はじめに
21世紀を迎え,リハビリテーションへの関心が社会的にもますます高まっていることを背景として,リハビリテーション看護においても,その専門性が徐々にではあるが確実に,明確にされつつある.
わが国のリハビリテーション看護の発展のため,リハビリテーション看護への提言を意識的に行ってきたものの一人として,リハビリテーション看護を専門的に扱った書の少なさに日頃不便を感じていたところ,今回,調査研究や研究会活動を通じてリハビリテーション専門看護について高い意識をもった多くのメンバーの協力により,本書の刊行を企画することとなった.
本書中の「II.リハビリテーション看護のビューポイント」で専門活動の要素を述べているが,「専門性」を導きだす切り口としては,リハビリテーションの利用者である患者自身の意識改革と,それへの支援が第一であろう.そのためには,リハビリテーション専門看護に必要な知識・技術を明らかにする必要があると考える.著者らは,リハビリテーション領域の中で培われてきた臨床看護実践での叡知を掘り起こすためリサーチを続けてきており,現時点でのまとめが本書となった.
執筆陣は,看護の実践・教育・研究者であり,それぞれ日頃より,リハビリテーション看護に対しての高い問題意識と関心とを持っている面々である.
本書は,リハビリテーション看護の全体像をつかむための第I編,専門性を高める視点を示した第II編,リハビリテーション看護の理解を深める第III編より構成している.本書全体を振り返ってみると,構成の未熟さや統一上の問題点が目につくが,今後の研究会活動に引き継がれる課題としてご容赦いただき,責任編集者の力不足により目が行き届いていない点などご指摘いただければと思う.
この本はまずはリハビリテーション看護の最前線で活躍している看護職の皆様にとって専門的視点を提示するものとなればと考える.また,看護基礎教育の副読本として活用していただき,ご批判を仰ぎたい.
わが国におけるリハビリテーション看護の発展の礎の1つになることを期待している.
2001年2月 編者
21世紀を迎え,リハビリテーションへの関心が社会的にもますます高まっていることを背景として,リハビリテーション看護においても,その専門性が徐々にではあるが確実に,明確にされつつある.
わが国のリハビリテーション看護の発展のため,リハビリテーション看護への提言を意識的に行ってきたものの一人として,リハビリテーション看護を専門的に扱った書の少なさに日頃不便を感じていたところ,今回,調査研究や研究会活動を通じてリハビリテーション専門看護について高い意識をもった多くのメンバーの協力により,本書の刊行を企画することとなった.
本書中の「II.リハビリテーション看護のビューポイント」で専門活動の要素を述べているが,「専門性」を導きだす切り口としては,リハビリテーションの利用者である患者自身の意識改革と,それへの支援が第一であろう.そのためには,リハビリテーション専門看護に必要な知識・技術を明らかにする必要があると考える.著者らは,リハビリテーション領域の中で培われてきた臨床看護実践での叡知を掘り起こすためリサーチを続けてきており,現時点でのまとめが本書となった.
執筆陣は,看護の実践・教育・研究者であり,それぞれ日頃より,リハビリテーション看護に対しての高い問題意識と関心とを持っている面々である.
本書は,リハビリテーション看護の全体像をつかむための第I編,専門性を高める視点を示した第II編,リハビリテーション看護の理解を深める第III編より構成している.本書全体を振り返ってみると,構成の未熟さや統一上の問題点が目につくが,今後の研究会活動に引き継がれる課題としてご容赦いただき,責任編集者の力不足により目が行き届いていない点などご指摘いただければと思う.
この本はまずはリハビリテーション看護の最前線で活躍している看護職の皆様にとって専門的視点を提示するものとなればと考える.また,看護基礎教育の副読本として活用していただき,ご批判を仰ぎたい.
わが国におけるリハビリテーション看護の発展の礎の1つになることを期待している.
2001年2月 編者
I.リハビリテーション看護のフレームワーク
1 リハビリテーション看護とは何か……(野々村典子)
1 日本のリハビリテーション看護がおかれている状況
2 リハビリテーション看護とは
3 これからのリハビリテーション看護の課題
2 リハビリテーション看護の歴史的分析……(奥宮暁子)
1 リハビリテーションの流れ
1)職業リハビリテーションとしての時代
2)リハビリテーションの対象者と活動の拡大
2 わが国におけるリハビリテーションと看護の変遷
1)リハビリテーション導入期
2)リハビリテーション発展期
3 看護概念におけるリハビリテーション看護の位置づけ……(宮腰由紀子)
1 看護の定義における対象とその活動の独自性との関連
2 健康レベルとリハビリテーション
3 保健医療福祉のシステムの変化と看護職の役割の変化
4 アメリカ看護界におけるリハビリテーション看護の高度看護実践
5 日本におけるリハビリテーション専門看護機能
4 リハビリテーション看護の対象……(川波公香)
1 リハビリテーション看護の対象とは
2 障害をもつ人とは
3 わが国における障害者の実態
4 対象の特性を左右する要因
1)障害要因
障害の種類・程度 発症(受障)機序 発症(受障)後の経過(病期),予後
2)個人的要因
年齢・発達段階 性・ジェンダー 受障前の性格・行動傾向,認知機能,心理的状態の変化
3)環境要因
家族形態,家族としての発達段階など 職場や地域の環境,利用できる社会資源
4)社会的要因
リハビリテーション(看護)の基本概念と障害(者)観 障害者の保健医療福祉に関する法制度,経済政策など
5 今後の課題
II.リハビリテーション看護のビューポイント
総論 多職種チームの中で常に問われる看護職のアイデンティティ……(石鍋圭子)
1 他職種および看護の他領域との相違は何か
2 リハビリテーション過程にある個人の目標
3 リハビリテーション看護を見直す9つの視点
4 9つの視点による展開の試みとその限界
5 リハビリテーション看護のアセスメント項目と看護問題
1 セルフケアの確立を促す……(齋藤みちよ)
1 セルフケア理論からみたセルフケア確立の過程
2 セルフケア能力のアセスメント
3 セルフケアの確立を促す援助の基本
1)自己決定の尊重と危険の防止
2)リハビリテーションのゴールの理解と確認を促すケア
3)「指導」とは「教え込む」ことではない
4)リハビリテーションへの意欲を継続する
4 日常生活動作の自立に向けたケア計画(食事,排泄,更衣,家族指導)
1)移乗・移動
安全な移乗・移動方法の選択 観察し,見守り,危険を防止する
2)食事
経口摂取時の危険を防止する 必要水分摂取量を確保し,制限食の摂取を指導する 食事動作を助ける適切な補助具・用具を選択する
3)排泄
排泄パターンを観察し,適切に誘導する 排泄手段を適切に選択する 取り扱いがやさしい衣類と寝具を選択する おむつの使用は最小限度にする
4)更衣
安全な更衣方法を指導する 介助レベルを設定する
5)清潔・整容動作
5 健康の自己管理に向けたケア計画
2 退院後の生活に向けたケア計画を実施する……(山田京子)
1 障害とともに地域で生活する意味と問題
1)在宅生活を続けるために解決すべき課題
安全で自立可能な住環境の整備 介護力を確保する フォローアップシステムの充実を図る
2)在宅生活継続のためのアセスメント
患者,家族について 疾患・医療に関して 生活に関して
2 在宅生活を実現するリハビリテーション・プロセス-在宅生活を想定したケアプログラム
1)病院でしているADLから家庭でできるADLに
日常生活動作(ADL)の自立 コミュニケーション手段の獲得 安全への意識づけ 生活のリズムと役割の再構築
2)介護指導
在宅生活における家族の役割 家族のケア参加 当事者相互の助け合い
3)外泊訓練
4)日常生活用具の導入と家屋環境の整備
日常生活用具の導入と活用 家屋環境の整備
5)退院後のサポート体制
3 多職種と連携し,援助を調整する……(石鍋圭子)
1 リハビリテーション医療におけるチーム・アプローチ
1)チーム・アプローチはなぜ必要か
2)職種間の連携はどのように行われるか
3)リハビリテーション・チームにおける看護業務の特徴
4)チーム・アプローチにおける課題
看護専門職としての自立 看護職は何をどう主張できるか 各専門職の活動をいかに協調させるか
2 情報交換を通して行う他職種との連携
1)他職種との間でどのような情報が交換されているか
2)多職種間連携の実際と他職種からの情報の活用
3 患者援助に関する調整
1)多職種間の調整役はだれが担うのか?
2)調整の必要性と看護職の役割
3)専門職間の連携における特徴を把握する
4 在宅に向けての地域の専門職との連携
4 リハビリテーション過程における疼痛を緩和する……(小林幸子)
1 リハビリテーションの対象者と進め方
1)リハビリテーションの対象者に多い疾患
2)安静度のアップとADL確保
2 痛みの要因と対処法
1)痛みの要因
痛みの強さに影響するさまざまな要因を把握する 痛みへの治療とリハビリテーション・アプローチ 痛みの看護
3 疾患別の患者の痛みの特徴と看護
1)脳卒中のある患者
痛みへの対処
2)脊髄損傷のある患者
急性期の痛み 慢性期の痛み 痙性を伴う痛み
3)切断術を受けた患者
4)慢性関節リウマチがある患者
5 不安を緩和し,精神的・心理的援助を実施する……(石鍋圭子)
1 リハビリテーション過程における心理的問題
1)心理的問題のさまざまな側面
2 「障害受容」に向けての援助
1)「障害受容」に関する考え方
デンポ-ライトの理論 岩坪らの考え方 ステージ理論 本田による「受容」概念の整理
2)障害受容にどう関わるか
傾聴と主体性の尊重 リハビリテーション・スタッフ間の連携 患者の悲嘆プロセスのサポート
3 心理的反応に関連する留意点
1)精神症状の合併
リハビリテーションに合併しやすい精神症状 治療を要する精神症状
2)コミュニケーションと認知における問題
4 リハビリテーション・スタッフとの関係
転移と逆転移 転移-逆転移を生じさせないチームづくり
5 家族の心理的問題
6 離床を促し,廃用症候群や二次的障害を予防する……(川波公香)
1 運動機能障害をもつ人に起こり得る二次的障害
1)二次的障害とは
2)運動機能の障害によって生じる二次的障害
廃用(disuse)症候群 過用・誤用症候群 心理社会的問題
2 二次的障害を予防するためのケア
1)機能障害の拡大を予防し,早期離床を促す
早期離床を促す意義 機能障害の拡大を予防し,早期離床を促すためのケア
2)日常生活のリズムを整え,回復を促す
日常生活のリズムを整えることの意義 日常生活のリズムを整え,回復を促すためのケア
3)退院後の生活の再構築を支援する
退院後の生活の再構築を支援する意義 退院後の生活の再構築を支援するためのケア
7 体調を整え,健康の自己管理ができるようにする……(石川ふみよ)
1 健康管理,自己管理する「健康」とは
2 健康管理の必要性
1)ウェルネスへの看護の必要性
2)健康管理の必要性を示す事例
3 健康状態の把握
1)身体的側面のアセスメント
形状や機能,身体の変化を熟知しておく 機能障害のレベルを十分に把握する 検査データを収集し,併せて評価する
2)精神的側面のアセスメント
4 リハビリテーションに影響を及ぼす身近な問題の管理
1)睡眠障害
不眠の原因に応じた対策を講ずる 精神障害のよる睡眠障害への対策を講ずる 睡眠剤を使用するときは注意して行う
2)水分・栄養の過不足
適切な水分の摂取を促す 水分の過剰摂取を防ぐ 適切な栄養の摂取を促す 栄養の過剰摂取を防ぐ
3)口腔のトラブル
口腔を注意して観察する 口腔ケアを丁寧に行う
5 リハビリテーションに影響を及ぼす併存症とその管理
1)高血症
2)糖尿病
6 回復過程で生じるアクシデントとその管理
1)脳損傷
2)慢性閉塞性肺疾患
3)虚血性心疾患
4)脊髄損傷
7 健康の自己管理についてのアセスメントと指導
8 リハビリテーションにおける生活環境を整える……(齋藤みちよ)
1 生活の再構築に向けた環境整備
生活環境整備における課題
2 ADL自立への環境整備
1)ベッドとその周辺
ADLに適したベッドと寝具を整える 転倒などの危険を防止したベッド周辺に整える ポータブルトイレ使用時は,使いやすく工夫する 安定した使いやすい椅子を用意する 可動域制限に見合った工夫をする
2)カーテン,ドア
3)洗面台
4)トイレ
5)浴室
6)食堂
7)洗濯
3 居室(病室)以外で過ごせる場所
4 生活のリズムづくり
1)日常行動を習慣化する
2)日常のコミュニケーションとレクリエーションを大切にする
3)季節の行事を生活やレクリエーションに取り入れる
5 転倒・徘徊の危険があるとき
1)ベッドからの転落の防止
2)車椅子からの転落の防止
3)センサーの活用
4)徘徊者への対応
6 感染症がある人の生活環境
9 障害をもった生活を再構築し,社会参加を助ける……(穂積恵子)
1 わが国における身体障害者の現状
1)施設収容型の処遇からノーマライゼーションへ
社会状況と障害者 日本の社会福祉施策と障害者
2)身体障害者の実態
2 身体障害者の社会参加・障害者雇用促進法による就職-バリアフリーのバリアはどこにある?
1)インタビュー「障害をもって感じたこと」(社会参加について)
街 社会の人々 まわりの人たちとの関係友人・恋愛など 遊び・余暇
2)インタビュー「障害をもって感じたこと」(雇用について)
3 看護職の役割
1)社会参加を促す力―障害発生からのリハビリテーション
2)その人らしく生きるには
III.リハビリテーション看護・ステップアップ
1 リハビリテーション看護に関する諸外国と日本との比較……(吉田真季)
1 米国におけるリハビリテーション看護
2 オーストラリアにおけるリハビリテーション看護
3 日本におけるリハビリテーション看護
4 アジアにおけるリハビリテーション看護-中国の例
5 リハビリテーション看護に関する各国共通の課題
2 リハビリテーション看護の専門性に関するリサーチ……(野々村典子)
1)研究の要旨
2)調査方法の概要
3)研究結果の概要
3 リハビリテーション看護の研究と理論
1 リハビリテーション看護に関する文献研究 (宮腰由紀子)
1)文献研究方法
2)文献検索数の推移
3)文献内容の変遷-研究の動向
発表形態 テーマ・内容 リハビリテーション看護研究文献が取り扱う対象者 リハビリテーション看護文献が取り扱う活動の場 看護方法 チーム・アプローチ リハビリテーション看護教育 米国におけるリハビリテーション看護研究
4)今後の研究課題
2 オレム看護理論を用いたリハビリテーション看護の事例展開 (山元由美子)
1)リハビリテーション看護とセルフケア
2)リハビリテーション看護と看護システム
オレムの「看護システム理論」
3)看護実践と看護展開
看護実践の構成要素 事例を用いたオレム看護の展開例
1 リハビリテーション看護とは何か……(野々村典子)
1 日本のリハビリテーション看護がおかれている状況
2 リハビリテーション看護とは
3 これからのリハビリテーション看護の課題
2 リハビリテーション看護の歴史的分析……(奥宮暁子)
1 リハビリテーションの流れ
1)職業リハビリテーションとしての時代
2)リハビリテーションの対象者と活動の拡大
2 わが国におけるリハビリテーションと看護の変遷
1)リハビリテーション導入期
2)リハビリテーション発展期
3 看護概念におけるリハビリテーション看護の位置づけ……(宮腰由紀子)
1 看護の定義における対象とその活動の独自性との関連
2 健康レベルとリハビリテーション
3 保健医療福祉のシステムの変化と看護職の役割の変化
4 アメリカ看護界におけるリハビリテーション看護の高度看護実践
5 日本におけるリハビリテーション専門看護機能
4 リハビリテーション看護の対象……(川波公香)
1 リハビリテーション看護の対象とは
2 障害をもつ人とは
3 わが国における障害者の実態
4 対象の特性を左右する要因
1)障害要因
障害の種類・程度 発症(受障)機序 発症(受障)後の経過(病期),予後
2)個人的要因
年齢・発達段階 性・ジェンダー 受障前の性格・行動傾向,認知機能,心理的状態の変化
3)環境要因
家族形態,家族としての発達段階など 職場や地域の環境,利用できる社会資源
4)社会的要因
リハビリテーション(看護)の基本概念と障害(者)観 障害者の保健医療福祉に関する法制度,経済政策など
5 今後の課題
II.リハビリテーション看護のビューポイント
総論 多職種チームの中で常に問われる看護職のアイデンティティ……(石鍋圭子)
1 他職種および看護の他領域との相違は何か
2 リハビリテーション過程にある個人の目標
3 リハビリテーション看護を見直す9つの視点
4 9つの視点による展開の試みとその限界
5 リハビリテーション看護のアセスメント項目と看護問題
1 セルフケアの確立を促す……(齋藤みちよ)
1 セルフケア理論からみたセルフケア確立の過程
2 セルフケア能力のアセスメント
3 セルフケアの確立を促す援助の基本
1)自己決定の尊重と危険の防止
2)リハビリテーションのゴールの理解と確認を促すケア
3)「指導」とは「教え込む」ことではない
4)リハビリテーションへの意欲を継続する
4 日常生活動作の自立に向けたケア計画(食事,排泄,更衣,家族指導)
1)移乗・移動
安全な移乗・移動方法の選択 観察し,見守り,危険を防止する
2)食事
経口摂取時の危険を防止する 必要水分摂取量を確保し,制限食の摂取を指導する 食事動作を助ける適切な補助具・用具を選択する
3)排泄
排泄パターンを観察し,適切に誘導する 排泄手段を適切に選択する 取り扱いがやさしい衣類と寝具を選択する おむつの使用は最小限度にする
4)更衣
安全な更衣方法を指導する 介助レベルを設定する
5)清潔・整容動作
5 健康の自己管理に向けたケア計画
2 退院後の生活に向けたケア計画を実施する……(山田京子)
1 障害とともに地域で生活する意味と問題
1)在宅生活を続けるために解決すべき課題
安全で自立可能な住環境の整備 介護力を確保する フォローアップシステムの充実を図る
2)在宅生活継続のためのアセスメント
患者,家族について 疾患・医療に関して 生活に関して
2 在宅生活を実現するリハビリテーション・プロセス-在宅生活を想定したケアプログラム
1)病院でしているADLから家庭でできるADLに
日常生活動作(ADL)の自立 コミュニケーション手段の獲得 安全への意識づけ 生活のリズムと役割の再構築
2)介護指導
在宅生活における家族の役割 家族のケア参加 当事者相互の助け合い
3)外泊訓練
4)日常生活用具の導入と家屋環境の整備
日常生活用具の導入と活用 家屋環境の整備
5)退院後のサポート体制
3 多職種と連携し,援助を調整する……(石鍋圭子)
1 リハビリテーション医療におけるチーム・アプローチ
1)チーム・アプローチはなぜ必要か
2)職種間の連携はどのように行われるか
3)リハビリテーション・チームにおける看護業務の特徴
4)チーム・アプローチにおける課題
看護専門職としての自立 看護職は何をどう主張できるか 各専門職の活動をいかに協調させるか
2 情報交換を通して行う他職種との連携
1)他職種との間でどのような情報が交換されているか
2)多職種間連携の実際と他職種からの情報の活用
3 患者援助に関する調整
1)多職種間の調整役はだれが担うのか?
2)調整の必要性と看護職の役割
3)専門職間の連携における特徴を把握する
4 在宅に向けての地域の専門職との連携
4 リハビリテーション過程における疼痛を緩和する……(小林幸子)
1 リハビリテーションの対象者と進め方
1)リハビリテーションの対象者に多い疾患
2)安静度のアップとADL確保
2 痛みの要因と対処法
1)痛みの要因
痛みの強さに影響するさまざまな要因を把握する 痛みへの治療とリハビリテーション・アプローチ 痛みの看護
3 疾患別の患者の痛みの特徴と看護
1)脳卒中のある患者
痛みへの対処
2)脊髄損傷のある患者
急性期の痛み 慢性期の痛み 痙性を伴う痛み
3)切断術を受けた患者
4)慢性関節リウマチがある患者
5 不安を緩和し,精神的・心理的援助を実施する……(石鍋圭子)
1 リハビリテーション過程における心理的問題
1)心理的問題のさまざまな側面
2 「障害受容」に向けての援助
1)「障害受容」に関する考え方
デンポ-ライトの理論 岩坪らの考え方 ステージ理論 本田による「受容」概念の整理
2)障害受容にどう関わるか
傾聴と主体性の尊重 リハビリテーション・スタッフ間の連携 患者の悲嘆プロセスのサポート
3 心理的反応に関連する留意点
1)精神症状の合併
リハビリテーションに合併しやすい精神症状 治療を要する精神症状
2)コミュニケーションと認知における問題
4 リハビリテーション・スタッフとの関係
転移と逆転移 転移-逆転移を生じさせないチームづくり
5 家族の心理的問題
6 離床を促し,廃用症候群や二次的障害を予防する……(川波公香)
1 運動機能障害をもつ人に起こり得る二次的障害
1)二次的障害とは
2)運動機能の障害によって生じる二次的障害
廃用(disuse)症候群 過用・誤用症候群 心理社会的問題
2 二次的障害を予防するためのケア
1)機能障害の拡大を予防し,早期離床を促す
早期離床を促す意義 機能障害の拡大を予防し,早期離床を促すためのケア
2)日常生活のリズムを整え,回復を促す
日常生活のリズムを整えることの意義 日常生活のリズムを整え,回復を促すためのケア
3)退院後の生活の再構築を支援する
退院後の生活の再構築を支援する意義 退院後の生活の再構築を支援するためのケア
7 体調を整え,健康の自己管理ができるようにする……(石川ふみよ)
1 健康管理,自己管理する「健康」とは
2 健康管理の必要性
1)ウェルネスへの看護の必要性
2)健康管理の必要性を示す事例
3 健康状態の把握
1)身体的側面のアセスメント
形状や機能,身体の変化を熟知しておく 機能障害のレベルを十分に把握する 検査データを収集し,併せて評価する
2)精神的側面のアセスメント
4 リハビリテーションに影響を及ぼす身近な問題の管理
1)睡眠障害
不眠の原因に応じた対策を講ずる 精神障害のよる睡眠障害への対策を講ずる 睡眠剤を使用するときは注意して行う
2)水分・栄養の過不足
適切な水分の摂取を促す 水分の過剰摂取を防ぐ 適切な栄養の摂取を促す 栄養の過剰摂取を防ぐ
3)口腔のトラブル
口腔を注意して観察する 口腔ケアを丁寧に行う
5 リハビリテーションに影響を及ぼす併存症とその管理
1)高血症
2)糖尿病
6 回復過程で生じるアクシデントとその管理
1)脳損傷
2)慢性閉塞性肺疾患
3)虚血性心疾患
4)脊髄損傷
7 健康の自己管理についてのアセスメントと指導
8 リハビリテーションにおける生活環境を整える……(齋藤みちよ)
1 生活の再構築に向けた環境整備
生活環境整備における課題
2 ADL自立への環境整備
1)ベッドとその周辺
ADLに適したベッドと寝具を整える 転倒などの危険を防止したベッド周辺に整える ポータブルトイレ使用時は,使いやすく工夫する 安定した使いやすい椅子を用意する 可動域制限に見合った工夫をする
2)カーテン,ドア
3)洗面台
4)トイレ
5)浴室
6)食堂
7)洗濯
3 居室(病室)以外で過ごせる場所
4 生活のリズムづくり
1)日常行動を習慣化する
2)日常のコミュニケーションとレクリエーションを大切にする
3)季節の行事を生活やレクリエーションに取り入れる
5 転倒・徘徊の危険があるとき
1)ベッドからの転落の防止
2)車椅子からの転落の防止
3)センサーの活用
4)徘徊者への対応
6 感染症がある人の生活環境
9 障害をもった生活を再構築し,社会参加を助ける……(穂積恵子)
1 わが国における身体障害者の現状
1)施設収容型の処遇からノーマライゼーションへ
社会状況と障害者 日本の社会福祉施策と障害者
2)身体障害者の実態
2 身体障害者の社会参加・障害者雇用促進法による就職-バリアフリーのバリアはどこにある?
1)インタビュー「障害をもって感じたこと」(社会参加について)
街 社会の人々 まわりの人たちとの関係友人・恋愛など 遊び・余暇
2)インタビュー「障害をもって感じたこと」(雇用について)
3 看護職の役割
1)社会参加を促す力―障害発生からのリハビリテーション
2)その人らしく生きるには
III.リハビリテーション看護・ステップアップ
1 リハビリテーション看護に関する諸外国と日本との比較……(吉田真季)
1 米国におけるリハビリテーション看護
2 オーストラリアにおけるリハビリテーション看護
3 日本におけるリハビリテーション看護
4 アジアにおけるリハビリテーション看護-中国の例
5 リハビリテーション看護に関する各国共通の課題
2 リハビリテーション看護の専門性に関するリサーチ……(野々村典子)
1)研究の要旨
2)調査方法の概要
3)研究結果の概要
3 リハビリテーション看護の研究と理論
1 リハビリテーション看護に関する文献研究 (宮腰由紀子)
1)文献研究方法
2)文献検索数の推移
3)文献内容の変遷-研究の動向
発表形態 テーマ・内容 リハビリテーション看護研究文献が取り扱う対象者 リハビリテーション看護文献が取り扱う活動の場 看護方法 チーム・アプローチ リハビリテーション看護教育 米国におけるリハビリテーション看護研究
4)今後の研究課題
2 オレム看護理論を用いたリハビリテーション看護の事例展開 (山元由美子)
1)リハビリテーション看護とセルフケア
2)リハビリテーション看護と看護システム
オレムの「看護システム理論」
3)看護実践と看護展開
看護実践の構成要素 事例を用いたオレム看護の展開例