やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 第53回理学療法士・作業療法士国家試験は平成30年2月25日(日)に実施され,合格者は平成30年3月27日に厚生労働省より発表されました.また,作業療法士国家試験においては,後日訂正が発表され(OT午後2番の正答変更),合格者数が増える結果となりました.訂正分も含めての最終的な本年度の出願者数,受験者数,合格者数および合格率は以下の通りでした.
         出願者数 受験者数 合格者数 合格率
  理学療法士  12,691人 12,148人  9,885人 81.4%
 (うち新卒者) 11,520人 11,033人  9,679人 87.7%
  作業療法士   6,329人  6,164人  4,785人 77.6%
 (うち新卒者)  5,418人  5,289人  4,506人 85.2%

 受験者数は昨年に比べて,理学療法士は1,571人減(昨年:13,719人),作業療法士は181人増(昨年:5,983人)となりました.合格率は昨年と比べると,理学療法士が8.9ポイント減(昨年:90.3%),作業療法士が6.1ポイント減(昨年:83.7%)となりました.
 理学療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(160点満点),実地問題を1問3点(114点満点)とし,次のすべてを満たしている者を合格としています.
 総得点  165点以上/274点
 実地問題  40点以上/114点

 作業療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(160点満点),実地問題を1問3点(117点満点)とし,次のすべてを満たしている者を合格としています.
 総得点  167点以上/277点
 実地問題  41点以上/117点
 なお,今回の試験で採点除外等の取り扱いとなった問題は,
 [理学療法士] [作業療法士] [専門基礎(共通)]
  午前 問題4   午前 問題5   午前 問題66
  午後 問題4,14 午後 問題2   午後 問題59
 の7問でした.
 第53回の試験問題は,全体として基本的な問題が多く出題されていました.理学療法士・作業療法士とも,第52回と比べて合格率が数ポイント下がっていますが,問題そのものの難易度は第52回と同等と言えるでしょう.過去問題が少し姿を変えて出題されているものが多いのも従来通りです.5〜10年分ほどの過去問題をチェックしておくことは必須といえます.また,相対的に難易度が高いとされるX2タイプの形式が,昨年度に引き続き全体の1割ほど出題されています.「2つ選べ」の問題形式に十分に慣れておく必要があります.
 理学療法専門領域では,徒手筋力検査法に関する実地問題2問(PT午前4とPT午後4)が採点除外となりました.とくにPT午前4については,2014年に改訂される以前の旧版のテキストに基づいた出題内容であったためと考えられます.第54回国試からは,最新版のテキストに準じた出題となるでしょう.Penfieldの脳地図(PT午前5)やKPS(PT午後35)などあまり聞き慣れない内容も出題されており,幅広い知識が望まれますが,それ以外のスタンダードな問題で確実に得点できれば十分に合格圏に入ることができる問題構成です.理学療法ガイドラインをはじめとするガイドラインに関する理解(PT午前22,PT午前42),研究や統計(PT午前21,PT午後21),フレイル(PT午前37),シーティング(PT午後14),予防(PT午前49,PT午後22)などは,今後の国試でもおさえておくべき学習内容といえます.
 作業療法専門領域の問題では,第52回に引き続き第53回でも,連続2問セットで問われる連続問題が1問も含まれていませんでしたが,従来の傾向を踏まえて,連続問題への対応も十分に練習しておきたいところです.排泄用具の選択(OT午前12)やネフローゼ症候群の治療方針(OT午後13)など作業療法士の範疇からやや逸脱した問題もあり,受験生は手間取ったことと思われますが,疾患や用具を正しく理解し症例の状態・状況を推察することで,正答を導くことは可能でした.さまざまな領域の評価法について詳しく問われているのも近年の傾向で,深い学習が求められています.また精神障害領域の問題を中心に,設問文が長めのものが比較的多く出題されました.設問文のなかで重要な言葉や記述を把握する練習をしておく必要があります.
 専門基礎領域の問題についても,一部に比較的難易度が高い問題もありましたが,ほとんどが十分に学習していれば解決できる問題で,従来通りの出題傾向でありました.解剖学,生理学,運動学など基本的な知識を確実に整理しておくことは言うまでもなく必須の事柄であります.
 本書は第49回から第53回までの5年間の理学療法士・作業療法士国家試験全問題を掲載しております.本書の構成は,問題,解答,解説からなります.
 問題は,可能な限り原文に則して記載し,図や写真は縮小しています.
 解答は,基本的には厚生労働省が公表したものとしています.一部,厚生労働省の解答と見解が異なる問題については,その旨を明記しました.
 解説は,解答を導き出すのに参考となる事柄を限られたスペースのなかにメモ程度に記載しました.
 パーソナルコンピュータで学習できるように,付録にCD-ROM(第43回から第52回分を収録)を添付しました.対応機種と操作方法は巻末のマニュアルをご覧下さい.CD-ROMでは出題ジャンルによって問題を分類しています.この分類は,平成28年出題基準に対応しています.出題ジャンルの詳細は,巻末「CD-ROM取扱説明書」の12〜13ページをご覧ください.
 本書の解答,解説,CD-ROM等でお気づきの点,また本書の構成などについてご意見がございましたら,編集部宛にご教示下さいますようお願い申し上げます.
 来る第54回の理学療法士・作業療法士国家試験には,どうか本書を存分に活用されて,見事全員が合格されますよう,編集部一同,心からお祈り申し上げます.
 2018年5月
 医歯薬出版編集部
 はじめに
第49回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第50回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第51回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第52回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第53回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)

 付録 CD-ROM取扱説明書