やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第7 版の序
 本書の初版が1984 年に発行されて以来,国内外の理学療法の変遷を見据えて6 回の改訂を重ねてきた.日本に理学療法士が誕生して53 年になるが,草創期には「理学療法概論」として集約された書物はなく,「理学療法モデル」の基軸となる教育・臨床・研究は主に海外のそれが模型とされていた.とはいえ,この半世紀の間に日本の理学療法界は関係者の熱意によって顕著な発展を遂げてきたことは国際的にも評価されている事実である.
 時間の時空もしくは流れは四次元であるが,五次元とは時間を超越した未来の時空である.過去の歴史の延長線上にある現在の実態を認知することはさほど難しいことではないが,何事についても未来を展望することは至難の業である.
 流動的に変貌する社会において,日本の理学療法界は,国民の保健の普及向上に寄与すべく善処してきた.理学療法士を目指す学生(人材)の「事はじめとしての教育」において,理学療法(学)に関する未来を見据えた指針を提示することは,理学療法学教育の基盤を構築するために極めて重要な課題である.今後も日本の理学療法が限りなく発展していくために,これまで構築されてきた専門職(professions)としての「理学療法モデル」の遺産を次世代へ確実に継承することは,個々の理学療法士およびその組織(日本理学療法士協会)の使命である.
 「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」が1999 年の見直し以来19 年ぶりに改正され,2020 年度入学生から施行される.それを受けて第7 版では,第2 章「理学療法学教育」の書き直し,第4 章「理学療法士をとりまく法律制度」の執筆者交代,そして第13 章「地域理学療法学─地域包括ケアの展開に向けて─」の追加をした.他の章については,全般的に最新のデータおよび情報に改めることに努めた.また,次回の改訂を見据えて,高橋哲也氏・内山 靖氏を編著者に迎え,一部の章では共同執筆者を加えた.
 日本の理学療法(士・学)が次の半世紀にいかなる姿になっているのかを推論することは難題だが,国民の保健・医療・福祉領域の要請に応えうる理学療法士を輩出することは,必然的な課題である.近未来の専門職としての使命を果たす方向へと躍進することを祈念する.
 なお,本書では引用文献,法律文書で使用されている「訓練・障害・障害者」を除き,国際生活機能分類(ICF)に準じた用語を使用したことを付記しておく.
 2019 年2 月
 編著者代表 奈良 勲


第6 版の序
 本書『理学療法概論』の初版は,1984 年(昭和59 年)に発刊され,その後5 回の改訂を重ね,このたび第6 版を発刊する運びとなった.その間29 年が経過したことになるが,理学療法界においても様々な事象が展開されてきた.
 近年,理学療法士の数も増え,近く10 万人に達する勢いである.それぞれの専門職の数(量)も社会・政治的な力のひとつの要素であることに間違いはない.しかし,18 歳人口の減少が進む中,高等教育機関の質的低下をはじめ,定員割れや学部,学科によっては廃止もしくは改組されているケースも多い.このような状況下において,理学療法士として真のプロフェッションを志向する有能な人材を輩出するためには,教育システムや方法論をより高度な水準に変革し,社会の要請に包括的に応えてゆく必要性がある.つまり,理学療法士とその組織のアイデンティティと倫理・哲学,さらに学術的活動の質も社会・政治的な力にもなり得るのである.
 “ 努力は裏切らない” とのフレーズは,あらゆる分野の活動について言えることであろう.それでも,時には努力が報われないと感じられる場合もある.だが,その時の努力の動機や目的を内省してみると,努力の質量の計画性のバランスとかタイミングなどに不備があることに気付く.よって,物事を展開する過程ではフィードフォワードとフィードバックとを同時進行することが肝要であろう.
 さて,本書第6 版の主な改訂として,以下に示す章を新たな執筆者に依頼した.
 すなわち,「第4 章:理学療法士の法律制度」(西村 敦氏),「第5 章:理学療法の対象と治療」(星文彦氏),「第8 章:理学療法(士)の役割と職域」(岩井信彦氏),「第13 章:理学療法の基本用語」(木林 勉氏)である.そして,新たに「第14 章:理学療法の職域開拓」として4 項目を加え,それぞれの執筆者に依頼した.
 資料は「関係法規」を残し,他の「日本理学療法学術大会の歩み」,「日本理学療法士協会全国研修大会の歩み」,「世界の理学療法士事情」,「診療報酬(リハビリテーション)」は削除した.
 日本に理学療法士が誕生して半世紀を迎える.いかなる時代でも人類は常に新たな課題に直面しながら,文化的な遺産を継承してきた.理学療法士もその例外ではない.理学療法界であなたの演じる役は何ですか?
 2013 年1 月
 奈良 勲

 付記
  第6 版第4 刷(2015 年1 月10 日)の発行に際し,主に法律・行政・文献引用を除き,「障害」「障害者」という用語を可能な範囲でICFに準じた用語に変更したことをご承知おきいただきたい.


第5 版の序
 本書『理学療法概論』の初版は1984 年(昭和59 年)に出版され,その後3 回の改訂を重ね,このたび第5 版を出版する運びとなった.本書の初版が出版されてから23 年が経過する.
 本書の第4 版増刷時に,「理学療法の基盤」(内山 靖氏),「理学療法と心理的対応」(富樫誠二氏)の2 章を追加した.この第5 版では,一部の章,「理学療法の歴史」(日下隆一氏),「理学療法の学問的体系化と研究法」(臼田 滋氏),「理学療法部門における管理」(橋元 隆氏)の執筆者を変更して内容の改訂を図った.なお,本書では原則として行政用語を除き「訓練」という用語を使用していないことを付記しておく.
 2005 年には社団法人日本理学療法士協会は創立40 周年を迎えている.その間,日本の急激な社会構造・社会情勢などの変遷に伴い,日本の理学療法にかかわる諸々の状況も大きく様変わりしてきた.
 2006 年には理学療法士養成校数も208 校に至り,その1 学年定員は約1 万人になる.理学療法士免許登録者は52,088 人で,その内43,544 人が日本理学療法士協会の会員となっている.理学療法学教育については,全体の約30%(55 校)が大学教育として行われていることに伴い,大学院教育としての博士課程前期(修士)と博士課程後期(博士)が増えていることが特記すべきことである.
 しかし,近年の日本の経済情勢の停滞から,理学療法診療報酬を含む医療保険の抑制現象が危惧される時代になってきた.なかでも,2006 年の診療報酬改定においては「理学療法」としての区分が消え,「リハビリテーション」に取り込まれることになった.これは,理学療法士は法的には医療職として規定され,その基本的職務は「理学療法」である事実が,結果的に無視されたものでありきわめて遺憾な出来事である.理学療法士自体のアイデンティティにも関わる課題であり,これまで40年余にわたり築かれてきた理学療法の基盤を根底から揺るがす出来事でもある.
 時代の流れに逆行するこれらのネガティブな現象をよりポジティブな現象に変革するためには,今後ますます教育・臨床・研究の水準を高め,社会的な活動と有機的に連動して国民の社会的認知を確実なものにしていく自助努力が求められよう.
 2007 年3 月
 奈良 勲


第4 版の序
 本書の初版は1984 年に出版され,その後2 回の改訂を重ね,このたび改訂第4 版として出版する運びとなった.本書の初版から18 年が経過するが,その間,日本の理学療法にかかわる諸々の状況も社会情勢の変遷に伴い様変わりしてきた.
 すなわち,1991 年の改訂第3 版以降,四年制大学や大学院での理学療法教育が実現している.また日本理学療法士協会は,生涯学習システムおよび専門領域研究会を始動し,いわゆる専門職団体としての卒後教育システムの確立に努めている.
 1999 年5 月には世界理学療法連盟(WCPT)の国際学術大会を横浜で開催している.その開会式に際しては天皇・皇后両陛下にご臨席いただき,かつ天皇陛下の「おことば」を賜ったことはたいへん栄誉ある出来事であった.
 さらに,2001 年には「日本理学療法士学会」が「日本理学療法学術大会」と改められて,理学療法士以外の職種にも一般演題報告を開放して学際領域における協同研究を推進している.
 第4 版では,改訂第3 版以降のこのような変遷を考慮して可能なかぎり最新の情報を盛り込むことに努めた.第4 版の主な改訂内容は以下のようである.・全体的には,編集者の意向により文献,引用文・表,行政用語などを除き,「訓練」という用語の使用を避けた.・第8 章の「理学療法の役割と職域」を全面的に書き換え,各種統計・資料の数値の見直し,そして新設項目として,「老人保健法と理学療法士」「ゴールドプラン21 と理学療法士」「介護保険と理学療法士」「医療法の改正と理学療法士」「医療制度改革と理学療法士」「健康日本21 と理学療法士」「地域リハビリテーション推進者・保健医療従事者としての理学療法士」などを加えた.
 ・第10 章の「理学療法教育」では,カリキュラムの大綱化に関する解説と国家試験出題基準を加えた.
 ・第11 章の「理学療法士の組織と活動」では理学療法(士)界の最近の経緯を追加するとともに,日本理学療法士協会の組織・事業に関する解説の見直しを行った.
 ・第12 章の「理学療法の基本用語」では約80 の用語を新たに追加した.
 ・付録として添付されている関係法規の全面的な見直しを行った.
 なお,第7 章と第11 章に現行の診療報酬表が記載されているが,2002 年の診療報酬改定表は,本書の印刷時期との関係で間に合わなかったため次回の増刷時に記載したい.
 今回の改訂にあたり,変遷し続ける社会情勢を見据えながら,あるべき理学療法(士)の姿を総括的に追求し,それらを「理学療法概論」として表すように努力した.しかし,さらに本書を充実させるために,読者の率直な意見を受けながら善処していきたい.
 2002 年3 月
 奈良 勲


第3 版の序
 第1 版の発行(昭和59 年5 月),第2 版の発行(昭和61 年4 月),そしてこのたび第3 版の発行の運びとなった.
 第3 版では,新たに「理学療法士の法律制度」を加え,武富氏に執筆願った.「理学療法士作業療法士法」が制定されてから,四半世紀を経過するが,再度その解釈を深め,今後の見直しを期すためにも,この方面の検討が期待される.
 「理学療法教育」については,平成2 年度より,新カリキュラムに改正されたことから,黒川氏に執筆をお願いして,新たな内容になった.また,今回はほんの一部ではあるが,理学療法に関する基本用語の解説を加えた.全体的には最近の情報・資料を加えて,極力up to dateにした.
 去る9 月中旬に,社団法人日本理学療法士協会は日本学術会議法(昭和23 年法律121 号)第18条第3 項に基づき,「学術研究団体」として登録された.日本の理学療法の普及向上に関して責任をもつ日本理学療法士協会が,正規に第三者によって学術団体として認められたことは,たいへん名誉なことである.これは,これまでわれわれ協会会員が誠実に理学療法水準を高める努力をし,臨床・研究・教育の場において研鑽を怠らなかった成果であると確信する.「科学としての理学療法」「理学療法の学問的体系」を追求してきたわれわれとしては,そのスタート点に至ったものとして受け止め,21 世紀に向けて,これまで以上に精進しなければなるまい.
 日本は急激に高齢化社会を迎えることになるが,長寿が実現されることは喜ばしいことである.そして,今後は理学療法士として,高齢者の健康増進,生活機能低下のある高齢者の人間らしい生活・人生を全うしてもらうための援助方法を一層真剣に模索する必要がある.
 平成3 年2 月
 奈良 勲


第2 版の序
 第1 版の発行(昭和59 年5 月15 日)から約2 年になる.第2 版の発行においては,誤植の訂正を行ったことと,宇都宮氏担当の「理学療法の歴史」のなかで,“ 運動療法の歴史” に関して一部追加していただいた.
 また,第1 版に組み入れることができなかった章,「理学療法部門における管理」については濱出氏に執筆していただき,第2 版に加えることができた.
 理学療法(士)の存在価値は,それを必要とする人々に対して,どれだけの質量を提供しうるかによって自ずから定まってくるという意味のことは,小生が担当している章で述べている.近年,理学療法に関する研究も徐々に科学的に検証しようとする努力がうかがえる.しかし,仮に,効果的方法が見いだされたとしても,理学療法が実際に提供される場面(臨床)において,それが効率的に活用されないとすれば,学会発表や研究論文にみる研究成果はたいした意味をもたないことになる.したがって,臨床家の責任としては,研究成果をどれだけ臨床の場に生かせるかという大きな問題がある.
 「理学療法部門における管理」の基本論としては濱出氏が述べているごとくであると思われるが,単にみかけ上の管理,もしくは管理者にとって都合のよい管理であってはならない.かねがね小生が考える最高の管理システムとは,上記したごとく,研究成果をいかに臨床に取り入れるかということである.人間の習性の1 つとして,一度確立されてしまった思考および行動形態はなかなか修正されがたいものである.よって,われわれはつい習慣として流されてしまう.しかし,そこには発展という姿をみることはまずありえない.
 昭和61 年4 月
 奈良 勲


初版の序
 理学療法の原形は古代ギリシャにはじまったといわれている.しかし,傷つき病める人間は人類の起源より,本能的に物理的もしくは自然のエネルギーを利用して生体を癒してきたとも予想されないだろうか.医学は診断技術,手術そして薬物などの進歩によって推進されてきた.かといって,物理的,自然のエネルギーにもとづいた治療手段の存在価値が失われたとは考えられない.むしろ,手術や薬物によって対処しえない疾患や変調に対する利用価値は以前よりも認識されてきたといってよい.
 理学療法(physical therapy,physiotherapy)のはじまりはphysical medicineにおけるtherapy,つまり治療をさすものであった.そして,その業務に専念する専門家が正規に養成されるまでは,看護婦をはじめ助手などによって理学療法が行われていたという歴史的経緯がある.このことから,理学療法は本来臨床医学の一部であり,その事実は基本的には今も変わらない.しかし,社会のニーズに伴い,physical medicineを基盤にしてリハビリテーション医学としての概念と形態が展開されるに従い,理学療法そのものも変遷してきたのはいうまでもない.
 わが国ではリハビリテーション医学とよばれているが,アメリカにおける正式名称はphysical medicine and rehabilitationであり,またリハビリテーション専門医の名称はphysiatrist,つまり自然療法士という意味を含んでいることからもこの分野の歴史的背景がうかがえる.
 歴史的経過からみても,理学療法はリハビリテーション医学の支柱として世界各国において着実に発展してきた.しかし,今後の発展がどう展開されていくのか興味のもたれるところである.わが国における理学療法の発展を考えるとき,数多くの問題が山積しており,それらに対する対策が期待される.いずれにせよ,このような時期に理学療法概論の単行本が出版される機会をもてたことはわれわれ理学療法を業とする人間,またそれを学ぼうとしている人々にとって,大変意味のあることといえる.
 あらゆる学問分野において,概論としてまとめられたものがある.概論とは全体にわたって大要を述べたもの(広辞苑)とあるが,特定の分野を総体的に理解するうえで手助けとなることが多い.
 理学療法概論として,これまで散発的に論じられてきたが,まとまった形で出版されるのはわが国でははじめてのことであり,諸外国においてもあまり例をみない.
 それぞれの章を分担していただいた諸氏はこれまでわが国における理学療法の発展に尽されてきた方々であり,それぞれのテーマについて読者の視点を核心に導いていただけると思う.しかし,ここで論じられたことがらに固執するのではなく,さらに高次元の理学療法概論が展開されていくことへの布石として受け止めていただければ幸いである.
 昭和59 年5 月
 奈良 勲
第1章 理学療法と倫理・哲学
 (奈良 勲・高橋哲也・堀 寛史)
 1.倫理(学)とは何か
 2.哲学とは何か
 3.なぜ理学療法と倫理・哲学を考えるのか
 4.人間としての責任
 5.職業倫理
 6.日本理学療法士協会の倫理綱領
第2章 理学療法学教育
 (黒川幸雄・淺井 仁)
 1.卒前教育制度
  1)理学療法士学校養成指定規則の変遷
  2)指定規則大綱化と国家試験出題基準
 2.卒後教育制度
 3.職能・学術団体による生涯学習教育
 4.これからの半世紀を見据えた理学療法学教育の展望
  1)2020 年指定規則改正からさらに5 年後の新たな改正へ
  2)専門職大学
  3)大学・大学院の役割
第3章 理学療法の歴史
 (日下隆一・小嶋 功)
 1.理学療法とリハビリテーション
 2.近代医療における理学療法
 3.理学療法の定義とその範疇
 4.理学療法とリハビリテーションの歴史
  1)日本の理学療法とリハビリテーションの歴史
  2)米国の理学療法とリハビリテーションの歴史
  3)英国における理学療法の歴史
 5.理学療法およびリハビリテーションに関する組織の歴史
  1)American Academy of Physical Medicine and Rehabilitation:AAPM&R
  2)American Congress of Rehabilitation Medicine:ACRM
  3)日本リハビリテーション医学会(The Japanese Association of Rehabilitation Medicine)
  4)日本理学療法士協会(Japanese Physical Therapy Association)
  5)世界理学療法連盟(World Confederation for Physical Therapy:WCPT)
 6.物理療法の歴史
  1)電気療法の歴史的概略
  2)電気療法(electrotherapy)の歴史
  3)温熱療法(thermotherapy)の歴史
  4)機械器具療法の歴史
 7.運動療法の歴史
  1)診療報酬における運動療法料(理学療法料)の歴史
  2)基礎的運動療法
 8.徒手療法(manual therapy)と徒手理学療法(Manual Physical Therapy:MPT)
  1)徒手療法の歴史
  2)徒手療法の現在
  3)マッサージの歴史
 9.疾患別理学療法およびリハビリテーション
  1)呼吸器疾患理学療法とリハビリテーション
  2)心大血管疾患理学療法とリハビリテーション
  3)運動器理学療法とリハビリテーション
  4)脳血管疾患の理学療法とリハビリテーション
第4章 理学療法士を取り巻く法令制度
 (小林量作・古西 勇)
 1.法令とは
  1)法令の成立,施行
  2)日本の法令体系
 2.保健,医療,福祉などに関わる法律の種類,法律の目的規定
 3.理学療法士及び作業療法士法の制定
 4.理学療法士及び作業療法士法の内容
  1)目的
  2)理学療法士の免許
  3)欠格事由
  4)国家試験
  5)業務
  6)秘密を守る義務
  7)名称の使用制限
 5.理学療法の定義と理学療法士活動領域の拡大
 6.理学療法士及び作業療法士法施行令,理学療法士及び作業療法士法施行規則,理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則
  1)理学療法士及び作業療法士法施行令
  2)理学療法士及び作業療法士法施行規則
  3)理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則
 7.理学療法士に関わる医療関連の法律
  1)健康増進法
  2)健康保険法
  3)介護保険法
  4)老人福祉法
  5)障害者基本法
  6)障害者総合支援法
  7)個人情報の保護に関する法律
 8.理学療法士及び作業療法士法の課題と理学療法業務の拡大
  1)社会・医療の変遷と理学療法士及び作業療法士法
  2)新しい法律の制定,「通知」による理学療法業務の拡大
 9.今後の法的課題
第5章 理学療法の基盤
 (内山 靖)
 1.効果的な理学療法実践のための基盤
 2.理学療法に関わる国際分類
  1)国際疾病分類
  2)国際生活機能分類
 3.理学療法モデル
  1)モデルの意味
  2)理学療法を支える基盤モデル
  3)臨床思考過程のモデル
 4.根拠に基づく理学療法
  1)根拠とは
  2)根拠に基づく理学療法の流れ
  3)根拠を作る
 5.理学療法学教育の基盤
 6.課題と展望
第6章 理学療法の学問的体系化と研究法
 (臼田 滋・森山英樹)
 1.学問的体系化の歩み
  1)教育形態の変遷
  2)教育課程の変遷
  3)学術大会,学術誌,卒後教育・生涯学習
 2.今後の学問的体系化の必要性
  1)理学療法の目的,対象,方法の拡大
  2)理学療法学の独自性と学際性
  3)根拠に基づく理学療法の実践
 3.理学療法士に求められる行動─学問的体系化に向けて
  1)卒後教育システム
  2)専門雑誌・学術雑誌の利用
  3)臨床現場での学習
  4)科学的志向性
 4.理学療法における研究の意義
  1)臨床における基本的姿勢の習得
  2)課題解決能力の発展
 5.研究の種類と研究デザイン
  1)基礎研究と臨床研究
  2)記述的研究・分析的研究・介入研究
  3)観察的研究と介入研究
  4)コホート研究とケースコントロール研究
  5)介入研究の種類
  6)症例研究
  7)評価指標に関する研究
  8)調査研究
  9)系統的レビュー
 6.研究の手順
  1)研究テーマ
  2)研究計画
  3)倫理的手続き
  4)研究の実施
  5)論文作成
 7.学問的体系化の限界
  1)研究における限界 90 2)臨床実践における限界
第7章 理学療法の対象と治療手段
 (星 文彦・金村尚彦)
 1.はじめに
 2.身体運動機能と構成要素
  1)筋・骨格機能
  2)神経筋機能
  3)内部機能
  4)感覚・知覚機能
  5)認知機能
  6)姿勢制御機能
  7)協調運動機能
 3.理学療法の対象とdisability構造
 4.理学療法の分類
 5.運動療法
  1)関節可動域運動(Range of Joint Motion Exercise:ROME)
  2)筋力増強運動(muscle strengthening exercise)
  3)筋持久性向上運動(muscular durability exercise)
  4)呼吸練習(breathing exercise)
  5)運動負荷練習(aerobic exercise)
  6)バランス練習(balance exercise)
  7)協調運動練習(coordination exercise)
  8)運動発達過程に基づく運動動作の獲得
  9)感覚情報の利用
  10)機能的動作練習(functional exercise)
 6.理学療法実践のための基盤
  1)理学療法の起点
  2)運動・動作分析
  3)運動学習の概念
  4)対象者と理学療法士との関係
 7.機能損傷・不全に対する理学療法
  1)運動器機能損傷・不全に対する理学療法
  2)中枢神経疾患に対する理学療法
  3)運動発達不全に対する理学療法
  4)内部(心肺)機能不全に対する理学療法
 8.活動制限に対する理学療法
  1)ADLと理学療法
 9.おわりに
第8章 理学療法(士)の役割とその職域
 (岩井信彦)
 1.理学療法士の業務
  1)理学療法の定義
  2)理学療法士の業務
  3)新たな業務「喀痰などの吸引」
  4)理学療法士の名称使用に関する厚生労働省の通知
  5)理学療法士業務の現状
 2.理学療法士の主な職場
  1)医療施設
  2)介護保険施設
  3)障害児・者福祉施設
  4)介護予防,健康増進施策
  5)行政や教育の現場
 3.理学療法士の現状
  1)国家試験合格者の推移と養成校の現状
  2)理学療法士の需給推計
  3)理学療法士の就労状況
  4)年齢分布および男女比
  5)都道府県別人数
 4.医療法および社会保障制度と理学療法士
  1)医療法の趣旨と目的
  2)医療法の改正
  3)2018 年度診療報酬の改定
  4)2018 年度介護報酬の改定
  5)医療法改正,報酬制度改定と理学療法士
 5.ヘルスプロモーションと理学療法士
  1)ヘルスプロモーションとは
  2)日本の健康づくり施策と健康日本21
  3)特定健診・特定保健指導
  4)日本のヘルスプロモーション
 6.今後期待される領域
  1)スポーツと理学療法士
  2)理学療法士の起業
  3)プライマリ・ケアと理学療法士
  4)NSTと理学療法士
第9章 理学療法部門における管理
 (橋元 隆・石橋敏郎)
 1.組織について
  1)組織とは
  2)組織的集団と非組織的集団
 2.病院組織とリスクマネジメント
  1)病院組織と管理
  2)医療安全管理のための取り組み
 3.理学療法部門の管理
  1)人の管理
  2)物の管理
  3)経済性の管理
  4)情報の管理
  5)研究・教育の管理
 4.質の管理
  1)病院機能評価におけるリハビリテーション部門の項目
 5.自己管理
  1)マネジメントとリーダーシップ
  2)時間の管理
  3)ストレスへの対応
第10章 理学療法士の組織と活動
 (黒澤和生)
 1.日本理学療法士協会の目的と事業
 2.日本理学療法士協会の組織と活動
  1)組織
  2)事業活動
  3)日本理学療法士学会等の組織とその位置づけ
 3.世界理学療法連盟(World Confederation for Physical Therapy:WCPT)
  1)歴史と目的
  2)WCPTのvision(展望)とmission(使命)
  3)世界理学療法の日
  4)加盟国
  5)WCPTサブグループ
  6)WCPT総会と学術大会
第11章 理学療法士としての適性と資質
 (奈良 勲・高橋哲也・堀 寛史)
 1.出会い,選択,動機
  1)出会い
  2)選択
  3)動機
 2.適性と資質の基本概念
  1)適性とは
  2)資質とは
 3.理学療法士としての適性(aptitude)
  1)人間に対する関心
  2)人格,性格と行動形態
  3)知性(課題解決能力としての創造性)
  4)共感(empathy)
  5)健康
 4.理学療法士の遂行能力(competency)
 5.適性の重視と育成
第12章 理学療法と心理・メンタルヘルスへの対応
 (1〜4:富樫誠二,5:山本大誠・奈良 勲)
 1.理学療法と心理的対応
  1)哲学的視点から理解する
  2)心理・社会・倫理的視点から理解する
 2.対象者の心理を理解する
  1)対象者の心理
  2)自分と他者を理解する
 3.家族の心理を理解する
  1)対象者の危機=家族の危機である
  2)家族関係─家族はシステムである
  3)家族の病気・変調への不安
  4)家族の役割の変化
 4.理学療法士の心理学的側面とマネジメント
  1)理学療法士と組織マネジメント
  2)感情とマネジメント
  3)感情労働とマネジメント
 5.心理・メンタルヘルスへの対応
第13章 地域理学療法学─地域包括ケアの展開に向けて─
 (平岩和美)
 1.背景と目的
 2.高齢者福祉政策の変遷
  1)医療福祉の拡充
  2)老人医療の見直し
  3)新たな負担
  4)提供体制の構築
 3.介護保険制度と地域包括ケア
  1)介護保険事業の開始
  2)介護保険サービスの内容
  3)ケアマネジメントの開始
  4)予防重視への転換─介護予防事業の開始─
  5)地域包括ケアシステムの推進
  6)新しい総合事業
 4.地域理学療法における連携
  1)連携主体の特徴
  2)連携の仕組み「地域ケア会議」
  3)政策過程と連携
  4)地域包括ケアの各場面における理学療法士の役割
  5)事例1:急性期から維持期までの理学療法士の関わり
  6)事例2:複数のサービスを活用し在宅生活を継続する事例
 5.地域包括ケアシステムの持続性と発展
  1)財源の確保
  2)ICTの活用
  3)認知症対策
  4)災害への対応
  5)地域共生社会
第14章 理学療法の職域開拓
 1.精神領域の理学療法(山本大誠)
  1)欧州における精神領域の理学療法
  2)心身の症状と理学療法
  3)理学療法の役割
  4)理学療法アプローチ
  5)精神領域における理学療法の課題と展望
 2.産業理学療法(高野賢一郎)
  1)産業保健分野を担うメンバー
  2)理学療法士が関わる意義
  3)海外の産業理学療法
  4)マーケティング・宣伝広報・営業
  5)勤労者への理学療法の指導
  6)具体的な産業理学療法
  7)産業理学療法の課題
  8)産業理学療法を確立するための対策
 3.被災地の理学療法支援(松井一人)
  1)2011 年東日本大震災に学んだ理学療法支援
  2)災害時理学療法(士)支援活動とは
  3)時期に応じた支援
  4)まとめ
 4.女性保健の理学療法(山本綾子)
  1)女性保健の理学療法とは
  2)女性保健の理学療法の特徴
  3)女性保健の理学療法評価の特徴
  4)今後の課題
 5.動物の理学療法(藤澤由紀子)
  1)海外の動物理学療法の歴史
  2)日本における動物の理学療法
 6.犬の歩行分析(吉川和幸)
  1)犬の歩行解析における先行研究
  2)犬の歩行解析の実際
  3)今後の展望
第15章 理学療法の基本用語
 (木林 勉・佐々木賢太郎)

 資料
  理学療法士国家試験出題基準(平成28 年版)
  関係法規