第2版の序
本書は,平成2年のカリキュラム改正による学生の実習時間の短縮をいかに教育方法や実習内容を充実させることにより克服していくかということを考え,平成6年に初版を出版いたしました.全体の構成をすべてナーシングプロセスに沿った組み立てにしたことに関しては,当時,皆様から多くのご指導,ご意見をいただきました.なかには,厳しいご指摘もございました.しかし,初版出版から現在までのあいだに,看護の進歩はめざましく,看護判断・看護診断に基づく看護実践をさらに重視する方向で進んでおります.その結果,本書の構成は現在では違和感のないものとなり,定着してきました.そういう意味では,本書が発行された12年前には,かなり画期的な教科書であったのではないかと思います.
今回,第2版の出版にあたり,これまでの多くの読者の皆様方の貴重なご意見等を参考にさせていただきました.初版当初からの全体の構成やその考え方・ねらいは一貫しており,今回の改訂でも変更はございませんが,できる限り最新の資料を加え,さらに看護判断したことから看護の実際(援助)につなげやすいように構成を一部変えました.また援助内容を初版よりもさらに具体的に掲載して,周産期対象の実習時間が短縮化している中で,少しでも本書から看護の実際がイメージしやすくなるようにいたしました.さらに「分娩期の看護」の部分では,助産課程を統合カリキュラムで学習している学生にとっても参考になるよう詳細に記載しています.
また内容のみならず,自己学習を助けるべく,ポイントがわかる小見出しやアセスメントの一覧表といった,読みやすく・わかりやすい点は前版を引きつぎ,今回改訂ではキーワードを追加し,図表も見やすく工夫しました.調べたいことがすぐに見つかるよう,もくじも索引も詳細にしてあります.
以上のような主旨で改訂した本書を,日頃の講義,実践の場や自己学習において幅広くご使用いただけることと願っています.
最後に執筆を快くお引き受けいただけました先生方,出版にあたり支えていただきました医歯薬出版編集部に厚く感謝いたします.
2006年12月
編者
序文
平成2年のカリキュラム改正により,学生の臨床実習時間はさらに短縮され,今まで以上に効果的な実習内容と母性看護学の知識の整理が学生に求められている.また,学習した知識を看護実践していくときに,統合させる能力が必要であることも強く要求される.
本書はその要求にこたえようと母性看護の実践に,即,役立つことを期待して,母性看護学各論を「妊娠・分娩」,「産褥・新生児」に分け,全体の構成をナーシングプロセスに沿って編集することを考えた.本書はその「妊娠・分娩」編である.
本書の特徴は,妊娠・分娩経過を判断するために必要な情報をもとに,看護の視点からいかに総合的に判断していくか,その実際にポイントを置いて書かれているのが,他書には見られない特徴である.とくに妊婦の健康状態のアセスメント,産婦のアセスメントは総計60ページに及ぶ簡潔な表にまとめ,アセスメント項目,判断基準/視点,解釈・分析・統合,介入が必要な状況が一目瞭然に理解できるように工夫してある.また,妊娠・分娩経過を,「正常・異常」という概念でとらえるのではなく,「生理的な過程」という概念でとらえて全体を構成した.よりよい経過や適応をめざして援助するにあたり,アセスメントの結果として,看護の対象の学習ニーズや予測される問題をあげたことも,本書の特徴といえる.
その他,看護学生にとってイメージ困難な分娩については,より詳細に記述することによって分娩介助はできなくても,知識としてもち,それを産褥期の援助に生かしていけるようにと考えた.また,とくに援助技術については,実践に生かせるように具体的で実際的であることを意識したつもりである.
母性についての考え方も少しずつ変化し,母子関係だけではなく父子関係や家族関係の研究も行われるようになってきている現在である.妊娠期における母親以外の家族への働きかけも必要であり,妊娠・分娩経過を家族の問題として取り組んでいけるように援助していくこともこれからの母性看護ではとくに意識してほしいと考えている.
このような内容とするために,執筆するにあたっては,生理学的な内容や病理学的な内容も含めて,すべて看護婦・助産婦によって執筆したいと考えた.そうすることによって,母性看護を学ぶ学生に必要な内容にのみ焦点をあてることができたのではないかと考えている.
本書が,看護学生のテキストみならず,助産婦学生・臨床の看護婦にもぜひご利用いただけることを願って止みません.
1994年9月
編者
本書は,平成2年のカリキュラム改正による学生の実習時間の短縮をいかに教育方法や実習内容を充実させることにより克服していくかということを考え,平成6年に初版を出版いたしました.全体の構成をすべてナーシングプロセスに沿った組み立てにしたことに関しては,当時,皆様から多くのご指導,ご意見をいただきました.なかには,厳しいご指摘もございました.しかし,初版出版から現在までのあいだに,看護の進歩はめざましく,看護判断・看護診断に基づく看護実践をさらに重視する方向で進んでおります.その結果,本書の構成は現在では違和感のないものとなり,定着してきました.そういう意味では,本書が発行された12年前には,かなり画期的な教科書であったのではないかと思います.
今回,第2版の出版にあたり,これまでの多くの読者の皆様方の貴重なご意見等を参考にさせていただきました.初版当初からの全体の構成やその考え方・ねらいは一貫しており,今回の改訂でも変更はございませんが,できる限り最新の資料を加え,さらに看護判断したことから看護の実際(援助)につなげやすいように構成を一部変えました.また援助内容を初版よりもさらに具体的に掲載して,周産期対象の実習時間が短縮化している中で,少しでも本書から看護の実際がイメージしやすくなるようにいたしました.さらに「分娩期の看護」の部分では,助産課程を統合カリキュラムで学習している学生にとっても参考になるよう詳細に記載しています.
また内容のみならず,自己学習を助けるべく,ポイントがわかる小見出しやアセスメントの一覧表といった,読みやすく・わかりやすい点は前版を引きつぎ,今回改訂ではキーワードを追加し,図表も見やすく工夫しました.調べたいことがすぐに見つかるよう,もくじも索引も詳細にしてあります.
以上のような主旨で改訂した本書を,日頃の講義,実践の場や自己学習において幅広くご使用いただけることと願っています.
最後に執筆を快くお引き受けいただけました先生方,出版にあたり支えていただきました医歯薬出版編集部に厚く感謝いたします.
2006年12月
編者
序文
平成2年のカリキュラム改正により,学生の臨床実習時間はさらに短縮され,今まで以上に効果的な実習内容と母性看護学の知識の整理が学生に求められている.また,学習した知識を看護実践していくときに,統合させる能力が必要であることも強く要求される.
本書はその要求にこたえようと母性看護の実践に,即,役立つことを期待して,母性看護学各論を「妊娠・分娩」,「産褥・新生児」に分け,全体の構成をナーシングプロセスに沿って編集することを考えた.本書はその「妊娠・分娩」編である.
本書の特徴は,妊娠・分娩経過を判断するために必要な情報をもとに,看護の視点からいかに総合的に判断していくか,その実際にポイントを置いて書かれているのが,他書には見られない特徴である.とくに妊婦の健康状態のアセスメント,産婦のアセスメントは総計60ページに及ぶ簡潔な表にまとめ,アセスメント項目,判断基準/視点,解釈・分析・統合,介入が必要な状況が一目瞭然に理解できるように工夫してある.また,妊娠・分娩経過を,「正常・異常」という概念でとらえるのではなく,「生理的な過程」という概念でとらえて全体を構成した.よりよい経過や適応をめざして援助するにあたり,アセスメントの結果として,看護の対象の学習ニーズや予測される問題をあげたことも,本書の特徴といえる.
その他,看護学生にとってイメージ困難な分娩については,より詳細に記述することによって分娩介助はできなくても,知識としてもち,それを産褥期の援助に生かしていけるようにと考えた.また,とくに援助技術については,実践に生かせるように具体的で実際的であることを意識したつもりである.
母性についての考え方も少しずつ変化し,母子関係だけではなく父子関係や家族関係の研究も行われるようになってきている現在である.妊娠期における母親以外の家族への働きかけも必要であり,妊娠・分娩経過を家族の問題として取り組んでいけるように援助していくこともこれからの母性看護ではとくに意識してほしいと考えている.
このような内容とするために,執筆するにあたっては,生理学的な内容や病理学的な内容も含めて,すべて看護婦・助産婦によって執筆したいと考えた.そうすることによって,母性看護を学ぶ学生に必要な内容にのみ焦点をあてることができたのではないかと考えている.
本書が,看護学生のテキストみならず,助産婦学生・臨床の看護婦にもぜひご利用いただけることを願って止みません.
1994年9月
編者
I.妊娠期の看護
I-1 妊娠経過の判断に必要な情報
1.情報を得るために必要な知識
1 妊娠の成立(東野)
妊娠の成立とは
2 妊娠成立の診断(森)
1)妊娠性変化の特徴――女性自身の知覚する身体的変化
月経停止 腟分泌物の量や性状の変化 嘔気・嘔吐(つわり) 尿意頻数
2)生殖器にみられる妊娠性変化
乳房の変化 外陰の変化 腟・子宮の変化
3)妊娠維持の機構や胎児存在を示す徴候
基礎体温高温相の20日以上の持続 免疫学的妊娠反応の陽性化(hCGの検出) 超音波診断法による胎嚢・胎児心拍動・胎児心拍音の確認
3 妊娠による母体の変化(東野)
1)妊娠時期
妊娠持続期間 妊娠時期の表現法 妊娠期間の分け方
2)妊娠時期に応じた性器の変化
子宮の変化 卵巣の変化 腟の変化 外陰部の変化 乳房の変化
3)妊娠に伴う全身の変化
内分泌系の変化 筋骨格系の変化 循環器系および血液の変化 呼吸器系の変化 消化器系の変化 泌尿器系の変化 代謝の変化 体温の変化 体重の変化 皮膚の変化
4 妊娠による生理的ニーズの変化(東野)
1)呼吸
2)栄養
食事の基本的要素とその機能 体液平衡の変化
3)排泄
腸の蠕動運動の抑制 子宮の膀胱への圧迫 皮膚や肺からの老廃物の排泄
4)ボディメカニクス(身体力学)―姿勢と運動
姿勢の変化 運動の必要性
5)休息・睡眠ニーズの亢進
6)身体の清潔ニーズの増大
7)適切な衣類とその着脱
5 妊娠期の心理的特性(東野)
妊娠期は危機が起こる可能性が増大 内分泌環境の変化は複雑な心理的変化を伴う
1)妊娠初期(第2〜4月)の情緒的変化
気分の変動 食欲・性欲の変化
2)妊娠中期(第5〜7月)の情緒的変化
自己陶酔的な状態 内向性と消極性 受容的傾向
3)妊娠末期(第8〜10月)の情緒的変化
ボディ・イメージの変化 内向性の増長 分娩接近の予期
4)妊婦の情緒的変化がもたらす夫と子どもたちへの影響
5)母らしさの発達
6 母児の健康や妊娠への適応に影響を及ぼす要因(東野)
1)生物学的要因
年齢,体格(身長・体重)の影響 家族歴(遺伝性疾患,一般的健康状態)の影響 既往歴がある場合の影響 月経歴,生殖に関する既往(妊娠回数,妊娠・分娩の異常など)の影響 栄養と食生活の影響 喫煙,飲酒,薬物の服用による影響
2)社会・文化的要因
家族関係による影響 望まれざる妊娠による影響 社会的・経済的条件による影響 勤労による影響 生活環境からの影響
7 胎児の状態(多賀)
1)在胎期間に応じた胎児の発育
2)胎児の位置・姿勢
胎勢 胎位 胎向
8 親役割取得過程(東野)
1)母親役割取得過程
母性意識の発達 母親役割を取得するための課題
2)父親役割取得過程
妻の妊娠による夫の心理的変化 父性意識の発達と父親役割取得
2.情報と情報収集のための技術
1 健康診査(多賀)
健康診査の目的 情報収集時の注意
1)健康診査による情報収集内容
2)ヘルスアセスメントの方法
血圧 体温 体重 骨盤計測 乳房 腹部 浮腫・静脈瘤
2 情報を得るために必要な技術(森)
1)腹囲・子宮底長の測定
目的 方法 手順
2)レオポルドの触診
目的 方法 手順
3)胎児心音の聴取
目的 必要物品 手順
4)内診の介助
目的 必要物品 手順
5)妊婦とのコミュニケーションの技術
I-2 妊娠経過を判断するポイント
1 妊娠経過の判断(森)
1)妊娠時期および分娩予定日の明確化
妊娠時期
最終月経から計算する方法 超音波診断法により判断する方法 子宮の大きさ・子宮底の高さから判断する方法 妊婦のつわりや胎動の知覚時期から判断する方法
分娩予定日
最終月経から算定する方法 基礎体温から判定する方法
2)胎児―胎盤系の判断
胎児―胎盤系機能検査 ノンストレステスト(NST)
2 妊婦の健康状態のアセスメント(森)
妊娠初期 妊娠中期 妊娠末期
I-3 妊娠期における妊婦および家族の意思決定の支援
1.妊婦
1 セルフケア(東野)
1)生理的ニーズ充足のためのセルフケア
2)心理・社会的ニーズ充足のためのセルフケア
3)安全・安楽のニーズ充足のためのセルフケア
2 分娩に対する準備(園生)
1)分娩における生理的ニーズ充足への準備
2)分娩における心理・社会的ニーズ充足への準備
3 母親役割取得(東野)
1)母親像の形成
2)母親役割に伴う知識と技術の学習
2.家族(東野)
1 支持的存在としての夫の役割
2 父親役割取得
I-4 妊娠期の健康課題の援助と評価
1.援助の方向性 (村本)
2.援助技術
1 日常生活の援助(石原)
1)栄養
妊婦の食事摂取基準 カルシウムのとり方 鉄のとり方 塩分のとり方 食事の指導
2)排泄
排尿 排便
3)姿勢と運動
正しい姿勢 日常の動作 運動
4)活動(旅行,車運転,外出)
妊娠中の旅行はなぜ避けるべきか 妊娠中の旅行の条件 旅行に対する指導援助 ハイリスク妊婦は禁忌 買物 映画館,美術館,コンサート 外食の注意
5)休息と睡眠
休息と睡眠不足を補う工夫 夜間不眠を訴える妊婦への指導
6)身体の清潔
入浴(シャワー浴)の注意 外陰部の清潔に対する注意 う歯と歯肉炎の予防 歯科受診の注意
7)衣類とその着脱
衣服に対する指導 はきものに対する指導
8)性生活
妊娠中の性生活への指導
9)喫煙と飲酒
喫煙の妊婦に及ぼす影響 飲酒の妊婦に及ぼす影響 その他の嗜好品
10)勤労妊婦
勤労妊婦の問題点 勤労妊婦の情報聴取と指導
2 分娩学習への援助(出産教育)(園生)
1)安全・スムーズな分娩のための学習
体の構造と分娩のメカニズムの理解 妊娠期の身体のトレーニング 分娩の経過と効果的な過ごし方の学習
2)安楽な分娩(産痛と不快症状の緩和)のための学習
分娩期の産痛と不快症状の理解 産痛と不快症状の緩和法
3)満足感のある分娩のための学習
バースプランを立てる 心理的ストレスの少ない分娩のための学習 分娩に関係する社会的資源の学習
3 母親役割取得過程への援助
1)母親像形成のための援助 (東野)
2)母親役割に伴う知識と技術の援助 (石原)
育児準備のための援助 母乳育児―乳房の手当てのための援助
4 ストレスおよび危機への援助(村本)
1)予期的指導
妊娠によって生じる将来のできごとへの心の準備
2)特定な危機に対する援助
危機の前駆的徴候の早期発見 共感を中心とした援助
3.評価の視点 (村本)
母児の順調な経過 分娩の準備 育児の準備
I-5 妊娠期に予測される問題と援助
1.マイナートラブル(不快症状) (村本/石原)
1)つわり(悪心・嘔吐)
原因 症状 身体への影響 日常生活への影響 判断ポイント 援助 安心感と暗示を与える 食事のとり方 嘔気が続く場合
2)腰部・背部痛
原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助 腰部・背部痛の予防 痛みを緩和するための援助
3)胸やけ
原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助 原因の除去と症状緩和
4)(妊娠性)浮腫
原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助 浮腫の予防 浮腫出現時の指導
5)腟分泌物(妊娠性帯下)
原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助
6)静脈瘤
原因 症状 母体への影響 日常生活への影響 判断ポイント 援助 静脈瘤の予防 静脈瘤治療への援助
7)下肢のけいれん
原因 症状 日常生活への影響 援助 手足のしびれに対する援助 足のけいれん予防と対処
8)頻尿
原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助
9)便秘
原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助
2.正常(生理的範囲内)からの逸脱 (村本)
1)妊娠悪阻
妊娠悪阻とは 原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助 つわりの段階でくいとめるための心理的援助―初診時の問診と観察 妊娠悪阻予防のための生活指導と援助 妊娠悪阻による入院患者への援助 退院に向けての共感的援助
2)妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群とは 原因 症状 母児への影響 日常生活への影響 判断ポイント 援助 ハイリスク妊婦の発見 食事指導 安静指導 肥満妊婦への指導 妊婦の自覚を促すために 入院中の援助 子癇の予防と緊急時の対処 常位胎盤早期剥離の予測と対処
3)妊婦貧血
妊婦貧血とは 原因 症状 母児への影響 判断ポイント 援助 貧血予防の食事指導 133 鉄剤服用時の指導
4)胎位異常
胎位異常とは 原因 母児への影響 判断ポイント 援助
5)妊娠の早期中絶(流産,早産)
妊娠の早期中絶とは 原因 症状 判断ポイント 援助 流・早産の早期診断と予防 初期症状と具体的な安静指導 流・早産の既往のある妊婦への指導 入院中の援助 妊娠継続不可能な場合の援助
6)妊娠中の出血
原因 症状 母児への影響 判断ポイント 援助 妊娠初期の出血原因と予防・対処 妊婦と家族への精神的支援 妊娠末期の出血原因と予防・対処 母児双方の救命と精神的支援 妊娠全期間を通じての出血の原因と対処
7)胎児発育異常
(1) 子宮内発育遅延(IUGR) 原因と児への影響 判断ポイント
(2) 巨大児 原因と母児への影響 判断ポイント
8)多胎妊娠
多胎妊娠とは 原因 母児への影響 判断ポイント
9)胎児の先天異常
先天異常とは 原因(要因) 母児への影響 判断ポイント 援助 超音波診断による予測と分娩の準備 妊婦,家族にどう伝えるか
II.分娩期の看護
II-1 分娩経過の判断に必要な情報
1.情報を得るために必要な知識 (李)
1 分娩・産婦の看護を理解するのに必要な用語
1)産婦
2)分娩
妊娠週数による分類 分娩の経過による分類 分娩の方法による分類 胎児の数による分類 胎児の生死による分類
2 分娩の3要素
1)産道
骨産道(小骨盤) 軟産道
2)娩出力
陣痛 腹圧 陣痛の性状表現
3)胎児および胎児付属物
子宮内における胎児の位置 児頭の構成 胎児付属物
3 分娩の機転
1)軟産道の形成
子宮口の開大 腟および骨盤底の開大
2)娩出力の作用
子宮内圧
3)胎児の産道通過
児の応形機能 胎児の回旋と下降(前進) 児の分娩機転のポイント
4)胎盤の剥離と娩出
胎盤娩出機転 胎盤娩出方法
5)出血および止血の機序
分娩時の自然止血のための特性 生物学的結紮(生体結紮)
4 正常分娩の経過
1)分娩の発来機序
物理的機械的原因説 化学的原因説 生物学的原因説 ホルモン説
2)分娩の経過
分娩第1期(開口期) 分娩第2期(娩出期) 分娩第3期(後産期)
5 分娩が母体に及ぼす影響
1)全身状態に及ぼす影響
体温 呼吸 内分泌環境
2)循環系に及ぼす影響
脈拍 血圧 心拍出量 血液
3)泌尿器系に及ぼす影響
膀胱 尿道 尿
4)消化器系に及ぼす影響
消化吸収 直腸
5)物質代謝に及ぼす影響
体重 代謝 発汗
6 分娩が胎児に及ぼす影響
胎児心拍数 児頭の変形 胎児肺に及ぼす影響 血液性状,酸塩基平衡,糖代謝 胎動 臍帯の圧迫 胎児の交感神経―副腎系 胎便の排出 胎児の記憶
7 産痛
産痛の神経支配 産痛の発生機序 産痛に影響を与える因子 分娩各期の産痛部位の変化 産痛の強度 痛み―緊張―不安が分娩に与える影響 産痛の観察と評価 産痛の緩和とコントロール
8 産婦の心理
1)産婦の心理特性
2)出産・出生のヒューマニゼーション
3)分娩期の心情の変化
分娩の開始時期 前駆期 分娩第1期 分娩第2期 分娩第3〜4期
4)産婦がお産に望むもの
5)分娩の振り返り 喪失体験と悲嘆作業
喪失体験とは 悲嘆作業とは
9 分娩期における父親の心理(心情)
夫立ち会い分娩について 「夫立ち会い分娩」における夫婦の関係性 出産に参加する夫の心理・心情
10 分娩の経過に及ぼす影響因子
1)身体面が分娩に及ぼす影響
骨産道への影響因子 軟産道への影響因子 娩出力への影響因子 胎児が分娩に及ぼす影響 羊水が分娩に及ぼす影響 臍帯が分娩に及ぼす影響 胎盤の機能が分娩に及ぼす影響
2)精神面が分娩に及ぼす影響
不安,恐怖,過度の緊張と興奮
3)人的,物的環境が分娩に及ぼす影響
どの施設を選ぶか(物的環境) 適切な援助が得られるか(人的環境)
2.情報と情報収集のための技術 (李)
1 産婦の診察
2 情報を得るために必要な技術
1)産婦・胎児の状態を知るための技術
子宮底の測定 レオポルド触診法 胎児心音の聴取 内診の介助
2)陣痛の測定法
触知法―直接,触診して行う 分娩監視装置による方法(外測法)
3)後産所見の検査および測定法
胎盤の検査と計測法 その他の後産の検査と測定法
4)産婦とのコミュニケーション技術
エモーショナルサポート 産婦とのコミュニケーション コミュニケーションの基本 産婦とのコミュニケーションの基本 産婦の気持ちとかかわるときの場面―産婦がとくにつらいとき
II-2 分娩経過を判断するポイント
1.分娩経過における判断項目 (李)
1 分娩開始の予知
分娩切迫徴候からの判断 子宮頚管の成熟度からの判断
2 分娩開始の判断
臨床的分娩開始の時期 分娩開始の徴候
3 分娩進行の判断
1)陣痛の程度
陣痛の強さ 陣痛の周期 陣痛持続時間 子宮口(子宮頚管)開大度と分娩所要時間
2)破水の判断
破水の診断 腟内pH測定検査 分子マーカー検査
3)先進部下降度の判断
外診による判断 内診による判断 児頭下降度の表現法(de Leeのステーション) 児頭の固定・嵌入
4)胎児の回旋判断(胎向)
骨盤内方向(8方向) 方位点 下向部方向の表現法
5)胎児と骨産道均衡の判断
検査方法
6)胎盤娩出状態の判断
胎盤の剥離徴候 胎盤排出(胎児付属物)状態の判断
4 胎児の健康状態の判断
胎児ジストレス・胎児アスフィキシア 胎児心拍数 ノン・ストレステスト(NST) バイオフィジカル・プロファイルスコア(BPS) 羊水の混濁度 産瘤の部位と大きさ
2.産婦のアセスメント (李)
分娩第1期 分娩第2期 分娩第3期および分娩第4期
II-3 分娩期における産婦および家族のニーズ
1.産婦のニーズと出産援助の基本概念 (李)
ニーズとウォンツ 出産援助の基本概念
2.産婦のニーズおよび家族のニーズ (李)
1)自立のニーズ
2)安楽のニーズ
3)安全のニーズ
II-4 分娩期のニーズ・健康課題の援助と評価
1.援助の方向性 (村本)
2.援助技術 (園生)
1 分娩第1期の援助
1)入院前の援助
入院時期のアドバイスは
2)日常生活の援助
栄養 動静と休息 排便・排尿 清潔 家族に対する配慮
3)産痛緩和への援助
分娩経過を知る 体位を工夫し,体を動かす 暖めること,冷やすこと マッサージと指圧 気分転換をはかる リラックスできる環境 リラックスと呼吸法
4)不安の緩和
出産の認識の修正 付き添うこと 看護者の言動
2 分娩第2・3期の援助
1)分娩の準備
分娩室入室と体位の選択 排尿・排便 剃毛 外陰部消毒と消毒野作成
2)努責(いきみ)への援助
努責とその調節
3)母児対面への援助
3 分娩直後の援助
清潔と休息への援助 子宮収縮促進への援助 排泄への援助 分娩体験の想起(バースレビュー)
3.評価の視点 (村本)
母子の安全と身体メカニズムの機能 最少限の労力,不快感 産婦・家族にとっての満足感
II-5 分娩期に予測される問題
正常からの逸脱
1 娩出力の異常(東野)
1)微弱陣痛
原発性微弱陣痛の原因 続発性微弱陣痛の原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
2)過強陣痛
原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
3)微弱腹圧
原因 母児に及ぼす影響
2 産道の異常(東野)
1)児頭骨盤不均衡(CPD)
母児に及ぼす影響 判断ポイント
2)狭骨盤
形態による狭骨盤の種類 原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
3)広骨盤
母児に及ぼす影響
4)軟産道の異常
原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
3 児およびその付属物に関する異常(石原)
1)胎勢の異常 反屈位(伸展位)
原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント―外診,内診による判断
2)回旋の異常 低在横定位と高在縦定位
原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
3)前期破水(PROM)
原因 症状 母児に及ぼす影響 判断ポイント
4)早期破水
原因 症状 母児に及ぼす影響 判断ポイント
5)遅滞破水
原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
6)臍帯の下垂および脱出
原因 症状 母児に及ぼす影響 判断ポイント
7)臍帯の巻絡
原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
8)前置胎盤
原因 症状 母児に及ぼす影響 判断ポイント
9)常位胎盤早期剥離
原因 症状 母児に及ぼす影響 判断ポイント
10)癒着胎盤
原因 症状 母児に及ぼす影響 判断ポイント
11)胎盤の奇形
(1)分葉胎盤 原因
(2)副胎盤 母児への影響
(3)有窓胎盤 母児への影響
(4)膜様(状)胎盤 母児への影響
(5)額縁胎盤,周郭胎盤 原因 母児への影響
12)胎児機能不全
原因 症状 母児への影響 判断ポイント
4 分娩時間に関する正常からの逸脱(村本)
遷延分娩
5 分娩時の出血(村本)
1)子宮破裂
原因 症状 母体への影響 判断ポイント
2)弛緩出血
原因 症状 判断ポイント
3)軟産道の損傷
原因 症状 判断ポイント
資料
索引
I-1 妊娠経過の判断に必要な情報
1.情報を得るために必要な知識
1 妊娠の成立(東野)
妊娠の成立とは
2 妊娠成立の診断(森)
1)妊娠性変化の特徴――女性自身の知覚する身体的変化
月経停止 腟分泌物の量や性状の変化 嘔気・嘔吐(つわり) 尿意頻数
2)生殖器にみられる妊娠性変化
乳房の変化 外陰の変化 腟・子宮の変化
3)妊娠維持の機構や胎児存在を示す徴候
基礎体温高温相の20日以上の持続 免疫学的妊娠反応の陽性化(hCGの検出) 超音波診断法による胎嚢・胎児心拍動・胎児心拍音の確認
3 妊娠による母体の変化(東野)
1)妊娠時期
妊娠持続期間 妊娠時期の表現法 妊娠期間の分け方
2)妊娠時期に応じた性器の変化
子宮の変化 卵巣の変化 腟の変化 外陰部の変化 乳房の変化
3)妊娠に伴う全身の変化
内分泌系の変化 筋骨格系の変化 循環器系および血液の変化 呼吸器系の変化 消化器系の変化 泌尿器系の変化 代謝の変化 体温の変化 体重の変化 皮膚の変化
4 妊娠による生理的ニーズの変化(東野)
1)呼吸
2)栄養
食事の基本的要素とその機能 体液平衡の変化
3)排泄
腸の蠕動運動の抑制 子宮の膀胱への圧迫 皮膚や肺からの老廃物の排泄
4)ボディメカニクス(身体力学)―姿勢と運動
姿勢の変化 運動の必要性
5)休息・睡眠ニーズの亢進
6)身体の清潔ニーズの増大
7)適切な衣類とその着脱
5 妊娠期の心理的特性(東野)
妊娠期は危機が起こる可能性が増大 内分泌環境の変化は複雑な心理的変化を伴う
1)妊娠初期(第2〜4月)の情緒的変化
気分の変動 食欲・性欲の変化
2)妊娠中期(第5〜7月)の情緒的変化
自己陶酔的な状態 内向性と消極性 受容的傾向
3)妊娠末期(第8〜10月)の情緒的変化
ボディ・イメージの変化 内向性の増長 分娩接近の予期
4)妊婦の情緒的変化がもたらす夫と子どもたちへの影響
5)母らしさの発達
6 母児の健康や妊娠への適応に影響を及ぼす要因(東野)
1)生物学的要因
年齢,体格(身長・体重)の影響 家族歴(遺伝性疾患,一般的健康状態)の影響 既往歴がある場合の影響 月経歴,生殖に関する既往(妊娠回数,妊娠・分娩の異常など)の影響 栄養と食生活の影響 喫煙,飲酒,薬物の服用による影響
2)社会・文化的要因
家族関係による影響 望まれざる妊娠による影響 社会的・経済的条件による影響 勤労による影響 生活環境からの影響
7 胎児の状態(多賀)
1)在胎期間に応じた胎児の発育
2)胎児の位置・姿勢
胎勢 胎位 胎向
8 親役割取得過程(東野)
1)母親役割取得過程
母性意識の発達 母親役割を取得するための課題
2)父親役割取得過程
妻の妊娠による夫の心理的変化 父性意識の発達と父親役割取得
2.情報と情報収集のための技術
1 健康診査(多賀)
健康診査の目的 情報収集時の注意
1)健康診査による情報収集内容
2)ヘルスアセスメントの方法
血圧 体温 体重 骨盤計測 乳房 腹部 浮腫・静脈瘤
2 情報を得るために必要な技術(森)
1)腹囲・子宮底長の測定
目的 方法 手順
2)レオポルドの触診
目的 方法 手順
3)胎児心音の聴取
目的 必要物品 手順
4)内診の介助
目的 必要物品 手順
5)妊婦とのコミュニケーションの技術
I-2 妊娠経過を判断するポイント
1 妊娠経過の判断(森)
1)妊娠時期および分娩予定日の明確化
妊娠時期
最終月経から計算する方法 超音波診断法により判断する方法 子宮の大きさ・子宮底の高さから判断する方法 妊婦のつわりや胎動の知覚時期から判断する方法
分娩予定日
最終月経から算定する方法 基礎体温から判定する方法
2)胎児―胎盤系の判断
胎児―胎盤系機能検査 ノンストレステスト(NST)
2 妊婦の健康状態のアセスメント(森)
妊娠初期 妊娠中期 妊娠末期
I-3 妊娠期における妊婦および家族の意思決定の支援
1.妊婦
1 セルフケア(東野)
1)生理的ニーズ充足のためのセルフケア
2)心理・社会的ニーズ充足のためのセルフケア
3)安全・安楽のニーズ充足のためのセルフケア
2 分娩に対する準備(園生)
1)分娩における生理的ニーズ充足への準備
2)分娩における心理・社会的ニーズ充足への準備
3 母親役割取得(東野)
1)母親像の形成
2)母親役割に伴う知識と技術の学習
2.家族(東野)
1 支持的存在としての夫の役割
2 父親役割取得
I-4 妊娠期の健康課題の援助と評価
1.援助の方向性 (村本)
2.援助技術
1 日常生活の援助(石原)
1)栄養
妊婦の食事摂取基準 カルシウムのとり方 鉄のとり方 塩分のとり方 食事の指導
2)排泄
排尿 排便
3)姿勢と運動
正しい姿勢 日常の動作 運動
4)活動(旅行,車運転,外出)
妊娠中の旅行はなぜ避けるべきか 妊娠中の旅行の条件 旅行に対する指導援助 ハイリスク妊婦は禁忌 買物 映画館,美術館,コンサート 外食の注意
5)休息と睡眠
休息と睡眠不足を補う工夫 夜間不眠を訴える妊婦への指導
6)身体の清潔
入浴(シャワー浴)の注意 外陰部の清潔に対する注意 う歯と歯肉炎の予防 歯科受診の注意
7)衣類とその着脱
衣服に対する指導 はきものに対する指導
8)性生活
妊娠中の性生活への指導
9)喫煙と飲酒
喫煙の妊婦に及ぼす影響 飲酒の妊婦に及ぼす影響 その他の嗜好品
10)勤労妊婦
勤労妊婦の問題点 勤労妊婦の情報聴取と指導
2 分娩学習への援助(出産教育)(園生)
1)安全・スムーズな分娩のための学習
体の構造と分娩のメカニズムの理解 妊娠期の身体のトレーニング 分娩の経過と効果的な過ごし方の学習
2)安楽な分娩(産痛と不快症状の緩和)のための学習
分娩期の産痛と不快症状の理解 産痛と不快症状の緩和法
3)満足感のある分娩のための学習
バースプランを立てる 心理的ストレスの少ない分娩のための学習 分娩に関係する社会的資源の学習
3 母親役割取得過程への援助
1)母親像形成のための援助 (東野)
2)母親役割に伴う知識と技術の援助 (石原)
育児準備のための援助 母乳育児―乳房の手当てのための援助
4 ストレスおよび危機への援助(村本)
1)予期的指導
妊娠によって生じる将来のできごとへの心の準備
2)特定な危機に対する援助
危機の前駆的徴候の早期発見 共感を中心とした援助
3.評価の視点 (村本)
母児の順調な経過 分娩の準備 育児の準備
I-5 妊娠期に予測される問題と援助
1.マイナートラブル(不快症状) (村本/石原)
1)つわり(悪心・嘔吐)
原因 症状 身体への影響 日常生活への影響 判断ポイント 援助 安心感と暗示を与える 食事のとり方 嘔気が続く場合
2)腰部・背部痛
原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助 腰部・背部痛の予防 痛みを緩和するための援助
3)胸やけ
原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助 原因の除去と症状緩和
4)(妊娠性)浮腫
原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助 浮腫の予防 浮腫出現時の指導
5)腟分泌物(妊娠性帯下)
原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助
6)静脈瘤
原因 症状 母体への影響 日常生活への影響 判断ポイント 援助 静脈瘤の予防 静脈瘤治療への援助
7)下肢のけいれん
原因 症状 日常生活への影響 援助 手足のしびれに対する援助 足のけいれん予防と対処
8)頻尿
原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助
9)便秘
原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助
2.正常(生理的範囲内)からの逸脱 (村本)
1)妊娠悪阻
妊娠悪阻とは 原因 症状 日常生活への影響 判断ポイント 援助 つわりの段階でくいとめるための心理的援助―初診時の問診と観察 妊娠悪阻予防のための生活指導と援助 妊娠悪阻による入院患者への援助 退院に向けての共感的援助
2)妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群とは 原因 症状 母児への影響 日常生活への影響 判断ポイント 援助 ハイリスク妊婦の発見 食事指導 安静指導 肥満妊婦への指導 妊婦の自覚を促すために 入院中の援助 子癇の予防と緊急時の対処 常位胎盤早期剥離の予測と対処
3)妊婦貧血
妊婦貧血とは 原因 症状 母児への影響 判断ポイント 援助 貧血予防の食事指導 133 鉄剤服用時の指導
4)胎位異常
胎位異常とは 原因 母児への影響 判断ポイント 援助
5)妊娠の早期中絶(流産,早産)
妊娠の早期中絶とは 原因 症状 判断ポイント 援助 流・早産の早期診断と予防 初期症状と具体的な安静指導 流・早産の既往のある妊婦への指導 入院中の援助 妊娠継続不可能な場合の援助
6)妊娠中の出血
原因 症状 母児への影響 判断ポイント 援助 妊娠初期の出血原因と予防・対処 妊婦と家族への精神的支援 妊娠末期の出血原因と予防・対処 母児双方の救命と精神的支援 妊娠全期間を通じての出血の原因と対処
7)胎児発育異常
(1) 子宮内発育遅延(IUGR) 原因と児への影響 判断ポイント
(2) 巨大児 原因と母児への影響 判断ポイント
8)多胎妊娠
多胎妊娠とは 原因 母児への影響 判断ポイント
9)胎児の先天異常
先天異常とは 原因(要因) 母児への影響 判断ポイント 援助 超音波診断による予測と分娩の準備 妊婦,家族にどう伝えるか
II.分娩期の看護
II-1 分娩経過の判断に必要な情報
1.情報を得るために必要な知識 (李)
1 分娩・産婦の看護を理解するのに必要な用語
1)産婦
2)分娩
妊娠週数による分類 分娩の経過による分類 分娩の方法による分類 胎児の数による分類 胎児の生死による分類
2 分娩の3要素
1)産道
骨産道(小骨盤) 軟産道
2)娩出力
陣痛 腹圧 陣痛の性状表現
3)胎児および胎児付属物
子宮内における胎児の位置 児頭の構成 胎児付属物
3 分娩の機転
1)軟産道の形成
子宮口の開大 腟および骨盤底の開大
2)娩出力の作用
子宮内圧
3)胎児の産道通過
児の応形機能 胎児の回旋と下降(前進) 児の分娩機転のポイント
4)胎盤の剥離と娩出
胎盤娩出機転 胎盤娩出方法
5)出血および止血の機序
分娩時の自然止血のための特性 生物学的結紮(生体結紮)
4 正常分娩の経過
1)分娩の発来機序
物理的機械的原因説 化学的原因説 生物学的原因説 ホルモン説
2)分娩の経過
分娩第1期(開口期) 分娩第2期(娩出期) 分娩第3期(後産期)
5 分娩が母体に及ぼす影響
1)全身状態に及ぼす影響
体温 呼吸 内分泌環境
2)循環系に及ぼす影響
脈拍 血圧 心拍出量 血液
3)泌尿器系に及ぼす影響
膀胱 尿道 尿
4)消化器系に及ぼす影響
消化吸収 直腸
5)物質代謝に及ぼす影響
体重 代謝 発汗
6 分娩が胎児に及ぼす影響
胎児心拍数 児頭の変形 胎児肺に及ぼす影響 血液性状,酸塩基平衡,糖代謝 胎動 臍帯の圧迫 胎児の交感神経―副腎系 胎便の排出 胎児の記憶
7 産痛
産痛の神経支配 産痛の発生機序 産痛に影響を与える因子 分娩各期の産痛部位の変化 産痛の強度 痛み―緊張―不安が分娩に与える影響 産痛の観察と評価 産痛の緩和とコントロール
8 産婦の心理
1)産婦の心理特性
2)出産・出生のヒューマニゼーション
3)分娩期の心情の変化
分娩の開始時期 前駆期 分娩第1期 分娩第2期 分娩第3〜4期
4)産婦がお産に望むもの
5)分娩の振り返り 喪失体験と悲嘆作業
喪失体験とは 悲嘆作業とは
9 分娩期における父親の心理(心情)
夫立ち会い分娩について 「夫立ち会い分娩」における夫婦の関係性 出産に参加する夫の心理・心情
10 分娩の経過に及ぼす影響因子
1)身体面が分娩に及ぼす影響
骨産道への影響因子 軟産道への影響因子 娩出力への影響因子 胎児が分娩に及ぼす影響 羊水が分娩に及ぼす影響 臍帯が分娩に及ぼす影響 胎盤の機能が分娩に及ぼす影響
2)精神面が分娩に及ぼす影響
不安,恐怖,過度の緊張と興奮
3)人的,物的環境が分娩に及ぼす影響
どの施設を選ぶか(物的環境) 適切な援助が得られるか(人的環境)
2.情報と情報収集のための技術 (李)
1 産婦の診察
2 情報を得るために必要な技術
1)産婦・胎児の状態を知るための技術
子宮底の測定 レオポルド触診法 胎児心音の聴取 内診の介助
2)陣痛の測定法
触知法―直接,触診して行う 分娩監視装置による方法(外測法)
3)後産所見の検査および測定法
胎盤の検査と計測法 その他の後産の検査と測定法
4)産婦とのコミュニケーション技術
エモーショナルサポート 産婦とのコミュニケーション コミュニケーションの基本 産婦とのコミュニケーションの基本 産婦の気持ちとかかわるときの場面―産婦がとくにつらいとき
II-2 分娩経過を判断するポイント
1.分娩経過における判断項目 (李)
1 分娩開始の予知
分娩切迫徴候からの判断 子宮頚管の成熟度からの判断
2 分娩開始の判断
臨床的分娩開始の時期 分娩開始の徴候
3 分娩進行の判断
1)陣痛の程度
陣痛の強さ 陣痛の周期 陣痛持続時間 子宮口(子宮頚管)開大度と分娩所要時間
2)破水の判断
破水の診断 腟内pH測定検査 分子マーカー検査
3)先進部下降度の判断
外診による判断 内診による判断 児頭下降度の表現法(de Leeのステーション) 児頭の固定・嵌入
4)胎児の回旋判断(胎向)
骨盤内方向(8方向) 方位点 下向部方向の表現法
5)胎児と骨産道均衡の判断
検査方法
6)胎盤娩出状態の判断
胎盤の剥離徴候 胎盤排出(胎児付属物)状態の判断
4 胎児の健康状態の判断
胎児ジストレス・胎児アスフィキシア 胎児心拍数 ノン・ストレステスト(NST) バイオフィジカル・プロファイルスコア(BPS) 羊水の混濁度 産瘤の部位と大きさ
2.産婦のアセスメント (李)
分娩第1期 分娩第2期 分娩第3期および分娩第4期
II-3 分娩期における産婦および家族のニーズ
1.産婦のニーズと出産援助の基本概念 (李)
ニーズとウォンツ 出産援助の基本概念
2.産婦のニーズおよび家族のニーズ (李)
1)自立のニーズ
2)安楽のニーズ
3)安全のニーズ
II-4 分娩期のニーズ・健康課題の援助と評価
1.援助の方向性 (村本)
2.援助技術 (園生)
1 分娩第1期の援助
1)入院前の援助
入院時期のアドバイスは
2)日常生活の援助
栄養 動静と休息 排便・排尿 清潔 家族に対する配慮
3)産痛緩和への援助
分娩経過を知る 体位を工夫し,体を動かす 暖めること,冷やすこと マッサージと指圧 気分転換をはかる リラックスできる環境 リラックスと呼吸法
4)不安の緩和
出産の認識の修正 付き添うこと 看護者の言動
2 分娩第2・3期の援助
1)分娩の準備
分娩室入室と体位の選択 排尿・排便 剃毛 外陰部消毒と消毒野作成
2)努責(いきみ)への援助
努責とその調節
3)母児対面への援助
3 分娩直後の援助
清潔と休息への援助 子宮収縮促進への援助 排泄への援助 分娩体験の想起(バースレビュー)
3.評価の視点 (村本)
母子の安全と身体メカニズムの機能 最少限の労力,不快感 産婦・家族にとっての満足感
II-5 分娩期に予測される問題
正常からの逸脱
1 娩出力の異常(東野)
1)微弱陣痛
原発性微弱陣痛の原因 続発性微弱陣痛の原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
2)過強陣痛
原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
3)微弱腹圧
原因 母児に及ぼす影響
2 産道の異常(東野)
1)児頭骨盤不均衡(CPD)
母児に及ぼす影響 判断ポイント
2)狭骨盤
形態による狭骨盤の種類 原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
3)広骨盤
母児に及ぼす影響
4)軟産道の異常
原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
3 児およびその付属物に関する異常(石原)
1)胎勢の異常 反屈位(伸展位)
原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント―外診,内診による判断
2)回旋の異常 低在横定位と高在縦定位
原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
3)前期破水(PROM)
原因 症状 母児に及ぼす影響 判断ポイント
4)早期破水
原因 症状 母児に及ぼす影響 判断ポイント
5)遅滞破水
原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
6)臍帯の下垂および脱出
原因 症状 母児に及ぼす影響 判断ポイント
7)臍帯の巻絡
原因 母児に及ぼす影響 判断ポイント
8)前置胎盤
原因 症状 母児に及ぼす影響 判断ポイント
9)常位胎盤早期剥離
原因 症状 母児に及ぼす影響 判断ポイント
10)癒着胎盤
原因 症状 母児に及ぼす影響 判断ポイント
11)胎盤の奇形
(1)分葉胎盤 原因
(2)副胎盤 母児への影響
(3)有窓胎盤 母児への影響
(4)膜様(状)胎盤 母児への影響
(5)額縁胎盤,周郭胎盤 原因 母児への影響
12)胎児機能不全
原因 症状 母児への影響 判断ポイント
4 分娩時間に関する正常からの逸脱(村本)
遷延分娩
5 分娩時の出血(村本)
1)子宮破裂
原因 症状 母体への影響 判断ポイント
2)弛緩出血
原因 症状 判断ポイント
3)軟産道の損傷
原因 症状 判断ポイント
資料
索引