やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

「最新臨床検査学講座」の刊行にあたって
 1958年に衛生検査技師法が制定され,その教育の場からの強い要望に応えて刊行されたのが「衛生検査技術講座」であります.その後,法改正およびカリキュラム改正などに伴い,「臨床検査講座」(1972),さらに「新編臨床検査講座」(1987),「新訂臨床検査講座」(1996)と,その内容とかたちを変えながら改訂・増刷を重ねてまいりました.
 2000年4月より,新しいカリキュラムのもとで,新しい臨床検査技師教育が行われることとなり,その眼目である“大綱化“によって,各学校での弾力的な運用が要求され,またそれが可能となりました.「基礎分野」「専門基礎分野」「専門分野」という教育内容とその目標とするところは,従前とかなり異なったものになりました.そこで弊社では,この機に「臨床検査学講座」を刊行することといたしました.臨床検査技師という医療職の重要性がますます高まるなかで,“技術”の修得とそれを応用する力の醸成,および“学”としての構築を目指して,教育内容に沿ったかたちで有機的な講義が行えるよう留意いたしました.
 その後,ガイドラインが改定されればその内容を取り込みながら版を重ねてまいりましたが,2013年に「国家試験出題基準平成27年版」が発表されたことにあわせて紙面を刷新した「最新臨床検査学講座」を刊行することといたしました.新シリーズ刊行にあたりましては,臨床検査学および臨床検査技師教育に造詣の深い山藤 賢先生,高木 康先生,奈良信雄先生,三村邦裕先生,和田骼u先生を編集顧問に迎え,シリーズ全体の構想と編集方針の策定にご協力いただきました.各巻の編者,執筆者にはこれまでの「臨床検査学講座」の構成・内容を踏襲しつつ,最近の医学医療,臨床検査の進歩を取り入れることをお願いしました.
 本シリーズが国家試験出題の基本図書として,多くの学校で採用されてきました実績に鑑みまして,ガイドライン項目はかならず包含し,国家試験受験の知識を安心して習得できることを企図しました.国家試験に必要な知識は本文に,プラスアルファの内容は側注で紹介しています.また,読者の方々に理解されやすい,より使いやすい,より見やすい教科書となるような紙面構成を目指しました.本「最新臨床検査学講座」により臨床検査技師として習得しておくべき知識を,確実に,効率的に獲得することに寄与できましたら本シリーズの目的が達せられたと考えます.
 各巻テキストにつきまして,多くの方がたからのご意見,ご叱正を賜れば幸甚に存じます.
 2015年春
 医歯薬出版株式会社


第2版の序
 免疫検査学の赤本が現在のような体裁となったのは2008年6月発行の『臨床検査学講座 免疫検査学』(第1版)からですが,その後,版を重ね,シリーズ全体のアップグレードに伴う書名の変更も経るなかで,絶えず新しい内容を提供するように努めてきました.しかし今回改めて目を通してみると,免疫学,臨床病態,検査法,いずれの部分にも時代遅れになっているところが多数あることがわかり,免疫検査領域の学問と技術の進歩の速さを実感させられました.
 今回の改訂ではまず,2022年度入学生から適用されている新カリキュラムで輸血・移植検査の充実が求められていることを踏まえ,書名を『免疫検査学/輸血・移植検査学』に改題しました.また,編者と執筆者も一部交代し,最近の現場の状況に精通した先生方に入っていただいて,全面的な見直しを行いました.特筆すべき点は以下の通りです.
 第1章の免疫学概説では,近年の樹状細胞に関する知見を踏まえて,樹状細胞の役割をより明確に記載しました.主な抗原提示細胞にはマクロファージ・B細胞・樹状細胞の3つがあると従来記述してきましたが,今回はそれぞれの細胞が抗原提示をすることの意義をしっかり理解してもらい,獲得免疫全体の流れを把握しやすくなるように説明しました.第2章の臨床病態では,免疫検査が用いられている主な疾患について簡潔に説明し,モノクローナル抗体を用いた検査法や治療法,がんの免疫療法であるCAR-T療法など,基礎研究の成果が臨床応用されるようになった例も紹介しました.免疫学的検査法については,第3章で基本原理,第4章で実例と臨床的意義を解説しています.使われなくなった検査法は削除し,新しい検査法に差し替えています.抗核抗体検査の染色パターンについては,従来の分類に代えて,国際的に推奨されている新しい分類に沿って説明しました.第5章の輸血・移植検査に関しては,自動輸血検査装置を用いた検査法の記述を充実させるなど,新しい内容に更新するとともに,より実践的でわかりやすい説明を心掛けました.
 この教科書を使いこなして,感染症・腫瘍・アレルギー・自己免疫・輸血などの基本を習得することは,病理学・病態学などの理解にも役立ちます.また,免疫学的検査法はさまざまな検体検査に応用されています.本書が臨床検査技師を目指す学生の皆さんの発展に大いに寄与することを願う次第です.
 2024年1月
 編者を代表して 窪田哲朗



 最新臨床検査学講座シリーズに『免疫検査学』が加わりました.前の臨床検査学講座シリーズの第2版を出した2010年から6年経過しました.毎年細かい修正は行なっていたので内容は古くないと思っていたのですが,今回新シリーズ作製のために見直してみると,古い内容,分かりにくい説明などが多々あることに気づきました.そこで,第1章から第3章は藤田先生と私,第4章は細井先生と梶原先生が中心となって大幅に編集し直すことにしました.
 まず第1章の免疫学概論ですが,近年の免疫学の進歩にともなって自然免疫の分子機構や,様々な免疫担当細胞がそれぞれの持ち場に移動してゆく仕組みについての説明を補充するとともに,全体の流れが初学者にもいっそう理解しやすくなるように心がけて書き下ろしました.最初は難しいと感じられても,2度,3度と繰り返し読んでいただけると,個々の知識が結びついて理解が深まり,面白くなってくると思います.
 第2章は実際に免疫検査が使われている疾患や病態の簡単な解説です.新しく保険適用になった自己抗体検査などを追加しました.現場で提出された検体を黙々と処理している間,それがどのような疾患なのかイメージが湧かないようでは面白くないと思います.病態の理解を介して,医師ともディスカッションできる検査技師を目指して欲しいと思います.臨床の現場には,新しい検査法の開発が待たれる病態など,研究テーマもたくさん埋もれています.
 第3章Aでは古い検査法は削除し,新しい方法を加えて,免疫検査法の基本的原理を解説しました.従来,免疫反応の結果が出るまでには時間がかかるのが当たり前でしたが,最近は免疫検査といえども自動化と迅速化が進んでいます.Bでは主な免疫検査の実例について,方法や臨床的意義を図や写真を使って具体的に説明しました.従来の感染症の免疫検査は主として抗体価の測定でしたが,最近はあらかじめ用意した抗体を使って抗原を検出する系が次々と実用化されているので,抗原を検出する検査のセクションを新たに設けました.
 第4章では,輸血実施時に必要な血液型から交差適合試験までの基礎知識や検査法について,可能な限り実際の現場に沿った表現で,手順,手法,結果の解釈,注意事項を分かりやすくまとめることを心がけました.特にABO血液型やRhD血液型などについては,図や表を使って初学者に分かりやすく記述しました.さらに移植に関しても,現場で必要なHLA抗原を初めとした各種抗原や,移植免疫に関する基礎知識と検査法について解説しました.
 編集が終わって改めて全体を眺めてみると,卒前教育用に作製したにも拘わらず多くの情報が満載されていて,卒後にも適宜参照していただける内容となっています.しかし,医療の現場は複雑かつ流動的で時々刻々変化しており,完璧な教科書を完成させることはできません.学生諸君には,まずはこの一冊をしっかり勉強して基礎知識を身につけた上で,専門的なことや新しい情報は自ら検索し,将来,それぞれの領域で大いに活躍していただくことを期待しています.
 2017年1月
 編者を代表して 窪田哲朗
第1章 免疫系の仕組み
 I 免疫系の構成要素
  1 免疫系の概念
  2 主な免疫担当細胞
   1)顆粒球(granulocytes)
   2)単球(monocytes)・マクロファージ(macrophages)
   3)樹状細胞(dendritic cells;DCs)
   4)肥満細胞(mast cells)
   5)リンパ球(lymphocytes)
  3 中枢リンパ組織
   1)骨髄(bone marrow)
   2)胸腺(thymus)
  4 末梢リンパ組織
   1)リンパ節(lymph nodes)
   2)脾臓(spleen)
   3)皮膚・粘膜のリンパ組織
   4)リンパ球の再循環
  5 接着分子(adhesion molecule)
  6 サイトカイン(cytokine),ケモカイン(chemokine)
 II 自然免疫
  1 自然免疫における病原体認識の特徴
  2 自然免疫の構成要素と機能
   1)皮膚・粘膜の生体防御機能
   2)好中球・マクロファージの活性化と炎症
   3)形質細胞様樹状細胞・マクロファージの抗ウイルス作用
   4)NK細胞
   5)補体系
   6)その他の血漿蛋白質
   7)自然免疫と獲得免疫の相互作用
 III MHC分子による獲得免疫系への抗原提示
  1 抗原提示細胞による外来性抗原の取り込み
  2 MHC分子
   1)MHCの多型と免疫応答性
   2)MHC分子の構造
   3)MHC分子の種類と発現細胞
   4)MHCハプロタイプ
   5)MHC分子の多型性の意義
  3 抗原蛋白質のプロセシング
   1)外来性抗原の提示
   2)内因性抗原の提示
 IV 抗体の構造と機能
  1 抗体の基本構造
   1)抗体の基本的な構造単位
   2)抗原と抗体の結合様式
   3)抗体の多様性のメカニズム
  2 各クラスの抗体の特徴
   1)IgG
   2)IgA
   3)IgM
   4)IgD
   5)IgE
   6)抗体のアイソタイプ・アロタイプ・イディオタイプ
  3 ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体
   1)ポリクローナル抗体の作製法
   2)モノクローナル抗体の作製法
 V 獲得免疫
  1 T細胞の抗原レセプター
  2 T細胞の活性化に必要な分子群
   1)共受容体とTCR複合体
   2)共刺激分子
   3)接着分子
  3 T細胞活性化の生化学的経路
  4 B細胞の抗原レセプターと活性化
  5 ヘルパーT細胞のエフェクター機構
  6 B細胞の抗体産生におけるヘルパーT細胞の役割
   1)同一の抗原に特異的なT細胞との相互作用
   2)抗体産生細胞への分化とクラススイッチ
   3)抗体の親和性の増加
   4)形質細胞・メモリーB細胞への分化
  7 T細胞非依存性抗原
  8 細胞傷害性T細胞のエフェクター機構
  9 免疫反応の抑制・終息
  10 腫瘍免疫
   1)CAR-T療法
   2)免疫チェックポイント阻害薬療法
 VI 補体系の役割
  1 各経路の前半部分
   1)別経路
   2)古典経路
   3)レクチン経路
  2 各経路の後半部分
  3 補体系のその他の機能
  4 補体系活性化の調節機構
 VII 能動免疫・受動免疫・免疫の発達と老化
  1 能動免疫
  2 受動免疫
  3 免疫の発達と老化
   1)免疫の発達
   2)免疫の老化
第2章 免疫学的検査が有用な疾患
 I 免疫学的検査が有用な感染症
  1 細菌感染症
   1)連鎖球菌感染症
   2)インフルエンザ菌感染症
   3)レジオネラ感染症
   4)百日咳
   5)ブルセラ症
   6)ヘリコバクター・ピロリ感染症
   7)ライム(Lyme)病
   8)梅毒(syphilis)
   9)クラミジア感染症
   10)リケッチア感染症
   11)マイコプラズマ感染症
   12)結核(tuberculosis)
   13)クロストリディオイデス・ディフィシル感染症
  2 ウイルス感染症
   1)ヘルペスウイルス群感染症
   2)アデノウイルス感染症
   3)ヒトパルボウイルスB19感染症
   4)インフルエンザ
   5)パラミクソウイルス感染症
   6)風疹(rubella)
   7)日本脳炎(Japanese encephalitis)
   8)コクサッキーウイルス感染症,エコーウイルス感染症
   9)ロタウイルス感染症
   10)ノロウイルス感染症
   11)コロナウイルス感染症
   12)レトロウイルス感染症
   13)ウイルス性肝炎
  3 真菌感染症
   1)カンジダ症
   2)アスペルギルス症
   3)クリプトコックス症
  4 寄生虫感染症
   1)赤痢アメーバ症
   2)トキソプラズマ症
   3)アニサキス症
   4)エキノコックス症
 II アレルギー
  1 I型アレルギー
  2 II型アレルギー
  3 III型アレルギー
  4 IV型アレルギー
 III 自己免疫疾患
  1 組織特異的自己免疫疾患
   1)慢性甲状腺炎(chronic thyroiditis)
   2)Basedow(バセドウ)病(Basedow disease,Graves disease)
   3)重症筋無力症(myasthenia gravis)
   4)悪性貧血(pernicious anemia)
   5)自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia;AIHA)
   6)特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura;ITP)
   7)原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis;PBC)
   8)自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis)
   9)Goodpasture(グッドパスチャー)症候群(Goodpasture syndrome)
   10)1型糖尿病(type 1 diabetes mellitus)
  2 全身性自己免疫疾患(膠原病)
   1)全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)
   2)全身性強皮症(systemic sclerosis;SSc)
   3)多発性筋炎(polymyositis;PM),皮膚筋炎(dermatomyositis;DM)
   4)混合性結合組織病(mixed connective tissue disease;MCTD)
   5)関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)
   6)血管炎症候群
   7)抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome;APS)
   8)Sjogren(シェーグレン)症候群(Sjogren syndrome;SS)
 IV M蛋白血症・原発性免疫不全症
  1 M蛋白血症
   1)意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance;MGUS)
   2)多発性骨髄腫(multiple myeloma)
   3)原発性マクログロブリン血症
   4)H鎖病(heavy chain disease)
  2 原発性免疫不全症
   1)複合免疫不全症
   2)特徴的な臨床症状を呈する複合免疫不全症
   3)抗体産生不全を主とする疾患
   4)免疫調節異常症
   5)食細胞の数または機能の異常症
   6)自然免疫の異常症
   7)補体系構成要素の欠損症
第3章 試験管内抗原抗体反応の基礎
 I 抗原および抗原抗体反応
  1 抗原の種類
   1)機能による分類
   2)存在形式による分類
  2 抗原抗体反応の性質
   1)抗原と抗体の間に働く作用
   2)親和性(affinity)
   3)結合性(avidity)
   4)特異性と交差反応
  3 抗原抗体反応に影響する因子
   1)抗原と抗体の濃度
   2)塩濃度
   3)水素イオン濃度(pH)
   4)温度
 II 血清分離,抗体の精製
  1 血清の分離法
  2 血清の保存法
  3 抗体の精製法
   1)塩析(salting out)
   2)イオン交換クロマトグラフィ(ion exchange chromatography)
   3)ゲル濾過クロマトグラフィ(gel filtration chromatography)
   4)アフィニティクロマトグラフィ(affinity chromatography)
 III 沈降反応
  1 混合法
  2 ゲル内免疫拡散法
   1)二重免疫拡散法(double immunodiffusion)
 IV 凝集反応
  1 凝集反応に関与する抗原と抗体
  2 凝集反応の機序
  3 凝集反応に影響する因子
  4 凝集反応の種類
   1)直接凝集反応(direct agglutination test)
   2)間接(受身)凝集反応[indirect(passive)agglutination test]
   3)間接(受身)凝集抑制反応[indirect(passive)agglutination inhibition test]
  5 凝集反応に用いられる担体の異常反応
 V 溶解反応
  1 溶解反応に関与する抗原と抗体
  2 溶解反応の機序
  3 溶解反応の種類
   1)溶菌反応(bacteriolysis)
   2)溶血反応(hemolysis)
  4 溶解反応の臨床応用
   1)血清補体価(CH50)の測定
   2)Ham(ハム)試験
   3)リンパ球細胞傷害試験(lymphocyte cytotoxicity test;LCT)
  5 溶血素と補体の相補性
  6 補体結合反応(complement fixation reaction;CF reaction)(補体結合試験,CF試験)
   1)補体結合反応の機序
   2)補体結合反応にあずかる抗原
   3)補体結合反応にあずかる抗体
   4)補体結合反応に影響を与える要因
 VI 中和反応
  1 中和反応に関与する抗体
  2 中和反応の種類
   1)毒素中和反応
   2)ウイルスおよびリケッチア中和反応
  3 トキソイド
 VII 非標識免疫測定法
  1 免疫比濁法(turbidimetric immunoassay;TIA)
   1)測定原理
   2)特徴
  2 免疫比ろう法(nephelometric immunoassay;NIA)
   1)測定原理
   2)特徴
  3 ラテックス凝集免疫比濁法(latex turbidimetric immunoassay;LTIA)
   1)測定原理
   2)特徴
  4 ラテックス凝集免疫比ろう法(latex nephelometric immunoassay;LNIA)
   1)測定原理
   2)特徴
 VIII 標識免疫測定法
  1 酵素免疫測定法(enzyme immunoassay;EIA)
   1)不均一測定法(heterogeneous EIA)
   2)均一測定法(homogeneous EIA)
   3)ELISA(enzyme-linked immuno sorbent assay)
  2 発光免疫測定法
   1)化学発光免疫測定法(chemiluminescence immunoassay;CLIA)
   2)化学発光酵素免疫測定法(chemiluminescence enzyme immunoassay;CLEIA)
   3)電気化学発光免疫測定法(electrochemiluminescence immunoassay;ECLIA)
   4)生物発光免疫測定法(biochemiluminescence immunoassay;BCLIA)
  3 蛍光免疫測定法
   1)蛍光偏光免疫測定法(fluorescence polarization immunoassay;FPIA)
   2)蛍光抗体法
  4 イムノクロマトグラフィ(immunochromatography;IC)
  5 インターフェロンγ遊離試験(interferon gamma release assay;IGRA)
  6 フローサイトメトリ(flow cytometry;FCM)
 IX 電気泳動法
  1 免疫電気泳動法(immunoelectrophoresis;IEP)
   1)原理および特徴
   2)検査の意義
   3)検査のポイント
  2 免疫固定電気泳動法(immunofixation electrophoresis;IFE)
   1)原理および特徴
   2)検査の意義
   3)検査のポイント
  3 ウエスタンブロッティング(western blotting;WB)法
   1)原理および特徴
   2)検査の意義
   3)検査のポイント
  4 ラインイムノアッセイ(line immunoassay;LIA)
   1)原理および特徴
   2)検査の意義
第4章 試験管内抗原抗体反応の応用
 I 感染症の免疫学的検査
  1 化膿レンサ球菌(A群β溶血性連鎖球菌,溶連菌)感染症
   1)溶連菌関連検査【抗原検査】
   2)溶連菌関連検査【抗体検査】
  2 梅毒
   1)抗カルジオリピン抗体(抗CL抗体)関連検査
   2)抗梅毒トレポネーマ抗体(抗TP抗体)関連検査
   3)臨床的意義
  3 クラミジア感染症
   1)クラミジア関連検査【抗原検査】
   2)クラミジア関連検査【抗体検査】
   3)臨床的意義
  4 リケッチア感染症
  4-1 日本紅斑熱
  4-2 ツツガムシ病
   1)ツツガムシ関連検査【抗体検査】
   2)臨床的意義
  5 マイコプラズマ感染症
   1)マイコプラズマ関連検査【抗原検査】
   2)マイコプラズマ関連検査【抗体検査】
  6 ヘルペスウイルス群感染症
  6-1 単純ヘルペスウイルス感染症
   1)HSV関連検査【抗原検査】
   2)HSV関連検査【抗体検査】
  6-2 水痘・帯状疱疹ウイルス感染症
  6-3 EBウイルス感染症
   1)EBV関連抗体検出法
  6-4 サイトメガロウイルス感染症
   1)CMV関連検査【抗原検査】
   2)CMV関連検査【抗体検査】
  7 レトロウイルス感染症
  7-1 ヒト免疫不全ウイルス感染症
   1)HIV関連検査【スクリーニング検査】
   2)HIV関連検査【確認検査】
   3)臨床的意義
  7-2 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染症
   1)HTLV-1関連検査【スクリーニング検査】
   2)HTLV-1関連検査【確認検査】
  8 ウイルス性肝炎
  8-1 A型肝炎
   1)HAV関連検査【抗体検査】
   2)臨床的意義
  8-2 B型肝炎
   1)HBV関連検査【抗原検査】
   2)HBV関連検査【抗体検査】
   3)臨床的意義
  8-3 C型肝炎
   1)HCV関連検査【抗原検査】
   2)HCV関連検査【抗体検査】
   3)臨床的意義
  8-4 D型肝炎
   1)HDV関連検査
   2)臨床経過
  8-5 E型肝炎
   1)HEV関連検査
   2)臨床経過
 II アレルギー検査
  1 総IgE(非特異的IgE)の定量
   1)検査の目的と特徴
   2)測定法
  2 特異的IgE抗体の検査
   1)検査の目的と特徴
   2)測定法
  3 アレルギー関連物質の検査
   1)ヒスタミン遊離試験(histamine release test;HRT)
   2)好酸球塩基性蛋白(ECP)測定
 III 自己免疫疾患関連検査
  1 関節リウマチ関連抗体
   1)RFの測定法
   2)抗CCP抗体の測定法
   3)基準範囲
   4)検査の注意点
   5)RFの臨床的意義
   6)抗CCP抗体とRAの発症
  2 抗核抗体関連検査
   1)間接蛍光抗体法による抗核抗体検査
   2)特異的抗原を用いた抗核抗体検査
  3 抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibodies;AMA)
   1)AMAの測定法
   2)基準範囲
   3)検査のポイント
   4)AMAの臨床的意義
  4 甲状腺自己抗体検査
   1)抗サイログロブリン抗体(anti-thyroglobulin antibody)
   2)抗マイクロソーム抗体(anti-thyroid microsomal antibody)
   3)抗TSHレセプター抗体(anti-TSH receptor antibody)
 IV 免疫不全症関連検査
  1 液性免疫系
  2 細胞性免疫系
   1)リンパ球サブセット解析
   2)末梢血単核球の分離
   3)マイトジェン刺激(幼若化)試験
   4)NK細胞活性(NK cell activity)
   5)サイトカイン定量
   6)好中球(食細胞)機能検査
  3 補体系
   1)補体価および補体成分蛋白の検査
   2)補体制御蛋白の検査
 V 腫瘍マーカー検査
  1 胎児性抗原
   1)CEA
   2)AFP
  2 糖鎖抗原
   1)I型基幹糖鎖
   2)II型基幹糖鎖
   3)コア蛋白
  3 蛋白抗原
   1)CYFRA
   2)PSA
   3)SCC抗原
   4)PIVKA-II
   5)proGRP
   6)NSE
 VI 血清蛋白異常症関連検査
  1 免疫グロブリン
   1)IgG,IgA,IgMの測定
   2)IgDの測定
   3)IgEの測定
   4)IgGサブクラスの測定
   5)免疫グロブリン測定の臨床的意義
   6)異常免疫グロブリンの検査
  2 温度依存性蛋白
   1)クリオグロブリン(cryoglobulin)
   2)パイログロブリン(pyroglobulin)
   3)Bence Jones蛋白(Bence Jones protein;BJP)
  3 遊離L鎖,κ/λ比
   1)遊離L鎖,κ/λ比の測定法
   2)FLC,κ/λ比の基準範囲
   3)FLC,κ/λ比測定の臨床的意義
  4 補体
   1)補体の測定法
   2)基準範囲
   3)検査のポイント
   4)補体測定の臨床的意義
  5 CRP
   1)CRPの測定法
   2)基準範囲
   3)検査のポイント
   4)CRP測定の臨床的意義
第5章 輸血・移植のための検査学
 I 輸血療法とは
  1 輸血の歴史
  2 輸血の目的と特性
  3 輸血の種類
   1)同種血輸血と自己血輸血
   2)全血輸血と成分輸血
  4 輸血に関する通達・法律(血液法)
  5 輸血についてのインフォームドコンセント
 II 輸血用血液製剤の種類と特性
  1 血液製剤
  2 供血者(献血者)の基準
  3 全血採血と成分採血
   1)全血採血
   2)血小板成分採血
   3)血漿成分採血
  4 血液製剤の種類と製造方法
  5 血液製剤に対する安全対策
   1)血小板製剤の外観検査
   2)血小板製剤のスワーリング
   3)血液バッグのセグメントチューブ
   4)供血者検体の保存
  6 細胞保存液
   1)赤血球の保存液
   2)血小板の保存液
   3)凍結保護液
  7 献血者血液の検査
   1)献血受付時の検査
   2)全献血者血液について行っている検査(品質部門:検査部門)
   3)一部の献血者血液への検査(品質部門:検査部門)
 III 輸血の適応と製剤の選択
  1 血液製剤の使用指針
  2 輸血療法の原則
  3 赤血球液の投与
  4 血小板濃厚液の投与
  5 新鮮凍結血漿の投与
  6 アルブミン製剤の投与
 IV 自己血輸血
  1 自己血輸血の利点と問題点
   1)利点
   2)問題点
  2 自己血輸血の種類とそれぞれの特徴
   1)貯血式自己血輸血
   2)希釈式自己血輸血
   3)回収式自己血輸血
  3 貯血式自己血採血の実際
   1)貯血計画
   2)採血前診察(問診)
   3)採血時
  4 貯血式自己血輸血の保管管理と輸血時の注意点
   1)保管管理
   2)輸血時の注意点
 V 輸血前に必要な検査
  1 検査用検体
   1)患者検体(血液)
   2)検体の外観(溶血・乳び)
   3)検体の取り扱い
   4)検体の保管
  2 ABO/RhD血液型の目的
  3 不規則抗体スクリーニング・同定検査および交差適合試験の目的
  4 輸血時の輸血検査
   1)ABO血液型の検査
   2)RhD抗原の検査
   3)不規則抗体スクリーニング・同定検査
   4)乳児の検査
   5)交差適合試験
  5 タイプアンドスクリーンとコンピュータクロスマッチ
   1)タイプアンドスクリーン(type and screen)
   2)コンピュータクロスマッチ
 VI 血液型とその検査
  1 血液型総論
  2 ABO血液型
   1)ABO血液型の歴史とLandsteinerの法則
   2)ABO血液型抗原の生合成と構造
   3)出現頻度
   4)遺伝形式とABO遺伝子
   5)分泌型と非分泌型
   6)亜型と変種
   7)cisAB型
   8)キメラ,モザイク
   9)ABO血液型の後天性変化
   10)ABO血液型の検査方法
   11)臨床的意義
  3 Rh血液型
   1)Rh血液型の歴史
   2)抗原と抗体
   3)D陽性とD陰性
   4)各抗原の免疫原性
   5)出現頻度
   6)Rh血液型の表記法(表現型と遺伝子型)
   7)遺伝子と遺伝形式
   8)変異型
   9)RhD血液型の検査方法
   10)臨床的意義,輸血上の注意,胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)
  4 MNS血液型
   1)遺伝子
   2)特徴
   3)抗体の臨床的意義
  5 P1PK血液型とGloboside(グロボシド)血液型
   1)特徴
   2)抗体の臨床的意義
  6 Lutheran(ルセラン)血液型
   1)遺伝子
   2)特徴
   3)抗体の臨床的意義
  7 Kell(ケル)血液型
   1)遺伝子
   2)特徴
   3)抗体の臨床的意義
  8 Lewis(ルイス)血液型
   1)遺伝子
   2)特徴
   3)抗体の臨床的意義
  9 Duffy(ダフィ)血液型
   1)遺伝子
   2)特徴
   3)抗体の臨床的意義
  10 Kidd(キッド)血液型
   1)遺伝子
   2)特徴
   3)抗体の臨床的意義
  11 Diego(ディエゴ)血液型
   1)遺伝子
   2)特徴
   3)抗体の臨床的意義
  12 I血液型
   1)遺伝子
   2)特徴
   3)抗体の臨床的意義
  13 Xg血液型
   1)遺伝子
   2)特徴
   3)抗体の臨床的意義
  14 高頻度抗原と低頻度抗原
  15 まれな血液型
 VII 抗赤血球抗体検査
  1 規則抗体と不規則抗体
  2 完全抗体と不完全抗体
   1)完全抗体(complete antibody)
   2)不完全抗体(incomplete antibody)
  3 不規則抗体検査法
   1)検体
   2)不規則抗体スクリーニング赤血球
   3)不規則抗体スクリーニングの実際
  4 不規則抗体検査の特徴,結果の解釈
   1)生理食塩液法
   2)蛋白分解酵素法
   3)間接抗グロブリン試験
   4)アルブミン法
  5 反応態度による抗体の鑑別
  6 凝集反応の見方と分類
  7 不規則抗体スクリーニングの判定法
  8 不規則抗体同定検査
   1)不規則抗体同定用パネル赤血球
   2)検査法
   3)不規則抗体同定検査の判定法
   4)新生児・乳児の不規則抗体検査
  9 直接抗グロブリン試験と間接抗グロブリン試験
   1)直接抗グロブリン試験
   2)間接抗グロブリン試験
 VIII 交差適合試験
  1 交差適合試験の目的
  2 交差適合試験に用いる検体
  3 輸血用血液の選択
   1)基本的な製剤選択
   2)緊急時および大量輸血時の製剤選択
   3)造血幹細胞移植時の製剤選択
  4 交差適合試験の方法
   1)生理食塩液法
   2)酵素法
   3)間接抗グロブリン試験
  5 結果の解釈
   1)主試験が陽性の場合
   2)副試験が陽性の場合
   3)自己対照が陽性の場合
   4)技術的な誤り
  6 交差適合試験の省略
   1)赤血球製剤(赤血球液)と全血製剤の使用時
   2)血漿製剤(新鮮凍結血漿)と血小板製剤(濃厚血小板)の使用時
   3)コンピュータクロスマッチ
  7 交差適合試験の限界
   1)遅発性溶血性輸血反応(DHTR)が生じる可能性がある
   2)RhD不適合の検出はできない
   3)血液型抗原による免疫(感作)の防止はできない
   4)非溶血性輸血反応の防止はできない
   5)検査方法による限界
   6)検査ミスの防止はできない
 IX 自動輸血検査装置を用いた輸血検査
  1 カラム凝集法
   1)カラム凝集法における密度(比重)勾配遠心法の原理
  2 マイクロプレート法
   1)直接凝集法
   2)固相法
 X 輸血検査における精度管理
  1 医療関係者の責務
  2 内部精度管理,外部精度管理
 XI 自己免疫性溶血性貧血と自己抗体
  1 自己抗体の種類と特異性
   1)温式抗体
   2)冷式抗体
  2 薬剤性の自己免疫性溶血性貧血
   1)病型
   2)臨床像・検査所見
   3)治療
   4)セファロスポリンによる直接抗グロブリン試験の陽性化
 XII 母児間血液型不適合と胎児・新生児溶血性疾患
  1 胎児・新生児溶血性疾患とは
  2 血液型不適合妊娠による胎児・新生児溶血性疾患のメカニズム
  3 原因となる抗赤血球抗体
  4 ABO不適合妊娠とRh不適合妊娠の比較
  5 母体血の間接抗グロブリン試験
  6 臍帯血・新生児血の直接抗グロブリン試験
  7 胎児・新生児溶血性疾患の治療と予防
   1)既感作妊婦と胎児の管理
   2)胎児・新生児溶血性疾患の治療
   3)未感作妊婦の管理
 XIII 輸血副反応
  1 輸血副反応の種類と分類
  2 溶血性輸血反応
   1)免疫学的溶血と非免疫学的溶血
   2)血管内溶血と血管外溶血
   3)即時型溶血と遅発型溶血
  3 血管内溶血
   1)主な症状
   2)主な検査所見
   3)血管内溶血の病態生理
   4)血管内溶血への対処法
   5)ABO不適合輸血の発生原因
   6)ABO不適合輸血事故の防止対策
  4 血管外溶血
   1)主な症状
   2)防止対策
  5 非溶血性輸血反応
   1)輸血後GVHD(PT-GVHD)
   2)アレルギー性輸血反応
   3)非溶血性発熱性輸血反応(febrile non-hemolytic reaction;FNHR)
   4)輸血関連急性肺障害(transfusionrelated acute lung injury;TRALI)
   5)輸血関連循環過負荷(transfusion associated circulatory overload;TACO)
   6)輸血後感染症
   7)その他の病態
   8)非溶血性輸血反応防止・減少のための方法
  6 輸血副反応・感染症の報告体制
 XIV HLA検査
  1 HLA検査の種類と応用分野
   1)HLA抗原型検査
   2)抗HLA抗体検査
   3)HLA検査の応用分野
  2 HLAと疾患感受性
  3 血小板輸血不応とHLA適合血小板
   1)血小板輸血不応の機序
   2)HLA適合血小板にかかる検査と供給システム
   3)輸血後の評価
 XV 血小板抗原
  1 血小板抗原系
  2 血小板上の抗原と検出される抗体
   1)ヒト血小板抗原(HPA)
   2)HLA抗原(クラスI)
   3)ABO血液型抗原
   4)血小板膜糖蛋白(GP)の欠損で産生される抗体(イソ抗体)
  3 HPAの臨床的意義
   1)新生児血小板減少症(NAIT)
   2)血小板輸血不応(PTR)
   3)輸血関連急性肺障害(TRALI)
   4)輸血後紫斑病(post-transfusion purpura;PTP)
  4 抗血小板抗体検査法
   1)混合受身凝集(mixed passive hemagglutination;MPHA)法
   2)MAIPA(monoclonal antibody-specific immobilization of platelet antigen)法
   3)蛍光ビーズ法(Luminex法)
   4)その他の血小板抗体検査方法
 XVI 顆粒球抗原
  1 顆粒球抗原系
   1)HNA-1抗原系
   2)HNA-2抗原系
   3)その他の抗原系
  2 顆粒球抗原・抗体検査
   1)血清学的検査
   2)DNAタイピング法
  3 HNAの臨床的意義
 XVII 成分採血
  1 成分採血の種類と原理
  2 使用器具
  3 手技と注意点
   1)事前準備
   2)患者/ドナーへの説明
   3)穿刺部位の決定
   4)消毒
   5)穿刺とルートの接続
   6)固定
   7)アフェレーシス
   8)終了後の抜針
  4 抗凝固剤
  5 末梢血幹細胞採取
   1)採取前の末梢血中CD34陽性細胞数測定
   2)採取産物中のCD34陽性細胞数測定
   3)末梢血幹細胞の処理と保存
  6 血漿採取
  7 血小板採取
  8 リンパ球採取
 XVIII 移植
  1 移植の種類
  2 拒絶反応
  3 移植が行われる臓器・組織・細胞
   1)腎臓移植
   2)心臓移植
   3)肝臓移植
   4)組織の移植
  4 臓器移植に際して必要な検査
   1)HLA
   2)血液型
  5 免疫抑制薬
  6 造血幹細胞移植
   1)造血幹細胞とは
   2)造血幹細胞・造血前駆細胞の同定法
   3)造血幹細胞移植とはどのような治療法か
   4)造血幹細胞移植の目的,対象となる疾患
   5)造血幹細胞移植の種類
   6)同種移植の場合のドナーの選択
   7)同種造血幹細胞移植と免疫反応
   8)同種移植と自家移植の比較
   9)造血幹細胞移植の合併症
   10)造血幹細胞移植の治療成績

 付表A 免疫検査学関連の主なCD抗原
 付表B 主なサイトカイン
 付表C 主な接着分子
 参考文献/URL
 索引