「臨床工学講座」の刊行にあたって
1987年に臨床工学技士法が制定されるとともに本格的な臨床工学技士教育が始まり,早20年が経過した.
この間,科学技術は大きく進歩し,臨床工学技士が従事する医療現場でも,新しい医療技術や医療機器が導入され,多くの人の命を支える役に立ってきた.
日本臨床工学技士教育施設協議会では,1997年より「教科書編集委員会」を設け,臨床工学技士育成に必要な教科書作りについて検討を重ねてきた.当時は教育施設数が少なかったこと,また1998年度から始まった規制緩和推進3カ年計画のなかで,いわゆるカリキュラム大綱化が臨床工学技士教育制度でも検討されると予想されていたことにより,教科書作成事業をしばらく休止した経緯がある.政府によって「カリキュラム等を規制している国家試験受験資格付与のための養成施設の指定制度を見直し,各大学等が社会のニーズに適切に対応した多様な医療技術者等の養成ができるようにする」との方針が打ち出されたのである.
その後,2004年4月にカリキュラム大綱化が行われ,また2006年度第20回国家試験から国家試験出題基準が大きく改訂されたことを受け,日本臨床工学技士教育施設協議会は2007年度より改めて『教科書検討委員会』を設けて教科書作成事業を再開した.そして今般,『臨床工学講座』シリーズとして,全国53校の臨床工学技士教育施設で学ぶ約2,600名にも及ぶ学生達のために共通して使用できる標準教科書シリーズを発刊する運びとなった.
教科書検討委員会および本講座編集委員会では,他医療系教育課程で用いられている教科書を参考にしつつ,今後の臨床工学技士育成に必要,かつ教育レベルの向上を目的とした教科書作成を目指して検討を重ねてきた.
その骨子として以下の3点を心掛け,臨床工学技士を目指す学生がモチベーションを高く学習でき,教育者が有機的に教育できる内容を目指した.
(1)本シリーズは,国家試験対策用テキストではなく臨床工学技士が本来的に理解しておくべき基本的事項をしっかりと分かりやすく教えることに重点をおくこと.
(2)ゆとり教育世代の高校卒業者にも理解しやすい導入と内容の展開を心掛け,とくに基礎科目については随所に“Tips”などを挿入することにより読者の理解を深めていただくことを目指し,実務上での応用へのつながりを明確にすること.
(3)大綱化後の新カリキュラムの内容をベースに「平成19年度国家試験出題基準」を念頭においた編集とすること.
よって本講座は,これまでの教科書とは一線を画した理想を掲げており,医療系教育課程用教科書の歴史に新たな1ページを刻む意気込みにて,執筆者・編集者ともども取り組んだ次第である.
医療現場において臨床工学技士に求められている必須な資質を育むための本教科書シリーズの意義を十分にお汲み取りいただき,本講座によって教育された臨床工学技士が社会に大きく羽ばたき,医療の発展の一助として活躍されることを願ってやまない.
本講座のさらなる充実のために,多くの方々からのご意見,ご叱正を賜れば幸甚です.
2008年春
日本臨床工学技士教育施設協議会 教科書検討委員会
臨床工学講座 教科書編集委員会
第2版の序
本書は,卒業後に臨床工学技士として関与する体外循環装置の全体像について,基礎から応用までを網羅した内容を学ぶ教科書として,学生目線で分かりやすく理解できるように,経験豊富な先生方に執筆をお願いした.内容については多くの図表を駆使し,平易な記載に心掛けた.
1933年にGibbonが開発に着手した体外循環装置は,その20年後の1953年にJefferson Medical Collegeで18歳女性の心房中隔欠損症の閉鎖手術に用いられ,初めて心臓手術を成功に導いた.その後,約80年に及ぶ研究開発の成果として,現在の体外循環システムがある.
体外循環装置の構成機器類の進化をみると,人工肺は気泡型から膜型肺に移行し,現状は中空糸外部灌流型肺に集約している.送血の圧力発生器としての血液ポンプは,長い期間ローラポンプであった.近年は安全性を考慮して多量の気泡を送りにくい遠心ポンプの利用施設が急増し,現在は約80%の施設が使用している.静脈血を体外に導出する脱血法は,落差法から,その後陰圧吸引補助脱血法が登場して,現在は多くの施設で落差脱血に陰圧吸引補助脱血を加味した脱血法が採用されている.本法は,カニューレサイズが厳しく制限される乳児・新生児症例,末梢動静脈アクセス症例である低侵襲手術,再手術などで特に効果が具現されている.
体外循環装置の受け皿となる国内の心臓血管手術は,日本胸部外科学会の2014年度の資料によると,約550施設において約66,800症例が施行された.内訳は,先天性約8,870例(13.2%),弁疾患約22,490例(33.6%),虚血約15,520例(23.2%),動脈瘤約17,420例(26%),その他約2,530例(3.8%)であった.近年の傾向は,先天性はほぼ一定,弁疾患と動脈瘤が漸増傾向,虚血は漸減傾向である.
ここでの注目点は,漸減傾向の虚血症例である.心臓の動きを止めての開心術でないため,全体の約60%で,体外循環装置を用いず冠動脈吻合部近辺のみを特殊器具にて心臓の動きを抑制し,心臓は動かした状態でのoff pump bypass法が用いられている.体外循環システムは進歩発展してきたが,抗凝固,血液希釈,低体温,定常流,空気との接触などの非生理的使用条件による合併症を内在している.特に高齢者は,これらの体外循環リスクを避けるための手術法を採用する必要がある.
今後も生体の心肺系とは似て非なる体外循環装置を必要とする症例に対して,手術成績の向上を図るため,手術チームが綿密に連携して,安全で効率的な業務を遂行し,体外循環装置の作動時間の短縮を図ることで少しでも合併症を減らす継続的な努力が求められている.
本書が臨床工学技士の国家試験合格を目指す学生を中心に,現任の臨床工学技士にも知識の再確認としてより安全な人工心肺業務遂行の一助となれば幸いである.最後に,本シリーズの充実を発展のため,多くの皆様からのご意見,ご叱咤を頂戴したく,ここにお願い申し上げます.
2019年1月
福長一義
見目恭一
第1版の序
1933年,Gibbonは人工心肺装置の開発に着手し,3年後に動物実験を成功させた.その後,人間に応用できる酸素加能を有する人工肺を誕生させるのに17年もの歳月を費やし,ついに1953年,Mayo Clinicにおいて世界で最初の人工心肺装置を用いた心房中隔欠損症の根治術が行われ,18歳女性が無事救命された.
これを契機に人工心肺装置の開発競争の火蓋が切られ,今日まで60年以上にわたる先人の連綿とつながる世界的な研究開発の成果として,現在の人工心肺システムがある.人工肺は,気泡型から中空糸外部灌流膜型肺へと改良進化し,高い酸素加能を獲得するとともに,充填量が削減された.これはガス交換のみならず,無輸血症例の拡大と使用輸血量の削減につながっている.長くローラポンプが主流であった送血ポンプとして,新たに遠心ポンプが登場し,わが国では安全性を求める流れから70%強もの施設で利用されるようになっている.安定して血液を体外に導くため,落差脱血に陰圧吸引補助脱血法を付加する方法が登場し,カニューレサイズが厳しく制限される乳児・新生児症例,低侵襲手術例および末梢動静アクセス症例などにとくに大きな恩恵を供している.また,抗血栓処理法の進歩に伴い血液接触面のコーティングが普及し,生体適合性が大幅に向上している.
国内の心臓血管手術の施行数は,日本胸部外科学会2007年度統計によると558施設で55,218例と報告されている.その内訳は,冠動脈バイパス17,317例(31%),弁手術15,218例(28%),大血管10,081例(18%),先天性7,260例(13%),その他となっている.ここで注目すべきは,心停止をかならずしも必要としない冠動脈バイパス術の増加である.そして,17,317例のうち実に63%の10,979例が,人工心肺使用リスクを避ける目的に人工心肺を用いずに手術が行われていることである.前述のように,人工心肺は開発当初に比してシステム全体で進歩改善が図られてきたが,依然として抗凝固,血液希釈,低体温,血液と空気との接触,定常流など,非生理的な条件を有し,これらが合併症の要因ともなっており,合併症を避けるための手術法が選択されている現状がある.それゆえに,人工心肺を必要とする症例においては,治療チームが綿密に連携し,安全で効率的な業務遂行を通して人工心肺作動時間の短縮を図り,合併症を減らして治療成績の向上を目指すことが求められる.
人工心肺がわが国に導入された当初は,おもに医師が人工心肺装置を操作していた.しかし,技術の進歩に伴って専門性が増すにつれ,装置を適切に扱うことができる人材が必要となり,その国家資格者として1988年臨床工学技士が誕生した.臨床工学技士誕生前年に体外循環技術認定士制度が創設され,認定士が誕生した.現在866名の認定士が活躍している.さらに2015年より日本胸部外科学会の修練施設認定条件に1名以上の体外循環技術認定士の雇用が求められることになり,より専門職としての社会的な使命と役割が明確化する.
本書の作成にあたり,体外循環領域の教科書という位置づけを鑑みて,人工心肺関連領域を基礎から応用まで網羅する内容となるように,経験豊富な先生方に執筆をお願いした.本書が臨床工学技士の国家試験を目指す学生を中心に,現任の臨床工学技士にも治療の質の向上と安全な人工心肺業務遂行の一助となれば幸いである.最後に,本シリーズの充実・発展のために多くの皆様からご意見,ご叱咤を頂戴したく,ここにお願い申し上げます.
2012年1月
福長一義
見目恭一
1987年に臨床工学技士法が制定されるとともに本格的な臨床工学技士教育が始まり,早20年が経過した.
この間,科学技術は大きく進歩し,臨床工学技士が従事する医療現場でも,新しい医療技術や医療機器が導入され,多くの人の命を支える役に立ってきた.
日本臨床工学技士教育施設協議会では,1997年より「教科書編集委員会」を設け,臨床工学技士育成に必要な教科書作りについて検討を重ねてきた.当時は教育施設数が少なかったこと,また1998年度から始まった規制緩和推進3カ年計画のなかで,いわゆるカリキュラム大綱化が臨床工学技士教育制度でも検討されると予想されていたことにより,教科書作成事業をしばらく休止した経緯がある.政府によって「カリキュラム等を規制している国家試験受験資格付与のための養成施設の指定制度を見直し,各大学等が社会のニーズに適切に対応した多様な医療技術者等の養成ができるようにする」との方針が打ち出されたのである.
その後,2004年4月にカリキュラム大綱化が行われ,また2006年度第20回国家試験から国家試験出題基準が大きく改訂されたことを受け,日本臨床工学技士教育施設協議会は2007年度より改めて『教科書検討委員会』を設けて教科書作成事業を再開した.そして今般,『臨床工学講座』シリーズとして,全国53校の臨床工学技士教育施設で学ぶ約2,600名にも及ぶ学生達のために共通して使用できる標準教科書シリーズを発刊する運びとなった.
教科書検討委員会および本講座編集委員会では,他医療系教育課程で用いられている教科書を参考にしつつ,今後の臨床工学技士育成に必要,かつ教育レベルの向上を目的とした教科書作成を目指して検討を重ねてきた.
その骨子として以下の3点を心掛け,臨床工学技士を目指す学生がモチベーションを高く学習でき,教育者が有機的に教育できる内容を目指した.
(1)本シリーズは,国家試験対策用テキストではなく臨床工学技士が本来的に理解しておくべき基本的事項をしっかりと分かりやすく教えることに重点をおくこと.
(2)ゆとり教育世代の高校卒業者にも理解しやすい導入と内容の展開を心掛け,とくに基礎科目については随所に“Tips”などを挿入することにより読者の理解を深めていただくことを目指し,実務上での応用へのつながりを明確にすること.
(3)大綱化後の新カリキュラムの内容をベースに「平成19年度国家試験出題基準」を念頭においた編集とすること.
よって本講座は,これまでの教科書とは一線を画した理想を掲げており,医療系教育課程用教科書の歴史に新たな1ページを刻む意気込みにて,執筆者・編集者ともども取り組んだ次第である.
医療現場において臨床工学技士に求められている必須な資質を育むための本教科書シリーズの意義を十分にお汲み取りいただき,本講座によって教育された臨床工学技士が社会に大きく羽ばたき,医療の発展の一助として活躍されることを願ってやまない.
本講座のさらなる充実のために,多くの方々からのご意見,ご叱正を賜れば幸甚です.
2008年春
日本臨床工学技士教育施設協議会 教科書検討委員会
臨床工学講座 教科書編集委員会
第2版の序
本書は,卒業後に臨床工学技士として関与する体外循環装置の全体像について,基礎から応用までを網羅した内容を学ぶ教科書として,学生目線で分かりやすく理解できるように,経験豊富な先生方に執筆をお願いした.内容については多くの図表を駆使し,平易な記載に心掛けた.
1933年にGibbonが開発に着手した体外循環装置は,その20年後の1953年にJefferson Medical Collegeで18歳女性の心房中隔欠損症の閉鎖手術に用いられ,初めて心臓手術を成功に導いた.その後,約80年に及ぶ研究開発の成果として,現在の体外循環システムがある.
体外循環装置の構成機器類の進化をみると,人工肺は気泡型から膜型肺に移行し,現状は中空糸外部灌流型肺に集約している.送血の圧力発生器としての血液ポンプは,長い期間ローラポンプであった.近年は安全性を考慮して多量の気泡を送りにくい遠心ポンプの利用施設が急増し,現在は約80%の施設が使用している.静脈血を体外に導出する脱血法は,落差法から,その後陰圧吸引補助脱血法が登場して,現在は多くの施設で落差脱血に陰圧吸引補助脱血を加味した脱血法が採用されている.本法は,カニューレサイズが厳しく制限される乳児・新生児症例,末梢動静脈アクセス症例である低侵襲手術,再手術などで特に効果が具現されている.
体外循環装置の受け皿となる国内の心臓血管手術は,日本胸部外科学会の2014年度の資料によると,約550施設において約66,800症例が施行された.内訳は,先天性約8,870例(13.2%),弁疾患約22,490例(33.6%),虚血約15,520例(23.2%),動脈瘤約17,420例(26%),その他約2,530例(3.8%)であった.近年の傾向は,先天性はほぼ一定,弁疾患と動脈瘤が漸増傾向,虚血は漸減傾向である.
ここでの注目点は,漸減傾向の虚血症例である.心臓の動きを止めての開心術でないため,全体の約60%で,体外循環装置を用いず冠動脈吻合部近辺のみを特殊器具にて心臓の動きを抑制し,心臓は動かした状態でのoff pump bypass法が用いられている.体外循環システムは進歩発展してきたが,抗凝固,血液希釈,低体温,定常流,空気との接触などの非生理的使用条件による合併症を内在している.特に高齢者は,これらの体外循環リスクを避けるための手術法を採用する必要がある.
今後も生体の心肺系とは似て非なる体外循環装置を必要とする症例に対して,手術成績の向上を図るため,手術チームが綿密に連携して,安全で効率的な業務を遂行し,体外循環装置の作動時間の短縮を図ることで少しでも合併症を減らす継続的な努力が求められている.
本書が臨床工学技士の国家試験合格を目指す学生を中心に,現任の臨床工学技士にも知識の再確認としてより安全な人工心肺業務遂行の一助となれば幸いである.最後に,本シリーズの充実を発展のため,多くの皆様からのご意見,ご叱咤を頂戴したく,ここにお願い申し上げます.
2019年1月
福長一義
見目恭一
第1版の序
1933年,Gibbonは人工心肺装置の開発に着手し,3年後に動物実験を成功させた.その後,人間に応用できる酸素加能を有する人工肺を誕生させるのに17年もの歳月を費やし,ついに1953年,Mayo Clinicにおいて世界で最初の人工心肺装置を用いた心房中隔欠損症の根治術が行われ,18歳女性が無事救命された.
これを契機に人工心肺装置の開発競争の火蓋が切られ,今日まで60年以上にわたる先人の連綿とつながる世界的な研究開発の成果として,現在の人工心肺システムがある.人工肺は,気泡型から中空糸外部灌流膜型肺へと改良進化し,高い酸素加能を獲得するとともに,充填量が削減された.これはガス交換のみならず,無輸血症例の拡大と使用輸血量の削減につながっている.長くローラポンプが主流であった送血ポンプとして,新たに遠心ポンプが登場し,わが国では安全性を求める流れから70%強もの施設で利用されるようになっている.安定して血液を体外に導くため,落差脱血に陰圧吸引補助脱血法を付加する方法が登場し,カニューレサイズが厳しく制限される乳児・新生児症例,低侵襲手術例および末梢動静アクセス症例などにとくに大きな恩恵を供している.また,抗血栓処理法の進歩に伴い血液接触面のコーティングが普及し,生体適合性が大幅に向上している.
国内の心臓血管手術の施行数は,日本胸部外科学会2007年度統計によると558施設で55,218例と報告されている.その内訳は,冠動脈バイパス17,317例(31%),弁手術15,218例(28%),大血管10,081例(18%),先天性7,260例(13%),その他となっている.ここで注目すべきは,心停止をかならずしも必要としない冠動脈バイパス術の増加である.そして,17,317例のうち実に63%の10,979例が,人工心肺使用リスクを避ける目的に人工心肺を用いずに手術が行われていることである.前述のように,人工心肺は開発当初に比してシステム全体で進歩改善が図られてきたが,依然として抗凝固,血液希釈,低体温,血液と空気との接触,定常流など,非生理的な条件を有し,これらが合併症の要因ともなっており,合併症を避けるための手術法が選択されている現状がある.それゆえに,人工心肺を必要とする症例においては,治療チームが綿密に連携し,安全で効率的な業務遂行を通して人工心肺作動時間の短縮を図り,合併症を減らして治療成績の向上を目指すことが求められる.
人工心肺がわが国に導入された当初は,おもに医師が人工心肺装置を操作していた.しかし,技術の進歩に伴って専門性が増すにつれ,装置を適切に扱うことができる人材が必要となり,その国家資格者として1988年臨床工学技士が誕生した.臨床工学技士誕生前年に体外循環技術認定士制度が創設され,認定士が誕生した.現在866名の認定士が活躍している.さらに2015年より日本胸部外科学会の修練施設認定条件に1名以上の体外循環技術認定士の雇用が求められることになり,より専門職としての社会的な使命と役割が明確化する.
本書の作成にあたり,体外循環領域の教科書という位置づけを鑑みて,人工心肺関連領域を基礎から応用まで網羅する内容となるように,経験豊富な先生方に執筆をお願いした.本書が臨床工学技士の国家試験を目指す学生を中心に,現任の臨床工学技士にも治療の質の向上と安全な人工心肺業務遂行の一助となれば幸いである.最後に,本シリーズの充実・発展のために多くの皆様からご意見,ご叱咤を頂戴したく,ここにお願い申し上げます.
2012年1月
福長一義
見目恭一
「臨床工学講座」の刊行にあたって
第2版の序
第1版の序
第1章 人工心肺総論
1 人工心肺とは
1 人工心肺システムの構成
2 人工心肺システムの特徴
2 人工心肺の歴史
1 人工心肺を用いた開心術
2 人工心肺を用いない開心術
3 血液ポンプの歴史
1 ローラポンプ
2 遠心ポンプ
4 人工心肺と臨床工学技士のかかわり
5 人工心肺に必要な工学的知識
1 質量(mass)
2 体積(volume)
3 密度
4 圧力(pressure)
5 流体のもつエネルギー
6 粘性(viscosity)
7 層流と乱流
8 摩擦損失
9 円管内の流れ
10 キャビテーション
第2章 人工心肺装置
1 血液ポンプ
1 ポンプとは
2 血液ポンプに求められる特徴
3 ローラポンプ
4 遠心ポンプ
5 ローラポンプと遠心ポンプの比較
6 製品紹介
2 人工肺
1 人工肺とは
2 生体のガス交換
3 膜型人工肺
4 製品紹介
3 回路
4 貯血槽(リザーバ)
1 静脈貯血槽(主貯血槽)
2 心腔内貯血槽(カルディオトミーリザーバ)
5 熱交換器(熱交換装置)
6 動脈フィルタ
7 周辺機器
1 冷温水供給装置
2 心筋保護液供給装置
3 血液濃縮器(ヘモコンセントレータ)
4 自己血回収装置
5 酸素・空気混合装置(ガスブレンダ,酸素ブレンダ)および流量計(流量装置)
6 体外式ペースメーカ,除細動器
第3章 人工心肺回路と生体との接続
1 カニュレーションと血液抗凝固
2 送血回路
1 送血カニューレと圧力損失
2 送血法
3 脱血回路
1 脱血カニューレ
2 脱血法
3 脱血回路と管路抵抗
4 ベント回路
5 吸引回路
第4章 人工心肺とモニタリング
1 人工心肺側モニタ
1 脱血温度,送血温度
2 送血圧,回路内圧
3 流量計
4 レベルセンサ(貯血容量監視制御機器)
5 気泡検出器(バブルディテクタ)
6 貯血槽内圧
2 生体側モニタ
1 活性化凝固時間(ACT:activated clotting time)
2 動脈圧(ABP:arterial blood pressure)
3 中心静脈圧(CVP:central venous pressure)
4 左房圧,肺動脈楔入圧(left atrium pressure,pulmonary artery wedge pressure)
5 心電図
6 血液ガス,ヘマトクリット,電解質
7 尿量
8 各種体温
第5章 体外循環の生理
1 体外循環中の血球成分の損傷
2 体外循環中の血行動態
3 循環器の解剖生理
1 循環臓器の血管抵抗からみた役割分類
2 毛細管動態―毛細血管,組織,リンパ管
3 循環の調節
4 体外循環の病態生理
1 体外循環の問題点
2 酸素需要と適正灌流量
3 灌流量と臓器循環
4 灌流圧と末梢血管抵抗
5 低体温
6 血液希釈法と血液損傷
7 凝固線溶系の変動
8 体外循環合併症
5 心臓疾患の病態と手術治療
1 心不全と心不全症候群
2 虚血性心疾患
3 弁疾患
4 胸部大動脈疾患
5 特殊な体外循環―乳幼児期の先天性心疾患根治手術
第6章 心筋保護
1 心筋保護の目的
2 心筋保護の概念
1 心停止
2 低温
3 エネルギー生成に必要な器質の供給
4 適切なpHのコントロール
5 細胞膜の安定化
6 心筋浮腫の予防
3 心筋保護法の種類
1 晶質液法
2 血液併用法
4 心筋保護液の灌流法
1 順行性灌流法(antegrade)
2 選択的灌流法
3 逆行性灌流法(retrograde)
5 心筋保護液の灌流回路
1 基本構成
2 灌流回路
6 灌流手順
1 順行性心筋保護
2 逆行性心筋保護
7 その他の注入手技
8 心筋局所冷却法
第7章 人工心肺の実際
1 充填液の組成および薬剤量の計算
1 充填液の組成
2 予想ヘマトクリット,希釈率の計算方法
2 人工心肺に使用する薬剤
3 人工心肺回路の選択
1 人工心肺回路の基本的必要条件
2 回路構成
3 人工心肺回路の選択
4 人工心肺回路の組み立て,充填
1 人工心肺回路の組み立て
2 人工心肺回路の充填
5 人工心肺の操作
1 準備
2 運転
3 人工心肺からの離脱
6 人工心肺停止後の処理
1 人工心肺の終了
2 脱血カニューレの抜去
3 プロタミンの投与
4 人工心肺回路内残血の処理
5 人工心肺回路の廃棄
6 人工心肺装置および周辺機器の清掃・消毒
7 人工心肺の記録
8 術後管理
1 循環管理
2 呼吸管理
3 水・電解質管理
9 偶発的合併症
第8章 その他の人工心肺
1 乳幼児の人工心肺
1 乳幼児の特殊性と注意点
2 乳幼児の人工心肺操作の実際
2 胸部大動脈手術の人工心肺
1 大動脈手術における体外循環の特殊性
2 上行大動脈手術の体外循環
3 弓部大動脈手術の体外循環
4 下行大動脈手術の体外循環
3 OPCAB(オプキャブ)
1 定義
2 適応
3 術式と使用器具
4 OPCABから人工心肺緊急使用への備え(バックアップ)
5 体外循環の操作のポイント
6 低侵襲な閉鎖式回路(mini?circuit)による体外循環の使用
第9章 人工心肺の安全管理とトラブルシューティング
1 人工心肺の危険要素
1 装置を止めることによる危険性
2 動脈や主要臓器に直接送血していることによる危険性
3 大量の血液を体外に導く危険性
4 非生理的な状況下にある危険性
5 その他の危険性
2 安全な人工心肺システムと安全装置
1 レベルセンサ(レベルアラーム)
2 気泡検出器(バブルセンサ)
3 送血フィルタとエアトラップ
4 圧力アラームと制御装置
5 流量計と低流量アラーム
6 ガスモニタ
7 逆流防止弁と安全弁
8 非常用電源とバッテリおよび手動装置
3 トラブルの対処
1 状況認識
2 対処法の判断と決断
3 交換作業
4 典型的な人工心肺トラブルの対処法
1 圧力の異常
2 脱血不良
3 人工肺の酸素化不良
4 空気の誤送
5 送血ポンプの故障(停電)
6 血液の凝固
第10章 補助循環と人工臓器
1 大動脈内バルーンパンピング(IABP)
1 原理
2 IABP駆動方式
3 カウンターパルセーション
4 適応
5 禁忌と合併症
6 トリガ法とタイミング調整
7 バルーン内圧波形
8 導入と施行
2 経皮的心肺補助法(PCPS)
1 PCPSによる補助循環
2 適応と禁忌
3 システム構成
4 PCPS回路管理の注意点
3 ECMO
1 VA ECMO
2 VV ECMO
3 適応
4 合併症
4 人工血管
5 人工弁
6 人工心臓
1 補助人工心臓
2 適応
3 抗凝固療法
4 合併症
5 実施基準とレジストリ
付録
1 人工心肺装置に関する用語
2 各種規格
3 臨床工学技士国家試験出題基準(生体機能代行装置学)
索引
Tips CONTENTS
第1章 人工心肺総論
体表面積
第2章 人工心肺装置
表面張力,界面張力,親水性,疎水性
第3章 人工心肺回路と生体との接続
経心尖部上行大動脈送血
第8章 その他の人工心肺
逆行性脳灌流法(RCP)
胸部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術
心臓移植
第10章 補助循環と人工臓器
IABPの歴史と現状
センサバルーン
第2版の序
第1版の序
第1章 人工心肺総論
1 人工心肺とは
1 人工心肺システムの構成
2 人工心肺システムの特徴
2 人工心肺の歴史
1 人工心肺を用いた開心術
2 人工心肺を用いない開心術
3 血液ポンプの歴史
1 ローラポンプ
2 遠心ポンプ
4 人工心肺と臨床工学技士のかかわり
5 人工心肺に必要な工学的知識
1 質量(mass)
2 体積(volume)
3 密度
4 圧力(pressure)
5 流体のもつエネルギー
6 粘性(viscosity)
7 層流と乱流
8 摩擦損失
9 円管内の流れ
10 キャビテーション
第2章 人工心肺装置
1 血液ポンプ
1 ポンプとは
2 血液ポンプに求められる特徴
3 ローラポンプ
4 遠心ポンプ
5 ローラポンプと遠心ポンプの比較
6 製品紹介
2 人工肺
1 人工肺とは
2 生体のガス交換
3 膜型人工肺
4 製品紹介
3 回路
4 貯血槽(リザーバ)
1 静脈貯血槽(主貯血槽)
2 心腔内貯血槽(カルディオトミーリザーバ)
5 熱交換器(熱交換装置)
6 動脈フィルタ
7 周辺機器
1 冷温水供給装置
2 心筋保護液供給装置
3 血液濃縮器(ヘモコンセントレータ)
4 自己血回収装置
5 酸素・空気混合装置(ガスブレンダ,酸素ブレンダ)および流量計(流量装置)
6 体外式ペースメーカ,除細動器
第3章 人工心肺回路と生体との接続
1 カニュレーションと血液抗凝固
2 送血回路
1 送血カニューレと圧力損失
2 送血法
3 脱血回路
1 脱血カニューレ
2 脱血法
3 脱血回路と管路抵抗
4 ベント回路
5 吸引回路
第4章 人工心肺とモニタリング
1 人工心肺側モニタ
1 脱血温度,送血温度
2 送血圧,回路内圧
3 流量計
4 レベルセンサ(貯血容量監視制御機器)
5 気泡検出器(バブルディテクタ)
6 貯血槽内圧
2 生体側モニタ
1 活性化凝固時間(ACT:activated clotting time)
2 動脈圧(ABP:arterial blood pressure)
3 中心静脈圧(CVP:central venous pressure)
4 左房圧,肺動脈楔入圧(left atrium pressure,pulmonary artery wedge pressure)
5 心電図
6 血液ガス,ヘマトクリット,電解質
7 尿量
8 各種体温
第5章 体外循環の生理
1 体外循環中の血球成分の損傷
2 体外循環中の血行動態
3 循環器の解剖生理
1 循環臓器の血管抵抗からみた役割分類
2 毛細管動態―毛細血管,組織,リンパ管
3 循環の調節
4 体外循環の病態生理
1 体外循環の問題点
2 酸素需要と適正灌流量
3 灌流量と臓器循環
4 灌流圧と末梢血管抵抗
5 低体温
6 血液希釈法と血液損傷
7 凝固線溶系の変動
8 体外循環合併症
5 心臓疾患の病態と手術治療
1 心不全と心不全症候群
2 虚血性心疾患
3 弁疾患
4 胸部大動脈疾患
5 特殊な体外循環―乳幼児期の先天性心疾患根治手術
第6章 心筋保護
1 心筋保護の目的
2 心筋保護の概念
1 心停止
2 低温
3 エネルギー生成に必要な器質の供給
4 適切なpHのコントロール
5 細胞膜の安定化
6 心筋浮腫の予防
3 心筋保護法の種類
1 晶質液法
2 血液併用法
4 心筋保護液の灌流法
1 順行性灌流法(antegrade)
2 選択的灌流法
3 逆行性灌流法(retrograde)
5 心筋保護液の灌流回路
1 基本構成
2 灌流回路
6 灌流手順
1 順行性心筋保護
2 逆行性心筋保護
7 その他の注入手技
8 心筋局所冷却法
第7章 人工心肺の実際
1 充填液の組成および薬剤量の計算
1 充填液の組成
2 予想ヘマトクリット,希釈率の計算方法
2 人工心肺に使用する薬剤
3 人工心肺回路の選択
1 人工心肺回路の基本的必要条件
2 回路構成
3 人工心肺回路の選択
4 人工心肺回路の組み立て,充填
1 人工心肺回路の組み立て
2 人工心肺回路の充填
5 人工心肺の操作
1 準備
2 運転
3 人工心肺からの離脱
6 人工心肺停止後の処理
1 人工心肺の終了
2 脱血カニューレの抜去
3 プロタミンの投与
4 人工心肺回路内残血の処理
5 人工心肺回路の廃棄
6 人工心肺装置および周辺機器の清掃・消毒
7 人工心肺の記録
8 術後管理
1 循環管理
2 呼吸管理
3 水・電解質管理
9 偶発的合併症
第8章 その他の人工心肺
1 乳幼児の人工心肺
1 乳幼児の特殊性と注意点
2 乳幼児の人工心肺操作の実際
2 胸部大動脈手術の人工心肺
1 大動脈手術における体外循環の特殊性
2 上行大動脈手術の体外循環
3 弓部大動脈手術の体外循環
4 下行大動脈手術の体外循環
3 OPCAB(オプキャブ)
1 定義
2 適応
3 術式と使用器具
4 OPCABから人工心肺緊急使用への備え(バックアップ)
5 体外循環の操作のポイント
6 低侵襲な閉鎖式回路(mini?circuit)による体外循環の使用
第9章 人工心肺の安全管理とトラブルシューティング
1 人工心肺の危険要素
1 装置を止めることによる危険性
2 動脈や主要臓器に直接送血していることによる危険性
3 大量の血液を体外に導く危険性
4 非生理的な状況下にある危険性
5 その他の危険性
2 安全な人工心肺システムと安全装置
1 レベルセンサ(レベルアラーム)
2 気泡検出器(バブルセンサ)
3 送血フィルタとエアトラップ
4 圧力アラームと制御装置
5 流量計と低流量アラーム
6 ガスモニタ
7 逆流防止弁と安全弁
8 非常用電源とバッテリおよび手動装置
3 トラブルの対処
1 状況認識
2 対処法の判断と決断
3 交換作業
4 典型的な人工心肺トラブルの対処法
1 圧力の異常
2 脱血不良
3 人工肺の酸素化不良
4 空気の誤送
5 送血ポンプの故障(停電)
6 血液の凝固
第10章 補助循環と人工臓器
1 大動脈内バルーンパンピング(IABP)
1 原理
2 IABP駆動方式
3 カウンターパルセーション
4 適応
5 禁忌と合併症
6 トリガ法とタイミング調整
7 バルーン内圧波形
8 導入と施行
2 経皮的心肺補助法(PCPS)
1 PCPSによる補助循環
2 適応と禁忌
3 システム構成
4 PCPS回路管理の注意点
3 ECMO
1 VA ECMO
2 VV ECMO
3 適応
4 合併症
4 人工血管
5 人工弁
6 人工心臓
1 補助人工心臓
2 適応
3 抗凝固療法
4 合併症
5 実施基準とレジストリ
付録
1 人工心肺装置に関する用語
2 各種規格
3 臨床工学技士国家試験出題基準(生体機能代行装置学)
索引
Tips CONTENTS
第1章 人工心肺総論
体表面積
第2章 人工心肺装置
表面張力,界面張力,親水性,疎水性
第3章 人工心肺回路と生体との接続
経心尖部上行大動脈送血
第8章 その他の人工心肺
逆行性脳灌流法(RCP)
胸部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術
心臓移植
第10章 補助循環と人工臓器
IABPの歴史と現状
センサバルーン














