序
クリティカルケア領域の認定看護師は,救急看護認定看護師824人,集中ケア認定看護師845人,新生児集中ケア認定看護師316人と年々増加しており,認定看護師の中でもクリティカルケア領域の占める割合が多い.一方,急性・重症患者看護専門看護師も2005年以来年々増加し,現在114人となっている(日本看護協会,2013年8月).また,急性・重症患者看護専門看護師を養成する教育課程は2013年現在21課程あり,今後も増加の見込みである.近年のクリティカルケア領域での認定看護師と専門看護師の増加は,ケアの受け手である患者や家族からの看護要請の高さを物語っているように思われる.
さらにクリティカルケア領域に特化した学会においては,最も長い歴史をもつ日本救急看護学会,10年を迎えた日本クリティカルケア看護学会,そして日本集中治療医学会など,会員数の増加や幅広い研究教育活動など,いずれも活発に行われている.
本書は,このような背景を受けて,クリティカルケア領域において看護実践を担う看護師や,これからめざそうとしている看護学生に,クリティカルケア領域における基本的かつ臨床的・実践的な看護知識を体系的に解説する目的でつくられた.本書の執筆者17人のうち12人は,現在,クリティカルケア領域の第一線で熟練看護師として活躍中であり,より臨床的で実践的な内容となっている.
本書の第1章ではクリティカルケア看護の基礎として,クリティカルケア看護の特徴,クリティカルケア領域で用いられる中範囲理論,家族看護,そして倫理,安全などを取り上げた.第2章では,さまざまなクリティカルケア場面における看護として,救急治療,集中治療,周手術期,そしてリエゾン精神科領域における看護を取り上げた.第3章では,クリティカルな状態にある患者の主な病態とその看護ケアとして,循環器系,呼吸器系,脳神経系,消化器系,代謝・内分泌系,外傷,熱傷,急性薬物中毒を取り上げた.
本書のいずれの箇所も,平易な表現で,極力わかりやすく読者である看護師や看護学生の立場になって解説することを,執筆者一同で心がけたつもりである.本書が基礎から各論までを網羅することができたことは,本書1冊をもつことで現場の看護師が困ることがないように,看護学生がいつでもすぐに調べられるようにと考えて意図した結果である.仮に読者諸氏にわかりづらい箇所や理解できない箇所があった場合は,編集責任者が課題として改善しなければならない.どうか問題点・改善点をお寄せいただければと願う.
最後に本書の刊行に尽力いただいた医歯薬出版株式会社,また編集者としての任を最初から最後まで粘り強く丁寧に担っていただいたニイ編集室の新居功三氏に,この場を借りて御礼申し上げる.この努力のおかげで一貫性のある編集が行え,そして本書が日の目を見ることができたことに,心より御礼申し上げる.
2013年9月
編集を代表して 黒田裕子
クリティカルケア領域の認定看護師は,救急看護認定看護師824人,集中ケア認定看護師845人,新生児集中ケア認定看護師316人と年々増加しており,認定看護師の中でもクリティカルケア領域の占める割合が多い.一方,急性・重症患者看護専門看護師も2005年以来年々増加し,現在114人となっている(日本看護協会,2013年8月).また,急性・重症患者看護専門看護師を養成する教育課程は2013年現在21課程あり,今後も増加の見込みである.近年のクリティカルケア領域での認定看護師と専門看護師の増加は,ケアの受け手である患者や家族からの看護要請の高さを物語っているように思われる.
さらにクリティカルケア領域に特化した学会においては,最も長い歴史をもつ日本救急看護学会,10年を迎えた日本クリティカルケア看護学会,そして日本集中治療医学会など,会員数の増加や幅広い研究教育活動など,いずれも活発に行われている.
本書は,このような背景を受けて,クリティカルケア領域において看護実践を担う看護師や,これからめざそうとしている看護学生に,クリティカルケア領域における基本的かつ臨床的・実践的な看護知識を体系的に解説する目的でつくられた.本書の執筆者17人のうち12人は,現在,クリティカルケア領域の第一線で熟練看護師として活躍中であり,より臨床的で実践的な内容となっている.
本書の第1章ではクリティカルケア看護の基礎として,クリティカルケア看護の特徴,クリティカルケア領域で用いられる中範囲理論,家族看護,そして倫理,安全などを取り上げた.第2章では,さまざまなクリティカルケア場面における看護として,救急治療,集中治療,周手術期,そしてリエゾン精神科領域における看護を取り上げた.第3章では,クリティカルな状態にある患者の主な病態とその看護ケアとして,循環器系,呼吸器系,脳神経系,消化器系,代謝・内分泌系,外傷,熱傷,急性薬物中毒を取り上げた.
本書のいずれの箇所も,平易な表現で,極力わかりやすく読者である看護師や看護学生の立場になって解説することを,執筆者一同で心がけたつもりである.本書が基礎から各論までを網羅することができたことは,本書1冊をもつことで現場の看護師が困ることがないように,看護学生がいつでもすぐに調べられるようにと考えて意図した結果である.仮に読者諸氏にわかりづらい箇所や理解できない箇所があった場合は,編集責任者が課題として改善しなければならない.どうか問題点・改善点をお寄せいただければと願う.
最後に本書の刊行に尽力いただいた医歯薬出版株式会社,また編集者としての任を最初から最後まで粘り強く丁寧に担っていただいたニイ編集室の新居功三氏に,この場を借りて御礼申し上げる.この努力のおかげで一貫性のある編集が行え,そして本書が日の目を見ることができたことに,心より御礼申し上げる.
2013年9月
編集を代表して 黒田裕子
第1章 クリティカルケア看護の基礎
1 クリティカルケア看護の特徴(黒田裕子)
クリティカルケア看護とは
クリティカルケア看護の対象
クリティカルケア看護師の役割
2 クリティカルケア領域で用いられる中範囲理論(黒田裕子)
危機理論
悲嘆理論
ストレス・コーピング理論
3 クリティカルケア領域における家族看護(福田和明)
家族理論
生命危機状態にある患者の家族
終末期にある患者の家族
臓器提供する患者の家族
4 クリティカルケア看護と倫理(丸谷幸子,明石惠子)
患者の権利と擁護
インフォームド・コンセント
臓器移植
5 クリティカルケア看護と安全(明石惠子,丸谷幸子)
医療事故とその予防
感染症とその予防
第2章 さまざまなクリティカル場面における看護
1 救急治療の場における看護(後藤順一)
トリアージ
プレホスピタルケア
2 集中治療の場における看護(榑松久美子)
生体侵襲と生体反応
3 周手術期の看護(中川ひろみ)
手術侵襲
手術部位感染
術後合併症:褥瘡
術後合併症:関節拘縮
ドレーン管理
4 リエゾン精神科領域における看護(白井教子)
患者が抱える心理的・社会的問題
自殺
せん妄
第3章 クリティカルな状態にある患者の主な病態とその看護ケア
1 循環器系(中谷美紀子)
急性冠症候群(ACS)の基礎知識
急性冠症候群(ACS)の患者の看護
(1)救急搬送,トリアージから初療室入室まで
(2)PCI実施からCCU退室まで
2 呼吸器系(西山久美江)
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の基礎知識
ウィーニングの基礎知識
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の患者の看護
(1)呼吸状態の悪化からウィーニングまで
(2)ウィーニング開始から抜管まで
3 脳神経系(林みよ子)
くも膜下出血の基礎知識
くも膜下出血の患者の看護
(1)救急搬送から根治術まで
(2)術後の観察
(3)脳血管攣縮期
4 消化器系(榊 由里,白川睦美,志村知子)
イレウスの基礎知識
イレウスの患者の看護:救急搬送から手術まで
(1)救急搬送から手術まで
(2)緊急手術後
5 代謝・内分泌系(西村聖子)
糖尿病ケトアシドーシスの基礎知識
糖尿病ケトアシドーシスの患者の看護
(1)救急搬送から集中治療室入室まで
(2)集中治療室入室から意識回復まで
(3)意識回復から集中治療室退室まで
6 外傷(浅香えみ子)
外傷の基礎知識
外傷患者の看護
(1)外傷患者の搬入まで
(2)外傷患者の搬入から初期治療まで
(3)骨・軟部組織の整復・再建後の急性期離脱後
7 熱傷(浅香えみ子)
熱傷の基礎知識
熱傷患者の看護
(1)受傷からリフィリング期まで(熱傷第1期:ショック期)
(2)リフィリング期(熱傷第2期)
(3)リフィリング期終了から熱傷創の皮膚被覆まで(熱傷第3期:感染期)
8 急性薬物中毒(川谷陽子)
アセトアミノフェン中毒の基礎知識
アセトアミノフェン中毒患者の看護
(1)救急搬送から初期対応まで
(2)確定診断から集中治療
索引
本書に出てくる用語の整理……204 本書に出てくる略語
1 クリティカルケア看護の特徴(黒田裕子)
クリティカルケア看護とは
クリティカルケア看護の対象
クリティカルケア看護師の役割
2 クリティカルケア領域で用いられる中範囲理論(黒田裕子)
危機理論
悲嘆理論
ストレス・コーピング理論
3 クリティカルケア領域における家族看護(福田和明)
家族理論
生命危機状態にある患者の家族
終末期にある患者の家族
臓器提供する患者の家族
4 クリティカルケア看護と倫理(丸谷幸子,明石惠子)
患者の権利と擁護
インフォームド・コンセント
臓器移植
5 クリティカルケア看護と安全(明石惠子,丸谷幸子)
医療事故とその予防
感染症とその予防
第2章 さまざまなクリティカル場面における看護
1 救急治療の場における看護(後藤順一)
トリアージ
プレホスピタルケア
2 集中治療の場における看護(榑松久美子)
生体侵襲と生体反応
3 周手術期の看護(中川ひろみ)
手術侵襲
手術部位感染
術後合併症:褥瘡
術後合併症:関節拘縮
ドレーン管理
4 リエゾン精神科領域における看護(白井教子)
患者が抱える心理的・社会的問題
自殺
せん妄
第3章 クリティカルな状態にある患者の主な病態とその看護ケア
1 循環器系(中谷美紀子)
急性冠症候群(ACS)の基礎知識
急性冠症候群(ACS)の患者の看護
(1)救急搬送,トリアージから初療室入室まで
(2)PCI実施からCCU退室まで
2 呼吸器系(西山久美江)
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の基礎知識
ウィーニングの基礎知識
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の患者の看護
(1)呼吸状態の悪化からウィーニングまで
(2)ウィーニング開始から抜管まで
3 脳神経系(林みよ子)
くも膜下出血の基礎知識
くも膜下出血の患者の看護
(1)救急搬送から根治術まで
(2)術後の観察
(3)脳血管攣縮期
4 消化器系(榊 由里,白川睦美,志村知子)
イレウスの基礎知識
イレウスの患者の看護:救急搬送から手術まで
(1)救急搬送から手術まで
(2)緊急手術後
5 代謝・内分泌系(西村聖子)
糖尿病ケトアシドーシスの基礎知識
糖尿病ケトアシドーシスの患者の看護
(1)救急搬送から集中治療室入室まで
(2)集中治療室入室から意識回復まで
(3)意識回復から集中治療室退室まで
6 外傷(浅香えみ子)
外傷の基礎知識
外傷患者の看護
(1)外傷患者の搬入まで
(2)外傷患者の搬入から初期治療まで
(3)骨・軟部組織の整復・再建後の急性期離脱後
7 熱傷(浅香えみ子)
熱傷の基礎知識
熱傷患者の看護
(1)受傷からリフィリング期まで(熱傷第1期:ショック期)
(2)リフィリング期(熱傷第2期)
(3)リフィリング期終了から熱傷創の皮膚被覆まで(熱傷第3期:感染期)
8 急性薬物中毒(川谷陽子)
アセトアミノフェン中毒の基礎知識
アセトアミノフェン中毒患者の看護
(1)救急搬送から初期対応まで
(2)確定診断から集中治療
索引
本書に出てくる用語の整理……204 本書に出てくる略語