第2 版の序
1973年にリハビリテーション医学全書第18巻として出版した『切断と義肢』は,その後の切断・義肢の進歩に合わせて,1983 年,1992 年,1999 年と改訂を行った.さらに2007 年にはリハビリテーション医学全書を離れた単行本とする形で改訂を実施した.しかし,切断の主原因であった末梢動脈疾患や悪性腫瘍などに対する治療技術のその後の著しい進歩,そして,筋電義手,骨格義肢などを中心とする著しい義肢の進歩,さらに障害者総合支援法に基づく義肢の継手の分類,義肢装具部門のJIS用語の見直しなど,多岐にわたる変化の中で,読者の方々のニーズに対応する必要性を強く感じるようになった.そこで,医歯薬出版株式会社と相談の上,今回,単行本の改訂第2版として本書を出版することとした.
この第2版については,とくに次の点に留意した.
1)切断者がわが師,地域が教科書
これは,私が多くの切断者の在宅での生活から学んだもので,この言葉を今でも座右の銘としている.単なる福祉先進国からの切断と義肢の紹介ではなく,第1版から心掛けてきた日本人の生活様式・文化・風土・気候に合う切断術と義肢の生活の場での装着現場を紹介することに務めた.
2)兵庫県における40 年間にわたる切断者の疫学調査
これは兵庫県の協力により小嶋功氏がライフワークとして取り組んだ,国際的に誇れる貴重な資料である.
3)末梢動脈疾患,悪性腫瘍に対する最近の治療法の進歩
切断の主原因である末梢動脈疾患における診断,治療法,悪性腫瘍の分類,治療法の進歩と切断術との関連などについて,最近の知見をまとめた.
4)義肢パーツの進歩の紹介
義肢のパーツはまさに日進月歩の世界であり,各主要メーカーにお願いして最近の資料をいただき紹介することとした.とくにお世話になったオットーボック・ジャパンの深谷香奈氏,オズールの楡木祥子氏,ナブステコの児玉義弘氏に御礼を申し上げたい.
5)義肢・装具部門のJIS福祉関連機器用語JIS T 0101の使用
平成27年5月20日に改正されたJIS用語に統一した.
6)障害者福祉施策と義肢交付制度の動向
障害者総合支援法による義肢の交付の動向,とくに義肢装具の標準規格化,義肢価格体系の改革,福祉用具法などについて新しい情報を記した.
7)補装具の完成用部品の機能区分整備
補装具評価検討会第I類にて,補装具の適切な支給実現のための制度・仕組みの提案に関する研究(平成27年3月)が行われた.今回,膝継手の機能区分整備が初めて行われ,委員長を務められた児玉義弘氏のご指導により,その成果を掲載させていただいた.我が国にとって初めての貴重な情報といえる.また,義足足部の改定については,第1版に引き続き野坂利也氏のご指導を受たことを心から御礼申し上げる.
8)国内外における義肢サービスの変遷
過去50 年における国内での日本義肢装具研究同好会から義肢装具学会誕生までの歩み,国際的にはISPO世界大会(2019年に再び神戸で開催決定),アジア義肢装具学会,義肢装具士の国際資格(Cat.1),日本財団支援によるタイ,インドネシア,フィリピン,スリランカにおける義肢装具教育施設の建設をはじめとする国際的な動きを紹介した.
兵庫県立総合リハビリテーションセンター切断プロジェクトチームに感謝
切断者のリハビリテーションは,医師,看護師,義肢装具士,理学療法士,作業療法士,リハエンジニア,臨床心理士,ソーシャルワーカーなど多職種によるチームアプローチ,多職種協働で行われることはご存じの通りである.しかし,私が最初に切断に取り組んだ1960年頃は専門職の教育・資格制度が無く,切断術,術後のケア,仮義足,本義足の製作,装着訓練等を一人でこなしていた.その成果が兵庫県立総合リハビリテーションセンターに活かされ,現在は,陳隆明先生をリーダーとする,下記に述べるような専門職を横断した切断プロジェクトが育ち,さらにロボットリハビリテーションに向けて進化しつつある.
リーダー:陳隆明(MD)
幸野秀志(MD),中村春基(OT),柴田八衣子(OT),古川宏(OT),溝部二十四(OT),大庭潤平(OT),小嶋功(PT),長倉裕二(PT),大藪弘子(PT),高瀬泉(PT),町田勝広(PT),佐久間香(PT),池原由布子(Ns),木原律子(Ns),嵯峨根奈央(Ns),高田久美子(Ns),松原裕幸(PO),小西克弘(PO),伊原秋義(PO),佐野太一(PO),田中真悟(PO),濱本雄次(PO),増田章人(PO),中川昭夫(Eng),赤澤康史(Eng),中村俊哉(Eng)
これまで43 年間にわたりこの『切断と義肢』の発行を継続できたのは,この兵庫県立総合リハビリテーションセンターの切断リハビリテーションプロジェクトを引き継ぎ,チームを育てていただいた陳隆明先生のリーダーシップと,すでにセンターを去られた方もおられるが多くのリハビリテーション専門職の皆様のご協力の賜である.そして,ご協力いただいた切断当事者の方々に,改めて心から感謝申し上げたい.
また,第2 版への改訂を進めるにあたり,終始ご尽力をいただいた戸田健太郎氏をはじめとする医歯薬出版社株式会社の関係者の皆様に改めて深謝を捧げたい.
2016 年1月
澤村誠志
兵庫県立総合リハビリテーションセンター名誉院長
神戸医療福祉専門学校三田校校長
元ISPO(国際義肢装具協会)会長
第1 版の序
『切断と義肢』は,リハビリテーション医学全書第18巻として医歯薬出版株式会社より1973年1月に第1版が出版された.その後の切断・義肢の分野における内外の日進月歩の研究・開発に応じて,新しい進歩の流れを取り込むべく,1983年,1992年,そして1999年と3度にわたり改訂した.この間,私が常に心がけてきたことは,切断と義肢に関する知識の欧米からの単なる導入ではなく,あくまで日本人の生活・文化・気候・風土などのニードに合う切断術の紹介,そして義肢の進歩・開発の紹介である.これは30 数年間,兵庫県下の障害者の巡回相談を通じ,地域で生活されている切断者の家庭や仕事などその生活実態から多くのニーズを学んだ結果である.「切断者はわが師,地域が生きた教科書である」を今でも心の鏡としており,これが私の地域リハビリテーションのルーツとなっている.
さて,義肢の進歩は著しく,特に,近年の大腿四辺形ソケットから坐骨収納型大腿義足への流れ,PTB下腿義足からTSB吸着下腿義足への動き,前腕筋電義手などの適合技術の進歩,さらに,インターフェイスなど材料の開発,遊脚相・立脚相制御の機能を兼ね備えた膝継手の開発,スポーツなどの社会参加が可能となることによってQOLを高めることのできる足継手の開発など,多くの際立った進歩が見られる.
そのような状況のなかで,本書の内容として上記のような新たな知見を紹介することが必要であると感じ,改訂の準備を進めていたところ,今回からリハビリテーション医学全書を離れ,大型化(B5判)・2色刷の単行本として,第1版第1刷として新たに発行することとなった.
本書の内容として特に留意したのは,義肢の進歩について,いかに具体的に踏み込んで紹介できるかという点であった.カリフォルニア大学(米国)に留学し,義肢装具士としての研鑽を積むなかで「座学だけでは義肢の理解は困難である」と感じた筆者の経験から,製作技術の基本を紹介することとした.幸い,神戸医療福祉専門学校三田校の内田充彦氏のご努力で,国立LaTrobe(ラ・トローブ)大学(オーストラリア)義肢装具学科との連携ができていた.そして三田校の義肢装具教育にLa Trobe大学の先生方が参加されて,基本に忠実な方向で,義足の適合理念・製作方法・適合評価などについて教授され,すばらしい教育成果を挙げている.そこで,La Trobe大学の先生方の許可を得て,本書に適合理念や製作手技などを紹介させていただいた.
本書の出版にあたり,新たに取り上げたのは次の点である.
1)大腿ソケットでは,近年,注目を浴びているIRC坐骨収納型ソケットについて,Michael P.Dillon氏による断端の評価・陽性モデルの採形と修正・適合評価を紹介した.また,オズール社,川村義肢株式会社の協力を得て,IRCソケットのなかでも前後壁を低くしたM.A.S.(R)ソケットについて,開発者であるMarlo Ortiz氏による採形手技を紹介した.
2)下腿ソケットで主として用いられているTSBソケットについては,Les Barnes氏による採形手技・陽性モデルの修正・適合手技について紹介した.
3)膝継手などのパーツや,シリコーンライナーを代表とするインターフェイスについてはその進歩を紹介した.
4)前腕切断者にとって海外では常識となっている筋電義手は,わが国では現在,公的交付の対象になっていないために不幸にも利用の機会が閉ざされているが,そのようななかで,兵庫県立総合リハビリテーションセンターで行われている筋電義手(オットーボック社)の適応・装着訓練・レンタルシステムなどの供給システムを紹介した.
5)障害者自立支援法の施行に伴う補装具費制度について取り上げた.
私が切断のリハビリテーションに取り組み始めた1960 年頃は,理学療法士,作業療法士,義肢装具士の教育制度も資格制度もない時代であった.その後46 年を経過し,現在,兵庫県立総合リハビリテーションセンターには,陳 隆明先生をリーダーとする,すばらしいチームアプローチを有する専門職を横断した切断プロジェクトが育っている.このことをたいへん誇りに思っている.
本書は,下記の専門職から構成される切断プロジェクトの臨床研究および協力によって得られた成果が中心となっている.メンバーの皆様に心からお礼を申し上げる.
兵庫県立総合リハビリテーションセンター
リーダー陳 隆明(MD),幸野秀志(MD),長倉裕二(PT),大籔弘子(PT),高瀬 泉(PT),町田勝広(PT),前田慶明(PT),柴田八衣子(OT),溝部二十四(OT),深澤喜啓(OT),赤澤康史(Eng.),中村俊哉(Eng.),松原裕幸(PO),池原由布子(Ns),木原律子(Ns),嵯峨根奈央(Ns),高田久美子(Ns)
兵庫県立西播磨総合リハビリテーションセンター
中村春基(OT),佐久間香(PT)
神戸学院大学
中川昭夫(Eng.),小嶋 功(PT)
神戸大学
古川 宏(OT)
国際医療福祉大学
大庭潤平(OT)
株式会社澤村義肢製作所
小西克浩(PO),伊原秋義(PO),辻 誠一(PO),近藤潤侍(PO)
株式会社近畿義肢製作所
濱本雄次(PO),増田章人(PO)
これまでの33 年間にわたって『切断と義肢』の出版を継続することができたのは,義肢教育に関係されてきた多くの先生方のご支持のお陰と改めて深謝したい.また,これまで『切断と義肢』を長く支えていただき,また,本書の新たな出版にあたってご尽力いただいた医歯薬出版株式会社の関係者の皆様に心から感謝する.
2006年12月
澤村誠志
兵庫県立総合リハビリテーションセンター顧問・名誉院長
神戸医療福祉専門学校三田校校長
前ISPO(国際義肢装具協会)会長
1973年にリハビリテーション医学全書第18巻として出版した『切断と義肢』は,その後の切断・義肢の進歩に合わせて,1983 年,1992 年,1999 年と改訂を行った.さらに2007 年にはリハビリテーション医学全書を離れた単行本とする形で改訂を実施した.しかし,切断の主原因であった末梢動脈疾患や悪性腫瘍などに対する治療技術のその後の著しい進歩,そして,筋電義手,骨格義肢などを中心とする著しい義肢の進歩,さらに障害者総合支援法に基づく義肢の継手の分類,義肢装具部門のJIS用語の見直しなど,多岐にわたる変化の中で,読者の方々のニーズに対応する必要性を強く感じるようになった.そこで,医歯薬出版株式会社と相談の上,今回,単行本の改訂第2版として本書を出版することとした.
この第2版については,とくに次の点に留意した.
1)切断者がわが師,地域が教科書
これは,私が多くの切断者の在宅での生活から学んだもので,この言葉を今でも座右の銘としている.単なる福祉先進国からの切断と義肢の紹介ではなく,第1版から心掛けてきた日本人の生活様式・文化・風土・気候に合う切断術と義肢の生活の場での装着現場を紹介することに務めた.
2)兵庫県における40 年間にわたる切断者の疫学調査
これは兵庫県の協力により小嶋功氏がライフワークとして取り組んだ,国際的に誇れる貴重な資料である.
3)末梢動脈疾患,悪性腫瘍に対する最近の治療法の進歩
切断の主原因である末梢動脈疾患における診断,治療法,悪性腫瘍の分類,治療法の進歩と切断術との関連などについて,最近の知見をまとめた.
4)義肢パーツの進歩の紹介
義肢のパーツはまさに日進月歩の世界であり,各主要メーカーにお願いして最近の資料をいただき紹介することとした.とくにお世話になったオットーボック・ジャパンの深谷香奈氏,オズールの楡木祥子氏,ナブステコの児玉義弘氏に御礼を申し上げたい.
5)義肢・装具部門のJIS福祉関連機器用語JIS T 0101の使用
平成27年5月20日に改正されたJIS用語に統一した.
6)障害者福祉施策と義肢交付制度の動向
障害者総合支援法による義肢の交付の動向,とくに義肢装具の標準規格化,義肢価格体系の改革,福祉用具法などについて新しい情報を記した.
7)補装具の完成用部品の機能区分整備
補装具評価検討会第I類にて,補装具の適切な支給実現のための制度・仕組みの提案に関する研究(平成27年3月)が行われた.今回,膝継手の機能区分整備が初めて行われ,委員長を務められた児玉義弘氏のご指導により,その成果を掲載させていただいた.我が国にとって初めての貴重な情報といえる.また,義足足部の改定については,第1版に引き続き野坂利也氏のご指導を受たことを心から御礼申し上げる.
8)国内外における義肢サービスの変遷
過去50 年における国内での日本義肢装具研究同好会から義肢装具学会誕生までの歩み,国際的にはISPO世界大会(2019年に再び神戸で開催決定),アジア義肢装具学会,義肢装具士の国際資格(Cat.1),日本財団支援によるタイ,インドネシア,フィリピン,スリランカにおける義肢装具教育施設の建設をはじめとする国際的な動きを紹介した.
兵庫県立総合リハビリテーションセンター切断プロジェクトチームに感謝
切断者のリハビリテーションは,医師,看護師,義肢装具士,理学療法士,作業療法士,リハエンジニア,臨床心理士,ソーシャルワーカーなど多職種によるチームアプローチ,多職種協働で行われることはご存じの通りである.しかし,私が最初に切断に取り組んだ1960年頃は専門職の教育・資格制度が無く,切断術,術後のケア,仮義足,本義足の製作,装着訓練等を一人でこなしていた.その成果が兵庫県立総合リハビリテーションセンターに活かされ,現在は,陳隆明先生をリーダーとする,下記に述べるような専門職を横断した切断プロジェクトが育ち,さらにロボットリハビリテーションに向けて進化しつつある.
リーダー:陳隆明(MD)
幸野秀志(MD),中村春基(OT),柴田八衣子(OT),古川宏(OT),溝部二十四(OT),大庭潤平(OT),小嶋功(PT),長倉裕二(PT),大藪弘子(PT),高瀬泉(PT),町田勝広(PT),佐久間香(PT),池原由布子(Ns),木原律子(Ns),嵯峨根奈央(Ns),高田久美子(Ns),松原裕幸(PO),小西克弘(PO),伊原秋義(PO),佐野太一(PO),田中真悟(PO),濱本雄次(PO),増田章人(PO),中川昭夫(Eng),赤澤康史(Eng),中村俊哉(Eng)
これまで43 年間にわたりこの『切断と義肢』の発行を継続できたのは,この兵庫県立総合リハビリテーションセンターの切断リハビリテーションプロジェクトを引き継ぎ,チームを育てていただいた陳隆明先生のリーダーシップと,すでにセンターを去られた方もおられるが多くのリハビリテーション専門職の皆様のご協力の賜である.そして,ご協力いただいた切断当事者の方々に,改めて心から感謝申し上げたい.
また,第2 版への改訂を進めるにあたり,終始ご尽力をいただいた戸田健太郎氏をはじめとする医歯薬出版社株式会社の関係者の皆様に改めて深謝を捧げたい.
2016 年1月
澤村誠志
兵庫県立総合リハビリテーションセンター名誉院長
神戸医療福祉専門学校三田校校長
元ISPO(国際義肢装具協会)会長
第1 版の序
『切断と義肢』は,リハビリテーション医学全書第18巻として医歯薬出版株式会社より1973年1月に第1版が出版された.その後の切断・義肢の分野における内外の日進月歩の研究・開発に応じて,新しい進歩の流れを取り込むべく,1983年,1992年,そして1999年と3度にわたり改訂した.この間,私が常に心がけてきたことは,切断と義肢に関する知識の欧米からの単なる導入ではなく,あくまで日本人の生活・文化・気候・風土などのニードに合う切断術の紹介,そして義肢の進歩・開発の紹介である.これは30 数年間,兵庫県下の障害者の巡回相談を通じ,地域で生活されている切断者の家庭や仕事などその生活実態から多くのニーズを学んだ結果である.「切断者はわが師,地域が生きた教科書である」を今でも心の鏡としており,これが私の地域リハビリテーションのルーツとなっている.
さて,義肢の進歩は著しく,特に,近年の大腿四辺形ソケットから坐骨収納型大腿義足への流れ,PTB下腿義足からTSB吸着下腿義足への動き,前腕筋電義手などの適合技術の進歩,さらに,インターフェイスなど材料の開発,遊脚相・立脚相制御の機能を兼ね備えた膝継手の開発,スポーツなどの社会参加が可能となることによってQOLを高めることのできる足継手の開発など,多くの際立った進歩が見られる.
そのような状況のなかで,本書の内容として上記のような新たな知見を紹介することが必要であると感じ,改訂の準備を進めていたところ,今回からリハビリテーション医学全書を離れ,大型化(B5判)・2色刷の単行本として,第1版第1刷として新たに発行することとなった.
本書の内容として特に留意したのは,義肢の進歩について,いかに具体的に踏み込んで紹介できるかという点であった.カリフォルニア大学(米国)に留学し,義肢装具士としての研鑽を積むなかで「座学だけでは義肢の理解は困難である」と感じた筆者の経験から,製作技術の基本を紹介することとした.幸い,神戸医療福祉専門学校三田校の内田充彦氏のご努力で,国立LaTrobe(ラ・トローブ)大学(オーストラリア)義肢装具学科との連携ができていた.そして三田校の義肢装具教育にLa Trobe大学の先生方が参加されて,基本に忠実な方向で,義足の適合理念・製作方法・適合評価などについて教授され,すばらしい教育成果を挙げている.そこで,La Trobe大学の先生方の許可を得て,本書に適合理念や製作手技などを紹介させていただいた.
本書の出版にあたり,新たに取り上げたのは次の点である.
1)大腿ソケットでは,近年,注目を浴びているIRC坐骨収納型ソケットについて,Michael P.Dillon氏による断端の評価・陽性モデルの採形と修正・適合評価を紹介した.また,オズール社,川村義肢株式会社の協力を得て,IRCソケットのなかでも前後壁を低くしたM.A.S.(R)ソケットについて,開発者であるMarlo Ortiz氏による採形手技を紹介した.
2)下腿ソケットで主として用いられているTSBソケットについては,Les Barnes氏による採形手技・陽性モデルの修正・適合手技について紹介した.
3)膝継手などのパーツや,シリコーンライナーを代表とするインターフェイスについてはその進歩を紹介した.
4)前腕切断者にとって海外では常識となっている筋電義手は,わが国では現在,公的交付の対象になっていないために不幸にも利用の機会が閉ざされているが,そのようななかで,兵庫県立総合リハビリテーションセンターで行われている筋電義手(オットーボック社)の適応・装着訓練・レンタルシステムなどの供給システムを紹介した.
5)障害者自立支援法の施行に伴う補装具費制度について取り上げた.
私が切断のリハビリテーションに取り組み始めた1960 年頃は,理学療法士,作業療法士,義肢装具士の教育制度も資格制度もない時代であった.その後46 年を経過し,現在,兵庫県立総合リハビリテーションセンターには,陳 隆明先生をリーダーとする,すばらしいチームアプローチを有する専門職を横断した切断プロジェクトが育っている.このことをたいへん誇りに思っている.
本書は,下記の専門職から構成される切断プロジェクトの臨床研究および協力によって得られた成果が中心となっている.メンバーの皆様に心からお礼を申し上げる.
兵庫県立総合リハビリテーションセンター
リーダー陳 隆明(MD),幸野秀志(MD),長倉裕二(PT),大籔弘子(PT),高瀬 泉(PT),町田勝広(PT),前田慶明(PT),柴田八衣子(OT),溝部二十四(OT),深澤喜啓(OT),赤澤康史(Eng.),中村俊哉(Eng.),松原裕幸(PO),池原由布子(Ns),木原律子(Ns),嵯峨根奈央(Ns),高田久美子(Ns)
兵庫県立西播磨総合リハビリテーションセンター
中村春基(OT),佐久間香(PT)
神戸学院大学
中川昭夫(Eng.),小嶋 功(PT)
神戸大学
古川 宏(OT)
国際医療福祉大学
大庭潤平(OT)
株式会社澤村義肢製作所
小西克浩(PO),伊原秋義(PO),辻 誠一(PO),近藤潤侍(PO)
株式会社近畿義肢製作所
濱本雄次(PO),増田章人(PO)
これまでの33 年間にわたって『切断と義肢』の出版を継続することができたのは,義肢教育に関係されてきた多くの先生方のご支持のお陰と改めて深謝したい.また,これまで『切断と義肢』を長く支えていただき,また,本書の新たな出版にあたってご尽力いただいた医歯薬出版株式会社の関係者の皆様に心から感謝する.
2006年12月
澤村誠志
兵庫県立総合リハビリテーションセンター顧問・名誉院長
神戸医療福祉専門学校三田校校長
前ISPO(国際義肢装具協会)会長
第2版の序
第1版の序
第1章 切断
1 わが国における切断者のプロフィール
(1)わが国における切断者の発生率
(2)兵庫県における切断者の疫学調査
(1)調査対象
(2)調査結果(一側上下肢の切断者)
2 切断の原因となる疾患・障害
1 末梢動脈疾患
(1)末梢動脈疾患とは
(1) 末梢動脈疾患により起こる他の臓器疾患
(2)閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)
(3)糖尿病
(2)末梢動脈疾患の臨床症状
(1)Fontaine分類
(2)皮膚温度と皮膚組織の状況
(3)壊死,潰瘍の範囲および程度
(3) 末梢動脈疾患における末梢血行の測定方法
(4)末梢動脈疾患の治療
(1)基本的な治療法
(2)血行再建術(カテーテル治療,バイパス手術)
(3)足潰瘍,壊疽の局所治療と予防
(5)切断高位の決定
(6)末梢動脈疾患による切断後の予後
2 重度の外傷:患肢温存か切断か
3 悪性骨腫瘍:切断から患肢温存へ
(1)悪性骨腫瘍の種類
(2)悪性骨腫瘍の診断
(1)診察
(2)画像診断
(3)血液検査
(4)病理検査
(3)病期(ステージ)分類
(1)Surgical Staging System
(2)TNM分類
(4)治療法
(1)手術療法(患肢温存術)
(2)放射線療法
(3)化学療法(抗がん剤)
(4)切断術
(5)患肢温存か切断か
3 切断高位の選択
1 上肢切断高位の選択
(1)肩部の切断
(2)上腕部の切断
(3)肘部の切断
(4)前腕部の切断
(5)手部の切断
(6)指の切断
(1)母指
(2)示指
(3)中指および環指
(4)小指
2 下肢切断高位の選択
(1)仙腸関節離断,解剖学的股離断の選択(義足装着による能力差)
(1)義足の装着率
(2)義足の適合
(3)義足歩行の実用性
(2)機能的・義肢学的股離断(大腿骨頸部,転子下切断)の選択
(3)大腿短断端の選択
(1)短断端の定義
(2)大腿短断端に対する義足
(4)大腿長断端の選択
(1)断端負荷性を与えるべきか
(2)どの程度の長断端であれば膝継手の取り付けが可能か
(5)膝離断の選択
(1)外科手技上の利点
(2)義足装着の立場からの利点
(3)外科手技上の欠点
(4)義足装着の側からみた欠点
(6)下腿短断端の選択
(7)下腿長断端の選択
(8)サイム切断の選択
(9) 足部切断の選択
4 切断手技の最近の傾向
1 皮膚の処理
(1)上肢
(2)下肢
2 血管の処理
3 神経の処理
4 骨の処理
5 筋肉の処理
(1)筋膜縫合法
(2)筋肉形成術
(3)筋肉を骨端部に固定縫合する方法
5 各切断部位の切断手技
1 上肢
(1)肩甲胸郭間切断
(1)前方進入法
(2)後方進入法
(2)肩離断
(3)上腕切断
(4)肘離断
(5)前腕切断
(6)手部および指での切断
(1)手関節離断
(2)手部切断
(3)手指切断
(7)特殊な切断
(1)クルーケンベルグ切断
(2)シネプラスティー
2 下肢
(1)骨盤部での切断
(2)股離断
(3)大腿切断
(4)膝離断
(1)皮膚切開
(2)膝蓋骨の切除
(3)大腿骨顆部の切除
(4)筋腱の再縫合
(5)血行障害例に対する膝離断後の断端の保護
(5)下腿切断
(1)皮切
(2)筋肉の処置
(3)骨の処置
(6)足関節離断─サイム切断
(7)ボイド切断,ピロゴフ切断
(8)足部切断─ショパール関節離断
(9)足指切断
6 先天性奇形・切断
1 分類
(1) O'Rahilly,Frantz,Aitkenによる分類
(1)terminal transverse
(2)terminal longitudinal
(3)intercalary transverse
(4)intercalary longitudinal
(2) ISO/ISPOの分類
(1)横断性四肢欠損(先天性切断)
(2)長軸性四肢欠損
2 症例
3 先天性の欠損に対する基本的な考え方
第2章 義肢に関する基本的な事項
1 義肢の分類
(1)義肢の構造による分類
(1)殻構造義肢
(2)骨格構造義肢
(2)義肢の機能面からみた分類
(1)装飾用義肢
(2)作業用義肢
(3)能動義肢
(3)切断術後の装着する時期による分類
(1)術直後装着義肢
(2)訓練用仮義肢
(3)本義肢
2 義肢の装着・適合・アライメントなど基本的な事項
(1)ソケットの適合
(1)ソケットの適合とは
(2)ソケットの適合方法の種類
(3)インターフェイス(IFC),ソフトインサート
(4)シリコーンライナーの登場
(2)義肢のアライメント
(1)義足のアライメント
(2)継手のアライメント
3 義肢素材,特に合成樹脂材料について
第3章 義手
1 義手に関する基本的な事項
1 上肢切断の部位・測定の方法と義手の名称
(1)切断の部位と断端長
(2)関節可動域の測定
(3)義手の長さの決定
2 義手の機能
3 機能別にみた義手の分類
(1)装飾用義手
(2)作業用義手
(3)能動義手
(1)体内力源義手
(2)体外力源義手
4 義手の構成と部分品
(1)ソケット
(1)ソケット陰性モデルの採型とチェックソケット
(2)陽性モデルの製作
(3)チェックソケット
(4)第2 陽性モデルの製作
(5)合成樹脂製ソケットの製作
(2)幹部
(1)上腕幹部,前腕幹部
(2)殻構造,骨格構造
(3)継手
(1)肩継手
(2)肘継手
(3)手継手
(4)手先具
(1)装飾ハンド
(2)作業用手先具
(3)能動フック
(4)能動ハンド
(5)ハーネス
(1)8 字ハーネス
(2)胸郭バンド式ハーネス
(3)9 字ハーネス
(4)リュックサックハーネス
(5)上腕カフと三頭筋パッド
(6)コントロールケーブルシステム
(1)単式コントロールケーブルシステム
(2)複式コントロールケーブルシステム
(3)3 本制御ケーブルシステム
(4)肘ロック・コントロール
2 指切断・手根中手骨切断と義手
(1)母指以外の全指切断の場合
(2)母指切断の場合
(3)全指切断の場合
(4)手根中手骨切断と義手
3 前腕切断と義手
1 切断部位と機能的特徴
2 前腕義手ソケットの適合
(1)ミュンスター型前腕義手
(2)ノースウェスタン型前腕義手
(3)手義手
3 前腕義手のリストの位置とアライメント
4 上腕カフ
5 ハーネスとコントロールケーブルシステム
(1)コントロールケーブルシステム
(2)前腕義手のハーネス
(3)手先動作に必要な身体の運動
6 前腕義手の適合検査
7 筋電電動義手
(1)オットーボック筋電電動義手
(2)小児用筋電電動義手
(3)筋電電動義手の部品と構成
(4)ミケランジェロ
8 わが国における前腕切断に対する筋電電動義手
(1)筋電電動義手の装着訓練マニュアル
(2)前腕義手に対する筋電電動義手の公的交付
4 上腕切断と義手
1 切断部位と機能的特徴
(1)肘離断
(2)上腕標準型断端
(3)上腕短断端
2 上腕義手ソケットの適合
(1)ソケットの種類
(2)ソケットの適合
(3)採型
3 上腕義手のアライメント
4 ハーネスとコントロールケーブルシステム
(1)肘継手屈曲および手先コントロールケーブルシステム
(2)肘継手ロック・コントロールケーブルシステム
(3)上腕義手の8 字ハーネス
(1)腋窩ループ
(2)前方支持バンド
(3)外側懸垂バンド
(4)コントロールケーブル取り付けバンド
(4)義手の操作に必要な身体の運動
(5)その他の上腕義手ハーネスとコントロールケーブルシステム
(1)上腕義手ハーネス胸郭バンド式
(2)上腕義手3 本制御ケーブルシステム
5 肩離断と義手
1 切断部位と機能的特徴
2 肩義手ソケットの適合
3 肩義手のアライメント
4 ハーネスとコントロールケーブルシステム
(1)胸郭バンド
(2)弾性懸垂バンド
(3)腰バンド
(4)上腕義手とよく似た複式コントロールケーブルシステム
(5)女性用肩義手ハーネス
(6)ヌッジコントロール
(7)コントロールケーブル操作効率倍増装置
(8)筆者が肩義手に用いているハーネス
(9)肘プーリーユニットによる複式コントロールケーブルシステム
5 上腕義手,肩義手の適合検査
6 両上肢切断義手のハーネス
(1)両前腕義手のハーネス
(2)両上腕義手のハーネス
7 上腕電動義手
第4章 義足
1 義足に関する基本的な事項
1 下肢切断の部位・測定の方法と義足の名称
2 義足継手について
1 股継手
2 膝継手
(1)膝継手軸の形状による分類
(1)単軸膝ブロック継手
(2)2 軸膝継手,多軸膝継手
(2)立脚相の制御
(1)固定式膝継手
(2)荷重ブレーキ膝─ 安全膝
(3)油圧ロック膝
(3)遊脚相制御
(1)伸展補助装置
(2)定摩擦膝継手
(3)可変摩擦膝継手,間欠摩擦膝継手
(4)油圧・空圧制御膝
(4)インテリジェント義足
(5)最近におけるハイブリッド型膝継手の開発実用化
(1)オットーボック膝継手
(2)ナブテスコ・ハイブリッドニー
(3)ナブテスコ・NK-6 レガート
(4)LAPOC空圧制御シリンダー付き荷重ブレーキ膝(P-BASS)
(5)Rheo Knee(オズール社)
(6)四軸油圧電子制御膝継手ALLUX TM(ナブテスコ社)
(6)膝継手の機能区分整備(厚生労働省障害者対策総合研究事業;平成27 年)
(7)膝継手の処方(選択)
3 足継手と足部
(1)中足指節関節の底背屈運動
(2)距 関節の底背屈運動
(1)単軸足部
(2)サッチ足部
(3)足根間および足根中足関節の回内外運動
(4)エネルギー蓄積型足部
(5)スポーツ用義足足部
(6)カーボンファイバー(CFRP)を用いた取り外し可能な下腿義足外装の作成
(7)国内で入手可能な義足足部
3 トルクアブソーバー(起回転力吸収装置)
4 義肢の理解に必要な正常歩行について
1 歩行周期
(1)立脚相
(2)遊脚相
(3)両脚支持期
2 歩行の基本的要因
(1)骨盤の回旋
(2)骨盤の傾斜
(3)立脚相における膝関節屈曲
(4)足部と足関節の運動
(5)膝関節の運動
(6)骨盤の側方移動
3 歩行における下肢の回旋
4 歩行における筋肉の働き
5 歩行における床反力
(1)垂直方向の力
(2)前後方向への剪力
(3)側方方向への剪力
(4)ねじれ
6 義足歩行におけるエネルギー消費
5 股義足
1 受皿式およびティルティングテーブル式の股義足
2 カナダ式股義足
(1)特徴
(1)合成樹脂製ソケットと三点固定
(2)アライメントによる安定性の獲得
(3)広く耐久性がある股継手
(4)股継手の前後にあるバンパーの役割はきわめて大きい
(5)股屈曲制限バンドと膝伸展補助バンド
(2)歩行の特徴
(1)踵接地期
(2)立脚中期
(3)踏み切り期
(3)製作方法
(1)陰性モデルの採型
(2)陽性モデルの修正
(3)ソケットの製作
(4)股継手の取り付け
(5)大腿部の製作
(6)アライメントの決定
(7)復元ジグによる最良のアライメントの再現
(8)外装
(4)歩行能力と実用性
(1)装着率
(2)義足歩行の実用性
(5)殻構造義足から骨格義足への移行
(6)継手の処方
(1)股継手
(2)膝継手
(3)足部の処方
(4)ターンテーブルの処方
3 片側骨盤切断(仙腸関節切断)用義足
(1)特徴
(2)製作過程
(1)採型
(2)陽性モデルの修正
(3)合成樹脂製ソケットの製作
(4)アライメントの決定
(5)外装
(3)歩行能力
(4)膝継手および足部の処方
6 大腿義足
1 大腿義足の種類
2 義足歩行に必要な4つの条件
3 大腿義足ソケットの適合
(1)差し込み大腿ソケット
(2)吸着式ソケット
(1)吸着義足の利点
(2)吸着式ソケットの変遷
(3)坐骨結節支持部レベルでのソケットパターンの変化
(4)坐骨結節より遠位でのソケットの機能と形状の変化
(5)断端に対する四辺形ソケットの機能的役割について
(6)合成樹脂製ソケット製作指導上の問題
(7)大腿ソケット適合上の愁訴と原因
(8)フレキシブルソケット
(9)内外径の広い坐骨支持の四辺形ソケットから内外径の狭い坐骨収納型ソケット(IRCソケット)へ
Normal Shape-Normal Alignment /CAT-CAM /Ishial-Ramal-Containment Socket /M.A.S.(R)
4 大腿義足のアライメント
(1)アライメントの決定方法
(1)作業台上でのアライメントの決め方─ベンチアライメント─
(2)静的アライメント
(3)動的アライメント
(2)膝の安定性
(1)切断者の意思によらない不随意制御因子
(2)切断者による随意制御
(3)股関節屈曲拘縮とアライメント設定との関係
(4)断端末負荷による利点
(3)義足の側方安定性
5 大腿義足の懸垂方法
(1)シレジアバンド
(1)シレジアバンド3 つの型
(2)シレジアバンドの利点
(2)股ヒンジ継手と骨盤帯
(1)骨盤帯の利点
(2)骨盤帯の欠点
(3)シリコーンライナーによる懸垂
6 大腿吸着義足の適応例
7 大腿切断者の悩みとその解決方法
(1)日本の日常生活動作への適応
(1)ターンテーブルの処方
(2)キップシャフト
(3)足継手の底背屈角度の調整ユニット
(2)高齢大腿切断者に対する軽量化,適合調節に関する問題
(3)水泳・入浴用大腿義足
(4)農耕用大腿義足
7 膝義足
(1)外科手技上の利点
(2)膝義足装着の立場からみた膝離断の利点
(3)義足装着の側からみた欠点
1 膝離断用ソケットの適合
(1)在来式ソケット
(2)軟ソケット付き全面接触ソケット
2 膝義足の遊脚相制御
8 下腿義足
1 機能的特徴とその機能を生かすための条件
(1)下腿切断の機能的特徴
(2)下腿切断後の残余機能を最大限に生かす下腿義足の条件
2 下腿義足の進歩の歴史
(1)大腿コルセット付きのいわゆる在来式下腿義足からの脱皮
(2) PTB下腿義足
(1)PTB下腿義足の構成
(2)PTB下腿義足の特徴
(3)PTB下腿義足の採型とソケットの製作
(4)PTB下腿義足のアライメント
(5)PTB下腿義足の特性(利点・欠点)と処方方針
(6)エアクッションソケット付きPTB下腿義足
(7)超軽量下腿義足
(8)CAD/CAMによるソケットの製作
(3) PTS下腿義足
(1)装着率
(2)利点
(3)欠点
(4)適応と不適応
(5)膝関節伸展拘縮を伴う短断端に対するPTS型スプリットソケット
(4) KBM下腿義足
(1)利点
(2)欠点
(5) TSB吸着ソケット
(1)TSBソケットの特徴
(2)UCLA:TSBソケットのギプス採型手技の基本
(3)TSBギプスソケットの徒手による採型手技(La Trobe大学)
(6)インターライナーの進歩
(1)シリコーンライナーの開発
(2)弾力性ライナーソケット(シリコーン,ウレタン,サーモプラスチック・ゲル)の利点・欠点
(3)シリコーン・ウレタンライナーによる懸垂法の種類
(4)代表的なシリコーンライナー
(5)TSBソケットの適合上によく起こる問題点と対策
(6)従来のソフトインサート付きPTBソケットからシリコーンライナー適用への円滑な移行
9 サイム義足
1 サイム切断の持つ機能的特徴
(1)サイム切断の利点
(2)サイム切断の欠点
2 サイム義足の種類
(1)在来式サイム義足
(2)カナダ式合成樹脂製サイム義足
(3) VAPC内側開き式サイム義足
(4) 軟ソケット付き全面接触式サイム義足
(1)切断手技での変法
(2)義足の改良
3 サイム義足用足部
10 足部切断と義足
1 足部切断の持つ問題点
(1)わが国において足部切断が多い理由
(2)ショパール・リスフラン関節離断部位に対する評価
(1)体重の負荷性
(2)断端部の変形
(3)断端部の皮膚の状態
(4)歩容および歩行能力
2 足部切断用義足
第5章 切断者のリハビリテーション
1 リハビリテーションとは
2 切断者のリハビリテーションの過程
(1)医学的リハビリテーション
(2)心理的リハビリテーション
(3)社会的リハビリテーション
(4)職業的リハビリテーション
3 切断義肢クリニック
(1)切断義肢クリニックの機能
(2)クリニックチームメンバーの役割
(1)医師
(2)看護師
(3)理学療法士,作業療法士
(4)義肢装具士
(5)リハビリテーションエンジニア
(6)医療ソーシャルワーカー
(7)切断者
4 切断直後の断端のケア
1 切断術直後の断端創の処置
(1)ソフトドレッシング(弾性包帯)
(1)利点
(2)欠点
(2)リジッドドレッシング(ギプスソケット)
(1)利点
(2)欠点
(3)リムーバブルリジッドドレッシング
(1)利点
(2)欠点
(4)環境制御による創治療法
(5)リジッドドレッシングを利用した後にシリコーンライナーを用いる方法
(6)現在における切断術後ケアの方向
2 断端拘縮の発生の予防
3 断端の浮腫の予防
4 主として切断創治癒後に用いる弾性包帯の使用
5 義肢装着前訓練
1 基本的訓練
(1)断端訓練
(1)下肢切断の場合
(2)上肢切断の場合
(2)健常な姿勢の保持
(3)体幹筋訓練
(4)下肢切断者の健脚訓練
(1)健脚起立訓練
(2)連続片足跳び
(3)膝関節屈伸運動
(5)水治療法およびマッサージ
2 義肢装着前後の断端の評価
3 義肢装着開始の時期
(1)在来式義肢装着法
(2)術直後義肢装着法
(1)歴史的背景
(2)施行の実際─ 下肢切断
(3)施行の実際─ 上肢切断
(4)施行上注意しなければならない点
(5)本法の利点と問題点
(3)早期義肢装着法
4 義肢の処方
5 義肢の適合検査
6 義肢装着訓練
1 義足装着訓練
(1)義肢の装着
(2)立位での平衡訓練
(3)平行棒内での平衡訓練
(4)歩行訓練
(5)日常生活動作訓練
(6)応用・習熟訓練
(7)両下肢切断者の歩行訓練の特殊性
(1)両側大腿切断例
(2)一側大腿・一側下腿切断例
(8)下肢切断者の歩行能力
(1)歩行速度,持続距離,実用歩型
(2)階段昇降能力
(3)その他,難路・坂道・障害物歩行などの応用動作
(9)義足装着訓練ステップアッププログラムについて
(1)ステップ1:従来の歩行訓練プログラム
(2)ステップ2:歩行速度を向上させる訓練プログラム
(3)ステップ3:スポーツ,レクリエーションを目的とした訓練プログラム
(10)在宅高齢下肢切断者の実態
2 義手装着訓練
(1)装着前訓練
(1)創の良好な治癒と成熟断端の早期獲得
(2)関節可動域の確保
(3)良好な姿勢の確保
(4)筋力増強訓練
(2)義手コントロール訓練
(1)前腕義手
(2)上腕義手
(3)肩義手
(3)義手使用訓練─ 基本訓練
(1)義手手先の位置の設定
(2)“ どちら側が利き手か” の決定
(3)訓練は,単純なものから複雑なものに
(4)義手使用訓練─ 日常生活動作
(1)衣服着脱動作
(2)食事動作
(3)事務動作
(4)整容動作
(5)家事動作
(6)自動車運転
3 社会復帰後の義手装着状態
4 筋電電動義手の装着訓練とメインテナンスの実際について
(1)義手装着前訓練の評価と訓練について
(1)切断者のオリエンテーションとニーズの確認
(2)切断肢の評価
(2)訓練用筋電電動義手(仮義手)の製作
(3)仮義手訓練
(1)仮義手による基本操作訓練
(2)仮義手による応用動作訓練
(3)仮義手による日常生活動作訓練
(4)仮義手による職場や家庭での使用訓練
(4)メインテナンス
(5)筋電電動義手利用者の立場に立って─筋電電動義手装着を成功に導くためには─
(6)筋電電動義手を装着利用されている具体的事例(兵庫県立総合リハビリテーションセンター)
(1)筋電電動義手装着前の評価と訓練
(2)訓練用筋電電動義手(仮義手)の製作
(3)仮義手訓練(基本操作訓練)
(4)仮義手訓練(応用動作訓練)
(5)仮義手訓練(日常生活動作訓練)
(6)家での動作訓練
(7)訓練を行って
5 わが国での電動義手の今後
7 断端の合併症
1 断端痛
(1)神経断端部の刺激による疼痛
(2)断端の循環障害による疼痛
(3)断端筋肉の異常緊張による疼痛
(4)中枢神経性の疼痛
2 幻肢および幻肢痛
(1)幻肢の特徴
(2)幻肢および幻肢痛の成因
(3)幻肢痛に対する治療
3 断端における皮膚疾患
8 断端の衛生保持
(1)断端の清拭
(2)義肢ソケットの取り扱い
(3)断端袋の取り扱い
(4)神戸断端ソックスの利用
(5)シリコーンライナーの取り扱い
(6)弾性包帯の取り扱い
(7)皮膚に異常を認めたときの処置
(8)末梢血管障害がある場合の足部に対する治療および予防
(9)断端自己管理に向けての看護師サイドからの取り組み─スキンケアパンフレットの作成
第6章 障害者福祉政策の変化と義肢装具の支給サービス
1 障害者福祉施策の動向
(1)わが国の障害者数
(2)わが国の障害保健福祉施策の歴史
2 国内外における義肢装具サービス改善へのあゆみ
(1)日本義肢装具研究同好会から「日本義肢装具学会」発足へ
(2)日本リハビリテーション医学会及び日本整形外科学会に設置された義肢装具委員会の協働による行政への提言と,これにより実施された義肢装具サービスの改革
(1)統一処方箋と義肢装具のJIS用語
(2)義肢装具の標準規格化
(3)義肢装具の価格体系の変遷と今後の改革について
(1)身体障害者福祉法から障害者総合支援法へ
(2)補装具費の支給基準の改革
(4)福祉用具法
(1)背景
(2)福祉用具法の展開
(5)義肢装具研究開発とサービス向上にむかって
(1)義肢装具の研究開発体制のあり方について
(2) 地域における義肢装具の処方・装着訓練を行うリハビリテーション医療機関の整備
(3)義肢装具適合センターの整備と統一処方箋
第7章 義肢装具における国際協力
1 ISPOの目的と組織
(1) ISPOの目的
(2) ISPOの会員組織
(3) ISPO会員のメリット
(4) ISPOによる義肢装具士のカテゴリー区分
(1)義肢装具士の国際資格のカテゴリー区分
(2)ISPOカテゴリーIの職業プロフィール
(3)ISPOカテゴリーIとIIの違い(WHOガイドライン)
(4)I SPOカテゴリーIの受験資格(2014 年)
(5)世界会議およびセミナー,研修コース,カンファレンス
(6)出版
(7)国際標準化活動
(8)国際組織との交流
(9) ISPO世界義肢装具教育者会議
2 わが国の義肢装具における今後の国際協力のあり方
(1) ISPO第6 回世界会議の開催
(2)アジア義肢装具学術大会の設置
(3)日本財団によるアジアにおける義肢装具教育施設の設置
文献
和文索引
欧文索引
第1版の序
第1章 切断
1 わが国における切断者のプロフィール
(1)わが国における切断者の発生率
(2)兵庫県における切断者の疫学調査
(1)調査対象
(2)調査結果(一側上下肢の切断者)
2 切断の原因となる疾患・障害
1 末梢動脈疾患
(1)末梢動脈疾患とは
(1) 末梢動脈疾患により起こる他の臓器疾患
(2)閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)
(3)糖尿病
(2)末梢動脈疾患の臨床症状
(1)Fontaine分類
(2)皮膚温度と皮膚組織の状況
(3)壊死,潰瘍の範囲および程度
(3) 末梢動脈疾患における末梢血行の測定方法
(4)末梢動脈疾患の治療
(1)基本的な治療法
(2)血行再建術(カテーテル治療,バイパス手術)
(3)足潰瘍,壊疽の局所治療と予防
(5)切断高位の決定
(6)末梢動脈疾患による切断後の予後
2 重度の外傷:患肢温存か切断か
3 悪性骨腫瘍:切断から患肢温存へ
(1)悪性骨腫瘍の種類
(2)悪性骨腫瘍の診断
(1)診察
(2)画像診断
(3)血液検査
(4)病理検査
(3)病期(ステージ)分類
(1)Surgical Staging System
(2)TNM分類
(4)治療法
(1)手術療法(患肢温存術)
(2)放射線療法
(3)化学療法(抗がん剤)
(4)切断術
(5)患肢温存か切断か
3 切断高位の選択
1 上肢切断高位の選択
(1)肩部の切断
(2)上腕部の切断
(3)肘部の切断
(4)前腕部の切断
(5)手部の切断
(6)指の切断
(1)母指
(2)示指
(3)中指および環指
(4)小指
2 下肢切断高位の選択
(1)仙腸関節離断,解剖学的股離断の選択(義足装着による能力差)
(1)義足の装着率
(2)義足の適合
(3)義足歩行の実用性
(2)機能的・義肢学的股離断(大腿骨頸部,転子下切断)の選択
(3)大腿短断端の選択
(1)短断端の定義
(2)大腿短断端に対する義足
(4)大腿長断端の選択
(1)断端負荷性を与えるべきか
(2)どの程度の長断端であれば膝継手の取り付けが可能か
(5)膝離断の選択
(1)外科手技上の利点
(2)義足装着の立場からの利点
(3)外科手技上の欠点
(4)義足装着の側からみた欠点
(6)下腿短断端の選択
(7)下腿長断端の選択
(8)サイム切断の選択
(9) 足部切断の選択
4 切断手技の最近の傾向
1 皮膚の処理
(1)上肢
(2)下肢
2 血管の処理
3 神経の処理
4 骨の処理
5 筋肉の処理
(1)筋膜縫合法
(2)筋肉形成術
(3)筋肉を骨端部に固定縫合する方法
5 各切断部位の切断手技
1 上肢
(1)肩甲胸郭間切断
(1)前方進入法
(2)後方進入法
(2)肩離断
(3)上腕切断
(4)肘離断
(5)前腕切断
(6)手部および指での切断
(1)手関節離断
(2)手部切断
(3)手指切断
(7)特殊な切断
(1)クルーケンベルグ切断
(2)シネプラスティー
2 下肢
(1)骨盤部での切断
(2)股離断
(3)大腿切断
(4)膝離断
(1)皮膚切開
(2)膝蓋骨の切除
(3)大腿骨顆部の切除
(4)筋腱の再縫合
(5)血行障害例に対する膝離断後の断端の保護
(5)下腿切断
(1)皮切
(2)筋肉の処置
(3)骨の処置
(6)足関節離断─サイム切断
(7)ボイド切断,ピロゴフ切断
(8)足部切断─ショパール関節離断
(9)足指切断
6 先天性奇形・切断
1 分類
(1) O'Rahilly,Frantz,Aitkenによる分類
(1)terminal transverse
(2)terminal longitudinal
(3)intercalary transverse
(4)intercalary longitudinal
(2) ISO/ISPOの分類
(1)横断性四肢欠損(先天性切断)
(2)長軸性四肢欠損
2 症例
3 先天性の欠損に対する基本的な考え方
第2章 義肢に関する基本的な事項
1 義肢の分類
(1)義肢の構造による分類
(1)殻構造義肢
(2)骨格構造義肢
(2)義肢の機能面からみた分類
(1)装飾用義肢
(2)作業用義肢
(3)能動義肢
(3)切断術後の装着する時期による分類
(1)術直後装着義肢
(2)訓練用仮義肢
(3)本義肢
2 義肢の装着・適合・アライメントなど基本的な事項
(1)ソケットの適合
(1)ソケットの適合とは
(2)ソケットの適合方法の種類
(3)インターフェイス(IFC),ソフトインサート
(4)シリコーンライナーの登場
(2)義肢のアライメント
(1)義足のアライメント
(2)継手のアライメント
3 義肢素材,特に合成樹脂材料について
第3章 義手
1 義手に関する基本的な事項
1 上肢切断の部位・測定の方法と義手の名称
(1)切断の部位と断端長
(2)関節可動域の測定
(3)義手の長さの決定
2 義手の機能
3 機能別にみた義手の分類
(1)装飾用義手
(2)作業用義手
(3)能動義手
(1)体内力源義手
(2)体外力源義手
4 義手の構成と部分品
(1)ソケット
(1)ソケット陰性モデルの採型とチェックソケット
(2)陽性モデルの製作
(3)チェックソケット
(4)第2 陽性モデルの製作
(5)合成樹脂製ソケットの製作
(2)幹部
(1)上腕幹部,前腕幹部
(2)殻構造,骨格構造
(3)継手
(1)肩継手
(2)肘継手
(3)手継手
(4)手先具
(1)装飾ハンド
(2)作業用手先具
(3)能動フック
(4)能動ハンド
(5)ハーネス
(1)8 字ハーネス
(2)胸郭バンド式ハーネス
(3)9 字ハーネス
(4)リュックサックハーネス
(5)上腕カフと三頭筋パッド
(6)コントロールケーブルシステム
(1)単式コントロールケーブルシステム
(2)複式コントロールケーブルシステム
(3)3 本制御ケーブルシステム
(4)肘ロック・コントロール
2 指切断・手根中手骨切断と義手
(1)母指以外の全指切断の場合
(2)母指切断の場合
(3)全指切断の場合
(4)手根中手骨切断と義手
3 前腕切断と義手
1 切断部位と機能的特徴
2 前腕義手ソケットの適合
(1)ミュンスター型前腕義手
(2)ノースウェスタン型前腕義手
(3)手義手
3 前腕義手のリストの位置とアライメント
4 上腕カフ
5 ハーネスとコントロールケーブルシステム
(1)コントロールケーブルシステム
(2)前腕義手のハーネス
(3)手先動作に必要な身体の運動
6 前腕義手の適合検査
7 筋電電動義手
(1)オットーボック筋電電動義手
(2)小児用筋電電動義手
(3)筋電電動義手の部品と構成
(4)ミケランジェロ
8 わが国における前腕切断に対する筋電電動義手
(1)筋電電動義手の装着訓練マニュアル
(2)前腕義手に対する筋電電動義手の公的交付
4 上腕切断と義手
1 切断部位と機能的特徴
(1)肘離断
(2)上腕標準型断端
(3)上腕短断端
2 上腕義手ソケットの適合
(1)ソケットの種類
(2)ソケットの適合
(3)採型
3 上腕義手のアライメント
4 ハーネスとコントロールケーブルシステム
(1)肘継手屈曲および手先コントロールケーブルシステム
(2)肘継手ロック・コントロールケーブルシステム
(3)上腕義手の8 字ハーネス
(1)腋窩ループ
(2)前方支持バンド
(3)外側懸垂バンド
(4)コントロールケーブル取り付けバンド
(4)義手の操作に必要な身体の運動
(5)その他の上腕義手ハーネスとコントロールケーブルシステム
(1)上腕義手ハーネス胸郭バンド式
(2)上腕義手3 本制御ケーブルシステム
5 肩離断と義手
1 切断部位と機能的特徴
2 肩義手ソケットの適合
3 肩義手のアライメント
4 ハーネスとコントロールケーブルシステム
(1)胸郭バンド
(2)弾性懸垂バンド
(3)腰バンド
(4)上腕義手とよく似た複式コントロールケーブルシステム
(5)女性用肩義手ハーネス
(6)ヌッジコントロール
(7)コントロールケーブル操作効率倍増装置
(8)筆者が肩義手に用いているハーネス
(9)肘プーリーユニットによる複式コントロールケーブルシステム
5 上腕義手,肩義手の適合検査
6 両上肢切断義手のハーネス
(1)両前腕義手のハーネス
(2)両上腕義手のハーネス
7 上腕電動義手
第4章 義足
1 義足に関する基本的な事項
1 下肢切断の部位・測定の方法と義足の名称
2 義足継手について
1 股継手
2 膝継手
(1)膝継手軸の形状による分類
(1)単軸膝ブロック継手
(2)2 軸膝継手,多軸膝継手
(2)立脚相の制御
(1)固定式膝継手
(2)荷重ブレーキ膝─ 安全膝
(3)油圧ロック膝
(3)遊脚相制御
(1)伸展補助装置
(2)定摩擦膝継手
(3)可変摩擦膝継手,間欠摩擦膝継手
(4)油圧・空圧制御膝
(4)インテリジェント義足
(5)最近におけるハイブリッド型膝継手の開発実用化
(1)オットーボック膝継手
(2)ナブテスコ・ハイブリッドニー
(3)ナブテスコ・NK-6 レガート
(4)LAPOC空圧制御シリンダー付き荷重ブレーキ膝(P-BASS)
(5)Rheo Knee(オズール社)
(6)四軸油圧電子制御膝継手ALLUX TM(ナブテスコ社)
(6)膝継手の機能区分整備(厚生労働省障害者対策総合研究事業;平成27 年)
(7)膝継手の処方(選択)
3 足継手と足部
(1)中足指節関節の底背屈運動
(2)距 関節の底背屈運動
(1)単軸足部
(2)サッチ足部
(3)足根間および足根中足関節の回内外運動
(4)エネルギー蓄積型足部
(5)スポーツ用義足足部
(6)カーボンファイバー(CFRP)を用いた取り外し可能な下腿義足外装の作成
(7)国内で入手可能な義足足部
3 トルクアブソーバー(起回転力吸収装置)
4 義肢の理解に必要な正常歩行について
1 歩行周期
(1)立脚相
(2)遊脚相
(3)両脚支持期
2 歩行の基本的要因
(1)骨盤の回旋
(2)骨盤の傾斜
(3)立脚相における膝関節屈曲
(4)足部と足関節の運動
(5)膝関節の運動
(6)骨盤の側方移動
3 歩行における下肢の回旋
4 歩行における筋肉の働き
5 歩行における床反力
(1)垂直方向の力
(2)前後方向への剪力
(3)側方方向への剪力
(4)ねじれ
6 義足歩行におけるエネルギー消費
5 股義足
1 受皿式およびティルティングテーブル式の股義足
2 カナダ式股義足
(1)特徴
(1)合成樹脂製ソケットと三点固定
(2)アライメントによる安定性の獲得
(3)広く耐久性がある股継手
(4)股継手の前後にあるバンパーの役割はきわめて大きい
(5)股屈曲制限バンドと膝伸展補助バンド
(2)歩行の特徴
(1)踵接地期
(2)立脚中期
(3)踏み切り期
(3)製作方法
(1)陰性モデルの採型
(2)陽性モデルの修正
(3)ソケットの製作
(4)股継手の取り付け
(5)大腿部の製作
(6)アライメントの決定
(7)復元ジグによる最良のアライメントの再現
(8)外装
(4)歩行能力と実用性
(1)装着率
(2)義足歩行の実用性
(5)殻構造義足から骨格義足への移行
(6)継手の処方
(1)股継手
(2)膝継手
(3)足部の処方
(4)ターンテーブルの処方
3 片側骨盤切断(仙腸関節切断)用義足
(1)特徴
(2)製作過程
(1)採型
(2)陽性モデルの修正
(3)合成樹脂製ソケットの製作
(4)アライメントの決定
(5)外装
(3)歩行能力
(4)膝継手および足部の処方
6 大腿義足
1 大腿義足の種類
2 義足歩行に必要な4つの条件
3 大腿義足ソケットの適合
(1)差し込み大腿ソケット
(2)吸着式ソケット
(1)吸着義足の利点
(2)吸着式ソケットの変遷
(3)坐骨結節支持部レベルでのソケットパターンの変化
(4)坐骨結節より遠位でのソケットの機能と形状の変化
(5)断端に対する四辺形ソケットの機能的役割について
(6)合成樹脂製ソケット製作指導上の問題
(7)大腿ソケット適合上の愁訴と原因
(8)フレキシブルソケット
(9)内外径の広い坐骨支持の四辺形ソケットから内外径の狭い坐骨収納型ソケット(IRCソケット)へ
Normal Shape-Normal Alignment /CAT-CAM /Ishial-Ramal-Containment Socket /M.A.S.(R)
4 大腿義足のアライメント
(1)アライメントの決定方法
(1)作業台上でのアライメントの決め方─ベンチアライメント─
(2)静的アライメント
(3)動的アライメント
(2)膝の安定性
(1)切断者の意思によらない不随意制御因子
(2)切断者による随意制御
(3)股関節屈曲拘縮とアライメント設定との関係
(4)断端末負荷による利点
(3)義足の側方安定性
5 大腿義足の懸垂方法
(1)シレジアバンド
(1)シレジアバンド3 つの型
(2)シレジアバンドの利点
(2)股ヒンジ継手と骨盤帯
(1)骨盤帯の利点
(2)骨盤帯の欠点
(3)シリコーンライナーによる懸垂
6 大腿吸着義足の適応例
7 大腿切断者の悩みとその解決方法
(1)日本の日常生活動作への適応
(1)ターンテーブルの処方
(2)キップシャフト
(3)足継手の底背屈角度の調整ユニット
(2)高齢大腿切断者に対する軽量化,適合調節に関する問題
(3)水泳・入浴用大腿義足
(4)農耕用大腿義足
7 膝義足
(1)外科手技上の利点
(2)膝義足装着の立場からみた膝離断の利点
(3)義足装着の側からみた欠点
1 膝離断用ソケットの適合
(1)在来式ソケット
(2)軟ソケット付き全面接触ソケット
2 膝義足の遊脚相制御
8 下腿義足
1 機能的特徴とその機能を生かすための条件
(1)下腿切断の機能的特徴
(2)下腿切断後の残余機能を最大限に生かす下腿義足の条件
2 下腿義足の進歩の歴史
(1)大腿コルセット付きのいわゆる在来式下腿義足からの脱皮
(2) PTB下腿義足
(1)PTB下腿義足の構成
(2)PTB下腿義足の特徴
(3)PTB下腿義足の採型とソケットの製作
(4)PTB下腿義足のアライメント
(5)PTB下腿義足の特性(利点・欠点)と処方方針
(6)エアクッションソケット付きPTB下腿義足
(7)超軽量下腿義足
(8)CAD/CAMによるソケットの製作
(3) PTS下腿義足
(1)装着率
(2)利点
(3)欠点
(4)適応と不適応
(5)膝関節伸展拘縮を伴う短断端に対するPTS型スプリットソケット
(4) KBM下腿義足
(1)利点
(2)欠点
(5) TSB吸着ソケット
(1)TSBソケットの特徴
(2)UCLA:TSBソケットのギプス採型手技の基本
(3)TSBギプスソケットの徒手による採型手技(La Trobe大学)
(6)インターライナーの進歩
(1)シリコーンライナーの開発
(2)弾力性ライナーソケット(シリコーン,ウレタン,サーモプラスチック・ゲル)の利点・欠点
(3)シリコーン・ウレタンライナーによる懸垂法の種類
(4)代表的なシリコーンライナー
(5)TSBソケットの適合上によく起こる問題点と対策
(6)従来のソフトインサート付きPTBソケットからシリコーンライナー適用への円滑な移行
9 サイム義足
1 サイム切断の持つ機能的特徴
(1)サイム切断の利点
(2)サイム切断の欠点
2 サイム義足の種類
(1)在来式サイム義足
(2)カナダ式合成樹脂製サイム義足
(3) VAPC内側開き式サイム義足
(4) 軟ソケット付き全面接触式サイム義足
(1)切断手技での変法
(2)義足の改良
3 サイム義足用足部
10 足部切断と義足
1 足部切断の持つ問題点
(1)わが国において足部切断が多い理由
(2)ショパール・リスフラン関節離断部位に対する評価
(1)体重の負荷性
(2)断端部の変形
(3)断端部の皮膚の状態
(4)歩容および歩行能力
2 足部切断用義足
第5章 切断者のリハビリテーション
1 リハビリテーションとは
2 切断者のリハビリテーションの過程
(1)医学的リハビリテーション
(2)心理的リハビリテーション
(3)社会的リハビリテーション
(4)職業的リハビリテーション
3 切断義肢クリニック
(1)切断義肢クリニックの機能
(2)クリニックチームメンバーの役割
(1)医師
(2)看護師
(3)理学療法士,作業療法士
(4)義肢装具士
(5)リハビリテーションエンジニア
(6)医療ソーシャルワーカー
(7)切断者
4 切断直後の断端のケア
1 切断術直後の断端創の処置
(1)ソフトドレッシング(弾性包帯)
(1)利点
(2)欠点
(2)リジッドドレッシング(ギプスソケット)
(1)利点
(2)欠点
(3)リムーバブルリジッドドレッシング
(1)利点
(2)欠点
(4)環境制御による創治療法
(5)リジッドドレッシングを利用した後にシリコーンライナーを用いる方法
(6)現在における切断術後ケアの方向
2 断端拘縮の発生の予防
3 断端の浮腫の予防
4 主として切断創治癒後に用いる弾性包帯の使用
5 義肢装着前訓練
1 基本的訓練
(1)断端訓練
(1)下肢切断の場合
(2)上肢切断の場合
(2)健常な姿勢の保持
(3)体幹筋訓練
(4)下肢切断者の健脚訓練
(1)健脚起立訓練
(2)連続片足跳び
(3)膝関節屈伸運動
(5)水治療法およびマッサージ
2 義肢装着前後の断端の評価
3 義肢装着開始の時期
(1)在来式義肢装着法
(2)術直後義肢装着法
(1)歴史的背景
(2)施行の実際─ 下肢切断
(3)施行の実際─ 上肢切断
(4)施行上注意しなければならない点
(5)本法の利点と問題点
(3)早期義肢装着法
4 義肢の処方
5 義肢の適合検査
6 義肢装着訓練
1 義足装着訓練
(1)義肢の装着
(2)立位での平衡訓練
(3)平行棒内での平衡訓練
(4)歩行訓練
(5)日常生活動作訓練
(6)応用・習熟訓練
(7)両下肢切断者の歩行訓練の特殊性
(1)両側大腿切断例
(2)一側大腿・一側下腿切断例
(8)下肢切断者の歩行能力
(1)歩行速度,持続距離,実用歩型
(2)階段昇降能力
(3)その他,難路・坂道・障害物歩行などの応用動作
(9)義足装着訓練ステップアッププログラムについて
(1)ステップ1:従来の歩行訓練プログラム
(2)ステップ2:歩行速度を向上させる訓練プログラム
(3)ステップ3:スポーツ,レクリエーションを目的とした訓練プログラム
(10)在宅高齢下肢切断者の実態
2 義手装着訓練
(1)装着前訓練
(1)創の良好な治癒と成熟断端の早期獲得
(2)関節可動域の確保
(3)良好な姿勢の確保
(4)筋力増強訓練
(2)義手コントロール訓練
(1)前腕義手
(2)上腕義手
(3)肩義手
(3)義手使用訓練─ 基本訓練
(1)義手手先の位置の設定
(2)“ どちら側が利き手か” の決定
(3)訓練は,単純なものから複雑なものに
(4)義手使用訓練─ 日常生活動作
(1)衣服着脱動作
(2)食事動作
(3)事務動作
(4)整容動作
(5)家事動作
(6)自動車運転
3 社会復帰後の義手装着状態
4 筋電電動義手の装着訓練とメインテナンスの実際について
(1)義手装着前訓練の評価と訓練について
(1)切断者のオリエンテーションとニーズの確認
(2)切断肢の評価
(2)訓練用筋電電動義手(仮義手)の製作
(3)仮義手訓練
(1)仮義手による基本操作訓練
(2)仮義手による応用動作訓練
(3)仮義手による日常生活動作訓練
(4)仮義手による職場や家庭での使用訓練
(4)メインテナンス
(5)筋電電動義手利用者の立場に立って─筋電電動義手装着を成功に導くためには─
(6)筋電電動義手を装着利用されている具体的事例(兵庫県立総合リハビリテーションセンター)
(1)筋電電動義手装着前の評価と訓練
(2)訓練用筋電電動義手(仮義手)の製作
(3)仮義手訓練(基本操作訓練)
(4)仮義手訓練(応用動作訓練)
(5)仮義手訓練(日常生活動作訓練)
(6)家での動作訓練
(7)訓練を行って
5 わが国での電動義手の今後
7 断端の合併症
1 断端痛
(1)神経断端部の刺激による疼痛
(2)断端の循環障害による疼痛
(3)断端筋肉の異常緊張による疼痛
(4)中枢神経性の疼痛
2 幻肢および幻肢痛
(1)幻肢の特徴
(2)幻肢および幻肢痛の成因
(3)幻肢痛に対する治療
3 断端における皮膚疾患
8 断端の衛生保持
(1)断端の清拭
(2)義肢ソケットの取り扱い
(3)断端袋の取り扱い
(4)神戸断端ソックスの利用
(5)シリコーンライナーの取り扱い
(6)弾性包帯の取り扱い
(7)皮膚に異常を認めたときの処置
(8)末梢血管障害がある場合の足部に対する治療および予防
(9)断端自己管理に向けての看護師サイドからの取り組み─スキンケアパンフレットの作成
第6章 障害者福祉政策の変化と義肢装具の支給サービス
1 障害者福祉施策の動向
(1)わが国の障害者数
(2)わが国の障害保健福祉施策の歴史
2 国内外における義肢装具サービス改善へのあゆみ
(1)日本義肢装具研究同好会から「日本義肢装具学会」発足へ
(2)日本リハビリテーション医学会及び日本整形外科学会に設置された義肢装具委員会の協働による行政への提言と,これにより実施された義肢装具サービスの改革
(1)統一処方箋と義肢装具のJIS用語
(2)義肢装具の標準規格化
(3)義肢装具の価格体系の変遷と今後の改革について
(1)身体障害者福祉法から障害者総合支援法へ
(2)補装具費の支給基準の改革
(4)福祉用具法
(1)背景
(2)福祉用具法の展開
(5)義肢装具研究開発とサービス向上にむかって
(1)義肢装具の研究開発体制のあり方について
(2) 地域における義肢装具の処方・装着訓練を行うリハビリテーション医療機関の整備
(3)義肢装具適合センターの整備と統一処方箋
第7章 義肢装具における国際協力
1 ISPOの目的と組織
(1) ISPOの目的
(2) ISPOの会員組織
(3) ISPO会員のメリット
(4) ISPOによる義肢装具士のカテゴリー区分
(1)義肢装具士の国際資格のカテゴリー区分
(2)ISPOカテゴリーIの職業プロフィール
(3)ISPOカテゴリーIとIIの違い(WHOガイドライン)
(4)I SPOカテゴリーIの受験資格(2014 年)
(5)世界会議およびセミナー,研修コース,カンファレンス
(6)出版
(7)国際標準化活動
(8)国際組織との交流
(9) ISPO世界義肢装具教育者会議
2 わが国の義肢装具における今後の国際協力のあり方
(1) ISPO第6 回世界会議の開催
(2)アジア義肢装具学術大会の設置
(3)日本財団によるアジアにおける義肢装具教育施設の設置
文献
和文索引
欧文索引