序文
臨床検査技師は,医師や看護師と同じように,当然,医療従事者である.とくに,患者に直接対面する生理機能検査に携わる臨床検査技師は,検査施行時に患者(被検者)が突然に意識障害,呼吸停止,心停止,もしくはこれらに近い状態に陥った症例に遭遇する可能性が少なくない.また,患者(被検者)の急変時に,医療スタッフの一員としてどのように対応すればよいのか判断に苦慮した経験をもつ臨床検査技師も少なくないはずである.
急病やケガが起こった場合,患者の状態は時間の経過とともに悪化し,医師が現場に到着するまでのわずか数分が予後を大きく左右するといっても過言ではない.ゆえに,緊急時に現場に居合わせた臨床検査技師が正しい応急手当の知識と技術をもっていて,適切な手当を行うことが切望されている.
「救急法」とは,傷病者を速やかに救助し,医師に渡すまでの応急の手当である.本書は,検査施行時に発生する可能性の多い急病やケガを取り上げて,医師の手に委ねるまでの間に臨床検査技師が行う手当について解説したマニュアル書である.内容としては,救急蘇生法,生理機能検査におけるパニックケース,検体検査におけるパニックバリューに分けて,臨床検査技師が身につけておくことが必要な救急医療のテーマを収載した.しかし,緊急時における対応は,けっして臨床検査技師の力量にすべて委ねられるものではないことを銘記しておいてほしい.
本書の執筆に際し,「救急蘇生法」に関しては心肺蘇生法委員会(日本救急医療財団)のもとに作成され,平成14年1月に(株)へるす出版より発行された『[改訂版]救急蘇生法の指針(医師用)』を参考図書とした.
なお,本書の企画から出版までご協力いただいた担当編集者桃井輝夫氏をはじめ医歯薬出版株式会社に厚くお礼申し上げたい.
2003年3月
〆谷直人
臨床検査技師は,医師や看護師と同じように,当然,医療従事者である.とくに,患者に直接対面する生理機能検査に携わる臨床検査技師は,検査施行時に患者(被検者)が突然に意識障害,呼吸停止,心停止,もしくはこれらに近い状態に陥った症例に遭遇する可能性が少なくない.また,患者(被検者)の急変時に,医療スタッフの一員としてどのように対応すればよいのか判断に苦慮した経験をもつ臨床検査技師も少なくないはずである.
急病やケガが起こった場合,患者の状態は時間の経過とともに悪化し,医師が現場に到着するまでのわずか数分が予後を大きく左右するといっても過言ではない.ゆえに,緊急時に現場に居合わせた臨床検査技師が正しい応急手当の知識と技術をもっていて,適切な手当を行うことが切望されている.
「救急法」とは,傷病者を速やかに救助し,医師に渡すまでの応急の手当である.本書は,検査施行時に発生する可能性の多い急病やケガを取り上げて,医師の手に委ねるまでの間に臨床検査技師が行う手当について解説したマニュアル書である.内容としては,救急蘇生法,生理機能検査におけるパニックケース,検体検査におけるパニックバリューに分けて,臨床検査技師が身につけておくことが必要な救急医療のテーマを収載した.しかし,緊急時における対応は,けっして臨床検査技師の力量にすべて委ねられるものではないことを銘記しておいてほしい.
本書の執筆に際し,「救急蘇生法」に関しては心肺蘇生法委員会(日本救急医療財団)のもとに作成され,平成14年1月に(株)へるす出版より発行された『[改訂版]救急蘇生法の指針(医師用)』を参考図書とした.
なお,本書の企画から出版までご協力いただいた担当編集者桃井輝夫氏をはじめ医歯薬出版株式会社に厚くお礼申し上げたい.
2003年3月
〆谷直人
序文
I.被検者(検査患者)の急変時における臨床検査技師の対応
1-序論
1.患者の緊急症(急病)
2.救急法
3.救急蘇生法および救急処置
4.救助者の自覚
5.救急蘇生法施行による法的問題
2-心肺蘇生法
1.心肺蘇生法とは
2.重症度の評価
1)意識状態の確認
2)呼吸状態の確認
3)循環状態の確認
1 脈拍の確認
2 心音の確認
3 血圧測定
4 心電図による診断
3.蘇生法の実際
1)気道の確保(用手的気道確保法)
1 頭部後屈顎先挙上法
2 下顎挙上法
3 気道確保の留意点
2)人工呼吸
1 頭部後屈顎先挙上法による口対口人工呼吸法
2 下顎挙上法による口対口人工呼吸法
3 口対鼻人工呼吸法
4 口対気管切開口人工呼吸法
5 マスクとアムビューバックによる方法
6 乳幼児に対する人工呼吸
7 人工呼吸による合併症と対策
8 人工呼吸の留意点
3)心(臓)マッサージ
1 胸骨圧迫心(臓)マッサージ
2 心肺蘇生法
3 小児や乳幼児に対する胸骨圧迫心(臓)マッサージ
4 胸骨圧迫心(臓)マッサージによる合併症と対策
5 胸骨圧迫心(臓)マッサージの留意点
4.蘇生法の効果の判定
1)心肺蘇生法の効果判定
2)心肺蘇生法の中止と終了
1 心肺蘇生法を中止してよい場合
2 心肺蘇生法の終了
5.体位管理と運搬
1)安静時の体位
1 意識がある場合
2 意識がない場合
2)体位の換え方
1 腹臥位から仰臥位への体位変換
2 仰臥位から腹臥位への体位変換
3)患者を運ぶ方法
1 3人で運ぶ方法
2 2人で運ぶ方法
3 1人で運ぶ方法
6.救急連絡
1 医師への連絡
2 医師の到着までにしておくべきこと
7.心肺蘇生法のまとめ
1)心肺蘇生法の手順
1 患者に急変が発生したときのポイント
2 心肺蘇生法を行うときのポイント
2)医師が行うCritical Care
1 呼吸に関する蘇生法
2 循環に関する蘇生法
3)年齢別の心肺蘇生法
3-蘇生用具・用品
1.臨床検査部内に常備しておく用具
2.救急カート
1)救急蘇生法に用いる器具
2)救急蘇生法に用いる医薬品
1 酸素
2 輸液
3 消毒用のイソジンとアルコール
4 救急医薬品
COFFEE BREAK ホルター心電図装着中に突然死した症例の症例検討
II.生理機能検査とパニックケース
1-パニックケース
1.パニックケースとは
2.パニックケースとその対応
1)各種生理機能検査におけるパニックケースと対応
1 循環機能検査・循環超音波検査
2 腹部(一般)超音波検査
3 呼吸機能検査
4 脳波検査
5 筋電図検査
6 採血
2)検査全般に関するパニックケースと対応
1 機器類のトラブル
2 臨床検査技師の過失によるトラブル
3 患者からの苦情処理
3.インシデントおよびアクシデント
1)インシデントおよびアクシデントとは
2)アクシデントおよびインシデントレポート
2-症状対応の応急手当
1.外傷に対する応急手当
1)末梢血管の外傷と止血法
1 末梢血管の外傷
2 止血法
3 鼻出血
2)頭部外傷
3)顔面外傷
4)胸部外傷
5)腹部外傷
6)四肢外傷
1 骨折
2 脱臼
3 捻挫
4 打撲傷
7)熱傷と化学薬品による損傷
1 熱傷
2 化学薬品による損傷
2.急病に対する応急手当
1)意識障害疾患
1 意識障害
2 失神
3 めまい
4 頭痛
5 けいれん(てんかんを含む)
2)呼吸系の緊急症
1 呼吸困難(チアノ-ゼを含む)
2 咳嗽発作(気管支喘息発作を含む)
3 過換気症候群
3)循環系の緊急症
1 胸痛(狭心症・急性心筋梗塞,解離性大動脈瘤など)
2 動悸
3 不整脈(ペースメーカーの故障を含む)
4 高血圧性緊張症
4)腹部の疼痛疾患
1 腹痛
2 急性腹症
5)ショック
1 ショックの症候
2 ショックに対する予防処置
6)血管迷走神経反射(vaso-vagl reflex;VVR)
1 誘因
2 症状
3 手当と処置
4 予防
7)興奮状態・急性精神異常
1 チェックの仕方
2 疾患に随伴する興奮の鑑別点
3 対応の仕方
COFFEE BREAK心電図検査における緊急報告の標準化(緊急報告すべき心電図異常所見の設定)
III.緊急検査とパニックバリュー
1-緊急検査
1.緊急検査とは
2.緊急検査の概要
1)救急検査
2)緊急検査
1 必須緊急検査項目
2 重要緊急検査項目
2-パニックバリュー
1.パニックバリューとは
2.パニックバリューの背景
3.パニックバリューと予想される危険な病態
4.パニックバリューの設定と対応
3-POCT
1.POCTとは
2.POCTの利点
3.POCTの現状と展望
COFFEE BREAK 異常値症例の症例検討
参考
循環のサイン
瞳孔の調べ方
救急薬剤の気管内散布法と心腔内穿刺法
ひきつけ
静脈血採血と毛細血管採血の注意事項
患者などによる暴力行為への対応
直接的医療過誤と間接的医療過誤
髄膜刺激徴候
脈管抑制性失神
チアノーゼ
気管支喘息
ペースメーカーの故障
心因性精神疾患
獨協医科大学越谷病院におけるパニックバリュー設定の経緯と通知方法
I.被検者(検査患者)の急変時における臨床検査技師の対応
1-序論
1.患者の緊急症(急病)
2.救急法
3.救急蘇生法および救急処置
4.救助者の自覚
5.救急蘇生法施行による法的問題
2-心肺蘇生法
1.心肺蘇生法とは
2.重症度の評価
1)意識状態の確認
2)呼吸状態の確認
3)循環状態の確認
1 脈拍の確認
2 心音の確認
3 血圧測定
4 心電図による診断
3.蘇生法の実際
1)気道の確保(用手的気道確保法)
1 頭部後屈顎先挙上法
2 下顎挙上法
3 気道確保の留意点
2)人工呼吸
1 頭部後屈顎先挙上法による口対口人工呼吸法
2 下顎挙上法による口対口人工呼吸法
3 口対鼻人工呼吸法
4 口対気管切開口人工呼吸法
5 マスクとアムビューバックによる方法
6 乳幼児に対する人工呼吸
7 人工呼吸による合併症と対策
8 人工呼吸の留意点
3)心(臓)マッサージ
1 胸骨圧迫心(臓)マッサージ
2 心肺蘇生法
3 小児や乳幼児に対する胸骨圧迫心(臓)マッサージ
4 胸骨圧迫心(臓)マッサージによる合併症と対策
5 胸骨圧迫心(臓)マッサージの留意点
4.蘇生法の効果の判定
1)心肺蘇生法の効果判定
2)心肺蘇生法の中止と終了
1 心肺蘇生法を中止してよい場合
2 心肺蘇生法の終了
5.体位管理と運搬
1)安静時の体位
1 意識がある場合
2 意識がない場合
2)体位の換え方
1 腹臥位から仰臥位への体位変換
2 仰臥位から腹臥位への体位変換
3)患者を運ぶ方法
1 3人で運ぶ方法
2 2人で運ぶ方法
3 1人で運ぶ方法
6.救急連絡
1 医師への連絡
2 医師の到着までにしておくべきこと
7.心肺蘇生法のまとめ
1)心肺蘇生法の手順
1 患者に急変が発生したときのポイント
2 心肺蘇生法を行うときのポイント
2)医師が行うCritical Care
1 呼吸に関する蘇生法
2 循環に関する蘇生法
3)年齢別の心肺蘇生法
3-蘇生用具・用品
1.臨床検査部内に常備しておく用具
2.救急カート
1)救急蘇生法に用いる器具
2)救急蘇生法に用いる医薬品
1 酸素
2 輸液
3 消毒用のイソジンとアルコール
4 救急医薬品
COFFEE BREAK ホルター心電図装着中に突然死した症例の症例検討
II.生理機能検査とパニックケース
1-パニックケース
1.パニックケースとは
2.パニックケースとその対応
1)各種生理機能検査におけるパニックケースと対応
1 循環機能検査・循環超音波検査
2 腹部(一般)超音波検査
3 呼吸機能検査
4 脳波検査
5 筋電図検査
6 採血
2)検査全般に関するパニックケースと対応
1 機器類のトラブル
2 臨床検査技師の過失によるトラブル
3 患者からの苦情処理
3.インシデントおよびアクシデント
1)インシデントおよびアクシデントとは
2)アクシデントおよびインシデントレポート
2-症状対応の応急手当
1.外傷に対する応急手当
1)末梢血管の外傷と止血法
1 末梢血管の外傷
2 止血法
3 鼻出血
2)頭部外傷
3)顔面外傷
4)胸部外傷
5)腹部外傷
6)四肢外傷
1 骨折
2 脱臼
3 捻挫
4 打撲傷
7)熱傷と化学薬品による損傷
1 熱傷
2 化学薬品による損傷
2.急病に対する応急手当
1)意識障害疾患
1 意識障害
2 失神
3 めまい
4 頭痛
5 けいれん(てんかんを含む)
2)呼吸系の緊急症
1 呼吸困難(チアノ-ゼを含む)
2 咳嗽発作(気管支喘息発作を含む)
3 過換気症候群
3)循環系の緊急症
1 胸痛(狭心症・急性心筋梗塞,解離性大動脈瘤など)
2 動悸
3 不整脈(ペースメーカーの故障を含む)
4 高血圧性緊張症
4)腹部の疼痛疾患
1 腹痛
2 急性腹症
5)ショック
1 ショックの症候
2 ショックに対する予防処置
6)血管迷走神経反射(vaso-vagl reflex;VVR)
1 誘因
2 症状
3 手当と処置
4 予防
7)興奮状態・急性精神異常
1 チェックの仕方
2 疾患に随伴する興奮の鑑別点
3 対応の仕方
COFFEE BREAK心電図検査における緊急報告の標準化(緊急報告すべき心電図異常所見の設定)
III.緊急検査とパニックバリュー
1-緊急検査
1.緊急検査とは
2.緊急検査の概要
1)救急検査
2)緊急検査
1 必須緊急検査項目
2 重要緊急検査項目
2-パニックバリュー
1.パニックバリューとは
2.パニックバリューの背景
3.パニックバリューと予想される危険な病態
4.パニックバリューの設定と対応
3-POCT
1.POCTとは
2.POCTの利点
3.POCTの現状と展望
COFFEE BREAK 異常値症例の症例検討
参考
循環のサイン
瞳孔の調べ方
救急薬剤の気管内散布法と心腔内穿刺法
ひきつけ
静脈血採血と毛細血管採血の注意事項
患者などによる暴力行為への対応
直接的医療過誤と間接的医療過誤
髄膜刺激徴候
脈管抑制性失神
チアノーゼ
気管支喘息
ペースメーカーの故障
心因性精神疾患
獨協医科大学越谷病院におけるパニックバリュー設定の経緯と通知方法