やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

推薦のことば

 今や世界的潮流にさえなっている鍼灸医療への期待は,私たち日本人が考えている以上に大きいものがある.その内容は,治療医学上は勿論,予防医学として,さらに医療費適正化への可能性といった社会医学的観点等と多岐にわたる.免許制度や教育機関の整備も急速に進み,正規の医学教育のなかや医師の生涯教育の一環としても取り上げられてきている.しかし一方で,経験医学の非科学性を唱える声も大きくなってきている.
 1997年のアメリカの国立衛生研究所合意形成声明(National Institutes of Health Consensus Development Statement)における科学研究の必要性の指摘や研究費の大幅増額,また,同年のイギリスの統合医療基金(Foundation for Integrated Medicine)における研究体制整備の指摘などは,これが背景になっている.そして,伝統的に鍼灸医療が行われている日本の臨床技術,教育体制および研究成果のなかから何かを学びたいという意欲が高まっている.
 公的研究機関がないことや,医療保険制度上も問題点があること,医学教育のなかでほとんど行われていないことなどには,驚いているものの,民間交流は盛んになりつつあり,協会加盟校の卒業生のなかからも海外で活躍する人たちが増えてきている.こうした国際化の流れのなかで,世界の模範たるべく,より一層の教育改革と教員の質向上を,学会等とも連携して進める必要性を痛感している.東洋療法学校協会では,従来より全科目にわたって,全国標準教科書を作成し,教育水準向上に努めてきたが,「鍼灸理論」という科学研究に関する科目の問題点が指摘されてきていた.本書はまさしくその問題解決がはかれる絶好の著作であると思う.しかも,2000(平成12)年4月よりカリキュラムが大綱化,単位制導入などを柱にして大幅に改正されたこの時期に発刊されることは誠に時期を得ていると思う.
 これら臨床研究と基礎研究の成果を,基礎鍼灸学と臨床針灸学として,これからの教育のなかで活かしていくことは,鍼灸関係学校の使命であると思う.まずは率先して教員が学び,そして,学校の副教材として学生用に活用するべく,ここに「指定推薦図書」とさせていただきます.なお,さらに英語版の出版が行われれば,日本の世界貢献になることとひそかに期待をするものです.
 2000年8月 (社)東洋療法学校協会会長 東京・神奈川衛生学園専門学校校長 後藤修司

序 新世紀の鍼灸を示す道標

 科学万能の近代になってからは,鍼灸医学は本流となった西欧医学の体系からは域外に追いやられ,行政的にも医療類似行為という中途半端な格好で位置づけられてきた.
 主な理由は二つある.その一つは,鍼灸は特定病因論による疾患別対応型の医療ではなく,基本的には生体の調節機構の全般に働きかけて生体の恒常性を賦活させ,疾病もしくはそれに準ずる原因によって起こった病的状態を改善するという,本流とは異なる独特な流れ(体系)によった医療であること.二つには,生体に対する効果が,情動の変化をも含んださまざまな生体反応の集合であるために,効果の科学的解釈(評価)がきわめてむずかしいこと,である.さらに加えて,人体観が近代西欧医学と鍼灸医学とではまったく次元を異にすることが,以上の理由をことさらに修飾し,本流からの乖離を際立たせた.その結果として,わが国では鍼灸は,通常医学(現代西欧医学)側から短絡的に非科学的医学・医療という烙印を押された経緯がある.
 しかし,1970年代になって,それまで地道に続けられてきた鍼鎮痛機序に関する基礎的研究が,生体内に存在する鎮痛抑制機構の解明の糸口を作ったことから,がぜん,鍼灸に注がれる視線は熱くなり,さらに体性感覚刺激が自律神経系や内分泌系に影響を及ぼす数々の現象が明らかになるに従って,鍼灸医学の医療的価値もようやく着目されるようになってきた.いわば通常医学の本流に対するれっきとした支流的存在として,鍼灸医学の流れが形作られつつあるわけで,かつて鍼灸に押された非科学的という烙印も急速にその影を薄めている.
 その科学で語ることのできる鍼灸の現在を提示し,新しい時代の鍼灸をさし示す道標ともいえるものがまさに本書であり,新世紀の幕開けを目前に控え,上梓の時期も誠に当を得たものといえよう.
 20年前,(社)全日本鍼灸学会が創設されると同時に,鍼灸の科学化に志を燃やす同志が集い語り合う場―『研究委員会』―が学会に設けられた.そのときの同志のほとんどは他ならぬ本書の執筆者として名を連ねる諸氏であり,今も第一線でより高い科学化への目標に向けて真摯に研究に取り組まれているお姿に触れるとき,だれしもが心深く畏敬の念に打たれる.本書がそれぞれのお立場における刻苦の研究成果の集大成であることを想うとき,双手では支えきれないずっしりとした重さを感ずるのは私一人ではあるまい.
 本書の上梓に際し,主編者の西條一止氏から印税の一部を高木賞(初代学会長であられた高木健太郎先生からいただいた寄付金を基金にして,先生のご遺志に従って学術興隆に寄与した優秀な論文に与えられる賞)基金に寄付したいというお申し出があった.鍼灸の科学化を追求することこそが学会の使命であると常日ごろ語られていた先生も,黄泉で,必ずや本書上梓を愛で,このお申し出をお慶びであろうと推量し,ありがたくご厚志にあづかることとした.全学会員に代わりここに銘記して衷心より謝意を捧げる.
 本書に示されている鍼灸の科学化の現在を等しく理解体得し,それぞれの立場で実践に結びつけてこそ,現代に生きる上工というべく,とりわけ鍼灸教育関係者は,本書を次代を担う若き学徒のための修学の道標として活用されんことを,心から切望して止まない.
 2000年8月 全日本鍼灸学会会長 明治鍼灸大学大学院教授 丹澤章八

序文 20世紀の鍼灸学を集大成した21世紀へのメッセージ

 本書は,書名を『鍼灸臨床の科学』としているように,鍼灸の臨床を科学的に語ろうという意図で出版された.
 わが国の「鍼灸」は,伝統的な経験医術としての鍼灸が,明治時代に入り近代医学の強い洗礼を受け,大きく変貌した.以来,百数十年,近代医学を基礎とした鍼灸が,鍼灸教育界を中心に伝えられてきた.一方,民間では,1935(昭和10)年代に古典鍼灸復興の動きが起こり,経絡治療が誕生している.
 1971(昭和46)年,ニューヨークタイムスのレストン記者による中国の鍼についての報道により,世界の医学界に,鍼についての関心が高まり,鍼の科学化への動きが本格化した.このような世界の動きの中で,1979年,当時の日本鍼灸医学会で,黒野保三事務局長の発案により,鍼灸臨床の科学化の動きが起こり,1981年,今日の全日本鍼灸学会が発足したときに,学会に研究委員会が組織され,「鍼灸の臨床を科学的に解明し,発展させる」ための臨床班,基礎班がつくられた.初代委員長は熊沢孝朗名古屋大学名誉教授,2代目が代田文彦東京女子医科大学附属東洋医学研究所教授,そして3代目が私,西條一止である.
 1991年,全日本鍼灸学会学術総会名古屋大会で,研究委員会10年のまとめのシンポジウムが行われた.この大会を取材された医歯薬出版の工藤嘉矩氏から,「本としてまとめたらどうですか」という助言をいただいた.研究委員会委員の了解と,学会の理事会にも了解を得,案を練るうちに4年が経過した.1996年,基礎編を川喜田健司氏,臨床編を私が中心になり,医歯薬出版の工藤氏と最終的に案をまとめ,各執筆者の了解を得たのが1996年10月である.1997年には出版できる予定でスタートした.しかし,この間,執筆者であった米山 義氏,鍋島可騰氏,後藤和廣氏の3氏が永久の眠りにつかれた.若く優れた力量と将来が嘱望されていた3氏の突然のご他界は痛根の極みであった.ご冥福をお祈りするしだいである.
 出版の話があった1991年は,当時私は52歳であった.そして,本書の執筆者のほとんどは私よりも年若い人たちである.私を含めて,執筆者にとって1990年代の10年間のもつ意味は大きい.工藤氏から,「研究委員会の報告書では,出版物になりません」といわれ,本書は研究委員会の調査研究資料が核になっているが,決して報告書ではない.新たな内容を付加し,新たなテーマも加えて,今日の時点において,鍼灸の臨床を科学的な視点に立って語る充実した書物となっている.
 2000年5月,2稿目の全校正刷りを通読し,内容の充実ぶりに,1990年代の10年間のもつ意味が十分に生きていることを痛感した.研究は,臨床は,教育は人間の力量である.戦後教育を受けたものがいま,60歳代に入ろうとしている.2000年はまさに区切りの年である.このときに,幸いにして,鍼灸の臨床について,科学的なメッセージとしての集大成である本書を世に送れることの意味は大きい.研究委員会の目的は,鍼灸の臨床を科学的に解明し,発展させ,世に普及することである.社会に広くお伝えするという役割を,本書が担ってくれることを期待するものである.
 本書の執筆者は20数名である.しかし,1980〜90年代を通じて,委員会メンバー,シンポジウム,ワークショップ参加者,そして貴重な症例として参加して下さっている方々,万を越える方々の「鍼灸への気」の凝集としての本書でもある.さまざまな形でご参画,ご協力いただいた方々に敬意を表し,感謝申し上げます.
 2000年度から,鍼灸教育の教育内容が,文部・厚生省令の改訂により新たにされた.教養系科目,専門基礎科目,専門科目からなるが,専門科目は基礎鍼灸学,臨床鍼灸学,社会鍼灸学という形に構成された.
 鍼灸学という学問体系を構築しようとしているところである.本書の基礎編は基礎鍼灸学を,臨床編は臨床鍼灸学をねらいとしているものである.
 本書は,鍼灸の臨床に従事しようという人たちを意識してまとめている.しかし,多くの貴重な研究が資料となっているので,鍼灸にかかわろうとする方々には研究的にも,臨床的にも,教育的にも貴重な示唆を与えてくれるものになっている.
 下記の一文は,本書をまとめようという最初のころ,書いたものである.
 「一本のお箸がありました.お箸であることがわからない人には,それがどんなふうに役に立つものかは,わかりません.
 お箸であることがわかる人には,一本では役に立たないということになるかもしれません.しかし,一本で役に立たないお箸でも,もう一本揃えば,立派に一膳のお箸として役に立ちます.
 一本で役に立たないと決めつければ,全く役に立たず捨てるしかありません.
 そこでです.どうすれば役に立つ存在になり得るかと考えたとしたら,お箸はもう一本あれば立派なお箸です.
 もう一本のお箸とは何でしょう.
 お箸は二本で一膳ですが,二本がそれぞれ別の機能をして協力するからものをつまめるわけです.相手になって互いに助け合える存在です.
 お箸でも,同じ動きをするものが何本揃っても一膳のお箸にはなりません.二本で一対になれるものが必要なのです.
 一本の箸について,これは役に立たないという判断は,それがなんであるかをわかる人にはだれにでもできることです.しかし,どうしたら役に立てる存在にできるかということは,もう一歩踏み込んで考えないとできないことです.
 一本のお箸であることを知ったら,もう一本のお箸がどこにあるのかを探すことこそ,科学的にものごとを推進する道でしょう.
 それには,いまある一本のお箸が,どのようなお箸の一本であるかを知ることがまず第一歩です.それによってもう一本を,どこに求めればよいかが明らかになります.
 すべてのものは貴重な存在です.どうしたら役に立つ存在になりうるかを,考えることこそ,考えるということであり,努力することであり,人々の力を無駄にせず,歴史を踏まえるということでしょう」
 雑木林,雑草などの言葉が表現しているように,人類はきわめて自己中心的に物事に対処してきている.すべてのものがそこに存在していること,そのことが貴重で尊ばれなければならないことに,気がつかねばならない時代を迎えている.
 21世紀は,あらゆるものとともに生きることが,キーワードとなる時代である.
 自然の力が尊ばれ,鍼灸学の心が大切にされる時代である.
 20世紀の足跡をまとめ,21世紀へのメッセージとして,2000年紀の始まる年に,ようやく間に合ったことを喜び,5月の新緑の力強さを眺め,未来への夢を託したい.
 10年にもなろうという年月,辛抱強く相手をし,編集者としての高い見識から種々の助言をいただいた,医歯薬出版の工藤嘉矩氏に感謝し,工藤氏が今春定年を迎えられ,仕事を引き継いでくださった吉田邦男氏にお礼を申し述べたい.
 2000年5月 全日本鍼灸学会研究委員会3代目委員長 筑波技術短期大学 学長 西條一止
臨床編
I.総論
 1.日本の鍼灸診療方式の現状と問題点…篠原昭二ほか
  1.アンケート調査からみた鍼灸診療方式の実態と脈診の活用状況
   A.緒言
   B.方法
   C.結果および考察
   D.まとめ
  2.日本における鍼灸診療の体系
   A.はじめに
   B.太極療法の体系
   C.経絡治療の体系
   D.現代医学的鍼灸治療の体系
   E.中医学の体系
   F.折衷的な診療体系
   G.通俗的な鍼灸臨床の体系
   H.今後の理想的な鍼灸の診療体系とは
   I.おわりに
  3.具体的な診療方法からみた鍼灸医学の診断治療システムの解析
   A.はじめに
   B.具体的な診療法別の特徴と問題点
    1.現代医学的病態把握による鍼灸診療の特徴と問題点
    2.経絡治療による鍼灸診療の特徴と問題点
    3.中医学による鍼灸診療の特徴と問題点
   C.3種類の診断治療システムの解析から導かれた新しいシステム構築のための必要条件
    1.病態認識(生体の抵抗力と病邪の力関係=いわゆる虚実の評価)
    2.全身的なアンバランスの認識(異常の現れた臓腑・経絡系統の具体的な評価)
    3.局所的な病態把握(異常部位の評価)
   D.まとめ
 2.鍼灸治療の科学…西條一止
  1.日本鍼灸の道
   A.中国伝来の経験医術
   B.明治政府の医療・医学革命
   C.特殊な存在としての鍼灸から開かれた鍼灸へ
   D.求められる経験医術としての鍼灸とは
   E.日本鍼灸の道
   F.鍼灸を科学化する道
  2.鍼灸臨床の科学的検討
   A.物理刺激による自律神経反射
   B.物理刺激を受容する場としての皮膚・皮下組織と筋
    1.皮膚・皮下組織への刺激は,副交感神経を遠心路とする反射を起こす
    2.筋への刺激は,交感神経 β 受容体系を遠心路とする反射を起こす
   C.生体における自律神経反応リズム
    1.呼吸運動リズムと副交感神経機能
    2.体位と交感神経機能
   D.刺激による生体反応と生体機能との同期
    1.副交感神経反応
    2.交感神経反応
   E.副交感神経機能を高める刺激法の吟味
    1.皮膚,皮下組織・呼気時・座位刺激法の二重盲検法による吟味
    2.浅刺・呼気時・座位刺鍼法の刺激部位の検討
   F.交感神経を遠心路とする反応の吟味
    1.脊髄における体性神経と交感神経とのかかわりの機構
    2.臓腑経絡系を論拠とする機構
   G.浅刺・呼気時・座位の刺鍼法の臨床活用
    1.刺鍼法
    2.呼吸回数
    3.刺激部位
   H.浅刺と深刺の使い分け
   I.治療法を組み立てるための刺鍼の諸条件と自律神経機能
    1.生体の自律神経反応条件
    2.鍼刺激による自律神経反応
  3.刺激と生体反応の様式
   A.局所反応を期待して
   B.全身反応を期待して
    1.自然治癒力を高める反応
    2.閾値下刺激による全身反応
   C.離れたところへの反応を期待して
    1.脊髄レベルの神経連絡
    2.高位中枢神経レベルの神経連絡
  4.鍼の治効:六つのメカニズム
   A.六つのメカニズム
    1.局所反応
    2.遠隔部反応
    3.全身反応
   B.六つのメカニズムとそれぞれの特徴
   C.六つのメカニズムの解説
    1.組織損傷による生体防御機転の刺激(局所反応)
    2.筋への刺鍼により筋の過緊張を緩和し,血液循環をよくする刺鍼局所作用(局所反応)
    3.筋刺激による交感神経を遠心路とする反射機転(遠隔部反応)
    4.皮膚・皮下組織刺激による副交感神経機能を主体的に高め,自然治癒力を高める機転(全身反応)
    5.座位時の低周波鍼通電療法による全身的交感神経機能亢進作用(全身反応)
    6.臥位時の低周波鍼通電療法による全身的交感神経機能の緊張を解く作用(全身反応)
   D.治療順序の工夫
  5.鍼灸治療の構成
   A.基本的な考え方
    1.標治法
    2.本治法
    3.本治法の具体的な意味
    4.治療法の構成
   B.基本的な治療法
   C.基本的な治療の手順と本治,標治法
   D.基本的な治療法の解説
    1.浅刺・呼気時・座位の刺鍼法
    2.腹部刺鍼
    3.背部刺鍼
    4.治療に必要な反応を引き出しやすい場を作るための治療
    5.症状に対する治療
    6.浅刺・呼気時・座位の刺鍼法
  6.自然軽快を除外する治療直後効果を指標とした腰痛症に対する鍼灸治療の効果に関する研究の試み
   A.研究目的
   B.研究方法
    1.鍼治療期間
    2.鍼治療研究対象症例
    3.鍼治療法
    4.腰痛に対する鍼治療法
    5.鍼治療効果の評価方法
   C.研究結果
    1.鍼治療対象患者のプロフィール
    2.鍼治療効果
   D.考察
    1.鍼治療効果
    2.直後効果による鍼治療の腰痛改善効果の評価
    3.痛みの程度と腰痛改善
    4.治療がマイナス作用している治療時の姿勢の問題
    5.局所反応と全身反応による治療効果
    6.治療の組み合わせ,順序性
   E.結論
  7.次代をになう「未病を治する力」
 3.鍼灸臨床研究の方法と評価…七堂利幸
  はじめに
   A.西洋医学の現状
   B.伝統医学の現状
  1.鍼灸臨床研究の方法論の必要性
   A.科学と技術の違い
   B.研究の方法論はコンパス
   C.代替医学に方法論を適用できるか?
   D.情報検索,データベースの活用
    1.情報の獲得
    2.情報交換
    3.鍼灸のデータベース
    4.統計ソフトウエア
    5.最近の話題
   E.古典は伝承仮説
  2.鍼灸臨床研究の方法論
   A.鍼灸臨床試験のデザインと方法
    1.治療方法の選択
    2.サンプルサイズと検定方法
    3.患者リクルート
    4.インフォームド・コンセント
    5.無作為化
    6.検査
    7.データ収集・解析
    8.公表
    9.プロトコール(試験計画書)
    10.チェックリスト
   B.シングルケース研究(N of 1)
   C.技術評価
    1.信頼性
    2.妥当性
   D.鍼独自の工夫
    1.一重マスク法
    2.対照群の中身
    3.層別化
    4.スポンサーのない鍼研究の公平性
    5.評価者のマスク化
    6.鍼好き・鍼嫌い,コンプライアンス(順守性)
    7.ボランティア・バイアス
   E.無作為化の方法
   F.サンプルサイズの決め方
   G.エンドポイント
   H.解析法・検定法の新しい動向
    1.generalized estimating equations(GEE)
    2.Matthewsの方法
    3.中間解析
    4.intention to treat(ITT)
    5.確率化テスト
    6.メタアナリシス
   I.試験デザインの種類と証明力のレベル
   J.QOL(quality of life)
   K.インフォームド・コンセント(IC)
  3.鍼灸の臨床試験
  4.臨床研究の質の評価
   A.評価表のつくり方
   B.CONSORT(Consolidated Standards of Reporting Trials)声明
   C.経時的なスコアによる評価

II.各論
 1.頚肩腕痛に対する鍼灸治療研究…田中正治
  1.頚肩腕痛共通カルテ
   A.頚肩腕痛共通カルテ
   B.頚肩腕痛共通カルテの使用法
    1.問診
    2.診察
   C.カルテの集積結果
    1.データ集積の方法
    2.各疾患の集計結果
    3.集積結果のまとめ
  2.頚肩腕痛共通カルテをふまえた診察と治療の実際
   A.寝ちがい
   B.頚椎捻挫
   C.頚椎症性神経根症
   D.頚肩腕症候群(狭義)
   E.胸郭出口症候群
   F.頚肩腕症状の鍼灸治療
  3.症例
   A.頚椎症性神経根症
   B.胸郭出口症候群
 2.肩こりの研究と鍼灸治療…佐々木和郎
  1.肩こりの研究の必要性
  2.肩こりとはなにか
   A.肩こりとはなにか
   B.肩こりは日本人特有の疾患か
  3.肩こりの原因
  4.肩こりのメカニズム
   A.こりというのはどのような状態か
   B.肩こりの不快感の発生
  5.肩こりの問診
   A.現病歴
   B.現症
    1.こりの部位
    2.こりの程度
    3.こりの性状
    4.増悪因子,軽快因子
   C.既往歴
   D.社会歴
  6.肩こりの検査
   A.視診
   B.触診
    1.頚椎棘突起の触診
    2.頚部深部頚筋群の触診
    3.肩甲上部,肩甲間部の触診
   C.運動制限の有無
   D.徒手検査
  7.肩こりの鍼灸治療法
   A.後頚部・上部のこり
   B.肩甲骨上部のこり
   C.肩甲間部での刺鍼
   D.低周波鍼通電法
   E.皮内鍼
   F.運動鍼
  8.肩こりに関する研究
   A.肩こりの鍼灸治療効果の解明
    1.無作為化比較試験
    2.鍼灸治療におけるインフォームド・コンセントの必要性
    3.無作為化比較試験による鍼治療が肩こりに及ぼす影響
   B.肩こりの硬さの客観化
    1.硬さセンサーの開発
    2.硬さ測定用システムの特徴
    3.試料に対する測定
    4.肩こりの筋硬結に対する測定
  9.まとめ
 3.腰痛…山田勝弘
  1.共通カルテの作成
   A.はじめに
   B.「腰痛班」がめざしたもの
    1.教育活動
    2.腰痛の西洋医学的分類
   C.これまでの研究をふまえた共通カルテ
    1.カルテ
    2.カルテの利用マニュアル
  2.カルテの集積結果(腰痛班治療成績)
    1.カルテ収集期間
    2.カルテ収集対象
    3.年齢構成
    4.発症期間
    5.考察(原因考察)
    6.考察診断(病態把握)
    7.治療方針
    8.使用経穴(重複あり)
    9.使用非経穴(部位)
    10.治療法
    11.治療回数
    12.治療成績(年齢と2回目の評価)
    13.洗顔動作(前屈姿勢)
    14.前屈指床間距離の比較
    15.跛行の有無
    16.両下肢伸展挙上テスト
    17.患者自身の主観的全体評価
    18.年齢差による効果の影響
    19.年代別にみた治療回数
    20.発症期間と治療回数
    21.原因考察と治療部位および経穴
    22.発症原因とADL所見
    23.考察診断と刺鍼部位
    24.考察診断と治療効果
    25.考察診断と治療法
    26.治療法による治療効果の比較
    27.結論
  3.共通カルテを用いた診察と治療の実際(腰痛の鑑別とその対応の仕方)
   A.体動不可,立位歩行困難の場合
   B.筋・筋膜性腰痛(筋肉の痛み)
   C.下肢痛
    1.腰椎椎間板ヘルニア
    2.梨状筋症候群
   D.全身調整
  4.ケースレポート
   A.【症例1】筋性腰痛
   B.【症例2】椎間関節性腰痛
   C.【症例3】変形性腰椎症(骨粗鬆症)
  おわりに
 4.下肢痛…米山義ほか
  1.下肢痛共通カルテと症例の分析概要
   A.統一カルテの作成
   B.集積された症例
    1.第1回報告(神戸大会)
    2.第2回報告(京都大会)
    3.昭和60年12月に改訂された統一カルテ使用による分析
  2.下肢痛カルテ集積結果分析
   A.カルテ集積結果分析1
    はじめに
    1.研究方法
    2.結果
    3.考察と結語
   B.カルテ集積結果分析2
    はじめに
    1.対象
    2.方法および分析
    3.結果と考察
    おわりに
   C.カルテ集積結果分析3
    はじめに
    1.対象
    2.結果と考察
 5.変形性膝関節症に対する鍼灸治療研究…北出利勝ほか
  1.変形性膝関節症専用カルテ
   A.カルテ作成の目的
   B.カルテの内容
    1.一般的記載事項
    2.今回の膝痛の既往歴
    3.罹病膝
    4.穿刺の経験の有無
    5.苦痛の種類
    6.既往歴(外傷歴)
    7.入浴時の正座の可否と日常生活における手すりや杖の使用状況
    8.下肢の周径(OSU)
    9.屈曲変形
    10.大腿骨角(femoro-tibial-angle:FTA)
    11.PF:patello-femoral,FT:femoro-tibial関節のざらつき
    12.膝伸展筋力
    13.膝関節の関節可動性(ROM)
    14.問診における経過観察項目
    15.徒手検査項目
    16.膝蓋跳動
    17.膝蓋骨圧迫テスト
    18.圧痛
    19.Pain scale
    20.その他
  2.膝の痛み調査票
   A.調査票の意義
   B.質問項目
    1.痛みの強さ
    2.階段の昇り降り
    3.正座をしたとき(実際にやって)
    4.起床時の動かし始めの痛み
    5.しゃがみこみ動作(起座動作時痛)
    6.日中,じっとしているときの痛み
    7.掃除や炊事などの家事,雑事
    8.夜間の睡眠状態
    9.ズボンや靴下をはく動作
    10.膝に関する不安感
    11.雨天や寒冷時の影響
    12.治療後どのくらい痛みが楽ですか
   C.まとめ
  3.膝痛カルテの集積結果
   A.目的
   B.膝関節のプロフィール
    1.膝関節部愁訴の出現率
    2.周径異常の出現率
    3.ROMの制限
    4.屈曲変形
    5.杖や手すりの必要性
    6.浴槽内での正座の可否
    7.関節穿刺の経験の有無
    8.膝痛の既往
    9.FTAからみた変形の有無
    10.膝関節周囲の圧痛出現頻度
   C.鍼灸治療の方法
   D.変形性膝関節症に対する鍼灸治療効果
    1.ROMに及ぼす効果
    2.動作開始時の痛み
    3.起座動作時痛
    4.正座時の痛み
    5.階段昇降時の痛み
    6.歩行時の痛み
    7.膝関節部の熱感
    8.膝蓋跳動
    9.膝周径
   E.膝関節周囲の圧痛に及ぼす鍼灸治療効果
   F.臨床症状の変化からみた鍼灸治療の総合評価
   G.ペインスケールの変化からみた鍼灸治療効果
   H.まとめ
  4.病態観察よりみた変形性膝関節症の鍼治療のパターン化
   A.大腿骨(FT)関節のOAに対する診察法と治療法
    1.確認項目
    2.治療方法
   B.膝蓋大腿(PF)関節に対する診察法と治療法
    1.確認項目
    2.治療方法
   C.内側側副靭帯の痛みに対する診察法と治療法
    1.確認項目
    2.治療方法
   D.膝後面の疼痛に対する診察法と治療法
    1.確認項目
    2.治療方法
   E.膝前面部の疼痛に対する診察法と治療法
    1.棚障害の確認項目と治療点
    2.膝蓋靭帯炎の確認項目と治療点
   F.鵞足部の疼痛に対する診察法と治療法
    1.確認項目
    2.治療方法
   G.膝外側部の疼痛に対する診察法と治療法
    1.外側側副靭帯の異常に対する確認項目と治療点
    2.外側関節裂隙部の疼痛
    3.腸靭帯部の疼痛
   H.急性に起こった膝の痛みと慢性的に経過する膝の痛み
   I.経絡・経筋病
   J.まとめ
 6.本態性高血圧に対する鍼灸治療研究…徳竹忠司ほか
  1.本症に対する鍼灸治療の考え方と統一カルテ
   A.本症に対する鍼灸治療の目的
   B.対象とする患者の種類と範囲
   C.本症に対する臨床研究の方法
    1.第一ステップ(基本的データ)
    2.第二ステップ
   D.カルテ記入方法
    1.初診時の確認項目と記載方法
    2.経過記録の項目と方法
    3.第二ステップの経過観察項目
  2.本症に対する低周波鍼通電療法の効果
   A.対象および方法
    1.研究対象
    2.治療方法
    3.検査項目および方法
   B.結果および考察
   C.結論
  3.症例報告
   A.症例1
    1.症例のプロフィール
    2.治療方法
    3.評価方法
    4.結果
    5.考察
    6.まとめ
   B.症例2
    1.症例のプロフィール
    2.24時間血圧測定
    3.24時間血圧解析評価方法
    4.鍼治療の方法
    5.腰痛の効果判定
    6.結果
    7.考察とまとめ
   C.症例3
    1.症例のプロフィール
    2.立位負荷の4症例
    3.考察
    4.まとめ
 7.慢性肝機能障害の鍼灸治療…堀茂ほか
  1.基礎的研究(動物実験)
   A.実験的肝傷害に対する鍼(ハリ)の効果についての超微形態学的研究
    1.実験方法
    2.実験結果
    3.結果
   B.薬物性肝傷害に対する鍼(ハリ)の予防的効果についての実験的超微形態学的研究
    1.実験方法
    2.観察結果
    3.結果
   C.生体の防御機構と鍼灸医学(動物実験的考察)
    1.実験材料と方法
    2.観察結果
    3.結果
  2.臨床的研究
   A.カルテ
    1.慢性肝機能障害カルテ作成の基礎的検討
    2.カルテの集積結果
    3.まとめ
   B.診察と治療の実際
    1.診断
    2.鍼灸治療の方式
    3.鍼治療の効果を高める方法
   C.症例報告
    1.症例
    2.考察
    3.まとめ
  3.まとめ
 8.不定愁訴症候群に対する鍼灸治療…黒野保三ほか
  1.序論
  2.健康チェック表とその分析結果
   A.健康チェック表の作成
   B.重症度判定基準および効果判定基準
   C.健康チェック表の再現性と妥当性
   D.各項目別の相関関係と項目数の必要性
   E.鍼灸医学と近代医学の共同研究による臨床結果
  3.不定愁訴症候群に対する鍼灸医学の臨床結果
   A.初診時状態の分析
    1.研究方法
    2.結果
   B.鍼治療の結果分析
    1.対象および方法
    2.結果
  4.症例報告
   A.不定愁訴症候群に対する鍼治療の1症例
    1.はじめに
    2.症例
    3.治療方法
    4.治療経過
    5.考察
    6.結論
   B.不定愁訴指数が最初の治療で減少し,その後も安定した1症例
    1.症例
    2.治療方法
    3.治療経過
    4.考察
    5.結論
  5.不定愁訴症候群に対する鍼灸診療の役割
   A.鍼灸医学と近代医学の共同研究による臨床結果
   B.鍼灸診療の現場における臨床結果(1)
   C.鍼灸診療の現場における臨床結果(2)
  6.まとめ
 9.スポーツ鍼灸…森山朝正ほか
  1.スポーツ分野におけるチーム医療の確立を目ざして
  2.スポーツと鍼灸のかかわり方
   A.バイオメカニクスを取り入れた鍼灸
    1.基礎的な考え方―全身状態をどのように把握するか(動的バランスがとれているか)
    2.身体部位別チェックポイント
   B.経絡テスト
    1.痛みの発現と経絡
    2.経絡分布の特徴とヒトの動き
    3.経絡テスト
  3.スポーツ鍼灸の臨床
   A.スポーツ障害の治療
    1.肩関節障害の治療
    2.腰部障害
   B.コンディショニングと鍼灸
    1.はじめに
    2.コンディショニングとは
    3.コンディショニングと鍼灸
    4.競技現場における鍼灸の実状
    5.症例
    6.まとめ
  4.スポーツ鍼灸の科学化(基礎的研究の成果)
   A.スポーツ鍼灸の実態に関する調査研究
    1.高校生のスポーツ選手における鍼灸治療の実態調査
    2.高校野球選手における鍼灸治療の実態調査
    3.茨城県の国体代表選手鍼灸治療の実態調査
    4.バレーボール選手における鍼灸治療の実態調査
    5.筑波大学におけるスポーツ傷害に対する鍼治療
   B.代表的なスポーツ傷害に関する臨床研究
    1.骨過労性骨膜炎(シンスプリント)に対する鍼治療
    2.スポーツ選手の腰痛に対する鍼治療効果
    3.膝蓋腱炎(ジャンパー膝)に対する鍼治療
    4.スポーツ選手の足関節捻挫に対する鍼治療
    5.スポーツによる膝傷害に対する低周波鍼通電療法
   C.スポーツ鍼灸に関する基礎的研究
    1.磁気共鳴法による遅発性筋痛の解析と鍼治効作用の検討
    2.等速性運動による一過性の筋力低下に対する低周波鍼通電,TENSの影響
    3.筋疲労に対する鍼施術の効果
   D.まとめ
 10.泌尿・生殖器系障害に対する鍼灸治療…北小路博司
  1.泌尿器疾患に関する鍼灸医学の変遷
   A.古典による泌尿器疾患の記載
   B.WHOからみた泌尿器疾患の鍼灸治療の適応
   C.西洋医学における鍼灸の応用
  2.泌尿器系愁訴の疫学的調査
   A.調査項目
    1.対象の年齢分布
    2.夜間の排尿回数
    3.尿意切迫
    4.残尿感
    5.遷延性排尿{せんえん}
    6.苒延性排尿{ぜんえん}
    7.腹圧性尿失禁
    8.各愁訴と夜間頻尿の関係
   B.まとめ
  3.泌尿器系愁訴の問診とその意義
   A.『排尿症状に関する問診表』の活用
   B.問診内容と意義
    1.昼間の排尿間隔
    2.夜間の排尿回数
    3.尿意
    4.尿意切迫
    5.腹圧性尿失禁
    6.排尿時の尿の勢い
    7.遷延性排尿
    8.苒延性排尿
    9.腹圧排尿
    10.残尿感
   C.問診から排尿症状が確認された場合に考えること
    1.昼間の排尿間隔
    2.尿意切迫
    3.排尿時の尿勢,遷延性および苒延性排尿
    4.残尿感
   D.悪性腫瘍などに関連する問診と視診内容
    1.除睾術
    2.痛み
    3.血尿
   E.問診による排尿障害の推定
   F.薬物と排尿症状
  4.特定疾患の解説
   A.神経因性膀胱
    1.定義
    2.原因疾患
    3.臨床症状
    4.合併症
    5.検査
    6.分類
    7.治療
   B.尿失禁
    1.分類
    2.治療
   C.前立腺肥大症
    1.原因
    2.臨床症状・検査
    3.病期分類
    4.鑑別診断
   D.夜尿症
    1.定義
    2.分類
    3.原因
    4.治療
    5.鍼灸臨床の具体例
   A.鍼治療の方法,条件
   B.各症例に対する鍼治療効果
    1.切迫性尿失禁
    2.前立腺肥大症
    3.排尿筋,外尿道括約筋協調不全
    4.低緊張性膀胱症の排尿困難
    5.勃起障害
    6.夜尿症
    7.夜間頻尿患者に対する温灸治療効果
 11.産婦人科疾患に対する鍼灸治療…形井秀一
  1.産婦人科カルテ
   A.カルテの利用マニュアル
    1.患者の全体像
    2.主訴
    3.現病歴
    4.月経歴
    5.結婚歴など
    6.既往歴など
    7.一般状態
    8.婦人科受診歴
    9.産婦人科での検査
    10.産婦人科での治療
    11.夫の所見
    12.当診療所での検査
    13.体表所見と自覚症状経過表
   B.冷え症と婦人科の愁訴
   C.基礎体温
    1.鍼灸治療における基礎体温測定の意義
    2.基礎体温とは
    3.基礎体温の分類
    4.基礎体温の測定
   D.不妊症に対する鍼灸治療
    1.対象と方法
    2.結果および考察
    3.結論
  2.診察と治療の実際
   A.診察
   B.治療
    1.産婦人科領域での鍼灸治療の考え方
    2.治療サイクル
    3.外来での鍼灸治療
    4.冷えの合併に対する治療
    5.足湯,腰湯
   C.自宅での灸
    1.艾の大きさ
    2.直接灸と間接灸
    3.灸点
    4.壮数
    5.施灸の時間
    6.施灸頻度
    7.火傷
   D.妊娠中の灸のすえ方
    1.三陰交の壮数
    2.棒灸
    3.妊娠中の鍼灸治療の安全性
    4.症例提示
   A.不妊症に対する鍼灸治療の1症例
    1.症例1
    2.経過
    3.考察
    4.まとめ
   B.月経不順に対する鍼灸治療
    1.症例2
    2.経過
   C.つわりに対する鍼灸治療
    1.症例3
    2.経過
    3.考察
    4.まとめ
 12.鍼灸の治療方法研究への試み―治療法の実際を明らかにし,治療法の骨格を整理する―…西條一止
  1.アンケート
  2.膝痛班
  3.腰痛班
  4.下肢痛班
  5.頚肩腕痛班

基礎編
I.鍼灸刺激とは何か
 1.鍼灸刺激と神経ペプチド…錦織綾彦ほか
  1.脊髄後角における侵害性の情報伝達と神経ペプチド
   A.一次知覚ニューロンの神経ペプチドと侵害刺激
    1.サブスタンスP(SP)と侵害刺激
    2.カルシトニン遺伝子関連ペプチド
    3.ソマトスタチン
    4.ニューロキシンA
    5.その他の神経ペプチド
   B.脊髄後角の神経ペプチド
  2.一次知覚ニューロン含有ペプチドと鍼灸刺激
  3.鍼灸刺激と脊髄後角オピオイドペプチド
   A.脊髄後角のオピオイドペプチドと受容体
   B.ダイノルフィン
   C.エンケファリン
  4.鍼灸刺激と細胞性癌遺伝子
 2.侵害刺激としての鍼灸刺激―ポリモーダル受容器仮説―…川喜田健司
  1.鍼灸刺激とはなにか
   A.原初的な鍼灸刺激
   B.鍼灸刺激で興奮する感覚受容器
   C.鍼灸刺激の共通性
  2.ポリモーダル受容器とはなにか
   A.ポリモーダル受容器の特徴
   B.ポリモーダル受容器と軸索反射
  3.鍼灸刺激で生じる局所炎症反応とポリモーダル受容器の関与
   A.鍼灸刺激と神経性炎症
   B.鍼灸刺激と局所炎症部位における内因性オピオイドの発現
  4.ポリモーダル受容器の興奮による鎮痛効果の発現と生体調節系の修飾
   A.ポリモーダル受容器の選択的刺激による鎮痛効果
   B.痛覚のネガティブ・フィードバックとしての鍼鎮痛
   C.ポリモーダル受容器の刺激による自律神経系の調節
  5.ポリモーダル受容器の感作部位としての圧痛点とツボの関連
   A.圧痛点の検出法と深部痛覚閾値
   B.圧痛点の成因
   C.ツボと圧痛点の関連
  6.ポリモーダル受容器仮説
II.鍼灸の刺激部位としてのツボの特性
 1.硬結の臨床的意義―アンケート調査結果の解析―…河村廣定
  1.アンケート調査の結果
   A.硬結の存在
   B.具体的な硬結像
   C.硬結の大きさ,形の変化
   D.硬結と施術
   E.硬結の発現組織
   F.硬結の皮膚温
   G.硬結と疾病の関係
   H.硬結と経穴との関係
   I.治療効果
  2.考察
 2.硬結の成因を探る―トリガーポイントと索状硬結―…川喜田健司
  1.トリガーポイントの特徴
   A.索状硬結
   B.圧痛点
   C.ジャンプサイン
   D.疼痛の再現と認識
   E.単収縮反応
   F.関連痛の誘発
   G.可動域の制限と筋力の減弱
   H.自律神経系の反応の亢進
  2.索状硬結の成因
   A.エネルギー危機説(筋拘縮説)
   B.運動終板機能異常説と筋紡錘説
   C.深部組織の浮腫説
 3.硬結の筋電図学的検討…後藤和廣
  1.NMU発射についてのτ-S分析
  2.硬結部のNMU発射パターン
  3.硬結部NMUが緊張性パターンになる原因
 4.反応点と低電気抵抗点…小田博久
  1.ツボ,経穴,反応点
   A.ツボと経穴
   B.反応点
  2.電気的性状と電気通電
   A.皮膚の一般的な電気的性状
   B.通電
   C.皮膚の特異な電気的性質
   D.皮膚の表面構造と電気的性状
  3.電気抵抗
   A.皮膚電気抵抗と発汗分布
   B.皮膚電気反射と低電気抵抗点
   C.電気抵抗探索器
  4.低電気抵抗点
   A.低電気抵抗点の認識方法
   B.低電気抵抗点への鍼施術
   C.低電気抵抗点の位置
 5.微小神経電図の鍼灸研究への応用…後藤和廣
  1.微小神経電図法
   A.微小神経電図法の成り立ち
   B.微小神経電図法の特徴とその応用
   C.微小神経電図法のダイアグラム
  2.侵害受容系と鍼灸刺激との関係
   A.ポリモーダル侵害受容器
   B.A線維侵害受容器
   C.深部組織の侵害受容器
  3.知覚過敏と侵害受容器活動
   A.機械刺激に感受性を示さないmechano-nsensitive unit(MIユニット)の存在
III.鍼灸刺激の鎮痛作用とその機序
 1.TENS,DNICと鍼鎮痛…川喜田健司
  1.TENSとゲートコントロール説
   A.TENSとはなにか
   B.ゲートコントロール説の生理学的基礎
   C.TENSによる鎮痛の特徴
  2.鍼刺激による鎮痛効果
   A.鍼通電刺激と鍼手技(雀啄,撚鍼)の関連
   B.鍼通電刺激による鎮痛効果
    1.太い神経線維の関与する鎮痛
    2.細い神経線維の関与する鎮痛
    3.鍼通電刺激の強度と興奮する神経線維の関連
  3.DNICによる鎮痛
   A.DNICとはなにか
   B.DNICの機序
   C.DNICと鍼鎮痛の関連
  4.内因性鎮痛機構への賦活系
 2.鍼鎮痛と反射活動…上田至宏ほか
  1.痛みとその神経路
   A.脊髄での神経回路
   B.脊髄内上行痛覚伝導路
   C.痛覚の上位中枢
   D.下行性痛覚抑制機構
  2.鎮痛
   A.いろいろな鎮痛システムと鍼鎮痛
   B.鍼麻酔と鍼麻痺
  3.反射活動と反射弓
   A.運動における反射活動と反射弓の概略
   B.γ運動神経とその反射活動における役割
  4.痛み,鎮痛効果の評価
  5.筋電図からみた反射活動と鍼鎮痛
   A.開口反射と各種腱反射
   B.誘発筋電図
   C.潜時への影響と伝達時間の遅延
   D.H波-反復誘発筋電図
   E.振動誘発反射
  6.鍼麻酔と脳波
   A.脳波活動
    1.α波の広汎化と徐波化
    2.α波再現時間
   B.誘発脳波
    1.体性知覚誘発電位
    2.聴覚誘発電位
IV.鍼灸刺激の自律神経系への作用
 1.鍼刺激と排尿反射…北小路博司
  1.生理学的にみた排尿反射
  2.鍼刺激の膀胱機能に及ぼす影響
  3.ラット橋排尿中枢に及ぼす鍼刺激の影響
  4.ラット近位尿道に対する鍼刺激影響

 索引