改訂の序
　五訂日本食品標準成分表（2000年）の公表による新版として発刊以来3年が経過しました．本書は大きく「五訂版食品成分早見表」と「治療用・医療関連食品等食品成分早見表」の2部により構成されていますが，第2版では「治療用・医療関連食品等食品成分早見表」の改訂を行いました．
　最近，とくに臨床栄養学や病態栄養学への研究や関心は著しく，病院に勤務する臨床栄養士のみならず，管理栄養士養成校や看護師養成校の教員や学生にもその意欲にはめざましいものがみられます．
　一方，企業サイドにおいても，糖尿病や肥満症（低エネルギー食品），高血圧症（減塩食品）などの生活習慣病関連の食品が多数開発されてきました．
　今回の改訂では，保存期慢性腎不全（高エネルギー食品，低たんぱく食品）や経腸栄養関連，小児栄養（調製粉乳，ベビーフード），さらに介護食，スポーツ栄養など応用栄養学の範囲まで，あらゆる分野から約550アイテムの食品を収集・整理して掲載しました．
　引き続き本書をご利用いただき，今後のさらなる充実のために忌憚のないご意見・ご叱正をいただければ幸いに存じます．
　最後に，本書の改訂にあたってご協力いただきました各企業の皆様方，土江節子（神戸女子大学家政学部教授）・石井和子（大阪大学医学部附属病院栄養管理室長）・村上　恵（近畿大学農学部食品栄養学科）・青木洋子（畿央大学健康科学部講師）・蒲　尚子（近畿大学農学部食品栄養学科）の各氏，ならびに医歯薬出版株式会社編集部に深謝の意を表します．
　2004年7月
　臨床栄養総合技術研究会代表
　畿央大学健康科学部教授
　中島　泰子


はじめに
　本書は，1981年に『常用量目安栄養価早見表』として発行以来，日本食品標準成分表の改訂に伴う新版化を進めてまいり，1983年には四訂公表に伴う新版を発行しました．そしてこのたび，五訂日本食品標準成分表（2000年）が公表されましたので，ふたたび新版として世に送り出すことにいたしました．
　近年，食べ物と健康に関する注目度はますます大きくなり，教育現場では管理栄養士・栄養士養成施設カリキュラムの大幅な改正により，それぞれの専門性を明確にしつつ，より高める方向が示されました．とくに応用栄養学，臨床栄養学では身体状況や栄養状態，傷病者の病態や栄養状態の特徴に基づいた適正な栄養管理を行うことが教育目標として掲げられました．
　一方，臨床の現場においても，傷病者やその家族の「健康」や「食事」に対する関心，学ぼうとする姿勢・努力には並々ならぬものがあり，疾病および病態に対応した栄養管理の重要性を痛感しているところです．
　本書は，誰もが，わかりやすく，かつ簡単に食事および食事を構成する食品の成分値を把握できるように食品を常用重量で示し，摂取している食事から，個人の状態に応じた適切な栄養管理が行えるよう工夫しました．
　さらに，治療食の献立作成や栄養指導が十分に行えるよう，治療用・医療関連食品や市販の加工食品，小児関連食品（調製粉乳，ベビーフード）やサプリメント（栄養補助食品）など，約400アイテムの食品を収集・整理して掲載し，必要に応じて使用目的を具体的に併記しています．まだまだ種類や内容面について不満足な点も多く，今後さらに充実していきたいと考えています．
　本書は，将来臨床管理栄養士を目指して学んでいる学生の実習書として，また，医療関連施設における管理栄養士・栄養士の実務書として，さらには医師，看護師，薬剤師，栄養指導を必要とする入院・外来通院中の傷病者およびその家族のための必携の書としてご活用いただければ幸いです．
　最後に，本書を刊行するにあたりご協力いただいた近畿大学農学部食品栄養学科管理栄養士専攻・村上　恵，蒲　尚子，大和美帆の各氏（管理栄養士）ならびに医歯薬出版編集部に深謝の意を表します．
　2001年7月
　臨床栄養総合技術研究会代表
　中島　泰子