やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第6版の序
 1993年に「エッセンシャル法医学」(旧版)の初版が出版されて以来版を重ね,2012年には大幅に改定された「Newエッセンシャル法医学(第5版)」として出版された本書も,すでに6年余りの歳月が過ぎた.この間,増刷ごとに小規模な改訂を行ってきたが,法医学を取り巻く環境は大きく様変わりし,科学技術の進歩や医療を取り巻く社会的変化に対応していくためには,大規模な改訂が必要であると考え,このたび「Newエッセンシャル法医学(第6版)」を出版する運びとなった.
 本書は,死因究明の際に必須の知識である,医師の基礎的教養たる法医学領域のみならず,身元確認の際に必要な法歯学領域の内容も詳述しており,医科領域・歯科領域双方において有用な知見が記載されている.また従来から大きな社会問題であったが,近年,社会的関心が特に強くなった虐待症候群〔ドメスティックバイオレンス(DV),児童虐待,高齢者虐待,それに障害者虐待〕に関しても稿を多く割いたことで,医療従事者のみならず捜査関係者,福祉関係者にとっても有益な内容であると自負している.
 一方,分子生物学の目覚ましい発展により,DNA分析は個人識別のみならず法医診断学への応用も視野に入れており,分析化学および分析機器の発展は超微量物質の分析を可能としている.各項目をご担当された先生方には最新の知識を導入していただき,図表を多数使い,読者諸氏の理解の一助になるように心がけたつもりである.
 本書を編集するにあたり,監修の労をお取りいただいた恩師 取健彦先生に深く感謝申し上げる.また,ご多忙にもかかわらず快くご執筆いただいた諸先生方,さらに,本書の企画,編集にあたり,終始ご協力をいただいた医歯薬出版の遠山邦男氏に深甚なる謝意を表する.
 平成31年3月
 編者 長尾 正崇



第5版の序
 1993年に「エッセンシャル法医学」(第1版)が出版されて,すでに18年余りの歳月が過ぎ,この間,法医学を取り巻く環境は大きく様変わりしてきているなかで,これまで旧版の内容を適宜改定し,版を重ねつつ今日に至っていた.しかし,科学技術の進歩や医療を取り巻く社会的変化に対応していくためには,旧版を一掃し,新たな教科書の出版が必要であると考え,このたび「NEWエッセンシャル法医学」(第5版)を出版する運びとなった.
 この間,医療関連法規のうちで改正法あるいは新法が制定されたものもある.たとえば,「臓器の移植に関する法律」(従来法,平成9年10月16日施行)が施行後12年にしてようやく法改正がなされ,平成21年7月17日に公布された.この改正法で最も特筆すべきことは,脳死は一律に「人の死」と位置づけており,移植術に必要な臓器が摘出されるときだけ脳死を認めた従来法とは根本的に異なることである.これにより,われわれが旧版で脳死は人の死であることを主張してきたことが立法化されたことになる.また,社会的に大きな問題を投げかけてきているドメスティック・バイオレンス(DV),児童虐待,高齢者虐待,それに障害者虐待の防止法がそれぞれ立法化され,このなかで障害者虐待防止法は平成23年6月17日に成立し,平成24年10月1日に施行の運びとなっている.
 一方,DNA多型の法医学への応用は分子生物学の発展の下支えにより,著しい成果をもたらした.特にSTR(short tandem repeat)型は,STRとよばれるDNA部位と,性別に関するアメロゲニン部位とを同時に分析可能にした統一キットと自動解析装置を用いることによって,解析能が飛躍的に向上し,国際的にもデータの共有が可能となり,今後の犯罪捜査に大いに貢献することになるであろう.また,分析化学および分析機器の進歩発展により,これまで分析が不可能であった超微量の物質もナノオーダあるいはフェムトオーダまで分析可能にし,これは法中毒学の今後の展開に大きく貢献するものと思われる.なお,各章にはアップデートの知識を導入したほかに,図,写真,表を多数使い,読者諸氏の理解の一助になるように心がけたつもりである.
 本新版を編集するにあたり,編集責任者である長尾正崇教授には,企画,編集,執筆者の選定,ご自身の執筆等を含め,多大のご尽力をいただいたことに感謝申し上げる.また,編集担当された中園一郎教授ならびに山内春夫教授には併せて心から感謝を申しあげる.さらに,本書の企画,編集にあたり,終始ご協力をいただいた医歯薬出版の遠山邦男氏に深甚なる謝意を表する.
 平成24年6月
 監修者 取 健彦



 近年,医学・医療の著しい進歩に伴い,これらに対する社会のニーズも大きく変りつつある.とくに1968年,日本で初めて行われた和田心臓移植を契機として,また1976年に開発された免疫抑制剤(シクロスポリンA)の臨床応用に伴い,欧米で盛んに行われるようになった臓器移植を契機として,わが国においても個体死の定義,脳死の問題が大きな社会問題となってきている.
 法医学という学問の使命の1つに,この死の判定や定義に関する問題がある.本書では,このヒトの死の問題を第2章で触れ,しかもかなり大胆に論理を展開した.一方,法医学の社会性と時代性を意識し,第8章では現代社会と法医学の接点,第9章では医と法の問題を取り上げた.
 本書は,全国の大学で現在法医学者として活躍している若い気鋭の先生方に執筆していただいた.各内容については,過去の歴史的な方法論などはできるだけ省略し,その代りに科学的にすでに容認されている論理,方法論についてはこれらを積極的に導入した.とくに,最近著しい進歩を遂げているDNAの法医学的応用を積極的に取り上げた.また,中毒の項では法医学の実務のなかで,より頻繁に遭遇する可能性のある薬毒物を中心として執筆したつもりである.
 一方,本書は医学生が将来,臨床の医師になって死体を検案する際の,あるいは医師国家試験の手引きとして便利なように構成したつもりである.理解しやすいように,できるだけ多くの模式図や写真を採用している.勿論,本書は医学部・歯学部学生の教科書としてのみならず,コメディカル関係の学生,臨床医家,司法関係や法曹界の方々にも法医学的理解を深めていただける手引きとなるものと信じている.また,医師国家試験の対象の1つと考えられる死亡診断書の書式およびその書き方については,平成7年度にこれが改正される予定であるが,この件に関しては次の本書改訂版で言及するつもりである.
 本書を編集するにあたり,貴重なご意見をいただいた大島 徹,中園一郎,平岩幸一および山内春夫の各教授方々には深甚なる謝意を表明する.また,出版にあたりご尽力をいただいた医歯薬出版の方々に心から感謝申し上げる.
 平成5年11月
 編 者
 第6版の序
 第5版の序
 序
 監修者・編者・執筆者
 監修者・編者 略歴
第1章 法医学概論
 (取健彦)
 1 法医学とは
  1.定義
  2.刑事法医学と民事法医学
  3.賠償科学
 2 法医学の歴史的変遷
  1.過去
  2.現在
   1)法医学と現代社会との関わり
   2)日本法科学技術学会の誕生とその背景
  3.未来(展望)
 3 法医学における鑑定業務
第2章 死の判定と死因
 1 個体死(取健彦)
  1.定義
  2.生活反応
   1)定義
   2)種類
   3)生活反応と脳死
 2 脳死
  1.定義
  2.脳死と植物状態との違い
  3.脳死判定基準
   1)厚生省の指針と判定基準
   2)その後の経過
 3 死亡時刻
  1.死亡時刻とは
  2.脳死の死亡時刻
 4 死因とその競合
  1.死因の共同
  2.死因の連合
  3.死因の競存
  4.死因の連立
 5 変死体と異状死体(岩瀬博太郎)
  1.変死体
  2.異状死体
  3.検屍と検視
 6 司法解剖と行政解剖
  1.司法解剖
  2.行政解剖・承諾解剖
  3.死体解剖資格と法医認定医制度
 7 死亡診断書と死体検案書
  1.死体検案の一般的注意事項
  2.死亡診断書・死体検案書発行時の一般的注意事項
  3.死亡診断書・死体検案書の書式,記入の仕方
   1)氏名,性別,生年月日
   2)死亡したとき
   3)死亡したところ及びその種類
   4)死亡の原因
   5)死因の種類
 8 死後CTの死体検案への応用
第3章 死体現象
 (竹下治男)
 1 早期死体現象
  1.死体の冷却・体温降下
   1)死体温度の降下に影響する因子
   2)死体の冷却速度から死後経過時間を推定する方法
  2.死体の乾燥
   1)角膜の混濁
   2)体表の乾燥
  3.死斑・血液就下
   1)死斑の発現時期とその進行具合
   2)死斑の発現部位と色調
   3)両側性死斑(死斑の転移・移動)
   4)死斑と皮下出血の鑑別など
  4.死体硬直
   1)死体硬直の発生機転
   2)死体硬直の経時的変化
   3)死体硬直に影響を及ぼす因子
   4)不随意筋の硬直およびそのほかの鑑別
  5.血液凝固と線溶現象
 2 晩期死体現象
  1.自家融解
  2.腐敗
   1)腐敗の進行に影響を及ぼす因子
   2)腐敗死体の所見
  3.死体の損壊
   1)地上に放置された死体の損壊
   2)水中死体の損壊
  4.白骨化およびその他
 3 特異な死体現象
  1.ミイラ化
  2.死ろう化
  3.特殊永久死体
 4 死体現象からの死後経過時間の推定
  1.一般的な死体現象からの死後経過時間の推定
  2.食後経過時間
  3.膀胱内尿からの死亡時刻推定
  4.水中死体の死後経過時間
  5.死体血の血液検査の有用性
  6.死後産生アルコールおよび血中・尿中アルコール濃度比較による飲酒後死亡するまでの経過時間推測
第4章 死因
 1 死因を決定(推定)する際の一般的注意事項(外因死と内因死)(長尾正崇)
  1.内因死と外因死
  2.死因の概念
 2 外因死
  1.損傷
   1)損傷の一般的事項(長尾正崇)
   2)損傷による死因
   3)鋭器損傷
   4)刺器損傷
   5)鈍器損傷
   6)銃器損傷
   7)交通事故
   8)頭部損傷(木林和彦)
   9)胸部損傷
   10)腹部損傷(長尾正崇)
   11)外傷性ショックとショックの病態生理(磯部一郎)
   12)その他の損傷
  2.窒息(長尾正崇)
   1)窒息の基礎
   2)窒息と窒息死の機序
   3)鼻口閉鎖による窒息死
   4)気道内閉塞による窒息死
   5)縊死
   6)絞死
   7)扼死
   8)溺死
   9)その他の窒息死
  3.異常温度による外因死(岩楯公晴)
   1)熱傷(死)
   2)焼死
   3)低体温症(凍死)
   4)熱中症
   5)凍傷
  4.その他の外因死
   1)感電死
   2)落雷死
   3)減圧症
   4)高山病
   5)化学熱傷
   6)放射線障害
   7)酸素欠乏
   8)飢餓死
 3 内因死(舟山眞人)
  1.国際疾病分類
  2.内因性急死
   1)内因性急死とは
   2)内因性急死をめぐる諸問題
  3.内因性急死の原因疾患
   1)虚血性心疾患
   2)虚血性心疾患以外の心疾患
   3)大動脈系疾患
   4)肺循環系疾患
   5)脳血管障害
   6)呼吸器系疾患
   7)消化器系疾患
   8)その他,注意すべき疾患
   9)原因不明な内因性急死
 4 嬰児殺(長尾正崇)
  1.定義と問題点
   1)定義
   2)法律的特殊性
   3)医学的特殊性
   4)法医診断事項
  2.胎・嬰児の発育程度と生活能力
   1)発育の程度
   2)生活能力
  3.生産・死産の鑑別
   1)死産児の徴候
   2)生産児の徴候
  4.分娩後生存時間の推定法
   1)外表所見
   2)内部所見
  5.死因および手段・方法
   1)嬰児殺の種類と特徴
   2)窒息
   3)損傷
   4)消極的殺児
   5)墜落分娩(墜落産)
第5章 中毒(法中毒)
 1 中毒(前野善孝)
 2 中毒発生と社会環境
  1.薬毒物中毒死の発生状況
  2.薬物乱用の変遷
 3 薬毒物の分類
  1.分析化学的分類
  2.生物活性(生理作用)的分類
 4 中毒発現機構
  1.薬毒物の吸収,代謝,排泄
  2.中毒発現に影響する諸種要因
   1)用量・濃度
   2)化学的性状
   3)投与方法
   4)飲食
   5)薬毒物相互作用
   6)年齢,性別,体質
   7)栄養状態
   8)薬物依存と耐性
 5 薬毒物検査
  1.薬毒物検査の流れ
  2.生体試料の採取
  3.死体試料の採取
  4.試料の採取と保存
  5.薬毒物の抽出法
  6.検出方法
   1)予備試験(スクリーニング)
   2)確認試験(定性・定量分析)
  7.薬毒物検査結果の解釈
   1)細菌による薬毒物の死後産生
   2)薬毒物の死後分解
   3)薬毒物の死後拡散
   4)薬毒物の死後再分布
 6 代表的な中毒
  1.一酸化炭素(前野善孝)
   1)性状と発生状況
   2)中毒作用機序
   3)中毒症状
   4)剖検所見
   5)検査
  2.アルコール(吉本寛司)
   1)アルコール飲料
   2)アルコール消費量
   3)飲酒関連法規
   4)アルコール関連問題
   5)吸収と代謝
   6)血液中アルコール濃度と酩酊
   7)血中アルコール濃度と飲酒の関係
   8)アルコール測定
   9)死後産生
  3.農薬(長尾正崇)
   1)パラコート,ダイコート
   2)有機リン剤
   3)カーバメート剤
  4.神経剤
  5.薬毒物(奈女良 昭)
   1)覚せい剤
   2)麻薬
   3)催眠薬,向精神薬
   4)大麻
   5)幻覚剤
   6)抗うつ薬
  6.その他
   1)シアン化水素,青酸塩
   2)ヒ素
   3)液化石油ガス,天然ガス
   4)硫化水素
   5)シンナー
   6)テトロドトキシン
   7)アコニチン
第6章 性と法医学
 1 妊娠・分娩をめぐる法医学(山本琢磨)
  1.法律
   1)生命の定義
   2)妊娠の徴候と診断
   3)妊娠経過と月数の推定
   4)受胎時期の推定
   5)流産と早産
   6)堕胎
  2.妊娠に関連する母体死亡
   1)羊水塞栓症
   2)肺動脈血栓塞栓症
   3)HELLP症候群
   4)急性妊娠脂肪肝
   5)血栓性血小板減少性紫斑病
   6)死体検体の測定
  3.胎児の死亡
  4.産褥
  5.出産・死産に関連する届出・法律
   1)出生証明書・出生届
   2)死産証明(死胎検案書)・死産届
   3)その他
 2 性に関する法医学
  1.性分化疾患
   1)性染色体異常に伴う性分化疾患
   2)46,XY性分化疾患
   3)46,XX性分化疾患
   4)法律的手続き
  2.生殖機能
   1)女性の不妊症の原因
   2)男性の不妊症の原因
  3.性嗜好
 3 犯法的性行為(瀬 泉)
  1.わいせつ(猥褻)行為
   1)刑法上の定義
   2)性的風俗に対するわいせつ行為
   3)個人の性的自由を侵害するわいせつ行為
  2.強制性交等
   1)刑法上の定義
   2)本罪の特徴
  3.監護者わいせつ,監護者性交等
   1)刑法上の定義
   2)本罪の特徴
  4.性犯罪等の被害者に対する法医学的諸検査
   1)身体検査にあたって配慮すべきこと
   2)問診
   3)着衣の検査
   4)外表からの異物採取
   5)損傷検査
   6)口腔内の検査
   7)外陰部の検査
   8)検査後
  5.加害者に対する法医学的諸検査
  6.その他
第7章 血液型と個人識別
 1 血液型(安田年博)
  1.血液型一般
   1)血液型の歴史的背景
   2)血液型システム
   3)血液型の検査法
  2.代表的な血液型とその検査方法
   1)赤血球抗原型
   2)血清蛋白質型
   3)赤血球酵素型
   4)HLA型
  3.レクチン
   1)種類と性状
   2)血液型への応用
  4.臨床医に必要な血液型の知識
   1)汎凝集反応
   2)血液型不適合輸血
   3)母児間血液型不適合による新生児溶血性疾患
   4)腫瘍マーカーと血液型
   5)造血幹細胞移植と血液型
   6)血液型による親子鑑定と卵性診断
  5.体液の血液型
   1)体液の血液型とその法医学的意義
   2)尿中の血液型
 2 DNA検査(山田良広)
  1.DNA分析の変遷
  2.サザンブロッティング法(DNA指紋法)
   1)DNA指紋法の原理と法医学における限界
   2)その他のDNA指紋法の欠点
  3.PCR法
   1)MCT118型
   2)足利事件
   3)自動解析装置とSTR
   4)常染色体以外のDNA
   5)SNPs
  4.親子鑑定
   1)DNA多型による親子鑑定
   2)卵性診断
 3 物体検査(櫻田宏一)
  1.一般的注意事項
  2.血痕検査
   1)外観検査
   2)血痕予備検査
   3)血痕実性検査
   4)人血検査
   5)血液型検査
   6)DNA型検査
   7)その他の検査
  3.精液検査
   1)外観検査
   2)精液予備検査
   3)精子検査(顕微鏡検査)
   4)血清学的検査
   5)血液型検査およびDNA型検査
  4.毛髪検査
   1)毛の構造
   2)人毛と動物毛の形態的相違
   3)人毛の発生部位による形態的特徴
   4)毛髪鑑定の実際
  5.その他
   1)骨検査
   2)歯牙検査
   3)指紋
 4 法歯科医学(山田良広)
  1.歯の法医学
   1)定義
   2)歯科所見の意義
  2.歯の基礎的知識
   1)乳歯列と永久歯列
   2)歯列弓
   3)う蝕の進行と処置方法
  3.口腔内所見の記録
   1)略語について
   2)デンタルチャート
  4.歯からの性別判定
   1)形態学的性別判定
   2)分析学的性別判定
  5.歯からの年齢推定
   1)形態学的年齢推定
   2)分析学的年齢推定
  6.歯痕
  7.歯からわかるその他のこと
 5 個人識別
  1.生体の個人識別(竹下治男)
   1)意識不明の人,記憶喪失,密入国者,国籍不明者,在留日本人孤児など
   2)親子鑑定および卵生診断
   3)生体認証(バイオメトリクス)
  2.死体の個人識別(池谷 博)
   1)性別
   2)年齢
   3)身体的特徴
   4)微生物,ウイルスによる個人識別
  3.人骨の個人識別(人類学的検査)(片山一道)
   1)性別判定
   2)死亡年齢の推定
   3)身長推定
   4)人種の推定
   5)死後経過時間の推定
  4.大量死体発生時の個人識別(都築民幸)
   1)個人識別からみた大規模災害とは
   2)個人識別のための情報収集と照合・判定
   3)個人識別のための情報管理
   4)大量死体発生時の個人識別を円滑に行うには
第8章 現代社会と法医学の接点
 1 賠償科学(取健彦)
  1.賠償科学とは
  2.交通事故とむち打ち損傷
   1)むち打ち損傷
  3.PTSD
   1)背景
   2)診断基準
   3)問題点
  4.低髄液圧症候群
   1)概念の歴史的変遷と診断基準
   2)問題点と展望
  5.因果関係と割合的認定
   1)因果関係
   2)割合的認定
 2 先端医療
  1.臓器移植(取健彦)
   1)インフォームドコンセント
   2)生体からの臓器移植
   3)死体からの臓器移植
   4)脳死と臓器移植
  2.生命の誕生をめぐる先端医療(杉浦真弓)
   1)生殖のための新たな技術
   2)出生前診断と人工妊娠中絶術
   3)着床前診断
  3.救急医療の進歩と法医学
   1)救急救命士制度(長尾正崇)
   2)救急医療と法医学
  3)救急医療と法歯科医学(岩原香織)
 3 臨床法医学と臨床法歯科医学
  1.児童虐待(長尾正崇)
   1)定義
   2)児童虐待の現状
   3)虐待死事例の実際
   4)患児の損傷診断に際しての法医診断学
   5)おわりに
  2.ドメスティック・バイオレンス
   1)配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律
   2)DVの現状
   3)DVに対する対応
  3.高齢者虐待
   1)高齢者虐待防止法による定義
   2)高齢者虐待の現状
   3)高齢者虐待に対する対応
  4.障害者虐待
  5.臨床法歯科医学(都築民幸)
   1)子どものマルトリートメントと歯科
   2)子どものマルトリートメントにみられる頭部・口腔顔面の症状
第9章 医と法
 (江崎治朗)
 序説
  1.憲法
  2.医事法規
  3.公衆衛生法規
  <コラム> わが国の法形式
 1 医師法
  1.医師の資格
  2.医師の業務
   1)医師の業務
   2)看護師等のコメディカルスタッフ
  3.医師の義務
   1)応召義務等
   2)診断書等の交付義務
   3)無診察治療等の禁止
   4)異状死体の届出義務
   5)処方せんの交付義務
   6)療養方法の指導義務
   7)診療録保存義務等
  4.医師の行政処分
  <コラム> 死亡診断書(死体検案書)に記載した死因等の確定・変更について
 2 歯科医師法
 3 医療法
  1.医療を提供する場所
   1)病院・診療所
   2)助産所
   3)医療監視
   4)患者等への説明
   5)広告の制限
   6)医療事故調査制度
   7)医療計画
 4 健康保険法
  1.保健医療制度の特徴
  2.保険診療の仕組み
  3.禁止事項等
 5 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)
  1.沿革
  2.基本理念等
  3.感染症法による措置等
 6 母子保健法
  1.沿革
  2.母性・乳幼児の保護者・行政の役割
 7 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)
  1.沿革
  2.行政・精神保健指定医等の役割
 8 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)
  <コラム> 政府における死因究明等施策の推進

 関連法規
  医師法
  死産の届け出に関する規定
  死体解剖保存法
  警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律
  検視規則
  医療法(抜粋)

 <資料> 死亡届・死亡診断書(死体検案書)・死産届・死産証書(死胎検案書)
 索引
  和文索引
  欧文索引
 執筆分担一覧