やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

推薦のことば
 本書は,米国の医学物理士,故Michael Goitein先生が豊富な経験をもとに執筆したRadiation Oncology:A Physicist's-Eye Viewの翻訳書である.Goitein先生は,高精度放射線治療で使用されている3次元治療計画,DRR,DVHやBEV,IGRTなどを開発してきた.本書は,放射線腫瘍医・医学物理士・放射線技師をはじめ,この領域に強い興味を持つ人を第一の対象としている.放射線腫瘍学の臨床・線量計算・線量測定・QAなどに関してはあえて深くふれていないが,物理士の目から見た,光子線・陽子線照射に関する治療計画を詳しく解説し,その基礎となる物理学の章では数式を極力使わず,直感的に理解できるように解説し,生物学の章では,照射効果のモデル化を詳しく説明している.最近は単に知識を得る目的のレビゥーやガイドラインは多く出版されてはいるが,その根底をなす,放射線治療における「第一線の人の考え方」が深く理解できる重要な書籍として本書を推薦する.
 2019年8月 茂松直之(日本放射線腫瘍学会理事長,慶應義塾大学医学部放射線科学教室教授)

 正直に言って私はGoitein先生の書かれたRadiation Oncology:A Physicist's-Eye Viewを読んでいなかった.Goitein先生はDVHやBEVを開発した高名な医学物理士で,きっとこの医学物理の教科書は難しく理解できないであろうと思っていたからである.このたびこの本が日本語訳され,「ゴイテン放射線腫瘍学―医学物理士の視点」として出版されることになった.本書の特徴は,通常の教科書とは異なり,放射線腫瘍学のおもに物理的側面におけるGoitein先生の考え方が一貫して述べられていることである.目次だけでも興味深い.不確かさ,治療ビームの設計,動きの管理,手動治療計画,信頼など.この本はどの章から読み始めてもよい.基本に流れているのは,いかにして正常組織の有害反応を回避し治癒を達成するかという視点である.とくに興味深かったのは5章の生物学的問題で,ここでは生物物理学的モデルの必要性と,一方で単純な仮定に基づくモデルを無批判に受け入れることの危険性をさまざまなデータをもとに警告している.本書は,医学物理士のみならず,放射線腫瘍医,診療放射線技師など放射線治療に携わるすべての方々の脳を刺激する,興味深い本である.
 2019年8月 西村恭昌(日本放射線腫瘍学会前理事長,近畿大学医学部放射線医学教室・放射線腫瘍学部門教授)


訳者まえがき
 Michael Goitein博士(以下,Goitein)を詳しく知らない読者もいるかもしれないが,彼は,陽子線治療の医学物理のパイオニアの1人であり,CTを用いた3次元治療計画装置の開発,DRR画像とX線画像を用いたIGRTの開発,治療計画評価におけるBEVやDVHの開発を行い,これらを世界で最初に臨床治療へ使用した.これらの成果は,現在の放射線/粒子線治療において臨床スタッフが日常的に使用している重要な機能であり,これだけでも,彼の偉大さを実感することができる.訳者の一人(森)がマサチューセッツ総合病院(MGH)に滞在中,その上司であったGeorge Chen博士とスイスに在住のGoiteinの三人で,1月に1〜2回程度の頻度で電話会議を行った.彼らはベストアンサーが存在しない質問に対して,「なぜ,そう判断したのか?」「この場合は,君ならどうする?」と常に聞いてきた.このような会話を3時間程度続ける.森にとっては,粒子線治療のパイオニアである二人から,個人授業の形でさまざまなことを教えていただいたのは,たいへん貴重な経験である.また,Goiteinは,MGHをリタイアした後も,毎年春にMGHを訪問し,放射線治療に関わる若手を主な対象としてレクチャーを行っていた.
 最近では,Medical PhysicsやPhysics in Medicine&Biologyなどの医学物理のトップジャーナルに第一線で活躍している人びとのレビュー論文が多く掲載され,知識の習得という点では最良の教科書である.しかし,とくに日本では,「知っている/知らない」という知識の吸収に力点が置かれ,教科書や論文には記述されていない「第一線の人の考え方」を学ぶ機会が減っていることを危惧している.医療における「考え方」は「創造性」とは異なり,この「考え方」を習得することは,さまざまな患者に対応するときの「正しい判断」を助けてくれるものである.しかし,我々はもうGoiteinから直接にレクチャーを受けることができず,彼の考え方を学ぶには,彼のレビュー論文や書籍から読み解くしかない.そのため,このすばらしい原著を,とくに日本の若手,中堅の放射線腫瘍医,医学物理士,放射線技師に読んでもらいたく,大学の講義や学会の講演会で本書を紹介してきたが,原著が英語ということもあり,ハードルが高い印象があった.そこで,より多くの人に読んでもらうため,Goiteinのことをよく知り,考えを同じくする他の二人の訳者(綱島,遠藤)とともに原著の和訳を準備することとした.三人の訳者も翻訳作業を通して,本書のすばらしさを実感している.読者のスキルにより,本書の受け捉え方が大きく異なるため,数週間,数カ月,数年の時間が経過してからも,読み返すことで,Goiteinの考え方を,より深く理解することができるだろう.そして最後に,本書をまとめるにあたり,放射線腫瘍医 野元昭弘氏と 医学物理士 遠山尚紀氏から,臨床の立場からコメントをいただいたことに対して,ここに感謝をのべたい.
 2019年8月
 訳者を代表して 森 慎一郎


日本語版への序文
 Michael Goitein博士は,現代の放射線腫瘍学を進歩させた先見の明のある医学物理学者であった.Goitein博士は,オックスフォード大学で物理学と数学の学士号を,そして,ハーバード大学で高エネルギー実験物理学の博士号を取得した.ローレンスバークレー研究所で博士研究員として研究した後,マサチューセッツ総合病院で専門家としての次の30年をすごし,ハーバード大学医学部放射線医学科の放射線生物物理学の教授になった.
 彼が2002年に引退するまで,私が博士研究員として,そして後に同僚として彼の元で勉強できたことは,私の名誉である.彼は,その活発なキャリアのなかで,今日,世界中の放射線腫瘍学部門で,日常的に使用される多くの治療計画の概念を導入した.Goitein博士の放射線治療の治療計画と治療実施に対する研究上の貢献は,Herman Suit博士が主導する陽子線治療プロジェクトにおける必要性から生まれた.Goitein博士は,物理士の小さなチームを率い,Harvard Cyclotron Laboratory(HCL)のスタッフと共同で開発した治療用陽子線を腫瘍に正確に照射するために必要となる臨床物理学を開発してきた.HCLでは,約30年間,選択した患者を陽子線による分割照射で治療してきた.Suit博士,Goitein博士,そしてMGH/MEEIの共同研究者らによる先駆的な臨床研究により,ブラッグピークを3次元的に成形した治療用陽子線は,安全かつ効率的に腫瘍に照射でき,腫瘍への線量増加を行うことで,周辺の多くの臓器障害を増加させず,局所制御率を向上させるという原理が証明された.これらの重要な研究は,その後世界中へ陽子線治療が広く普及していることに貢献している.高精度陽子線治療のための技術が,従来の光子線治療にも価値があることが認識され,多くの概念が光子線治療にも取り入れられた.1980年代の計算機とイメージング装置の性能が,今日のそれらよりも桁違いに低かったことを考えると,粒子線の先駆者により開発された革新的な技術は,さらに注目するに値するものがある.
 陽子線治療を正確に実施するための多くの課題が克服されてきた.これらは,a)3次元イメージングによる解剖学的構造(腫瘍及び正常組織の解剖学的構造)のマッピング,b)解剖学的構造のモデリングと正常組織への損傷を最小限にするための照射野の方向や形状の設計(ビームズアイビュー),c)ブラッグピーク陽子線照射における不確かさの理解,d)患者固定技術と画像誘導技術の改善による日々の臓器運動と治療中の臓器運動の管理,e)治療計画評価法による腫瘍制御率と正常組織障害発生率の推定.Goitein博士と共同研究者達は,3次元治療計画法開発の非常に早い段階で,これらの概念を進めることに尽力した.
 Goitein博士が「はじめに」で明確に述べているように,この書籍は教科書ではない.この書籍が執筆されてから,実際に陽子線治療および光子線治療では,多くの技術進歩がなされてきた.たとえば,陽子線治療の患者位置決めでは,最初は直交2方向のX線写真が用いられていた.この書籍では詳しくは説明されていないが,それ以来,治療室でのリアルタイムと3次元イメージングの技術進歩(日本が革新的に先がけ)がなされた.それにもかかわらず,「医学物理士の視点」という副題を付けたこの書籍は,放射線腫瘍学分野で医学物理士が貢献できる幅広い科学的研究を紹介することに優れている.彼は,医学物理士から放射線腫瘍医,線量測定士,そして興味を持つすべての人々を含む幅広い読者に対して,陽子線治療の核心的原理を明確に示している.
 Goitein博士は,自分の本が日本の読者のために翻訳されたことを知れば非常に喜んだに違いない.日本は,元もと,陽子線治療および重粒子線治療のリーダーである.翻訳作業を進めてくれた森慎一郎氏,綱島義一氏,遠藤真広氏の努力を称賛し,Goitein博士の知恵と知識を日本の読者と共有してくれたことに感謝する.粒子線治療計画法の開発,4次元CTおよび臓器運動の研究に関して,バークレーとMGHで遠藤氏と森氏のそれぞれと緊密に協力関係を結べたことをたいへんに光栄に思う.
 2019年1月 ハーバード大学医学部放射線腫瘍科名誉教授 George Chen PhD.


序文
 本書は,放射線をがん治療に用いる方法について,医学物理士の観点から放射線治療の基礎となる物理について書いており,放射線治療の医学的根拠そして臨床的側面については述べていない.技術的なテーマである放射線治療の物理について,可能なかぎり専門用語を用いず,その全般を紹介することで,読者がさらに詳しい情報を知りたくなる構成とした*.
 *:医学物理学と放射線腫瘍学に関するすばらしい書籍は多く存在する.本書を読むだけでは,これらの知識を修得することにはならない.Johns and Cunnigham(1983)が執筆した医学物理学のすばらしい書籍がある.第4版まで出版されたが,残念ながら,その後は更新されておらず,現在の新しい内容まで含まれていない.比較的新しい書籍としては,Khan(2003)が執筆したものなどがある.
 本書が,放射線腫瘍医,医学物理士,放射線技師,そして,この領域に興味はあるが,まだ足を踏み入れていない人に,十分,役立つことを望んでいる.また,放射線治療物理に習熟した実務者にとっても本書から得られるものがあるだろう.しかし,本書の第一の対象は,物理学または医学領域から放射線治療分野に加わったばかりの人や,加わることを検討している人である.「この本は,レジデントが資格認定試験に合格するために役立ちますか?」という問いに対して,著者は「この本は,試験の模範解答を導き出すレシピ本ではないが,きっと役に立つと思う」と答えている.
 物理学で便利である数式は,かならずしも医学生物学でかならずしもうまくいくとは限らないため,可能なかぎり数式を用いなかった.物理学は,数式を通して多くの物理的現象をうまく説明することができる.たとえば,私たちの身の回りで起こる多くの現象は,マクスウェル(Maxwell)による比較的簡単な4つの方程式で説明することができる.このような事例は,数式が現実世界の根本であり,現象論的な近似ではないことを示唆しているのかもしれない.物理学者は,その思考の対象である物理学的世界を数式でうまく説明できたので,同じ方法が医学と生物学でもうまくいくと思い込んでいるようである.しかし,著者は,多くの医学と生物学の重要な事象を理解するには,かならずしも数学的な関係に基づかないと考えているため,可能なかぎり数式を省略した.
 本書では,主として,定量的に正確な図ではなく模式図を用いた.また,多くの数値はおおよその値を記述した.そのため,文章中の数字や内容を適切に言い換えたので,本書で示したデータを実際の患者治療に用いてはならないことも,ここで述べておきたい.なぜなら,認定された専門家により,測定,またはすくなくとも確認されていたデータに基づいて実際の治療は行わなければならないからである.
 本書は,高エネルギーX線と陽子線を用いた外部放射線治療に焦点をあてているため,残念ながら,小線源治療法(放射性物質を患者体内に刺入または挿入する方法)や電子線治療など重要な項目を省略せざるを得なかった.また,ラジオサージャリー,ガンマナイフ,ロボット治療,トモセラピーなど,特化した形態の外部放射線治療についても書くことができなかった.数は多いとは言えないが,線量分布の不確かさの計算方法と表示方法,モンテカルロ法による線量計算,強度変調陽子線治療へのスキャニング照射法の導入など,まだ主流となっていない治療技術について記述した.これらの技術はすぐに実際の治療に導入されると信じているからである.
 最後に,本書は,その扱う広範囲にわたる題材において出版された文献を等しく扱ったものでないことを述べておく.著者が興味あるいくつかの文献は付記したが,同等以上の価値をもつ多くの文献については省略されている.また,本書で取り上げている多くの題材が,著者自身の仕事内容と出版物に焦点を当てているため,自らの出版物を多く引用する傾向があったことも述べておく.
 著者の妻は放射線腫瘍医だが,レジデントやスタッフに多くを求める要求の多い知性ある指導者から,トレーニングを受けてきた.そして,彼が,「誰もが誤りを犯すが,誤りを犯した人がなぜ誤りを犯したのかがわかっていれば,どのような誤りでも受け入れることができる」と語っていたことを,彼女は著者に話してくれた.本書が,「できること,すべきこと,できないこと」の理由を知る手がかりとなれば幸いである.不幸なことに,著者の意見では,安全で信頼できる患者治療の手順を確立する際,医学物理士はある種のレシピ本の態度に陥りがちである.著者にとって「いつも,そのようにやってきたから」は,「なぜ?」という質問に対する答えとしては,許容できない.
 むしろ,「なぜできないか?」と質問することを推奨したい.しばしば,初期のアイデアは,非現実的,不合理的,不可能であるとして,深く考えずに却下される.これは,物理または医学の一方から,何か斬新なアイデアがもう一方に提案されたときに,しばしば見受けられる.著者の願いは,医学と物理のそれぞれの側に対して,他の側の知識と方法を十分に理解させ,次なる脳波のきらめきがひとまとめに拒絶されるとき,恐れずに「なぜできないか?」と尋ねることができるようにすることである.反対者が,「なぜできないか」の理由を納得できるように説明するまでは,アイデアをあきらめるべきではない.著者の目標は,部分的には,読者の職業における何でもについて疑問を持つことを奨励することである.とくに著者自身の言葉で奨励することである.
 私たちほぼ全員が,がんに関する個人的な関わりを持っているか,または将来,持つことになる.米国では,平均5人中2人ががんになると言われている.これは家族や友人など読者に近い8人中1人が,罹患する確率が96%ということになり,たいへんに重要な問題である.放射線治療はがん治療では重要であり,がん患者の約半分が,すくなくともその治療の一部として放射線治療を受けている.本書を通して,読者が放射線治療に関わっていなければ,放射線治療が魅力的な分野だと知ることを,また,読者がすでに放射線治療に関わっていれば,さらによりよい観点に立てることを望んでいる.
 推薦のことば
 訳者一覧
 訳者まえがき
 日本語版への序文
 序文
第1章 がん治療における放射線
 序論
 がん治療で使われる放射線の種類
 なぜ,放射線は作用するのか?
 単門照射
 多門照射
 体積効果
 強度変調放射線治療(IMRT)
 治療の設計と照射
  腫瘍と正常組織の輪郭入力
  線量処方
  治療計画と評価
  線量照射
  安全性
 まとめ
第2章 不確かさ
 (ほぼ)すべてのものが不確かである
 不確かさと誤差
 ランダムエラーとシステマティックエラー
 精度と確度
 信頼水準
  単一パラメータによる不確かさの表示
  片側検定
  1.5標準偏差
 非対称な不確かさ
 不確かさの合成
 不確かさは明確に記載されなければならない
 不確かさの取り扱い
第3章 解剖学的構造のマッピング
 はじめに
 関心体積(GTV,CTV,PTV,OARなど)
  腫瘍に関連する用語
  正常組織に関連する用語
  その他の用語
 3次元と2次元画像
  断面画像
  投影画像
 コンピュータ断層撮影(CT)
  断層撮影再構成の基礎
  CT画像に含まれる情報
  CT画像の読影
  CTデータのリスライス
  4次元CT(4DCT)
  Digitally reconstructed radiograph(DRR)
 磁気共鳴撮影(MRI)
  動作原理
 CTとMRIの比較
  位置精度
  MRIにおける骨の視覚化
  臨床的情報
 ポジトロン断層法(PET)
 画像位置合わせ
  剛体画像位置合わせ
  非線形画像位置合わせ
  診断画像の使用
 解剖学的構造の輪郭入力
  手動輪郭入力
  自動特徴(領域)抽出
  標的体積の輪郭入力の不確定要素
  正常組織/臓器の輪郭入力
 まとめ
第4章 治療ビームの設計
 はじめに
 光子と個別原子の相互作用
  光電相互作用(光電効果)
  コンプトン相互作用(コンプトン効果)
  対生成
  光子相互作用のエネルギー依存性
  光子相互作用の原子番号(Z)依存性
  分子との相互作用
 個別原子と電子の相互作用
  励起
  イオン化
  原子核による散乱
  制動放射
 巨視的物質と光子の相互作用
  線量の概念
  単一入射光子により起こること
  多数の入射光子により起こること
 治療用光子線の発生
 一様な矩形治療照射野の設計
  深部線量分布
  側方線量分布
 治療ビームの加工
  ビーム成形
  ビームの強度変調
 線量計算
第5章 生物学的問題
 はじめに
 モデル
  確立した経験
  治療可能比
  モデルの種類
  モデルに対する懐疑論
  メカニズム的モデルと経験的モデル
 腫瘍の線量―体積モデル
  TCPと最小線量
  TCP:メカニズム的モデル
  EUD:経験的モデル
 正常組織の線量―体積モデル
  NTCP:メカニズム的モデル
  EUD:経験的モデル
 警告
  腫瘍の線量―体積効果モデルに関する警告
  正常組織の線量―体積効果モデルに関する警告
 まとめ
第6章 治療計画の進め方
 はじめに
 治療計画の手順
 治療方針
  治療全般における必須条件
  腫瘍に関する必須条件
  正常組織に関する必須条件
  その他の要件
  トレードオフ
 処方
  技術データ
 線量の表示
  4次元線量分布
  2次元線量分布
  3次元線量分布
  1次元線量分布:線量体積ヒストグラム
  0次元線量と評価指標
  生物学的影響の0D測定量
 治療計画の評価―バランス
  臓器ごとの評価
  腫瘍の制御
  臓器や組織輪郭の欠損
  治療計画の総合的な判断
 治療計画の比較
  線量分布の並列表示
  線量差分表示
  DVHの表示
  評価指標と生物物理学モデルによる比較
  治療計画の総合的な評価
 治療計画作成後の流れ
  治療のシミュレーション
  治療照射
  治療期間中の評価
  文書化と記録保存
第7章 動きの管理
 体内ならびに患者の動き
 固定具
  2ジョイントルール(2関節固定法)
  患者固定技術
  熱可塑性樹脂マスク
  全身用固定具
  バイトブロック
  頭部定位治療用固定具
 位置決め
  皮膚マークによる位置決め
  骨構造による位置決め
  固定具に対する位置決め
  標的マーカまたは腫瘍を用いた位置決め
 検証
  ポータルX線画像を用いた検証
  X線撮影を用いた検証
 臓器の動き
  イメージングに対する臓器の動きの影響
  特別な対策を行わない場合の臓器の動き
  呼吸同期における臓器の動き
  腫瘍追跡による臓器の動き
  腫瘍位置と呼吸位相の相関
 患者と臓器の動きに対する補償
  治療ビームへの側方マージンの追加
  隣接する正常組織への影響
  安全マージン選択の基礎―単純モデル
  モデルからの結論
  ランダムな動きとシステマティックな動き
  必要とされる安全マージンの詳細モデル
 まとめ
第8章 手動治療計画
 はじめに
 人による治療計画
  手動計画の作成
 環境に優しい線量の処分
  積分線量
  治療アプローチの積分線量に対する影響
  どこで線量を処分するか?
  大線量を小さい体積へ,または小線量を大きい体積に?
  組織構造の影響
 線量分布における不確かさ
  不確かさの算出
  不確かさの表示
  線量指標などの不確かさは線量分布に依存する
 患者の視点から
  診断と治療モダリティーの選択
  リスク管理における患者の役割
  治療観察者としての患者
第9章 IMRTと最適化
 はじめに
 IMRT治療計画の作成:IMRTプランをどのように設計するか?
  IMRTのインバースプランニング
  IMRTのフォワードプランニング
  IMRTの計画作成
  最適化問題の規模
  スコアと探索
 なぜスコアを用いるのか?
  治療計画の比較
  治療計画の定量化
 スコアに含まれないこと
  モダリティ
  ビーム数とビーム方向
  ビーム横方向の広がり
 スコア
  計画の影響を示す指標
  生物物理学モデルの使用
  最適化におけるスコアの使用
  腫瘍反応の推定
  正常組織反応の推定
  腫瘍と正常組織の反応の組合せ
  患者の視点
 探索
  探索風景
  探索の方法
  パレート最適化
  数学的最適化におけるいくつかの問題
 最適化とは何か?
  最高の曲に投票
  最適化という用語の意味
 まとめ
第10章 水中における陽子線治療
 陽子線の物理特性
  陽子と軌道電子とのクーロン相互作用
  陽子と原子核とのクーロン相互作用
  制動放射
  陽子と原子核との相互作用(原子核反応)
 陽子線ブロードビームの深部線量分布
  ブラッグピーク
  ブラッグピークのエネルギー依存性とビームエネルギーの広がり
  拡大ブラッグピーク
 電子線のブラッグピーク
 小直径陽子ビームの深部線量分布
 陽子ビームの側方線量分布
  ペンシルビーム
  ビームライン上流の物体によるペンシルビームの広がり
  ブロードビーム
 まとめ
 陽子線治療:加速器とビーム照射
  加速器
  ビーム輸送系
  照射装置:ガントリー
 ビーム照射系:散乱体照射法
  ビーム横方向の拡大
  深さ方向の照射野形成:レンジモジュレータ
  ビーム透過深さの調節:コンペンセータ
  シャープなペナンブラ作成:アパーチャ
 ビーム照射系:スキャニング照射法
  臓器の動きによるインタープレイ効果
  ワブラー法
  スキャニング法の現状
 ビームの制御
  モニターと線量測定
  制御や安全性
 線量測定
  絶対線量測定
  相対線量測定
 結語
第11章 患者体内における陽子線治療
 不均一性
  単純な不均一性による線量パータベーション
  複雑な不均一性による線量パータベーション
 アパーチャとコンペンセータの設計
  アパーチャ
  コンペンセータ
  HU値から水等価密度への変換
 線量計算
 陽子線における生物学的効果比(RBE)
 陽子線治療計画:何が異なるのか?
 治療計画の相違点:ステップ1―モダリティーの選択
  大きい標的
  複雑な形状
 治療計画の相違点:ステップ5―ビーム設計
  不均一性の影響
  不均一性に対する補正
  ビーム照射技術
  計画標的体積(PTV)
  単一ビームの設計
  治療計画の設計
  固定具,位置決め,および検証
  不確かさ分析
 治療計画の相違点:ステップ9―品質保証
 陽子線を用いて達成可能な線量分布
  散乱体法
  パッチ照射
 強度変調陽子線治療
 眼内悪性黒色腫
 陽子線の臨床経験
 まとめ
第12章 品質保証
第13章 信頼
 はじめに
 信頼水準
  統計的有意
  ヒント
  トレンド
  確信
  まとめ
 仮説検定と測定
 ランダム化臨床試験:定量的問題
  局所制御と副作用の組み合わせ
 ランダム化臨床試験:非定量的問題
  医師が「知っている」こと
  現在の患者と将来の患者の関係
  現在の患者と現在の患者の関係
  希少資源
  RCTの継続
  費用対効果試験
  RCTに関するまとめ

 あとがき
 謝辞
 文献
 訳注
 略語一覧
 索引
 欧文索引