やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第3版の序文
 2000 年3 月に,本書初版が脳卒中病棟や地域密着型リハビリテーション病棟・部門のスタッフ向け学習書というコンセプトで刊行されてから既に13 年が経ちました.2006 年4 月に第2 版を出版しましたが,社会情勢に敏感で現場で役立つという特徴が評価され,増刷を重ねることができました.リハビリテーション専門職養成校で本書をテキストとして採用していただいているところも増えております.
 回復期リハビリテーション病棟創設,介護保険制度施行という重要な出来事があった2000 年以降,急速に進む高齢化への対応を目指し,医療機関の機能分化と連携が推し進められています.今後,医療・介護供給体制は,高度急性期,回復期,長期療養,介護といった類型へ再編されようとしています.このような状況のなか,リハビリテーション医療は,温泉地で行われる遠隔地型から地域第一線病院で展開する居住地近接地型に重点が移行しました.同時に,住み慣れた地域での生活を援助する地域リハビリテーションの重要性が認識され,各医療機関や介護事業所間の連携が広がっています.
 脳卒中医療も大きく変化しております.この間の発展が「脳卒中治療ガイドライン2004」という形でまとめられ,2009 年に改定が行われています.リハビリテーション医療に関してもさまざまな進歩が記載されていますが,チームによる集中的かつ包括的なリハビリテーション医療提供の重要性が繰り返し強調されています.
 地域密着型リハビリテーション医療の展開,医療と介護の連携,チーム医療の推進は,本書の基本コンセプトそのものです.今回,第3 版を刊行するにあたり,初版刊行時の精神を継承しながら,時代の変化にあわせた改定を行いました.
 まず,章立てを大きく変更いたしました.学校の授業でテキストとして使用されることを念頭に,総論,各論,各種制度という配置にしております.
 いくつかの点で,第2 版になかった項目を追加しております.たとえば,運動学習,質の評価,地域連携パス,倫理的課題,高齢者用住宅などに関し補強を行っています.診断と治療の項などにおいて,この間の脳卒中医療の進歩を反映させるようにしております.なお,通常なら大幅ページ増になりかねない改定ですが,執筆者の方々にご苦労いただき,幸いにもページ数はほぼ第2 版と同程度に抑えることができました.
 今回,次世代を担う若手リハビリテーション医などを加え,執筆陣,編集委員会の大幅な世代交代を行いました.なお,当初,2012 年春に刊行を目指し,準備を進めてきましたが,2011 年3 月11 日に起こった東日本大震災の影響があり,大幅に遅れることになりました.困難な状況のなか,粘り強く執筆陣を励まして続けていただいた医歯薬出版の編集スタッフの方々に心から感謝申し上げます.本書が脳卒中医療にかかわる医療機関,介護施設,リハビリテーション専門職養成施設の方々にお役に立てることを心から願っております.
 2013 年3 月
 編集委員会

第2 版の序文
 2000 年3 月に,初版を出版してから早くも6 年が経過しました.この間に脳卒中診療やリハビリテーションには,次のような進歩や変化がありました.
 急性期脳卒中の治療では,5 学会合同の委員会による「治療ガイドライン2004」が発表されました.その中では,個々の治療技術について,もとになったエビデンスのレベル(Ia〜IV)によって,推奨のグレード(A「強く勧められる」〜D「行わないよう勧められる」)も示されています.そのエビデンスの中には,本書で紹介したデータも採用され,我々が強調した「チームによる集中的なリハビリテーション」は強く勧められています(グレードA).また,合併症として,深部静脈血栓やうつの重要性が認識され,うつの治療を行うことが推奨されています(グレードB).また,多くの病院に「クリティカルパス」(診断・検査・治療の流れが一目で分かるようした工程表)が,医療の質向上や患者家族への説明に役立つとして取り入れられるようになっています.
 リハビリテーションに関わる変化で大きいものは,回復期リハビリテーション病棟(2000 年4 月)と,2001 年にWHOの総会で承認されたICF(国際生活機能分類)の登場です.今後さらに増えるであろう回復期リハビリテーション病棟が,期待される治療効果をあげるためには,ICFで強調される「negativeな側面(障害)ばかりを見ないで,positiveな側面(残された部分)にも着目すること」,ゴールをチームで共有してチームの力を発揮すること,が重要です.また,PT・OTの養成校の設立が相次ぎ,本書をテキストとして採用して下さるところも増えています.
 退院支援に目を向ければ,介護保険制度が2000 年4 月導入され,利用者が急増しました.導入5 年後の見直しの結果,介護予防重視型システムや地域包括支援センター,地域密着型サービスが新たに2006 年4 月から導入されることになりました.
 初版の編集方針―急性期治療から早期リハビリテーション,そして退院支援のケアマネジメントまで,脳卒中診療・リハビリテーションの全体像をバランス良く取り上げる―はそのままに,上で述べたような進歩や変化を反映させ改訂しました.その結果,約50 ページの増ページとなりました.
 脳卒中は,要介護状態の原因として一番多いなど,その重要性は変わっていません.本書が,臨床現場や教育現場で役に立ち,脳卒中リハビリテーションの水準向上に少しでも貢献できることを願っています.
 2006 年2 月
 編集委員会

第1版の序文
 脳卒中は,要介護(寝たきりと痴呆)老人の最大の基礎疾患です.今後,人口の高齢化に伴い,患者数の増加など臨床的にだけでなく,医療費や介護費用など社会経済的にも,その重要性を増していくと思われます.そして,リハビリテーションが特に必要な疾患の1つです.たとえば,一般病棟に比べ治療効果が大きいことが実証された脳卒中病棟(Stroke Unit)においても,リハビリテーションは不可欠な要素です.
 脳卒中の医療においては,大学病院がその地域の中心的な役割を果たしていることはきわめてまれです.その背景には,脳卒中が高齢者のcommon diseaseであるため患者数が多いこと,リハビリテーションにはチーム医療が必要であること,入院期間が他疾患に比べ長期となることなどの要因があり,今後も短期的にはこの状況は変わらないと思われます.そのため,脳卒中(リハビリテーション)診療の普及と質の向上は,地域密着型の一般病院における脳卒中病棟やリハビリテーション部門にかかっており,今後これらに積極的に取り組む病院が増えることが期待されます.
 本書は,第一線病院の中に,脳卒中病棟やリハビリテーション病棟・部門を立ち上げ運営してきた経験をもつ神経内科専門医やリハビリテーション専門医を中心に編集・執筆しました.チーム医療が不可欠なので,医師だけでなく看護婦や理学療法士(PT),作業療法士(OT),言語聴覚士(ST),医療ソーシャルワーカー(MSW)などのスタッフにも意見を求め,脳卒中とリハビリテーションをめぐるいわば「共通言語」にあたる基礎的知識と技術に関するテキストをめざした本です.
 本書は,以下のような特徴を持っています.まず,内容の上で,脳卒中診療やリハビリテーションのある一面のみを取り上げたものではありません.脳卒中病棟や地域密着型リハビリテーション病棟・部門のスタッフが共有すべき知識や技術は何かという視点から,必要な要素を総合的に述べようと試みました.その結果,(1)脳卒中の病型診断や(合併症を含む)急性期治療,(2)看護婦の役割の大きい段階的嚥下訓練や座位耐性訓練,排尿援助などの早期リハビリテーション,(3)障害の評価と予後予測,(4)廃用症候群とそれを克服するための健側強化訓練,(5)各職種の仕事とチーム医療,(6)一般病院でよく見られる多発性脳梗塞患者に多い嚥下性肺炎や神経因性膀胱,MRSA感染症をはじめ,退院後も含む内科的管理が必要な合併症とその対策,(7)退院に向けた援助,社会資源,ケアマネジメント,退院後の在宅医療,介護保険まで,幅広く扱うことになります.
 また,編集上では,短時間の学習会でも使いやすく,参加できなかったスタッフに後で読んで理解してもらえるよう以下の6点に工夫を加えました.これは第一線病院の実状(1回の学習会にとれる時間は正味30 分で,看護婦は3交代勤務なので全員が一度に参加できない)を考えてのことです.具体的には,(1)学習会参加への動機づけとなるような実践的・具体的基準とその背景となる知識の両者を盛り込み,(2)1つのテーマで分量が多くならないようにし,(3)前回の勉強会に参加していなくても理解できるよう各テーマごとに内容を独立させるとともに参照ページを明示し,(4)図表やサイドメモを多く用い,(5)略語・用語集としても使えるよう索引を充実させました.さらに,(6)医師以外の職種にもわかりやすい表現や内容になるよう,繰り返し編集の手を加えました.
 リハビリテーション部門だけでなく脳卒中病棟で働く医師・看護婦・PT・OT・ST・MSWなど全てのスタッフの役にたつことを意図して編集しました.初心者にわかりやすく,厚すぎない本にしようとするあまり,個別性や専門性の高い内容などに関しては不十分な点があるかもしれません.率直にご批判,ご意見をお寄せいただければ幸いです.
 最後に,脳卒中病棟や地域密着型リハビリテーション病棟・部門のスタッフに必要な知識や技術は何であるのかを,われわれに身をもって教えてくれた多くの患者・家族の方々に感謝します.また,慣れない執筆陣を暖かくそして根気強く励ましてくださった医歯薬出版の編集スタッフに深謝いたします.
 2000 年2月
 編集委員会
第1章 リハビリテーション医学総論
 I 高齢社会と高齢者医療
    1.高齢社会
    2.高齢者医療
 II リハビリテーション医学総論
  1 定義と歴史
    1.リハビリテーション医学の歴史
    2.リハビリテーションの定義
    3.日本におけるリハビリテーションのあゆみ
  2 生活機能と障害の評価
   2-A リハビリテーション医学的プロブレムリストのつくり方
   2-B 心身機能・構造
    1.機能・形態障害評価の流れ
    2.代表的な機能・形態障害
    3.脳卒中の病態からみた重点的な評価の流れ
   2-C 活動
    1.ADL・IADLを構成する要素
    2.ADL評価の目的
    3.ADL評価上の注意点
    4.代表的なADL尺度
   2-D 参加,背景因子
    1.参加と背景因子の評価の重要性
    2.チームで行う生活歴評価
    3.リハビリテーションの主目標と個別目標の設定
   2-E 心理-障害の受容過程
    1.障害の受容過程
    2.心理的要因と関連する因子
    3.説得して障害を認めさせてはいけない.とにかく聞くことである
    4.「 頑張る」は使ってはならない言葉ではない
    5.淡い期待,淡い否認
    6.使い分けと使い方
  3 リハビリテーション医学に特有の対応法
   3-A 廃用症候群
    1.活動-機能-構造連関とは
    2.廃用症候群
    3.廃用症候群の種類
   3-B 廃用症候群の予防
    1.廃用症候群防止に必要な訓練量
    2.起立・歩行・階段昇降の意義
    3.起立・歩行・階段昇降訓練の方法と実施上の注意
    4.集団で行う起立訓練
    5.指導下の自主訓練
    6.退院に向けた指導下の自主訓練の指導
   3-C 運動学習
    1.脳卒中と運動学習
    2.運動学習とスキル
    3.運動学習の段階
    4.フィードバック
    5.課題の与え方
    6.課題特異性と転移
   3-D 支援工学
    1.支援工学とは
    2.支援工学使用の視点
    3.環境への視点
    4.家屋評価
 III 脳卒中地域医療連携の特徴
    1.脳卒中診療の課題
    2.機能分化と連携の課題
    3.脳卒中クリティカルパスから脳卒中地域連携パス
    4.脳卒中地域連携パスのツール
    5.全体連携図
    6.連携シート
    7.患者情報の共有化とface-to-faceの連携
    8.連携パスにおけるアウトカム評価
 IV リハビリテーション医療の質の評価とデータベース
    1.はじめに
    2.プログラム総体としての医療の質
    3.医療の質の枠組み
    4.評価基準
    5.質評価のためのデータ・マネジメント・システムの必要性
    6.データ・マネジメント・システムの概要
    7.得られた知見と今後の課題
第2章 脳卒中リハビリテーションの進め方
 I 脳卒中の診断と治療
  1 脳卒中の病型と重症度および画像診断
    1.脳卒中の分類と頻度
    2.脳卒中の重症度
    3.重症度の評価
    4.脳卒中の画像診断
    5.脳出血の臨床所見と重症度
    6.脳出血の画像所見
    7.くも膜下出血の臨床所見と重症度
    8.くも膜下出血の画像所見
    9.脳梗塞の分類,臨床所見と重症度
    10.脳梗塞の画像所見
    11.一過性脳虚血発作
    12.一過性全健忘
    13.脳血管性認知症
  2 問診
    1.脳卒中に関する問診
    2.リハビリテーション医学的問診
  3 神経学的診察と検査
    1.神経学的診察
    2.内科的診察
    3.脳卒中に必要な検査
  4 脳卒中急性期の管理
    1.意識レベルの判定
    2.脳圧管理
    3.全身管理
    4.痙攣対策
    5.その他の合併症
  5 脳卒中病型別の治療
    1.外科的治療が必要な脳卒中
    2.各病型の治療
  6 脳卒中発症急性期の地域連携
    1.脳卒中急性期治療の実態
    2.よりスムーズな連携のための課題
 II 早期リハビリテーション
  1 早期離床
    1.急性期リハビリテーションの重要性
    2.座位耐性訓練と脳卒中の再発・進行
    3.より積極的な早期離床訓練
  2 急性期の嚥下障害管理
    1.疫学
    2.画像診断
    3.栄養ルートの選定
    4.検査ができる場合の管理
    5.検査ができない場合の管理:摂食開始基準
    6.回復期病棟との連携
    7.地域連携の勧め
  3 尿路管理・排尿援助基準
    1.発症直後の尿路管理
    2.急性期の尿路管理
    3.「尿意の訴え」の回復過程
    4.排尿援助の流れ
    5.排尿援助を進めるうえでの注意点
  4 夜間不穏患者への対応
    1.不穏・せん妄の定義
    2.せん妄の原因
    3.せん妄の治療
  5 関節拘縮の予防と関節可動域訓練
    1.関節拘縮
    2.脳卒中と関節拘縮
    3.関節可動域訓練
  6 深部静脈血栓症/ 肺血栓塞栓症
    1.脳卒中とDVT/PTEとの関係
    2.回復期リハビリテーション病棟における取り組み
 III 回復期リハビリテーション
  1 リハビリテーション施行時の回復経過と予後予測
    1.早期リハビリテーションを施行した場合の回復経過
    2.歩行自立の予後予測
    3.病変部位などによる予後の特徴
  2 回復期リハビリテーション病棟
    1.回復期リハビリテーション病院とは
    2.脳卒中の病期
    3.対象患者
    4.チームアプローチ
    5.回復期リハビリテーション病棟で求められる基準
    6.亜急性期病床
  3 高次脳機能障害患者への対応
    1.高次脳機能障害の特徴
    2.失語症への対応
    3.記憶障害への対応
    4.半側無視への対応
    5.注意障害への対応
    6.遂行機能障害への対応
    7.視覚失認への対応
    8.社会的行動障害への対応
  4 リハビリテーション看護の役割
    1.疾患・合併症管理
    2.日常生活動作自立支援
    3.多職種との連携
    4.精神的支援
    5.家族支援
    6.退院支援
  5 ADL自立に向けての介護技術
    1.排泄自立の介護技術
    2.転倒予防の実績
    3.その他のADL自立のための援助
  6 下肢装具・歩行補助具・歩行訓練
    1.下肢装具
    2.歩行補助具
    3.歩行訓練
  7 車椅子選定と操作方法
    1.車椅子の使用目的
    2.車椅子の構造(自走用標準型車椅子)
    3.車椅子の種類
    4.車椅子給付の助成制度の種類
    5.車椅子の使用方法-移動手段として
    6.ポジショニングの実際
    7.脳卒中片麻痺者の姿勢戦略の特徴と車椅子
    8.おわりに
 IV 維持期の取り組み
  1 退院先の決定
    1.リハビリテーションのゴールと退院
    2.自宅退院の条件
    3.退院時期
    4.退院先の選択肢
    5.退院先の決定における注意点
  2 在宅療養に向けての援助の実際
    1.ケアマネジャーの選定
    2.家屋評価・住宅改修
    3.福祉用具(補装具・福祉機器など)の準備
    4.試験外泊
    5.家族への介護指導
    6.本人・家族への生活指導
    7.社会資源の活用
    8.介護保険の準備とサービス担当者会議の実施
    9.退院後訪問
    10.脳卒中地域連携パス
    11.自動車運転評価
  3 退院後の内科管理(慢性期脳卒中の再発予防)
    1.高血圧症の管理
    2.慢性期脳出血の高血圧症の管理
    3.糖尿病の管理
    4.脂質異常症の管理
    5.飲酒,喫煙
    6.メタボリックシンドローム・肥満
    7.心房細動の管理
    8.再発予防のための抗血小板療法
    9.嚥下障害の管理,嚥下性肺炎の予防
    10.中断対策
  4 退院後の在宅療養支援
    1.さまざまな在宅医療サービスの利用と連携
    2.総合的評価とリスク管理
    3.栄養・水分管理
    4.在宅におけるリハビリテーション
    5.家族援助
    6.患者・家族へのインフォームドコンセント,在宅での看取り
  5 慢性期病床・介護施設におけるリハビリテーション医の役割
    1.はじめに
    2.療養病床
    3.慢性期病床の今後の展開
    4.慢性期病床・介護施設におけるリハビリテーション医の役割
  6 維持期リハビリテーション
    1.維持期リハビリテーションの定義
    2.維持期リハビリテーションの種類
    3.外来リハビリテーション
    4.訪問リハビリテーション
    5.短時間通所リハビリテーション
    6.職業リハビリテーション
第3章 脳卒中によくある合併症とその対策
 I リスクマネジメント総論
    1.はじめに
    2.医療安全管理体制
    3.脳卒中医療におけるリスクマネジメント
 II 嚥下障害と嚥下性肺炎
  1 嚥下障害
    1.嚥下障害の定義
    2.嚥下障害の疫学と原因
    3.球麻痺の特徴と代償方法
    4.偽性球麻痺の特徴と代償方法
    5.診断の基礎
    6.検査
    7.嚥下造影と嚥下内視鏡
    8.治療方法
  2 嚥下性肺炎
    1.疫学:増え続ける肺炎
    2.NHCAP
    3.治療
  3 栄養問題
    1.はじめに
    2.脳卒中後の栄養管理
    3.栄養サポートチーム
    4.Refeeding syndrome
    5.栄養ルートの考え方
    6.間欠的口腔食道経管栄養法(OE法)
  4 胃瘻と流動食
    1.胃瘻とは
    2.胃瘻の現状
    3.胃瘻の実際
    4.特殊な経管栄養方法
 III 排泄障害
  1 神経因性膀胱
    1.正常な排尿
    2.排尿のメカニズムと神経支配
    3.神経因性膀胱
    4.神経因性膀胱の治療
  2 排便異常
    1.便秘
    2.下痢
    3.ノロウイルス
 IV 脳卒中後の抑うつ
    1.脳卒中後うつ状態の重要性
    2.症候と評価法
    3.抗うつ薬の薬物治療
    4.脳卒中後うつへの対応
 V てんかん
    1.てんかん発作と病態
    2.てんかんの管理
 VI 痙縮(痙性)
    1.痙縮の定義
    2.痙縮による姿勢異常や肢位がADL・QOLに与える影響
    3.痙縮治療の進め方
    4.痙縮の治療法
    5.効果判定
    6.おわりに
 VII 疼痛
  1 肩の痛み
    1.脳卒中と肩の痛み
    2.肩の痛みのある患者の診察
    3.肩関節痛に対する治療の一般原則
    4.肩関節亜脱臼
    5.アームスリングについて
    6.肩手症候群
  2 中枢性疼痛
    1.概念
    2.病態・診断
    3.治療
 VIII 転倒・骨折
    1.転倒リスク評価
    2.転倒・骨折事故予防策
 IX 感染症対策
    1.感染防止対策の考え方
    2.手指衛生
    3.感染経路別予防策
    4.感染と保菌
    5.おわりに
 X 褥瘡
    1.はじめに
    2.発生機序
    3.好発部位
    4.褥瘡のリスクアセスメント
    5.褥瘡の深達度分類と創評価
    6.褥瘡の予防と発生後のケア
    7.褥瘡治療の実際
    8.おわりに
 XI 離院問題
    1.求められるリスク管理
    2.発生要因
    3.予防・対策
第4章 脳卒中医療に関係する倫理的問題
 I 認知症,うつを含む精神疾患への対応
    1.はじめに
    2.全人的な理解
    3.精神的諸問題
    4.治療関係の理解−チーム医療の深化
 II 高齢者医療・ケアを巡る倫理的課題
  1 侵襲的治療
    1.はじめに
    2.侵襲的治療の実際(頻度の高いものなど)
    3.侵襲的治療にあたって
    4.おわりに
  2 身体拘束
    1.身体拘束について
    2.緊急やむを得ない場合とは
    3.身体拘束といわれる行為
    4.脳卒中患者における身体拘束
    5.身体拘束廃止に向けて
  3 高齢者虐待
    1.高齢者虐待
    2.障害者虐待
 III 終末期医療
    1.終末期とは
    2.脳卒中の終末期と関連する医療倫理
    3.厚生労働省「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」
    4.臨床倫理の四分割表と具体例
第5章 関係する諸制度
 I 診療報酬制度
    1.診療報酬制度の概要
    2.脳卒中リハビリテーション医療と診療報酬,介護報酬
 II 介護保険制度
    1.介護保険制度の背景と目的
    2.介護保険制度の概要
    3.2006 年度介護保険制度の見直しと現状
    4.介護保険制度の問題点
    5.主な介護サービス
 III 高齢者用住宅
    1.高齢者用住宅整備の必要性
    2.高齢者住宅および老人ホームなどの居住系サービスの種類
    3.サービス付き高齢者向け住宅登録制度の創設
    4.有料老人ホームや高齢者向け住宅を巡る諸問題
 IV 社会資源の利用とケアマネジメント
    1.社会資源の定義
    2.ケアマネジメントの視点
    3.社会資源利用の実際
    4.社会資源に関連する諸制度
第6章 資料
 I 脳卒中治療ガイドラインにおけるエビデンスレベルおよび推奨のグレード
 II 片麻痺機能テスト
 III 関節可動域表示ならびに測定法

 和文・欧文索引
 薬剤名索引

 サイドメモ一覧
  1.rehabilitationの用例
  2.リハビリテーションの訳語
  3.ADL指標を予後予測に用いることは妥当か?
  4.拡大ADL尺度(細川)にみるADL・IADLの難易度
  5.職種間の評価のずれの原因
  6.ADL評価の視点の入った看護記録とは
  7.平行棒も装具も支援工学
  8.支援工学は包括的リハと表裏一体
  9.無症候性脳梗塞
  10.ぜいたく灌流と貧困灌流
  11.アミロイドアンギオパチーとは?
  12.脳室穿破は重症のサイン
  13.微小脳出血
  14.7 シリーズ
  15.脳循環の自動調節能
  16.ADH分泌異常症(SIADH)とは?
  17.低Na血症に急速補正は禁忌
  18.「尿意の訴え」の回復過程
  19.夜間不穏の治療薬の作用機序と副作用
  20.ワレンベルグ症候群(Wallenberg syndrome)
  21.当院の排泄アプローチ
  22.当院の栄養アセスメント
  23.高次脳機能障害患者の排泄動作自立支援
  24.モジュール型継続受け持ち看護方式
  25.ワルファリンおよび抗血小板薬の休薬,副作用について
  26.VF・VEの最近の動向
  27.不足している特別養護老人ホーム
  28.ゼリーの注意点
  29.嚥下性肺炎の診断基準について
  30.実施時のリスクが高いと評価される嚥下造影
  31.抗てんかん薬の予防投与について
  32.標準的算定日数上限規定問題
  33.集中的ケアマネジメントを可能とする介護保険改革
  34.介護保険外サービス
  35.社会資源利用の裏技
  36.障害者自立支援法と自立生活活動