やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

まえがき

 本書はポケットやカバンに入れて手軽に持ち運べ,実際の臨床の場で必要な手技と知識をコンパクトに調べやすいようにまとめたものである.嚥下障害は患者数も多くベッドサイド,在宅,外来などで常にその場の対応が必要とされる.嚥下障害に関しては多くの著書や雑誌の特集号が出され,講習会や研究会,学会などで知識を得る機会が多くなったが ,目の前の患者さんに何をどうすればよいかというときすぐ調べられるハンディな本は少ない.当初は聖隷三方原病院の嚥下セミナーテキストを念頭においていたものであったが,より多くの人に活用いただけることを考えて出版される運びとなった.
 本書の特徴はポケットサイズということの他に「訓練法の実際」について多くのページを割いていること,また,たくさんのイラストを用いてSTや看護職員などが具体的な訓練法を理解しやすいように解説している点である.訓練法はあいうえお順で引きやすくし,症状別の対処法も巻末にまとめて表にしてある.脳卒中や神経疾患などの機能的原因による成人の嚥下障害を中心に記載しているが,嚥下障害臨床全般のエッセンスを盛り込むように努力した.小児に関しては同じ聖隷福祉事業団おおぞら療育センターの横地健治先生に執筆していただいた.きれいなイラストはSTの新居素子さん,表紙は清水一男氏に描いていただいた.深謝いたします.
 皆様のご意見,ご批判を仰ぐと共に嚥下障害ビデオシリーズなどと合わせて活用していただければ幸いである.
 2001年8月 聖隷三方原病院嚥下チーム 代表 藤島一郎
序(藤島一郎)

1:基礎的知識(藤島一郎)
2:嚥下障害の病態と原因(藤島一郎)
3:スクリーニングと精査,評価(薛 克良,藤島一郎)
4:リハビリテーションの考え方と治療(藤島一郎)
5:リスク管理と呼吸器合併症(薛 克良, 藤島一郎)
6:訓練法
 摂食・嚥下訓練の実際(小島千枝子,北条京子,新居素子,前田広士, 藤島一郎)
 肺理学療法(神津 玲, 朝井政治)
 運動療法(阿部郁代,宮崎哲哉)
 OT訓練(植田真理子,齊藤容子)
7:病棟における摂食・嚥下障害の看護,一般看護との違い(勝田英子,松尾和代)
8:嚥下障害患者で注意すべき歯科的問題点(岩佐康行)
9:口腔ケア(小宮山ひろみ)
10:経管栄養(藤森まり子)
11:嚥下食とレシピ(新村紀子,金谷節子)
12:重症心身障害児(者)の嚥下障害と治療(横地健治)
13:口腔,咽頭手術後の嚥下障害,嚥下障害の手術(袴田 桂,関 敦郎)
 嚥下障害の症状別対処法(表)
 学会・研究会,教科書・ビデオ

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