やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 現在,わが国の医療分野もパラダイムシフトが起ころうとしている.
 新政権が発表した「日本再興戦略─JAPAN is BACK─」には,今後創造していくべき戦略市場の1つとして,「健康寿命」の延伸がいの一番にあげられた.また,本年8月の「社会保障制度改革国民会議 報告書」には,「中年期からの健康管理や介護予防など,個々人が自助努力を行うインセンティブをもてるしくみが必要」と明記された.これらは,「病人を待つ医療」から「病気にさせない医療」への大転換が起こりつつある証左であり,「健康に生きる」ことへフォーカスを当てた「医療の本分」への回帰を促すものである.
 これらの観点からしても,ようやく国そして国民から,「予防を中心とした歯科医療の大切さ」が再認識されつつあり,いよいよ歯科衛生士にとって,やりがいのある時代が間近に迫ってきたのである.
 歯科衛生士の仕事は,スケーリング・ルートプレーニング,TBIなどの歯周治療や予防処置,そしてアシスタントワークがその大部分を占める.しかし従前より,スケーリング(シャープニングなども含めて)やTBIを中心とする予防管理のスキルアップに関する成書は数多く上梓されているものの,歯科医院内全体を見渡し,総合的に管理を行う本来の意味でのアシスタントワークに関しては,いま一つ情報が少なかった.
 今回上梓された本書は,日々臨床現場で業務に携わり,奮闘する歯科衛生士より生まれた「現場の声」の集大成である.
 患者さんにとって,よりよい歯科医療を実現するためには,何でもマルチにこなせる「歯科医院内の司令塔的存在」,すなわち「歯科医院のコンシェルジュ的歯科衛生士」の存在が不可欠であり,これが歯科医院活性化の第一歩となろう.本書が,医院にとってなくてはならない存在感のある歯科衛生士を目指し,前向きに生きる歯科衛生士諸兄にとって,「総合力アップ」の一助となれば幸甚である.
 2013年秋
 高橋英登
 はじめに
Introduction アシスタントワークをマスターしよう!
 本書で使用するアイコン
Chapter1 アシスタントワークに必要な基礎知識
 1.医療従事者に必要な接遇
 2.ユニット周りの器材の名称・役割
 3.カルテ・問診票の不足を補う
 4.歯式の書き方・保険用語とその略称
Chapter2 準備と片づけ
 1.診療の準備
 2.診療の後片づけ
 3.洗浄・消毒・滅菌
Chapter3 歯科治療のアシスタントワーク
 1.ユニットへの誘導
 2.治療の種類・流れ・必要な器材
 3.ポジショニング・姿勢
 4.ライティング
 5.バキュームテクニック
 6.スリーウェイシリンジ
 7.器具の受け渡し
 8.フォーハンドテクニック
 9.ラバーダム防湿
 10.麻酔時のアシスタントワーク
 11.外科処置時のアシスタントワーク
 12.顕微鏡(マイクロスコープ)使用時のアシスタントワーク
Chapter4 補綴物製作の アシスタントワーク
 1.印象材の種類・取り扱い
 2.トレーの試適
 3.石膏の取り扱い
 4.シェードテイキング
 5.装着材料の種類・取り扱い
 6.余剰セメントの除去
 7.歯科技工指示書を知っておこう

 索引
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