やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序にかえて
 「第24回糖尿病Up-Date賢島セミナー」は,2007年8月25〜26日,志摩観光ホテルにて開催されました.
 糖尿病が世界的に増加し,現在2億5,000万人,2025年には3億8,000万人に達すると予測される状況のなか,2006年12月20日,国際糖尿病連合(IDF)の働きかけにより,世界を挙げての糖尿病対策が国連で決議採択されました.
 これを受けて,わが国においても,糖尿病の啓発事業および治療活動の推進,さらには発展途上国への支援が決まりました.ニューヨークのエンパイアステートビルを,IDFがテーマカラーであるブルーにライトアップするのと連動し,2007年11月14日に東京タワーをブルーにライトアップしました.
 数々の対策が講じられているものの,厚生労働省による国民栄養調査の中間報告では,わが国の糖尿病患者数は800万人を超えたと推定されています.また,癌・脳血管障害・心筋梗塞・糖尿病が国により4大疾病と定められ,医療制度改革の反映法が検討されています.各都道府県毎に計画を策定するわけですが,糖尿病では地域連携パスを用いた地域完結型の医療が重要になるでしょう.その際,連携する同士に一定のコンセンサスがあれば,非常にスムーズにいくと信じております.
 本書「糖尿病UP-DATE賢島セミナー」相当の知識があれば,糖尿病の診療の底上げが望めます.本年度は「即応用可能な日常診療の実際―Up dateな糖尿病診療へのナビゲーション」をテーマとしており,特に診療に資するところが大きいでしょう.
 本セミナーでの活発な討論,そして本記録集にまとめられた内容が,皆様方の日々の診療に役立つことを願って,序文にかえさせていただきます.
 2008年8月
 関西電力病院院長 清野 裕
 序にかえて(清野 裕)
セミナー1 糖尿病へ検査と指標からアプローチ
 はじめに(清野 裕)
 講演 糖尿病とIGTの診断から管理・治療へのフローチャート(伊藤千賀子)
 発言1 1型と2型糖尿病診断マーカーとC-ペプチド測定の意義(内潟安子)
 発言2 HbA1c,グリコアルブミン,1,5-AGの効果的活用と限界(山内俊一)
 発言3 インスリン抵抗性の簡易診断法と限界(石塚達夫)
 総合討論
 おわりに(清野 裕)
症例検討セミナー
 困った症例
  症例提示(傍島裕司)
  症例検討コメンテーター(清野 裕・松岡健平)
  司会(豊田隆謙)
セミナー2 2型糖尿病へ治療薬からアプローチ
 はじめに(堀田 饒)
 講演 2型糖尿病の管理・治療の基本から治療薬選択へのフローチャート(荒木栄一)
 発言1 インスリン抵抗性改善薬の対象選択と効果の限界(戸邉一之)
 発言2 2型糖尿病へのインスリン製剤の導入と効果的な使い方(加来浩平)
 発言3 インスリン製剤と経口血糖降下薬の効果的な併用療法(吉岡成人)
 総合討論
 おわりに(堀田 饒)
Dinner Speech
 糖尿病性腎症からみた自分史(吉川隆一)
セミナー3 糖尿病性合併症へ診断と治療からアプローチ
 はじめに(南條輝志男)
 講演 降圧薬からみた糖尿病性合併症の管理・治療へのイノベーション(羽田勝計)
 発言1 外来でもできる糖尿病性神経障害の診断法(中村二郎)
 発言2 外来でもできる糖尿病性腎症の診断と管理指標(古家大祐)
 発言3 動脈硬化症診断の最近の進歩(河村孝彦)
 総合討論
 おわりに(南條輝志男)
Topics
 EDICスタディーに学ぶ血管合併症の管理・治療(濱田洋司)
鼎談
 糖尿病予防のための戦略(赤沼安夫(司会)・豊田隆謙・上村伯人)

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