やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

改訂の序

“健康で.長生き”は誰しもの願いである.平均寿命の伸びもさることながら,あと何年,自立して健康に暮らせるかの健康寿命(生活と健康の質)が問題となっている.しかし,要介護老人対策,変化する食環境,在宅医療,ターミナルケアー,臓器移植,さらに癌,ストレス,独居老人など,保健・医療・福祉が連携し,協力し合なければならない問題が多々ある.
 少子・高齢化社会を迎え,子どもたちの健康の保持・増進を図ることはもとより,生活習慣病の予防やQOLの向上など専門職への期待も大きい.看護や介護に携わる専門職に求められているのは,人間や社会に対する理解と生命の尊厳について深く考え,共生・共栄の社会を目指す心構えを身につけることである.ひいてはそれらが保健・医療・福祉の連携の中で発揮できる資質を身につけることになる.そのためには専門職として必要な知識や技術を習得し,教育・研究・臨床・行政等の領域へ進むことのできる基礎的能力と社会の変化に伴い多様化する要求や各分野の進歩に対応するとともに,新たな知識,技術の開発に貢献できる能力が必要である.
 保健・医療・福祉の総合的な取り組みの中でさまざまなライフステージにある人々の“食生活のあり方”を学習するテキストとして本書を上梓してはや4年を経た.この間,日本食品成分表が5訂となり,食生活指針も加わり,各疾患の診断基準やガイドラインが改訂され,本書の見直しが必要となった.
 本書の意図するところは,看護や介護に携わる専門職の人々が,広い視野をもち,保健・医療・福祉システムの中で他の専門職の人々と協調しつつ,自らの役割と責任を担う心構えや,自らが自らの知識・技能・態度を評価し,能動的学習と修練によって,絶えず向上する習慣を身につけるための学習の一助に資することが出来ればと願っている.
 本書がより多くの人々に使用されることを願いつつ,読者からのご批判,ご教示を頂きながら,さらによいものに出来ればこれ以上の喜びはない.

 2004年1月1日 編者一同
改訂の序
まえがき

■I 人体の仕組み(渡邉早苗)
 1 ─ 個体の構成成分
 2 ─ 体内代謝と栄養素
 3 ─ 消化と吸収
 4 ─ バイタルサインとホメオスタシス
  バイタルサイン
  ホメオスタシス

■II 食品と栄養(丸山千寿子)
 1 ─ 食品の分類
  穀類,いも類,砂糖
  乳類,卵類,肉類,魚介類,豆類
  野菜類,海藻類,きのこ類,果実類
  油脂類,種実類
 2 ─ 食品の栄養素
  炭水化物
  脂質
  たんぱく質
  ビタミン
  無機質
 3 ─ 食品の調理と加工
  食品の調理
  加工食品
  食品添加物

■III 栄養素の役割(西明眞理)21
  熱量(エネルギー)素
  構成素
  調整(調節)素
 1 ─ 糖質(西明眞理)
  1) 単糖類
  2) その他の糖類
  3) 食物繊維
 2 ─ 脂質(丸山千寿子)
  1) 脂肪酸
  2) 中性脂肪K
  3) リン脂質
  4) ステロール
 3 ─ たんぱく質(渡邉早苗)
  1) アミノ酸
  2) たんぱく質
  3) その他の窒素化合物
 4 ─ 脂溶性ビタミン(森口 覚)
  1) ビタミンA(レチノール)とカロテノイド
  2) ビタミンD(カルシフェロール)
  3) ビタミンE(トコフェロール)
  4) ビタミンK(フィロキノン,メナキノン
 5 ─ 水溶性ビタミン
  1) ビタミンB1(チアミン)
  2) ビタミンB2(リボフラビン)
  3) ナイアシン(ニコチン酸)
  4) ビタミンC(アスコルビン酸)
  5) ビタミンB6(ピリドキシン)
  6) ビタミンB12(シアノコバラミン)
  7) 葉酸(ホラシン)
  8) パントテン酸
  9) ビオチン
 6 ─ 無機質(堀尾拓之)
  1) カルシウム
  2) 鉄
  3) リン
  4) マグネシウム
  5) カリウム
  6) ナトリウム
  7) クロール
  8) 銅
  9) ヨウ素
10) マンガン
11) 亜鉛
12) セレン
13) モリブデン
14) クロム
15) フッ素
16) コバルト
 7 ─ 水
 8 ─ その他の成分
  1) アルコール(西明眞理)
  2) 生理活性物質(堀尾拓之)

■IV 栄養補給(寺本房子)85
 1 ─ 栄養所要量
  年齢区分
  体位基準値
  エネルギー所要量
  糖質のエネルギー比
  食物繊維
  脂質所要量
  たんぱく質所要量
  ビタミン所要量
  無機質(ミネラル)所要量
 2 ─ 食事計画
  食品構成
  食事計画
 3 ─ 栄養補給法
  経消化管栄養法
  経静脈栄養法

■V 栄養評価(寺本房子)93
 1 ─ 意義
 2 ─ 栄養アセスメント
 3 ─ 栄養パラメータ
  臨床症状
  身体計測
  食生活の側面からの判定
  臨床検査
 4 ─ 集団の栄養評価

■VI 栄養管理
 1 ─ 妊娠期・授乳期の栄養管理(藤尾ミツ子)
  生理・代謝
  栄養の特徴
  栄養・食生活指導
  疾病(つわり・妊娠悪阻・妊娠貧血・妊娠中毒症)
 2 ─ 乳幼児期の栄養管理(菊池チトセ)
  生理・代謝
  栄養の特徴
  栄養・食生活指導
  疾病(先天性代謝異常症・嘔吐と下痢・アレルギー)
 3 ─ 学童期の栄養管理(川島由起子)
  生理・代謝
  栄養の特徴
  栄養・食生活指導
  疾病(腎疾患・糖尿病)
 4 ─ 思春期の栄養管理
  生理・代謝
  栄養の特徴
  栄養・食生活指導
  疾病(神経性食欲不振症・肥満・貧血)
 5 ─ 成人期の栄養管理(武政睦子)
  生理・代謝
  栄養の特徴
  栄養・食生活指導
  疾病(2型糖尿病・高脂血症・虚血性心疾患・癌)
 6 ─ 高齢期の栄養管理(渡邉早苗)
  生理・代謝
  栄養の特徴
  栄養・食生活指導
  疾病(高血圧・骨粗鬆症・咀嚼と嚥下困難)
  便利な自助具のいろいろ
■VII 健康と食生活
 1 ─ 国民栄養の現状(藤ミツ子)
  栄養素等の摂取状況
  食品の摂取状況
  食事(欠食・外食)状況
  生活習慣の状況
  身体状況
  血液検査
 2 ─ 望ましい食生活(堀尾拓之)
 3 ─ ヘルスプロモーション(菊池チトセ)
 4 ─ 在宅医療
 5 ─ QOLの向上(渡邉早苗)
  QOLの意義
  QOLを構成する要素

参考文献
資料
 [1]─第六次改定日本人の栄養所要量
 [2]─性・年齢階層別基礎代謝基準値と基礎代謝量
 [3]─生活活動強度の区分
 [4]─成長期の体重増加量とエネルギー付加量
 [5]─日常生活活動と運動エネルギー消費量
 [6]─主な食品群別の分類例
 [7]─健康づくりのための食生活指針
 [8]─対象特性別食生活指針
 [9]─健康日本211栄養・食生活の目標
 [10]─新しい「食生活指針」
 [11]─健康づくりのための運動指針
 [12]─健康づくりのための休養指針
 [13]─癌の死亡率(人口10万対)の推移
 [14]─登録 特殊ミルクリスト・成分表
 [15]─食物性アレルギーと除去食品