やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社



 時代の変化と科学の進歩による医療の高度化は,それぞれの医療分野に従事する専門職にその質の向上や重い責任を課するようになっている.
 各専門職種での基本的知識,技能はいうに及ばず,倫理面などの幅広い知識の必要性が指摘される.コメディカルスタッフのための国家試験においても,医師の国家試験と同じように,必修問題,各試験科目別問題とが出題されるように変更がなされ,その国家試験出題基準が出版されるとともに,試験の範囲,内容などが具体的に公表されている.
 本書は範囲の広い解剖生理を短時間に無理なく学べることを第一に考え,やさしい〇×形式の問題に回答することで,いつのまにか今後の国家試験に重要かつ必要と思われる解剖生理の要点を学習できるように心がけた.したがって,過去15年間の柔道整復師,あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師,看護師,理学療法士などの資格試験,国家試験の問題を収集,整理し,問題を作成し,解説を行った.
 これらの問題を通して解剖学,生理学の要点の確認,記憶の整理を行い,自らの学習に役立てるとともに,試験勉強の準備の一助となれば,著者として幸甚の至りである.
 国家試験の問題の収集,整理は,東京衛生学園専門学校(故)伊東一郎副校長にお願いしました.また数年以上にわたり相談を重ね,どのような問題集にすればいいのか,問題と解答を何回も作成しては作り直しました.伊東先生に深く謝意を表します.
 最後にご協力と助言をいただいた東京衛生学園の後藤修司理事長,森俊行先生,山本三代子先生,河内晴彦先生,神奈川衛生学園の後藤治久校長,神奈川柔道整復専門学校の平井法博校長,帝京医学技術専門学校の関根正学科長,大野均先生,甲斐範光先生,郡佳子夫妻,北豊島医療専門学校の諸氏,そのほか高橋裕三先生,日本健康医療専門学校の森布美子嬢に心から感謝いたします.また本書の執筆にあたり企画,内容,校正など,数々の助言と協力を頂いた医歯薬出版の竹内大氏に深く謝意を表します.
 平成15年6月
 石橋治雄

本書の特徴と使い方

 本書は〇×方式で問題の解答をしてゆく中で,自然に内容が理解できるように企図されている.
 1 問題と,解説と解答を左右に分け,示した.
 2 解説にあたっては,簡明であることを心がけた.
 3 解答は,解説の下,点線の右側に,〇×で示した.
 4 キーワード,難読語などにアンダーラインと番号((1)〜)を付し,点線の下に,その読みを示した.
 5 問題の先頭にを付した.結果のチェックに利用できる.
 6 解答と解説は真ん中で二分でき,中心で折って利用もできる.
 7 問題の作成に当たっては国試のためのガイドラインに準拠した.国試の準備が効率よくできる.
 8 解剖学・生理学をいつでもどこでも学べるように,ハンディなB6判とした.
 9 添付の下敷きを用いることで,問題への解答,漢字の読み方など,何回でも記憶の確認ができる.
 問題と解説の例:p.141参照
 ●1 ステロイド型のホルモンは卵巣からも分泌される.
 (1)ホルモンは,化学構造によりポリペプチド型,ステロイド型,アミン型の3種類に分類される.ステロイド型ホルモンはコレステロールから合成され,(1)副腎皮質,(2)精巣,卵巣から分泌される.
 (1)ふくじんひしつ/(2)せいそう〇
 解説を読めば,ホルモンの構造による分類3種,ステロイドホルモンの分泌器官3種である.国家試験は4肢択一形式になっているので,下記の例1,2のように,視床下部,視床下部ホルモン(ペプチド型,水溶性),またはその他のホルモンや内分泌器官を加えれば4肢択一形式の問題と解答が,自分でも作成したり,考えたりできるように解説した.そのため,効率よく国家試験の勉強の準備ができる.
 例1 コレステロールから合成されないホルモンはどれか.1.副腎髄質ホルモン,2.精巣ホルモン,3.卵巣ホルモン,4.視床下部ホルモン(正解4)
 例2 ペプチド型のホルモンを分泌する器官はどれか.1.副腎,2.精巣,3.卵巣,4.視床下部(正解4)
 序
 本書の特徴と使い方

第1章 人体解剖学概説
 1.人体の区分
 2.細 胞
  2.1 細胞の構造
  2.2 細胞分裂
 3.組 織
  3.1 上皮組織
  3.2 結合支持組織
  3.3 筋組織
  3.4 神経組織
 4.人体の初期発生
第2章 運動器系
 1.骨
  1.1 骨の形態と構造
  1.2 骨の発生と成長
 2.骨の連結
 3.筋
 4.頭・頚部の解剖
  4.1 頭蓋の構成
  4.2 眼窩と副鼻腔
  4.3 泉門
  4.4 頭蓋の連結
  4.5 頭部の筋
  4.6 頚部の筋
 5.体幹の解剖
  5.1 体幹の骨と椎骨の特徴
  5.2 脊柱
  5.3 脊柱の関節と靱帯
  5.4 胸郭を構成する骨
  5.5 背部の筋
  5.6 胸部の筋
  5.7 横隔膜
  5.8 腹部の筋
 6.上肢の解剖
  6.1 上肢の骨
  6.2 上肢帯の関節と靱帯
  6.3 自由上肢の関節と靱帯
  6.4 手の関節と靱帯
  6.5 上肢帯の筋(肩甲部の筋)
  6.6 上腕の筋
  6.7 前腕の筋
  6.8 手の筋
 7.下肢の解剖
  7.1 下肢の骨
  7.2 下肢の関節と靱帯
  7.3 下肢帯の筋
  7.4 大腿の筋
  7.5 下腿の筋
第3章 脈管系(循環器系)
 1.脈管系概説
  1.1 体循環と肺循環
  1.2 血管の種類と構造
  1.3 血管の吻合
 2.心 臓
  2.1 心臓の位置
  2.2 心臓壁の構造
  2.3 心臓の内腔(弁口と弁)
  2.4 心臓に出入りする血管
  2.5 心臓に分布する血管と神経
  2.6 刺激伝導系
  2.7 心膜
 3.動 脈
  3.1 大動脈(上行大動脈,大動脈弓)
  3.2 大動脈弓とその枝
  3.3 鎖骨下動脈とその枝
  3.4 胸大動脈とその枝
  3.5 腹腔動脈とその枝
  3.6 上腸間膜動脈とその枝
  3.7 腎動脈
  3.8 頭・頚部の動脈
  3.9 上肢の動脈
  3.10 骨盤部の動脈
  3.11 下肢の動脈
 4.静 脈
  4.1 上大静脈と下大静脈
  4.2 頭・頚部の静脈(硬膜静脈洞を含む)
  4.3 上肢の静脈
  4.4 下肢の静脈
  4.5 奇静脈系(奇静脈,半奇静脈)
  4.6 門脈系
 5.リンパ系
  5.1 リンパ本幹(胸管,右リンパ本幹)
  5.2 脾臓の位置,形態
 6.胎児循環
  6.1 臍帯の血管
  6.2 胎児の血液循環(静脈管,卵円孔,動脈管)
第4章 血液と循環
 1.血 液
  1.1 血液の働き
  1.2 血液の組成
  1.3 血液凝固
  1.4 血液型
 2.心臓の機能
  2.1 心筋の性質と刺激伝導系
  2.2 心臓のポンプ作用
  2.3 拍出量と血液量
  2.4 心周期に伴う諸現象(心音と心電図)
 3.血 圧
 4.循環の調節
第5章 消化器系
 1.口 腔
  1.1 口腔(口蓋,歯)
  1.2 舌,唾液腺
 2.咽 頭
 3.食 道
  3.1 位置,狭窄部,構造
  3.2 食道壁の構造
 4.胃
  4.1 位 置
  4.2 胃壁の構造(胃腺を含む)
 5.小 腸
  5.1 小腸の区分と構造
  5.2 十二指腸
  5.3 空腸,回腸(輪状ヒダ,腸絨毛,パイエル板)
 6.大 腸
  6.1 大腸の位置,外形,区分
  6.2 結腸の構造(結腸膨起,結腸半月,結腸ヒモ)
  6.3 直 腸
 7.肝臓・胆嚢
  7.1 位置,区分,構造
  7.2 肝臓に分布する血管
  7.3 胆嚢,分泌経路
 8.膵 臓
 9.腹 膜
  9.1 腹膜腔
  9.2 腸間膜(壁側腹膜,臓側腹膜)
  9.3 腹膜後器官
第6章 消化と吸収
 1.消化器系の働き
 2.消化管の運動
 3.消化液の分泌機序
  3.1 神経性機序
  3.2 体液性機序
 4.消 化
  4.1 糖質,蛋白質,脂質の消化
  4.2 膵液
  4.3 胃腺,腸腺
 5.消化管ホルモン
 6.肝臓と胆道系
  6.1 肝臓の働き
  6.2 胆汁の組成,胆道系の働き
第7章 呼吸器系
 1.鼻と咽頭
  1.1 鼻腔と副鼻腔
  1.2 咽頭
 2.喉 頭
 3.気管および気管支
  3.1 気管・気管支の位置,構造
  3.2 左右の気管支の相違
 4.肺
  4.1 形,重さ,各部の名称,構造
  4.2 肺の血管系
 5.胸膜と縦隔
  5.1 胸膜,胸膜腔
  5.2 縦隔(縦隔の区分と縦隔にある器官)
 6.呼 吸
 7.換 気
  7.1 肺胞内圧と胸膜腔内圧
  7.2 換気量と残気量
 8.ガス交換と運搬
  8.1 肺でのガス交換
  8.2 酸素と二酸化炭素の運搬
 9.呼吸中枢と呼吸調節
第8章 泌尿器系
 1.腎 臓
  1.1 位置,外形(色,形,大きさ,重さ,固定)
  1.2 構 造
 2.尿 管
 3.膀 胱
 4.尿 道
 5.腎臓の機能と尿の生成
  5.1 腎臓の機能
  5.2 糸球体,尿細管,尿生成
 6.排 尿
第9章 生殖器系
 1.男性生殖器
  1.1 精巣(睾丸)の位置,構造
  1.2 付属生殖腺(精嚢,前立腺)
  1.3 外陰部(陰茎)
 2.女性生殖器
  2.1 卵巣の位置,構造
  2.2 卵管
  2.3 子宮
第10章 内分泌系
 1.内分泌系概説
 2.下垂体
  2.1 位置,構造
  2.2 下垂体のホルモン
 3.上皮小体
  3.1 位置,構造
  3.2 上皮小体のホルモン
 4.甲状腺
  4.1 位置,構造
  4.2 甲状腺のホルモン
 5.副 腎
  5.1 位置,構造
  5.2 副腎のホルモン
 6.膵 臓
  6.1 位置,構造
  6.2 膵臓のホルモン
 7.性ホルモン
  7.1 精巣ホルモン
  7.2 卵巣ホルモン
 8.松果体
第11章 神経系
 1.神経系概説
  1.1 神経系の分類
  1.2 髄膜(硬膜,クモ膜,軟膜)
 2.ニューロン
  2.1 ニューロンとその働き
  2.2 興奮と伝導
  2.3 シナプス伝達(興奮伝達物質)
 3.神経線維
 4.脳
  4.1 脳の皮質(灰白質),髄質(白質)
  4.2 脳幹,神経核と神経節
  4.3 終脳
  4.4 間脳
  4.5 中脳
  4.6 延髄
  4.7 脳脊髄液
 5.脊 髄
 6.伝導路
  6.1 上行性伝導路
  6.2 下行性伝導路
 7.脳神経
  7.1 脳神経(I,II)
  7.2 脳神経(III,IV,V,VI)
  7.3 脳神経(VII,VIII)
  7.4 脳神経(IX)
  7.5 脳神経(X)
  7.6 脳神経(XI,XII)
 8.脊髄神経
  8.1 脊髄神経の構成
  8.2 脊髄神経叢の構成
  8.3 脊髄神経の走行,分布,作用
  8.4 頚神経叢からの枝
  8.5 腕神経叢からの枝
  8.6 胸神経からの枝
  8.7 腰神経叢からの枝
  8.8 仙骨神経叢からの枝
  8.9 陰部神経叢・尾骨神経叢からの枝
 9.自律神経
  9.1 交感神経系
  9.2 副交感神経系
 10.末梢神経の生理
  10.1 脊髄神経系(体性神経系)
  10.2 自律神経系の機能
 11.反 射
  11.1 脊髄反射
  11.2 脳幹反射
第12章 感覚器系
 1.外 皮
  1.1 皮膚の構造
  1.2 皮膚の付属器
  1.3 皮膚腺(汗腺,脂腺,乳腺)
 2.皮膚感覚
  2.1 皮膚感覚の受容器の種類とその分布
  2.2 皮膚感覚の伝導路
 3.視覚器
  3.1 眼 球
  3.2 副眼器
 4.視覚の伝導路
 5.視覚器の構成とその機能
  5.1 視細胞
  5.2 屈折と瞳孔の調節
  5.3 順 応
 6.聴覚,平衡聴覚器
  6.1 外耳,中耳,内耳
  6.2 内耳(骨迷路,膜迷路)
 7.味覚器
  7.1 味覚の受容器
  7.2 味覚・嗅覚の神経
第13章 体温と代謝
 1.体温調節とエネルギー代謝
  1.1 熱産生と熱放散
  1.2 基礎代謝
 2.体温と調節

 索引