やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに―本特集にあたって
 2005年出版の『人は見た目が9割』*という書籍は大ヒットとなりました.私達は視覚情報に依存する傾向があり,“良い悪い”は別にしても,視覚による効果は大きな判断材料となります.
 病理検査においても視覚からの情報は重要であり,摘出された臓器の肉眼所見から,さまざまな臨床情報を得ることができます.
 そこで今月号では,各臓器の病変部における形・色・硬さに注目して肉眼像を理解する特集をお届けします.実際の切り出し業務にもふれることで,現場で活かせる実践的な内容とし,特に経験の浅い若手技師や,普段は切り出し業務を行っていない施設の方々にとって役立つ情報が散りばめられています.タスク・シフト/シェアによって臨床検査技師の活躍の場が広がっているなか,病理検査も例外ではなく,より深い知識や,技術の再構築やアップデートが求められています.ベテラン技師の再確認のために,また中堅・若手技師は肉眼像を見ながら頭のなかで病変を推測し,適切な処置ができるスペシャリストになるために,本特集をお役立ていただきたいと思います.
 *竹内一郎 著,新潮社,2005年.

 監修 塩竈和也
 (藤田医科大学 医療科学部 臨床教育連携ユニット 形態・病理診断学)
特集 肉眼病理学―臓器の形・色・硬さから学ぶ
 はじめに―本特集にあたって
  (塩竈和也)
 1.肉眼病理学とは?―肉眼観察と切り出しの重要性
  (鈴木康太)
 2.臓器別にマスター! 肉眼観察と切り出しのポイント
  1)子宮頸部・体部,卵巣
  (大鹿 均)
  2)肺
  (河原明彦)
  3)乳腺
  (岡部麻子)
  4)食道,胃,腸
  (中嶋綾香・浦野 誠)
  5)肝
  (松永 徹)
  6)胆嚢,膵臓
  (平田一樹・坂根潤一・新井一守・鈴木 誠)

Editorial―今月のことば
 臨床検査技師の生涯教育に携わることになって
 (三村邦裕)

話題―NEWS&TOPICS
 『医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第5版』が公表に
 (坂本史衣)
 『遺伝学的検査受託に関する倫理指針』が改定に
 (堤 正好)

アプローチ別に学ぶ!微生物検査室のAS貢献
 2.グラム染色,簡易同定検査―迅速な菌種推定のために
 (口広智一)

基礎講座
 交差適合試験用検体で溶血となった時の対応
 (村井良精)
 認知機能の把握に用いられる事象関連電位
 (太田克也)
 関節リウマチの今
 (小柴賢洋)

いまさら聞けない
 ウイルス感染症診断における抗体検査の活用法
 (東本祐紀・吉川哲史)

MT Seminar
 ペットから罹る感染症
 (田村 豊)

FOCUS
 『血液培養検査ガイド 第2版』のポイント―血液培養検査の意義と目的を中心に
 (品川雅明)

臨床検査Q&A
 結局のところ,採血のスピッツ分注(注射器採血の場合,真空採血の場合)の順番はどれが正解なのでしょうか?
 (大西宏明)
 現在,化学発光法を用いた免疫測定法としては,化学発光免疫測定法(CLIA),化学発光酵素免疫測定法(CLEIA),電気化学発光免疫測定法(ECLIA)の3種が使用されていると思いますが,それぞれの違いを教えて下さい.
 (中野恵一)

メディカルスタッフ職業図鑑
 8.理学療法士
 (一重吉史)

Information
 第13回日本脳血管・認知症学会総会
 第32回日本病態生理学会大会
 第50回日本マススクリーニング学会学術集会
 第64回日本人間ドック学会学術大会
 第71回日本心臓病学会学術集会

 編集部レポート〔一般社団法人 日本臨床検査学教育協議会 第18回定時総会(令和5年度)〕
 MTパズル
 L・Lの日常(周玲蓮)
 VOICE読者のページ
 編集後記・次号予告