序
臨床検査の分野で最も新しく,かつ今後の発展が大きく期待されているのが遺伝子・染色体検査学である.遺伝子・染色体検査学は,細胞生物学,生化学,分子生物学,細胞遺伝学,分子遺伝学,遺伝子工学などの学問で得られた成果を,臨床検査に応用するものである.
遺伝子・染色体検査学が脚光を浴びてきているのは,ほとんどの疾患が,程度に差はあるものの,遺伝的素因が関係していることがわかってきたことによる.遺伝病といわれる先天性疾患はもちろん,後天性疾患においても,その発症や病態の形成に遺伝子の異常が関与している.たとえば動脈硬化症や糖尿病では,食事や生活習慣といった環境因子だけでなく,遺伝性の素因が大いに関係している.癌は遺伝子の異常が引き金になって発病する.外来性の影響が強い感染症においてすら,感染性や治癒能力といった点で遺伝的素因が関連している.
折しも,2000年4月から臨床検査技師学校養成所の指定規則・指導要領などが改正され,新しいカリキュラムのもとで新しい臨床検査技師教育が実施されることになった.新カリキュラムでは「遺伝子解析等を含む生物化学的分析の理論と実際の修得」が教育目標として掲げられ,遺伝子・染色体検査学の教育が取り入れられることとなった.
現在において遺伝子・染色体検査学の応用が最も進んでいるのは,遺伝性疾患の診断,悪性腫瘍の診断,病原微生物の同定,個人識別などである.今後はさらに応用範囲が広がると予測される.
遺伝子・染色体検査は,従来の臨床検査に比べて,迅速で,より詳細な病態に関する情報が得られる長所がある.しかも,遺伝性疾患では,発病した患者だけでなく,出生前の診断や保因者の検出にも有用である.このため,疾病の発病を未然に防ぐ予防医学の立場からも,注目されている.
ただ,遺伝子・染色体検査で十分に注意しなければならない点が,倫理の問題である.ことに出生前診断や保因者の検出などでは,その取り扱いには慎重でなければならない.個人識別でも,判定には慎重を要する.技術面の急速な進歩に比べて倫理面での検討が大幅に遅れているきらいが否めない.こうした点については,社会全体のコンセンサスを得ていく必要があろう.
本書では,遺伝子・染色体検査の概略をまず紹介し,検査法の実際と応用について記載した.基本的なことがらを理解したうえで,実際の臨床検査の現場で応用ができるように記述した.その内容は,高等学校で生物学を履修していれば十分に理解できるように配慮した.
臨床検査技師を志して勉学に励む学生諸君,ならびに実際に臨床検査の業務に携わっている臨床検査技師の方がたに,教科書として,あるいは参考書として,役立てていただきたい.また,遺伝子・染色体検査に関する知識の習得を目指す臨床医,医学生,看護婦(士)にも,参考書として活用されるよう,おすすめしたい.
本書の企画ならびに編集にあたっては,全国臨床検査技師教育施設協議会,ことに渡辺正友氏,ならびに医歯薬出版株式会社編集部にご協力をいただいた.こうした支援なくしては本書は刊行できなかったと思われる.ここに深謝する.
遺伝子・染色体検査に関する事項が本書で習得でき,臨床検査の応用に活用していただければ,著者としてはこれに勝る喜びはない.
2002年1月
著者を代表して 奈良信雄
臨床検査の分野で最も新しく,かつ今後の発展が大きく期待されているのが遺伝子・染色体検査学である.遺伝子・染色体検査学は,細胞生物学,生化学,分子生物学,細胞遺伝学,分子遺伝学,遺伝子工学などの学問で得られた成果を,臨床検査に応用するものである.
遺伝子・染色体検査学が脚光を浴びてきているのは,ほとんどの疾患が,程度に差はあるものの,遺伝的素因が関係していることがわかってきたことによる.遺伝病といわれる先天性疾患はもちろん,後天性疾患においても,その発症や病態の形成に遺伝子の異常が関与している.たとえば動脈硬化症や糖尿病では,食事や生活習慣といった環境因子だけでなく,遺伝性の素因が大いに関係している.癌は遺伝子の異常が引き金になって発病する.外来性の影響が強い感染症においてすら,感染性や治癒能力といった点で遺伝的素因が関連している.
折しも,2000年4月から臨床検査技師学校養成所の指定規則・指導要領などが改正され,新しいカリキュラムのもとで新しい臨床検査技師教育が実施されることになった.新カリキュラムでは「遺伝子解析等を含む生物化学的分析の理論と実際の修得」が教育目標として掲げられ,遺伝子・染色体検査学の教育が取り入れられることとなった.
現在において遺伝子・染色体検査学の応用が最も進んでいるのは,遺伝性疾患の診断,悪性腫瘍の診断,病原微生物の同定,個人識別などである.今後はさらに応用範囲が広がると予測される.
遺伝子・染色体検査は,従来の臨床検査に比べて,迅速で,より詳細な病態に関する情報が得られる長所がある.しかも,遺伝性疾患では,発病した患者だけでなく,出生前の診断や保因者の検出にも有用である.このため,疾病の発病を未然に防ぐ予防医学の立場からも,注目されている.
ただ,遺伝子・染色体検査で十分に注意しなければならない点が,倫理の問題である.ことに出生前診断や保因者の検出などでは,その取り扱いには慎重でなければならない.個人識別でも,判定には慎重を要する.技術面の急速な進歩に比べて倫理面での検討が大幅に遅れているきらいが否めない.こうした点については,社会全体のコンセンサスを得ていく必要があろう.
本書では,遺伝子・染色体検査の概略をまず紹介し,検査法の実際と応用について記載した.基本的なことがらを理解したうえで,実際の臨床検査の現場で応用ができるように記述した.その内容は,高等学校で生物学を履修していれば十分に理解できるように配慮した.
臨床検査技師を志して勉学に励む学生諸君,ならびに実際に臨床検査の業務に携わっている臨床検査技師の方がたに,教科書として,あるいは参考書として,役立てていただきたい.また,遺伝子・染色体検査に関する知識の習得を目指す臨床医,医学生,看護婦(士)にも,参考書として活用されるよう,おすすめしたい.
本書の企画ならびに編集にあたっては,全国臨床検査技師教育施設協議会,ことに渡辺正友氏,ならびに医歯薬出版株式会社編集部にご協力をいただいた.こうした支援なくしては本書は刊行できなかったと思われる.ここに深謝する.
遺伝子・染色体検査に関する事項が本書で習得でき,臨床検査の応用に活用していただければ,著者としてはこれに勝る喜びはない.
2002年1月
著者を代表して 奈良信雄
序
カラー口絵
第1章― 遺伝と遺伝子
I.遺伝とは
II.遺伝子とは
III.遺伝子の発現
IV.遺伝子の継代
V.遺伝子と突然変異
VI.表現型と遺伝子型
VII.遺伝の法則
1-メンデルの法則
2-連鎖
VIII.遺伝子工学
第2章― 細胞
I.生物の基本単位としての細胞
II.細胞の構造と機能
1-細胞膜(原形質膜,形質膜)
2-核
3-小胞体,リボソーム
4-ゴルジ体
5-ミトコンドリア
6-リソソーム
7-細胞質
8-細胞骨格
9-中心体
III.細胞の接着
IV.細胞分裂
1-体細胞分裂
2-減数分裂
[1] 第1減数分裂
[2] 第2減数分裂
V.細胞周期
第3章― 染色体と染色体異常
I.ヒト染色体の研究小史
II.染色体の構造と機能
1-染色体の複製と分離
[1] 体細胞分裂と染色体の複製
[2] 減数分裂:染色体の分離と組換え
2-染色体の形態と分類
[1] 染色体標本の作製
[2] 分染法以前の核型分析
[3] 分染法による核型分析
3-染色体の分子構造
[1] DNAから染色体への成り立ち
[2] 分染バンドの性状
[3] セントロメアとテロメア
4-X染色体の不活性化とXクロマチン
III.染色体異常の種類と生成機構
1-数的異常
[1] 異数性
[2] 倍数性
[3] 片親性ダイソミー
2-構造異常
3-染色体構造異常の安定性
4-放射線・環境変異原と染色体異常
IV.ヒトの染色体地図
1-遺伝子のマッピング法
[1] 細胞雑種法
[2] 家系資料による連鎖解析
[3] 染色体構造異常の利用
[4] 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法
[5] 染色体特定領域からの遺伝子クローニング
2-ヒト遺伝子地図の現状
3-ヒト染色体地図の臨床遺伝学への応用
4-核型進化
第4章― 染色体の検査法
I.細胞の培養法
1-細胞培養の準備
[1] 培養液の作製と滅菌
[2] 培養に用いる器具類と滅菌
[3] 培養操作上の注意
2-末梢血リンパ球の培養
3-皮膚線維芽細胞の培養
4-骨髄細胞の培養
5-リンパ芽球細胞株の樹立
6-羊水細胞の培養
7-絨毛組織の培養
8-固形腫瘍の細胞培養
9-高精度分染法用の培養
[1] 細胞同調法の利用
[2] 染色体凝縮の抑制を利用した方法
II.染色体標本の作製法
1-浮遊培養系の場合
2-単層培養系の場合
3-スライド(カバー)ガラス上での直接作製法
III.染色体分染法
1-Q-染色法
[1] QFQ法
[2] QMとヘキスト33258との二重染色法
2-G-染色法
[1] GTG法
[2] GAG法
3-R-染色法
[1] RHG法
[2] RBA法
[3] RBG法
[4] 二重染色によるR-染色法
4-C-染色法
[1] CBG法
[2] DA-DAPI染色法
5-NOR-染色法
[1] ナイロンメッシュを用いたAg-NOR染色法
[2] ゼラチンを用いたAg-NOR染色法
6-姉妹染色分体の分染法
[1] 蛍光(AO染色)観察法
[2] FPG(ギムザ染色)法
7-高精度染色体分染法
IV.顕微鏡写真の撮影と核型分析
1-染色体標本の写真撮影
2-印画紙への焼き付け
3-核型の作製
4-核型異常の記載法
V.蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法
1-遺伝子マッピングのためのFISH法
[1] プローブDNAのビオチン標識・変性と染色体DNAの変性
[2] ハイブリダイゼーションと洗浄
[3] ビオチン化プローブに対する蛍光染色
[4] 染色体のPI染色
[5] 鏡検,写真撮影
[6] シグナルの増幅法
2-染色体ペインティング法
3-染色体特異的領域のDNAプローブを用いたFISH法
第5章― 染色体異常と疾患
I.染色体異常症候群
1-常染色体異常
[1] 常染色体トリソミー症候群
[2] 部分モノソミーおよび部分トリソミー症候群
2-性染色体異常
[1] 性染色体の数的異常
[2] 性染色体の構造異常
[3] 脆弱X症候群
3-隣接遺伝子症候群
4-染色体不安定症候群
II.ヒト集団における染色体異常の発生頻度
1-新生児集団
2-胎生期
3-受精卵
4-配偶子(精子,卵子)
5-ヒトのライフサイクルにおける染色体異常の動態
III.腫瘍と染色体異常
1-白血病,リンパ腫
2-固形腫瘍
3-発癌の多段階過程
第6章― 遺伝子と遺伝子異常
I.遺伝情報
1-核酸
[1] DNA
[2] RNA
2-蛋白質
[1] 蛋白質の種類と機能
[2] 蛋白質を構成するアミノ酸
[3] アミノ酸のペプチド結合
[4] 蛋白質の高次構造
3-ゲノム
4-遺伝情報の保存
[1] DNAの複製
[2] DNA複製の校正
5-遺伝情報の流れ
[1] 遺伝子の構造
[2] 転写
[3] 翻訳
II.遺伝子の異常
1-遺伝子の変異と修復
[1] 突然変異の分類
[2] 突然変異の分子機構
[3] 突然変異の修復
2-遺伝子の異常と疾患
[1] ヘモグロビン遺伝子の異常
[2] 先天性代謝異常症
[3] 悪性腫瘍
3-遺伝病と遺伝様式
[1] 単一遺伝子病
[2] 多因子病
[3] ミトコンドリア遺伝病
4-遺伝子診断
[1] 遺伝子診断の原理
[2] 遺伝子診断の対象
[3] 遺伝子診断の準備
[4] 遺伝子診断の基本技術
[5] 出生前診断
[6] 発症前診断
[7] 遺伝子診断の問題点
5-遺伝子治療
[1] 原理
[2] 臨床応用
[3] 問題点
第7章― 遺伝子の検査法
I.遺伝子検査の概説
II.核酸抽出
1-検体採取
2-血球分離
[1] 赤血球を溶血させる方法
[2] 単核細胞層を回収する方法
3-DNA抽出
[1] フェノール-クロロホルム法
[2] セパジーンによるDNA抽出
4-RNA抽出
[1] AGPC法
[2] スピンカラム法
5-核酸の濃度測定
III.サザンブロット解析
1-サザン法の原理
2-制限酵素処理
3-アガロースゲル電気泳動
4-サザンブロット
5-プローブの作製
6-ハイブリダイゼーション
7-化学発光と検出
8-発色反応による検出
9-トラブルシューティング
IV.PCR法
1-PCR法の意義
2-PCR法の原理
3-プライマーの準備
4-PCR法の施行
5-ポリアクリルアミドゲル電気泳動
6-トラブルシューティング
V.RT-PCR法
1-RT-PCR法の意義
2-RT-PCR法の原理
3-RT-PCR法の施行
VI.遺伝子検査の実際
1-サザンブロット解析の実際
[1] Bリンパ球性腫瘍の免疫グロブリン重鎖遺伝子の再構成
[2] 慢性骨髄性白血病のBCR-ABL遺伝子の再構成
[3] その他のサザンブロット解析例
2-PCR法を用いた診断の実際
[1] Bリンパ球性腫瘍の免疫グロブリン重鎖遺伝子のクローナリティ診断
[2] PCR法を用いたその他の診断
3-RT-PCR法を用いた診断の実際
[1] CMLにおけるBCR-ABL融合mRNAの検出
[2] RT-PCR法を用いたその他の診断
VII.Real-time PCR法
1-Real-time PCR法の意義
2-Real-time PCR法の原理
3-Real-time PCR法の施行
第8章― 遺伝子検査用機器とその保守管理
1-クリーンベンチ
2-炭酸ガス培養装置
3-恒温水槽,恒温器
4-電気泳動装置
5-遠心分離装置
6-滅菌装置
[1] オートクレーブ
[2] 乾熱滅菌装置
7-顕微鏡
8-写真撮影装置
9-水の精製装置
10-分光光度計
11-遺伝子検査に用いるその他の器具
第9章 ―遺伝子検査の応用と課題
I.病態との関連
1-遺伝性疾患
[1] デュシェーヌ型筋ジストロフィ
[2] XX男性
[3] レーバー病
2-腫瘍
[1] 診断および病態解析
[2] 薬剤耐性の検出
[3] 微小残存病変(MRD)の検出
3-感染症
[1] ウイルス感染症の診断
[2] 細菌その他の検出
II.遺伝カウンセリング
III.倫理
1-遺伝倫理
2-プライバシー権とインフォームド・コンセント
3-社会的コンセンサス
参考図書
染色体検査にかかわる技能認定制度「日本人類遺伝学会・臨床細胞遺伝学認定士制度」について
索引
執筆分担一覧
第1章I〜VIII 奈良信雄
第2章I〜V 奈良信雄
第3章I〜VII 池内達郎
第4章I,II 吉田光明・池内達郎
III 〜V 小原深美子・池内達郎
第5章I〜III 池内達郎
第6章I,II 奈良信雄
第7章I〜VI 東田修二
第8章 東田修二
第9章I〜III 奈良信雄
カラー口絵
第1章― 遺伝と遺伝子
I.遺伝とは
II.遺伝子とは
III.遺伝子の発現
IV.遺伝子の継代
V.遺伝子と突然変異
VI.表現型と遺伝子型
VII.遺伝の法則
1-メンデルの法則
2-連鎖
VIII.遺伝子工学
第2章― 細胞
I.生物の基本単位としての細胞
II.細胞の構造と機能
1-細胞膜(原形質膜,形質膜)
2-核
3-小胞体,リボソーム
4-ゴルジ体
5-ミトコンドリア
6-リソソーム
7-細胞質
8-細胞骨格
9-中心体
III.細胞の接着
IV.細胞分裂
1-体細胞分裂
2-減数分裂
[1] 第1減数分裂
[2] 第2減数分裂
V.細胞周期
第3章― 染色体と染色体異常
I.ヒト染色体の研究小史
II.染色体の構造と機能
1-染色体の複製と分離
[1] 体細胞分裂と染色体の複製
[2] 減数分裂:染色体の分離と組換え
2-染色体の形態と分類
[1] 染色体標本の作製
[2] 分染法以前の核型分析
[3] 分染法による核型分析
3-染色体の分子構造
[1] DNAから染色体への成り立ち
[2] 分染バンドの性状
[3] セントロメアとテロメア
4-X染色体の不活性化とXクロマチン
III.染色体異常の種類と生成機構
1-数的異常
[1] 異数性
[2] 倍数性
[3] 片親性ダイソミー
2-構造異常
3-染色体構造異常の安定性
4-放射線・環境変異原と染色体異常
IV.ヒトの染色体地図
1-遺伝子のマッピング法
[1] 細胞雑種法
[2] 家系資料による連鎖解析
[3] 染色体構造異常の利用
[4] 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法
[5] 染色体特定領域からの遺伝子クローニング
2-ヒト遺伝子地図の現状
3-ヒト染色体地図の臨床遺伝学への応用
4-核型進化
第4章― 染色体の検査法
I.細胞の培養法
1-細胞培養の準備
[1] 培養液の作製と滅菌
[2] 培養に用いる器具類と滅菌
[3] 培養操作上の注意
2-末梢血リンパ球の培養
3-皮膚線維芽細胞の培養
4-骨髄細胞の培養
5-リンパ芽球細胞株の樹立
6-羊水細胞の培養
7-絨毛組織の培養
8-固形腫瘍の細胞培養
9-高精度分染法用の培養
[1] 細胞同調法の利用
[2] 染色体凝縮の抑制を利用した方法
II.染色体標本の作製法
1-浮遊培養系の場合
2-単層培養系の場合
3-スライド(カバー)ガラス上での直接作製法
III.染色体分染法
1-Q-染色法
[1] QFQ法
[2] QMとヘキスト33258との二重染色法
2-G-染色法
[1] GTG法
[2] GAG法
3-R-染色法
[1] RHG法
[2] RBA法
[3] RBG法
[4] 二重染色によるR-染色法
4-C-染色法
[1] CBG法
[2] DA-DAPI染色法
5-NOR-染色法
[1] ナイロンメッシュを用いたAg-NOR染色法
[2] ゼラチンを用いたAg-NOR染色法
6-姉妹染色分体の分染法
[1] 蛍光(AO染色)観察法
[2] FPG(ギムザ染色)法
7-高精度染色体分染法
IV.顕微鏡写真の撮影と核型分析
1-染色体標本の写真撮影
2-印画紙への焼き付け
3-核型の作製
4-核型異常の記載法
V.蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法
1-遺伝子マッピングのためのFISH法
[1] プローブDNAのビオチン標識・変性と染色体DNAの変性
[2] ハイブリダイゼーションと洗浄
[3] ビオチン化プローブに対する蛍光染色
[4] 染色体のPI染色
[5] 鏡検,写真撮影
[6] シグナルの増幅法
2-染色体ペインティング法
3-染色体特異的領域のDNAプローブを用いたFISH法
第5章― 染色体異常と疾患
I.染色体異常症候群
1-常染色体異常
[1] 常染色体トリソミー症候群
[2] 部分モノソミーおよび部分トリソミー症候群
2-性染色体異常
[1] 性染色体の数的異常
[2] 性染色体の構造異常
[3] 脆弱X症候群
3-隣接遺伝子症候群
4-染色体不安定症候群
II.ヒト集団における染色体異常の発生頻度
1-新生児集団
2-胎生期
3-受精卵
4-配偶子(精子,卵子)
5-ヒトのライフサイクルにおける染色体異常の動態
III.腫瘍と染色体異常
1-白血病,リンパ腫
2-固形腫瘍
3-発癌の多段階過程
第6章― 遺伝子と遺伝子異常
I.遺伝情報
1-核酸
[1] DNA
[2] RNA
2-蛋白質
[1] 蛋白質の種類と機能
[2] 蛋白質を構成するアミノ酸
[3] アミノ酸のペプチド結合
[4] 蛋白質の高次構造
3-ゲノム
4-遺伝情報の保存
[1] DNAの複製
[2] DNA複製の校正
5-遺伝情報の流れ
[1] 遺伝子の構造
[2] 転写
[3] 翻訳
II.遺伝子の異常
1-遺伝子の変異と修復
[1] 突然変異の分類
[2] 突然変異の分子機構
[3] 突然変異の修復
2-遺伝子の異常と疾患
[1] ヘモグロビン遺伝子の異常
[2] 先天性代謝異常症
[3] 悪性腫瘍
3-遺伝病と遺伝様式
[1] 単一遺伝子病
[2] 多因子病
[3] ミトコンドリア遺伝病
4-遺伝子診断
[1] 遺伝子診断の原理
[2] 遺伝子診断の対象
[3] 遺伝子診断の準備
[4] 遺伝子診断の基本技術
[5] 出生前診断
[6] 発症前診断
[7] 遺伝子診断の問題点
5-遺伝子治療
[1] 原理
[2] 臨床応用
[3] 問題点
第7章― 遺伝子の検査法
I.遺伝子検査の概説
II.核酸抽出
1-検体採取
2-血球分離
[1] 赤血球を溶血させる方法
[2] 単核細胞層を回収する方法
3-DNA抽出
[1] フェノール-クロロホルム法
[2] セパジーンによるDNA抽出
4-RNA抽出
[1] AGPC法
[2] スピンカラム法
5-核酸の濃度測定
III.サザンブロット解析
1-サザン法の原理
2-制限酵素処理
3-アガロースゲル電気泳動
4-サザンブロット
5-プローブの作製
6-ハイブリダイゼーション
7-化学発光と検出
8-発色反応による検出
9-トラブルシューティング
IV.PCR法
1-PCR法の意義
2-PCR法の原理
3-プライマーの準備
4-PCR法の施行
5-ポリアクリルアミドゲル電気泳動
6-トラブルシューティング
V.RT-PCR法
1-RT-PCR法の意義
2-RT-PCR法の原理
3-RT-PCR法の施行
VI.遺伝子検査の実際
1-サザンブロット解析の実際
[1] Bリンパ球性腫瘍の免疫グロブリン重鎖遺伝子の再構成
[2] 慢性骨髄性白血病のBCR-ABL遺伝子の再構成
[3] その他のサザンブロット解析例
2-PCR法を用いた診断の実際
[1] Bリンパ球性腫瘍の免疫グロブリン重鎖遺伝子のクローナリティ診断
[2] PCR法を用いたその他の診断
3-RT-PCR法を用いた診断の実際
[1] CMLにおけるBCR-ABL融合mRNAの検出
[2] RT-PCR法を用いたその他の診断
VII.Real-time PCR法
1-Real-time PCR法の意義
2-Real-time PCR法の原理
3-Real-time PCR法の施行
第8章― 遺伝子検査用機器とその保守管理
1-クリーンベンチ
2-炭酸ガス培養装置
3-恒温水槽,恒温器
4-電気泳動装置
5-遠心分離装置
6-滅菌装置
[1] オートクレーブ
[2] 乾熱滅菌装置
7-顕微鏡
8-写真撮影装置
9-水の精製装置
10-分光光度計
11-遺伝子検査に用いるその他の器具
第9章 ―遺伝子検査の応用と課題
I.病態との関連
1-遺伝性疾患
[1] デュシェーヌ型筋ジストロフィ
[2] XX男性
[3] レーバー病
2-腫瘍
[1] 診断および病態解析
[2] 薬剤耐性の検出
[3] 微小残存病変(MRD)の検出
3-感染症
[1] ウイルス感染症の診断
[2] 細菌その他の検出
II.遺伝カウンセリング
III.倫理
1-遺伝倫理
2-プライバシー権とインフォームド・コンセント
3-社会的コンセンサス
参考図書
染色体検査にかかわる技能認定制度「日本人類遺伝学会・臨床細胞遺伝学認定士制度」について
索引
執筆分担一覧
第1章I〜VIII 奈良信雄
第2章I〜V 奈良信雄
第3章I〜VII 池内達郎
第4章I,II 吉田光明・池内達郎
III 〜V 小原深美子・池内達郎
第5章I〜III 池内達郎
第6章I,II 奈良信雄
第7章I〜VI 東田修二
第8章 東田修二
第9章I〜III 奈良信雄