やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 本書は,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,看護師をはじめとするリハビリテーション(以下,リハ)関連職種への入門書として書かれました.
 神経・筋疾患は多くが希少疾患であり,専門病院でない限りリハ関連職種が目にする機会はそれほど多くないことが実情です.そして,患者さんから「自分の病気を理解してもらえなかった」という言葉を聞いたのは,残念ながら一度や二度ではありません.どのような疾患でもそうですが,リハを進めるにあたっては疾患自体の理解が不可欠です.もちろん,神経・筋疾患には多くの疾患が含まれており,その病態像は多様ですが,本書では主要な疾患についてモデルケースを通じてその基本的知識をわかりやすく解説することを目的としました.モデルケースはあくまでその典型的な経過を示していますので,すべての患者さんが同様の経過をたどるわけではありませんが,患者像をイメージしやすくなるものと期待しています.
 本書は,リハについての解説を中心としたものではありませんが,リハの目線からの疾患の理解を主眼とするため,リハ科専門医で神経・筋疾患にかかわりの深い先生方に執筆いただきました.
 本書は企画から長い年月がたってしまいましたが,それにもかかわらず粘り強く編集の労を取っていただいた医歯薬出版の担当各位に深く感謝いたします.
 本書のみで神経・筋疾患が十分に理解できるわけではありませんが,リハ関連職種の神経・筋疾患の理解に少しでも貢献し,ひいては患者さんの治療の一助になることを希望してやみません.
 2017年12月吉日
 花山耕三
01 パーキンソン病
 導入エピソード
 パーキンソン病とは?
 どんな人がなりやすいですか
 どんな病態ですか
 どのように診断されますか
 臨床所見はどんなものがありますか
 どんな評価法がありますか
 どんな治療が行われますか
 予後はどうですか
 山田さんのその後
02 脊髄小脳変性症
 導入エピソード
 脊髄小脳変性症とは?
 どんな人がなりやすいですか
 どんな病態ですか
 どのように診断されますか
 どのように治療・リハが行われますか
 予後はどうですか
 白川さんのその後
03 筋萎縮性側索硬化症
 導入エピソード
 筋萎縮性側索硬化症とは?
 どんな人がなりやすいですか
 どんな病態ですか
 どのように診断されますか
 どんな治療が行われますか
 予後はどうですか
 桑田さんのその後
04 多発性硬化症
 導入エピソード
 多発性硬化症とは?
 どんな人がなりやすいですか
 どんな病態ですか
 どのように診断されますか
 どんな治療・リハが行われますか
 予後はどうですか
 松井さんのその後
05 ギラン・バレー症候群
 導入エピソード
 ギラン・バレー症候群とは?
 どんな人がなりやすいですか
 どんな病態ですか
 どのように診断されますか
 どんな治療・リハが行われますか
 予後はどうですか
 沢田さんのその後
06 シャルコー・マリー・トゥース病
 導入エピソード
 シャルコー・マリー・トゥース病とは?
 どんな人がなりやすいですか
 どんな病態ですか
 どのように診断されますか
 どんな治療・リハが行われますか
 予後はどうですか
 慶子さんのその後
07 多発性筋炎・皮膚筋炎
 導入エピソード
 多発性筋炎・皮膚筋炎とは?
 どんな人がなりやすいですか
 どんな病態ですか
 どのように診断されますか
 どんな治療・リハが行われますか
 予後はどうですか
 佐々木さんのその後
08 筋強直性ジストロフィー
 導入エピソード
 筋強直性ジストロフィーとは?
 どんな人がなりやすいですか
 どんな病態ですか
 どのように診断されますか
 どんな治療が行われますか
 予後はどうですか
 青木さんのその後
 重症筋無力症
  ・症状
  ・診断
  ・治療
09 ポストポリオ症候群
 導入エピソード
 ポストポリオ症候群とは?
 どんな人がなりやすいですか
 どんな病態ですか
 どのように診断されますか
 どんな治療・リハが行われますか
 予後はどうですか
 内山さんのその後
 顔面神経麻痺─Bell麻痺を中心に
  ・Bell麻痺の病態
  ・Bell麻痺の症状
  ・Bell麻痺の後遺症
  ・Bell麻痺の治療

 コラム目次
 01 パーキンソン病
  (1)パーキンソン病の姿勢の特徴
  (2)リハビリテーションは運動症状の改善に有効か?─「パーキンソン病治療ガイドライン2011」より
  (3)外部刺激(external cue)の効果とは
  (4)LSVT(Lee Silverman Voice Treatment)(R)LOUDとLSVT(R)BIG
 02 脊髄小脳変性症
  (1)特定医療費(指定難病)受給者証
  (2)遺伝子異常
 03 筋萎縮性側索硬化症
  (1)2型呼吸不全
  (2)神経伝導検査
  (3)針筋電図
  (4)線維束電位(fasciculation potential)
  (5)非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation;NPPV)
  (6)機械による咳介助(mechanical insufflationexsufflation;MI-E)
 04 多発性硬化症
  (1)視覚誘発電位(visual evoked potential;VEP)
  (2)急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis;ADEM)
 05 ギラン・バレー症候群
  (1)M波とF波
  (2)フィッシャー(Fisher)症候群
  (3)短下肢装具(ankle foot orthosis;AFO)
  (4)正中神経麻痺
  (5)尺骨神経麻痺
  (6)橈骨神経麻痺
 06 シャルコー・マリー・トゥース病
  (1)末梢神経
  (2)遺伝様式
  (3)逆シャンペンボトル型筋萎縮
  (4)鶏歩(steppage gait)
  (5)凹足
 08 筋強直性ジストロフィー
  (1)筋ジストロフィー
  (2)先天性筋強直性ジストロフィー
  (3)CTG反復配列
 09 ポストポリオ症候群
  (1)ポリオ
  (2)ポリオの全国届出患者数
  (3)運動単位
  (4)巨大運動単位
  (5)脚長差と反張膝
  (6)骨格筋の脂肪変性

 索引