改訂にあたって
初版を上梓してから8年がたち,今回,第2版として改訂することになりました.おかげさまで,初版は好評をもって受け入れていただき,9回の増刷を果たしました.この間にも明らかな誤記や,その他さまざまな小修正を行ってきました.
看護系の論文の査読をしていると,記述統計の方法および推測統計の仕組みに対する初歩的な理解が不十分と思われるのに,いきなり多変量解析(とくに回帰分析,分散分析)を実施するものがあります.統計学の初歩的な考え方を知らないために,学術論文を正しく読めないばかりでなく,せっかく時間と労力をかけて行った看護研究が,世に出ることなく終わることもあります.統計解析には歴史に裏打ちされた,一定の順序(方法論)があります.統計学は確かに高等数学に不慣れな人にとっては,難しい部分があると思います.しかし,基本的な原理や考え方を理解するには,必ずしも高度な数学知識は必要ありませんし,そこに割いた時間は,後で何倍にもなって返ってくると思います.
今回の改訂にあたり,推測の仕組みを一つのストーリーとして理解できるようにすることに最大の努力を払いました.これが本書の特徴といってもよいと思います.実際には,推測の原理など知らなくても統計解析ソフトを使えば結果は出てきます.しかし,それでは,自分の分析結果に自信がもてないでしょうし,何よりも統計学を学ぶという楽しみが半減するように思います.基本的な執筆方針は初版と変わっていません.わかりやすい内容だけを選んで説明するなど内容の質を下げることはしていません.全体的な流れやつながりを意識して執筆しています.
以上をふまえて,今回改訂するにあたり重視したのは次の3点です.(1)全体を通じて「量的な看護研究のきほん」(医歯薬出版)と重複する内容は大幅に削除し,より“統計学”に絞った内容としています.(2)章立てを5部構成にし,とくに記述統計と推測統計を分けて配置しました.(3)学習の効率を上げるために相互参照をできるかぎり多くしました.
最後に,いつもお世話になっている医歯薬出版第一出版部の編集担当者の方々に厚くお礼申し上げます.わかりやすい教材にするためのさまざまな工夫にご尽力いただきました.また,図表の作成・文章校正など煩雑な作業の大半はアシスタントの大間敏美さんにお願いいたしました.金城大学看護学部在宅看護学講座の彦聖美教授には,著者が直接指導する機会のあった元同僚の立場から,本文を何度も通読していただき,さまざまなコメントをいただきました.ご協力に感謝申し上げます.また,一人ひとりのお名前を書きあげることはいたしませんが,本書を熱心にお読みくださり,有益なアドバイスをお寄せくださいました同業の先生方にも深くお礼申し上げます. 2016年7月
大木秀一
はじめに
統計学は看護学を含めてあらゆる研究分野,さらには日常生活で使われています.統計による数字の情報は,理論的で客観的な印象を与え,多くの人を信用させます.そのため,逆に,誤った解釈や誤解で数字の情報に惑わされる場合もみられます.統計学の基本的な考え方を知ることで生活のさまざまな場面での視野が広がるのではないかという期待があります.
看護教育の高度化,看護研究の推進やEBN(根拠に基づいた看護)の実践が時代の流れになっている現在,統計学の基本的な知識と最低限度の分析技術の習得は必須の課題となっています.看護統計学とは銘打っていますが,看護学の領域ではまだ看護統計学と呼べるだけの個別に特化した発達は見せていません.これは将来的な課題といえるでしょう.
実際に,統計学を教えたり,研究指導を行っていて強く感じることは,基本的な事項がよく理解できていないのに複雑で難しい分析に手を出しすぎているということです.結果を急ぐあまりに,大切なことを素通りしている感じです.基本的なデータの読み方をしっかりと身につけていれば,データの特徴はかなり鮮明に伝えることができます.
本書は看護系の学部学生,大学院生だけでなく,看護研究を実践・指導する人までも対象にした統計学の入門書です.統計学的な考え方の基本を概観できるような内容にしてあります.これから統計学を学ぶ人には,知識と考え方を身につける役に立つと思います.看護研究で統計を実践したことがある人には,改めて統計学の流れを学ぶ機会となり,統計学をより深く理解し,今までの研究における統計学の位置づけに新たな発見を見いだすことができると思います.
統計学のテキストは本当に数多くあります.実際には,テキストによって内容や項目に大差はありません.しかし,統計学の重要事項と抽象的な考え方をわかりやすく具体的に伝えることが難しいため,難解に思う人や,数式が出てくることで苦手意識だけが先に立つ人も多いと思います.本書を執筆するために,一定の評価を得ている初級から中級レベルのテキストを集中的に読んでみました.専門分野によって強調したい内容にはかなり差があります.また,素晴らしい内容・ハッとさせられるような内容が書かれていても,それが強調されていないため,読者に伝わらないのではと思うことも多くあります.執筆者には当たり前すぎる事実でも,それに気がつくには一定以上の知識レベルが必要だと感じます.
統計学を学ぶことと統計解析手法に慣れることは別のことです.看護系向けのExcelでの分析方法や統計解析ソフト(SPSSなど)の使い方といったテキストは山ほど出ています.手順どおりに進めていけば結果として数値が出てくるハウツウ本は実践の近道のように感じられるかもしれません.一方,看護系の統計学のテキストで基本的な考え方を書いたものはあまり多くはありません.まずは,統計学的な考え方の基本を身につけることが必要だと考えます.基本がしっかりと身につけば,その後の知識の習得は比較的容易ですし,考え方自体は,一生活用することができます.
本書では,統計学の基本的な考え方が理解できるように流れを重視し,なるべく各章ごとに内容が分断されないように意識しました.特に,抽象的で理解がしにくい推測統計の考え方の基本となる部分を,繰り返しできるだけわかりやすく解説しました.しかし,わかりやすさだけに重点を置き内容のレベルを落とすことはしていません.そのため,やや高度な内容に触れている部分もありますので,初読では理解し難い部分もあるかもしれません.統計学の基本となる考え方を習得するためには,やはり最低限の苦労は必要になります.最初は読み飛ばすくらいの気持ちで,とにかく何度か通読して全体的な考え方の流れを理解するようにしてみましょう.
文章は平易をこころがけ,図表を多く用いてイメージからの理解を深められるようにしました.従来のテキストでは数式の列記にとどまることが多い部分を数式が意味する内容の理解を目標にして,できるだけ詳しく解説しています.突然数式が降って湧いてくるような解説は必要最小限にとどめています.高度な数学の知識がなくても理解できるようにしてあります.本来,計算練習問題や実践問題があったほうがよいのかもしれませんが,統計解析ソフトを使えば求められることは省いて,考え方の解説を重視しました.
本書を読んだ後で,統計学的な考え方をもって,健康情報に接したり,研究に取り組めれば本書の目的はある程度は達成されたと思います.統計学の知識は日常生活で活用してこそ意味があるといえます.本書の内容を確実に理解しておけば,その後どのようなステップを踏むにしても比較的習得が楽になるのではないかと期待しています.
最後に,今回の企画の実現にご尽力いただいた医歯薬出版第一出版部の編集担当者の方々に厚くお礼申し上げます.わかりやすい教材にするためにいろいろとご辛労いただきました.また,図表の作成・文章校正など煩雑な作業の大半は山梨大学の大間敏美さんにお願いいたしました.短い執筆期間で出版できましたのもそのご協力のおかげです.感謝申し上げます.
2008年10月
大木秀一
初版を上梓してから8年がたち,今回,第2版として改訂することになりました.おかげさまで,初版は好評をもって受け入れていただき,9回の増刷を果たしました.この間にも明らかな誤記や,その他さまざまな小修正を行ってきました.
看護系の論文の査読をしていると,記述統計の方法および推測統計の仕組みに対する初歩的な理解が不十分と思われるのに,いきなり多変量解析(とくに回帰分析,分散分析)を実施するものがあります.統計学の初歩的な考え方を知らないために,学術論文を正しく読めないばかりでなく,せっかく時間と労力をかけて行った看護研究が,世に出ることなく終わることもあります.統計解析には歴史に裏打ちされた,一定の順序(方法論)があります.統計学は確かに高等数学に不慣れな人にとっては,難しい部分があると思います.しかし,基本的な原理や考え方を理解するには,必ずしも高度な数学知識は必要ありませんし,そこに割いた時間は,後で何倍にもなって返ってくると思います.
今回の改訂にあたり,推測の仕組みを一つのストーリーとして理解できるようにすることに最大の努力を払いました.これが本書の特徴といってもよいと思います.実際には,推測の原理など知らなくても統計解析ソフトを使えば結果は出てきます.しかし,それでは,自分の分析結果に自信がもてないでしょうし,何よりも統計学を学ぶという楽しみが半減するように思います.基本的な執筆方針は初版と変わっていません.わかりやすい内容だけを選んで説明するなど内容の質を下げることはしていません.全体的な流れやつながりを意識して執筆しています.
以上をふまえて,今回改訂するにあたり重視したのは次の3点です.(1)全体を通じて「量的な看護研究のきほん」(医歯薬出版)と重複する内容は大幅に削除し,より“統計学”に絞った内容としています.(2)章立てを5部構成にし,とくに記述統計と推測統計を分けて配置しました.(3)学習の効率を上げるために相互参照をできるかぎり多くしました.
最後に,いつもお世話になっている医歯薬出版第一出版部の編集担当者の方々に厚くお礼申し上げます.わかりやすい教材にするためのさまざまな工夫にご尽力いただきました.また,図表の作成・文章校正など煩雑な作業の大半はアシスタントの大間敏美さんにお願いいたしました.金城大学看護学部在宅看護学講座の彦聖美教授には,著者が直接指導する機会のあった元同僚の立場から,本文を何度も通読していただき,さまざまなコメントをいただきました.ご協力に感謝申し上げます.また,一人ひとりのお名前を書きあげることはいたしませんが,本書を熱心にお読みくださり,有益なアドバイスをお寄せくださいました同業の先生方にも深くお礼申し上げます. 2016年7月
大木秀一
はじめに
統計学は看護学を含めてあらゆる研究分野,さらには日常生活で使われています.統計による数字の情報は,理論的で客観的な印象を与え,多くの人を信用させます.そのため,逆に,誤った解釈や誤解で数字の情報に惑わされる場合もみられます.統計学の基本的な考え方を知ることで生活のさまざまな場面での視野が広がるのではないかという期待があります.
看護教育の高度化,看護研究の推進やEBN(根拠に基づいた看護)の実践が時代の流れになっている現在,統計学の基本的な知識と最低限度の分析技術の習得は必須の課題となっています.看護統計学とは銘打っていますが,看護学の領域ではまだ看護統計学と呼べるだけの個別に特化した発達は見せていません.これは将来的な課題といえるでしょう.
実際に,統計学を教えたり,研究指導を行っていて強く感じることは,基本的な事項がよく理解できていないのに複雑で難しい分析に手を出しすぎているということです.結果を急ぐあまりに,大切なことを素通りしている感じです.基本的なデータの読み方をしっかりと身につけていれば,データの特徴はかなり鮮明に伝えることができます.
本書は看護系の学部学生,大学院生だけでなく,看護研究を実践・指導する人までも対象にした統計学の入門書です.統計学的な考え方の基本を概観できるような内容にしてあります.これから統計学を学ぶ人には,知識と考え方を身につける役に立つと思います.看護研究で統計を実践したことがある人には,改めて統計学の流れを学ぶ機会となり,統計学をより深く理解し,今までの研究における統計学の位置づけに新たな発見を見いだすことができると思います.
統計学のテキストは本当に数多くあります.実際には,テキストによって内容や項目に大差はありません.しかし,統計学の重要事項と抽象的な考え方をわかりやすく具体的に伝えることが難しいため,難解に思う人や,数式が出てくることで苦手意識だけが先に立つ人も多いと思います.本書を執筆するために,一定の評価を得ている初級から中級レベルのテキストを集中的に読んでみました.専門分野によって強調したい内容にはかなり差があります.また,素晴らしい内容・ハッとさせられるような内容が書かれていても,それが強調されていないため,読者に伝わらないのではと思うことも多くあります.執筆者には当たり前すぎる事実でも,それに気がつくには一定以上の知識レベルが必要だと感じます.
統計学を学ぶことと統計解析手法に慣れることは別のことです.看護系向けのExcelでの分析方法や統計解析ソフト(SPSSなど)の使い方といったテキストは山ほど出ています.手順どおりに進めていけば結果として数値が出てくるハウツウ本は実践の近道のように感じられるかもしれません.一方,看護系の統計学のテキストで基本的な考え方を書いたものはあまり多くはありません.まずは,統計学的な考え方の基本を身につけることが必要だと考えます.基本がしっかりと身につけば,その後の知識の習得は比較的容易ですし,考え方自体は,一生活用することができます.
本書では,統計学の基本的な考え方が理解できるように流れを重視し,なるべく各章ごとに内容が分断されないように意識しました.特に,抽象的で理解がしにくい推測統計の考え方の基本となる部分を,繰り返しできるだけわかりやすく解説しました.しかし,わかりやすさだけに重点を置き内容のレベルを落とすことはしていません.そのため,やや高度な内容に触れている部分もありますので,初読では理解し難い部分もあるかもしれません.統計学の基本となる考え方を習得するためには,やはり最低限の苦労は必要になります.最初は読み飛ばすくらいの気持ちで,とにかく何度か通読して全体的な考え方の流れを理解するようにしてみましょう.
文章は平易をこころがけ,図表を多く用いてイメージからの理解を深められるようにしました.従来のテキストでは数式の列記にとどまることが多い部分を数式が意味する内容の理解を目標にして,できるだけ詳しく解説しています.突然数式が降って湧いてくるような解説は必要最小限にとどめています.高度な数学の知識がなくても理解できるようにしてあります.本来,計算練習問題や実践問題があったほうがよいのかもしれませんが,統計解析ソフトを使えば求められることは省いて,考え方の解説を重視しました.
本書を読んだ後で,統計学的な考え方をもって,健康情報に接したり,研究に取り組めれば本書の目的はある程度は達成されたと思います.統計学の知識は日常生活で活用してこそ意味があるといえます.本書の内容を確実に理解しておけば,その後どのようなステップを踏むにしても比較的習得が楽になるのではないかと期待しています.
最後に,今回の企画の実現にご尽力いただいた医歯薬出版第一出版部の編集担当者の方々に厚くお礼申し上げます.わかりやすい教材にするためにいろいろとご辛労いただきました.また,図表の作成・文章校正など煩雑な作業の大半は山梨大学の大間敏美さんにお願いいたしました.短い執筆期間で出版できましたのもそのご協力のおかげです.感謝申し上げます.
2008年10月
大木秀一
改訂にあたって
はじめに
本書の基本構成
(Column)ナイチンゲールと統計学
(Column)ベイズ統計学について
第1部 統計学の基礎
1 統計学とは
統計学ってなんだろう
統計学と数学
統計学の歴史と発展
学問領域ごとの統計学の発展
統計学の学習ポイント
2 基本的な用語とデータについて
本書で使う基本的な用語
データの種類の特徴をつかみましょう
尺度水準とデータの分類
尺度水準
質的データと量的データ
離散データと連続データ
量的データの質的データへの変換
3 記述統計と推測統計の区別
記述統計と推測統計
記述統計とは
推測統計とは
記述統計と推測統計の学習目標
標本あるいは統計量という用語について
データの種類と学習目標
1変数と2変数
第2部 記述統計
4 1変数の記述統計−データの図表化と数値要約
図表化と数値要約によるデータの要約とその特徴
質的データと量的データの要約の概要
質的データの図表化
量的データの図表化
度数分布表の作成手順
ヒストグラムの作成
累積度数や累積相対度数が役立つ場合
階級の個数の設定方法
ヒストグラムから何を読み取るのか
ヒストグラム以外の図示の方法(参考)
分布の特徴を数値要約します
代表値−分布の中心傾向
パーセンタイル(百分位)(参考)
質的データの数値要約(参考)
散布度−ばらつきの指標
数学的な証明(参考)
変動係数−平均値が異なる場合のばらつきの比較の指標
標準偏差の意味
異なる分布の比較
平均値と中央値の数学的な意味(参考)
平均値と標準偏差の提示が適切でない場合
歪度〈わいど〉と尖度〈せんど〉−分布の形状の指標
推測統計につながる重要な考え方
データの線形変換と平均値・分散
標準化と標準得点
度数分布表から平均値と分散を求めます
ヒストグラムで縦軸に何を選べばよいでしょうか
究極のヒストグラム
量的データにおける理論的な分布曲線
5 2変数の記述統計−変数間の関係を探る
2変数を同時に扱うこと
2変数の扱い方
関連・相関・関係
質的2変数の関連
クロス集計
クロス表の基本用語
クロス表の縦と横の変数および相対度数
質的2変数の関連の図示
質的2変数の関連の考え方
クロス表を理解するための独立と関連の例
質的2変数が独立な状態を数式で表します
観測度数と期待度数
クロス表の関連の指標
シンプソンのパラドックス(参考)
クロス集計以前の非合理的な判断
量的2変数の図表化
散布図
相関表
量的2変数の関係の数値要約−相関分析
一般的な式(参考)
対象数や単位に依存しない指標(無名数)(参考)
高校数学の知識で相関係数を理解したい人のために(参考)
量的2変数のやや高度な分析−回帰分析
回帰の意味(参考)
質的データ(名義尺度)と量的データの関係の指標−相関比
相関比のイメージ
統計用語の名称に関する補足(参考)
分散分析
平方和の分解
今後の学習に向けて
第3部 推測統計への準備
6 推測統計を学ぶための準備−確率について
統計学における確率論とは
確率・確率変数・確率分布
確率(probability)
確率変数と確率分布
確率分布
離散型の確率変数の確率分布
連続型の確率変数の確率分布
確率変数の平均値(期待値)と分散
求め方
性質
母集団のモデルになるさまざまな確率分布
離散型の確率分布
連続型の確率分布
生物学的特徴に正規分布を当てはめる理由(参考)
面積95%区間について(補足)
確率変数の和と期待値の性質
確率変数の和
√n法則(参考)
正規分布の再生性
正規分布の再生性の具体例(参考)
二項分布―比率の問題を考える基本
大数の法則と中心極限定理
7 推測統計の基本的な考え方−部分から全体を推測する仕組み
推測統計を学習するにあたって
推測統計に必要な考え方の概要
母集団と標本
母集団に関して(補足)
標本調査が必要になるわけ
有限母集団と無限母集団
母数と統計量
統計学で推測できること
標本の選び方
確率変数としての標本
標本の実現値
母集団をデータの発生装置と考えます
標本誤差
人は標本がばらつくことを無意識に知っています(参考)
母集団の分布と標本データの分布
母集団の分布(母集団分布)
母集団の分布の具体的なイメージ
母集団の分布が連続型の場合のイメージ
母集団の特徴を表す値と推測に使う値
母集団の平均値と分散
標本平均と標本分散
標本分散と不偏分散(補足)
統計量の分布−推測の基本となる最も重要な考え方
母集団分布と標本分布の関係
標本平均の標準誤差−平均値の分布のばらつき
標準偏差と標準誤差
標準誤差の解釈
ばらつきに関する用語の整理
推測の仕組みを考える場合の数学的基本−定数と変数の区別
パラメトリックとノンパラメトリック
パラメトリックな場合
ノンパラメトリックな場合
8 正規母集団の標本分布
正規母集団ないし正規近似による推測統計
正規母集団の特徴
正規母集団の標本平均・標本分散の標本分布
正規母集団の1標本問題−母数推測の4つのパターンと標本分布
パターン1:母分散が既知のときの標本平均の標本分布−母平均の推測
パターン2:母平均が既知のときの標本分散の標本分布−母分散の推測
パターン3:母平均が未知のときの標本分散の標本分布−母分散の推測
パターン4:母分散が未知のときの標本平均の標本分布−母平均の推測
t分布の発見(参考)
正規母集団の標本平均と標本分散の標本分布のまとめ
標本比率の標本分布(二項分布の正規近似の応用)
標準誤差に基づく標本サイズの見積もり
正規母集団の2標本問題
独立な2群の標本平均の差の標本分布(対応がない場合の母平均の差の推測)
母分散が未知で大標本の場合(参考)
正規母集団の標本分散の比の標本分布(F分布)
標準正規分布・χ2分布・t分布・F分布の関係(参考)
正規母集団で対応のある場合の平均値の差(前後比較)
平均値に関する推測のまとめ−標準化と面積95%区間
標本サイズとt値の関係(参考)
さまざまな確率分布(母集団分布と標本分布)の関係
量的な2変数の関係の推測
9 推定と検定を具体的に考えてみる
母集団分布が既知の場合を考えてみる(発想の転換)
問題設定
区間推定−母平均のありそうな区間を求める
検定−母平均160cmが正しいのか確率的に確かめる
推測統計の基本的な考え方のまとめ
現実の標本調査では
推定と検定に向けて
第4部 推測統計(推定と検定)
10 推定−母数の存在する範囲を確率的に推定する
推定とは
点推定と区間推定
点推定−母数のより良い推定量とは
区間推定の基本用語
区間推定の具体的な方法
平均値に関する区間推定に使う1次不等式
面積95%区間から95%信頼区間へ−統計量からみるか母数からみるか
95%信頼区間の意味
正規母集団の母数の区間推定の4パターン
パターン1:母分散が既知のときの母平均の区間推定
パターン2:母平均が既知のときの母分散の区間推定
パターン3:母平均が未知のときの母分散の区間推定
パターン4:母分散が未知のときの母平均の区間推定
母比率の区間推定
2標本問題−母平均値の差の区間推定
母分散が等しい場合
母分散が等しいと仮定できない場合
区間推定の精度の評価
母数の既知と未知と推定精度
標本サイズと推定精度
標本の大きさ(調査対象数)の見積もり方(参考)
11 検定(統計的仮説検定)−仮説の正しさを確率的に判断する
もう一度区間推定と検定ついて
検定の発想−1
検定の発想−2
検定の手順
ステップ1:仮説を立てる(“差なし”仮説と“差あり”仮説)
ステップ2:検定に使う標本統計量(検定統計量)の選択
ステップ3:仮説の正否の判断基準となる確率(有意水準)の決定
ステップ4:実際のデータから検定統計量の実現値を求めます
ステップ5:仮説の判断
有意確率(p値)について
両側検定と片側検定
検定の実際(パラメトリックな場合)
1標本の母数の検定
2標本問題
χ2分布を用いた質的データに対するノンパラメトリックな検定(いわゆるχ2検定)
適合度の検定
4分クロス表の独立性の検定
χ2 (1)の右側5%が4に近い理由(参考)
クロス表の独立性の検定
χ2検定と両側検定・片側検定(補足)
適合度や独立性の検定にχ2分布を利用できるわけ(参考)
順序尺度で表された質的データの関連(参考)
クロス表のセルの度数が少ない場合の問題
多重比較(参考)
検定の本質的な限界−正しく理解するために
検定の非対称性
2種類の過誤−αエラーとβエラー
αエラーとβエラーの記憶の仕方(参考)
検出力分析(発展)
推測統計のまとめ−区間推定と両側検定の類似と相違
統計的な推測における間違いとは
平均値に関する統計量の式の構造を正しく理解しましょう
区間推定と両側検定の結果の解釈
検定の結果と推定の結果の情報量の違い
第5部 まとめ(統計学の理論と実際の調査研究について)
12 統計学の理論と現実の調査研究のギャップを考える
理論と現実のギャップ
推測統計学的な概念の問題
母集団の具体的なイメージをもつ
母集団からの対象の代表性と結果の一般化
母集団の再設定を考える
無限母集団からの無作為抽出とは
標本調査の本質的な意味(参考)
無作為抽出は本当に可能なのだろうか
母集団は厳密には正規分布に従わない
統計解析の前提条件をどこまで考えるか
統計解析の目的を考える
確実な記述統計の重要性
統計学を超えた問題
量的な調査研究のなかでの統計学の位置づけ
実際的な解釈は統計学的な解釈に優先します
統計学で扱える誤差−統計学の限界
道具としての統計学の有用性
統計学の学習目標と今後の学習に向けて
『量的な看護研究のきほん』へ
『基本からわかる看護疫学入門(第2版)』へ
参考文献
索引
はじめに
本書の基本構成
(Column)ナイチンゲールと統計学
(Column)ベイズ統計学について
第1部 統計学の基礎
1 統計学とは
統計学ってなんだろう
統計学と数学
統計学の歴史と発展
学問領域ごとの統計学の発展
統計学の学習ポイント
2 基本的な用語とデータについて
本書で使う基本的な用語
データの種類の特徴をつかみましょう
尺度水準とデータの分類
尺度水準
質的データと量的データ
離散データと連続データ
量的データの質的データへの変換
3 記述統計と推測統計の区別
記述統計と推測統計
記述統計とは
推測統計とは
記述統計と推測統計の学習目標
標本あるいは統計量という用語について
データの種類と学習目標
1変数と2変数
第2部 記述統計
4 1変数の記述統計−データの図表化と数値要約
図表化と数値要約によるデータの要約とその特徴
質的データと量的データの要約の概要
質的データの図表化
量的データの図表化
度数分布表の作成手順
ヒストグラムの作成
累積度数や累積相対度数が役立つ場合
階級の個数の設定方法
ヒストグラムから何を読み取るのか
ヒストグラム以外の図示の方法(参考)
分布の特徴を数値要約します
代表値−分布の中心傾向
パーセンタイル(百分位)(参考)
質的データの数値要約(参考)
散布度−ばらつきの指標
数学的な証明(参考)
変動係数−平均値が異なる場合のばらつきの比較の指標
標準偏差の意味
異なる分布の比較
平均値と中央値の数学的な意味(参考)
平均値と標準偏差の提示が適切でない場合
歪度〈わいど〉と尖度〈せんど〉−分布の形状の指標
推測統計につながる重要な考え方
データの線形変換と平均値・分散
標準化と標準得点
度数分布表から平均値と分散を求めます
ヒストグラムで縦軸に何を選べばよいでしょうか
究極のヒストグラム
量的データにおける理論的な分布曲線
5 2変数の記述統計−変数間の関係を探る
2変数を同時に扱うこと
2変数の扱い方
関連・相関・関係
質的2変数の関連
クロス集計
クロス表の基本用語
クロス表の縦と横の変数および相対度数
質的2変数の関連の図示
質的2変数の関連の考え方
クロス表を理解するための独立と関連の例
質的2変数が独立な状態を数式で表します
観測度数と期待度数
クロス表の関連の指標
シンプソンのパラドックス(参考)
クロス集計以前の非合理的な判断
量的2変数の図表化
散布図
相関表
量的2変数の関係の数値要約−相関分析
一般的な式(参考)
対象数や単位に依存しない指標(無名数)(参考)
高校数学の知識で相関係数を理解したい人のために(参考)
量的2変数のやや高度な分析−回帰分析
回帰の意味(参考)
質的データ(名義尺度)と量的データの関係の指標−相関比
相関比のイメージ
統計用語の名称に関する補足(参考)
分散分析
平方和の分解
今後の学習に向けて
第3部 推測統計への準備
6 推測統計を学ぶための準備−確率について
統計学における確率論とは
確率・確率変数・確率分布
確率(probability)
確率変数と確率分布
確率分布
離散型の確率変数の確率分布
連続型の確率変数の確率分布
確率変数の平均値(期待値)と分散
求め方
性質
母集団のモデルになるさまざまな確率分布
離散型の確率分布
連続型の確率分布
生物学的特徴に正規分布を当てはめる理由(参考)
面積95%区間について(補足)
確率変数の和と期待値の性質
確率変数の和
√n法則(参考)
正規分布の再生性
正規分布の再生性の具体例(参考)
二項分布―比率の問題を考える基本
大数の法則と中心極限定理
7 推測統計の基本的な考え方−部分から全体を推測する仕組み
推測統計を学習するにあたって
推測統計に必要な考え方の概要
母集団と標本
母集団に関して(補足)
標本調査が必要になるわけ
有限母集団と無限母集団
母数と統計量
統計学で推測できること
標本の選び方
確率変数としての標本
標本の実現値
母集団をデータの発生装置と考えます
標本誤差
人は標本がばらつくことを無意識に知っています(参考)
母集団の分布と標本データの分布
母集団の分布(母集団分布)
母集団の分布の具体的なイメージ
母集団の分布が連続型の場合のイメージ
母集団の特徴を表す値と推測に使う値
母集団の平均値と分散
標本平均と標本分散
標本分散と不偏分散(補足)
統計量の分布−推測の基本となる最も重要な考え方
母集団分布と標本分布の関係
標本平均の標準誤差−平均値の分布のばらつき
標準偏差と標準誤差
標準誤差の解釈
ばらつきに関する用語の整理
推測の仕組みを考える場合の数学的基本−定数と変数の区別
パラメトリックとノンパラメトリック
パラメトリックな場合
ノンパラメトリックな場合
8 正規母集団の標本分布
正規母集団ないし正規近似による推測統計
正規母集団の特徴
正規母集団の標本平均・標本分散の標本分布
正規母集団の1標本問題−母数推測の4つのパターンと標本分布
パターン1:母分散が既知のときの標本平均の標本分布−母平均の推測
パターン2:母平均が既知のときの標本分散の標本分布−母分散の推測
パターン3:母平均が未知のときの標本分散の標本分布−母分散の推測
パターン4:母分散が未知のときの標本平均の標本分布−母平均の推測
t分布の発見(参考)
正規母集団の標本平均と標本分散の標本分布のまとめ
標本比率の標本分布(二項分布の正規近似の応用)
標準誤差に基づく標本サイズの見積もり
正規母集団の2標本問題
独立な2群の標本平均の差の標本分布(対応がない場合の母平均の差の推測)
母分散が未知で大標本の場合(参考)
正規母集団の標本分散の比の標本分布(F分布)
標準正規分布・χ2分布・t分布・F分布の関係(参考)
正規母集団で対応のある場合の平均値の差(前後比較)
平均値に関する推測のまとめ−標準化と面積95%区間
標本サイズとt値の関係(参考)
さまざまな確率分布(母集団分布と標本分布)の関係
量的な2変数の関係の推測
9 推定と検定を具体的に考えてみる
母集団分布が既知の場合を考えてみる(発想の転換)
問題設定
区間推定−母平均のありそうな区間を求める
検定−母平均160cmが正しいのか確率的に確かめる
推測統計の基本的な考え方のまとめ
現実の標本調査では
推定と検定に向けて
第4部 推測統計(推定と検定)
10 推定−母数の存在する範囲を確率的に推定する
推定とは
点推定と区間推定
点推定−母数のより良い推定量とは
区間推定の基本用語
区間推定の具体的な方法
平均値に関する区間推定に使う1次不等式
面積95%区間から95%信頼区間へ−統計量からみるか母数からみるか
95%信頼区間の意味
正規母集団の母数の区間推定の4パターン
パターン1:母分散が既知のときの母平均の区間推定
パターン2:母平均が既知のときの母分散の区間推定
パターン3:母平均が未知のときの母分散の区間推定
パターン4:母分散が未知のときの母平均の区間推定
母比率の区間推定
2標本問題−母平均値の差の区間推定
母分散が等しい場合
母分散が等しいと仮定できない場合
区間推定の精度の評価
母数の既知と未知と推定精度
標本サイズと推定精度
標本の大きさ(調査対象数)の見積もり方(参考)
11 検定(統計的仮説検定)−仮説の正しさを確率的に判断する
もう一度区間推定と検定ついて
検定の発想−1
検定の発想−2
検定の手順
ステップ1:仮説を立てる(“差なし”仮説と“差あり”仮説)
ステップ2:検定に使う標本統計量(検定統計量)の選択
ステップ3:仮説の正否の判断基準となる確率(有意水準)の決定
ステップ4:実際のデータから検定統計量の実現値を求めます
ステップ5:仮説の判断
有意確率(p値)について
両側検定と片側検定
検定の実際(パラメトリックな場合)
1標本の母数の検定
2標本問題
χ2分布を用いた質的データに対するノンパラメトリックな検定(いわゆるχ2検定)
適合度の検定
4分クロス表の独立性の検定
χ2 (1)の右側5%が4に近い理由(参考)
クロス表の独立性の検定
χ2検定と両側検定・片側検定(補足)
適合度や独立性の検定にχ2分布を利用できるわけ(参考)
順序尺度で表された質的データの関連(参考)
クロス表のセルの度数が少ない場合の問題
多重比較(参考)
検定の本質的な限界−正しく理解するために
検定の非対称性
2種類の過誤−αエラーとβエラー
αエラーとβエラーの記憶の仕方(参考)
検出力分析(発展)
推測統計のまとめ−区間推定と両側検定の類似と相違
統計的な推測における間違いとは
平均値に関する統計量の式の構造を正しく理解しましょう
区間推定と両側検定の結果の解釈
検定の結果と推定の結果の情報量の違い
第5部 まとめ(統計学の理論と実際の調査研究について)
12 統計学の理論と現実の調査研究のギャップを考える
理論と現実のギャップ
推測統計学的な概念の問題
母集団の具体的なイメージをもつ
母集団からの対象の代表性と結果の一般化
母集団の再設定を考える
無限母集団からの無作為抽出とは
標本調査の本質的な意味(参考)
無作為抽出は本当に可能なのだろうか
母集団は厳密には正規分布に従わない
統計解析の前提条件をどこまで考えるか
統計解析の目的を考える
確実な記述統計の重要性
統計学を超えた問題
量的な調査研究のなかでの統計学の位置づけ
実際的な解釈は統計学的な解釈に優先します
統計学で扱える誤差−統計学の限界
道具としての統計学の有用性
統計学の学習目標と今後の学習に向けて
『量的な看護研究のきほん』へ
『基本からわかる看護疫学入門(第2版)』へ
参考文献
索引