やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 「歯周病を治したい.もっとSRPがうまくなりたい」
 このように,SRPの上達を目標に掲げている歯科衛生士は私たちだけではないと思います.毎日の臨床現場で歯周病患者さんに出会わない日はなく,歯科衛生士の多くはSRPのスキルに悩みながらも,あの手この手で歯周病患者さんと接し,歯周病菌と戦っています.
 その昔,「Dr.Hiro」こと山本浩正先生の講義(Postgraduate Education Course:PEC)を受講していた私たちは,現在,歯科衛生士コースのインストラクター(通称:PEC OTOME)として,たくさんの歯科衛生士の方と出会い,私たち自身も勉強させていただいています.
 そして2017年に,経験年数も勤務先も違うPEC OTOMEのメンバー11名が,「歯周病と対峙する」という共通点のもとに,いままで先輩や患者さんから学んだことや,仲間と考えたことを,月刊『デンタルハイジーン』1〜12月号の連載でまとめました.「〜器具を愛するための〜インストゥルメントロジー」と題したその連載では,私たちに染みついた“Dr.Hiroイズム”と,基本に忠実なインストゥルメンテーションを大切にした臨床のコツをお伝えしました.本書は,連載に新たな内容を大幅に加筆し,「ペリオのメソッド」をよりわかりやすく再編したものです.執筆させていただくという貴重な機会に感謝し,責任を重く受けとめながら,執筆者それぞれの個性も活かしてお伝えしてまいります.
 このような機会をくださった私たちのボスであり,挑戦する勇気をもたせつづけてくださる山本浩正先生,および本書の制作にご協力いただいたすべての方々に心より感謝いたします.
 2018年春
 PEC OTOMEを代表して 熊本宏美・足利奈々
 はじめに
 本書の構成と使い方
Chapter 1 Way of Thinking
 (1)患者さんを歯周病から守るために
 (2)OHI(口腔衛生指導)
Chapter 2 Examinations
 (1)検査でわかること
 (2)エキスプローリング
Chapter 3 Hand Instrumentation:Basic
 (1)シャープニング
 (2)SRPの基本操作
Chapter 4 Hand Instrumentation:Advance
 (1)前歯・薄い歯肉
 (2)叢生歯列
 (3)根面溝(上顎第一小臼歯近心)
 (4)小臼歯舌側傾斜
 (5)根分岐部
 (6)最後臼歯遠心
Chapter 5 Other Instrumentation
 (1)超音波スケーラー
 (2)PMTC
Epilogue:トレーニングを続ける“あなた”へ
 執筆者一覧

 コラム Dr.Hiroのチョット深掘り
  ・脱ネガティブアプローチャー
  ・どうして歯石の探知が難しいのか?
  ・シャープナーの嫌いな私
  ・インストゥルメントとインストゥルメンテーションの関係
  ・薄い歯肉って?
  ・オーバー,怖い?
  ・歯根形態はおもしろい
  ・インストゥルメントの材質
  ・両刃と片刃
  ・歯石の探知能力はどれくらい?
  ・師匠と弟子の関係
  ・型を習得するということ