やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

まえがき
JCNセレクト「Evidence─based Nutrition」の発刊にあたって
 臨床栄養別冊『JCNセレクト』は,これまでに,経腸栄養,栄養アセスメント(分冊),静脈栄養のシリーズが発刊されています.それぞれのテーマについて,基礎的な観点から,あるいは臨床的な視点から,幅広く解説された書籍として好評とのことで,編者として嬉しく思っています.
 今回,JCNセレクトシリーズの4作目は,Evidence─based Nutrition(EBN)をテーマに編集させていただきました.読者の方々は,Evidence─based Medicine(EBM)という言葉はご存じのことと思いますが,EBNという言葉はご存じでしょうか?このEBNという言葉は,2000年頃に栄養領域におけるEBMとして米国で提唱され,本書の執筆者のお一人でもある佐々木敏先生がわが国に導入されています.「科学的根拠に基づいた栄養療法」と理解していただければよいと思います.現在,医療の標準化,均てん化を実行するために,多くの疾患の診断治療に関するガイドラインが発表されていますが,ガイドラインは多くのエビデンスを集約して作成されたものになります.
 臨床の現場では,一人ひとり異なる病態に応じたオーダーメイド医療(テーラーメイド医療)が求められています.このオーダーメイドの栄養療法を実践するためには,エビデンスを正しく理解し,ガイドラインの実践的な活用法を知っておくことが,とても重要です.
 本書では,エビデンスとは何か?一つひとつのエビデンスの重要度の違いをどのように評価すればいいか?といった基本的な内容から,ガイドラインを臨床の現場でどのように活用するか?といった実用的なテーマまで,それぞれの第一人者の先生方にわかりやすく解説していただきました.NSTのスタッフはもちろん,栄養療法にかかわるすべての方々の必読書となることを願っております.
 平成23年8月
 佐々木 雅也
 まえがき(佐々木雅也)

Part-1 ガイドラインの活用法
 栄養療法におけるエビデンスの意義 Evidence─based Nutrition(佐々木 敏)
 エビデンスレベルとガイドライン(上野文昭)
 栄養管理におけるガイドラインの活用法(宇佐美 眞・他)
 EBNとオーダーメイド医療との衝突(雨海照祥)
 A.S.P.E.N.ガイドラインの概要:経腸栄養(石橋生哉)
 ESPENガイドラインの概要:静脈栄養(小山 諭)

Part-2 疾患別ガイドラインにおける栄養管理の位置づけと栄養ケアの実践
 高血圧症(島本和明)
 虚血性心疾患(島田和典)
 糖尿病(池田梨奈・宇都宮一典)
 脂質異常症(多田紀夫)
 肥満症(山口 崇・白井厚治)
 肝疾患(佐原 圭・他)
 膵疾患(土師誠二)
 炎症性腸疾患(小林清典)
 周術期(中野 徹・宮田 剛)
 がん(緩和領域)(東口志・森 直治)
 呼吸器疾患(粟井一哉)
 腎疾患(CKD)(M田康弘)
 褥瘡(大村健二)

Part-3 臨床研究から日本発のエビデンス発信をめざして
 エネルギー代謝からみたエネルギー必要量(佐々木雅也・栗原美香)
 静脈栄養における感染対策(井上善文)
 胃瘻からの半固形化栄養材短時間注入法の臨床効果(合田文則)

 索引