やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 今回の本は,歯科衛生士によるブラッシング指導を軸に,日米で学んだ知識,経験をふまえて,新しい情報をお届けするように努め執筆いたしました.ブラッシングは歯科衛生士が患者さんに対して行うもっとも頻度が高い指導と処置のうちの一つです.そのため各歯科衛生士が自分の経験則で行うのではなく,正しい知識と技術を身につけておかなければ,患者さん健康にも影響を与えることになります.
 本書は,ブラッシング指導を行うために必要な,口腔内の基礎知識を含め,適切な技術を提供するためには,適切な用具の知識をもつことも必要という観点から,歯ブラシをはじめ,歯間ブラシやフロスなどの補助用具,洗口剤,湿潤剤などの器具や薬剤の知識を写真やイラストを盛りこんで,読みやすくしています.
 また,高齢社会のなか,研修会などでは高齢者に対するケアーについて質問を受けることが多くなりました.そのような状況を鑑み,歯科衛生士が行う処置の往診のポイント,義歯の知識および,義歯のケアー,インプラントのケアーなどについても触れています.
 巻末では,歯科衛生士として普段から基本的に必要な知識を簡潔にまとめています.
 本書が読者の皆様のお役に立ち,患者さんのQuality of lifeに貢献するための指標になれば幸いです.
 2015 年11 月
 加藤久子
1 基礎知識
 1.歯周組織の基礎知識
  1.正常な歯肉
  2.歯肉の病的所見
   (1)歯肉炎/(2)歯周炎
  3.特に気をつけたい歯肉の形態異常
   (1)フェストゥーン/(2)クレフト
  4.その他知っておきたい基礎的用語
   (1)口角炎/(2)口内炎/(3)象牙質知覚過敏/(4)ブラキシズム/(5)咬耗/(6)摩耗/(7)根面う蝕
2 歯ブラシ・補助的清掃器具
 1.手用歯ブラシ
  1.手用歯ブラシの各部の名称
  2.ヘッドの特徴
  3.ネックの特徴
  4.刷毛部の特徴
   (1)形態/(2)毛先の加工形態/(3)材質と硬さ
  5.歯ブラシの交換時期
  6.さまざまな手用歯ブラシ
   (1)子ども用歯ブラシ/(2)大人用歯ブラシ
  7.手用歯ブラシによるブラッシング方法
   (1)フォーンズ法/(2)スクラッビング法/(3)バス法/(4)ローリング法
 2.電動歯ブラシ
  1.電動歯ブラシの構成
  2.電動歯ブラシの種類
   (1)電動歯ブラシ/(2)音波歯ブラシ/(3)超音波歯ブラシ
  3.ヘッドの形態
  4.電動歯ブラシの植毛の特徴
  5.電動歯ブラシの利点
  6.電動歯ブラシ使用のポイントと注意事項
  7.音波歯ブラシの交換時期
 3.タフトブラシ
  1.タフトブラシの構成・形状
  2.刷毛部の特徴
  3.タフトブラシの基本的使用方法
   (1)タフトブラシの把持/(2)前歯部唇側面での動かし方/(3)前歯部舌側面での動かし方/(4)臼歯部での動かし方(ポジション9h,7 の場合)
 4.歯間ブラシ
  1.ハンドルの特徴
  2.刷毛の特徴
   (1)形態/(2)刷毛部の断面/(3)ワイヤーコーティング/(4)刷毛等の材質と固さ
  3.歯間ブラシの使用方法
   (1)歯間ブラシの選択/(2)挿入方法/(3)動かし方/(4)誤った使用例
  4.歯間ブラシの管理と交換時期
 5.フロス
  1.フロスの種類
   (1)ワックス付きフロス/(2)アンワックスフロス/(3)スポンジ状のフロス(スーパーフロス)/(4)テープ状フロス/(5)ホルダー付きフロス
  2.フロッシングのポイント
   (1)フロスのもち方/(2)挿入方法/(3)その他のポイント
 6.舌ブラシ
 7.スポンジブラシ
  1.スポンジブラシの形状・タイプ
  2.スポンジブラシの使用方法
 8.その他の補助的清掃器具
  1.ウッドスティック
  2.ラバーチップ
3 歯磨剤
 1.歯磨剤の成分と働き
 2.歯磨剤
 3.目的別歯磨剤
  1.知覚過敏の予防
  2.ホワイトニング
  3.その他
4 洗口剤
  1.洗口剤のタイプ
 2.洗口剤の成分
  1.殺菌剤成分
 3.洗口のホームケア指導
  1.洗口の目的
  2.洗口剤の分類
  3.洗口方法
5 口腔湿潤剤
 1.口腔乾燥症の患者
  1.口腔乾燥症の口腔症状
  2.口腔乾燥症の検査
  3.口腔乾燥症に伴う問題と対策
 2.口腔湿潤剤のタイプ
 3.口腔湿潤剤の使用法
6 ウォーターピック
 1.オーラルイリゲーションとホームケア指導
  1.オーラルイリゲーションの装置
   (1)装置の種類と作用/(2)操作のポイント/(3)オーラルイリゲーションの禁忌症
7 インプラントの清掃
8 デンチャーケアー
 1.デンチャーの構造
  1.全部床義歯
  2.部分床義歯
 2.歯科衛生士が行うデンチャーケアー
  1.デンチャープラークコントロールの意味
  2.歯科診療所でのデンチャーケアー
   (1)問診/(2)口腔外診査(デンチャーを装着した状態で)/(3)デンチャーのチェック/(4)デンチャーの装着状況の確認/(5)清掃方法のステップ(歯科医院で行う際)/(6)残存歯/(7)床下粘膜/(8)ノンクラスプデンチャーの場合/(9)夜間の装着の有無/(10)ホームケアー
  3.デンチャーの保管方法
 3.訪問時のデンチャーケアー(往診)
  1.口腔ケアーにおける体位
  2.要介護者への口腔ケアーの目的
  3.デンチャーケアーに必要な用具
  4. 要介護者の口腔ケアーを行う際の対応
  5.臨床における手順
  6.訪問診療で患者の歯がデンチャーではなく天然歯だった場合
  7.無歯顎のケースや口腔内が乾燥しているケースの清拭
9 アドバンスケース
 1.補綴物
 2.最後臼歯部
 3.根分岐部
 4.叢生
 5.矯正装置
10 臨床例
11 歯科医院でのプラークコントロール
 1.TBIのコツ
 2.口臭に対するアプローチ
12 インストゥルメント操作のポイント
 1.キュレットの把持
  1.正しい把持法
  2.誤っている把持法
 2.口腔内固定
  1.正しい把持法
  2.誤っている把持法
 3.口腔外固定
  1.正しい固定法
  2.誤っている固定法
 4.器具の操作法
  1.人差し指を使用しての補強
  2.器具の動かし方
 5.器具の種類
 6.シックルの操作
  1.前歯部における操作
   (1) 歯面への適合/(2)動かし方
  2.臼歯部における操作
 7.超音波スケーラー
 8.ラバーカップ