はじめに
池川雅哉
同志社大学生命医科学部医生命システム学科
このたび,質量分析イメージング法を主題とした医学・創薬研究についての特集を企画させていただいた.質量分析イメージング法の基礎から応用,また海外での動向に至るまでを俯瞰できる一冊となった.この技術の可能性と課題について熟知しておられる執筆者らが,最新の成果と将来への忌憚のない展望をご提供いただいたことに,まずもって深く感謝申し上げる.コロナ禍の長いトンネルを抜けた感のある昨今だが,今あらためて対面で行う学術集会の意義深さを思う.本特集も,2023年1月に京都で質量分析イメージング国際シンポジウムを開催したことに端を発し,長かったコロナ自粛からの復活の機運から生まれた賜物である.本シンポジウム開催については,京都生体質量分析研究会の石川冬木先生から心からのご支援を頂戴した.ここに深く御礼申し上げる次第である.
巻頭から,工学,理学,薬学,農学,医学の各方面から,質量分析イメージング法の基礎理論,多階層にわたる対象分子のイメージングの可能性,栄養素の吸収・代謝機構について,各臨床分野での応用例と今後への期待,またリアルワールドデータにおける本技術の担う役割と可能性について,わが国を代表する,また海外で活躍されている先生方の渾身の起稿をいただいた.質量分析技術および画像統計解析の進展についても,機器開発の現場からの寄稿をいただいた.ここにあらためて御礼申し上げる.
現在,モントリオールで開催されている第1回国際質量分析イメージング国際学会(Annual Conference on Mass Spectrometry Imaging and Integrated Topics:IMSIS 2023)に参加している.海外における質量分析イメージング法に関する動向は本文内でも紹介されているが,現時点でヨーロッパ(Mass Spectrometry Imaging Society:MSIS),北米(Imaging Mass Spectrometry Society:IMSS),アジア・オセアニアのそれぞれの地域ごとの活動を基調として,毎年一堂に会して,3〜4日間,密な議論や意見交換を行おうということになった.特に両団体の代表であるMartina Marchetti-Descmann先生(ウィーン工科大学)や,Peggi Angel先生(サウスカロライナ医科大学),また第1回大会長のPierre Chaurand先生(モントリオール大学)らから,わが国への熱い期待をいただいた.本特集が,やがてわが国における本解析技術の進展の一助となれば本望である.
最後に,この技術の可能性を信じ,ご指導くださいました村山繁雄先生,貫名信行先生,Colin L. Masters先生に,あらためて深く御礼申し上げる.また,この特集の編纂中にアルツハイマー病脳病理研究における本技術の可能性を信じ,終始励ましてくださった井原康夫先生がご逝去された.ここに深い哀悼の念を捧げる.
池川雅哉
同志社大学生命医科学部医生命システム学科
このたび,質量分析イメージング法を主題とした医学・創薬研究についての特集を企画させていただいた.質量分析イメージング法の基礎から応用,また海外での動向に至るまでを俯瞰できる一冊となった.この技術の可能性と課題について熟知しておられる執筆者らが,最新の成果と将来への忌憚のない展望をご提供いただいたことに,まずもって深く感謝申し上げる.コロナ禍の長いトンネルを抜けた感のある昨今だが,今あらためて対面で行う学術集会の意義深さを思う.本特集も,2023年1月に京都で質量分析イメージング国際シンポジウムを開催したことに端を発し,長かったコロナ自粛からの復活の機運から生まれた賜物である.本シンポジウム開催については,京都生体質量分析研究会の石川冬木先生から心からのご支援を頂戴した.ここに深く御礼申し上げる次第である.
巻頭から,工学,理学,薬学,農学,医学の各方面から,質量分析イメージング法の基礎理論,多階層にわたる対象分子のイメージングの可能性,栄養素の吸収・代謝機構について,各臨床分野での応用例と今後への期待,またリアルワールドデータにおける本技術の担う役割と可能性について,わが国を代表する,また海外で活躍されている先生方の渾身の起稿をいただいた.質量分析技術および画像統計解析の進展についても,機器開発の現場からの寄稿をいただいた.ここにあらためて御礼申し上げる.
現在,モントリオールで開催されている第1回国際質量分析イメージング国際学会(Annual Conference on Mass Spectrometry Imaging and Integrated Topics:IMSIS 2023)に参加している.海外における質量分析イメージング法に関する動向は本文内でも紹介されているが,現時点でヨーロッパ(Mass Spectrometry Imaging Society:MSIS),北米(Imaging Mass Spectrometry Society:IMSS),アジア・オセアニアのそれぞれの地域ごとの活動を基調として,毎年一堂に会して,3〜4日間,密な議論や意見交換を行おうということになった.特に両団体の代表であるMartina Marchetti-Descmann先生(ウィーン工科大学)や,Peggi Angel先生(サウスカロライナ医科大学),また第1回大会長のPierre Chaurand先生(モントリオール大学)らから,わが国への熱い期待をいただいた.本特集が,やがてわが国における本解析技術の進展の一助となれば本望である.
最後に,この技術の可能性を信じ,ご指導くださいました村山繁雄先生,貫名信行先生,Colin L. Masters先生に,あらためて深く御礼申し上げる.また,この特集の編纂中にアルツハイマー病脳病理研究における本技術の可能性を信じ,終始励ましてくださった井原康夫先生がご逝去された.ここに深い哀悼の念を捧げる.
はじめに
(池川雅哉)
質量分析イメージング法の原理と応用
(大塚洋一)
メタロミクスに向けた高速・高感度イメージング
(平田岳史・山下修司)
マイクロダイアリシスとメタボロミクスの統合
(杉浦悠毅・他)
質量分析イメージング法によるリピドームアトラスの創出
(内野春希・有田 誠)
食品因子の腸管吸収の質量分析イメージング法
(松井利郎・田中 充)
循環器疾患領域の質量分析イメージング法
(尾上健児)
腎疾患領域の質量分析イメージング
(辻 雄大・他)
質量分析イメージング法を用いた肝臓の空間マルチオミクス解析
(井口公太・波多野悦朗)
眼科領域での質量分析イメージング法
(奥村直毅)
アミロイドβの毒性配座理論に基づくオリゴマーモデルの合成と構造機能解析
(入江一浩)
神経変性疾患のプロテオミクス
(朴 洪宣)
神経免疫疾患のヒト脳プロテオーム解析
(池川雅哉・他)
虚血性脳卒中におけるプロテオミクスとアドレノメデュリンの役割
(石山浩之・猪原匡史)
アミロイドーシスと質量分析イメージング
(堂本裕加子・内木宏延)
薬物性肝障害研究における質量分析イメージング法の応用例
(外山友美子・他)
質量分析イメージング法を用いたイムノメタボリズムの可視化と疾患解析
(岡邑舞子・他)
質量分析イメージング研究の海外動向
(新間秀一)
次号の特集予告
サイドメモ
マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)とエレクトロスプレーイオン化法(ESI)の開発
タンパク質と金属元素
特定保健用食品と機能性表示食品
IgA腎症
肝小葉
イオンモビリティー質量分析法(IM-MS)とNative PAGE
用語解説
(池川雅哉)
質量分析イメージング法の原理と応用
(大塚洋一)
メタロミクスに向けた高速・高感度イメージング
(平田岳史・山下修司)
マイクロダイアリシスとメタボロミクスの統合
(杉浦悠毅・他)
質量分析イメージング法によるリピドームアトラスの創出
(内野春希・有田 誠)
食品因子の腸管吸収の質量分析イメージング法
(松井利郎・田中 充)
循環器疾患領域の質量分析イメージング法
(尾上健児)
腎疾患領域の質量分析イメージング
(辻 雄大・他)
質量分析イメージング法を用いた肝臓の空間マルチオミクス解析
(井口公太・波多野悦朗)
眼科領域での質量分析イメージング法
(奥村直毅)
アミロイドβの毒性配座理論に基づくオリゴマーモデルの合成と構造機能解析
(入江一浩)
神経変性疾患のプロテオミクス
(朴 洪宣)
神経免疫疾患のヒト脳プロテオーム解析
(池川雅哉・他)
虚血性脳卒中におけるプロテオミクスとアドレノメデュリンの役割
(石山浩之・猪原匡史)
アミロイドーシスと質量分析イメージング
(堂本裕加子・内木宏延)
薬物性肝障害研究における質量分析イメージング法の応用例
(外山友美子・他)
質量分析イメージング法を用いたイムノメタボリズムの可視化と疾患解析
(岡邑舞子・他)
質量分析イメージング研究の海外動向
(新間秀一)
次号の特集予告
サイドメモ
マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)とエレクトロスプレーイオン化法(ESI)の開発
タンパク質と金属元素
特定保健用食品と機能性表示食品
IgA腎症
肝小葉
イオンモビリティー質量分析法(IM-MS)とNative PAGE
用語解説














