はじめに
高田龍平
東京大学医学部附属病院薬剤部
複数の薬物が投与されると,体内において相互に影響を及ぼしあい,薬物動態や薬理作用に変化が生じる.このような薬物相互作用は,薬物の組み合わせによらず起きているものと考えられるが,血中濃度変動の程度が大きい組み合わせ,厳しい副作用が生じる組み合わせなどが,いわゆる“飲み合わせ”が悪いものとして特に注目される.また,薬物間のみならずグレープフルーツジュースなどの食事に含まれる成分と薬物の間にも相互作用が生じることがある点にも注意が必要である.
本特集では,医薬品規制調和国際会議(International Council for Harmonization of Technical Requirements for Pharmaceuticals for human use:ICH)により策定された薬物相互作用評価のためのガイドラインの歴史的背景から最新の動向の紹介にはじまり,薬物代謝酵素・薬物輸送体(トランスポーター)の阻害・発現誘導,被相互作用薬の薬物動態を制御する薬物代謝酵素・トランスポーターに意図的に干渉するpharmacokinetic booster,基質薬のAUC変化率を網羅的に予測し,臨床的なリスク評価を行うPharmacokinetic Interaction Significance Classification Systems(PISCS),遺伝子多型,腎障害,肝障害などの背景を考慮した薬物相互作用などについて,比較的機序がわかっているものが多い薬物動態学的相互作用を中心に紹介していただいた.近年急速に進みつつある,バイオマーカーをいかした定量的予測,モデリング&シミュレーションなどの最新の話題を含む本企画が,読者の先生方の薬物相互作用の理解の一助になれば幸いである.
最後に,貴重な時間を割いてご協力くださった諸先生方に,この場を借りてお礼を申し上げたい.
高田龍平
東京大学医学部附属病院薬剤部
複数の薬物が投与されると,体内において相互に影響を及ぼしあい,薬物動態や薬理作用に変化が生じる.このような薬物相互作用は,薬物の組み合わせによらず起きているものと考えられるが,血中濃度変動の程度が大きい組み合わせ,厳しい副作用が生じる組み合わせなどが,いわゆる“飲み合わせ”が悪いものとして特に注目される.また,薬物間のみならずグレープフルーツジュースなどの食事に含まれる成分と薬物の間にも相互作用が生じることがある点にも注意が必要である.
本特集では,医薬品規制調和国際会議(International Council for Harmonization of Technical Requirements for Pharmaceuticals for human use:ICH)により策定された薬物相互作用評価のためのガイドラインの歴史的背景から最新の動向の紹介にはじまり,薬物代謝酵素・薬物輸送体(トランスポーター)の阻害・発現誘導,被相互作用薬の薬物動態を制御する薬物代謝酵素・トランスポーターに意図的に干渉するpharmacokinetic booster,基質薬のAUC変化率を網羅的に予測し,臨床的なリスク評価を行うPharmacokinetic Interaction Significance Classification Systems(PISCS),遺伝子多型,腎障害,肝障害などの背景を考慮した薬物相互作用などについて,比較的機序がわかっているものが多い薬物動態学的相互作用を中心に紹介していただいた.近年急速に進みつつある,バイオマーカーをいかした定量的予測,モデリング&シミュレーションなどの最新の話題を含む本企画が,読者の先生方の薬物相互作用の理解の一助になれば幸いである.
最後に,貴重な時間を割いてご協力くださった諸先生方に,この場を借りてお礼を申し上げたい.
特集 医師が知っておくべき薬物相互作用の最近の話題
はじめに(高田龍平)
薬物相互作用ガイドライン─策定の背景と国際調和に向けた最新の動向(永井尚美)
薬物代謝酵素と薬物相互作用(山折 大)
薬物トランスポーター介在性薬物相互作用評価のためのバイオマーカーと定量的予測方法(楠原洋之)
Pharmacokinetic booster(前田和哉)
薬物と食品成分間の相互作用(玉井郁巳)
臨床現場における薬物相互作用とマネジメント─Pharmacokinetic interaction significance classification systems(PISCS)の提案(大野能之)
特定の背景を有する患者における薬物相互作用─薬理遺伝学的多型,腎障害,肝障害(岩本卓也)
連載
医療DX─進展するデジタル医療に関する最新動向と関連知識(9)
ビフォーコロナからウィズコロナへ,オンライン診療のこれまでと課題(桐山瑶子)
TOPICS
糖尿病・内分泌代謝学 「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」のキーポイント(福島理文・三井田 孝)
神経内科学 虚血性脊髄障害の病態生理の新たな知見(垣花 学)
FORUM
グローバルヘルスの現場力(17) 戦禍のなかで誕生する新しい命─パレスチナからのメッセージ(藤屋リカ)
医療MaaS─医療と移動の押韻(5) 自治体の生きがい(横山優二)
次号の特集予告
はじめに(高田龍平)
薬物相互作用ガイドライン─策定の背景と国際調和に向けた最新の動向(永井尚美)
薬物代謝酵素と薬物相互作用(山折 大)
薬物トランスポーター介在性薬物相互作用評価のためのバイオマーカーと定量的予測方法(楠原洋之)
Pharmacokinetic booster(前田和哉)
薬物と食品成分間の相互作用(玉井郁巳)
臨床現場における薬物相互作用とマネジメント─Pharmacokinetic interaction significance classification systems(PISCS)の提案(大野能之)
特定の背景を有する患者における薬物相互作用─薬理遺伝学的多型,腎障害,肝障害(岩本卓也)
連載
医療DX─進展するデジタル医療に関する最新動向と関連知識(9)
ビフォーコロナからウィズコロナへ,オンライン診療のこれまでと課題(桐山瑶子)
TOPICS
糖尿病・内分泌代謝学 「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」のキーポイント(福島理文・三井田 孝)
神経内科学 虚血性脊髄障害の病態生理の新たな知見(垣花 学)
FORUM
グローバルヘルスの現場力(17) 戦禍のなかで誕生する新しい命─パレスチナからのメッセージ(藤屋リカ)
医療MaaS─医療と移動の押韻(5) 自治体の生きがい(横山優二)
次号の特集予告














