自然免疫の分子基盤とその破綻による疾患
Molecular basis of the innate immune system and its role in human diseases
三宅 健介
Kensuke MIYAKE
東京大学医科学研究所感染免疫大部門感染遺伝学分野
■自然免疫機構,病原体のクリアランスと防御反応誘導
ヒトの免疫機構は,リンパ球を中心とした獲得免疫と,マクロファージを中心とした自然免疫に分かれている.感染症はマウスやヒトばかりでなく,ハエなどリンパ球をもたない生物においても重要な疾患である.地球上の生物の90%は獲得免疫をもたず,自然免疫機構だけで病原体を認識し,排除する.補体,レクチン,スカベンジャーレセプターなどが病原体と結合し,マクロファージの貪食を促進する.同様な分子はヒトにも存在しており,病原体の貪食,クリアランスに重要である.しかし,貪食だけでは病原体排除には不十分で,貪食細胞の活性化や抗菌ペプチド産生を誘導する防御反応,炎症反応の惹起が必須である.レクチンやスカベンジャーレセプターを介した貪食,クリアランスは,かならずしも防御反応誘導につながるわけではなく,病原体を認識して防御反応を誘導する機構が別に存在している.
ハエにおいて,病原体である真菌を認識し抗菌ペプチド産生などの感染防御機構を誘導する分子としてTollが同定された.その後,Tollのヒトホモログ,Toll様受容体(Toll-like receptor:TLR)が発見され,TLRがTollと同様にヒトの免疫機構においても病原体を認識し,感染防御機構を誘導することが明らかになった.Toll-like receptor(TLR)はI型の膜蛋白質で,ヒトは10個の異なるTLRを有しており,それぞれのTLRは異なる病原体成分を認識する.そのなかには,グラム陰性菌,グラム陽性菌,ウイルスも含まれており,TLRファミリー全体として多様な病原体に対応しうる.TLRの細胞内ドメインはIL-1レセプターのシグナル伝達ドメインに類似しており,そのシグナルはDefensinなどの抗菌ペプチド産生誘導など,直接病原体排除を促すと同時に,樹状細胞,マクロファージの活性化を誘導することで,獲得免疫の発動を促す.
つまりTLRは自然免疫ばかりでなく,獲得免疫の活性化も制御し,生体に侵入した微生物を排除するかどうか,防御反応を誘導するかどうかの決定に深く関与している分子といえる.したがって,TollやTLRによって認識されることは,感染防御反応の誘導に直結している.
自然免疫機構においては,上述のレクチンやスカベンジャーレセプターを介する貪食,クリアランスとTLRを中心とした病原体認識,防御反応誘導が密接に連携しており,この点においてはハエもヒトも共通している.自然免疫機構が関与する疾患としてつぎのようなものが考えられる.
■感染症
自然免疫の異常が感染症に対する感受性に影響を及ぼすことはいうまでもない.たとえば,補体成分の欠損で易感染性が報告されている.また,あらたにみつかったTLRも同様である.TLR4はその細胞外ドメインでMD-2という分子と会合し,TLR4-MD-2がグラム陰性菌の外膜を構成する脂質,エンドトキシン(lipopolysaccharide:LPS)を認識する.TLR4-MD-2がエンドトキシンを認識できないと,グラム陰性菌に対する防御反応の誘導が著しく低下する.たとえば,TLR4とMD-2のどちらの分子が欠損してもグラム陰性菌感染に対して高い感受性を示すことが,マウスにおいて報告されている.ヒトにおいてもTLR4のmutationがICU(intensive care unit)でのグラム陰性菌感染の患者に多い傾向のあることが報告されている.
■炎症性疾患
感染防御反応に伴う炎症反応が過剰となり,制御できなくなったことによる疾患もある.たとえば,上述のエンドトキシン応答が過剰となると大量のサイトカイン産生,血管障害,凝固異常をきたしてエンドトキシンショック状態となり,死に至る.エンドトキシン認識分子であるTLR4,MD-2それぞれの欠損マウスでは,エンドトキシンショックを実験的に誘導しても抵抗性を示し死なない.
このほかにも自然免疫に関与する分子が原因のひとつとされている炎症性疾患は少なくない.たとえばCrohn病では,腸管上皮細胞のエンドトキシン応答性の亢進と病態が相関するという報告がある.また,Crohn病の原因遺伝子のひとつとしてNod2が報告されている.Nod2は菌体膜を構成するペプチドグリカンの分解産物,muramyl dipeptide(MDP)を認識する.
■自己免疫アレルギー疾患
補体成分であるC1qの欠損症が全身性自己免疫疾患様の症状を示すことはヒトで報告されている.C1qの欠損により死細胞のクリアランスに支障をきたし,たまった死細胞に対する免疫応答が自己免疫疾患の原因ではないかという考え方が提唱されている.蓄積した細胞がなぜ免疫応答を誘導するか今後明らかにする必要がある.
また,マウスの実験であるが,B細胞に発現している,細菌のDNAを認識するTLR9からのシグナルが,抗DNA自己抗体産生に関与しているのではないかという結果が報告されている.TLRの認識異常が直接自己免疫につながるというたいへん興味深い可能性が考えられる.
このように自然免疫と自己免疫疾患の関連は今後の重要な課題である.この点ではアレルギー疾患も興味深い.肥満細胞はTLRを発現しており,エンドトキシンなどの病原体成分によって活性化される.感染症とアレルギー疾患との関連を考えていくうえでも,TLRからのシグナルとアレルギー疾患との関連は重要な課題となる.
■おわりに
病原体による炎症反応誘導機構が,TLRの発見を契機に明らかになりつつある.自然免疫機構を理解し,感染症関連疾患との関係を明らかにすることが重要であることはいうまでもない.自然免疫の分子基盤から獲得免疫との連携,病原体排除の機構,さらにこれらと疾患との関係について,それぞれ専門の先生方に,たいへん多忙ななか,執筆していただいた.自然免疫についての理解を深め,疾患を理解するうえでのあらたな観点を提示できれば幸いである.
Molecular basis of the innate immune system and its role in human diseases
三宅 健介
Kensuke MIYAKE
東京大学医科学研究所感染免疫大部門感染遺伝学分野
■自然免疫機構,病原体のクリアランスと防御反応誘導
ヒトの免疫機構は,リンパ球を中心とした獲得免疫と,マクロファージを中心とした自然免疫に分かれている.感染症はマウスやヒトばかりでなく,ハエなどリンパ球をもたない生物においても重要な疾患である.地球上の生物の90%は獲得免疫をもたず,自然免疫機構だけで病原体を認識し,排除する.補体,レクチン,スカベンジャーレセプターなどが病原体と結合し,マクロファージの貪食を促進する.同様な分子はヒトにも存在しており,病原体の貪食,クリアランスに重要である.しかし,貪食だけでは病原体排除には不十分で,貪食細胞の活性化や抗菌ペプチド産生を誘導する防御反応,炎症反応の惹起が必須である.レクチンやスカベンジャーレセプターを介した貪食,クリアランスは,かならずしも防御反応誘導につながるわけではなく,病原体を認識して防御反応を誘導する機構が別に存在している.
ハエにおいて,病原体である真菌を認識し抗菌ペプチド産生などの感染防御機構を誘導する分子としてTollが同定された.その後,Tollのヒトホモログ,Toll様受容体(Toll-like receptor:TLR)が発見され,TLRがTollと同様にヒトの免疫機構においても病原体を認識し,感染防御機構を誘導することが明らかになった.Toll-like receptor(TLR)はI型の膜蛋白質で,ヒトは10個の異なるTLRを有しており,それぞれのTLRは異なる病原体成分を認識する.そのなかには,グラム陰性菌,グラム陽性菌,ウイルスも含まれており,TLRファミリー全体として多様な病原体に対応しうる.TLRの細胞内ドメインはIL-1レセプターのシグナル伝達ドメインに類似しており,そのシグナルはDefensinなどの抗菌ペプチド産生誘導など,直接病原体排除を促すと同時に,樹状細胞,マクロファージの活性化を誘導することで,獲得免疫の発動を促す.
つまりTLRは自然免疫ばかりでなく,獲得免疫の活性化も制御し,生体に侵入した微生物を排除するかどうか,防御反応を誘導するかどうかの決定に深く関与している分子といえる.したがって,TollやTLRによって認識されることは,感染防御反応の誘導に直結している.
自然免疫機構においては,上述のレクチンやスカベンジャーレセプターを介する貪食,クリアランスとTLRを中心とした病原体認識,防御反応誘導が密接に連携しており,この点においてはハエもヒトも共通している.自然免疫機構が関与する疾患としてつぎのようなものが考えられる.
■感染症
自然免疫の異常が感染症に対する感受性に影響を及ぼすことはいうまでもない.たとえば,補体成分の欠損で易感染性が報告されている.また,あらたにみつかったTLRも同様である.TLR4はその細胞外ドメインでMD-2という分子と会合し,TLR4-MD-2がグラム陰性菌の外膜を構成する脂質,エンドトキシン(lipopolysaccharide:LPS)を認識する.TLR4-MD-2がエンドトキシンを認識できないと,グラム陰性菌に対する防御反応の誘導が著しく低下する.たとえば,TLR4とMD-2のどちらの分子が欠損してもグラム陰性菌感染に対して高い感受性を示すことが,マウスにおいて報告されている.ヒトにおいてもTLR4のmutationがICU(intensive care unit)でのグラム陰性菌感染の患者に多い傾向のあることが報告されている.
■炎症性疾患
感染防御反応に伴う炎症反応が過剰となり,制御できなくなったことによる疾患もある.たとえば,上述のエンドトキシン応答が過剰となると大量のサイトカイン産生,血管障害,凝固異常をきたしてエンドトキシンショック状態となり,死に至る.エンドトキシン認識分子であるTLR4,MD-2それぞれの欠損マウスでは,エンドトキシンショックを実験的に誘導しても抵抗性を示し死なない.
このほかにも自然免疫に関与する分子が原因のひとつとされている炎症性疾患は少なくない.たとえばCrohn病では,腸管上皮細胞のエンドトキシン応答性の亢進と病態が相関するという報告がある.また,Crohn病の原因遺伝子のひとつとしてNod2が報告されている.Nod2は菌体膜を構成するペプチドグリカンの分解産物,muramyl dipeptide(MDP)を認識する.
■自己免疫アレルギー疾患
補体成分であるC1qの欠損症が全身性自己免疫疾患様の症状を示すことはヒトで報告されている.C1qの欠損により死細胞のクリアランスに支障をきたし,たまった死細胞に対する免疫応答が自己免疫疾患の原因ではないかという考え方が提唱されている.蓄積した細胞がなぜ免疫応答を誘導するか今後明らかにする必要がある.
また,マウスの実験であるが,B細胞に発現している,細菌のDNAを認識するTLR9からのシグナルが,抗DNA自己抗体産生に関与しているのではないかという結果が報告されている.TLRの認識異常が直接自己免疫につながるというたいへん興味深い可能性が考えられる.
このように自然免疫と自己免疫疾患の関連は今後の重要な課題である.この点ではアレルギー疾患も興味深い.肥満細胞はTLRを発現しており,エンドトキシンなどの病原体成分によって活性化される.感染症とアレルギー疾患との関連を考えていくうえでも,TLRからのシグナルとアレルギー疾患との関連は重要な課題となる.
■おわりに
病原体による炎症反応誘導機構が,TLRの発見を契機に明らかになりつつある.自然免疫機構を理解し,感染症関連疾患との関係を明らかにすることが重要であることはいうまでもない.自然免疫の分子基盤から獲得免疫との連携,病原体排除の機構,さらにこれらと疾患との関係について,それぞれ専門の先生方に,たいへん多忙ななか,執筆していただいた.自然免疫についての理解を深め,疾患を理解するうえでのあらたな観点を提示できれば幸いである.
自然免疫の分子基盤とその破綻による疾患(三宅健介)
Molecular basis of the innate immune system and its role in human diseases
●自然免疫機構,病原体のクリアランスと防御反応誘導
●感染症
●炎症性疾患
●自己免疫アレルギー疾患
第1章 病原体認識,シグナル伝達
1.補体レクチン経路の自然免疫における役割(松下 操)
Role of the lectin complement pathway in innate immunity
●レクチン経路活性化の生体防御レクチン
●MASPとレクチン経路活性化機構
●自然免疫におけるレクチン経路
2.肺コレクチンによる自然免疫生体防御―CD14・TLRとの相互作用を介する細胞応答制(御黒木由夫・佐野仁美)
Innate immune functions of lung collectins
●肺コレクチン
●肺コレクチンの自然免疫機能
●肺コレクチンとCD14・TLRとの相互作用
3.スカベンジャーレセプターと病原体認識(鈴木宏志)
Scavenger receptor as a pattern recognition molecule
●SR-Aの発見,構造と発現分布
●パターン認識レセプターとしてのSR-A
●エンドトキシンショックとSR-AI
●ヒトおよびマウスSR-AのLPSに対する反応の差異
4.エンドトキシン(LPS)認識分子機構―TLR4-MD-2とRP105-MD-1の機能を中心に(今野和典・三宅健介)
Molecular recognition mechanism of LPS―roles of TLR4-MD-2 and RP105-MD-1
●リポポリサッカライド(LPS)
●LBPとCD14
●TLR4の発見
●MD蛋白の発見
●B細胞におけるLPS認識とRP105-MD-1
●TLR4の細胞内局在におけるMD-2の役割
●LPSの認識と識別におけるMD-2の役割
5.TLRの病原体認識特異性とシグナル伝達経路機構(山本雅裕・審良静男)
Adaptor molecules containing TIR domain provide signaling specificity with TLRS
●TLRはそれぞれ違った病原体の構成成分を認識する
●TLRの細胞内へのシグナル伝達
●MyD88依存的経路とMyD88非依存的経路
●第2のアダプター分子TIRAPの役割
●第3のアダプター分子TRIF
6.NK細胞によるウイルス感染細胞認識機構(荒瀬 尚)
Recognition of virus infected cells by NK cells
●NK細胞によるサイトメガロウイルス認識機構
●ウイルスのNK細胞逃避機構
●ペア型活性化・抑制化レセプターによるウイルス感染制御
7.CD1を介した脂質抗原提示―結核菌と闘う新しい免疫システム(川島徹生・杉田昌彦)
CD1-mediated immunity against tuberculosis
●結核菌の特異性
●ヒトグループ1CD1分子
●CD1分子による結核菌感染制御のメカニズム
●結核菌感染あるいはBCG接種によって生体内で誘導されるCD1拘束性T細胞反応
●CD1b分子が機能しない遺伝病の発見
第2章 獲得免疫の発動,病原体排除機構
8.感染とインターフェロン―感染免疫におけるインターフェロンシグナルの役割(高岡晃教)
Roles of IFN signaling in immune responses against microbial infections
●I型IFNとII型IFN
●微生物の感染とIFN産生
●IFNシグナル伝達経路
●ウイルス側からの宿主への抵抗―IFNシグナル系の障害
●ウイルス感染防御系におけるIFN-α/βとp53のあらたな関連
●感染防御系におけるシグナル増幅機構―構成的に産生されているIFN-α/β
9.自然免疫と獲得免疫の連携における樹状細胞の役割―樹状細胞による獲得免疫の誘導(樗木俊聡)
Regulatory role for dendritic cells in the activation of acquired immunity
●DCによるTh/Th2バランスの制御
●DCによる免疫寛容の誘導
●免疫学的記憶,T細胞のホメオスタシス増殖におけるDCの役割
10.腎尿細管上皮細胞と自然免疫(松口徹也)
Tubular epithelial cells and innate immunity
●尿路感染症とケモカイン
●TECsにおけるTLR発現パターン
●TECsにおけるケモカイン産生誘導の分子機構
●TECとケモカインと腎障害
11.小腸粘膜上皮の自然免疫機構(綾部時芳)
Innate immunity in the small intestine
●粘膜免疫における消化管上皮細胞
●パネート細胞
●内因性抗菌ペプチド
●疾患との関連
●消化管上皮の自然免疫研究の今後
12.気道粘膜の感染防御機構―デフェンシンを中心として(迎 寛・河野 茂)
Mucosal immunity and defensins
●物理的・機械的防御機構
●気道粘液による防御機構
●炎症細胞による防御機構
●気道粘膜免疫におけるデフェンシンの役割
13.感染防御に重要な活性酸素の生成―食細胞NADPHオキシダーゼ活性化の分子機構(住本英樹)
Reactive oxygen species in host defense against microbial infection:Molecular mechanism for activation of the phagocyte NADPH oxidase
●食細胞NADPHオキシダーゼによる活性酸素生成
●シトクロムb558―gp91phoxとp22phoxからなる食細胞NADPHオキシダーゼの酵素本体
●食細胞NADPHオキシダーゼの活性化蛋白質―p47phox,p67phox,およびRacに関して
●食細胞NADPHオキシダーゼの活性化の分子機構
第3章 疾患との関連,治療への応用
14.皮膚局所の過剰なIL-18はアトピー性皮膚炎を惹起する(筒井ひろ子・中西憲司)
Atopic dermatitis-like skin alterations in mice with IL-18 accumulation in their skin
●IL-18の産生分泌機構とシグナル伝達系
●IL-18の生理活性
●IL-18を過剰に分泌する遺伝子改変マウス
15.自然免疫と関節炎(西城 忍・岩倉洋一郎)
Innate immunity and development of arthritis
●FcRと補体系の関与
●Fc受容体の関与
●補体系の関与
●炎症性サイトカインの関与
16.自然免疫と歯周病(高田春比古・菅原俊二)
Innate immunity and periodontal diseases
●黒色色素産生菌(BPB)のリポ多糖(LPS)
●歯肉線維芽細胞と自然免疫
●口腔上皮細胞と自然免疫
17.自己免疫疾患におけるToll-likeレセプターファミリーの役割―RP105,TLR-4の臨床的意義(小荒田秀一・長沢浩平)
The role of Toll-like receptors in autoimmune diseases
●自然免疫と自己免疫疾患
●自己免疫疾患におけるRP105(CD180)の役割
●自己免疫疾患におけるTLR-4の役割
●自己免疫疾患におけるTLRの臨床的意義
18.抗癌免疫成立における自然免疫の役割―Toll-like receptorによる樹状細胞活性化(瀬谷 司)
Toll-like receptors in tumor immunity
●2つの免疫系
●免疫監視機構の再考
●自然免疫と癌の免疫応答不全解除
●癌抗原―toleranceの解除へ向けて
19.レクチン経路の癌免疫への応用(沖村一満・他)
Application of lectin pathway to cancer immunity
●MBPによる補体活性化―レクチン経路
●MBPの生体内における役割
●MBPの補充療法
●MBPによる癌抑制作用
■サイドメモ目次
補体の古典的経路
PAMPsとPRRs
ヒトはハエなみ?
NK細胞レセプター
AP-3複合体
生体防御系におけるシグナル制御機構―Revving-up system
T細胞のホメオスタシス増殖
線毛とUTI
デフェンシン
αデフェンシンのさまざまな作用
カスパーゼ(caspase)
HTLV-I関連疾患
疾患感受性遺伝子
PAMP
Molecular basis of the innate immune system and its role in human diseases
●自然免疫機構,病原体のクリアランスと防御反応誘導
●感染症
●炎症性疾患
●自己免疫アレルギー疾患
第1章 病原体認識,シグナル伝達
1.補体レクチン経路の自然免疫における役割(松下 操)
Role of the lectin complement pathway in innate immunity
●レクチン経路活性化の生体防御レクチン
●MASPとレクチン経路活性化機構
●自然免疫におけるレクチン経路
2.肺コレクチンによる自然免疫生体防御―CD14・TLRとの相互作用を介する細胞応答制(御黒木由夫・佐野仁美)
Innate immune functions of lung collectins
●肺コレクチン
●肺コレクチンの自然免疫機能
●肺コレクチンとCD14・TLRとの相互作用
3.スカベンジャーレセプターと病原体認識(鈴木宏志)
Scavenger receptor as a pattern recognition molecule
●SR-Aの発見,構造と発現分布
●パターン認識レセプターとしてのSR-A
●エンドトキシンショックとSR-AI
●ヒトおよびマウスSR-AのLPSに対する反応の差異
4.エンドトキシン(LPS)認識分子機構―TLR4-MD-2とRP105-MD-1の機能を中心に(今野和典・三宅健介)
Molecular recognition mechanism of LPS―roles of TLR4-MD-2 and RP105-MD-1
●リポポリサッカライド(LPS)
●LBPとCD14
●TLR4の発見
●MD蛋白の発見
●B細胞におけるLPS認識とRP105-MD-1
●TLR4の細胞内局在におけるMD-2の役割
●LPSの認識と識別におけるMD-2の役割
5.TLRの病原体認識特異性とシグナル伝達経路機構(山本雅裕・審良静男)
Adaptor molecules containing TIR domain provide signaling specificity with TLRS
●TLRはそれぞれ違った病原体の構成成分を認識する
●TLRの細胞内へのシグナル伝達
●MyD88依存的経路とMyD88非依存的経路
●第2のアダプター分子TIRAPの役割
●第3のアダプター分子TRIF
6.NK細胞によるウイルス感染細胞認識機構(荒瀬 尚)
Recognition of virus infected cells by NK cells
●NK細胞によるサイトメガロウイルス認識機構
●ウイルスのNK細胞逃避機構
●ペア型活性化・抑制化レセプターによるウイルス感染制御
7.CD1を介した脂質抗原提示―結核菌と闘う新しい免疫システム(川島徹生・杉田昌彦)
CD1-mediated immunity against tuberculosis
●結核菌の特異性
●ヒトグループ1CD1分子
●CD1分子による結核菌感染制御のメカニズム
●結核菌感染あるいはBCG接種によって生体内で誘導されるCD1拘束性T細胞反応
●CD1b分子が機能しない遺伝病の発見
第2章 獲得免疫の発動,病原体排除機構
8.感染とインターフェロン―感染免疫におけるインターフェロンシグナルの役割(高岡晃教)
Roles of IFN signaling in immune responses against microbial infections
●I型IFNとII型IFN
●微生物の感染とIFN産生
●IFNシグナル伝達経路
●ウイルス側からの宿主への抵抗―IFNシグナル系の障害
●ウイルス感染防御系におけるIFN-α/βとp53のあらたな関連
●感染防御系におけるシグナル増幅機構―構成的に産生されているIFN-α/β
9.自然免疫と獲得免疫の連携における樹状細胞の役割―樹状細胞による獲得免疫の誘導(樗木俊聡)
Regulatory role for dendritic cells in the activation of acquired immunity
●DCによるTh/Th2バランスの制御
●DCによる免疫寛容の誘導
●免疫学的記憶,T細胞のホメオスタシス増殖におけるDCの役割
10.腎尿細管上皮細胞と自然免疫(松口徹也)
Tubular epithelial cells and innate immunity
●尿路感染症とケモカイン
●TECsにおけるTLR発現パターン
●TECsにおけるケモカイン産生誘導の分子機構
●TECとケモカインと腎障害
11.小腸粘膜上皮の自然免疫機構(綾部時芳)
Innate immunity in the small intestine
●粘膜免疫における消化管上皮細胞
●パネート細胞
●内因性抗菌ペプチド
●疾患との関連
●消化管上皮の自然免疫研究の今後
12.気道粘膜の感染防御機構―デフェンシンを中心として(迎 寛・河野 茂)
Mucosal immunity and defensins
●物理的・機械的防御機構
●気道粘液による防御機構
●炎症細胞による防御機構
●気道粘膜免疫におけるデフェンシンの役割
13.感染防御に重要な活性酸素の生成―食細胞NADPHオキシダーゼ活性化の分子機構(住本英樹)
Reactive oxygen species in host defense against microbial infection:Molecular mechanism for activation of the phagocyte NADPH oxidase
●食細胞NADPHオキシダーゼによる活性酸素生成
●シトクロムb558―gp91phoxとp22phoxからなる食細胞NADPHオキシダーゼの酵素本体
●食細胞NADPHオキシダーゼの活性化蛋白質―p47phox,p67phox,およびRacに関して
●食細胞NADPHオキシダーゼの活性化の分子機構
第3章 疾患との関連,治療への応用
14.皮膚局所の過剰なIL-18はアトピー性皮膚炎を惹起する(筒井ひろ子・中西憲司)
Atopic dermatitis-like skin alterations in mice with IL-18 accumulation in their skin
●IL-18の産生分泌機構とシグナル伝達系
●IL-18の生理活性
●IL-18を過剰に分泌する遺伝子改変マウス
15.自然免疫と関節炎(西城 忍・岩倉洋一郎)
Innate immunity and development of arthritis
●FcRと補体系の関与
●Fc受容体の関与
●補体系の関与
●炎症性サイトカインの関与
16.自然免疫と歯周病(高田春比古・菅原俊二)
Innate immunity and periodontal diseases
●黒色色素産生菌(BPB)のリポ多糖(LPS)
●歯肉線維芽細胞と自然免疫
●口腔上皮細胞と自然免疫
17.自己免疫疾患におけるToll-likeレセプターファミリーの役割―RP105,TLR-4の臨床的意義(小荒田秀一・長沢浩平)
The role of Toll-like receptors in autoimmune diseases
●自然免疫と自己免疫疾患
●自己免疫疾患におけるRP105(CD180)の役割
●自己免疫疾患におけるTLR-4の役割
●自己免疫疾患におけるTLRの臨床的意義
18.抗癌免疫成立における自然免疫の役割―Toll-like receptorによる樹状細胞活性化(瀬谷 司)
Toll-like receptors in tumor immunity
●2つの免疫系
●免疫監視機構の再考
●自然免疫と癌の免疫応答不全解除
●癌抗原―toleranceの解除へ向けて
19.レクチン経路の癌免疫への応用(沖村一満・他)
Application of lectin pathway to cancer immunity
●MBPによる補体活性化―レクチン経路
●MBPの生体内における役割
●MBPの補充療法
●MBPによる癌抑制作用
■サイドメモ目次
補体の古典的経路
PAMPsとPRRs
ヒトはハエなみ?
NK細胞レセプター
AP-3複合体
生体防御系におけるシグナル制御機構―Revving-up system
T細胞のホメオスタシス増殖
線毛とUTI
デフェンシン
αデフェンシンのさまざまな作用
カスパーゼ(caspase)
HTLV-I関連疾患
疾患感受性遺伝子
PAMP