やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

発刊の序
 臨床検査技師になるためには,幅広い領域についての知識を短期間のうちに習得することが求められている.またその内容は,医学・検査技術の進歩に伴い常に新しくなっている.さらに,学生生活を締めくくり実社会に出ていくための関門となる国家試験はきわめて難関で,臨床検査技師を目指す学生の負担は大きい.
 本書は,膨大な量の知識を獲得しなければならない学生に対し,効率的に学習を進めるために,そして少しでも勉強に役立つよう,学校での授業の理解を深め,平素の学習と国家試験対策に利用できるように配慮してつくられた.国家試験出題基準をベースに構成され,臨床検査技師教育に造詣の深い教師陣により,知っておかなければならない必須の知識がまとめられている.
 「学習の目標」では,国家試験出題基準に収載されている用語を中心に,その領域におけるキーワードを掲載し,「まとめ」では,知識の整理を促すようわかりやすく簡潔に解説することを心掛けた.一通り概要がつかめたら,◯×式問題の「セルフ・チェックA」で理解度を確認し,要点が理解できたら,今度は国家試験と同じ出題形式の「セルフ・チェックB」に挑戦してもらいたい.間違えた問題は,確実に知識が定着するまで「まとめ」を何度も振り返ることで確かな知識を得ることができる.「コラム」には国家試験の出題傾向やトピックスが紹介されているので,気分転換を兼ねて目を通すことをおすすめする.
 持ち運びしやすい大きさを意識して作られているので,電車やバスの中などでも活用していただきたい.本書を何度も開き階段を追って学習を進めることにより,自信をもって国家試験に臨むことができるようになるだろう.
 最後に,臨床検査技師を目指す学生の皆さんが無事に国家試験に合格され,臨床検査技師としてさまざまな世界で活躍されることを心から祈っております.
 新臨床検査技師教育研究会



 ポケットマスター臨床検査知識の整理シリーズに『臨床免疫学』が加わりました.本書は前の臨床検査知識の整理『臨床免疫学』,最新臨床検査学講座『免疫検査学』の内容に最新のデータを加え,「令和3年度臨床検査技師国家試験出題基準」に準拠して,免疫・輸血・移植における基礎・疾患・検査のポイントを読者が理解しやすいように全面改訂を行いました.臨床検査技師国家試験出題基準は「大項目」,「中項目」,さらに中項目の内容を例示した「小項目」に分類されています.本書では「大項目」を「章」でまとめ,国家試験出題範囲での重要事項を各章にまとめています.
 臨床免疫学(病因・生体防御検査学)は,「免疫検査学」と「輸血・移植検査学」の2つの専門的分野で構成されています.「免疫検査学」の1章「生体防御の仕組み」では,体内に侵入した微生物や異物を排除する免疫系のしくみ,2章「抗原抗体反応における分析法」,3章「免疫と疾患の関わり」,4章「免疫検査の基礎知識と技術」および5章「免疫機能検査」では免疫学の基礎,免疫学的疾患とその検査法などをまとめています.一方,「輸血・移植検査学」は6章「輸血の基礎知識」,7章「輸血検査」,8章「輸血管理」,9章「移植免疫と検査」および10章「母児不適合妊娠」で構成され,輸血医療における基礎・臨床,血液型から交差適合試験・輸血副作用など,さらにHLA抗原などの抗原検査と移植・拒絶反応に関する基礎知識と検査法などをまとめています.
 臨床検査の現場では,「免疫検査」と「輸血・移植検査」は独立しており,それぞれ専門的知識と検査技術の理解が必要です.
 最後になりますが,本書は基本事項を中心に専門分野の知識,各検査法の原理や手順を表や図にまとめ,理解する上で分かりやすく解説しています.また,各項目における重要事項については「セルフ・チェックA」で確認でき,さらに国家試験出題形式に準じた問題を用意しています.ぜひ,本書を臨床検査技師国家試験の対策の一つの参考書として活用して頂き,さらに卒後においても知識の確認など幅広く利用して頂きたいと思います.
 令和3年4月
 編者を代表して 細井英司
1 生体防御の仕組み
 A 免疫系による生体防御
 B 免疫担当器官,組織,細胞
 C 免疫の成立と調節
 D 抗原
 E 抗体(免疫グロブリン)
 F 補体
2 抗原抗体反応による分析法
 A 抗原と抗体の結合
 B 試験管内抗原抗体反応の原理と臨床応用
3 免疫と疾患の関わり
 A 感染防御免疫
 B 感染症の免疫学的検査
 C 腫瘍免疫
 D 腫瘍マーカー
 E 免疫不全
 F アレルギー
 G 自己免疫
 H 炎症と急性期蛋白
 I 異常免疫グロブリン症
4 免疫検査の基礎知識と技術
 A 抗体の作製
 B 免疫器具・機器の取扱い
 C 検査目的別採血,血清・血漿の処理・保存
 D 血液細胞の分離・調製法
5 免疫機能検査
 A 液性免疫機能検査
 B 細胞性免疫機能検査
 C 食細胞機能検査
 D 補体系検査
6 輸血の基礎知識
 A 血液型と同種抗原
7 輸血検査
 A 輸血前検査
 B 血液型の検査
 C 赤血球不規則抗体の同定
 D 血小板抗体の同定
8 輸血管理
 A 成分輸血療法の適応
 B 供血者と患者との適合性
 C 輸血副作用・合併症
 D 自己血輸血
 E 輸血用血液製剤の保存と管理
9 移植免疫と検査
 A 移植免疫
 B 造血幹細胞移植の検査
10 母児不適合妊娠
 A 血液型不適合妊娠

 索引