はじめに
地域リハビリテーションについては，「障害のある人々や高齢者およびその家族が住み慣れたところで，そこに住む人々とともに，一生安全に，心豊かにいきいきとした生活が送れるよう，医療や保健，福祉及び生活に関わるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行う活動のすべてを言う」と，2001年に日本リハビリテーション病院・施設協会によって定義されています．
この内容は，地域包括ケアシステムの理念と共通しています．地域包括ケアシステムの構築は，2025年を目途に，重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるよう，地域の包括的な支援・サービス提供体制を実現しようとするものです．このシステムの構築の中で，地域リハビリテーション活動支援事業としての訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションには大きな期待がもたれています．
訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションを通じた地域リハビリテーションでは，在宅生活の自立支援とQOL（Quality of Life）の維持・向上を目指すことが重要となりますが，機能障害や活動制限の改善に主な視点を置くのではなく，社会参加を視野に入れることがこれまで以上に求められています．つまり，「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかける必要がより強調されているわけです．そのためには，リハビリテーション専門職種である理学療法士，作業療法士，および言語聴覚士が個別に活動するのではなく，お互いに協力し合って，質の高いサービスを提供することが必要となります．
本書が，理学療法士，作業療法士，および言語聴覚士のチームによって，効果的で効率的な訪問，あるいは通所リハビリテーションが提供できるための一助となり，さらに地域における介護予防の取り組みの強化や発展に寄与できるのであれば編者らの望外の幸せであります．
最後に，編者のひとりである金子は，若手ながらこれまで2か所の勤務先で訪問リハビリテーションに携わり，2か所目では立ち上げにも従事しました．この時の経験を通じ，これから訪問や通所のリハビリテーションに関わる若手スタッフに対して少しでも役に立ちたいという趣旨から，本企画が誕生したことを付記しておきます．また，金子の妹の茉由さんには，表紙と挿絵のイラストを提供していただきました．これは，実際の場面をできるだけ具体的にイメージできるようにしたいことはもちろん，在宅生活の場でほっとする家庭的な親しみやすさを感じる書にしたいという編者らの想いからです．こちらのいろいろな注文に対応していただいたことに，この場をお借りしてお礼申し上げます．
なお，本書の出版にあたっては，編集部の戸田健太郎氏に多大なるご尽力をいただきました．心より謝意を表したいと思います．ありがとうございました．
2015年5月
高橋仁美
金子奈央
地域リハビリテーションについては，「障害のある人々や高齢者およびその家族が住み慣れたところで，そこに住む人々とともに，一生安全に，心豊かにいきいきとした生活が送れるよう，医療や保健，福祉及び生活に関わるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行う活動のすべてを言う」と，2001年に日本リハビリテーション病院・施設協会によって定義されています．
この内容は，地域包括ケアシステムの理念と共通しています．地域包括ケアシステムの構築は，2025年を目途に，重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるよう，地域の包括的な支援・サービス提供体制を実現しようとするものです．このシステムの構築の中で，地域リハビリテーション活動支援事業としての訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションには大きな期待がもたれています．
訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションを通じた地域リハビリテーションでは，在宅生活の自立支援とQOL（Quality of Life）の維持・向上を目指すことが重要となりますが，機能障害や活動制限の改善に主な視点を置くのではなく，社会参加を視野に入れることがこれまで以上に求められています．つまり，「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかける必要がより強調されているわけです．そのためには，リハビリテーション専門職種である理学療法士，作業療法士，および言語聴覚士が個別に活動するのではなく，お互いに協力し合って，質の高いサービスを提供することが必要となります．
本書が，理学療法士，作業療法士，および言語聴覚士のチームによって，効果的で効率的な訪問，あるいは通所リハビリテーションが提供できるための一助となり，さらに地域における介護予防の取り組みの強化や発展に寄与できるのであれば編者らの望外の幸せであります．
最後に，編者のひとりである金子は，若手ながらこれまで2か所の勤務先で訪問リハビリテーションに携わり，2か所目では立ち上げにも従事しました．この時の経験を通じ，これから訪問や通所のリハビリテーションに関わる若手スタッフに対して少しでも役に立ちたいという趣旨から，本企画が誕生したことを付記しておきます．また，金子の妹の茉由さんには，表紙と挿絵のイラストを提供していただきました．これは，実際の場面をできるだけ具体的にイメージできるようにしたいことはもちろん，在宅生活の場でほっとする家庭的な親しみやすさを感じる書にしたいという編者らの想いからです．こちらのいろいろな注文に対応していただいたことに，この場をお借りしてお礼申し上げます．
なお，本書の出版にあたっては，編集部の戸田健太郎氏に多大なるご尽力をいただきました．心より謝意を表したいと思います．ありがとうございました．
2015年5月
高橋仁美
金子奈央
はじめに
第1章 訪問・通所リハビリテーションの実践の前に
1．訪問・通所リハビリテーション目標（高橋仁美）
2．コミュニケーションのとり方（高橋仁美）
3．介助・介護指導の基本的な考え方（高橋仁美）
第1章 参考文献
第2章 日常生活場面でのリハビリテーションの実際
1．寝返り（金子奈央）
2．起き上がり（金子奈央）
3．座位保持（金子奈央）
4．立ち上がり（金子奈央）
5．移乗（金子奈央）
6．歩行（金子奈央）
7．食事（宮田信悦）
8．トイレ（宮田信悦）
9．入浴（宮田信悦）
10．更衣（宮田信悦）
11．整容（宮田信悦）
12．家事（宮田信悦）
13．外出（金子奈央）
第2章 参考文献
第3章 訪問・通所リハビリテーションに必要な技術と指導
1．吸引（高橋仁美）
2．口腔のケア（金森大輔，伊藤友倫子，藤井航）
3．摂食嚥下（金森大輔，加賀谷斉）
4．褥瘡予防（髙見彰淑）
5．自主トレーニング（高橋仁美）
第3章 参考文献
第4章 訪問・通所リハビリテーションに必要な知識
1．気管カニューレ管理（長濱あかし）
2．在宅酸素療法（長濱あかし）
3．在宅人工呼吸療法（長濱あかし）
4．経管栄養（長濱あかし）
5．膀胱内留置カテーテル管理（長濱あかし）
6．水分補給（脱水症・熱中症）（長濱あかし）
7．認知症（ジョーンズ佳子）
8．看取り（長濱あかし）
第4章 参考文献
第5章 リスク管理
1．血圧（主に高血圧）（髙見彰淑）
2．糖尿病（髙見彰淑）
3．心疾患（髙見彰淑）
4．呼吸器（川越厚良）
5．骨粗鬆症（川越厚良）
6．末期がん（川越厚良）
7．疼 痛（金子奈央）
第5章 参考文献
第6章 緊急時対応
1．緊急時対応（ジョーンズ佳子）
2．緊急時対応の実際（ジョーンズ佳子）
第6章 参考文献
索引
【コラム：簡単に作れる自助具紹介!!】
ループ付きタオル（金子奈央）
ドライヤーホルダー（金子奈央）
湿布貼り（金子奈央）
第1章 訪問・通所リハビリテーションの実践の前に
1．訪問・通所リハビリテーション目標（高橋仁美）
2．コミュニケーションのとり方（高橋仁美）
3．介助・介護指導の基本的な考え方（高橋仁美）
第1章 参考文献
第2章 日常生活場面でのリハビリテーションの実際
1．寝返り（金子奈央）
2．起き上がり（金子奈央）
3．座位保持（金子奈央）
4．立ち上がり（金子奈央）
5．移乗（金子奈央）
6．歩行（金子奈央）
7．食事（宮田信悦）
8．トイレ（宮田信悦）
9．入浴（宮田信悦）
10．更衣（宮田信悦）
11．整容（宮田信悦）
12．家事（宮田信悦）
13．外出（金子奈央）
第2章 参考文献
第3章 訪問・通所リハビリテーションに必要な技術と指導
1．吸引（高橋仁美）
2．口腔のケア（金森大輔，伊藤友倫子，藤井航）
3．摂食嚥下（金森大輔，加賀谷斉）
4．褥瘡予防（髙見彰淑）
5．自主トレーニング（高橋仁美）
第3章 参考文献
第4章 訪問・通所リハビリテーションに必要な知識
1．気管カニューレ管理（長濱あかし）
2．在宅酸素療法（長濱あかし）
3．在宅人工呼吸療法（長濱あかし）
4．経管栄養（長濱あかし）
5．膀胱内留置カテーテル管理（長濱あかし）
6．水分補給（脱水症・熱中症）（長濱あかし）
7．認知症（ジョーンズ佳子）
8．看取り（長濱あかし）
第4章 参考文献
第5章 リスク管理
1．血圧（主に高血圧）（髙見彰淑）
2．糖尿病（髙見彰淑）
3．心疾患（髙見彰淑）
4．呼吸器（川越厚良）
5．骨粗鬆症（川越厚良）
6．末期がん（川越厚良）
7．疼 痛（金子奈央）
第5章 参考文献
第6章 緊急時対応
1．緊急時対応（ジョーンズ佳子）
2．緊急時対応の実際（ジョーンズ佳子）
第6章 参考文献
索引
【コラム：簡単に作れる自助具紹介!!】
ループ付きタオル（金子奈央）
ドライヤーホルダー（金子奈央）
湿布貼り（金子奈央）
