監訳の序
私たちが本書を翻訳しようと考えたのは,現在「姿勢評価」に関する教科書が少なく,的確に学生に姿勢の評価を教えることができないと感じたからである.つまり,「動作分析」の基礎に「姿勢評価」があるのに,その肝心の「姿勢評価」の教科書が少ないと考えたからである.私たちは,その考えに基づいて,医歯薬出版株式会社より,すでに『セラピストのためのハンズ・オンガイド姿勢アセスメント』,『セラピストのためのハンズ・オンガイド姿勢コントロール』を翻訳し,姿勢を評価する基礎的な教科書を読者に提供している.
そして今回,幸運にも身体パターンを評価するための新しいパラダイム(物の見方や捉え方)を持つ本書『ASTON(R)姿勢評価法原著第2版』を翻訳できることになった.
Astonによれば,身体のすべての身体分節を3次元としてみるという概念と,アライメント,形状(dimension),非対称性の影響を評価に含める必要があるという概念を観察の視点に加えるべきだという.
本書を翻訳していて,私たちが興味深く感じたことは,以下のような記述である.例えば,一つの身体分節が一方向に偏位(shift)すると,他の一つの身体分節が反対方向に偏位してバランスをとる.これを身体分節の逆偏位(counter shift)という.また,側面図で胸郭の後方への偏位を釣り合わせる(counterbalance,カウンターバランス)ために,肩と前腕を前方に動かして肩関節内旋,前腕回内させる.しかし,後方に偏位している胸郭に対して,他の身体分節が偏位してカウンターバランスを示してない場合は,重力の牽引による身体の傾きに対処するために,下肢と腰背部の筋緊張を増加させることでバランスをとる場合がある.また,一つの身体分節が一方向に回旋すると,他の一つの身体分節が反対方向に回旋してバランスをとる.これを逆回旋(counter rotation)という.また,Astonによれば,従来から言われている「良い姿勢」の獲得ではなく,動的な正中位という概念があり,正中位は点ではなく範囲であり,3次元的にバランスがとれた姿勢であり,連続的な動きの中にある.この正中位は安定性があり,左右,前後,上下に,身体のバランスを保つことができ,ある身体分節が他の身体分節を酷使したり制限したりする必要性を最小限に抑えると述べている.
読者の皆さまが本書を手にとり,Astonによる観察技術(seeing skills)に興味を持っていただき,本書が身体分節間の相互関係とその結果の理解に役立つことを実感してもらえれば,訳者として望外の幸せである.
2022年2月
訳者を代表して 武田 功・弓岡光徳
献辞
本書は,ボディワーク,筋膜,トランスフォーメーションの世界に私を導いてくれた故Ida Rolf博士と,1960年代から1970年代に彼女のもとでトレーニングを受けたすべてのプラクティショナーに捧げる.
プラクティショナーの名前は,われわれのウェブサイト,AstonKinetics.comに掲載されている.
著者について
Judith Astonは,ダンス,心理学,ボディワークを学び,人間の動きと構造に生涯にわたって関心を持ち続けてきた.California大学ロサンゼルス校で学士号と修士号を取得し,ダンスと体育の生涯教育資格も取得している.Long Beach Community Collegeでの運動プログラムのデザインや指導,ヒューマン・ポテンシャル・ワークショップでの経験が,ストラクチュラル・インテグレーション(「ロルフィング」)として知られる身体リハビリテーションの結合システムの創始者であり開発者である著名なIda Rolf博士の目に留まった.1968年4月,カリフォルニア州ビッグ・サーで行われたRolf博士との最初のセッションで,Rolf博士は,クライアントが自己認識と動作の再教育によってボディワークの効果を持続させる方法として,ロルフィング・シリーズの動作要素をデザインするようAstonに依頼した.それから9年間,Astonは「ストラクチュラル・パターニング(structural patterning)」と呼ばれるプログラムを徐々に開発し,ストラクチュラル・インテグレーションのプラクティショナー研修生全員と,ワークのムーブメント・インストラクターに選ばれた人たちに教えてきた.
このように多くの身体パターンに集中的に触れることにより,Astonは重力の場における人間の最適なアライメント,構造,動きを理解するための絶え間ない探求心を刺激された.プラクティショナーたちがストラクチュラル・パターニングを通して,より協力的に,より負担を軽く身体を使うことを学ぶにつれて,Astonは,クライアントのアライメントや構造的な形状に見られる結果が,標準的な鉛直線(plumb line)のアライメントやロルフラインとは異なっているように思えることに気づいた.
1977年までに,Astonは,構造的統合システムの完全性と彼女自身の発展途上の視点の両方を尊重するためには,独立が必要であることを理解していた.独立後,Astonの尽きることのない洞察力は,Aston筋膜インテグレーション(Astonマッサージ,関節運動学,筋運動学を含む3つの筋膜ワーク),6種類のAston(R)フィットネス,さらにはヨガ,ピラティス,シニアフィットネス,フェイシャルフィットネス,アスリート(ランナー,サイクリスト,スイマーなど)向けのAston(R)トレーニングの作成に活かされた.
彼女の新たなパラダイムは,より良い人間工学のアイデアにマッチした製品をデザインする機会をもたらし,それらは彼女のオフィスやウェブサイトを通じて提供された.すべての具体的なコースは,人間の姿勢評価と機能に関する新しいビジョンであるAston(R)パラダイムの統一原則に基づいている.現在,Astonは米国,欧州,豪州でAston(R)キネティクスの講義やクラスの実施,オンラインコーチングに加えて,仕事,スポーツ,家庭用の人間工学的製品をデザインしており,米国の公式のWho's Who of American Inventorsにも登録されている.
Judithは,Astonパラダイムの創造と,個人のユニークで変化しやすい身体パターンを尊重する形で,運動学の芸術と科学における先見の明のある先駆者として広く認められている.Astonキネティクスを開発し,Astonキネティクスのためにさまざまな内容の200日以上の公式トレーニングを作成するなど,彼女の創造性は尽きない.Astonは,ネバダ州タホ湖の自宅近くやその他の場所で,動作とボディワークのための彼女の教育システムに関するクラスを開催している.コースやスケジュール,ブログ,ビデオなどの詳細は,彼女のウェブサイト(AstonKinetics.com)で閲覧できる.本書は彼女の3冊目の著書である.
謝辞
第2版である本書のコンテンツの知識ベースに,さらに21年分の経験を加えることができて楽しかった.私は1963年に大学で教え始めてから現在まで56年間教えている.学生,クライアント,教師が身体の悩みを解決するために質問や必要性を提示してくれたことに感謝している.本当にありがとう.
前作(1998年)と同様に,読者が特定のパターンを識別しやすいように,身体の姿勢を誇張して撮影してもらった.
われわれのチームの多くのスキル,才能,責任感,そして忍耐は,多くの感謝と謝辞に値する.Maureen Mikaは,編集者であるだけでなく,本書の初版からすべてのイラストを描き直し,写真を編集するという作業を引き受けてくれた.この作業にはさまざまなスキルが必要であり,細部やレイアウト,デザインに多大な注意を払ってくれた.Weston Fettgatherは,複数回の写真撮影で350枚以上の新しい写真を撮り,それらの編集に何時間も費やしてくれた.また,書き起こしを手伝ってくれたり,コンセプトを具体的に示すために,一緒に本文中の数多くの写真を切り貼りしてくれたりしたCourtney Pennacchioにも感謝したい.
1970年代初頭からのプラクティショナーであるAnn Todhunter Brode,45年間にわたって豊富なスキルと視点を共有してくれた上級教員のRonnie Oliver,そしてこの25年以上にわたってフィードバックや熱意,寛大なサポートを提供してくれた上級教員のAllison Sagewindに感謝する.
この本のプロジェクトを実現するために,才能,アイデア,サポートを提供してくれたHANDSPRING社のすべての人々とフリーランスのアーティストに感謝の意を表したい.彼らの名前は,Mary Law,Andrew Stevenson,Bruce Hogarth,Morven Dean,Susan Stuart,Hilary Brown,Martin Hill,Stephanie Ricks,Dylan Hamiltonである.
そして最後に,夫であり上級教員でもあるBrian Linderothの信じられないようなサポート,仕事に対する知識,そしてまるで何世代にもわたる経験から来るような寛大さに感謝する.
序文
私は,覚えている限り長い間,人々が動いて自己を表現する方法に魅了されてきた.体育の学位を得るために長年ダンスを研究することによってこの情熱を探求してきた.そして,俳優とアスリートに対して,動きの習慣的パターンを変化させることにより,いかにパフォーマンスを最適化できるか教えてきた.1960年代には,Esalen研究所で,この魅力的な関心を追求した.ゲシュタルト・セラピスト(訳注:ゲシュタルト心理学に基づくセラピスト)と協力し,人の動きや動きの欠如がわれわれの内的な生活にどのように影響を及ぼしているのかを調査した.
その後,1968年,自動車事故による数年間の難治性の痛みを経験した後に,友人から,Esalen研究所で患者を診察し,ボディワーク,ストラクチュラル・インテグレーション(Structual Integration)(「ロルフィング」)のシステムを教えていたIda Rolf博士に会うように勧められた.非常に具体的な「徒手的」ボディワークにより身体が変化する可能性があり,事故や年齢の影響によって徐々に衰弱していくことを余儀なくされるものではないという考えを,彼女の仕事は広く一般に紹介した.Rolf博士は私の研究について聞き,受講者がボディワークセッションの成果を維持できるように,彼女のモデルに基づいて,「Rolf-Aston構造パターンニング(structural patterning)」と呼ばれる一連のムーブメントエクササイズを開発するように私を誘った.
私は9年間,Rolf博士と一緒に働き,受講者に教えた.その間,プログラムをより効果的にするために,観察に基づいて常に修正した.この新しい方法で自分の身体の使い方を学んだ時に,セラピストが気づき始めた最も驚くべき結果の1つは,彼らの仕事にあまり労力がいらず,クライアントの不快感を軽減したことである.
時が経つにつれ,私の洞察が実際に新しいパラダイムへと発展した.これは,人間のアライメントと動きについて,私の考え方が以前より進化したことによるものである.今日,このパラダイムは,Aston(R)マッサージ,ミオキネティクス,アースロキネティクス,Aston(R)フィットネスおよび人間工学に基づいた製品とアプリケーションなどの,あらゆる形態のAston(R)キネティクスの運動教育とボディワークの基礎となっている.
本書では,56年もの間,受講者へ教育したことを通じて,開発されたAston(R)パラダイムの基本原則の根底にある見方と根拠をいくつか紹介する.また,読者が自分自身の見る力と評価する力を段階的にトレーニングするためのエクササイズも盛り込んだ.これは,クライアントに「何を」する必要があるかを知るためである.
姿勢評価のこれらのパラメータは,人間の幸福,日常の動き,または専門的なパフォーマンスの最適化に関連するあらゆる診療に組み込むことができる.受講者は,これらの技術(skill-set)を学ぶことによって診療が大幅に変化し,より多くの永続的なメリットをより短時間で,少ない労力で達成できるようになったと報告している.
私は,これがあなたにも当てはまることを願っている.
Judith Aston
Thomas W Myersによる序文
ついに,やりましたね! Judith Astonは,彼女の哲学,ビジョン,そして彼女の評価方法の徹底的なツアーを,1冊の大きな本にまとめた.これは喜ばしいことだが,それに続いて,静かに座ってこの本を手に取り,クライアントや生徒に実践的に用いる必要がある.
それはそれほど難しいことではない.あなたが手にしているこの本は,何十年にもわたる綿密な観察と広範で多様な実践を統合したものであり,人生において見つけることができる姿勢分析に関する最も包括的な本である.Judithの資料は,同化と段階的な実践を容易にするために,論理的な方法で展開されている.
体型分類(somatotyping)と視覚的評価(visual assessment)は,芸術であり工芸であり,まだ科学というほどのものではない.最初の課題は,見る技術の基本をマスターすることである.そこから先の洞察力,つまり「見抜く」能力は,あらゆる芸術と同様,進歩的な恋愛関係なのである.本書のJudithの方法論は,技術に対して非常に現実的な問題を解決するための「手助け」である.実践的な技術と人生を歩むための芸術との密接した融合を評価するために彼女の行動を見てほしい.
しかし,私は最初から「存在すること」について,「機能」(行うこと)と「姿勢」(自分がどこにいるのか)の区別を心の中で明確にすることをお勧めする.姿勢とは,あなたがどこからスタートするかということであり,あなたの姿勢パターンは,あなたが何をするかということよりも,あなたが誰であるかということを物語っている.
もちろん,この2つは関連している.何をするかによって立ち方が決まり,どのような姿勢でいるかによって,実行できる機能が制限されたり促進されたりする.Wainwrightが言ったように,「機能のない構造は死体であり,構造のない機能は幽霊である」.しかし,この2つを区別することは,非常に価値がある.
現代のリハビリテーションやスポーツ・芸術のパフォーマンス向上では,「できること」と「できないこと」に重点が置かれている.最近では,さまざまなアプローチが「機能的」ということをうたい文句としており,可動域,筋力,体幹の能力を計測するスクリーニングテストが一般的で,それですべてうまくいっている.基本的な能力が示されたところで,あなたはどこから始めるだろうか? Ida Rolf博士とMoshe Feldenkrais博士が,別々の方法で行ったように,自分の身体のどこが「リラックス」しているのか?から始めるのだろうか.さらに複雑なことに,多くの人は,座る,寝る,歩く,働く,警戒している/疲れている,力が入っている/負担がかかっている,内向的/外向的などの尺度にも影響を受け,いくつもの姿勢をとっている.
Judith Astonの包括的なアプローチは,作業を単純化しているが,単純なことが簡単という意味ではない.この方法に見切りをつける前に,この種のボディリーディング(body reading)を最初の50回ほど試すまでは,手探り状態であることは許してほしい.パターンが明らかになり,関係性を認識して取り組めるようになるまでに,少なくとも数十人の人をよく見て,ひたすら考えてみる必要がある.そうすれば,人間の動きのパターンという荒野で,一生に一度の探求に値する取り組みとなる.Judithは,簡単な一連のステップを提供し,一つひとつより大きなスキルを獲得できるように構築している.
構造的/機能的ミスマッチの例として,右利きで週末だけプレイする多くのテニスプレーヤーは,右側が大腿骨,腹筋,前鋸筋,腰方形筋を介して引き込み,下制するので,右肩が左肩より低くなっている.このようなアマチュアプレーヤーは,肩からボールに向かって「パンチ」することが多い(これが,内側筋間中隔に外反の力が働く「テニス肘」につながり,練習にも支障をきたす).
これは理想的ではない.多くのプロテニスプレーヤーは,ラケットを常に右手で持っているにもかかわらず,脊柱を中心とした内側軸で回転することができ,右も左もほぼ同じように使っている.難しいが,これができるようになると,優雅さ,力,スタミナをより手に入れることができる.才能に恵まれていない多くのプレーヤーは,右肩を下げてボールに力を入れる時期がある.また,サウスポーの選手では左肩を下げることになる.
さて,事故や利き目,遺伝などが原因で,左肩が右肩よりも低くなってしまった人がテニスを始めた場合,テニスで成功する可能性は低く,すぐに「私はこれが苦手だ」と諦めてしまうかもしれない.また,テニスが好きで諦めきれない場合は,有利な右肩が「下」の位置になるように姿勢を変えてしまうこともあるが,これは「修正(corrective)」ではなく,単にそれまでの姿勢にさらに緊張を重ねることになる.
あなたのもとにやってくる人は,無数の決断,事故,手術,勝ち負けが好き,嫌悪感,素質など,互いに織りなす複雑な「存在」と「行為」のパターンである.これらのパターンを解きほぐし,「自然な」動きに戻すのがプラクティショナーの仕事である.そうすれば,リラックスしたり,中心軸に合わせてスイングしたりすることが容易になる.
ここに書かれていることはすべて日常的に価値があり,姿勢評価の技術は,練習を重ねるごとに深まっていく.人々が自分自身を何とかしようとする動きのパターンには,「ピサの斜塔」を登る階段のように,さまざまな奇妙で非効率的なパターンがあり,模倣,負傷,姿勢などを通して,実態のない重力がわれわれの70兆個の細胞とその筋膜マトリックスに働きかけることによって,成り立っている.Judithは,姿勢の混乱の迷宮から,「次に何をすればよいか」につながる理解の光へと導くための糸を与えてくれる.
私自身,Judith Astonにはこれ以上ないほど感謝している.私もまた,1970年代,Judithが引きつけられた数年後,彼女がまだRolf研究所で教えていた平穏な時代に,Ida Rolf博士の活動に引きつけられた.彼女との接触は,初期の頃の4日間のクラスと数回のセッションというわずかなものだったが,それ以来40年以上にわたり,私の練習に多大な影響を与えてきた.
さらにトレーニングを受け,アナトミー・トレインズ・スクールで私の生徒たちに教えるために彼女を後援する機会に恵まれたので,私は長年にわたって彼女の技術(skill-set)に触れる機会が増えた.クラスに参加した最初の日の深い効果とそれに伴う治療セッションは,何年にもわたって私の臨床における学びの源となっている.
臨床だけでなく,ある忘れられないセッションでは,ギターを持って行き,歌や演奏の原点を教えてもらった.しかし,骨盤の位置を調整することで,突然,ギターが軽く感じられ,呼吸が深くなり,それ以来,一度も悪くなっていない.
おっと,これは真実ではない.悪くなってしまう時もある.疲れていたり,調子が悪かったりすると,ギターを抱えて1960年代のDylanesqueのような硬い声で歌ってしまうことがある.しかし,私は,私の音楽表現に対する不快感や息苦しさをすぐに理解し,より簡単なサポートで素直なトーンに修正することができる.私は何年か後に彼女に言った.「Judith,あなたは私のスランプを消滅させてしてしまった」と.これは,さまざまな状況で他者との関係をより心豊かにするために開かれた私の扉である.
Judithの仕事は意味深く,彼女の完璧な能力は,他の人の動きを真似して,それを構成要素に分解することである.あなたもそれを見て,組み立てることができる.私は,彼女のように上手くはできないが,アナトミー・トレインの「Body Reading(R)」の洞察力の多くは,幸運にもIda Rolf博士とJudith Astonのお膝元で受けた姿勢への洞察力に由来している.
最近,「マインドフルネス(mindfulness)(心に留めること,注意)」という言葉が流行っているが,われわれが最初に心に留めなければならないのは,自分の身体の感覚,感情,直感,隠れた痛み,失われた部位,制限,そして喜びである.一瞬一瞬の知覚を組み立てる方法の大部分は,運動感覚を通して形作られる感覚にかかっている.Judithは,身体の動きのパターンに注意を向けさせる達人である.
祝宴の準備をしよう.初めてその喜びを味わった後も,この食事はずっとあなたに栄養を与え続けてくれることを知ってほしい.少しの投資,つまりこれらのスキルを臨床で実践し続けることで,あなたは料理人になり,クライアントがどこから来ても,それが何であっても,姿勢の評価に実践を結びつけることができるようになる.このことが,あなたやクライアントが望んでいる状態に近づけてくれることは,いくら強調しても足りない.
Thomas W Myers
「アナトミー・トレイン」ディレクター
米国メイン州
2019年7月
Darlene Hertlingによる序文
Judith Astonは,本書において,姿勢のアライメントと筋のバランスを分析することで,彼女自身が作成したAston(R)キネティクスの出版物の初歩的な部分を紹介している.素晴らしい本書は,元々は筆者のユニークなティーチングコースを統合したものだったが,今では非常に実用的なテキストとして成熟し,整然とした思考とプレゼンテーションによって成功している.この研究では,運動教育,3次元的な軟部組織ワーク,フィットネストレーニング,人間工学の統合システムであるAstonキネティクスの一側面のみを紹介している.これは,完全性において身体の練習の中でもユニークなものである.Astonキネティクスには,包括的な形式的評価システム,筋骨格系の幅広い機能障害に適用できる革新的な手技,フィットネスの特定の側面を開発するためにデザインされた多数のエクササイズプログラム,運動教育の手順,そしてワークの驚異的な適用範囲を可能にする一連の基本概念が含まれている.
Astonキネティクスは,創造的な観察と一貫した独自の開発から生まれた治療法のシステムである.人間の動きやアライメントを観察し,解釈するその方法は,さまざまなセラピーの分野に貢献する基本的なものであると,私は長年考えてきた.明確な参考文献は引用されていないが,Astonキネティクスはあらゆる分野において,現代の神経生理学やバイオメカニクスの知見と一致している.より最適な姿勢と動作がもたらす予防的・治療的価値や,人間を重力や床反力などの外部刺激と常に反応している生物として捉える考え方がこのシステムには内在している.
本書では,静的な姿勢とアライメントに焦点を当て,セラピストが人体の構造をより深く理解できるように,学習のための一連のエクササイズを紹介している.セラピストは,意味のある実践的なワークにすぐにアクセスすることができ,人体構造の知識を効率的な運動療法に拡大するための基礎を形成することができる.アライメントは,身体とその身体分節の配置を扱う.空間における身体分節の関係と,これらの身体分節にかかる体重の配分が,アライメントの2つの側面である.形状とプロポーションは,身体または身体部位の内部容積と,その容積が横幅,上下の長さ,奥行の構成形状に対してどのように配分されているかに関係している.また,骨格の各部分の空間における3次元的な位置も決定することができる.正常な状態からの逸脱は,回旋(rotation),せん断(shear),圧迫(compression)などの生体力学的な用語で表される.
Astonキネティクスのもう1つの要素は,アライメントパターンと筋緊張の相関関係である.筋の緊張を評価する際,検査者は身体の緊張パターンを観察,触診し,不適切と思われる過緊張や低緊張の領域を記録する.このボディマップは,身体パターンを視覚的に記録する.
ボディワーク,運動教育,人間工学を統合したレベルで,構造や動作の非対称性を認識し,それぞれの患者に合わせて問題を解決することが,このアプローチの特徴である.本書では,姿勢を評価するための基礎となるAston観察技術(seeing skill)を紹介している.徹底したプレゼンテーションにより,セラピストは意味のある実践的な作業をすぐに行い,患者ケアのための無限で極めて個別的なプログラムを開発することができる.
われわれが見ているものは,われわれの見方に大きく影響されることを忘れてはならない.すべての個人は,自分の知覚の限界を,知覚された世界の限界でもあると考える傾向があり,臨床上の問題を自分のもっている知識(own idiom)でしか見ようとしないのは重大な誤りである.健全な幅広いアプローチは,このような限定的な傾向を補うだろう.
Darlene Hertling(理学療法士)
名誉上級教授(Senior Lecturer Emerita)
リハビリテーション医学科
Washington大学,シアトル
米国ワシントン州
2019年6月
私たちが本書を翻訳しようと考えたのは,現在「姿勢評価」に関する教科書が少なく,的確に学生に姿勢の評価を教えることができないと感じたからである.つまり,「動作分析」の基礎に「姿勢評価」があるのに,その肝心の「姿勢評価」の教科書が少ないと考えたからである.私たちは,その考えに基づいて,医歯薬出版株式会社より,すでに『セラピストのためのハンズ・オンガイド姿勢アセスメント』,『セラピストのためのハンズ・オンガイド姿勢コントロール』を翻訳し,姿勢を評価する基礎的な教科書を読者に提供している.
そして今回,幸運にも身体パターンを評価するための新しいパラダイム(物の見方や捉え方)を持つ本書『ASTON(R)姿勢評価法原著第2版』を翻訳できることになった.
Astonによれば,身体のすべての身体分節を3次元としてみるという概念と,アライメント,形状(dimension),非対称性の影響を評価に含める必要があるという概念を観察の視点に加えるべきだという.
本書を翻訳していて,私たちが興味深く感じたことは,以下のような記述である.例えば,一つの身体分節が一方向に偏位(shift)すると,他の一つの身体分節が反対方向に偏位してバランスをとる.これを身体分節の逆偏位(counter shift)という.また,側面図で胸郭の後方への偏位を釣り合わせる(counterbalance,カウンターバランス)ために,肩と前腕を前方に動かして肩関節内旋,前腕回内させる.しかし,後方に偏位している胸郭に対して,他の身体分節が偏位してカウンターバランスを示してない場合は,重力の牽引による身体の傾きに対処するために,下肢と腰背部の筋緊張を増加させることでバランスをとる場合がある.また,一つの身体分節が一方向に回旋すると,他の一つの身体分節が反対方向に回旋してバランスをとる.これを逆回旋(counter rotation)という.また,Astonによれば,従来から言われている「良い姿勢」の獲得ではなく,動的な正中位という概念があり,正中位は点ではなく範囲であり,3次元的にバランスがとれた姿勢であり,連続的な動きの中にある.この正中位は安定性があり,左右,前後,上下に,身体のバランスを保つことができ,ある身体分節が他の身体分節を酷使したり制限したりする必要性を最小限に抑えると述べている.
読者の皆さまが本書を手にとり,Astonによる観察技術(seeing skills)に興味を持っていただき,本書が身体分節間の相互関係とその結果の理解に役立つことを実感してもらえれば,訳者として望外の幸せである.
2022年2月
訳者を代表して 武田 功・弓岡光徳
献辞
本書は,ボディワーク,筋膜,トランスフォーメーションの世界に私を導いてくれた故Ida Rolf博士と,1960年代から1970年代に彼女のもとでトレーニングを受けたすべてのプラクティショナーに捧げる.
プラクティショナーの名前は,われわれのウェブサイト,AstonKinetics.comに掲載されている.
著者について
Judith Astonは,ダンス,心理学,ボディワークを学び,人間の動きと構造に生涯にわたって関心を持ち続けてきた.California大学ロサンゼルス校で学士号と修士号を取得し,ダンスと体育の生涯教育資格も取得している.Long Beach Community Collegeでの運動プログラムのデザインや指導,ヒューマン・ポテンシャル・ワークショップでの経験が,ストラクチュラル・インテグレーション(「ロルフィング」)として知られる身体リハビリテーションの結合システムの創始者であり開発者である著名なIda Rolf博士の目に留まった.1968年4月,カリフォルニア州ビッグ・サーで行われたRolf博士との最初のセッションで,Rolf博士は,クライアントが自己認識と動作の再教育によってボディワークの効果を持続させる方法として,ロルフィング・シリーズの動作要素をデザインするようAstonに依頼した.それから9年間,Astonは「ストラクチュラル・パターニング(structural patterning)」と呼ばれるプログラムを徐々に開発し,ストラクチュラル・インテグレーションのプラクティショナー研修生全員と,ワークのムーブメント・インストラクターに選ばれた人たちに教えてきた.
このように多くの身体パターンに集中的に触れることにより,Astonは重力の場における人間の最適なアライメント,構造,動きを理解するための絶え間ない探求心を刺激された.プラクティショナーたちがストラクチュラル・パターニングを通して,より協力的に,より負担を軽く身体を使うことを学ぶにつれて,Astonは,クライアントのアライメントや構造的な形状に見られる結果が,標準的な鉛直線(plumb line)のアライメントやロルフラインとは異なっているように思えることに気づいた.
1977年までに,Astonは,構造的統合システムの完全性と彼女自身の発展途上の視点の両方を尊重するためには,独立が必要であることを理解していた.独立後,Astonの尽きることのない洞察力は,Aston筋膜インテグレーション(Astonマッサージ,関節運動学,筋運動学を含む3つの筋膜ワーク),6種類のAston(R)フィットネス,さらにはヨガ,ピラティス,シニアフィットネス,フェイシャルフィットネス,アスリート(ランナー,サイクリスト,スイマーなど)向けのAston(R)トレーニングの作成に活かされた.
彼女の新たなパラダイムは,より良い人間工学のアイデアにマッチした製品をデザインする機会をもたらし,それらは彼女のオフィスやウェブサイトを通じて提供された.すべての具体的なコースは,人間の姿勢評価と機能に関する新しいビジョンであるAston(R)パラダイムの統一原則に基づいている.現在,Astonは米国,欧州,豪州でAston(R)キネティクスの講義やクラスの実施,オンラインコーチングに加えて,仕事,スポーツ,家庭用の人間工学的製品をデザインしており,米国の公式のWho's Who of American Inventorsにも登録されている.
Judithは,Astonパラダイムの創造と,個人のユニークで変化しやすい身体パターンを尊重する形で,運動学の芸術と科学における先見の明のある先駆者として広く認められている.Astonキネティクスを開発し,Astonキネティクスのためにさまざまな内容の200日以上の公式トレーニングを作成するなど,彼女の創造性は尽きない.Astonは,ネバダ州タホ湖の自宅近くやその他の場所で,動作とボディワークのための彼女の教育システムに関するクラスを開催している.コースやスケジュール,ブログ,ビデオなどの詳細は,彼女のウェブサイト(AstonKinetics.com)で閲覧できる.本書は彼女の3冊目の著書である.
謝辞
第2版である本書のコンテンツの知識ベースに,さらに21年分の経験を加えることができて楽しかった.私は1963年に大学で教え始めてから現在まで56年間教えている.学生,クライアント,教師が身体の悩みを解決するために質問や必要性を提示してくれたことに感謝している.本当にありがとう.
前作(1998年)と同様に,読者が特定のパターンを識別しやすいように,身体の姿勢を誇張して撮影してもらった.
われわれのチームの多くのスキル,才能,責任感,そして忍耐は,多くの感謝と謝辞に値する.Maureen Mikaは,編集者であるだけでなく,本書の初版からすべてのイラストを描き直し,写真を編集するという作業を引き受けてくれた.この作業にはさまざまなスキルが必要であり,細部やレイアウト,デザインに多大な注意を払ってくれた.Weston Fettgatherは,複数回の写真撮影で350枚以上の新しい写真を撮り,それらの編集に何時間も費やしてくれた.また,書き起こしを手伝ってくれたり,コンセプトを具体的に示すために,一緒に本文中の数多くの写真を切り貼りしてくれたりしたCourtney Pennacchioにも感謝したい.
1970年代初頭からのプラクティショナーであるAnn Todhunter Brode,45年間にわたって豊富なスキルと視点を共有してくれた上級教員のRonnie Oliver,そしてこの25年以上にわたってフィードバックや熱意,寛大なサポートを提供してくれた上級教員のAllison Sagewindに感謝する.
この本のプロジェクトを実現するために,才能,アイデア,サポートを提供してくれたHANDSPRING社のすべての人々とフリーランスのアーティストに感謝の意を表したい.彼らの名前は,Mary Law,Andrew Stevenson,Bruce Hogarth,Morven Dean,Susan Stuart,Hilary Brown,Martin Hill,Stephanie Ricks,Dylan Hamiltonである.
そして最後に,夫であり上級教員でもあるBrian Linderothの信じられないようなサポート,仕事に対する知識,そしてまるで何世代にもわたる経験から来るような寛大さに感謝する.
序文
私は,覚えている限り長い間,人々が動いて自己を表現する方法に魅了されてきた.体育の学位を得るために長年ダンスを研究することによってこの情熱を探求してきた.そして,俳優とアスリートに対して,動きの習慣的パターンを変化させることにより,いかにパフォーマンスを最適化できるか教えてきた.1960年代には,Esalen研究所で,この魅力的な関心を追求した.ゲシュタルト・セラピスト(訳注:ゲシュタルト心理学に基づくセラピスト)と協力し,人の動きや動きの欠如がわれわれの内的な生活にどのように影響を及ぼしているのかを調査した.
その後,1968年,自動車事故による数年間の難治性の痛みを経験した後に,友人から,Esalen研究所で患者を診察し,ボディワーク,ストラクチュラル・インテグレーション(Structual Integration)(「ロルフィング」)のシステムを教えていたIda Rolf博士に会うように勧められた.非常に具体的な「徒手的」ボディワークにより身体が変化する可能性があり,事故や年齢の影響によって徐々に衰弱していくことを余儀なくされるものではないという考えを,彼女の仕事は広く一般に紹介した.Rolf博士は私の研究について聞き,受講者がボディワークセッションの成果を維持できるように,彼女のモデルに基づいて,「Rolf-Aston構造パターンニング(structural patterning)」と呼ばれる一連のムーブメントエクササイズを開発するように私を誘った.
私は9年間,Rolf博士と一緒に働き,受講者に教えた.その間,プログラムをより効果的にするために,観察に基づいて常に修正した.この新しい方法で自分の身体の使い方を学んだ時に,セラピストが気づき始めた最も驚くべき結果の1つは,彼らの仕事にあまり労力がいらず,クライアントの不快感を軽減したことである.
時が経つにつれ,私の洞察が実際に新しいパラダイムへと発展した.これは,人間のアライメントと動きについて,私の考え方が以前より進化したことによるものである.今日,このパラダイムは,Aston(R)マッサージ,ミオキネティクス,アースロキネティクス,Aston(R)フィットネスおよび人間工学に基づいた製品とアプリケーションなどの,あらゆる形態のAston(R)キネティクスの運動教育とボディワークの基礎となっている.
本書では,56年もの間,受講者へ教育したことを通じて,開発されたAston(R)パラダイムの基本原則の根底にある見方と根拠をいくつか紹介する.また,読者が自分自身の見る力と評価する力を段階的にトレーニングするためのエクササイズも盛り込んだ.これは,クライアントに「何を」する必要があるかを知るためである.
姿勢評価のこれらのパラメータは,人間の幸福,日常の動き,または専門的なパフォーマンスの最適化に関連するあらゆる診療に組み込むことができる.受講者は,これらの技術(skill-set)を学ぶことによって診療が大幅に変化し,より多くの永続的なメリットをより短時間で,少ない労力で達成できるようになったと報告している.
私は,これがあなたにも当てはまることを願っている.
Judith Aston
Thomas W Myersによる序文
ついに,やりましたね! Judith Astonは,彼女の哲学,ビジョン,そして彼女の評価方法の徹底的なツアーを,1冊の大きな本にまとめた.これは喜ばしいことだが,それに続いて,静かに座ってこの本を手に取り,クライアントや生徒に実践的に用いる必要がある.
それはそれほど難しいことではない.あなたが手にしているこの本は,何十年にもわたる綿密な観察と広範で多様な実践を統合したものであり,人生において見つけることができる姿勢分析に関する最も包括的な本である.Judithの資料は,同化と段階的な実践を容易にするために,論理的な方法で展開されている.
体型分類(somatotyping)と視覚的評価(visual assessment)は,芸術であり工芸であり,まだ科学というほどのものではない.最初の課題は,見る技術の基本をマスターすることである.そこから先の洞察力,つまり「見抜く」能力は,あらゆる芸術と同様,進歩的な恋愛関係なのである.本書のJudithの方法論は,技術に対して非常に現実的な問題を解決するための「手助け」である.実践的な技術と人生を歩むための芸術との密接した融合を評価するために彼女の行動を見てほしい.
しかし,私は最初から「存在すること」について,「機能」(行うこと)と「姿勢」(自分がどこにいるのか)の区別を心の中で明確にすることをお勧めする.姿勢とは,あなたがどこからスタートするかということであり,あなたの姿勢パターンは,あなたが何をするかということよりも,あなたが誰であるかということを物語っている.
もちろん,この2つは関連している.何をするかによって立ち方が決まり,どのような姿勢でいるかによって,実行できる機能が制限されたり促進されたりする.Wainwrightが言ったように,「機能のない構造は死体であり,構造のない機能は幽霊である」.しかし,この2つを区別することは,非常に価値がある.
現代のリハビリテーションやスポーツ・芸術のパフォーマンス向上では,「できること」と「できないこと」に重点が置かれている.最近では,さまざまなアプローチが「機能的」ということをうたい文句としており,可動域,筋力,体幹の能力を計測するスクリーニングテストが一般的で,それですべてうまくいっている.基本的な能力が示されたところで,あなたはどこから始めるだろうか? Ida Rolf博士とMoshe Feldenkrais博士が,別々の方法で行ったように,自分の身体のどこが「リラックス」しているのか?から始めるのだろうか.さらに複雑なことに,多くの人は,座る,寝る,歩く,働く,警戒している/疲れている,力が入っている/負担がかかっている,内向的/外向的などの尺度にも影響を受け,いくつもの姿勢をとっている.
Judith Astonの包括的なアプローチは,作業を単純化しているが,単純なことが簡単という意味ではない.この方法に見切りをつける前に,この種のボディリーディング(body reading)を最初の50回ほど試すまでは,手探り状態であることは許してほしい.パターンが明らかになり,関係性を認識して取り組めるようになるまでに,少なくとも数十人の人をよく見て,ひたすら考えてみる必要がある.そうすれば,人間の動きのパターンという荒野で,一生に一度の探求に値する取り組みとなる.Judithは,簡単な一連のステップを提供し,一つひとつより大きなスキルを獲得できるように構築している.
構造的/機能的ミスマッチの例として,右利きで週末だけプレイする多くのテニスプレーヤーは,右側が大腿骨,腹筋,前鋸筋,腰方形筋を介して引き込み,下制するので,右肩が左肩より低くなっている.このようなアマチュアプレーヤーは,肩からボールに向かって「パンチ」することが多い(これが,内側筋間中隔に外反の力が働く「テニス肘」につながり,練習にも支障をきたす).
これは理想的ではない.多くのプロテニスプレーヤーは,ラケットを常に右手で持っているにもかかわらず,脊柱を中心とした内側軸で回転することができ,右も左もほぼ同じように使っている.難しいが,これができるようになると,優雅さ,力,スタミナをより手に入れることができる.才能に恵まれていない多くのプレーヤーは,右肩を下げてボールに力を入れる時期がある.また,サウスポーの選手では左肩を下げることになる.
さて,事故や利き目,遺伝などが原因で,左肩が右肩よりも低くなってしまった人がテニスを始めた場合,テニスで成功する可能性は低く,すぐに「私はこれが苦手だ」と諦めてしまうかもしれない.また,テニスが好きで諦めきれない場合は,有利な右肩が「下」の位置になるように姿勢を変えてしまうこともあるが,これは「修正(corrective)」ではなく,単にそれまでの姿勢にさらに緊張を重ねることになる.
あなたのもとにやってくる人は,無数の決断,事故,手術,勝ち負けが好き,嫌悪感,素質など,互いに織りなす複雑な「存在」と「行為」のパターンである.これらのパターンを解きほぐし,「自然な」動きに戻すのがプラクティショナーの仕事である.そうすれば,リラックスしたり,中心軸に合わせてスイングしたりすることが容易になる.
ここに書かれていることはすべて日常的に価値があり,姿勢評価の技術は,練習を重ねるごとに深まっていく.人々が自分自身を何とかしようとする動きのパターンには,「ピサの斜塔」を登る階段のように,さまざまな奇妙で非効率的なパターンがあり,模倣,負傷,姿勢などを通して,実態のない重力がわれわれの70兆個の細胞とその筋膜マトリックスに働きかけることによって,成り立っている.Judithは,姿勢の混乱の迷宮から,「次に何をすればよいか」につながる理解の光へと導くための糸を与えてくれる.
私自身,Judith Astonにはこれ以上ないほど感謝している.私もまた,1970年代,Judithが引きつけられた数年後,彼女がまだRolf研究所で教えていた平穏な時代に,Ida Rolf博士の活動に引きつけられた.彼女との接触は,初期の頃の4日間のクラスと数回のセッションというわずかなものだったが,それ以来40年以上にわたり,私の練習に多大な影響を与えてきた.
さらにトレーニングを受け,アナトミー・トレインズ・スクールで私の生徒たちに教えるために彼女を後援する機会に恵まれたので,私は長年にわたって彼女の技術(skill-set)に触れる機会が増えた.クラスに参加した最初の日の深い効果とそれに伴う治療セッションは,何年にもわたって私の臨床における学びの源となっている.
臨床だけでなく,ある忘れられないセッションでは,ギターを持って行き,歌や演奏の原点を教えてもらった.しかし,骨盤の位置を調整することで,突然,ギターが軽く感じられ,呼吸が深くなり,それ以来,一度も悪くなっていない.
おっと,これは真実ではない.悪くなってしまう時もある.疲れていたり,調子が悪かったりすると,ギターを抱えて1960年代のDylanesqueのような硬い声で歌ってしまうことがある.しかし,私は,私の音楽表現に対する不快感や息苦しさをすぐに理解し,より簡単なサポートで素直なトーンに修正することができる.私は何年か後に彼女に言った.「Judith,あなたは私のスランプを消滅させてしてしまった」と.これは,さまざまな状況で他者との関係をより心豊かにするために開かれた私の扉である.
Judithの仕事は意味深く,彼女の完璧な能力は,他の人の動きを真似して,それを構成要素に分解することである.あなたもそれを見て,組み立てることができる.私は,彼女のように上手くはできないが,アナトミー・トレインの「Body Reading(R)」の洞察力の多くは,幸運にもIda Rolf博士とJudith Astonのお膝元で受けた姿勢への洞察力に由来している.
最近,「マインドフルネス(mindfulness)(心に留めること,注意)」という言葉が流行っているが,われわれが最初に心に留めなければならないのは,自分の身体の感覚,感情,直感,隠れた痛み,失われた部位,制限,そして喜びである.一瞬一瞬の知覚を組み立てる方法の大部分は,運動感覚を通して形作られる感覚にかかっている.Judithは,身体の動きのパターンに注意を向けさせる達人である.
祝宴の準備をしよう.初めてその喜びを味わった後も,この食事はずっとあなたに栄養を与え続けてくれることを知ってほしい.少しの投資,つまりこれらのスキルを臨床で実践し続けることで,あなたは料理人になり,クライアントがどこから来ても,それが何であっても,姿勢の評価に実践を結びつけることができるようになる.このことが,あなたやクライアントが望んでいる状態に近づけてくれることは,いくら強調しても足りない.
Thomas W Myers
「アナトミー・トレイン」ディレクター
米国メイン州
2019年7月
Darlene Hertlingによる序文
Judith Astonは,本書において,姿勢のアライメントと筋のバランスを分析することで,彼女自身が作成したAston(R)キネティクスの出版物の初歩的な部分を紹介している.素晴らしい本書は,元々は筆者のユニークなティーチングコースを統合したものだったが,今では非常に実用的なテキストとして成熟し,整然とした思考とプレゼンテーションによって成功している.この研究では,運動教育,3次元的な軟部組織ワーク,フィットネストレーニング,人間工学の統合システムであるAstonキネティクスの一側面のみを紹介している.これは,完全性において身体の練習の中でもユニークなものである.Astonキネティクスには,包括的な形式的評価システム,筋骨格系の幅広い機能障害に適用できる革新的な手技,フィットネスの特定の側面を開発するためにデザインされた多数のエクササイズプログラム,運動教育の手順,そしてワークの驚異的な適用範囲を可能にする一連の基本概念が含まれている.
Astonキネティクスは,創造的な観察と一貫した独自の開発から生まれた治療法のシステムである.人間の動きやアライメントを観察し,解釈するその方法は,さまざまなセラピーの分野に貢献する基本的なものであると,私は長年考えてきた.明確な参考文献は引用されていないが,Astonキネティクスはあらゆる分野において,現代の神経生理学やバイオメカニクスの知見と一致している.より最適な姿勢と動作がもたらす予防的・治療的価値や,人間を重力や床反力などの外部刺激と常に反応している生物として捉える考え方がこのシステムには内在している.
本書では,静的な姿勢とアライメントに焦点を当て,セラピストが人体の構造をより深く理解できるように,学習のための一連のエクササイズを紹介している.セラピストは,意味のある実践的なワークにすぐにアクセスすることができ,人体構造の知識を効率的な運動療法に拡大するための基礎を形成することができる.アライメントは,身体とその身体分節の配置を扱う.空間における身体分節の関係と,これらの身体分節にかかる体重の配分が,アライメントの2つの側面である.形状とプロポーションは,身体または身体部位の内部容積と,その容積が横幅,上下の長さ,奥行の構成形状に対してどのように配分されているかに関係している.また,骨格の各部分の空間における3次元的な位置も決定することができる.正常な状態からの逸脱は,回旋(rotation),せん断(shear),圧迫(compression)などの生体力学的な用語で表される.
Astonキネティクスのもう1つの要素は,アライメントパターンと筋緊張の相関関係である.筋の緊張を評価する際,検査者は身体の緊張パターンを観察,触診し,不適切と思われる過緊張や低緊張の領域を記録する.このボディマップは,身体パターンを視覚的に記録する.
ボディワーク,運動教育,人間工学を統合したレベルで,構造や動作の非対称性を認識し,それぞれの患者に合わせて問題を解決することが,このアプローチの特徴である.本書では,姿勢を評価するための基礎となるAston観察技術(seeing skill)を紹介している.徹底したプレゼンテーションにより,セラピストは意味のある実践的な作業をすぐに行い,患者ケアのための無限で極めて個別的なプログラムを開発することができる.
われわれが見ているものは,われわれの見方に大きく影響されることを忘れてはならない.すべての個人は,自分の知覚の限界を,知覚された世界の限界でもあると考える傾向があり,臨床上の問題を自分のもっている知識(own idiom)でしか見ようとしないのは重大な誤りである.健全な幅広いアプローチは,このような限定的な傾向を補うだろう.
Darlene Hertling(理学療法士)
名誉上級教授(Senior Lecturer Emerita)
リハビリテーション医学科
Washington大学,シアトル
米国ワシントン州
2019年6月
監訳の序
献辞
著者について
謝辞
序文
Thomas W Myersによる序文
Darlene Hertlingによる序文
CHAPTER 1 序論
1.始まりと影響
2.姿勢を観察する
アライメントと姿勢
3.姿勢への影響
4.一般的な評価の例
5.本書の目的
6.本書の使い方
7.事前テストA
8.事前テストB
CHAPTER 2 身体のアライメントと幾何学的な形
1.序論
2.アライメントの一般的なパターン
3.身体運動の3つの面
4.抽象的な形
5.幾何学的中心の特定
演習2.1
6.配置
演習2.2
演習2.3
7.配置の表記
シンボル(記号)
演習2.4
8.写真から身体分節の輪郭を描く
演習2.5
CHAPTER 3 側面から身体のアライメントの偏位を観察する
1.ランドマーク─側面図
2.ボールボディ図とランドマーク─9つの身体分節を描く
3.ボールボディ図に表記する
練習
4.9つの身体分節のボールボディ図
演習3.1
練習
演習3.2
演習3.3
演習3.4
5.写真からボディチャートへ転記する
6.鉛直線(plumb line)─側面図
デモンストレーション
7.アライメントの表記方法を組み合わせて練習する
ボディチャート
演習3.5
CHAPTER 4 前面から身体のアライメントの偏位を観察する
演習4.1
1.身体分節中心と配置との関係
演習4.2
2.前額面における左右の配置の表記
演習4.3
3.身体の左右を分ける前面の鉛直線
演習4.4
4.中心線
演習4.5
演習4.6
演習4.7
5.足部への体重負荷を表記する
演習4.8
演習4.9
CHAPTER 5 4方向から身体のアライメントと水平傾斜を観察する
1.ランドマーク─前面図
2.ランドマークを関連させて身体の傾斜を観察する─前面図
演習5.1
演習5.2
演習5.3
3.ランドマーク─後面図
例
4.ランドマークを身体分節とボールボディ図で結ぶ─後面図
演習5.4
5.傾斜,偏位,体重負荷の表記を組み合わせる
演習5.5
6.側面図からの傾斜の表記
演習5.6
7.骨盤の偏位と傾斜の組み合わせ─側面図
例
8.骨盤傾斜を表記する
9.骨盤/股関節の傾斜と鉛直線による配置
10.さまざまな傾斜と配置
演習5.7
考察(Implications)
演習5.8
演習5.9
11.左右への骨盤傾斜
CHAPTER 6 身体の回旋を観察する
1.回旋の表記─1
2.前額面での回旋
演習6.1:回旋の識別
3.下肢パターンの表記
4.逆回旋(counter-rotations)
例
演習6.2
5.回旋の表記─2
演習6.3
6.下肢─下肢の配置と回旋を説明する
7.下肢パターン
演習6.4
演習6.5
演習6.6
8.上肢の配置
演習6.7
9.組み合わせと表記
10.上肢と下肢のパターン
CHAPTER 7 トラック(経路)を組み合わせる
1.表記記号
2.視覚的評価情報の観察,選択,優先順位づけ
情報の優先順位づけ
3.主要なトラックの特定と選択
演習7.1
4.上肢パターンの表記
5.表記の組み合わせ
演習7.2
6.中間テスト
CHAPTER 8 Astonの理論と概念:第1部
1.序論
Astonパラダイム
2.原則1:Astonの鉛直線の活用
前傾の利点
スカイフックはいらない!
3.原則2:Astonの理論と概念での正中位(Aston neutral)
動的な正中位
支持基底面ガイドライン
4.原則3:正中位の範囲(range of neutral:RON)
身体は動的である
正中位の範囲の例
CHAPTER 9 Astonの理論と概念:第2部
1.原則4:形状(dimension)の組み合わせ
歴史
形状
アライメントと形状
例
全身の屈曲パターンと伸展パターン
屈曲パターン
伸展パターン
屈曲パターンと伸展パターンの組み合わせ
屈曲と伸展の組み合わせ
演習9.1
形状の表記
身体分節の形状の違いの観察
例
アライメントと開口部(アパーチャ,aperture)
配置と形状の鳥瞰図
演習9.2
3つの次元をもつ足部
2.原則5:非対称性
CHAPTER 10 Astonの理論と概念:第3部
1.原則6:重力(gravity)と床反力(GRF)
アライメント(配置),形状(dimension),重力,床反力の相互作用
重力
例
床反力(ground reaction force:GRF)
重力と床反力の組み合わせによる影響
力と方向の組み合わせによる影響
圧迫力(compression forces)
張力(tensile forces)
せん断力(shear forces)
捻転力(torsion)
演習10.1
重力の影響
演習10.2
重力と床反力─交互作用(alternating recycling)
演習10.3
2.原則7:アライメントと筋緊張(tone),可動性(mobility),保持パターン(holding patterns)との関係
筋緊張
アライメントと形状の可動性との関係
筋緊張と可動性の組み合わせ
例
低緊張と過緊張と可動性の組み合わせ
演習10.4
機能的および構造的な連続した保持パターン
代償
バランスのとれた姿勢がもたらすプラスの効果
CHAPTER 11 統合された姿勢評価に基づいた診療
1.身体的利点
2.心理的利点
3.姿勢を観察するための追加情報
4.写真やビデオの利用
写真のさまざまな利用方法
5.治療セッションの順序におけるフローチャート
6.観察の順序
7.治療セッションの順序と評価表の例
8.これまで学習したことを復習する
演習11.1
9.評価例
演習11.2
演習11.3
10.クライアントとのコミュニケーション
コミュニケーションガイドライン
観察の順序
演習11.4:観察技術をテストする
11.すべての要素を結びつける
クライアントのパターンや訴えと,あなたの表記・評価を結びつける
12.事後テストA
13.事後テストB
14.治療前後の比較(および22年後の比較)
15.Astonボディマッピング
16.終わりに
索引
献辞
著者について
謝辞
序文
Thomas W Myersによる序文
Darlene Hertlingによる序文
CHAPTER 1 序論
1.始まりと影響
2.姿勢を観察する
アライメントと姿勢
3.姿勢への影響
4.一般的な評価の例
5.本書の目的
6.本書の使い方
7.事前テストA
8.事前テストB
CHAPTER 2 身体のアライメントと幾何学的な形
1.序論
2.アライメントの一般的なパターン
3.身体運動の3つの面
4.抽象的な形
5.幾何学的中心の特定
演習2.1
6.配置
演習2.2
演習2.3
7.配置の表記
シンボル(記号)
演習2.4
8.写真から身体分節の輪郭を描く
演習2.5
CHAPTER 3 側面から身体のアライメントの偏位を観察する
1.ランドマーク─側面図
2.ボールボディ図とランドマーク─9つの身体分節を描く
3.ボールボディ図に表記する
練習
4.9つの身体分節のボールボディ図
演習3.1
練習
演習3.2
演習3.3
演習3.4
5.写真からボディチャートへ転記する
6.鉛直線(plumb line)─側面図
デモンストレーション
7.アライメントの表記方法を組み合わせて練習する
ボディチャート
演習3.5
CHAPTER 4 前面から身体のアライメントの偏位を観察する
演習4.1
1.身体分節中心と配置との関係
演習4.2
2.前額面における左右の配置の表記
演習4.3
3.身体の左右を分ける前面の鉛直線
演習4.4
4.中心線
演習4.5
演習4.6
演習4.7
5.足部への体重負荷を表記する
演習4.8
演習4.9
CHAPTER 5 4方向から身体のアライメントと水平傾斜を観察する
1.ランドマーク─前面図
2.ランドマークを関連させて身体の傾斜を観察する─前面図
演習5.1
演習5.2
演習5.3
3.ランドマーク─後面図
例
4.ランドマークを身体分節とボールボディ図で結ぶ─後面図
演習5.4
5.傾斜,偏位,体重負荷の表記を組み合わせる
演習5.5
6.側面図からの傾斜の表記
演習5.6
7.骨盤の偏位と傾斜の組み合わせ─側面図
例
8.骨盤傾斜を表記する
9.骨盤/股関節の傾斜と鉛直線による配置
10.さまざまな傾斜と配置
演習5.7
考察(Implications)
演習5.8
演習5.9
11.左右への骨盤傾斜
CHAPTER 6 身体の回旋を観察する
1.回旋の表記─1
2.前額面での回旋
演習6.1:回旋の識別
3.下肢パターンの表記
4.逆回旋(counter-rotations)
例
演習6.2
5.回旋の表記─2
演習6.3
6.下肢─下肢の配置と回旋を説明する
7.下肢パターン
演習6.4
演習6.5
演習6.6
8.上肢の配置
演習6.7
9.組み合わせと表記
10.上肢と下肢のパターン
CHAPTER 7 トラック(経路)を組み合わせる
1.表記記号
2.視覚的評価情報の観察,選択,優先順位づけ
情報の優先順位づけ
3.主要なトラックの特定と選択
演習7.1
4.上肢パターンの表記
5.表記の組み合わせ
演習7.2
6.中間テスト
CHAPTER 8 Astonの理論と概念:第1部
1.序論
Astonパラダイム
2.原則1:Astonの鉛直線の活用
前傾の利点
スカイフックはいらない!
3.原則2:Astonの理論と概念での正中位(Aston neutral)
動的な正中位
支持基底面ガイドライン
4.原則3:正中位の範囲(range of neutral:RON)
身体は動的である
正中位の範囲の例
CHAPTER 9 Astonの理論と概念:第2部
1.原則4:形状(dimension)の組み合わせ
歴史
形状
アライメントと形状
例
全身の屈曲パターンと伸展パターン
屈曲パターン
伸展パターン
屈曲パターンと伸展パターンの組み合わせ
屈曲と伸展の組み合わせ
演習9.1
形状の表記
身体分節の形状の違いの観察
例
アライメントと開口部(アパーチャ,aperture)
配置と形状の鳥瞰図
演習9.2
3つの次元をもつ足部
2.原則5:非対称性
CHAPTER 10 Astonの理論と概念:第3部
1.原則6:重力(gravity)と床反力(GRF)
アライメント(配置),形状(dimension),重力,床反力の相互作用
重力
例
床反力(ground reaction force:GRF)
重力と床反力の組み合わせによる影響
力と方向の組み合わせによる影響
圧迫力(compression forces)
張力(tensile forces)
せん断力(shear forces)
捻転力(torsion)
演習10.1
重力の影響
演習10.2
重力と床反力─交互作用(alternating recycling)
演習10.3
2.原則7:アライメントと筋緊張(tone),可動性(mobility),保持パターン(holding patterns)との関係
筋緊張
アライメントと形状の可動性との関係
筋緊張と可動性の組み合わせ
例
低緊張と過緊張と可動性の組み合わせ
演習10.4
機能的および構造的な連続した保持パターン
代償
バランスのとれた姿勢がもたらすプラスの効果
CHAPTER 11 統合された姿勢評価に基づいた診療
1.身体的利点
2.心理的利点
3.姿勢を観察するための追加情報
4.写真やビデオの利用
写真のさまざまな利用方法
5.治療セッションの順序におけるフローチャート
6.観察の順序
7.治療セッションの順序と評価表の例
8.これまで学習したことを復習する
演習11.1
9.評価例
演習11.2
演習11.3
10.クライアントとのコミュニケーション
コミュニケーションガイドライン
観察の順序
演習11.4:観察技術をテストする
11.すべての要素を結びつける
クライアントのパターンや訴えと,あなたの表記・評価を結びつける
12.事後テストA
13.事後テストB
14.治療前後の比較(および22年後の比較)
15.Astonボディマッピング
16.終わりに
索引














