序文
平成18年度に新設された栄養管理実施加算が平成24年度の診療報酬改定において入院基本料に包括され,入院患者全員に対し栄養評価と必要に応じて栄養管理計画を立案し実施することが求められるようになり,病棟管理栄養士の業務は飛躍的に拡大しました.また,多職種のチームによる栄養管理への取り組みを評価するものとして平成22年度に栄養サポートチーム(NST)加算が新設され,栄養障害にある患者や栄養管理が必要になることが見込まれる患者に対して,専門的知識を有した多職種による介入が求められるようになりました.その結果,病棟担当または病棟常駐管理栄養士にはこれまで以上に疾患や病態への深い理解が求められるようになり,医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師,理学療法士など多くの医療スタッフとのディスカッションの場やケースカンファレンスなどへの参加の機会が増えるようになってきました.
さらに,電子カルテなどのITの普及によりさまざまな臨床データの共有が可能となり,適切な栄養管理や栄養指導を行ううえで,管理栄養士には,「主治医が何を目的にどのような臨床検査をオーダーし,その結果をどのように解釈しているのか」を瞬時に理解し,患者の病態・病状の把握や経過のフォローアップにつなげていく力が求められています.臨床検査の数は年を追うごとに増えてきており,また,その結果を解釈するうえでは,病態を理解するだけではなく,食事や薬剤など検査結果に影響を与える要因があることを理解することも重要で,今回の特集ではここに力点を置きました.これまでも臨床検査データのポイントをまとめた書籍は複数刊行されていますが,本特集号ほど,栄養指導・栄養管理に必要な病棟管理栄養士ならではの視点,病棟管理栄養士に求められる視点に立った臨床検査ガイドブックはありません.
この特集号では,Part 1において臨床検査の意義と臨床検査値に変動をもたらす要因,臨床検査データの判読のポイントを東京大学医学部附属病院検査部部長の矢冨 裕先生にご解説いただきました.Part 2においては検査項目別に検査の意義や関連する疾患・病態,異常値の出るメカニズム,データ解釈のポイントなどについて,Part 3においては臨床検査を理解するうえで必要な各疾患の病態に関する知識やスクリーニング・鑑別診断・確定診断に必要な検査などについて,全国的にも実績のある臨床施設や養成校でご活躍の専門家の先生方にわかりやすくご執筆いただきました.ご多忙にもかかわらずご協力くださった先生方に心から感謝いたします.
本特集号がより多くの病棟管理栄養士の明日からの診療の一助となることを祈念してやみません.
2018年9月
企画者代表 窪田直人(東京大学医学部附属病院病態栄養治療部)
平成18年度に新設された栄養管理実施加算が平成24年度の診療報酬改定において入院基本料に包括され,入院患者全員に対し栄養評価と必要に応じて栄養管理計画を立案し実施することが求められるようになり,病棟管理栄養士の業務は飛躍的に拡大しました.また,多職種のチームによる栄養管理への取り組みを評価するものとして平成22年度に栄養サポートチーム(NST)加算が新設され,栄養障害にある患者や栄養管理が必要になることが見込まれる患者に対して,専門的知識を有した多職種による介入が求められるようになりました.その結果,病棟担当または病棟常駐管理栄養士にはこれまで以上に疾患や病態への深い理解が求められるようになり,医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師,理学療法士など多くの医療スタッフとのディスカッションの場やケースカンファレンスなどへの参加の機会が増えるようになってきました.
さらに,電子カルテなどのITの普及によりさまざまな臨床データの共有が可能となり,適切な栄養管理や栄養指導を行ううえで,管理栄養士には,「主治医が何を目的にどのような臨床検査をオーダーし,その結果をどのように解釈しているのか」を瞬時に理解し,患者の病態・病状の把握や経過のフォローアップにつなげていく力が求められています.臨床検査の数は年を追うごとに増えてきており,また,その結果を解釈するうえでは,病態を理解するだけではなく,食事や薬剤など検査結果に影響を与える要因があることを理解することも重要で,今回の特集ではここに力点を置きました.これまでも臨床検査データのポイントをまとめた書籍は複数刊行されていますが,本特集号ほど,栄養指導・栄養管理に必要な病棟管理栄養士ならではの視点,病棟管理栄養士に求められる視点に立った臨床検査ガイドブックはありません.
この特集号では,Part 1において臨床検査の意義と臨床検査値に変動をもたらす要因,臨床検査データの判読のポイントを東京大学医学部附属病院検査部部長の矢冨 裕先生にご解説いただきました.Part 2においては検査項目別に検査の意義や関連する疾患・病態,異常値の出るメカニズム,データ解釈のポイントなどについて,Part 3においては臨床検査を理解するうえで必要な各疾患の病態に関する知識やスクリーニング・鑑別診断・確定診断に必要な検査などについて,全国的にも実績のある臨床施設や養成校でご活躍の専門家の先生方にわかりやすくご執筆いただきました.ご多忙にもかかわらずご協力くださった先生方に心から感謝いたします.
本特集号がより多くの病棟管理栄養士の明日からの診療の一助となることを祈念してやみません.
2018年9月
企画者代表 窪田直人(東京大学医学部附属病院病態栄養治療部)
序文(窪田直人)
Part 1 総論
(矢冨 裕)
Part 2 検査項目別 検査値の意味と読み方のポイント
血液生化学検査など
蛋白質検査(中屋 豊)
血清総蛋白(TP),アルブミン(Alb),トランスサイレチン(TTR),トランスフェリン(Tf),レチノール結合蛋白(RBP)
糖検査(窪田直人)
血糖(グルコース:Glu),ヘモグロビンA1c(HbA1c),グリコアルブミン(GA)
脂質検査(蔵野 信)
総コレステロール(TC),中性脂肪(トリグリセライド:TG),LDLコレステロール(LDL-C),HDLコレステロール(HDL-C),non-HDLコレステロール(non-HDL-C),リポ蛋白分画
肝・胆道機能検査(榎奥健一郎)
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST,GOT),アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT,GPT),乳酸脱水素酵素(LD),ビリルビン(Bil),アルカリホスファターゼ(ALP),γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GT),コリンエステラーゼ(ChE),アンモニア(NH3)
膵機能検査(伊地知秀明)
血清アミラーゼ(Amy),血清膵型アミラーゼ(P-Amy),血清リパーゼ(Lip),血清エラスターゼ1,PFD 試験(PABA排泄率)
腎機能検査(花房規男)
尿素窒素(BUN),クレアチニン(Cr),シスタチンC(Cys-C),クレアチニンクリアランス(CCr),eGFR,尿酸(UA)
ホルモン検査(小川純人)
成長ホルモン(GH),副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),甲状腺刺激ホルモン(TSH),抗利尿ホルモン(ADH),甲状腺ホルモン(FT3,FT4),副甲状腺ホルモン(PTH),副腎皮質ホルモン(コルチゾール,アルドステロン)
電解質検査(藤島理恵・他)
ナトリウム(Na),クロール(Cl),カリウム(K),カルシウム(Ca),無機リン(IP)
血液ガス分析(石垣さやか・加藤明彦)
pH,重炭酸イオン(HCO3-),base excess(BE),二酸化炭素分圧(PaCO2),酸素分圧(PaO2),酸素飽和度(SaO2)
無機質検査(後 裕)
鉄(Fe),総鉄結合能(TIBC),不飽和鉄結合能(UIBC),フェリチン,銅(Cu),マグネシウム(Mg),亜鉛(Zn)
ビタミン測定(清水 力)
ビタミンA,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンD,ビタミンE
免疫血清検査
炎症マーカー検査(丸山道生)
赤血球沈降速度(血沈,赤沈,ESR),C 反応性蛋白(CRP)
感染症関連検査(曽根伸治)
B 型肝炎ウイルス(HBV)マーカー,C 型肝炎ウイルス(HCV)マーカー,レトロウイルス感染症マーカー,麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎(ムンプス)ウイルスマーカー
自己抗体検査(熊谷俊一)
リウマトイド因子(RF),抗シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP 抗体),抗核抗体(ANA)
アレルゲン検査(齊藤由紀子・他)
IgE(血清総IgE濃度),特異的IgE抗体
血清免疫電気泳動(増戸梨恵・西川真子)
腫瘍マーカー(畑尾史彦)
α-フェトプロテイン(AFP),癌胎児性抗原(CEA),CA19-9
血液検査
血算(常名政弘)
赤血球数(RBC),ヘモグロビン濃度(Hb),ヘマトクリット値(Ht),赤血球指数(MCV,MCH,MCHC),白血球数(WBC),血小板数(Plt)
白血球分画(半下石 明)
好中球数,好酸球数,好塩基球数,単球数,リンパ球数,異常細胞
血栓・止血検査(安本篤史)
出血時間(BT),プロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
尿便検査
尿検査(田中雅美・宿谷賢一)
尿量,尿pH,尿比重,尿蛋白,尿糖,潜血,ケトン体,微量アルブミン,Na 排泄量
便検査(岡田茂治)
便ヘモグロビン検査,寄生虫検査
Part 3 疾患別 検査値の意味と読み方のポイント
代謝・栄養障害
糖尿病(水野菜穂子・幣 憲一郎)
脂質異常症(高島美和・世羅至子)
肥満症(野本尚子)
高尿酸血症,痛風(山下昌子)
消化管疾患
炎症性腸疾患(クローン病,潰瘍性大腸炎)(斎藤恵子・他)
食道癌,胃癌,大腸癌(松村晃子)
感染性腸炎(三澤成毅)
肝・胆・膵疾患
肝炎(手島信子・山本憲彦)
肝硬変(手島信子・山本憲彦)
肝癌(竹元明子・他)
肝移植(長谷川陽子)
膵炎(三上恵理)
膵癌(利光久美子)
心臓・循環器疾患
うっ血性心不全(肥後太基)
心筋梗塞(有馬勇一郎・他)
心臓移植(長井直子)
脳血管障害(熊谷聡美・他)
腎疾患
慢性腎臓病(CKD)(岩部博子)
血液透析(徳丸季聡)
腎癌(山本育子)
呼吸器疾患
肺炎(進藤有一郎・田中文彦)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)(岡本智子)
肺癌(長谷川祐子)
内分泌疾患
甲状腺疾患(竹内靖博)
副甲状腺疾患(福本誠二)
ビタミンD欠乏・不足(福本誠二)
自己免疫疾患(膠原病)
関節リウマチ(RA)(神田浩子)
全身性エリテマトーデス(SLE)(都築清歌・萩野 昇)
血液疾患
白血病(川俣豊隆・畠山高年)
悪性リンパ腫(伊與木美保)
多発性骨髄腫(村上純子)
その他
熱傷,外傷(重症病態)(中西直子)
摂食障害(関根里恵)
Part 1 総論
(矢冨 裕)
Part 2 検査項目別 検査値の意味と読み方のポイント
血液生化学検査など
蛋白質検査(中屋 豊)
血清総蛋白(TP),アルブミン(Alb),トランスサイレチン(TTR),トランスフェリン(Tf),レチノール結合蛋白(RBP)
糖検査(窪田直人)
血糖(グルコース:Glu),ヘモグロビンA1c(HbA1c),グリコアルブミン(GA)
脂質検査(蔵野 信)
総コレステロール(TC),中性脂肪(トリグリセライド:TG),LDLコレステロール(LDL-C),HDLコレステロール(HDL-C),non-HDLコレステロール(non-HDL-C),リポ蛋白分画
肝・胆道機能検査(榎奥健一郎)
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST,GOT),アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT,GPT),乳酸脱水素酵素(LD),ビリルビン(Bil),アルカリホスファターゼ(ALP),γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GT),コリンエステラーゼ(ChE),アンモニア(NH3)
膵機能検査(伊地知秀明)
血清アミラーゼ(Amy),血清膵型アミラーゼ(P-Amy),血清リパーゼ(Lip),血清エラスターゼ1,PFD 試験(PABA排泄率)
腎機能検査(花房規男)
尿素窒素(BUN),クレアチニン(Cr),シスタチンC(Cys-C),クレアチニンクリアランス(CCr),eGFR,尿酸(UA)
ホルモン検査(小川純人)
成長ホルモン(GH),副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),甲状腺刺激ホルモン(TSH),抗利尿ホルモン(ADH),甲状腺ホルモン(FT3,FT4),副甲状腺ホルモン(PTH),副腎皮質ホルモン(コルチゾール,アルドステロン)
電解質検査(藤島理恵・他)
ナトリウム(Na),クロール(Cl),カリウム(K),カルシウム(Ca),無機リン(IP)
血液ガス分析(石垣さやか・加藤明彦)
pH,重炭酸イオン(HCO3-),base excess(BE),二酸化炭素分圧(PaCO2),酸素分圧(PaO2),酸素飽和度(SaO2)
無機質検査(後 裕)
鉄(Fe),総鉄結合能(TIBC),不飽和鉄結合能(UIBC),フェリチン,銅(Cu),マグネシウム(Mg),亜鉛(Zn)
ビタミン測定(清水 力)
ビタミンA,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンD,ビタミンE
免疫血清検査
炎症マーカー検査(丸山道生)
赤血球沈降速度(血沈,赤沈,ESR),C 反応性蛋白(CRP)
感染症関連検査(曽根伸治)
B 型肝炎ウイルス(HBV)マーカー,C 型肝炎ウイルス(HCV)マーカー,レトロウイルス感染症マーカー,麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎(ムンプス)ウイルスマーカー
自己抗体検査(熊谷俊一)
リウマトイド因子(RF),抗シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP 抗体),抗核抗体(ANA)
アレルゲン検査(齊藤由紀子・他)
IgE(血清総IgE濃度),特異的IgE抗体
血清免疫電気泳動(増戸梨恵・西川真子)
腫瘍マーカー(畑尾史彦)
α-フェトプロテイン(AFP),癌胎児性抗原(CEA),CA19-9
血液検査
血算(常名政弘)
赤血球数(RBC),ヘモグロビン濃度(Hb),ヘマトクリット値(Ht),赤血球指数(MCV,MCH,MCHC),白血球数(WBC),血小板数(Plt)
白血球分画(半下石 明)
好中球数,好酸球数,好塩基球数,単球数,リンパ球数,異常細胞
血栓・止血検査(安本篤史)
出血時間(BT),プロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
尿便検査
尿検査(田中雅美・宿谷賢一)
尿量,尿pH,尿比重,尿蛋白,尿糖,潜血,ケトン体,微量アルブミン,Na 排泄量
便検査(岡田茂治)
便ヘモグロビン検査,寄生虫検査
Part 3 疾患別 検査値の意味と読み方のポイント
代謝・栄養障害
糖尿病(水野菜穂子・幣 憲一郎)
脂質異常症(高島美和・世羅至子)
肥満症(野本尚子)
高尿酸血症,痛風(山下昌子)
消化管疾患
炎症性腸疾患(クローン病,潰瘍性大腸炎)(斎藤恵子・他)
食道癌,胃癌,大腸癌(松村晃子)
感染性腸炎(三澤成毅)
肝・胆・膵疾患
肝炎(手島信子・山本憲彦)
肝硬変(手島信子・山本憲彦)
肝癌(竹元明子・他)
肝移植(長谷川陽子)
膵炎(三上恵理)
膵癌(利光久美子)
心臓・循環器疾患
うっ血性心不全(肥後太基)
心筋梗塞(有馬勇一郎・他)
心臓移植(長井直子)
脳血管障害(熊谷聡美・他)
腎疾患
慢性腎臓病(CKD)(岩部博子)
血液透析(徳丸季聡)
腎癌(山本育子)
呼吸器疾患
肺炎(進藤有一郎・田中文彦)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)(岡本智子)
肺癌(長谷川祐子)
内分泌疾患
甲状腺疾患(竹内靖博)
副甲状腺疾患(福本誠二)
ビタミンD欠乏・不足(福本誠二)
自己免疫疾患(膠原病)
関節リウマチ(RA)(神田浩子)
全身性エリテマトーデス(SLE)(都築清歌・萩野 昇)
血液疾患
白血病(川俣豊隆・畠山高年)
悪性リンパ腫(伊與木美保)
多発性骨髄腫(村上純子)
その他
熱傷,外傷(重症病態)(中西直子)
摂食障害(関根里恵)