はじめに
国立がんセンター研究所薬効試験部 若杉 尋
わが国では悪性新生物(がん)は1981年以来,脳血管疾患を抜いて死亡原因の第1位となっている.がんに対する治療法としては歴史的にすでに数百年の実績をもつ外科療法があり,ついで約100年の歴史をもつ放射線療法が確立され,戦後には化学療法が開始され,約50年になろうとしている.このようなさまざまな方法を組み合わせてがんを撲滅することが従来より期待されているが,進行がんやある種のがんでは現在確立された治療法として広く行われている外科療法,化学療法,放射線療法をもってしてもかならずしも有効でないものがあるのも事実であり,免疫療法が第4の治療法として期待される所以である.
免疫療法は基本的に担がん宿主の免疫監視機構を使用して最終的にがん細胞を拒絶させようという魅力的な戦略をもつ.しかし,がんの免疫療法はせいぜい20年程度の歴史をもつにすぎない端緒についたばかりの未完の治療体系であり,治療法の理論的根拠,治療法の評価基準,細胞を含めた治療に用いる物質の製品管理など,どれをとっても化学療法がなし遂げてきたような厳しい基準の樹立をめざして,今後問題点をクリアし,完成していく必要があると考えられる.
免疫療法の揺籃期にはBCG,OK-432などの菌体やlentinan,levamizoleなどの生体応答調節剤(biological response modifiers:BRM)を用いたBRM療法が行われた.
その後1980年代になると分子生物学の急速な発展とともに種々のインターロイキンがクローニングされ,同時にこれらの微量の分子を簡単かつ大量に提供できる時代となった.がんの近年の免疫療法はそのうちのひとつであるTリンパ球を増殖・活性化させるインターロイキン(インターロイキン2 ;IL-2など)の因子の発見と単離に基づいている.これらの因子の存在下にがん患者の自己リンパ球を体外で大量培養するとリンパ球が活性化され,その細胞傷害活性が著しく増加する.歴史的にはこの活性化したリンパ球を患者に戻すリンフォカイン活性化キラー細胞(lymphokine activated killer cells:LAK)療法がBRM療法のつぎに行われた.LAK細胞は試験管内でがん細胞に対して強力な細胞傷害活性を示し,Fasリガンド,パーフォリンなどの標的細胞を細胞死に導く分子を発現するが,生体内での腫瘍局所への活性化リンパ球の到達の効率がよくないなどの問題点が指摘されている.また,IL-2やIFN-γなどのインターロイキンの単独投与またはLAK療法と組み合わせる治療法も行われたが,いずれもきわだった効果は報告されないか,追試が再現できず今日に至っている.
さきのBRM療法やLAK療法の一部は1970年代後半に発見されて1980年代に盛んに研究された,強い抗腫瘍活性をもつnatural killer(NK)細胞の抗腫瘍活性の増強を標的としていた.NK細胞に関する研究は一時下火になっているようにみえたが,最近ではclassicalとnon-classicalなMHC class Iに拘束されるNK受容体が一部のT細胞や他のエフェクター細胞にも発現しており,免疫応答の調節に重要な役割を果たすことが明らかとなった.NK細胞を用いて免疫応答に抑制的に働くkiller inhibitory receptor(KIR)や活性化をもたらすkiller activating receptor(KAR)が多数同定され,かつ単離されるに至り,NK細胞はふたたび注目を浴びるようになっている.
一方,がんに対して免疫応答を引き起こすようながん抗原の実体の存在は不明であったが,1991年にヒト腫瘍においてもがん抗原の存在が明らかとなった.いくつかのがん抗原が遺伝子レベルでも同定され,HLA class I,IIにより提示された抗原を認識するcytotoxic T lymphocyte(CTL)によって排除されうることが明らかとなった.多数の発見によりがんのワクチン療法や樹状細胞(dendritic cell:DC)を用いた細胞療法が試みられようとしている.さらに最近,新しい免疫担当細胞として従来のT細胞のほかにT cell receptor(TCR)を通してHLA class Iに類似のCD1抗原を認識し,ナチュラルキラー受容体(NKR)を同時に発現したNKT細胞とよばれるT細胞亜群が発見された.この細胞は免疫応答の初期に大量のIFN-γやIL-4を産生することによってTh1/Th2バランスを調節する作用や,強力な抗腫瘍活性(NK細胞では傷害できない腫瘍細胞も傷害したり腫瘍の転移の抑制にも重要な役割を果たすとされる)を有するなど,従来の免疫エフェクター細胞にはないユニークな機能をもっており,最近注目されている.
DCは最強の抗原提示細胞として従来から知られていたが,最近ではその分化成熟と抗原提示機能との関連について急速に研究が進み,その研究成果が臨床に応用されはじめ,多くの臨床試験が展開されるようになってきている.その成果のひとつとして,DCはCTLを誘導するだけでなくNK細胞やNKT細胞も活性化することが知られるようになり,複雑な免疫ネットワークの中心にあって免疫体系のコンダクターとしての中心的な役割を努めていると考えられる.
抗体を用いた免疫療法の試みも急速に発展している.がんに特異的に発現する分子に対する抗体のうちではc-erbB-2抗体を用いた免疫療法がすでに臨床試験の段階に入っており,その結果が報告される日も近い.この項では加えて,最近担がん患者の血清中にがんに対する特異的抗体が見出されることがわかり,患者血清を用いてがん抗原を同定する方法が注目されているので,それについても項に加えさせていただいた.
今回はこれらの免疫担当細胞ごとに最近の臨床応用を射程においたトピックスについて執筆いただくとともに,樹状細胞と腫瘍細胞のクロストークなどの新しい観点も盛り込ませていただいた.とくに,従来の免疫療法の問題点を考え,免疫療法のあらたな評価法の確立を含め,今後行われていくであろう細胞治療の動向についても項を設けて執筆していただいた.今後の動向については造血幹細胞移植や免疫療法などの細胞療法は新しい評価基準(GCP)と製品基準(GMP)に基づいて行われる科学的手法として新しい細胞療法体系を築くことがもっとも重要であると考えるので,最後の項に入れさせていただいた.
国立がんセンター研究所薬効試験部 若杉 尋
わが国では悪性新生物(がん)は1981年以来,脳血管疾患を抜いて死亡原因の第1位となっている.がんに対する治療法としては歴史的にすでに数百年の実績をもつ外科療法があり,ついで約100年の歴史をもつ放射線療法が確立され,戦後には化学療法が開始され,約50年になろうとしている.このようなさまざまな方法を組み合わせてがんを撲滅することが従来より期待されているが,進行がんやある種のがんでは現在確立された治療法として広く行われている外科療法,化学療法,放射線療法をもってしてもかならずしも有効でないものがあるのも事実であり,免疫療法が第4の治療法として期待される所以である.
免疫療法は基本的に担がん宿主の免疫監視機構を使用して最終的にがん細胞を拒絶させようという魅力的な戦略をもつ.しかし,がんの免疫療法はせいぜい20年程度の歴史をもつにすぎない端緒についたばかりの未完の治療体系であり,治療法の理論的根拠,治療法の評価基準,細胞を含めた治療に用いる物質の製品管理など,どれをとっても化学療法がなし遂げてきたような厳しい基準の樹立をめざして,今後問題点をクリアし,完成していく必要があると考えられる.
免疫療法の揺籃期にはBCG,OK-432などの菌体やlentinan,levamizoleなどの生体応答調節剤(biological response modifiers:BRM)を用いたBRM療法が行われた.
その後1980年代になると分子生物学の急速な発展とともに種々のインターロイキンがクローニングされ,同時にこれらの微量の分子を簡単かつ大量に提供できる時代となった.がんの近年の免疫療法はそのうちのひとつであるTリンパ球を増殖・活性化させるインターロイキン(インターロイキン2 ;IL-2など)の因子の発見と単離に基づいている.これらの因子の存在下にがん患者の自己リンパ球を体外で大量培養するとリンパ球が活性化され,その細胞傷害活性が著しく増加する.歴史的にはこの活性化したリンパ球を患者に戻すリンフォカイン活性化キラー細胞(lymphokine activated killer cells:LAK)療法がBRM療法のつぎに行われた.LAK細胞は試験管内でがん細胞に対して強力な細胞傷害活性を示し,Fasリガンド,パーフォリンなどの標的細胞を細胞死に導く分子を発現するが,生体内での腫瘍局所への活性化リンパ球の到達の効率がよくないなどの問題点が指摘されている.また,IL-2やIFN-γなどのインターロイキンの単独投与またはLAK療法と組み合わせる治療法も行われたが,いずれもきわだった効果は報告されないか,追試が再現できず今日に至っている.
さきのBRM療法やLAK療法の一部は1970年代後半に発見されて1980年代に盛んに研究された,強い抗腫瘍活性をもつnatural killer(NK)細胞の抗腫瘍活性の増強を標的としていた.NK細胞に関する研究は一時下火になっているようにみえたが,最近ではclassicalとnon-classicalなMHC class Iに拘束されるNK受容体が一部のT細胞や他のエフェクター細胞にも発現しており,免疫応答の調節に重要な役割を果たすことが明らかとなった.NK細胞を用いて免疫応答に抑制的に働くkiller inhibitory receptor(KIR)や活性化をもたらすkiller activating receptor(KAR)が多数同定され,かつ単離されるに至り,NK細胞はふたたび注目を浴びるようになっている.
一方,がんに対して免疫応答を引き起こすようながん抗原の実体の存在は不明であったが,1991年にヒト腫瘍においてもがん抗原の存在が明らかとなった.いくつかのがん抗原が遺伝子レベルでも同定され,HLA class I,IIにより提示された抗原を認識するcytotoxic T lymphocyte(CTL)によって排除されうることが明らかとなった.多数の発見によりがんのワクチン療法や樹状細胞(dendritic cell:DC)を用いた細胞療法が試みられようとしている.さらに最近,新しい免疫担当細胞として従来のT細胞のほかにT cell receptor(TCR)を通してHLA class Iに類似のCD1抗原を認識し,ナチュラルキラー受容体(NKR)を同時に発現したNKT細胞とよばれるT細胞亜群が発見された.この細胞は免疫応答の初期に大量のIFN-γやIL-4を産生することによってTh1/Th2バランスを調節する作用や,強力な抗腫瘍活性(NK細胞では傷害できない腫瘍細胞も傷害したり腫瘍の転移の抑制にも重要な役割を果たすとされる)を有するなど,従来の免疫エフェクター細胞にはないユニークな機能をもっており,最近注目されている.
DCは最強の抗原提示細胞として従来から知られていたが,最近ではその分化成熟と抗原提示機能との関連について急速に研究が進み,その研究成果が臨床に応用されはじめ,多くの臨床試験が展開されるようになってきている.その成果のひとつとして,DCはCTLを誘導するだけでなくNK細胞やNKT細胞も活性化することが知られるようになり,複雑な免疫ネットワークの中心にあって免疫体系のコンダクターとしての中心的な役割を努めていると考えられる.
抗体を用いた免疫療法の試みも急速に発展している.がんに特異的に発現する分子に対する抗体のうちではc-erbB-2抗体を用いた免疫療法がすでに臨床試験の段階に入っており,その結果が報告される日も近い.この項では加えて,最近担がん患者の血清中にがんに対する特異的抗体が見出されることがわかり,患者血清を用いてがん抗原を同定する方法が注目されているので,それについても項に加えさせていただいた.
今回はこれらの免疫担当細胞ごとに最近の臨床応用を射程においたトピックスについて執筆いただくとともに,樹状細胞と腫瘍細胞のクロストークなどの新しい観点も盛り込ませていただいた.とくに,従来の免疫療法の問題点を考え,免疫療法のあらたな評価法の確立を含め,今後行われていくであろう細胞治療の動向についても項を設けて執筆していただいた.今後の動向については造血幹細胞移植や免疫療法などの細胞療法は新しい評価基準(GCP)と製品基準(GMP)に基づいて行われる科学的手法として新しい細胞療法体系を築くことがもっとも重要であると考えるので,最後の項に入れさせていただいた.
別冊・医学のあゆみ 細胞免疫療法の現状
Cancer immunotherapy:State of art
Editor:Hiro Wakasugi
はじめに 若杉 尋
■樹状細胞を用いた細胞免疫療法
1.DC/DC2によるTh/Th2バランスの制御と癌治療への応用 佐藤まりも・西村孝司
The control of Th/Th2 balance by DC/DC2 and its application to tumor immunotherapy
●樹状細胞サブセットのTh/Th2バランス制御における機能的差異
●樹状細胞サブセットのCTL誘導における機能的差異
●DCを用いた癌免疫療法の今後の展望
2.樹状細胞療法――樹状細胞と腫瘍細胞のクロストーク 田原秀晃
Cancer immunotherapy using dendritic cells-Interaction between dendritic cells and tumor cells
●担癌生体内での樹状細胞の役割――腫瘍局所での樹状細胞存在の意義
●樹状細胞と腫瘍細胞のクロストーク
●腫瘍細胞による樹状細胞機能の抑制を打破する方法
3.樹状細胞療法――前立腺癌への臨床応用 田野崎隆二
Dendritic cell therapy for prostate cancer
●前立腺癌に対する免疫療法の考え方
●前立腺癌に対する免疫療法の臨床試験
4.大腸癌に対する癌ワクチン療法は可能か 角田卓也
Development for colorectal cancer vaccine using DC
●腫瘍抗原HER/neu
●腫瘍抗原としてのwild type p
●樹状細胞を用いたCEA特異的癌ワクチン療法
5.造血器悪性腫瘍に対する免疫細胞療法――慢性骨髄性白血病に対する樹状細胞を用いた免疫療法の検討 高橋強 志
Immuno-cell therapy using dendritic cells against chronic myelogenous leukemia
●慢性骨髄性白血病
●樹状細胞を用いた免疫療法の臨床応用
●考察
6.樹状細胞療法――乳癌への臨床応用 影山慎一・他
Dendritic cell therapy for breast cancer
●HER2は乳癌免疫的治療での標的となりうる
●HER2抗原のMHC結合ペプチド同定
●HER2由来ペプチドはCTLを誘導し腫瘍拒絶をきたす
●HER2由来ペプチドはin vitroでヒトCTLを誘導する
●HER2由来ペプチドを用いた癌ワクチンの臨床展開
●抗原エピトープが明らかにされていない場合の癌ワクチン療法
●樹状細胞をはじめとするペプチドを用いた免疫的治療の臨床試験
■腫瘍細胞ワクチン療法
7.腫瘍細胞・樹状細胞融合法による抗腫瘍免疫の誘導 本間 定
Induction of antitumor immunity by fusions of dendritic and tumor cells
●樹状細胞と腫瘍細胞の融合細胞の抗原提示メカニズム
●樹状細胞と腫瘍細胞の融合細胞による抗腫瘍免疫の誘導
●融合細胞を用いた腫瘍免疫療法
8.サイトカイン・ケモカインを用いた癌の免疫遺伝子治療 内田宏昭・濱田洋文
Cancer immunotherapy by gene transduction of cytokines and chemokines
●癌の免疫遺伝子治療
●サイトカイン遺伝子治療とその改良
●ケモカイン遺伝子治療
9.白血病に対する免疫遺伝子療法 加藤和則
Immuno gene therapy of leukemia
●悪性リンパ腫・白血病に対する免疫遺伝子療法
●慢性リンパ球性白血病
●B-CLLの特徴
●遺伝子治療の基礎検討
●B-CLL患者に対するCD40リガンド遺伝子療法の臨床試験
10.遺伝子導入を用いた癌免疫療法の現状 平家勇司
Current status of immuno-genetherapy
●癌に対する免疫遺伝子治療の背景
●免疫遺伝子療法のベクター開発
●治療戦略からみた免疫遺伝子治療
■リンパ球療法
11.インターフェロン-α活性化自己リンパ球還元療法――イフナンク療法 岸田綱太郎・岸 惇子
Immunotherapy against cancer using interferon-α activated auto-lymphocytes
●生体防御能と免疫力
●“イフナンク療法”のターゲット
●生体(とくに脊椎動物)から非特異免疫を消す2つの方法
●イフナンク療法の実際の方法と効果
●考察
12.進行癌に対する自己活性化リンパ球の癌局所移入療法 唐 宇飛・他
Regional cellular immunotherapy for an advanced cancer
●進行癌への自己活性化リンパ球移入療法
●対象症例の選択と自己活性化リンパ球局注の治療効果
13.腫瘍抗原ペプチドを用いたCTLの誘導 佐藤百合子・他
CTL induction with antigenic peptides
●腫瘍抗原の種類と特徴
●In vitroでのCTL誘導
●転座を利用した抗原エピトープの決定
●抗原ペプチドを利用した免疫療法
14.腫瘍免疫調節機構――初期γδT細胞応答を中心とした抗腫瘍免疫の抑制反応 瀬尾尚宏
Regulation of tumoricidal immunity by the earlyγδT cell responses
●γδT細胞の免疫調節機構
●γδT細胞による抗腫瘍innate immunityの抑制
●γδT細胞による抗腫瘍acquired immunityの抑制作用
15.NK細胞による腫瘍監視機構 竹田和由
Metastasis surveillance by NK cells
●NK細胞
●NKT細胞
●NK細胞による癌細胞の増殖,転移の制御
●NK細胞による転移の制御のメカニズム
●NK細胞のIFN-γ産生による抗腫瘍作用
16.ヒトNK様T細胞の活性化と細胞免疫療法への応用 浅田-三上留美子・若杉 尋
Activation of human NK like T cells and application to immunotherapy
●マウスNK様T細胞
●マウスNK様T細胞の機能
●U5A2-13抗体
●ヒトNK様T細胞
●ヒトNK様T細胞の活性化と細胞免疫療法への応用
●ヒトNK様T細胞の細胞免疫療法への応用
17.白血病に対する免疫療法としての幹細胞移植 峯石 真
Hematopoietic stem cell transplant for leukemias as immunotherapy
●骨髄非破壊的移植の背景
●最初の骨髄非破壊的移植の試み
●国立がんセンター中央病院での骨髄非破壊的移植
●骨髄非破壊的移植の難治性白血病への適用
●DLIの新しい方法
●免疫療法が有効でない白血病に対する幹細胞移植
●固型腫瘍の骨髄非破壊的移植――GVTの例
■抗体を用いた免疫療法
18.ヒト型抗ガングリオシド抗体を用いた悪性黒色腫と肺癌の治療 設楽研也
Application of anti-ganglioside humanized antibodies for immunotherapy of malignant melanoma and lung cancer
●抗体による抗腫瘍活性のメカニズムと標的癌抗原
●ガングリオシド抗原
●抗GD3キメラ抗体による悪性黒色腫治療
●抗GM2キメラ抗体,ヒト化抗体による肺癌治療
19.胃癌に対するモノクローナル抗体治療 佐々木 茂・今井浩三
Monoclonal antibody therapy for gastric cancer
●モノクローナル抗体治療の問題点とその克服
●癌に対するモノクローナル抗体治療の現状
●癌遺伝子産物erbB-2
●抗erbB-2マウス・ヒトキメラMoAbCH401による抗癌作用
●In vitroにおける抗腫瘍効果
●CH401によるアポトーシスの誘導
●In vivoにおける抗腫瘍効果
20.SEREX法による癌抗原単離と免疫療法への応用 河上 裕
Isolation of tumor antigens by SEREX and their use for immunotherapy
●癌抗原単離法としてのSEREX法
●SEREX法で単離された癌抗原
●SEREX法で単離される癌抗原の意味
●免疫療法に有用な抗原の選択法とSEREX法の問題点
●T細胞認識抗原の同定
●免疫療法への応用
■細胞免疫療法の問題点と今後の展望
21.細胞免疫療法の問題点と今後の展望 高上 洋一
Pitfall of cell-mediated immunotherapy and future directions
●現在までの免疫療法の問題点
●旧来型の細胞免疫療法
●癌患者の免疫能の特徴と旧来の治療法の限界
●細胞処理と臨床試験の妥当性
●今後の展望
■サイドメモ
樹状細胞を用いた癌免疫療法の最前線
HLAテトラマーの作製
癌ワクチンの標的としてのHER2抗原
ファイバー変異型アデノウイルス
/制限増殖型アデノウイルス
CD40リガンド(CD40L ;CD154)
癌ペプチドワクチン療法
Th/Tr1細胞群
α-galactosylceramide(α-GalCer)
GMP
本別冊は,週刊「医学のあゆみ」Vol.195 No.1(2000年10月7日発行)『細胞免疫療法の現状』をもとに別冊として再刊したものです.次頁にVol.195 No.1に掲載したさいの原を掲載しておりますので,引用などにさいしましては原をご参照ください.
Cancer immunotherapy:State of art
Editor:Hiro Wakasugi
はじめに 若杉 尋
■樹状細胞を用いた細胞免疫療法
1.DC/DC2によるTh/Th2バランスの制御と癌治療への応用 佐藤まりも・西村孝司
The control of Th/Th2 balance by DC/DC2 and its application to tumor immunotherapy
●樹状細胞サブセットのTh/Th2バランス制御における機能的差異
●樹状細胞サブセットのCTL誘導における機能的差異
●DCを用いた癌免疫療法の今後の展望
2.樹状細胞療法――樹状細胞と腫瘍細胞のクロストーク 田原秀晃
Cancer immunotherapy using dendritic cells-Interaction between dendritic cells and tumor cells
●担癌生体内での樹状細胞の役割――腫瘍局所での樹状細胞存在の意義
●樹状細胞と腫瘍細胞のクロストーク
●腫瘍細胞による樹状細胞機能の抑制を打破する方法
3.樹状細胞療法――前立腺癌への臨床応用 田野崎隆二
Dendritic cell therapy for prostate cancer
●前立腺癌に対する免疫療法の考え方
●前立腺癌に対する免疫療法の臨床試験
4.大腸癌に対する癌ワクチン療法は可能か 角田卓也
Development for colorectal cancer vaccine using DC
●腫瘍抗原HER/neu
●腫瘍抗原としてのwild type p
●樹状細胞を用いたCEA特異的癌ワクチン療法
5.造血器悪性腫瘍に対する免疫細胞療法――慢性骨髄性白血病に対する樹状細胞を用いた免疫療法の検討 高橋強 志
Immuno-cell therapy using dendritic cells against chronic myelogenous leukemia
●慢性骨髄性白血病
●樹状細胞を用いた免疫療法の臨床応用
●考察
6.樹状細胞療法――乳癌への臨床応用 影山慎一・他
Dendritic cell therapy for breast cancer
●HER2は乳癌免疫的治療での標的となりうる
●HER2抗原のMHC結合ペプチド同定
●HER2由来ペプチドはCTLを誘導し腫瘍拒絶をきたす
●HER2由来ペプチドはin vitroでヒトCTLを誘導する
●HER2由来ペプチドを用いた癌ワクチンの臨床展開
●抗原エピトープが明らかにされていない場合の癌ワクチン療法
●樹状細胞をはじめとするペプチドを用いた免疫的治療の臨床試験
■腫瘍細胞ワクチン療法
7.腫瘍細胞・樹状細胞融合法による抗腫瘍免疫の誘導 本間 定
Induction of antitumor immunity by fusions of dendritic and tumor cells
●樹状細胞と腫瘍細胞の融合細胞の抗原提示メカニズム
●樹状細胞と腫瘍細胞の融合細胞による抗腫瘍免疫の誘導
●融合細胞を用いた腫瘍免疫療法
8.サイトカイン・ケモカインを用いた癌の免疫遺伝子治療 内田宏昭・濱田洋文
Cancer immunotherapy by gene transduction of cytokines and chemokines
●癌の免疫遺伝子治療
●サイトカイン遺伝子治療とその改良
●ケモカイン遺伝子治療
9.白血病に対する免疫遺伝子療法 加藤和則
Immuno gene therapy of leukemia
●悪性リンパ腫・白血病に対する免疫遺伝子療法
●慢性リンパ球性白血病
●B-CLLの特徴
●遺伝子治療の基礎検討
●B-CLL患者に対するCD40リガンド遺伝子療法の臨床試験
10.遺伝子導入を用いた癌免疫療法の現状 平家勇司
Current status of immuno-genetherapy
●癌に対する免疫遺伝子治療の背景
●免疫遺伝子療法のベクター開発
●治療戦略からみた免疫遺伝子治療
■リンパ球療法
11.インターフェロン-α活性化自己リンパ球還元療法――イフナンク療法 岸田綱太郎・岸 惇子
Immunotherapy against cancer using interferon-α activated auto-lymphocytes
●生体防御能と免疫力
●“イフナンク療法”のターゲット
●生体(とくに脊椎動物)から非特異免疫を消す2つの方法
●イフナンク療法の実際の方法と効果
●考察
12.進行癌に対する自己活性化リンパ球の癌局所移入療法 唐 宇飛・他
Regional cellular immunotherapy for an advanced cancer
●進行癌への自己活性化リンパ球移入療法
●対象症例の選択と自己活性化リンパ球局注の治療効果
13.腫瘍抗原ペプチドを用いたCTLの誘導 佐藤百合子・他
CTL induction with antigenic peptides
●腫瘍抗原の種類と特徴
●In vitroでのCTL誘導
●転座を利用した抗原エピトープの決定
●抗原ペプチドを利用した免疫療法
14.腫瘍免疫調節機構――初期γδT細胞応答を中心とした抗腫瘍免疫の抑制反応 瀬尾尚宏
Regulation of tumoricidal immunity by the earlyγδT cell responses
●γδT細胞の免疫調節機構
●γδT細胞による抗腫瘍innate immunityの抑制
●γδT細胞による抗腫瘍acquired immunityの抑制作用
15.NK細胞による腫瘍監視機構 竹田和由
Metastasis surveillance by NK cells
●NK細胞
●NKT細胞
●NK細胞による癌細胞の増殖,転移の制御
●NK細胞による転移の制御のメカニズム
●NK細胞のIFN-γ産生による抗腫瘍作用
16.ヒトNK様T細胞の活性化と細胞免疫療法への応用 浅田-三上留美子・若杉 尋
Activation of human NK like T cells and application to immunotherapy
●マウスNK様T細胞
●マウスNK様T細胞の機能
●U5A2-13抗体
●ヒトNK様T細胞
●ヒトNK様T細胞の活性化と細胞免疫療法への応用
●ヒトNK様T細胞の細胞免疫療法への応用
17.白血病に対する免疫療法としての幹細胞移植 峯石 真
Hematopoietic stem cell transplant for leukemias as immunotherapy
●骨髄非破壊的移植の背景
●最初の骨髄非破壊的移植の試み
●国立がんセンター中央病院での骨髄非破壊的移植
●骨髄非破壊的移植の難治性白血病への適用
●DLIの新しい方法
●免疫療法が有効でない白血病に対する幹細胞移植
●固型腫瘍の骨髄非破壊的移植――GVTの例
■抗体を用いた免疫療法
18.ヒト型抗ガングリオシド抗体を用いた悪性黒色腫と肺癌の治療 設楽研也
Application of anti-ganglioside humanized antibodies for immunotherapy of malignant melanoma and lung cancer
●抗体による抗腫瘍活性のメカニズムと標的癌抗原
●ガングリオシド抗原
●抗GD3キメラ抗体による悪性黒色腫治療
●抗GM2キメラ抗体,ヒト化抗体による肺癌治療
19.胃癌に対するモノクローナル抗体治療 佐々木 茂・今井浩三
Monoclonal antibody therapy for gastric cancer
●モノクローナル抗体治療の問題点とその克服
●癌に対するモノクローナル抗体治療の現状
●癌遺伝子産物erbB-2
●抗erbB-2マウス・ヒトキメラMoAbCH401による抗癌作用
●In vitroにおける抗腫瘍効果
●CH401によるアポトーシスの誘導
●In vivoにおける抗腫瘍効果
20.SEREX法による癌抗原単離と免疫療法への応用 河上 裕
Isolation of tumor antigens by SEREX and their use for immunotherapy
●癌抗原単離法としてのSEREX法
●SEREX法で単離された癌抗原
●SEREX法で単離される癌抗原の意味
●免疫療法に有用な抗原の選択法とSEREX法の問題点
●T細胞認識抗原の同定
●免疫療法への応用
■細胞免疫療法の問題点と今後の展望
21.細胞免疫療法の問題点と今後の展望 高上 洋一
Pitfall of cell-mediated immunotherapy and future directions
●現在までの免疫療法の問題点
●旧来型の細胞免疫療法
●癌患者の免疫能の特徴と旧来の治療法の限界
●細胞処理と臨床試験の妥当性
●今後の展望
■サイドメモ
樹状細胞を用いた癌免疫療法の最前線
HLAテトラマーの作製
癌ワクチンの標的としてのHER2抗原
ファイバー変異型アデノウイルス
/制限増殖型アデノウイルス
CD40リガンド(CD40L ;CD154)
癌ペプチドワクチン療法
Th/Tr1細胞群
α-galactosylceramide(α-GalCer)
GMP
本別冊は,週刊「医学のあゆみ」Vol.195 No.1(2000年10月7日発行)『細胞免疫療法の現状』をもとに別冊として再刊したものです.次頁にVol.195 No.1に掲載したさいの原を掲載しておりますので,引用などにさいしましては原をご参照ください.