科衛生業務を展開していくことが令和の時代に求められています.
2023年1月
一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会理事長
眞木吉信
最新歯科衛生士教本の監修にあたって─歯科衛生学の確立へ向けて─
生命科学や科学技術を基盤とした医学・歯学の進歩により,歯科衛生士養成を目的とした教育内容の情報量は著しく増加し,医療分野の専門化と技術の高度化が進んでいます.この間,歯科衛生士の養成教育にも質的・量的な充実が要求され,たび重なる法制上の整備や改正が行われてきました.2005(平成17)年4月には,今日の少子高齢化の進展,医療の高度化・多様化など教育を取り巻く環境の変化に伴い,さらなる歯科衛生士の資質向上をはかることを目的として,歯科衛生士学校養成所指定規則の改正が行われ,2010(平成22)年にすべての養成機関で修業年限が3年制以上となり,2013(平成25)年3月の卒業生はすべて3年以上の教育を受けた者となりました.
21世紀を担っていく歯科衛生士には,さまざまな課題が課せられています.今日では,健康志向の高まりや口腔機能の重要性が叫ばれるなか,生活習慣病としてのう蝕や歯周病はもちろん,全身疾患,摂食・嚥下障害を有する患者や介護を要する高齢者の増加に対して,これまで以上に予防や食べる機能を重視し,口腔と全身の関係を考慮し他職種と連携しながら対応していくことが求められています.また,新しい歯科材料の開発やインプラントなどの高度先進医療が広く普及するに伴って患者のニーズも多様化しつつあり,それらの技術に関わるメインテナンスなどの新たな知識の習得も必須です.歯科衛生士には,こうした社会的ニーズに則したよりよい支援ができる視点と能力がますます必要になってきており,そのためには業務の基盤となる知識と技術の習得が基本となります.
平成25年に設立50周年を迎えた全国歯科衛生士教育協議会では,このような社会的要請に対応すべく,活動の一環として,1972(昭和47)年,本協議会最初の編集となる「歯科衛生士教本」,1982(昭和57)年修業年限が2年制化された時期の「改訂歯科衛生士教本」,1991(平成3)年歯科衛生士試験の統一化に対応した「新歯科衛生士教本」を編集しました.そして今回,厚生労働省の「歯科衛生士の資質向上に関する検討会」で提示された内容および上記指定規則改正を踏まえ,本協議会監修の全面改訂版「最新歯科衛生士教本」を発刊するに至りました.
本シリーズは,歯科衛生士の養成教育に永年携わってこられ,また歯科医療における歯科衛生士の役割などに対して造詣の深い,全国の歯科大学,歯学部,医学部,歯科衛生士養成機関,その他の関係機関の第一線で活躍されている先生方に執筆していただき,同時に内容・記述についての吟味を経て,歯科衛生士を目指す学生に理解しやすいような配慮がなされています.
本協議会としては,歯科衛生士養成教育の充実発展に寄与することを目的として,2010(平成22)年3月に「ベーシック・モデル・カリキュラム」を作成し,3年制教育への対応をはかりました.その後,2012(平成24)年3月には,著しく膨大化した歯科衛生士の養成教育を「歯科衛生学」としてとらえ,その内容を精選し,歯科衛生士としての基本的な資質と能力を養成するために,卒業までに学生が身に付けておくべき必須の実践能力の到達目標を提示した「歯科衛生学教育コア・カリキュラム」を作成したところです.今後の歯科衛生士教育の伸展と歯科衛生学の確立に向け,本シリーズの教育内容を十分活用され,ひいては国民の健康およびわが国の歯科医療・保健の向上におおいに寄与することを期待しています.
最後に本シリーズの監修にあたり,多くのご助言とご支援,ご協力を賜りました先生方,ならびに全国の歯科衛生士養成機関の関係者に心より厚く御礼申し上げます.
2018年2月
一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会会長
眞木吉信
発刊の辞
今日,歯科衛生士は,高齢社会に伴う医療問題の変化と歯科衛生士の働く領域の拡大などの流れのなか,大きな転換期に立たされています.基礎となる教育に求められる内容も変化してきており,社会のニーズに対応できる教育を行う必要性から2005(平成17)年4月に歯科衛生士学校養成所指定規則が改正され,歯科衛生士の修業年限は2年以上から3年以上に引き上げられ,2010年4月からは全校が3年以上となりました.
また,「日本歯科衛生学会」が2006年11月に設立され,歯科衛生士にも学術研究や医療・保健の現場における活躍の成果を発表する場と機会が,飛躍的に拡大しました.さらに,今後ますます変化していく歯科衛生士を取り巻く環境に十分対応しうる歯科衛生士自身のスキルアップが求められています.
「最新歯科衛生士教本」は上記を鑑み,前シリーズである「新歯科衛生士教本」の内容を見直し,現在の歯科衛生士に必要な最新の内容を盛り込むため,2003年に編集委員会が組織されて検討を進めてまいりましたが,発足以来,社会の変化を背景に,多くの読者からの要望が編集委員会に寄せられるようになりました.そこで,この編集委員会の発展継承をはかり,各分野で歯科衛生士教育に関わる委員を迎えて2008年から編集委員の構成を新たにし,改めて編集方針や既刊の教本も含めた内容の再点検を行うことで,発行体制を強化しました.
本シリーズでは「考える歯科衛生士」を育てる一助となるよう,読みやすく理解しやすい教本とすることを心がけました.また,到達目標を明示し,用語解説や歯科衛生士にとって重要な内容を別項として記載するなど,新しい体裁を採用しています.
なお,重要と思われる事項については,他分野の教本と重複して記載してありますが,科目間での整合性をはかるよう努めています.
この「最新歯科衛生士教本」が教育で有効に活用され,歯科衛生士を目指す学生の知識修得,および日頃の臨床・臨地実習のお役に立つことを願ってやみません.
2018年2月
最新歯科衛生士教本編集委員会
松井恭平* 合場千佳子 遠藤圭子 栗原英見 高阪利美
白鳥たかみ 末瀬一彦 田村清美 戸原 玄 畠中能子
福島正義 藤原愛子 前田健康 眞木吉信 升井一朗
松田裕子 水上美樹 森崎市治郎 山田小枝子 山根 瞳
(*編集委員長,五十音順)
第2版 執筆の序
歯科衛生士教育において,薬理学の分野では,薬物の性質,薬理作用,作用機序および副作用を理解することが求められています.歯科衛生士は歯科臨床の場において多くの薬物に関わります.薬物から最大の効果を引き出し,使用するための知識を身につける必要があります.薬物は誤った使用法により,患者に対してだけでなく,使用する医療関係者に有害な作用を引き起こす危険性もあります.自分の身を守るためにも,正しい薬物の取り扱いを学ぶ必要があります.これらの知識は,服薬指導を行ううえでの基礎としても大切です.
近年は,高齢化に伴い高血圧,心筋梗塞,脳梗塞などの循環器疾患や,糖尿病などの基礎疾患をもち,多くの薬物を投与されている患者が歯科を受診する機会が増えています.歯科以外の治療で使われている薬が歯科治療に与える影響,その薬と歯科治療に使用する薬の相互作用に関する知識も必要であり,薬物全般に関して学ぶ必要があります.
薬理学を学ぶ意義は,身近なところにもあります.テレビや新聞では,毎日のようにさまざまな病気と治療薬について報道されています.現代社会では,薬物に関する知識は,生活の質を高めるのに役立ちます.歯科衛生士になるために学んだ薬理学の知識は,日常生活においても役に立つことでしょう.
薬理学は基礎と臨床の接点と言われます.薬理学を理解するためには基礎歯科医学に関する知識が必要です.また,薬理学の知識は臨床歯科医学を理解するベースになります.薬理学と関連する領域を有効に学べるように,この教本の各項目の間に,さらに,ほかの最新歯科衛生士教本シリーズの関連項目との間に,数多くのLinkをはり,容易に関連性がわかるようにしました.
本教本では,薬物名を日本薬局方に従って一般名で記載し,章の中で繰り返し出てくる場合はよく使用されている省略名を使用しました.また,歯科臨床でもよく使用される薬物には,代表的な商品名と登録商標には(R)のマークを記載しました.この教本が,将来にわたって手元に置かれて役立つ書となりましたら望外の喜びです.
この教本は,『最新歯科衛生士教本 薬理学』(第1版)および『新歯科衛生士教本 薬理学 第2版』の果たしてきた,歯科衛生士の薬理学教育における役割の延長にあります.参考にさせていただいた両教科書に敬意を表し,感謝申し上げます.
2018年2月
編集委員 鈴木邦明
第1版 執筆の序
薬理学は,薬物を生体に与えた場合に生体が現す反応を研究する科学です.また,疾病の治療,予防,診断における合理的な薬物療法の基盤となる研究を行い,知識を与えるのが薬理学・歯科薬理学です.薬理学の背景には解剖学,生理学,生化学,微生物学,病理学などがあり,これらの科目を包括した総合的な専門基礎科目であると同時に,臨床に直結する知識を得るという観点から,歯科臨床科目とも密接な関連があります.
これまで,人類はその知恵によって開発した薬物により,多くの恩恵を受けてきました.たとえば,人々を苦しめてきた細菌感染症の多くが抗菌薬などの登場によって克服されてきました.また薬物は,疾病の原因を取り除いたり,症状を和らげたりする目的で使用され,私達の生活に欠かせないものとなっています.一方で,薬物は決して好ましい作用ばかりをもたらすとは限らず,副作用や有害作用を引き起こさない薬物はありません.また,薬害エイズや薬害肝炎などの薬害による健康被害が社会問題となっています.すなわち,薬物の有用な作用だけでなく,副作用も認識したうえで,薬物を選択し投与していかなければなりません.そのためにも,薬の作用や身体における薬の働きを知る,薬理学の知識が非常に重要なものとなっています.そして,科学の進歩によって新しい薬物が次々と開発されていることから,最新の知識や治療法を学ぶだけでなく,新たな薬物に遭遇しても応用できるような基盤となる知識が必要となります.
近年では,歯科医院に来院する患者は健康な人であるとは限らず,むしろ高齢者など複数の疾患を有しているために多くの薬物を服用している患者のほうが多くなっています.そのため,歯科治療に使用される薬物だけではなく,全身疾患およびその治療薬を知り,それらの薬物と歯科で投薬されようとする薬物の相互作用などにも注意を払う必要があります.また,歯科衛生士自身は患者に投薬を行うことはありませんが,実際の臨床現場では,患者が服用している薬物を調べる機会は非常に多いと考えられます.このような観点から,本書では全身に作用する薬物などについても重点を置くように努めました.
本書が,歯科衛生士を含む医療関係者への教育だけではなく,実際の歯科医療における薬物療法を理解するうえで役立つことになれば望外の喜びです.
2008年2月
執筆者代表 王 宝禮
I編 総論
1章 薬物の作用
(1)─薬物とは,薬理学とは
(2)─薬物療法の種類
1.原因療法
2.対症療法
3.予防療法
4.補充療法
(3)─薬理作用の様式
1.器質的変化
2.機能的変化
(4)─薬理作用の基本形式
1.興奮作用
2.抑制作用
3.刺激作用
4.抗病原微生物作用
5.補充作用
(5)─薬理作用の分類
1.主作用と副作用
2.局所作用と全身作用
3.直接作用と間接作用
4.選択的作用と非選択的作用
5.その他の薬理作用の分類
(6)─用量反応関係と薬用量の用語
1.用量
2.用量の区別
3.用量反応曲線
(7)─薬理作用の機序
1.受容体を介する薬物の作用
2.細胞膜に存在する受容体
3.細胞内受容体
4.受容体を介さない薬理作用
2章 薬物動態
(1)─薬物の生体膜通過様式と通過に影響する因子
1.生体膜の構造と脂溶性
2.生体膜の物質通過様式
3.薬物の生体膜通過に影響する因子
Clinical Point 炎症部位で局所麻酔薬が効きにくい理由
(2)─吸収
(3)─分布
1.薬物の組織細胞への分布と組織親和性
Coffee Break 原発事故とヨウ素
2.薬物に対する特殊な関門
(4)─代謝
1.薬物の代謝過程
2.代謝に影響を与える要因
(5)─排泄
1.腎臓からの排泄
2.消化管からの排泄
3.その他の経路からの排泄
Coffee Break アルコールの呼気検査
(6)─薬物動態のパラメーター
1.生物学的半減期
2.クリアランス
3章 薬物の適用方法の種類と特徴
(1)─適用方法の種類
1.消化管粘膜への適用
2.注射投与
3.気道上皮への適用(吸入)
4.皮膚への投与
(2)─適用方法の違いによる血中濃度の推移
(3)─生物学的利用能
1.経口投与および静脈内注射と生物学的利用能の関係
2.生物学的利用能に影響する因子
4章 薬物の作用に影響を与える要因
(1)─薬効に影響する因子・生体の感受性
1.生体側の因子
2.薬物側あるいは製剤側の因子
(2)─薬物の連用
1.蓄積
2.耐性
3.タキフィラキシー
4.薬物依存
(3)─薬物の併用
1.協力作用
2.拮抗作用
(4)─薬物相互作用
1.薬力学的相互作用
2.薬物動態学的相互作用
5章 薬物の副作用,有害作用
(1)─薬物の有害作用の分類と原因
1.薬物の有害作用の分類
2.薬物の有害作用の原因
Clinical Point 治療薬物モニタリング(TDM)
Coffee Break サリドマイド事件
Coffee Break アミノピリン
Clinical Point グレープフルーツジュースと薬物代謝
(2)─薬物の有害作用
1.一般的有害作用
Coffee Break アスピリン喘息
2.歯科領域における薬物の副作用・有害作用
(3)─副作用・有害作用の予知と回避
Clinical Point お薬手帳
6章 医薬品を適用する際の注意
(1)─ライフステージと薬物
1.妊婦・授乳婦への薬物投与
2.乳幼児・小児への薬物投与
3.高齢者への薬物投与
4.有病者への薬物投与
(2)─服薬指導
1.服薬指導
2.服薬指導に関する一般的事項
3.医薬品の添付文書とは
4.対象者別の服薬指導
7章 薬物の取り扱い
(1)─医薬品の剤形
(2)─処方せん
(3)─調剤と配合変化
(4)─薬物の保存方法
1.薬物の保存条件
2.薬物の保存容器
3.薬物の有効期限,使用期限
8章 薬物と法律・薬物と医薬品
(1)─医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)
1.医薬品(医薬品医療機器等法第2条第1項)
2.医薬部外品(医薬品医療機器等法第2条第2項)
3.化粧品(医薬品医療機器等法第2条第3項)
4.医療機器(医薬品医療機器等法第2条第4項)
5.再生医療等製品(医薬品医療機器等法第2条第9項)
(2)─日本薬局方
(3)─毒薬・劇薬の表示と保管
1.毒薬・劇薬とは
2.毒薬・劇薬の表示
3.毒薬・劇薬の保管
(4)─麻薬及び向精神薬取締法
(5)─覚せい剤取締法
(6)─大麻取締法
(7)─毒物及び劇物取締法
(8)─医薬品の開発
(9)─PMDA(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency,独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
II編 各論
1章 ビタミンとホルモン
(1)─ビタミン
1.脂溶性ビタミン
Clinical Point 抗菌薬の副作用としてのビタミン欠乏症
2.水溶性ビタミン
(2)─ホルモン
1.抗利尿ホルモン(バソプレシン)
2.カルシトニン
3.副甲状腺ホルモン(PTH,パラトルモン)
4.膵臓ホルモン
5.副腎皮質ホルモン
6.性ホルモン
2章 末梢神経系に作用する薬物
(1)─末梢神経系とは
1.交感神経と副交感神経の働き
2.アドレナリン受容体
3.アセチルコリン受容体
4.シナプスにおける神経伝達物質の代謝
(2)─末梢神経系作用薬
1.交感神経作動薬
2.交感神経遮断薬
3.副交感神経作動薬
4.副交感神経遮断薬
5.筋弛緩薬
Coffee Break 毒矢と筋弛緩薬
3章 中枢神経系に作用する薬物
(1)─中枢神経系に作用する薬物
(2)─全身麻酔薬
1.全身麻酔の管理
2.麻酔深度
3.吸入麻酔薬
4.静脈麻酔薬
(3)─アルコール類
1.エタノール(エチルアルコール,C2H5OH)
2.メタノール(メチルアルコール,CH3OH)
(4)─催眠薬・抗不安薬
1.GABAA受容体
2.睡眠パターンと不眠の原因
3.ベンゾジアゼピン系薬物
4.バルビツール酸系薬物
5.抗ヒスタミン薬(鎮静薬・睡眠導入薬)
(5)─抗痙攣薬(抗てんかん薬)
1.GABA作動性神経シグナリングを強化する薬物
2.興奮性神経シグナリングを抑制する薬物
(6)─向精神薬
1.抗精神病薬
2.抗うつ薬
3.抗躁薬
4.精神刺激薬
(7)─中枢神経興奮薬
1.キサンチン誘導体
2.呼吸刺激薬
(8)─抗パーキンソン病薬
(9)─アルツハイマー病治療薬
4章 循環器系に作用する薬物
(1)─高血圧治療薬
1.高血圧を起こす生体メカニズム
2.降圧薬
(2)─不整脈治療薬
1.頻脈性不整脈の治療
2.徐脈性不整脈の治療
(3)─心不全治療薬
1.利尿薬,ARB,ACE阻害薬
2.強心薬
3.β遮断薬
(4)─狭心症治療薬
1.硝酸薬
2.カルシウム拮抗薬
3.β遮断薬
(5)─脂質異常症(高脂血症)治療薬
1.高コレステロール血症治療薬
2.高トリグリセリド血症治療薬
Coffee Break 悪玉コレステロールと善玉コレステロール
5章 腎臓に作用する薬物
(1)─腎臓の機能と生理
1.腎臓の機能
2.腎臓の構造と生理
(2)─利尿薬
1.利尿薬の適応症
2.主な利尿薬と作用機序
6章 呼吸器系に作用する薬物
(1)─気管支喘息治療薬
1.β2作用薬
2.吸入ステロイド
3.ロイコトリエン受容体拮抗薬
4.抗コリン薬
5.キサンチン誘導体
6.抗アレルギー薬
(2)─鎮咳薬
(3)─去痰薬
7章 消化器系に作用する薬物
(1)─消化器系に作用する薬物
1.消化性潰瘍治療薬
2.鎮痙薬
Coffee Break ストレスと胃潰瘍
Coffee Break バリウム検査
8章 血液に作用する薬物
(1)─止血機構
1.止血の流れ
2.血液凝固因子
3.止血機構の異常による疾患
(2)─血液に関連する薬物
1.止血薬
2.抗血栓薬
Coffee Break エコノミークラス症候群
3.抗貧血薬
9章 免疫と薬
(1)─免疫応答のメカニズム
(2)─免疫に関連する薬物
1.免疫増強薬
2.免疫抑制薬
3.抗アレルギー薬
4.ワクチン
10章 悪性腫瘍と薬
(1)─悪性腫瘍とは
1.良性腫瘍と悪性腫瘍
2.悪性腫瘍の治療法
(2)─抗悪性腫瘍薬
1.抗悪性腫瘍薬の種類と細胞周期
2.主な抗悪性腫瘍薬
3.抗悪性腫瘍薬の副作用
11章 代謝性疾患治療薬
(1)─糖尿病治療薬
1.1型糖尿病と2型糖尿病
2.糖尿病治療薬
(2)─骨粗鬆症治療薬
1.骨吸収抑制薬
2.骨代謝調整薬
3.骨形成促進薬
4.副作用としての顎骨壊死
12章 炎症と薬
(1)─炎症とは
1.炎症の経過
2.アラキドン酸カスケード
3.炎症のケミカルメディエーター
(2)─抗炎症薬
1.ステロイド性抗炎症薬
2.非ステロイド性抗炎症薬
(3)─解熱鎮痛薬
13章 痛みと薬
(1)─痛覚の発生と伝導
1.痛覚伝導路
2.上行性痛覚伝導路と鎮痛薬
3.下行性疼痛抑制系と鎮痛薬
4.痛みの種類
(2)─オピオイド系鎮痛薬
1.麻薬性鎮痛薬
2.非麻薬性鎮痛薬/麻薬拮抗性鎮痛薬
3.がん性疼痛へのオピオイド系鎮痛薬の使用
4.オピオイド系鎮痛薬の薬理作用と副作用
(3)─非オピオイド系鎮痛薬
(4)─神経障害性疼痛治療薬
14章 局所麻酔薬
(1)─局所麻酔薬の作用機構
1.痛覚伝導
2.局所麻酔薬による痛覚伝導の遮断
(2)─局所麻酔薬の効果に影響を与える因子
1.炎症などの局所の状態と作用部位のpH
2.局所の血管分布
(3)─血管収縮薬の併用
(4)─局所麻酔薬の化学構造と分類
1.基本的化学構造と分類
2.主なエステル型局所麻酔薬
3.主なアミド型局所麻酔薬
(5)─局所麻酔薬の適用法
1.表面麻酔
2.浸潤麻酔
3.伝達麻酔
(6)─局所麻酔薬の生体に対する作用
1.局所麻酔薬の一般的性質
2.薬物動態
3.全身作用
4.副作用・有害作用
15章 抗感染症薬
(1)─感染症と抗感染症薬
1.抗菌スペクトル
2.化学療法薬
3.抗菌薬と抗生物質
4.選択毒性
5.殺菌性抗菌薬と静菌性抗菌薬
6.有効血中濃度
7.耐性
Clinical Point 耐性菌を生じさせないための対策
(2)─抗感染症薬の作用と副作用
1.抗感染症薬の作用機序
2.抗感染症薬の副作用
(3)─主な抗感染症薬
1.β-ラクタム系
Clinical Point 菌交代現象と偽膜性大腸炎
2.アミノグリコシド系
3.マクロライド系
4.クロラムフェニコール
5.テトラサイクリン系
6.ニューキノロン系
7.グリコペプチド系
8.リンコマイシン系
9.スルホンアミド類(サルファ薬)
10.抗真菌薬
11.抗ウイルス系
16章 消毒に使用する薬
(1)─消毒薬の作用
1.消毒薬の作用機序
2.消毒薬の効果に影響を与える因子
3.消毒薬の効力の比較
(2)─消毒薬の分類
1.高水準消毒薬
2.中水準消毒薬
Clinical Point 速乾性擦式消毒薬
3.低水準消毒薬
(3)─主な消毒薬
1.酸化剤
2.ハロゲン化合物
3.アルコール類
4.アルデヒド類
5.フェノール類
6.界面活性剤
7.精油(揮発油)類
8.色素類
9.重金属化合物
(4)─HBVおよびHIVに対する消毒薬
1.HBVやHCVに対する消毒薬
2.HIVに対する消毒薬
17章 う蝕予防薬
(1)─フッ化物の臨床応用
1.フッ化物の歯面塗布
2.フッ化物洗口
3.フッ化物配合歯磨剤
18章 歯内療法薬
(1)─歯髄の保存に用いる薬物
1.歯髄鎮痛消炎薬
2.覆髄薬
3.生活断髄薬(生活断髄法に用いる薬物)
(2)─根管治療に用いる薬物
1.根管の化学的清掃薬
2.根管消毒薬
3.根管充填材
(3)─象牙質知覚過敏症に用いる薬物
19章 歯周疾患治療薬
(1)─歯周治療における薬物療法
(2)─急性炎症に用いる薬物
(3)─歯周治療に使用する薬物
1.局所投与する薬物
2.全身投与する薬物
(4)─洗口薬
1.洗口薬の薬用成分
(5)─口臭治療に用いる薬物
1.口臭の原因
2.口臭治療に使用する薬物
(6)─その他
1.歯垢染色剤
2.歯周パック
20章 顎・口腔粘膜疾患と薬
(1)─炎症性疾患に用いる薬物
1.抗菌薬
(2)─口腔粘膜疾患に用いる薬物
1.含嗽薬・トローチ剤
2.ステロイド性抗炎症薬
3.抗真菌薬
4.抗ウイルス薬
(3)─顎関節症に用いる薬剤
(4)─口腔乾燥症に用いる薬物
(5)─神経疾患に用いる薬物
1.三叉神経痛に用いる薬物
2.神経麻痺に用いる薬物
21章 漢方医学と薬物
(1)─漢方医学とは
(2)─漢方薬とは
1章 薬物の作用
(1)─薬物とは,薬理学とは
(2)─薬物療法の種類
1.原因療法
2.対症療法
3.予防療法
4.補充療法
(3)─薬理作用の様式
1.器質的変化
2.機能的変化
(4)─薬理作用の基本形式
1.興奮作用
2.抑制作用
3.刺激作用
4.抗病原微生物作用
5.補充作用
(5)─薬理作用の分類
1.主作用と副作用
2.局所作用と全身作用
3.直接作用と間接作用
4.選択的作用と非選択的作用
5.その他の薬理作用の分類
(6)─用量反応関係と薬用量の用語
1.用量
2.用量の区別
3.用量反応曲線
(7)─薬理作用の機序
1.受容体を介する薬物の作用
2.細胞膜に存在する受容体
3.細胞内受容体
4.受容体を介さない薬理作用
2章 薬物動態
(1)─薬物の生体膜通過様式と通過に影響する因子
1.生体膜の構造と脂溶性
2.生体膜の物質通過様式
3.薬物の生体膜通過に影響する因子
Clinical Point 炎症部位で局所麻酔薬が効きにくい理由
(2)─吸収
(3)─分布
1.薬物の組織細胞への分布と組織親和性
Coffee Break 原発事故とヨウ素
2.薬物に対する特殊な関門
(4)─代謝
1.薬物の代謝過程
2.代謝に影響を与える要因
(5)─排泄
1.腎臓からの排泄
2.消化管からの排泄
3.その他の経路からの排泄
Coffee Break アルコールの呼気検査
(6)─薬物動態のパラメーター
1.生物学的半減期
2.クリアランス
3章 薬物の適用方法の種類と特徴
(1)─適用方法の種類
1.消化管粘膜への適用
2.注射投与
3.気道上皮への適用(吸入)
4.皮膚への投与
(2)─適用方法の違いによる血中濃度の推移
(3)─生物学的利用能
1.経口投与および静脈内注射と生物学的利用能の関係
2.生物学的利用能に影響する因子
4章 薬物の作用に影響を与える要因
(1)─薬効に影響する因子・生体の感受性
1.生体側の因子
2.薬物側あるいは製剤側の因子
(2)─薬物の連用
1.蓄積
2.耐性
3.タキフィラキシー
4.薬物依存
(3)─薬物の併用
1.協力作用
2.拮抗作用
(4)─薬物相互作用
1.薬力学的相互作用
2.薬物動態学的相互作用
5章 薬物の副作用,有害作用
(1)─薬物の有害作用の分類と原因
1.薬物の有害作用の分類
2.薬物の有害作用の原因
Clinical Point 治療薬物モニタリング(TDM)
Coffee Break サリドマイド事件
Coffee Break アミノピリン
Clinical Point グレープフルーツジュースと薬物代謝
(2)─薬物の有害作用
1.一般的有害作用
Coffee Break アスピリン喘息
2.歯科領域における薬物の副作用・有害作用
(3)─副作用・有害作用の予知と回避
Clinical Point お薬手帳
6章 医薬品を適用する際の注意
(1)─ライフステージと薬物
1.妊婦・授乳婦への薬物投与
2.乳幼児・小児への薬物投与
3.高齢者への薬物投与
4.有病者への薬物投与
(2)─服薬指導
1.服薬指導
2.服薬指導に関する一般的事項
3.医薬品の添付文書とは
4.対象者別の服薬指導
7章 薬物の取り扱い
(1)─医薬品の剤形
(2)─処方せん
(3)─調剤と配合変化
(4)─薬物の保存方法
1.薬物の保存条件
2.薬物の保存容器
3.薬物の有効期限,使用期限
8章 薬物と法律・薬物と医薬品
(1)─医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)
1.医薬品(医薬品医療機器等法第2条第1項)
2.医薬部外品(医薬品医療機器等法第2条第2項)
3.化粧品(医薬品医療機器等法第2条第3項)
4.医療機器(医薬品医療機器等法第2条第4項)
5.再生医療等製品(医薬品医療機器等法第2条第9項)
(2)─日本薬局方
(3)─毒薬・劇薬の表示と保管
1.毒薬・劇薬とは
2.毒薬・劇薬の表示
3.毒薬・劇薬の保管
(4)─麻薬及び向精神薬取締法
(5)─覚せい剤取締法
(6)─大麻取締法
(7)─毒物及び劇物取締法
(8)─医薬品の開発
(9)─PMDA(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency,独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
II編 各論
1章 ビタミンとホルモン
(1)─ビタミン
1.脂溶性ビタミン
Clinical Point 抗菌薬の副作用としてのビタミン欠乏症
2.水溶性ビタミン
(2)─ホルモン
1.抗利尿ホルモン(バソプレシン)
2.カルシトニン
3.副甲状腺ホルモン(PTH,パラトルモン)
4.膵臓ホルモン
5.副腎皮質ホルモン
6.性ホルモン
2章 末梢神経系に作用する薬物
(1)─末梢神経系とは
1.交感神経と副交感神経の働き
2.アドレナリン受容体
3.アセチルコリン受容体
4.シナプスにおける神経伝達物質の代謝
(2)─末梢神経系作用薬
1.交感神経作動薬
2.交感神経遮断薬
3.副交感神経作動薬
4.副交感神経遮断薬
5.筋弛緩薬
Coffee Break 毒矢と筋弛緩薬
3章 中枢神経系に作用する薬物
(1)─中枢神経系に作用する薬物
(2)─全身麻酔薬
1.全身麻酔の管理
2.麻酔深度
3.吸入麻酔薬
4.静脈麻酔薬
(3)─アルコール類
1.エタノール(エチルアルコール,C2H5OH)
2.メタノール(メチルアルコール,CH3OH)
(4)─催眠薬・抗不安薬
1.GABAA受容体
2.睡眠パターンと不眠の原因
3.ベンゾジアゼピン系薬物
4.バルビツール酸系薬物
5.抗ヒスタミン薬(鎮静薬・睡眠導入薬)
(5)─抗痙攣薬(抗てんかん薬)
1.GABA作動性神経シグナリングを強化する薬物
2.興奮性神経シグナリングを抑制する薬物
(6)─向精神薬
1.抗精神病薬
2.抗うつ薬
3.抗躁薬
4.精神刺激薬
(7)─中枢神経興奮薬
1.キサンチン誘導体
2.呼吸刺激薬
(8)─抗パーキンソン病薬
(9)─アルツハイマー病治療薬
4章 循環器系に作用する薬物
(1)─高血圧治療薬
1.高血圧を起こす生体メカニズム
2.降圧薬
(2)─不整脈治療薬
1.頻脈性不整脈の治療
2.徐脈性不整脈の治療
(3)─心不全治療薬
1.利尿薬,ARB,ACE阻害薬
2.強心薬
3.β遮断薬
(4)─狭心症治療薬
1.硝酸薬
2.カルシウム拮抗薬
3.β遮断薬
(5)─脂質異常症(高脂血症)治療薬
1.高コレステロール血症治療薬
2.高トリグリセリド血症治療薬
Coffee Break 悪玉コレステロールと善玉コレステロール
5章 腎臓に作用する薬物
(1)─腎臓の機能と生理
1.腎臓の機能
2.腎臓の構造と生理
(2)─利尿薬
1.利尿薬の適応症
2.主な利尿薬と作用機序
6章 呼吸器系に作用する薬物
(1)─気管支喘息治療薬
1.β2作用薬
2.吸入ステロイド
3.ロイコトリエン受容体拮抗薬
4.抗コリン薬
5.キサンチン誘導体
6.抗アレルギー薬
(2)─鎮咳薬
(3)─去痰薬
7章 消化器系に作用する薬物
(1)─消化器系に作用する薬物
1.消化性潰瘍治療薬
2.鎮痙薬
Coffee Break ストレスと胃潰瘍
Coffee Break バリウム検査
8章 血液に作用する薬物
(1)─止血機構
1.止血の流れ
2.血液凝固因子
3.止血機構の異常による疾患
(2)─血液に関連する薬物
1.止血薬
2.抗血栓薬
Coffee Break エコノミークラス症候群
3.抗貧血薬
9章 免疫と薬
(1)─免疫応答のメカニズム
(2)─免疫に関連する薬物
1.免疫増強薬
2.免疫抑制薬
3.抗アレルギー薬
4.ワクチン
10章 悪性腫瘍と薬
(1)─悪性腫瘍とは
1.良性腫瘍と悪性腫瘍
2.悪性腫瘍の治療法
(2)─抗悪性腫瘍薬
1.抗悪性腫瘍薬の種類と細胞周期
2.主な抗悪性腫瘍薬
3.抗悪性腫瘍薬の副作用
11章 代謝性疾患治療薬
(1)─糖尿病治療薬
1.1型糖尿病と2型糖尿病
2.糖尿病治療薬
(2)─骨粗鬆症治療薬
1.骨吸収抑制薬
2.骨代謝調整薬
3.骨形成促進薬
4.副作用としての顎骨壊死
12章 炎症と薬
(1)─炎症とは
1.炎症の経過
2.アラキドン酸カスケード
3.炎症のケミカルメディエーター
(2)─抗炎症薬
1.ステロイド性抗炎症薬
2.非ステロイド性抗炎症薬
(3)─解熱鎮痛薬
13章 痛みと薬
(1)─痛覚の発生と伝導
1.痛覚伝導路
2.上行性痛覚伝導路と鎮痛薬
3.下行性疼痛抑制系と鎮痛薬
4.痛みの種類
(2)─オピオイド系鎮痛薬
1.麻薬性鎮痛薬
2.非麻薬性鎮痛薬/麻薬拮抗性鎮痛薬
3.がん性疼痛へのオピオイド系鎮痛薬の使用
4.オピオイド系鎮痛薬の薬理作用と副作用
(3)─非オピオイド系鎮痛薬
(4)─神経障害性疼痛治療薬
14章 局所麻酔薬
(1)─局所麻酔薬の作用機構
1.痛覚伝導
2.局所麻酔薬による痛覚伝導の遮断
(2)─局所麻酔薬の効果に影響を与える因子
1.炎症などの局所の状態と作用部位のpH
2.局所の血管分布
(3)─血管収縮薬の併用
(4)─局所麻酔薬の化学構造と分類
1.基本的化学構造と分類
2.主なエステル型局所麻酔薬
3.主なアミド型局所麻酔薬
(5)─局所麻酔薬の適用法
1.表面麻酔
2.浸潤麻酔
3.伝達麻酔
(6)─局所麻酔薬の生体に対する作用
1.局所麻酔薬の一般的性質
2.薬物動態
3.全身作用
4.副作用・有害作用
15章 抗感染症薬
(1)─感染症と抗感染症薬
1.抗菌スペクトル
2.化学療法薬
3.抗菌薬と抗生物質
4.選択毒性
5.殺菌性抗菌薬と静菌性抗菌薬
6.有効血中濃度
7.耐性
Clinical Point 耐性菌を生じさせないための対策
(2)─抗感染症薬の作用と副作用
1.抗感染症薬の作用機序
2.抗感染症薬の副作用
(3)─主な抗感染症薬
1.β-ラクタム系
Clinical Point 菌交代現象と偽膜性大腸炎
2.アミノグリコシド系
3.マクロライド系
4.クロラムフェニコール
5.テトラサイクリン系
6.ニューキノロン系
7.グリコペプチド系
8.リンコマイシン系
9.スルホンアミド類(サルファ薬)
10.抗真菌薬
11.抗ウイルス系
16章 消毒に使用する薬
(1)─消毒薬の作用
1.消毒薬の作用機序
2.消毒薬の効果に影響を与える因子
3.消毒薬の効力の比較
(2)─消毒薬の分類
1.高水準消毒薬
2.中水準消毒薬
Clinical Point 速乾性擦式消毒薬
3.低水準消毒薬
(3)─主な消毒薬
1.酸化剤
2.ハロゲン化合物
3.アルコール類
4.アルデヒド類
5.フェノール類
6.界面活性剤
7.精油(揮発油)類
8.色素類
9.重金属化合物
(4)─HBVおよびHIVに対する消毒薬
1.HBVやHCVに対する消毒薬
2.HIVに対する消毒薬
17章 う蝕予防薬
(1)─フッ化物の臨床応用
1.フッ化物の歯面塗布
2.フッ化物洗口
3.フッ化物配合歯磨剤
18章 歯内療法薬
(1)─歯髄の保存に用いる薬物
1.歯髄鎮痛消炎薬
2.覆髄薬
3.生活断髄薬(生活断髄法に用いる薬物)
(2)─根管治療に用いる薬物
1.根管の化学的清掃薬
2.根管消毒薬
3.根管充填材
(3)─象牙質知覚過敏症に用いる薬物
19章 歯周疾患治療薬
(1)─歯周治療における薬物療法
(2)─急性炎症に用いる薬物
(3)─歯周治療に使用する薬物
1.局所投与する薬物
2.全身投与する薬物
(4)─洗口薬
1.洗口薬の薬用成分
(5)─口臭治療に用いる薬物
1.口臭の原因
2.口臭治療に使用する薬物
(6)─その他
1.歯垢染色剤
2.歯周パック
20章 顎・口腔粘膜疾患と薬
(1)─炎症性疾患に用いる薬物
1.抗菌薬
(2)─口腔粘膜疾患に用いる薬物
1.含嗽薬・トローチ剤
2.ステロイド性抗炎症薬
3.抗真菌薬
4.抗ウイルス薬
(3)─顎関節症に用いる薬剤
(4)─口腔乾燥症に用いる薬物
(5)─神経疾患に用いる薬物
1.三叉神経痛に用いる薬物
2.神経麻痺に用いる薬物
21章 漢方医学と薬物
(1)─漢方医学とは
(2)─漢方薬とは