やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 ここ数年,歯科医療技術の発展を基盤とした新しい補綴関係の医療技術が健康保険に多数導入されてきた.これは,日本補綴歯科学会の医療問題検討委員会でエビデンスに基づいた良質な診療報酬改定用医療技術提案書が作られ,それが,日本歯科医学会の歯科医療協議会でブラッシュアップされ,厚生労働省のヒアリングを受け,最終的には中医協で採択が決定される.通常は2年に1回の新規導入であるが,その途中での新規採択も行われるようになってきた.筆者(佐藤)は日本補綴歯科学会の医療問題検討委員会の実務を10年以上担当し,また,日本歯科医学会の歯科医療協議会でも4年間にわたり,活動してきた.そこで感じたのは,新しい技術は正確な理解の基で,正確な術式で行われないと,十分に有効性を発揮し得ないということである.
 本書は,次々に導入された新しい補綴関連技術を総覧して解説し,
 ・正確な理解の上で,
 ・適切な症例に対して,
 ・適切な術式で施行し,
 ・適切に管理する
 ことを目指して編纂した.
 それぞれの項目に関して,第一人者に執筆をお願いし,新技術を漏らさず総合的に理解するための書籍になったと自負する.著者の方々には,お忙しいなか,快くお引き受けいただき,素晴らしい原稿を執筆していただいたことに感謝する.
 新規導入された技術は使われないと廃止されることもある.本書が読者の皆様の補綴関連新技術への取り組みの一助となれば幸いである.
 2018年11月
 昭和大学歯学部高齢者歯科学講座
 佐藤裕二
 東京都文京区・坪田デンタルクリニック
 坪田有史
 序文
第1章 CAD/CAM冠
 CAD/CAM冠 総論(疋田一洋)
 CAD/CAM冠の術式(小泉寛恭,松村英雄)
第2章 口腔機能低下症,咀嚼機能検査
 口腔機能低下症とは(櫻井 薫)
 口腔機能低下の診断項目と口腔機能管理加算の要件について(水口俊介)
 口腔機能評価に関する検査
  舌圧検査(津賀一弘,吉田光由)
  咀嚼機能・能力検査(小野高裕,山鹿義郎,菊地さつき)
  咬合圧検査-感圧フィルムを用いた咬合力検査(上田貴之,櫻井 薫)
 口腔機能低下症の対応,管理(佐藤裕二)
第3章 補綴医療技術
 高強度硬質レジンブリッジ(新谷明一)
 ファイバーポストレジンコア総論(坪田有史)
 直接法によるファイバーポストレジンコア(坪田有史)
 間接法によるファイバーポストレジンコア(島 弘光)
 Columnファイバーポストレジンコアにおける除去(坪田有史)
 接着ブリッジ(清水博史)
 軟質リライン材料を用いた下顎全部床義歯の臨床エビデンスと今後の課題(河相安彦)
 軟質リライン シリコーン系の術式(米山喜一,大久保力廣,松本敏光)
 アクリル系軟質床用材料を用いたリライン(和田 健,櫻井 薫)
 訪問診療における補綴治療(菅 武雄)
 Column クラウン・ブリッジ維持管理料(補管)(坪田有史)
第4章 口腔内装置
 保険における口腔内装置など(坪田有史)
 顎関節症(藤澤政紀,大塚英稔)
 閉塞性睡眠時無呼吸症候群へのOral Appliance (鱒見進一,槙原絵理,渡辺崇文)
 ナイトガード(鱒見進一)
 止血用シーネ(佐藤裕二)
 Column 抗血栓療法(柏ア晴彦)
 挿管時の歯の保護(縄稚久美子,前田あずさ,窪木拓男)
 スポーツにおける口腔内の安全対策-スポーツマウスガード-(月村直樹)