序文
「授業で学んだことをどういかせばよいのかわかりません」「実習の場に何を持っていったらよいでしょうか」「患者さんやご家族とどう接したらよいかわからず,不安です」「スーパーバイザーとうまくやっていけるかどうか心配です」「一人暮らしは初めてなので不安です」……
「臨床実習」を控えた学生さんは,期待とともに多くの不安でいっぱいになるようですね.
「現場のスタッフはとても忙しそうなので,なかなか聞きたいことが聞けません」「まだ何にもできない自分は,ただ邪魔になっているのではないかと思ってしまいます」「発表もレポートもうまくいかず,自分はダメだとへこんでしまいます」「臨床実習が辛くて憂鬱です」「早く帰りたい」……
いざ,実習の現場に出ても,さまざまな不安や葛藤がついて回るようですね.
医療を志す者にとって,「臨床実習」は実際に医療の現場に身をおき,これまで授業や教科書などで学んだ知識や技術を確認するとともに,病いに悩む患者さんやご家族と誠心誠意向き合い,さらに,医療チームを構成するさまざまな専門職との協働を体験する,かけがえのない機会になります.病いと闘う患者さんや,医療の現場で活躍する先輩たちの姿を見て,「自分も頑張ろう」と心を新たにすることもあるかもしれません.
一方では,冒頭で紹介したように,「臨床実習」にはさまざまな不安や葛藤がつきまとうことも事実です.
本書は,実習を控えた,あるいは実習の現場に身をおいているみなさんの不安を少しでもやわらげ,“自信をもって”実習に臨んでほしいという思いで企画されました.
まずはブレインストーミングとして,慶應義塾大学の大学院生を含む若手編者(医師,PT,OT,ST)と出版社編集部の10数名が集まり,「自分が実習生であった時,こんな本が欲しかった」「学生さんにはこんなことを学んでほしい」といった討議から始まりました.そのなかで,実習で担当することの多い患者像がイメージでき,リハビリテーションの流れをつかめるようにとの意図から,脳疾患の「症例」をベースに展開することになりました.
臨床実習生とスーパーバイザーの会話形式で繰り広げられる解説(第III章)は臨場感あふれる内容となっていますが,この構成にいたるまでには,幾つもの試行錯誤と検討が重ねられました.
本書の内容,および動画・カード式評価表の付録からも,この本に携わった先輩たちからの熱い思いを感じていただけることと思います.
本書が多くの臨床実習生のお役に立てることを監修者・編者一同,願っています.
2015年3月
監修 里宇明元
「カード式評価集」の序
実習前に評価の準備をしていても,実習では緊張で評価の手順や判定などを忘れてしまい,うまく力を発揮できないことがあります.そのような時でも自信をもって実習に臨めるように,持ち運びが可能な,評価の“アンチョコ”を作成しました.
本付録で取り上げた評価項目は,脳卒中症例の臨床で頻回に用いられるものです.内容は共通評価,身体機能評価,高次脳機能評価,言語評価,発声・口腔構音評価,嚥下評価,日常生活活動評価からなり,それぞれの手順や判定基準を掲載しました.検査肢位が多様な身体機能評価や,決まった課題を呈示する高次脳機能評価では,わかりやすいように図を交えて掲載しました.
実習に向けての不安を解消し,有意義な実習にするために,本付録をご活用ください.
2015年3月
編者を代表して
橋容子
「授業で学んだことをどういかせばよいのかわかりません」「実習の場に何を持っていったらよいでしょうか」「患者さんやご家族とどう接したらよいかわからず,不安です」「スーパーバイザーとうまくやっていけるかどうか心配です」「一人暮らしは初めてなので不安です」……
「臨床実習」を控えた学生さんは,期待とともに多くの不安でいっぱいになるようですね.
「現場のスタッフはとても忙しそうなので,なかなか聞きたいことが聞けません」「まだ何にもできない自分は,ただ邪魔になっているのではないかと思ってしまいます」「発表もレポートもうまくいかず,自分はダメだとへこんでしまいます」「臨床実習が辛くて憂鬱です」「早く帰りたい」……
いざ,実習の現場に出ても,さまざまな不安や葛藤がついて回るようですね.
医療を志す者にとって,「臨床実習」は実際に医療の現場に身をおき,これまで授業や教科書などで学んだ知識や技術を確認するとともに,病いに悩む患者さんやご家族と誠心誠意向き合い,さらに,医療チームを構成するさまざまな専門職との協働を体験する,かけがえのない機会になります.病いと闘う患者さんや,医療の現場で活躍する先輩たちの姿を見て,「自分も頑張ろう」と心を新たにすることもあるかもしれません.
一方では,冒頭で紹介したように,「臨床実習」にはさまざまな不安や葛藤がつきまとうことも事実です.
本書は,実習を控えた,あるいは実習の現場に身をおいているみなさんの不安を少しでもやわらげ,“自信をもって”実習に臨んでほしいという思いで企画されました.
まずはブレインストーミングとして,慶應義塾大学の大学院生を含む若手編者(医師,PT,OT,ST)と出版社編集部の10数名が集まり,「自分が実習生であった時,こんな本が欲しかった」「学生さんにはこんなことを学んでほしい」といった討議から始まりました.そのなかで,実習で担当することの多い患者像がイメージでき,リハビリテーションの流れをつかめるようにとの意図から,脳疾患の「症例」をベースに展開することになりました.
臨床実習生とスーパーバイザーの会話形式で繰り広げられる解説(第III章)は臨場感あふれる内容となっていますが,この構成にいたるまでには,幾つもの試行錯誤と検討が重ねられました.
本書の内容,および動画・カード式評価表の付録からも,この本に携わった先輩たちからの熱い思いを感じていただけることと思います.
本書が多くの臨床実習生のお役に立てることを監修者・編者一同,願っています.
2015年3月
監修 里宇明元
「カード式評価集」の序
実習前に評価の準備をしていても,実習では緊張で評価の手順や判定などを忘れてしまい,うまく力を発揮できないことがあります.そのような時でも自信をもって実習に臨めるように,持ち運びが可能な,評価の“アンチョコ”を作成しました.
本付録で取り上げた評価項目は,脳卒中症例の臨床で頻回に用いられるものです.内容は共通評価,身体機能評価,高次脳機能評価,言語評価,発声・口腔構音評価,嚥下評価,日常生活活動評価からなり,それぞれの手順や判定基準を掲載しました.検査肢位が多様な身体機能評価や,決まった課題を呈示する高次脳機能評価では,わかりやすいように図を交えて掲載しました.
実習に向けての不安を解消し,有意義な実習にするために,本付録をご活用ください.
2015年3月
編者を代表して
橋容子
序文
I.実習の予習をしよう!
1.臨床実習で必要なマナーを身につけよう!
2.コミュニケーションのとり方を学んでおこう!
3.情報収集の手順と聞いておきたい内容を確認しよう!
4.臨床実習の基本的な流れをつかもう!
5.リスク管理と危険予知に関しておさえておこう!
6.症例実習の流れを理解しよう!
7.実習レポートの作成方法を学ぼう!
8.臨床実習で役立つ情報を知っておこう!
II.基本を学ぼう!
脳卒中の障害像を学ぼう!
時期ごとの脳卒中リハビリテーションを学ぼう!
脳卒中リハビリテーションにおける各職種の役割を学ぼう!
脳疾患の基本を学ぼう!
(1)脳梗塞
(2)脳出血
(3)クモ膜下出血
(4)脳腫瘍
(5)硬膜下血腫
(6)外傷性脳損傷
III.応用力をつけよう!
PT実習編
(1)急性期/意識障害の改善後,機能の回復が著明であった脳出血症例
(2)急性期/クモ膜下出血により意識障害を呈した70代女性
(3)回復期/脳梗塞により中等度片麻痺を呈した50代男性
(4)回復期/運動失調を呈し立位に介助を要する脳出血症例
(5)維持期/発症後10年が経過した脳梗塞症例
OT実習編
(1)急性期/能動的なADLを目標として介入した脳出血の80代女性
(2)急性期/ADLの介助量軽減を目指した脳出血の50代主婦
(3)回復期/麻痺が軽度で,実用手を目指した脳出血の50代主婦
(4)回復期/重度感覚障害により麻痺手を不使用であった脳出血症例
(5)維持期/心身機能・能力の向上と環境調整により,自宅退所を目指した脳出血の70代女性
ST実習編
(1)急性期/脳出血により失語症と易疲労性を呈した60代男性
(2)急性期/脳梗塞により摂食嚥下障害を呈した70代男性
(3)回復期/脳幹梗塞発症後に自宅退院を目指した嚥下障害患者例
(4)回復期/クモ膜下出血で麻痺のない高次脳機能障害患者の社会復帰例
(5)維持期/脳梗塞再発から1年が経過した摂食嚥下障害患者例
付録について(カード式評価集,脳卒中の病態がイメージできる38動画)
I.実習の予習をしよう!
1.臨床実習で必要なマナーを身につけよう!
2.コミュニケーションのとり方を学んでおこう!
3.情報収集の手順と聞いておきたい内容を確認しよう!
4.臨床実習の基本的な流れをつかもう!
5.リスク管理と危険予知に関しておさえておこう!
6.症例実習の流れを理解しよう!
7.実習レポートの作成方法を学ぼう!
8.臨床実習で役立つ情報を知っておこう!
II.基本を学ぼう!
脳卒中の障害像を学ぼう!
時期ごとの脳卒中リハビリテーションを学ぼう!
脳卒中リハビリテーションにおける各職種の役割を学ぼう!
脳疾患の基本を学ぼう!
(1)脳梗塞
(2)脳出血
(3)クモ膜下出血
(4)脳腫瘍
(5)硬膜下血腫
(6)外傷性脳損傷
III.応用力をつけよう!
PT実習編
(1)急性期/意識障害の改善後,機能の回復が著明であった脳出血症例
(2)急性期/クモ膜下出血により意識障害を呈した70代女性
(3)回復期/脳梗塞により中等度片麻痺を呈した50代男性
(4)回復期/運動失調を呈し立位に介助を要する脳出血症例
(5)維持期/発症後10年が経過した脳梗塞症例
OT実習編
(1)急性期/能動的なADLを目標として介入した脳出血の80代女性
(2)急性期/ADLの介助量軽減を目指した脳出血の50代主婦
(3)回復期/麻痺が軽度で,実用手を目指した脳出血の50代主婦
(4)回復期/重度感覚障害により麻痺手を不使用であった脳出血症例
(5)維持期/心身機能・能力の向上と環境調整により,自宅退所を目指した脳出血の70代女性
ST実習編
(1)急性期/脳出血により失語症と易疲労性を呈した60代男性
(2)急性期/脳梗塞により摂食嚥下障害を呈した70代男性
(3)回復期/脳幹梗塞発症後に自宅退院を目指した嚥下障害患者例
(4)回復期/クモ膜下出血で麻痺のない高次脳機能障害患者の社会復帰例
(5)維持期/脳梗塞再発から1年が経過した摂食嚥下障害患者例
付録について(カード式評価集,脳卒中の病態がイメージできる38動画)