やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 臨床検査技師国家試験は平成14 年に国家試験出題基準が定められ,第49 回国家試験より出題基準に準拠した国家試験が出題されるようになった.これにより臨床検査技師国家試験の妥当な範囲とレベルが確保されるようになり,重箱の隅をつつくような難問,奇問がなくなり,近年では精選された良問が多く出題されるようになった.出題基準は前回から4 年が経過し改正され,平成27 年の国家試験から新たな出題基準のもとに出題されることとなる.
 今回の大きな変更点は,I章 臨床検査総論の試験科目のなかに病因・生体防御検査学を見出し(節)として,遺伝子の基礎,遺伝子検査法,染色体の基礎,染色体検査法が組み入れられたことであろう.このことは,近年の遺伝子関連検査のめざましい発展とその検査が臨床検査のなかで重要な位置を占めてきているという表れではないだろうか.また,一部の変更として,II章 臨床検査医学総論では今までI章にあった検査情報の活用が移行した.III章 臨床生理学では血管超音波や体表超音波などが新たに加わった.IV章 臨床化学は前述のように遺伝子の分野がI章に移行し,その分,疾患マーカーや骨代謝マーカーなどが増えている.VI章 臨床血液学では前述のように染色体の部分がI章に移行した.VII章 臨床微生物学では感染症法と感染制御とICT活動が新たに加わった.VIII章 臨床免疫学では輸血と移植分野が充実した.このように,国家試験出題基準は23 年版と比較すると科目により大きく変更された部分がある.
 さて,このように国家試験は時代とともに変化し,試験内容も最新の知識および技術を問うようになってきている.そこでこのような変化に対応すべく,平成14 年に『月刊Medical Technology別冊』として『<ガイドライン対応>臨床検査技師国家試験ファーストトレーニング』が発行された.国家試験対策として活用されただけではなく,低学年の知識の整理としても利用され,好評を得てきた.その後,平成18 年と22 年の2 回にわたり改訂をし,時代の趨勢に対応してきた.今回は平成27 年版臨床検査技師国家試験出題基準に合わせて改訂を加えるものである.
 改訂の主な点は,読者からの意見を取り入れ,修正を加えた.また,新しい国家試験問題や医歯薬出版模擬試験問題から良問を選び,前版とは異なる新たな問題になっている.当然ながら,出題基準の順番に問題が整理されているため利用しやすい.本書の特徴は,今まで同様に問題文のどこを問うているのかを明確にするためにアンダーラインを付した.その部分は覚えなくてはならない重要な箇所となる.アンダーライン部分が誤りの場合には正解用語を頁の下部に記載した.この部分は独立してあり,問題を解く場合には紙等で隠して行えるようになっている.さらに,理解を深めるために,重要と思われる問題には問題の後にまとめて解説がつけられている.学生はこれを繰り返すことにより十分な知識の獲得につながるものと思われる.近年の国家試験の出題形式は,単純択一式のA問題と五肢二択式のX2 問題のみが出題されている.とくにX2 問題の場合には正確な知識が要求される.そのため,このような1 問1 問に正解を導く訓練をしておくことが重要である.
 本書は国家試験受験のためだけではなく,臨床検査学の知識の整理や就職試験対策,そして進学のためにも利用できるものと思う.
 これからの臨床検査技師は,患者のための医療を志さねばならない.そのためには生涯を通じ常に最新の知識や技術の習得に努める必要がある.本書はその基礎として身につけなければならない要素が詰まっている.どうか臨床検査技師を目指す学生は参考書として十分に活用していただければと思う.
 平成26 年8 月
 千葉科学大学大学院
 三村 邦裕
 本書の特徴および活用にあたって
 序文
 図版

I章 臨床検査総論
 「臨床検査総論」国家試験出題基準
 検査総合管理学 問題
  解説
 生物化学分析検査学 問題
  解説
 形態検査学 問題
  解説
 病因・生体防御検査学 問題
  解説
II章 臨床検査医学総論
 「臨床検査医学総論」国家試験出題基準
 臨床病態学 問題
  解説
III章 臨床生理学
 「臨床生理学」国家試験出題基準
 人体の構造と機能,生理機能検査学 問題
  解説
IV章 臨床化学
 「臨床化学」国家試験出題基準
 人体の構造と機能,生物化学分析検査学 問題
  解説
V章 病理組織細胞学
 「病理組織細胞学」国家試験出題基準
 人体の構造と機能,医学検査の基礎と疾病との関連 問題
  解説
 形態検査学 問題
  解説
VI章 臨床血液学
 「臨床血液学」国家試験出題基準
 形態検査学,病因・生体防御検査学,人体の構造と機能 問題
  解説
VII章 臨床微生物学
 「臨床微生物学」国家試験出題基準
 医学検査の基礎と疾病との関連 問題
  解説
 病因・生体防御検査学 問題
  解説
VIII章 臨床免疫学
 「臨床免疫学」国家試験出題基準
 病因・生体防御検査学 問題
  解説
IX章 公衆衛生学
 「公衆衛生学」国家試験出題基準
 保健医療福祉と医学検査 問題
  解説
X章 医用工学概論
 「医用工学概論」国家試験出題基準
 医療工学及び情報科学 問題
  解説
 検査総合管理学 問題
  解説

 本書で使用されている主な略語一覧