監訳者の序
理学療法士をはじめとして,徒手的に患者と関わるセラピストにとって,触診は極めて基本的かつ重要な技術である.筋・骨の名称を覚えることはもちろんのことながら,体表から皮下に存在する筋や骨を透視するかのごとく観察し,実際に自らの手指にて触って確認することができるスキルの獲得は,高い臨床力を獲得するためには不可欠なものである.
本書『Know the Body』は,大きく2部で構成されている.第1章から第5章までの総論と第6章から第11章までの各論である.総論の部分では,運動学的用語,筋の基本的機能,そして,触診の基本について解説されている.特に,触診の基本が20のガイドラインとしてまとめられており,このガイドラインをマスターするだけでもすべての筋を正確に触診するだけの力を付けることが可能ともいえよう.そして,第5章では骨ランドマークの触診が示されている.骨ランドマークの理解は,筋の触診を行う上でも目安となるものである.第6章以降は,筋の触診についての各論である.それぞれの筋について,筋の概要,筋名称の由来,筋の付着(起始と停止),作用,支配神経,触診法,治療上の配慮という統一された記述によって分かりやすく解説されている.また各個別の筋について,写真とCG合成によって,体表から実際に透視するかのような図を多用し,初学者であってもイメージしやすいように工夫されており,本書の最大の特徴となっている.また,各章末には,その章での学習が出来ているかどうかを確認するための復習問題ならびに症例検討が設けられている.自らの学習の成果を試して,ぜひ確実な知識にして頂きたい.そして第11章の後には付録として各筋の伸張図が提示されているが,筋の伸張は起始と停止が理解されていれば実施可能であり,筋の付着部の再確認として伸張法との関係が理解できるようになっている.
本書の著者は数多くの解剖学ならびに触診に関する書籍を示している第一人者であり,マッサージ,徒手療法,運動療法の専門家の養成に長年かかわっているJoseph Muscolino博士である.現在,彼はニューヨーク州立大学パーチェスカレッジで教鞭をとる傍ら,多くの専門職者の継続学習プログラムを主宰している.また,自身のFacebookページ(The Art and Science of Kinesiology)において,一つ一つの筋をより分かりやすく,そして,継続的に学習を進めるための情報を発信している.
日本語翻訳にあたり,できるだけ語句や文体・語調の統一をはかり,さらに文意を損なわないように留意しながらも文章を簡潔にし,日本語として読みやすくなるよう心がけた.また,必要に応じて訳注を加え読者の勉学の便宜をはかった.なお,一部の訳語については,適切な日本語が見当たらず,監訳者なりの日本語訳を記載した点をお許し頂きたい.誤訳や不適切な語句があれば,広くご教示願えれば幸いである.本書が諸氏の解剖学知識の確認ならびに触診技術の獲得につながり,多くの対象者に貢献できることを願ってやまない.
最後に本書出版に労をいとわなかった医歯薬出版株式会社編集担当者に深甚なる謝意を表する.また,故嶋田智明先生のもとで教育・研究の手ほどきを頂いた理学療法士8名にて本書の翻訳を行わせて頂いた.私達を育てて頂いた故嶋田智明先生に捧げ,監訳の序とする.
2014年2月
監訳者
日正巳
理学療法士をはじめとして,徒手的に患者と関わるセラピストにとって,触診は極めて基本的かつ重要な技術である.筋・骨の名称を覚えることはもちろんのことながら,体表から皮下に存在する筋や骨を透視するかのごとく観察し,実際に自らの手指にて触って確認することができるスキルの獲得は,高い臨床力を獲得するためには不可欠なものである.
本書『Know the Body』は,大きく2部で構成されている.第1章から第5章までの総論と第6章から第11章までの各論である.総論の部分では,運動学的用語,筋の基本的機能,そして,触診の基本について解説されている.特に,触診の基本が20のガイドラインとしてまとめられており,このガイドラインをマスターするだけでもすべての筋を正確に触診するだけの力を付けることが可能ともいえよう.そして,第5章では骨ランドマークの触診が示されている.骨ランドマークの理解は,筋の触診を行う上でも目安となるものである.第6章以降は,筋の触診についての各論である.それぞれの筋について,筋の概要,筋名称の由来,筋の付着(起始と停止),作用,支配神経,触診法,治療上の配慮という統一された記述によって分かりやすく解説されている.また各個別の筋について,写真とCG合成によって,体表から実際に透視するかのような図を多用し,初学者であってもイメージしやすいように工夫されており,本書の最大の特徴となっている.また,各章末には,その章での学習が出来ているかどうかを確認するための復習問題ならびに症例検討が設けられている.自らの学習の成果を試して,ぜひ確実な知識にして頂きたい.そして第11章の後には付録として各筋の伸張図が提示されているが,筋の伸張は起始と停止が理解されていれば実施可能であり,筋の付着部の再確認として伸張法との関係が理解できるようになっている.
本書の著者は数多くの解剖学ならびに触診に関する書籍を示している第一人者であり,マッサージ,徒手療法,運動療法の専門家の養成に長年かかわっているJoseph Muscolino博士である.現在,彼はニューヨーク州立大学パーチェスカレッジで教鞭をとる傍ら,多くの専門職者の継続学習プログラムを主宰している.また,自身のFacebookページ(The Art and Science of Kinesiology)において,一つ一つの筋をより分かりやすく,そして,継続的に学習を進めるための情報を発信している.
日本語翻訳にあたり,できるだけ語句や文体・語調の統一をはかり,さらに文意を損なわないように留意しながらも文章を簡潔にし,日本語として読みやすくなるよう心がけた.また,必要に応じて訳注を加え読者の勉学の便宜をはかった.なお,一部の訳語については,適切な日本語が見当たらず,監訳者なりの日本語訳を記載した点をお許し頂きたい.誤訳や不適切な語句があれば,広くご教示願えれば幸いである.本書が諸氏の解剖学知識の確認ならびに触診技術の獲得につながり,多くの対象者に貢献できることを願ってやまない.
最後に本書出版に労をいとわなかった医歯薬出版株式会社編集担当者に深甚なる謝意を表する.また,故嶋田智明先生のもとで教育・研究の手ほどきを頂いた理学療法士8名にて本書の翻訳を行わせて頂いた.私達を育てて頂いた故嶋田智明先生に捧げ,監訳の序とする.
2014年2月
監訳者
日正巳
監訳者の序
はじめに
謝 辞
著者について
第1章 基本的な運動学用語
主な身体部位
解剖学的肢位
部位を示す用語
面
軸
運動を示す用語
関節運動像
第2章 骨格について
骨 格
関 節
骨ランドマークと筋付着部の解剖図
第3章 筋の機能について
筋は収縮力をもたらす
筋の収縮とは?
筋の付着名称:起始と停止か付着か
遠心性収縮
等尺性収縮
筋の役割
フィラメントの滑走説
筋線維構造
筋の学習
第4章 どのように触診するか
触診とは何か?
触診の目的:部位の同定と評価
いつ触診するのか?
どのように触診を学ぶか
触診ガイドライン
第5章 骨触診
上肢帯
体 軸
下肢帯
第6章 肩甲帯と上腕の筋
機能の概要:肩甲帯の筋
機能の概要:肩甲上腕関節の筋
機能の概要:肘関節および橈尺関節の筋
僧帽筋
大菱形筋;小菱形筋
肩甲挙筋
前鋸筋
胸筋グループ(大胸筋;小胸筋)
鎖骨下筋
広背筋;大円筋
回旋腱板グループ(棘上筋;棘下筋;小円筋;肩甲下筋)
三角筋
烏口腕筋
上腕二頭筋
上腕筋
上腕三頭筋
肘 筋
第7章 前腕と手の筋
機能の概要:肘関節と橈尺関節の筋
機能の概要:手関節の筋
機能の概要:指の筋
手関節掌屈筋グループ(橈側手根屈筋;長掌筋;尺側手根屈筋)
回内筋グループ(円回内筋;方形回内筋)
腕橈骨筋
手指および母指の屈筋グループ(浅指屈筋;深指屈筋;長母指屈筋)
手関節伸展筋群(長橈側手根伸筋;短橈側手根伸筋;尺側手根伸筋)
手指および小指の伸筋グループ(総指伸筋;小指伸筋)
回外筋
遠位深部の4つの筋グループ(長母指外転筋;短母指伸筋;長母指伸筋;示指伸筋)
母指球筋(短母指外転筋;短母指屈筋;母指対立筋)
小指球筋(小指外転筋;小指屈筋;小指対立筋)
短掌筋
中央コンパートメントグループ(母指内転筋;虫様筋;掌側骨間筋;背側骨間筋)
第8章 脊柱および胸郭の筋
機能の概要:脊柱の筋群
機能の概要:下顎を動かす筋群
機能の概要:胸郭の筋群
脊柱起立筋群(腸肋筋;最長筋;棘筋)
横突棘筋群(半棘筋;多裂筋;回旋筋)
棘間筋;横突間筋
後鋸筋群(上後鋸筋;下後鋸筋)
腰方形筋
肋間筋群(外肋間筋;内肋間筋)
肋骨挙筋
肋下筋;胸横筋
横隔膜
腹壁前面の筋群(腹直筋;外腹斜筋;内腹斜筋;腹横筋)
板状筋群(頭板状筋;頸板状筋)
後頭下筋群(大後頭直筋;小後頭直筋;下頭斜筋;上頭斜筋)
胸鎖乳突筋
斜角筋群(前斜角筋;中斜角筋;後斜角筋)
舌骨上筋群(顎二腹筋;茎突舌骨筋;顎舌骨筋;オトガイ舌骨筋)
舌骨下筋群(胸骨舌骨筋;胸骨甲状筋;甲状舌骨筋;肩甲舌骨筋)
椎体前部筋群(頸長筋;頭長筋;前頭直筋;外側頭直筋)
第9章 頭部の筋
機能の概要
側頭筋;咬筋
翼突筋群(外側翼突筋;内側翼突筋)
頭皮の筋(後頭前頭筋;側頭頭頂筋;耳介筋群)
表情筋─眼(眼輪筋;上眼瞼挙筋;皺眉筋)
表情筋─鼻(鼻根筋;鼻筋;鼻中隔下制筋)
表情筋─口(上唇鼻翼挙筋;上唇挙筋;小頬骨筋;大頬骨筋;口角挙筋;笑筋;頬筋;口角下制筋;下唇下制筋;オトガイ筋;口輪筋;広頸筋)
第10章 骨盤と大腿の筋
機能の概要:股関節の筋
機能の概要:脊柱の筋
機能の概要:膝関節の筋
殿筋群(大殿筋;中殿筋;小殿筋)
深層外旋筋群(梨状筋;上双子筋;内閉鎖筋;下双子筋;外閉鎖筋;大腿方形筋)
大腿筋膜張筋
縫工筋
腸腰筋(腸骨筋;大腰筋)
小腰筋
内転筋群(長内転筋;短内転筋;大内転筋;恥骨筋;薄筋)
大腿四頭筋群(大腿直筋;外側広筋;内側広筋;中間広筋)
膝関節筋
ハムストリングス(大腿二頭筋;半腱様筋;半膜様筋)
第11章 下腿および足部の筋
機能の概要:距腿関節および距骨下関節の筋
機能の概要:足趾の筋
前脛骨筋
長母趾伸筋
長趾伸筋
腓骨筋群(長腓骨筋;短腓骨筋;第三腓骨筋)
下腿三頭筋群(腓腹筋;ヒラメ筋)
足底筋
Tom,Dick,Harryグループ(後脛骨筋;長趾屈筋;長母趾屈筋)
膝窩筋
足部の内在筋─背面(短趾伸筋;短母趾伸筋)
足部の内在筋─足底の第1層(母趾外転筋;小趾外転筋;短趾屈筋)
足部の内在筋─足底の第2層(足底方形筋;虫様筋)
足部の内在筋─足底の第3層(短母趾屈筋;小趾屈筋;母趾内転筋)
足部の内在筋─足底の第4層(底側骨間筋;背側骨間筋)
付録 筋の伸張図
参考文献
索 引
はじめに
謝 辞
著者について
第1章 基本的な運動学用語
主な身体部位
解剖学的肢位
部位を示す用語
面
軸
運動を示す用語
関節運動像
第2章 骨格について
骨 格
関 節
骨ランドマークと筋付着部の解剖図
第3章 筋の機能について
筋は収縮力をもたらす
筋の収縮とは?
筋の付着名称:起始と停止か付着か
遠心性収縮
等尺性収縮
筋の役割
フィラメントの滑走説
筋線維構造
筋の学習
第4章 どのように触診するか
触診とは何か?
触診の目的:部位の同定と評価
いつ触診するのか?
どのように触診を学ぶか
触診ガイドライン
第5章 骨触診
上肢帯
体 軸
下肢帯
第6章 肩甲帯と上腕の筋
機能の概要:肩甲帯の筋
機能の概要:肩甲上腕関節の筋
機能の概要:肘関節および橈尺関節の筋
僧帽筋
大菱形筋;小菱形筋
肩甲挙筋
前鋸筋
胸筋グループ(大胸筋;小胸筋)
鎖骨下筋
広背筋;大円筋
回旋腱板グループ(棘上筋;棘下筋;小円筋;肩甲下筋)
三角筋
烏口腕筋
上腕二頭筋
上腕筋
上腕三頭筋
肘 筋
第7章 前腕と手の筋
機能の概要:肘関節と橈尺関節の筋
機能の概要:手関節の筋
機能の概要:指の筋
手関節掌屈筋グループ(橈側手根屈筋;長掌筋;尺側手根屈筋)
回内筋グループ(円回内筋;方形回内筋)
腕橈骨筋
手指および母指の屈筋グループ(浅指屈筋;深指屈筋;長母指屈筋)
手関節伸展筋群(長橈側手根伸筋;短橈側手根伸筋;尺側手根伸筋)
手指および小指の伸筋グループ(総指伸筋;小指伸筋)
回外筋
遠位深部の4つの筋グループ(長母指外転筋;短母指伸筋;長母指伸筋;示指伸筋)
母指球筋(短母指外転筋;短母指屈筋;母指対立筋)
小指球筋(小指外転筋;小指屈筋;小指対立筋)
短掌筋
中央コンパートメントグループ(母指内転筋;虫様筋;掌側骨間筋;背側骨間筋)
第8章 脊柱および胸郭の筋
機能の概要:脊柱の筋群
機能の概要:下顎を動かす筋群
機能の概要:胸郭の筋群
脊柱起立筋群(腸肋筋;最長筋;棘筋)
横突棘筋群(半棘筋;多裂筋;回旋筋)
棘間筋;横突間筋
後鋸筋群(上後鋸筋;下後鋸筋)
腰方形筋
肋間筋群(外肋間筋;内肋間筋)
肋骨挙筋
肋下筋;胸横筋
横隔膜
腹壁前面の筋群(腹直筋;外腹斜筋;内腹斜筋;腹横筋)
板状筋群(頭板状筋;頸板状筋)
後頭下筋群(大後頭直筋;小後頭直筋;下頭斜筋;上頭斜筋)
胸鎖乳突筋
斜角筋群(前斜角筋;中斜角筋;後斜角筋)
舌骨上筋群(顎二腹筋;茎突舌骨筋;顎舌骨筋;オトガイ舌骨筋)
舌骨下筋群(胸骨舌骨筋;胸骨甲状筋;甲状舌骨筋;肩甲舌骨筋)
椎体前部筋群(頸長筋;頭長筋;前頭直筋;外側頭直筋)
第9章 頭部の筋
機能の概要
側頭筋;咬筋
翼突筋群(外側翼突筋;内側翼突筋)
頭皮の筋(後頭前頭筋;側頭頭頂筋;耳介筋群)
表情筋─眼(眼輪筋;上眼瞼挙筋;皺眉筋)
表情筋─鼻(鼻根筋;鼻筋;鼻中隔下制筋)
表情筋─口(上唇鼻翼挙筋;上唇挙筋;小頬骨筋;大頬骨筋;口角挙筋;笑筋;頬筋;口角下制筋;下唇下制筋;オトガイ筋;口輪筋;広頸筋)
第10章 骨盤と大腿の筋
機能の概要:股関節の筋
機能の概要:脊柱の筋
機能の概要:膝関節の筋
殿筋群(大殿筋;中殿筋;小殿筋)
深層外旋筋群(梨状筋;上双子筋;内閉鎖筋;下双子筋;外閉鎖筋;大腿方形筋)
大腿筋膜張筋
縫工筋
腸腰筋(腸骨筋;大腰筋)
小腰筋
内転筋群(長内転筋;短内転筋;大内転筋;恥骨筋;薄筋)
大腿四頭筋群(大腿直筋;外側広筋;内側広筋;中間広筋)
膝関節筋
ハムストリングス(大腿二頭筋;半腱様筋;半膜様筋)
第11章 下腿および足部の筋
機能の概要:距腿関節および距骨下関節の筋
機能の概要:足趾の筋
前脛骨筋
長母趾伸筋
長趾伸筋
腓骨筋群(長腓骨筋;短腓骨筋;第三腓骨筋)
下腿三頭筋群(腓腹筋;ヒラメ筋)
足底筋
Tom,Dick,Harryグループ(後脛骨筋;長趾屈筋;長母趾屈筋)
膝窩筋
足部の内在筋─背面(短趾伸筋;短母趾伸筋)
足部の内在筋─足底の第1層(母趾外転筋;小趾外転筋;短趾屈筋)
足部の内在筋─足底の第2層(足底方形筋;虫様筋)
足部の内在筋─足底の第3層(短母趾屈筋;小趾屈筋;母趾内転筋)
足部の内在筋─足底の第4層(底側骨間筋;背側骨間筋)
付録 筋の伸張図
参考文献
索 引